建設業界の志望動機はどう書く? 差別化のコツや注意点を解説

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  • キャリアコンサルタント/Koyoriキャリアワールド代表取締役

    Chieko Kimura〇2度のアメリカ留学、20年以上の外資系IT企業勤務を経て、現在は留学生向け就職支援をおこなう。また、企業のキャリア支援や新入社員のクラウドコーチングなどにも幅広くたずさわる

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー

    Mifuyu Furihata〇23年間の企業勤めを経て、独立後は企業での採用・育成コンサルティングや研修に従事。個人向けの就活支援セミナーやキャリア相談における、個々の「強み」の掘り下げに定評がある

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事

    Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修

    プロフィール詳細

今後も需要が増え続けると言われている建設業界ですが、特に人気企業の場合は倍率がより高くなることが予想されます。その中でライバルと差をつけるために重要になるのが、志望動機です。

しかし、「建設業界の志望動機を具体的にどう書けば良いかわからない」「志望動機を作る際のコツがあれば知りたい」など、不安や悩みを抱える人もいるでしょう。

この記事では、キャリアアドバイザーの若林さん、降幡さん、木村さんと一緒に、建設業界の志望動機の書き方を例文付きで解説します。また、建設業界の基本情報や求める人物像なども解説するので、建設業界についてまだ深く分析できていない人もぜひ参考にしてください。

目次

建設業界の特徴・求める人物像を理解してから志望動機を作成しよう!

建設業界には、業界ならではの特徴や求める人物像などが存在します。そのため志望動機を作成する際は、これらの特徴を押さえなければ面接官に響かない内容になってしまう可能性もあるのです。

しかし、建設業界にはどんな特徴があり、どんな人物を求めているのか、または求める人物像を押さえた志望動機はどんな内容かなど、業界・企業分析を深めていかないとイメージができない点も多いですよね。

この記事では、前半で建設業界の基本情報や求める人物像などを解説します。最初に建設業界の前提を押さえて、志望動機を作成する準備をしましょう。

そして、記事後半では建設業界の志望動機を作成するコツや、避けるべき内容などを例文付きで解説します。自分ならどう作成するかをイメージしながら、具体的な作り方を確認していきましょう。

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志望動機を書く前に確認! 建設業界の基本情報

志望動機を書く前に確認! 建設業界の基本情報

  • 建設業界とは
  • ビジネスモデル
  • おもな職種

建設業界の志望動機を作成するにあたって、業界の概要やビジネスモデル、おもな職種などの基本情報を把握しておくことは必須になります。基本情報を押さえていなければ、的外れな内容の志望動機となる可能性があるからです。

ここからは、事前に知っておきたい建設業界の基本情報を解説します。まだ建設業界の基本や前提知識について自信がない人は、ここで理解を深めておきましょう。

より詳しく建設業界の全体像を知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
建設業界の全貌がわかる! 課題・動向から仕事内容まで徹底解説

建設業界とは

建設業界とは、土地や建物、道路などの建設にかかわる仕事をする業界です。我々が生活する住宅やビル、学校、工場などの建物を建設したり、道路やトンネル、橋、水道など、インフラの整備をしたりします。建設業界は建設に関するあらゆることを包括した業界なのです

一方で、似た言葉に建築業界があります。建築業界は建築物の増築や改築、移転などをおこなう業界です。つまり、建物を建てる一連の工程のみを実施するのが建築業界となります。

このように、建設業界の中に建築業界が含まれるということを把握したうえで、建設業界の志望動機を作成しましょう。

建築業界の仕事の特徴やトレンドはこちらの記事で詳しく解説しています。志望動機例文も8選紹介しているので併せて参考にしてください。

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例文8選|建築業界で評価される志望動機とは? 書き方のコツ

建築業界の志望動機は悩む人が多いものの、実は大切なポイントはシンプルです。記事ではキャリアコンサルタントとともに、建築業界の志望動機で評価されるコツや作り方を解説します。職種別の例文8選も紹介するので選考通過に活かしてください。

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例文8選|建築業界で評価される志望動機とは? 書き方のコツ

ビジネスモデル

建設業界のビジネスモデル

建設業界のビジネスモデルは、上記の図のように、おもに依頼主となる不動産会社、建築企業のゼネコン、サブコン、各工事事業者から成り立っています。

ゼネコンとは

general contractor(ゼネラル・コントラクター)の略称。

建設業界の中でも大きな資金力や技術を持っている企業のことで、建築物を作るために必要な「設計・施工・研究」を総合的に担う

サブコンとは

ゼネコンから工事の依頼を受ける下請け企業のこと。

電気や空調の設備を担当する専門企業や、工事現場の足場作りを担当するとび職、木造建築を作る大工などがサブコンに分類される

最初に不動産会社からゼネコンに建物の建築や土地の開発などを依頼し、この依頼が成立したら、ゼネコンからサブコンに工事を委託、サブコンが各工事事業者を手配して実際に工事するという流れになります

このように、一言で建設業界といっても各企業によって仕事内容が大きく変わります。このビジネスモデルを把握し、志望する企業がどれにあたるかを理解したうえで志望動機を作成することが大切です。

サブコンがゼネコンになることはないのでしょうか?

