この記事のまとめ
- 介護職の仕事内容と施設別の特徴を把握しよう
- 4ステップで魅力的な介護職の志望動機を作れる
- 介護施設別の6つの志望動機例文を紹介
介護業界の需要が高まるなか、介護職を目指す人も増えています。しかし、いざ介護職の志望動機を書くときに、「そもそもどう書けば良いのかわからない」「どんなことをアピールすれば良いのだろう」と悩みや疑問を持つ人もいるでしょう。
介護職は誰にでも務まる仕事ではないため、志望動機は重要な要素となります。介護職における志望動機を考える際は、介護という職種の特性上、現状の課題や将来性も見据え、自分とのマッチ度を測ることがポイントです。
そのためにも、企業分析や自己分析により、企業や自分自身についての正しい理解が欠かせません。
この記事では、キャリアコンサルタントの永田さん、柴田さん、桒田さんのアドバイスを交えつつ、介護業界の志望動機の書き方や例文を紹介します。効果的にアピールした志望動機で内定をつかみましょう。
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介護職は業界の現状や将来性も見すえた志望動機にしよう
介護業界は今後も需要が伸びていくことが予想されます。介護職は、今後の将来を見すえたキャリアアップも望める仕事です。
介護の仕事はやりがいや魅力がある分、仕事への適性も問われます。そのため、志望動機では、業界や仕事への理解を示し、適性をアピールすることがポイントです。
そこでこの記事では、まず介護職の仕事内容や施設ごとの特徴を解説します。志望動機でアピールできる資質や盛り込むべきポイントもチェックできますよ。
そのうえで介護職の志望動機の書き方を4ステップで解説するので、自然な流れに沿って書くことで、あなたの魅力や熱意を伝えましょう。
最後に、志望施設ごとの志望動機の例文を6選紹介します。介護業界や仕事への理解度、自分の適性を十分に示したうえで、あなたならではの志望動機を作成して選考突破につなげましょう。
介護職の志望動機の作成方法や、面接での質問の答え方については以下の記事でも解説しているので、あわせて確認してみてくださいね。
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志望動機の作成前に全体像をつかもう! 介護職ってどんな仕事?

介護職は、利用者が日常生活を送るなかで必要なサポートをする仕事です。
介護職の仕事は、直接利用者の身体に触れながらお世話をする「身体介護」と、日常のサポートをする「生活援助」の大きく2種類に分けられます。
一般的には「身体介護」が中心になりますが、介護をするだけでなく、介護における家族の負担の軽減を図る役割も担っています。まずは介護職の仕事内容やキャリアについて、詳しく見ていきましょう。
介護職の仕事内容
介護職の仕事内容
- 生活援助
- 身体介護
- レクリエーション
介護職は、要介護者や要支援者に対して、日常生活における必要なサポートをする仕事です。たとえば、虚弱や寝たきりの人、認知症や持病がある人、障害者など、介助が必要な高齢者の生活援助や身体介助をおこないます。
介護の仕事は、直接身体に触れながらお世話をする、身体介助が中心です。
介護職が携わる介護サービスには、居宅サービスと介護サービスの2種類があります。居宅サービスは生活全般のサポートをするため、幅広い業務内容をこなさなくてはなりません。
まずは介護の現場ではどのような仕事があるのかについて把握することが大切です。介護の仕事は、おもに以下のような業務をおこないます。それぞれについて具体的に見ていきましょう。
①生活援助
生活援助とは、掃除や洗濯、買いもの、調理、ベッドメイク、衣服の整理、薬の受け取りなどの日常生活の家事を、介護スタッフが利用者に代わり介護の視点でおこなう、家事代行サービスのことです。
利用者や家族が家事をおこなうことが困難な場合に、介護スタッフが代行します。身体介護と違う点は、あくまで日常生活のサポートであり、利用者の身体には触れない形で実施することです。
作業範囲は利用者宅により、さまざまです。原則として各家庭にあるものを使用したサポートをおこないますが、家庭によりその方法は異なります。
それぞれの利用者宅の利用方法を把握し、臨機応変に対応する能力や、一般的な家事が問題なく、スムーズにおこなえる能力が求められます。
一般的なレベルの家事でおこなう基本的な仕事が生活援助になります。業者のような細かく高度な質を求められるということはありません。しかし、各利用者ごとの決まりやルールなどがあるので常に配慮して業務をおこなう必要があります。
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②身体介護
身体介護とは、利用者の身体に直接触れて、身の回りの世話をすることをいいます。日常生活において単独では難しいと判断した際にサポートする業務です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
身体介護のおもな種類
- 食事介助:調理や摂食、口腔ケアなど
- 入浴介助:入浴の準備、全身や部分浴の補助
- 排泄介助:トイレでの補助、オムツの着脱や交換、排泄物の処理
- 清拭(せいしき):入浴ができない場合などに身体を拭く
- 更衣介助:着替える際の衣服の着脱
- 体位変換:血行障害や床ずれ防止を目的とした寝返り補助や姿勢変更
- 移動や移乗介助:歩行時の支えや車いすの操作など
- 服薬介助:服用薬の準備や服用の確認など
身体介助は、個々の状態やニーズに応じて最適な方法でおこなうことが求められます。
- 体が小さくハンデがあると感じますが、身体介助はできますか?