木村 千恵子

プロフィール

通常はないが合併や吸収でゼネコンになるケースが一部ある

サブコンとゼネコンは役割が明確に分かれているため、通常はサブコンがゼネコンになることはありません。

しかし人材不足や高齢化に伴い、事業継続が難しくなってしまったサブコンがゼネコンに吸収合併されるケースや、外資系企業の買収などによる業界再編の動きで、サブコンだった企業がゼネコンになるというケースはあります。

今後もこのようなケースでは、サブコンがゼネコンになるということもあり得るでしょう。

以下の記事ではゼネコンについて詳しく解説しています。仕事内容など詳しくまとめているので参考にしてみてください。
ゼネコンとは? 建設業界の動向や就職のポイントまで徹底解説

おもな職種

建設業界といえば建築物の設計をしたり、施工管理をしたりするイメージが強い人もいるでしょう。しかし、建設業界はそれ以外にもさまざまな職種があって成り立っています

ここからは、建設業界のおもな職種を紹介します。より効果的な志望動機を作成するためにも、自分の性格と合っていたり強みを活かせたりする職種を見つけましょう。

設計職

設計職には大きく分けて、設計士と建築士の2つの職種が存在します。

設計士建築士
仕事内容建築物の設計や建築士の補助建物の企画から完成までの計画を立てる
資格不要一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれか
設計士と建築士の違い

建築士は、建物の企画から完成までの計画を立て、司令塔的な役割を担います。具体的には、図面を活用して建物の設計をし、完成までの計画を立てる役割です。

また建設中は工程管理の役割も担い、計画通りに建築できるようにします。建築士になるには、一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格が必須で、入社後に実務経験を積むことでこれらの資格が取得できることもあります

一方で、設計士は建築士に必要な資格は不要です。建築物の設計をしたり、建築士の設計の補助をしたりします。そのため新卒は設計士に配属される可能性が高いです。そして、設計士として経験を積んで、建築士にキャリアアップしていくという流れが一般的です。

キャリアパスを理解したうえで、就活で「将来建築士になりたい」というビジョンを語るのは良いのでしょうか?

降幡 美冬

プロフィール

問題ないがビジョンを裏付けるスキルや意欲もきちんと示そう

将来の希望職種をビジョンとして伝えることは、あなたの専門性や熱意を示す意味でも良いといえるでしょう。

その際に気を付けるべきポイントとしては、その企業での建築士業務への理解はもちろんのこと、あなたが学んできたことがどのように役立つのか、将来的に何を成し得たいと考えて希望しているかを併せて伝えることです。

そして、あくまでも企業のニーズや状況に応じて、そのほかの職種にも柔軟に対応できること、組織の一員として貢献する意欲がしっかりあることを示すことが大切です。

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施工管理

施工管理は、建築物や設備などを建築する際に、工事現場の施工や安全面、役所への手続き、予算などを管理するのがおもな業務内容です。現場の職人と顧客・設計職の間に入り、安全を配慮したうえで両者の希望がかなうよう調整します

施工管理になるために資格は不要ですが、現場を引っ張るリーダーシップや、スケジュール通りに進めるための計画力・柔軟性などが必要になります。施工管理を目指す人は、これらの能力をアピールするのが良いでしょう。

若林 宏美

プロフィール

知人に聞いてみたところ、施工管理で大切なことの一つは、工事が計画通り進むかどうかの管理だそうです。

計画表の作成や役所とのやり取り、現場の準備なども含めた管理業務は、細やかな作業が得意で周囲に目を配れる人に向いています。

こちらの記事では施工管理に向いていない人の特徴をまとめているので施工管理に興味がある人は併せて参考にしてみてください。
施工管理に向いてない人の特徴をケース別で紹介|活躍する人の条件も

施工管理職を目指している人は以下の記事も参考にしてください。施工管理ならではの志望動機の作り方を解説しています。
例文6選|施工管理の志望動機は3ステップで作れる! 注意点も解説

技術職

技術職は現場で実際に工事する職人を指します。そして、技術職の中にも以下のように複数の種類があります。

技術職の種類

  • 土木:道路やトンネルなどを作る
  • 大工:建築物を建てる
  • とび:高所で工事する
  • 鉄筋工:鉄筋コンクリートの鉄筋を組む
  • 内装工:建築物の内装を工事する

種類によって業務内容は異なりますが、どれも肉体労働で体力が求められます。さらに、顧客の要望が変われば、それに合わせて柔軟に対応することも求められます。

技術職を目指す人は、体力に加え、柔軟性や要望を汲み取る力などをアピールするのが良いでしょう。

降幡 美冬

プロフィール

現場ではさまざまな専門職の人との協働が不可欠です。そのため技術職では基本的なコミュニケーションスキルが求められます。

また何よりも、自身だけでなく周囲への安全配慮も欠かせません。規則の理解と遵守も必要といえるでしょう。

技術職をはじめとする「ものを作る仕事」に就きたいと考えている人は、こちらの記事も参考にしてください。20種類の仕事から視野を広げて就職活動に臨めますよ。
ものを作る仕事20選|特徴別5ジャンルで役立つ資格を紹介

技術開発職

技術開発職は、建設業界における新しい技術を開発する職種です。建設業界は近年人手不足の傾向があります。少ない人手の中でも生産性を向上させるために、ロボットやAI(人工知能)などを開発して、現場に導入するのが技術開発職の仕事です

たとえばAIを活用して現場の計測をおこなったり、ロボットに鉄骨を組む作業を任せたりするなどの事例があります。

技術開発職は、これまでITシステムなどを開発・構築した経験のある人、知識がある人など一定の専門知識が求められる傾向があります。そのため大学の専攻などで該当分野の知識がある人は、技術開発職を目指してみても良いかもしれません。

木村 千恵子

プロフィール

技術開発職は、現場の状況とそこで働く技術職のスキルや技法を把握する能力が求められます。

現場を知らなければ、そこで必要とされる技術の開発はできないですよね。現場で仕事をする職人や技術職の意見に耳を傾けて、状況を正しく把握できる人は適性があると考えられます。

開発職の仕事内容や就活対策は以下のQ&Aで詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。

営業職

営業職は顧客に自社の技術力を提案し、案件を受注するのが業務内容です。建設業界の営業職のおもな就職先はゼネコン、ハウスメーカー、リフォーム会社などになります。

営業職の場合、扱う商材は異なりますが他業界と働き方は類似しています。数字を追うのが好きな人、コミュニケーション能力に自信がある人がおすすめです

なお、企業によっては「基本給+受注件数によるインセンティブ」という形式など、ほかの職種と給与体系が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

若林 宏美

プロフィール

ハウスメーカーや住宅会社の営業の人と話す機会がよくありますが、建設業界の営業職はただ契約をするだけではなく、プランニング、資金計画から引き渡し後のアフターフォローまで担うケースが多いです。

そのため、営業能力のほかにも多方面での知識が必要な職種といえます。

営業職の志望動機の書き方を重点的に把握したい人は、こちらの記事を参考にしてください。
例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ

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事務職

事務職は、現場で働く人が業務に集中できるようサポートするのがおもな業務内容です。具体的には、物品の管理・保守、予算管理、事務処理などをおこないます。

基本的には資格は不要ですが、経理のみ資格が求められる場合があります。ほかの職種に比べて注目されることは少ないかもしれませんが、案件を円滑に進めるためには事務職の仕事が必要不可欠です。細かい作業が得意な人や誰かをサポートするのが好きな人などにはおすすめですよ。

建設業界の事務職で特に重視される能力やスキルはありますか?

降幡 美冬

プロフィール

事務スキルに加えてコミュニケーション能力やスケジュール管理の能力も重要

上記に記載されていたように、建設業界は不動産会社、建築企業、各工事事業者など外部とのかかわりも多い業界になります。

そのため事務職でも、社内外での適切なコミュニケーションスキルが求められるでしょう。また、建設業界ならではの用語や基本的な法規制といった基礎知識も覚えていく必要があります。

図面、契約書、仕様書など重要な文書の作成スキルや、保存、管理などの取り扱いの正確性、スケジュール管理能力も重要ですね。

事務職の仕事内容を詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
事務職の仕事内容が丸わかり! 必要なスキルや就職のコツも

4ステップで完成! 建設業界の志望動機の構成

4ステップで完成! 建設業界の志望動機の構成

  • 建設業界の志望動機を一言で伝える
  • 志望動機の根拠を簡潔に伝える
  • 根拠となるエピソードを具体的に伝える
  • 志望動機を踏まえて入社後に実現したいことを明確にする

ここまでの建設業界の基本情報を踏まえて、いよいよ志望動機を作成しようと考える人もいるでしょう。しかしその前に、志望動機の構成を把握しておかなければいけません。どれだけ良い内容でも、構成を間違えると伝えたいことが伝わりにくくなることがあるからです。

ここからは、建設業界の志望動機の構成を解説します。採用担当者の立場になって、より伝わりやすくなるように構成を確認していきましょう。

志望動機の構成の作り方やNG例などを詳しく知っておきたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
​​志望動機はこの構成で決まり! 盛り込む6要素と伝える順番を解説

①建設業界の志望動機を一言で伝える

志望動機の最初には、建設業界を志望した理由を一言で伝えましょう。結論を先に伝えないと、それまでのことが何の話をされているのかわからなくなり、志望動機が伝わりにくくなるからです

例として、以下のように先に結論を伝えていない志望動機を見てみましょう。

最初に結論を伝えていないNG志望動機例

私は、〇〇県〇〇市がとても好きで、月に1回は訪れるようにしています。

特に好きなのは駅前の〇〇という施設です。その施設は外装と内装の雰囲気が異なり、中に入ると、まるで世界が変わったような感覚になり、一度入ると忘れられないような作りになっています。

このように、多くの人の記憶に残り、「また見たい」と思えるような建築物を設計したいと思い、御社を志望しました。

上記の例のように、「志望動機を教えてください」という質問に対して、いきなり過去のエピソードを伝えられても、採用担当者はどのように志望動機につながるのかわからなくなってしまいますよね。

採用担当者に志望動機の内容をすべて意味のあるものと捉えてもらうためにも、結論として最初に志望動機を一言で伝えましょう。

建設業界の志望動機の結論の例

私が御社を志望する理由は、建築の可能性を追及し、社会にとって価値のある空間を創造したいと考えているからです。

志望動機の書き出しを工夫して差をつけたい人は、この記事もおすすめです。
例文8選|志望動機の書き出しで本気度を見せ差別化する方法

②志望動機の根拠を簡潔に伝える

次に結論として伝えた志望動機の根拠を簡潔に伝えましょう。

これは最初に伝えた結論とこの後の根拠となる具体的なエピソードがどのように関係しているかを明確にするために、文章同士のつながりを担う役割になります

あまり長すぎると読み手・聞き手にとってストレスとなる可能性があるため、根拠は1文程度で問題ありません。

志望動機の根拠の例文

大学での建築デザインの授業の経験から、空間デザインのやりがいや影響力の大きさを魅力に感じたためです。

③根拠となるエピソードを具体的に伝える

志望動機の根拠を簡潔に伝えたら、その根拠の具体的なエピソードを伝えましょう。具体的なエピソードがあることで、志望動機に信ぴょう性を加えることができます。

一方で具体的なエピソードがないと、「この志望動機が本心なのかわからない」と疑問を持たれる可能性があるのです

たとえば、以下のような具体的なエピソードがない志望動機を見てみましょう。

具体的なエピソードがない志望動機

私が御社を志望した理由は、多くの人の記憶に残る建築物の設計をしたいと考えたからです。

多くの人の記憶に残り、「また見たい」と思えるような建築物を設計して、御社に貢献したいと考えています。

このように、具体的なエピソードがないと誰でも言える内容となり、採用担当者の印象にも残らない志望動機となってしまうため、具体的なエピソードも加えた志望動機を作成しましょう。