体の使い方を覚えたり周囲と協力したりしてハンデを乗り越えよう
体が小さいことは有利にはなりませんが、ハンデにならないよう工夫することはできます。力が必要な作業には効率的におこなえるコツがあるため、そのコツをつかむことで体格の差をなくせるよう学ぶことを意識してみましょう。
とは言えこれには限度がありますよね。しかし、介護の仕事はチームで取り組む場合もあります。
特に施設内の介護は病院の看護のように複数人でおこなえるのです。このようなタイプの仕事であれば、自分の苦手な職務を同僚と分担して助けあうことができるでしょう。
介護の仕事は非常に幅が広く、さまざまな形でおこなわれているので、必ずあなたに合う職場が見つかるはずです。体格のハンデを理由にあきらめてしまうのはもったいないです。それでも介護職を目指したいという情熱は必ず通じるでしょう。
③レクリエーション
施設におけるレクリエーションを企画、運営するのも介護スタッフの仕事です。レクリエーションは、利用者のQOL(生活の質)とADL(日常生活動作)の向上、利用者の生きがいや満足度アップにつながります。
脳機能や身体機能の活性化、コミュニケーションのきっかけづくり、認知症の予防など、さまざまな効果が期待できるでしょう。
レクリエーションをする際は、利用者に楽しい時間を過ごしてもらえることが大切です。そのためには、すべての利用者にわかりやすい進行をしたり、誰でも気軽に参加できるような企画や、レクリエーションを楽しく盛り上げる演出をしたりなど、工夫をこらす必要があります。
利用者はもちろん、進行している介護者も楽しめるものが望ましいとされています。
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介護職のキャリア
介護職では、専門的な知識や技術を身に付けることで持っている能力を向上させ、キャリアアップしていくことも可能です。介護職でキャリアを積む方法としては、以下のようなものが挙げられます。
介護職でキャリアを積む方法
- 新たな資格取得を目指す
- 高度な資格を取得する
- 管理職などの役職を目指す
- 経験を活かして他部署に異動する
新たな資格や高度な資格を取得することで、職場内での立ち位置や任される仕事は変わってきます。たとえばケアマネージャーや社会保険労務士の資格であれば、介護計画の立案といった重要な仕事を任されたり、家族との折衷などの幅広い業務を任されることも出てくるでしょう。
介護福祉士の資格取得を無資格から目指すキャリアパスや、5年以上介護職を経験したのち介護福祉士の資格を取得するなど、新たな資格に挑戦する道もあります。
また、現場で経験を積んで管理職などの役職を目指すことも可能です。それまでの実務経験から現場目線の提案や意見などは、業務の改善にも役立ちます。
ほかにも他部署へ異動することで、違う分野で介護の経験を活かして活躍することも、キャリアアップの一つです。
入職する前から大学や専門学校などで知識を学び、介護初任者研修資格を取得している人もいます。
一方で未経験者を受け入れる職場もあるため、介護助手をしながら資格取得を並行しておこなう人も少なくありません。経験を積めば介護支援専門員や管理職を目指すといったキャリアパスもあります。
入社後の将来像を考えておくことは、理想のキャリアを歩むために重要です。こちらの記事ではキャリアビジョンの描き方を解説しているので、併せてチェックしてみましょう。
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介護職の志望動機で重要! それぞれの施設の特徴を把握しよう
介護職の志望動機で重要! それぞれの施設の特徴を把握しよう
- 入居・宿泊タイプの介護施設:一人ひとりに丁寧なケアができる
- 施設に通うタイプの介護施設:健康な生活のためのサポートができる
- 自宅に訪問するタイプの介護施設:地域に密着して活躍できる
- 相談タイプの介護施設:介護のプロとして相談に乗れる
高齢者が入所する施設を一般的に老人ホームと呼びますが、種類はたくさんあります。おもに公的施設と民間施設の2種類に大別されますが、入居者の介護度や費用、認知症の有無などにより、さまざまなタイプの施設に分類されます。
介護職の志望動機を書く際は、志望施設に合わせた内容にすることが大切です。仕事内容や求められる力は介護施設によって異なるため、施設ごとの特徴を押さえる必要があります。ここでは、それぞれの介護施設の特徴について見ていきましょう。