根拠となるエピソードの例文

学内で「人々にとって最大限住みやすい家を設計する」という建築プロジェクトを実施したことがあるのですが、その際私はデザインコンセプトの提案から設計までを担当しました。

このプロジェクトの経験から、建築が人々の生活に与える影響の大きさを実感し、建築の世界に魅力を感じるようになりました。

入社後は設計士として経験を積み、その後、建築士へのキャリアアップを目指したいと考えております。そして、人々がこれまで以上に生活を楽しめる家を作れるように努めてまいります。

どのレベルのエピソードが高評価を得られるのでしょうか。私生活レベルでも問題ないですか?

若林 宏美

プロフィール

「なぜ建設業界か」が伝われば私生活レベルでも問題ない

エピソードは、もちろん私生活のものでも構いません。

たとえばこれまで見た建設業界の志望動機で良かったのは、「子どもの頃に親が家を建て、そのときの営業や設計の方がとても親切にしてくれた。家もずっと快適に過ごせていて、自分もそのような仕事がしたいと思った」という内容です。

この志望動機を伝えた学生は、実際に建築会社に採用されました。

このように建設業界に絡めたエピソードがあれば理想ですが、ない場合でも、最終的になぜ建設業界で働きたいのかのかがわかるようにまとめることが大切です。

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「この職種に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか学生時代に培ったスキル・経験を踏まえて伝えるのに苦戦する学生は多いです。

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 (IT業界の場合) 
私は貴社が掲げる顧客維持率向上に貢献し、日本企業のIT化の一助になりたいと考えています。私は飲食店でアルバイトをしているのですが、感染症の増加により新しい施策に取り組むことを余儀なくされていました。このとき、新しいシステムを導入してオンライン販売を開始すると、常連客の注文率が60%以上になりました。この経験から、リピーターをつくることとシステム導入の大切さを実感しています。貴社は、先端技術を活用したSaaSを提供しているだけではなく、顧客維持率の向上を事業戦略に掲げており魅力に感じております。入社した際には、営業職として企業へのSaaSの提案・リピート顧客獲得で貢献したいと思っています。

④志望動機を踏まえて入社後に実現したいことを明確にする

最後に志望動機を踏まえて、入社後にどのようなことを実現したいのかを明確にしましょう。

前述のとおり、建設業界にはさまざまなレイヤーの企業・職種があります。それぞれ仕事内容が異なるため、将来やりたいことを伝えることで、採用担当者にとっても本当に我が社のその職種を志望しているのかという判断材料にもなるのです

入社後に実現したいことを考えるには、業界・企業研究は必要不可欠です。業界・企業研究をしたうえでその企業だけの特徴と絡めつつ、企業側に一緒に働いている様子をイメージしてもらえるように、入社後に実現したいことまで伝えましょう。

業界・企業研究の方法がわからない人は、こちらの記事を参考にしてください。

業界研究
業界研究のやり方|業界全体を捉えたうえで気になる業界を研究しよう

企業研究
企業分析のやり方を完璧にマスターする3ステップ|よくある注意点も

降幡 美冬

プロフィール

入社後のビジョンは、長期的に会社に貢献したいと考えていることが伝わるように書きましょう。

企業研究で先輩たちのキャリアを把握して参考にしながら、短期(1年後)・中長期(3~5年後)で具体的にどうなっていることを目指すのか、成長意欲を示すことがコツです。

知っておこう! 建設業界が求める人物像

知っておこう! 建設業界が求める人物像

  • 問題解決能力がある
  • 協調性が高い
  • クリエイティブ能力が高い
  • 前に踏み出す力がある

建設業界の仕事は多くの人の命を背負っているため、求める人物像の各項目において高い水準で満たしている人を採用したいと考える傾向にあります。

そのため、この求める人物像の傾向に沿った志望動機にしなければ、「自社には合わない」と判断される可能性が高くなってしまうのです。

ここからは建設業界が求める人物像を解説します。入社後で自社で活躍できそうだと思ってもらえるような志望動機にするためにも、作成前にチェックしておきましょう。

問題解決能力がある

問題解決能力には、「問題を発見する力」と「問題を解決する力」の両方が含まれます。

特に建設業界の上流に位置し、顧客折衝があるゼネコンは、顧客が抱える問題をヒアリングしたうえで自社の技術を提案しなければいけません。その際、ヒアリングした内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、さらに深掘りして問題の根本を見つけ、それの解決策を提案することが求められます。

決して簡単なことではありませんが、高校・大学時代に自ら問題を発見して、解決に向けて努力した経験がある人は、志望動機でもアピールできるでしょう。

問題解決能力に自信があり、自己PRでもアピールしたいと考える人はこちらの記事を参考にしてください。
自己PR例文付き|問題解決能力を鍛えるコツと就活でのアピール方法

協調性が高い

建設業界では、異なる役割を担ったさまざまな企業が協力して一つの案件に取り組みます。その際には価値観の異なる会社や人と連携しなければいけないこともあるでしょう。そのような場合でも、協力し合える協調性があることが求められます。

また、顧客の中には建設に関してあまり知識を持っていない人がいる可能性も考えられます。その際でも顧客の目線に立って、双方が合意できる形に落とし込める協調性が必要なのです

これまでの経験で、育った環境や価値観などが異なる人たちと同じ目標に向かって何かに取り組んだことがある人は、その際に自分がどんな役割を担って何を意識していたのかを伝えることで、協調性をアピールできるでしょう。

協調性をアピールしたいのですが、周りがどう感じていたのかわからないのでエピソードに自信がないです……。

若林 宏美

プロフィール

周囲の反応からでも読み取れるので事実確認までしなくてもOK

協調性のアピールに限らず、エピソードを選ぶときは質問の通り、周りの反応などを伝えることが大切です。

なぜ大事なのかというと、自分の意見のみでは面接官が人物像を正しく把握しきれないからです。

「周りがどう感じたか」は、そのときの反応や発言を伝えるだけでも読み取れます。可能なら、そのエピソードに関係する人物に話を聞いてみるのがおすすめですが、「事実確認をしないといけない」と心配しすぎなくても大丈夫ですよ。

協調性に自信があり、自己PRでもアピールしたいと考える人はこちらの記事を参考にしてください。
例文17選|協調性の自己PRで確実に差別化する8つのコツ

クリエイティブ能力が高い

建設業界は、これまでにない新しいものを世の中に創り出す仕事です。建設の基本を押さえたうえで、クリエイティブな発想が求められるので、クリエイティブ能力が高い人は建設業界での活躍が期待できるでしょう

ただし、自分の考えだけで設計や建築を進めることはできません。顧客の要望を汲み取ったり、時代の風潮に合わせたものにしたりすることも重要です。

そのため、クリエイティブ能力と併せて、ニーズを汲み取る力や時代を読み取る力などもアピールできると良いでしょう。

木村 千恵子

プロフィール

クリエイティブ能力は言い換えれば、既存概念に囚われず、新しい発想を形にして自由に表現できる能力です。

ライティングスキルやデザインスキルなどのような明確なスキルがなくても、これまでにない新しくユニークな発想を持っていることが重要になります。

それを相手がわかる言葉や表現で伝えることで、クリエイティブ能力をアピールすることができますよ。

発想力の自己PRの作り方・伝え方は以下の記事で詳しく解説しているので、建設業界を志望する人はアピールすることを検討してみてくださいね。
例文10選|発想力の自己PRで勝負するならエピソードが最重要

前に踏み出す力がある

建設業界は常に変わり続けています。前述のとおり、技術開発職も設けられていて、AIやロボットを活用するなど時代の最新技術を駆使して効率化を図っているのです。

そして、建設業界ではこのような変化を前向きに捉え、共存し、より品質の高いものを創り出す姿勢が求められます

また、建設業界はチームで一つのゴールに向かって進むことが多いため、チーム全体に良い影響をもたらし、かつ前進させられるような力を持った人も必要とされています。

これまで変化に柔軟に対応した経験がある人や、チームでリーダーシップを発揮して引っ張った経験がある人は、志望動機でアピールしてみてくださいね。

リーダーシップを発揮した経験をアピールしたい人は、こちらの記事も参考にしてください。自己PRに関する内容ですが、志望動機を考える際にも役立ちますよ。
例文17選|自己PRでリーダーシップを最強の強みとして伝える方法

アドバイザーコメント

建設業界で働くには能力だけでなく安全意識も不可欠

人々の生活にかかわるような巨大なインフラやプロジェクトに携わる建設業界では、専門知識に加えてさまざまな素質が求められます。

具体的には、激しさを増す変化に柔軟に対応できる能力や常に先進技術を学ぶ向上心、あらゆるステークホルダーとかかわるコミュニケーション能力などが必要です。

その中でも特に重要とされているのは、安全意識だと思われます。作業員だけでなくプロジェクト全体の安全を確保することや、品質の管理は最優先事項です。

そのためのリスクアセスメント(リスクを見積もって対策を施すこと)や危険予知に関する幅広い知識、そして高い意識も求められるでしょう。

ミスによる損失が大きい業界! 責任を全うする姿勢を持とう

実際に2023年に、高層複合ビルにおいて鉄骨の精度不良と虚偽申告が発覚し、15階まで組み上がっていた鉄骨を一から建て直すという事態が発生したことも記憶に新しいのではないでしょうか。

品質プロセスの管理が徹底されていなかったために起きた損失は、数百億円にものぼるとも言われ、企業の業績への影響は計り知れません。

そのため建設業界で働く人にとっては、高い安全意識を持ってそれを実践する意識、また自分自身の責任を全うする意識が、何よりも大切だといえるでしょう。

建設業界の志望動機を作成する際の3つのコツ

建設業界の志望動機を作成する際の3つのコツ

  • 建設・設計・土木のそれぞれの現状と今後の展望を把握する
  • 志望企業の独自の施策を理解してエピソードに反映する
  • 志望する職種の専門性を理解してから志望動機を作成する

ここまで解説した内容でも建設業界の志望動機は作成可能ですが、他者と差別化を図って採用担当者の印象に残るようにするためには、もう一工夫が必要です。

ここからは建設業界の志望動機を作成する際のコツを3つ解説します。コツを押さえることで、より志望度が高いことをアピールできる志望動機が作成できますよ。

①建設・設計・土木それぞれの現状と今後の展望を把握する

前述のとおり、企業や職種によって、担当する分野が建設・設計・土木なのかが異なります。建設業界全体の現状や今後の展望を押さえることも重要ですが、さらに深掘りして、各分野の現状と今後の展望を押さえた志望動機にすると、高評価を得られる可能性が高まります