入居・宿泊タイプの介護施設:一人ひとりに丁寧なケアができる
入居・宿泊タイプの介護施設はおもに以下のとおりです。
入居・宿泊タイプの介護施設
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム
- 短期入所生活介護
- 小規模多機能型居宅介護
食事の提供や生活相談、見守りや安否確認は、どの施設でも共通して受けられるサービスです。介護保険サービスとなる身体介護や生活援助などは、個々の希望や必要に応じて対応しています。
施設によっては、介護スタッフが24時間365日常駐していて、生活相談員やケアマネージャー、看護職員といったそれぞれの分野の専門職員がそろっているため、手厚いサービスを受けることができます。
施設が何を目的として運営しているのか、どの程度の介護度の人を対象としているのか、またどのような経営理念を持っているのか、運営会社の規模や経営主体はどうなのか、といった点を調べ、自分の希望と合うところを選びましょう。
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志望動機で困ったら、まずはツールを活用してみましょう。
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施設に通うタイプの介護施設:健康な生活のためのサポートができる
施設に通うタイプの介護施設には以下のものがあります。
施設に通うタイプの介護施設
- デイサービス
- デイケア
デイサービスは、利用者が自宅で自立した生活を過ごせるよう、食事や入浴などの支援を中心に、日常生活の介護に注力したサービスです。
また、レクリエーションによりコミュニケーションを図れるため、孤独感も解消されやすく、通うことで心身の健康の維持や向上が期待できます。
またデイケアは、身体機能や日常動作、認知機能の維持や改善を目的に、リハビリや食事、入浴、排泄などの支援やレクリエーションを受けることができるサービスです。
医師や看護師が常駐しているため、安心してリハビリに取り組めるよう医療的ケアの対応や専門職のリハビリに力を入れています。
自宅に訪問するタイプの介護施設:地域に密着して活躍できる
自宅に訪問するタイプの介護施設には、以下のようなものがあります。
自宅に訪問するタイプの介護施設
- 訪問介護事業所
- 訪問入浴事業所
- 訪問看護事業所
- 訪問リハビリ事業所
- 夜間対応型訪問介護事業所
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所
訪問介護とは、老人ホームなどの施設に通わずに、自宅で介護することです。住み慣れた家や、慣れ親しんだ土地で過ごすことで、本人の精神面への影響を減らし生活の質を維持することができるため、利用者にとって好ましいとされています。
自宅を訪問したホームヘルパーが、食事や排泄、入浴などの身体介護や、掃除や洗濯、買いもの、調理といった生活援助をおこない、事業所によっては通院などを目的とした乗車や移送、降車の介助をおこなうこともあります。
訪問型の介護は現段階でもすでに事業所は多く、今後も変わらず必要となってくる仕事といえます。
施設に比べて介護職員が一人で対応することが多いため判断力が求められますが、その分スキルアップにもつながるでしょう。
相談タイプの介護施設:介護のプロとして相談に乗れる
相談タイプの介護施設には以下があります。
相談タイプの介護施設
- 居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所とは、要介護認定者に対して、自宅で自立した生活を送るために居宅サービス計画書となるケアプランの作成やサービス調整をおこなう事業所のことです。
居宅サービス計画書は、介護支援専門員であるケアマネージャーが本人や家族の心身の状況や生活環境、希望に応じて作成します。ケアプランに沿ったサービスが提供されているか見直しをし、必要であれば各事業所や関連機関と連絡を取り合い、調整することもおもな業務です。
居宅支援は、ケアマネジメントといわれる支援の一つであり、介護が必要な人へ最適な支援を受けられるように手続きをする介護保険給付対象サービスになります。
- 介護職の志望動機を作成する際は、施設ごとにどんな点に着目すべきでしょうか?