前述で、志望動機の最後にその会社で何を実現させたいのかを明確にするべきと解説しました。その際も、今後その分野でどのようなことが起きると予想されているかを把握していなければ、的外れな内容を伝えてしまう可能性があるでしょう。

以下に建設・設計・土木それぞれの今後の展望をまとめたので、内容を参考にしつつ自分でも調べて、好印象を残せる志望動機にしましょう。

建設・設計・土木の今後の展望

  • 建設の今後の展望
    老朽化対策・災害対策、新幹線や高速道路などの大規模な建築プロジェクトが予定される
  • 設計の今後の展望
    事業全体のマネジメント、都市開発・都市計画など事業が多角化する
  • 土木の今後の展望
    自然災害の復旧工事や防災減災対策工事、老朽化の進むインフラ設備の整備の需要が高まる
各分野の今後の展望の調べ方がわかりません……。

木村 千恵子

プロフィール

業界誌やプレスリリースなどで情報を追って予測してみよう

今後の展望を調べるには、業界企業のプレスリリースや業界新聞、業界雑誌などを継続的にチェックするのがおすすめです。

その業界が今後どのような方向に投資し、どのような手段と対象で売り上げ拡大や市場開拓をしようとしているかを調べると、展望が見えてくるでしょう。

たとえばプレスリリースで他企業との提携や、新サービスの提供などが発表されることがありますが、その内容から今後の事業展開の方向性をある程度推測することができます。

同様に、競合他社の動向との比較をすることで、それぞれの企業の差別化戦略なども見えてきますよ。

建設業界の中でも住宅分野に興味がある人は、こちらのQ&Aもチェックしてみましょう。キャリアコンサルタントが住宅業界の将来性について解説しています。

②志望企業の独自の施策を理解してエピソードに反映する

特にゼネコンや各工事事業者に就職する場合、企業によって建築スタイルや環境への配慮の仕方などが異なります。各企業の独自性を理解しておき、それを志望動機に反映させることで、その企業への理解度が高いことをアピールできます

また、このような独自性を知ったうえで入社したいことを伝えると、企業側は「自社への理解度が高い」「自社に共感してもらえている」と感じ、印象も良くなるでしょう。

各企業の独自性はホームページ(HP)やSNSなどから確認可能です。もしHPやSNSに掲載されていない場合は、OB・OG訪問をして聞いてみるのもおすすめです。

OB・OG訪問を検討している人は、こちらの記事を読んでから準備するようにしましょう。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅

若林 宏美

プロフィール

建設業界の中でも特にBtoCの企業(一般消費者を顧客とする企業)は、SNSを使った認知拡大に力を入れています。

建設業界自体、SNSに力を入れている企業が多いため、企業のカラーや最新の取り組みなど複数のSNSでチェックしておきましょう。インスタライブなどのライブ配信もおすすめです。

③志望する職種の専門性を理解してから志望動機を作成する

前述のとおり、一言で建設業界といってもさまざまな職種があります。企業によってどの職種を扱っているかどうかは異なり、その職種が自分に合っているかどうかも人によって違います。そのため、各職種の特徴や専門性をよく理解してから志望動機を作成することが大切です。

順番としては、まずは以下の6つの職種の特徴や専門性を理解し、自分に合っているものを見極めましょう。

おさらい! 建設業界のおもな職種

  1. 設計職
  2. 施工管理
  3. 技術職
  4. 技術開発職
  5. 営業職
  6. 事務職

自分に合っている職種が見つかったら、その職種を募集している企業を探して、各企業ごとの業務の違いを調べてみましょう。同じ職種でも企業によって多少特色はあるので、本当に自分に合った企業と職種を見つけるためにも、細かく調べてみてください

これらの過程を踏んだうえで志望動機を作成すると、より説得力のある内容のものを作成できますよ。

降幡 美冬

プロフィール

ここで挙げた3つのコツのほかにも、建設業界の中でもなぜその企業を志望しているのか、面接官が頭の中にイメージできるような具体的な理由やきっかけを伝えることが大切です。

表面的で漠然とした動機にならないよう注意しましょう。

この2つは避けよう! 建設業界の志望動機として不適切な内容

ここまで建設業界の志望動機の書き方やコツなどを解説しましたが、避けるべき内容もあります。本来避けるべき内容を志望動機にすると、「内容が薄い」「本当に我が社を志望しているのか」など、マイナスな評価になってしまう可能性が高まります。

ここからは、建設業界の志望動機としてマイナス評価につながりやすい内容を紹介します。事前に把握して、高評価を得られる志望動機を書けるようにしましょう。

「建設現場で働く人がかっこいいから」など表面的な理由だけの内容

建設現場で働く人たちの姿に憧れを持って、建設業界を志望している人もいるでしょう。しかしそれだけの理由で志望動機を作成すると、採用担当者から「建設業界の表面しか見ていない」「命の危険があることを把握していないのではないか」など、マイナスな印象を持たれる可能性があります。

建設業界の仕事は多くの人の命を預かることになるため、責任感を持った仕事が求められます。それにもかかわらず、表面的な理由だけで志望するのは危険です。

徹底的に業界・企業研究に取り組んで、なぜその企業でなければいけないのか、入社後にどんなことを達成させたいのかなど、深掘りするようにしましょう。

木村 千恵子

プロフィール

「かっこいい」と思うのがダメというわけでなく、具体的にどのような点を「かっこいい」と思うのか、実際に建設現場で働く人の好ましい特徴の例を複数挙げることが重要です。