利用者を募るためにあるその施設の強みや魅力に着目してみよう
介護施設は経営方針・運営方法・施設の規模・スタッフの体制など、どれ一つとして同じものはないといって良いでしょう。
それだけに、志望する施設の状況は必ず詳しく調査し、見学やインターンシップ、OB・OG訪問などを活用し、施設の実態に合った志望動機を作成することが重要です。
また、施設には必ず利用者を集めるためのPRポイント、一押しポイントとも言うべき点があります。
その点が実際の施設にどのように反映されていて、利用者の利便性にどう寄与しているか、スタッフとしてそこにどう取り組んでいくつもりか、どのようにさらに展開していくつもりかにも言及できると良いでしょう。
理解するとさらに差がつく! 介護職の現状と将来性をプロが解説
需要の高まりや将来性も期待されている介護職ですが、ほかの応募者と差をつけるためには、より深い業界への理解が求められます。
そのため、市場で聞かれる情報にとらわれずに、実態を把握することも大切です。そこで就活支援のプロであるキャリアコンサルタントの柴田さんに、実際の介護職の現状と将来性について聞いてみました。介護職に対して不安や疑問を感じている人は、参考にしてみてください。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る介護職はさまざまな大変さはあるものの業界としての将来性は高い
日本は少子高齢化社会に突入していて、また非婚社会で子どもを持たない人も増えました。だからこそ老後は介護施設に頼らざるを得ない人が激増しています。そのため、国や自治体の高齢者、要介護者に対する施策も急速に充実してきているのです。
こうした状況から介護業界は将来性があるといえるでしょう。
しかし、その将来性や安定だけで選ぶと決して長続きしないのが介護業界でもあります。利用者の介助業務はさまざまなツールが開発され、かなり軽減されてきましたが、まだまだ体力勝負な仕事も多いです。
また、認知症などの症状で、ときにはかなりひどい言葉をスタッフに投げかける利用者もいます。こうした現実もしっかり把握し納得したうえで志望するようにしましょう。
介護職ならではの良さもたくさんある! やりがいを見出し就職を目指そう
とはいえ、介護業界ならではの良い点もたくさんあります。さまざまな仕事に就いた後に介護職に転じた人が「今までの人生で、こんなに誰かからありがとうと言われたことはなかった」とコメントしていました。
また、日々お世話をしている利用者から、息子・娘のようにかわいがってもらったというスタッフの声も聞いたことがあります。人と人との温かい触れ合いが日常的にある介護という仕事に、やりがいを持って頑張ってほしいです。
志望動機につなげよう! 介護職のやりがいと大変な面
介護は高齢者と触れ合うなかで、直接感謝してもらえたり、利用者の状態が回復していく様子を見ることができたりします。利用者の役に立てている実感が湧くため、社会貢献ややりがいを感じやすい仕事です。
志望動機では、仕事のやりがいはもちろん、大変な面も考慮したうえで、介護職に携わりたい思いを伝えることが大切です。ここでは、介護職のやりがいと大変な面について、それぞれ見ていきます。
介護職の魅力ややりがい
介護職の魅力ややりがい
- 経験や年齢問わずチャレンジできる
- 働き方が選べて安定して働きやすい
- 直接利用者に感謝される
- 同じ目的に向かって働く仲間がいる
- 社会貢献につながる
介護職を志望する際は、仕事内容を正しく理解することも大切です。介護は誰もができるような楽な仕事ではありません。
介護の仕事には、汚れたオムツの処理や食べこぼしの掃除など、抵抗を感じやすいものも含まれます。それでも、介護の仕事にやりがいを感じ、笑顔で高齢者のサポートをしている人も多いです。その理由は、介護の仕事にやりがいや魅力を感じているからにほかなりません。
介護の仕事での高齢者のサポートを通して、魅力ややりがいを実感することで、素晴らしい仕事だと気づくことができるかもしれません。では、介護の仕事には具体的にどのような魅力ややりがいがあるのでしょうか。詳しく見ていきます。
経験や年齢問わずチャレンジできる
介護の仕事は、経験や年齢を問わず挑戦できます。介護福祉士やケアマネージャー、社会福祉士などへキャリアアップすれば、職場の選択肢が増える可能性が考えられます。
子育て世代や中高年世代も含めて、あらゆる世代が働きやすいです。介護業界では、年齢もあまりハンデにならないため、40代・50代の職員の割合も多く、60代で活躍している人も珍しくありません。
実際、厚生労働省による令和3年度労働実態調査では、平均年齢は47.7歳となっていて、若い世代だけでなく、年齢が上の世代の人も多く働いていることが予想されます。心身が健康であれば、高齢になっても現役で働き続けることができるのが大きな魅力です。
- 「手に職がつく」という理由を介護の志望動機にするのはありでしょうか?
この先も長く介護職で勤めたいという意欲としてアピールできる
私が個人的に思うところでは「あり」だと思います。それを志望動機とする利点としては「長く勤めてもらえそうだ」という印象を持ってもらうことができるからです。
手に職をつけたいと考える人の思考として「自分の人生の仕事として考えている」ということがあるかと思います。
そうすると、長い目で見て職業をとらえているという印象につながり、人手不足の介護業界にとっては好印象になるでしょう。
一見、自分のことだけしか考えていないように思えるかもしれませんが、介護の仕事を前向きに考えているように映るので良いと思います。
働き方が選べて安定して働きやすい
介護職は、多様な働き方ができるのも魅力です。介護サービスをおこなう事業所はさまざまな場所に立地していて、働きやすい職場を選べます。
また雇用形態も、正社員やパートタイマーなどさまざまで、家事と育児を両立させながら、都合に合わせた勤務日や時間帯で働ける職場も多いです。
仕事がハードで夜勤があるなど、時間の融通が利かないイメージがあるかもしれませんが、実際はそうでもありません。デイサービスなどに勤務すれば夜勤はなく、老人ホームや介護施設でも、日勤だけという働き方も可能です。手当がつくので、あえて夜勤専門で働く人もいます。
保育園が併設されているなど、子育てをしている女性でも働きやすい環境が整っている施設もあります。
数カ月前にシフトが組まれるので、通院や子どもの学校行事などに行きやすい点はメリットですね。また、介護や病気、けがなどで長期間休まなければならないなどの事情にも柔軟に対応してくれるところも少なくありません。
こちらの記事では介護職以外の安定した職業をまとめています。安定性を重視している人は参考にしてみてください。
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直接利用者に感謝される
介護職は、利用者に直接「ありがとう」と言ってもらえる仕事です。介護者の多くは感謝を励みに、日々の業務に取り組んでいます。介護の仕事は、体力面や精神面に負担がかかる場面も多く、つらく感じることもあるかもしれません。
しかし、利用者やその家族からの感謝やねぎらいの言葉を受けることで、大きなやりがいを感じることができるのも、介護の仕事の醍醐味です。
また、何気なくおこなう動作も要介護者にとっては難しいものです。利用者のなかには、「以前のように動きたい」など、目標を持っている人もいるため、その思いや希望に寄り添い、間近で支えて苦楽をともにします。一緒に過ごす時間が長い分、感謝される機会も多いのかもしれません。
介護職は感謝される仕事の代表例といえますが、ほかにも人の役に立つ仕事は多くあります。こちらの記事で45選を紹介しているので気になる人はチェックしてみてください。
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同じ目的に向かって働く仲間がいる
介護の仕事は、複数のスタッフが協力し合い、対象となる要介護者を支える仕事です。それゆえ、お互いに助け合い、支え合うチームワークが重要になります。
利用者の回復具合や進行度など、思うような結果が出ないこともあるかもしれません。ですが、各スタッフが専門知識や技術を補い合うことで、その壁を乗り越えられることもあります。同じ目的を持った仲間がいることは心強いです。
何かあったとしてもフォローし合える環境にあるため、不安や疑問があっても、無駄に思い悩まずに解消できるのがメリットです。ともに励まし合い、支え合いながら、仕事に取り組めます。
仕事仲間との一体感は介護業務を遂行するうえで、大切な要素です。同じ目的を持つ仲間と一緒に励まし合い、支え合って仕事すれば、自己成長にもつなげられます。仕事仲間との一体感は業務を遂行するうえで、欠かせません。
社会貢献につながる
介護職は、要介護者の生活をサポートするのが仕事の中心です。社会全体が必要とする介護サービスの専門家としての役割を担っています。学んだ専門知識や技術を活かして業務にあたることで、要介護者の支援をすることが可能です。
介護者のサポートにより要介護者の自立が進めば、社会福祉にかかるコストを引き下げられるといったメリットもあります。介護職は健全な社会を築くうえで、さまざまなニーズの人々の生活を支援し、安心安全な環境の提供を可能にする仕事です。
利用者やその家族、さらには周りの人々のQOL向上はもちろん、社会貢献につながる重要な役割を果たせます。
- 「社会貢献」を介護の志望動機にしたいのですが、ありきたりでしょうか?