その特徴が志望企業の理念や経営方針を表していて、「だからそこに惹かれて志望しました」といった理由なら、ある程度説得力のある志望動機になりますよ。

建設業界に限らずどの業界・企業・職種にも言える内容

建設業界を志望するなら、建設業界ならではの志望動機である必要があります。しかし、無意識のうちにどの業界・企業・職種にも言える内容の志望動機を作成してしまう人も一定数います。

たとえば、「安心安全な暮らしを届けたい」や「ものづくりが好き」「人々の生活を支えたい」などは、建設業界にも当てはまりますがそれ以外の業界でも言えることです。

そこからさらに深掘りして、建設業界・志望企業ならではの志望動機を作成することが大切です。そのためにも、やはり業界・企業研究は欠かせないでしょう。

たとえば、以下のような言い換えが考えられます。自身の思いと照らし合わせて、自分に合った言い換えを見つけましょう。

建設業界ならではの言い換え例

  • 安心安全な暮らしを届けたい
    →人々が安心して生活できる建築物を作りたい
  • ものづくりが好き
    →建築物をはじめとする大規模なものづくりに携わる仕事がしたい
  • 人々の生活を支えたい
    →安心安全に暮らせる家を提供して人々の生活の基盤を作りたい

若林 宏美

プロフィール

建設業界だけではありませんが、ここで挙げた注意点以外にも、「大手企業だから」「福利厚生が充実しているから」などの待遇に特化して志望動機を書くのはおすすめできません。

先日見た志望動機では、「副業がOKだから」といったものもありました。このように「将来的に転職したいのかな」と思わせる内容も避けてくださいね。

例文6選! 建設業界の志望動機の例文

例文6選! 建設業界の志望動機の例文

ここまで志望動機作成のコツを解説してきましたが、「具体的にどんな志望動機にすれば良いかわからない」「ほかの人がどのように書いているのか例文を見てみたい」と思う人もいるでしょう。

ここでは建設業界の志望動機を職種別に紹介します。自分ならどう書くかをイメージしながら確認していきましょう。

① 設計職

設計職の志望動機の例文

私が御社を志望する理由は、建築の可能性を追及し、社会にとって価値のある空間を創造したいと考えているからです。

このように思った背景には、大学での建築デザインの授業があります。学内で「人々にとって最大限住みやすい家を設計する」という建築プロジェクトを実施したことがあるのですが、その際私はデザインコンセプトの提案から設計までを担当しました。

このプロジェクトの経験から、建築が人々の生活に与える影響の大きさを実感し、建築の世界に魅力を感じるようになりました。

入社後は設計士として経験を積み、その後、建築士へのキャリアアップを目指したいと考えております。そして、人々がこれまで以上に生活を楽しめる家を作れるように努めてまいります。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

降幡 美冬

プロフィール

設計職を志した具体的なきっかけが示されていて、とても良いと思います。

もし付け加えるのであれば、「住みやすい家」を設計するにあたり、自身が取り入れた視点や工夫、また結果に対する周囲の声や評価もあるとなお良いでしょう。

② 施工管理

施工管理の志望動機の例文

私が御社を志望する理由は、効率的な施工管理を通じて、安全で質の高い建築物の実現を目指したいと考えたからです。

このような思いを持つようになった背景には、東日本大震災の被災経験があります。私は東北出身で、幼少期に震災を経験しました。震災の2年前に建てた家だったため被害は少なかったのですが、その際に建築物の安全性と質の高さの重要性を身をもって感じました。

また私は大学時代、建設業界でインターンシップを経験しました。その際、建設現場の日々の運営にかかわり、プロジェクトの計画立案や進行管理の重要性を実感しました。そして、安全管理や工程の調整においては、綿密な計画や迅速な対応が必要不可欠だと学びました。

入社後は、施工管理職として現場での計画立案や進行管理を担い、プロジェクトの成功と安全で質の高い建築物の実現に貢献したいと考えております。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

木村 千恵子

プロフィール

志望理由が実際に経験した東日本大震災がきっかけということで、説得力が出ている点が良いです。

入社後の施工管理職の仕事は、現場や関係業者との連携・協力が不可欠なので、チームワークの大切さを理解している点も伝えられるとさらに良いですね。

③ 技術職

技術職の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、建設現場で技術職として技術力と専門性を活かして、高品質の建築物を実現したいと考えたからです。

このように考えた背景には、大学時代の土木工学の授業と建設現場でのインターンシップの経験があります。

インターン中は、実際の道路建設のプロジェクトに参加し、プロの職人の方々と一緒に土木工事の運営を経験しました。このインターンの際、職人の方々は言葉が少なくても意思疎通しており、全員が一つのゴールに向かって努力していました。その姿に「本当のプロ意識」を感じたのを今でも覚えています。

この経験から技術職に憧れを持ち、さらに経験を積んで自分も一緒に働きたいと思うようになりました。

入社後はさらに知識とスキルを学び、安全かつ効率的な建設作業に貢献したいと考えております。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

若林 宏美

プロフィール

わかりやすいエピソードが入っていて、とても良い志望動機だと思いました。

ただ、インターン先=志望する会社なら良いのですが、違う場合は「本命ではないのだろう」とうがった見方をされる可能性がある点も心に留めておいてください。

④ 技術開発職

技術開発職の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、技術開発職として建設業界に革命をもたらし、効率性と安全性を高めたいと思ったからです。