自分が考える社会貢献とは何かを明確にできればありきたりではなくなる
社会貢献を志望動機にするのはありだとは思います。ただ、言葉だけで社会貢献というだけでは信頼性も乏しく、いささかありきたりな気もしますね。
どんな仕事でも社会貢献になり得、介護業は社会貢献という意味においては社会的にも課題とされていることから誰もが動機に選択する可能性が高いです。
社会貢献など多くの人と同じような動機にするようなときは、少しアレンジを加えると良いでしょう。
その企業や団体がどんな理念を掲げて運営しているのか、利用者のことをどのように考えているのか、その辺りをしっかり理解したうえで、自身が考える社会貢献はどのようなものかを表現することが重要です。
介護職の苦労や大変な面
介護職の苦労や大変な面
- 体力勝負の仕事でもある
- 夜勤に抵抗がある人は難しい
介護は魅力ややりがいがある仕事ですが、苦労が多く大変というイメージも抱かれやすいです。介護職を目指す人のなかには、不安を感じる人もいるかもしれません。
大変だと感じることの理由として挙げられるのが、体力的、精神的負担が大きいことです。慣れるまでは仕事がつらいと感じる人も多く見られます。介護職で苦労や大変さを感じる点として、次のようなことが挙げられます。
体力勝負の仕事でもある
介護職の仕事は体力的に楽とは言えません。特に身体介護では要介護者の移動を支えたり、車いすの移乗や入浴の手伝いをしたりするなど、一定の体力を必要とします。
場合によっては自分よりも身体の大きな利用者を支えることもあるため、足腰が丈夫であることは必須条件です。足腰に自信がない場合は、下肢や体幹を鍛えておくのも良いかもしれません。
また、人手不足の職場は一人当たりにかかる業務量が増えるため、負担が大きくなることがあります。介護職は身体介護や生活援助、レクリエーションの準備、事務作業など、業務は多岐にわたります。
業務の幅が広くなれば、精神的な疲労もたまり、体力的にきついと感じやすくなるでしょう。
夜勤に抵抗がある人は難しい
特別養護老人ホームや老人保健福祉施設などの入所型介護施設では、24時間体制で利用者の介護やケアをおこないます。そのため、施設で介護職として働く場合は、夜勤をともなった不規則なシフト勤務も想定されるでしょう。
夜勤の仕事は、長時間拘束されることや昼夜逆転しての勤務により、生活リズムが乱れるため、体力的に厳しいと感じやすいです。特に夜勤を一人で対応する職場は、利用者全員の見守りや緊急時の対応をおこなうため、その負担はかなり大きくなります。
体力面だけでなく、精神的なストレスや疲労もたまりやすいため、夜勤に抵抗がある人は、日勤専従を希望したり、はじめから夜勤のない職場を選んだりする必要があります。
介護職の仕事自体がきついと感じてしまう人は、以下の記事を参考にあらかじめ対処法を知っておくことをおすすめします。
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「仕事がきつい……」という状況を放置すると、過労死や心の病気につながる恐れがあるので注意が必要です。この記事では、「仕事がきつい」と感じたときの対処方法について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。
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夜勤には休憩時間もありますが勤務の緊張感から完全には解放されません。肉体的なストレスは慣れで何とかなっても、精神的ストレスには特に気を付けるべきですね。
また夜勤の翌日は休みという場合が多く、自由な時間の使い方ができる点を気に入る人もいます。
志望動機でアピールしよう! 介護職で求められる6つの資質
志望動機でアピールしよう! 介護職で求められる6つの資質
介護職に就く場合、特別な能力や条件は求められません。しかし、どんな仕事にもあるように、介護職にも向き不向きはあります。
介護業界で重視されるのは、介護の知識や技術よりも、協調性やコミュニケーション能力、洞察力、共感力などです。知識や技術はあとから勉強できますが、協調性やコミュニケーション能力は一朝一夕には身に付きません。
ここでは、介護業界で求められる6つの資質について具体的に見ていきましょう。
①人とかかわることが好き
誰とでもすぐに仲良くなれる明るい性格の人は、介護職に向いています。基本的に人とかかわるのが好きなので、コミュニケーションを通じて人と人をつなげたり、困っている人を自然な流れでサポートしたりすることができます。
利用者や一緒に働くスタッフとも良好な人間関係を築くことができるため、仕事も円滑に進められるでしょう。ここで言うコミュニケーション能力とは、正確に情報共有ができる能力のことです。
介護では、利用者や家族のことで気になることは、スタッフ同士でこまめに情報共有し、チームで対応する必要があります。そのため、コミュニケーション能力に長けていることは、介護職においても重要な要素になるのです。