大学では機械工学を専攻し、ゼミではロボットの研究をしていました。研究プロジェクトでは、ロボットアームを使用した自動化技術の開発に取り組みました。

そして、御社にOG訪問をさせていただいた際に、私が研究している分野の技術が導入されていることがわかりました。この経験から、私の大学時代の学習が御社でも活かせるのではないか、私も力になれるのではないかと思い、志望しました。

入社後は、大学時代の経験を活かして、建設業界のための新しい技術の開発に取り組みたいです。AIやロボットなどの技術を活用して、建設現場の自動化や効率化に貢献したいと考えております。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

降幡 美冬

プロフィール

自身の専門性を強みとしてアピールできている素晴らしい志望動機ですね。

さらに、自動化や効率化で安全性を高め、建設業界にどのような革命を起こしたいのかを具体的に示すことができると、より一層良い内容になると思います。

⑤ 営業職

営業職の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、御社の営業職向けの教育・研修を活用して成長し、顧客にとって最適なソリューションを提案したいと考えたからです。

このような考えに至った背景には、大学時代のインターンシップの経験があります。

リフォーム会社で営業アシスタントとして働いていたのですが、顧客のニーズを深く理解し、それに合わせた提案をすることに難しさを感じていました。一方で、提案がハマったときのやりがいは非常に大きいものでやりがいを感じました。インターン期間中も経験を積むことで、私の提案内容に関して顧客から高い評価を得ることもできました。

とはいえ、まだまだ成長過程にあることは承知しております。御社は営業にも技術職レベルの知識を持てるように教育に力を入れていると伺いました。私も研修を経てさらに営業職として成長し、顧客にとっての最適なソリューションを提供できるようになりたいと考えています。

御社に入社後は、顧客の要望を的確に捉え、御社の技術力を駆使した提案で、案件の受注に貢献したいと考えております。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

木村 千恵子

プロフィール

研修を受けてしっかり学びたいという意欲がよく伝わる点が良いと思います。

提案がハマったときはどのような提案だったのか、もう少し具体的な提案の内容がわかるように書けると、より説得力が感じられます。

⑥ 事務職

事務職の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、事務職として御社が取り組む業界最大級の現場の場合でも円滑な進行ができるようサポートしたいと考えているからです。

このような考えに至った背景には大学時代のボランティア活動があります。その際、計画、物品の管理、予算管理など、事務的な作業をおこなっていました。大規模だったのですが、これらの管理が功を奏し、プロジェクトは成功することができました。

この経験から、事務作業の重要性と、事務作業がプロジェクトの成功に大きな影響を与えることを学びました。そして、大規模なプロジェクトが成功することのやりがいや感動も味わうことができました。

御社は業界最大級の規模の現場を持つことで知られています。私も事務職としてその一員になり、大規模な現場を陰からサポートしたいと思っています。

入社後は、ボランティアなどの経験を活かして、業務の効率化、予算の管理、資料作成などに取り組み、現場のスムーズな運営をサポートできるように努めたいと考えております。

就職支援のプロからの評価とアドバイス

若林 宏美

プロフィール

この志望動機を読んだときに、面接官によっては「いろいろな業種に同じ内容の志望動機を送っているのかもしれない」と思われてしまう可能性もあると感じました。

事務職になりたい意思は伝わってくるので、建設業界を志望する具体的な動機について、しっかりと落とし込んで練り直してみるとより良くなると思います。

ほかの業界の事務職の志望動機と見比べたい人は、以下の記事も併せて確認しておきましょう。
例文20選|事務職の志望動機を職種別・業界別に徹底解説

3つのコツを踏まえた説得力のある志望動機で建設業界の内定をつかもう!

建設業界は、企業によって扱う技術が異なったり、さまざまな職種があったりします。そのため、それぞれの特徴を押さえたうえで志望動機を作らなければ、どの企業でも言える内容になり、印象に残りづらくなる可能性があります。

その企業にしかない価値を盛り込むためにも、この記事で解説した3つのコツを含めた志望動機を作成することを意識しましょう。うまくまとめられない人は、紹介した職種別の例文も参考にしてみてくださいね。

コツを押さえて説得力のある志望動機を作成し、建設業界の内定をつかみましょう。

アドバイザーコメント

建設業界は課題も多いからこそ若い人材にチャレンジしてほしい

地球の温暖化が進み、世界各国で自然災害などが発生している中で、歴史的で巨大な建造物も、大雨や津波などが襲えば一瞬のうちに流されてしまうかもしれません。

これからの建設および建築物にかかわる企業は、少ない人材でいかに効率的に現場を管理して、災害に強く地球と人にやさしい建築物を作るか、という課題に真剣に取り組んでいかなくてはなりません。

建設業界は若い人材から敬遠されがちな、厳しい作業環境の現場も珍しくありません。しかし将来を担う若い皆さんが、地球と人にやさしい未来に向けて現場の課題を解決する努力ができれば、建設業界はダイバーシティ化も進み、誰にとってもより働きやすい業界に変わることができます。

志望動機では建設業界の未来への思いを素直に語ろう

皆さんには建設業界の未来を担う人材として、古き良き伝統を守りつつ新しい技術開発に果敢にチャレンジし、柔軟な発想でより良い業界の未来を切り開いてほしいと思います。

日本の将来を思い、建設業界で活躍して貢献したいという気持ちがあるなら、志望動機にその思いを込めて率直に伝えるようにしましょう。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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