自分と高齢者とのかかわりのエピソードなどはわかりやすくて良いと思います。
具体例として「祖母(祖父)に自分が顔を出すといつも喜んでもらえた。高齢者の人とかかわることが好きなので自分のサポートで笑顔になってもらいたい」などといった体験談を織り込んでいくと良さそうですね。
選考でコミュニケーション能力をアピールしたい人はこちらの記事もおすすめです。効果的な伝え方を例文付きで解説しています。
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②相手のことを思いやれる
介護の仕事では、常に利用者を思いやる気持ちを持って接することが求められます。利用者のサポートをするうえで、信頼関係の構築は不可欠です。
信頼関係を築くためには、利用者の話を傾聴し、相手のペースに合わせて寄り添うことが大切です。現場では時間に追われてしまい、機械的な態度を取ってしまうこともあるかもしれません。
慌ただしいなかでも、できる限り一人ひとりの利用者の気持ちを汲み取った対応を意識しましょう。「あまり話を聞いてもらえない」という印象を与えてしまえば、利用者からの信頼を得られなくなってしまいます。
お互いが気持ちよく過ごすためにも、思いやる気持ちや、心の余裕を持って接することが求められるのです。
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③周囲の変化によく気がつく
周囲への配慮ができることも、介護職に求められます。人の顔色や表情、仕草からいつもと違う様子に気付けることは、介護するうえで必要な資質です。
小さな変化に気付ける洞察力があることも、介護施設で働く際に役立ちます。空気を察して柔軟な対応ができるため、スムーズにサポートすることが可能です。
また洞察力があることで、利用者が安全に過ごせるよう、事故を未然に防ぐこともできます。たとえば、歩行が不安定な人への転倒リスクに留意し、床が濡れていないか確認する、食事の際は利用者の姿勢や飲み込みが適切かなどの、細やかな配慮は必須です。
特に会話がうまくできない人への介護は、日常の観察眼が役立ちます。
④気長で辛抱強い
利用者のなかには、言葉がうまく出ない人や認知機能の低下によりコミュニケーションが取りにくい人もいます。
感情を抑えられずに怒りっぽくなることや、自分の居場所がわからずに不安を感じることもあるかもしれません。どんな場面においても、感情的にならずに話にじっくり耳を傾け、冷静な判断や対処をすることが求められます。
そのためには、利用者それぞれの状況をきちんと把握し、相手の立場に立って考えることが大切です。たとえミスをしたとしても、起こってしまったことを責めたり、必要以上に落ち込んだりせず、繰り返さないための施策を前向きに考えられることが、介護職に求められる資質だといえます。
辛抱強い人は、「忍耐力がある」「粘り強い」とも言えます。以下の記事でそれぞれ選考でのアピール方法を解説しているので、併せて活用してみてください。
忍耐力の自己PR
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粘り強さの自己PR
例文11選|粘り強い性格の自己PRで知らないと損する注意点
- 人とかかわることは好きですが、辛抱強さが足りないと感じます。その場合でも、介護の仕事が務まるでしょうか?
自分の改善すべき点を理解できているのであればあとは行動するのみ
辛抱強さというのは若い頃から身に付いている人は少ないものです。社会に出て実務経験を重ねるなかで体得していくものと考えて良いでしょう。
あなたは介護職に辛抱強さが必要と認識していて、自分には辛抱強さが足りないと自覚しています。
人には必ず長所と短所があり、長所を伸ばし短所を補うことができるのはそれを自覚していることが大前提として必要なのです。
その素養がすでに備わっているのであれば、きっと介護職の経験のなかで成長することができるでしょう。その謙虚で真摯な姿勢を失わないように研鑽していってください。
⑤体力がある
介護の仕事に欠かせないのが、体力です。介護の仕事は利用者を抱える、支える、持ち上げるといった動作が必須であるため、毎日元気に働ける体力や健康であることが条件になります。
そのため、体力に自信がある人や運動が得意な人、夜勤や早番、遅番などの不規則勤務がこなせる人や、足腰が丈夫で疲労の回復が早い人に向いています。
介護職は不規則勤務が多く、生活リズムや体調が乱れやすいです。ストレスや疲労がたまりやすいため、体力に自信がない人は、筋トレやストレッチなどをして、体力作りをすることも大切です。
⑥常に学びを得ようとする
介護の仕事では、向上心を持ち、学びを得ようとする姿勢を持った人に向いている仕事です。利用者の心身の状態には個人差があるため、個々に適した対応が求められます。
利用者の生活にかかわる身体介助や生活支援を滞りなくおこなえる必要があり、介助業務以外にも細々とした覚えるべきことはたくさんあります。利用者の身体の扱い方、自分自身の身体の使い方、さまざまな福祉用具の使い方などに関しても、基本的な知識や扱い方のコツ、介護者としての心構えを持っておくことが大切です。
また、わからないことは積極的に先輩に質問したり、研修に参加したりと、常に学びの姿勢を忘れないことで、自信を持って仕事に臨めるようになります。
向上心をアピールしたい人は、こちらの記事も必見です。例文12選とともに差別化のコツを解説しています。
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介護は身体を使う仕事のため、体力があることはとても重要です。
どんなにコミュニケーション力があっても、気遣いができても、根本的に資本となる身体が丈夫でなくては続きません。ほかの人との差もつきやすいポイントなので、体力がある点はぜひ強くアピールしておきましょう。
介護職の志望動機で必ず盛り込むべき3つのポイント
介護職の志望動機で必ず盛り込むべき3つのポイント
- なぜ介護の仕事をしたいのか
- 志望先を選んだ理由は何か
- どのような強みやスキルを持っているのか
介護職は、介護を必要とする利用者の身体介助や生活援助をする仕事です。日々のサポートはもちろん、心のケアもおこなうため、思いやりやコミュニケーション能力、労働に耐えうる体力や精神力が求められます。
特に介護職では人柄が重視されるため、人間性がアピールできるエピソードを絡めて、志望動機を作成するのがポイントです。ここでは、介護職の志望動機に必ず盛り込むべき3つのポイントを解説するので、網羅して魅力的な志望動機を作成しましょう。
①なぜ介護の仕事をしたいのか
介護の仕事では、特に志を重視する傾向があります。利用者の健康や安全を守る仕事であるため、誠実で信頼できる人材を求めているためです。
また中途半端な気持ちでは、長期的に働くのが難しいと判断されてしまう可能性があります。なぜ介護の仕事をしたいのかを具体的な言葉で明確な根拠を伝えることが大切です。
「やる気は人一倍あります」「将来性に惹かれました」などといったありきたりな言葉や、曖昧な表現では、採用側の心には響きません。
志望動機を考えるにあたり、なぜ介護業界に行きたいのかを洗い出し、整理しましょう。その際、介護業界で働くことを決めたきっかけを盛り込むことで、説得力のある志望動機になります。
たとえば、「身体の不自由な祖母の介助をしてもらったときに、祖母に寄り添い親身に対応してくれた介護士さんの優しさに心を打たれました」のように、事実に基づいた出来事を伝えると独自性が出て説得力が増します。
昨今介護業界についてはさまざまな事例や問題が報道されています。
そういった番組や記事に触れた際に経験を自分の持つ考えや祖父母や父母に対する思いと結びつけるなど「自分事として」とらえて書いてみましょう。
②志望先を選んだ理由は何か
志望先を選んだ理由も盛り込むべきポイントです。入社後のミスマッチを防ぐために、企業への十分な理解があるか、施設で活躍してくれそうな人材であるかが判断されます。
介護業界のなかで、なぜその施設が良いのかを考えてみましょう。そのためには、志望先施設の理念や経営方針などをほかの施設と比較し、志望先施設の特色とマッチした内容にする必要があります。
たとえば、要介護度が高く、寝たきりの利用者が多い施設では、日々の生活援助スキルが求められます。自立度が高い利用者が集まるデイケアでは、リハビリスタッフとの連携が必要になるでしょう。
職場の良い点や気になる点を整理しておくことで、就職後にその施設で自分はどう働きたいのかがイメージでき、自分がやりたいことも明確になります。施設とのミスマッチを防ぐ観点からも重要です。
③どのような強みやスキルを持っているのか
これまで培ってきた経験から、介護の仕事に活かせる強みやスキルを伝えることも大切です。自己分析を深めるためにも、いったん強みやスキルの棚卸しをして、整理してみてください。
介護の仕事で自分に何ができるのか、どんなふうに活躍できるのかが見えてきます。たとえば介護職につながる身内の介護、ボランティアなどで培った経験から、介護職に適していると感じる具体例があれば盛り込んでみましょう。
介護の経験がない場合も、介護に対する思いや、その気持ちを仕事でどのように活かしていきたいのかを伝えるのも効果的です。志望先施設への興味関心を踏まえて、具体的な数字や経験談を記載することで、伝わりやすくなります。
就活のプロが解説! 介護業界で評価される志望動機とは?
「社会の役に立ちたい」「成長したい」など、よくありがちな志望動機だけでは、ほかの応募者と差別化しにくいです。では、介護業界ではどのような志望動機が評価されるのでしょうか。
就活のプロであるキャリアコンサルタントの永田さんに、評価される志望動機について聞いてみました。ありきたりな志望動機になってしまい悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る介護に対する熱意や考え方などが見える志望動機が評価されやすい
どの業界でもいえることですが、動機では「本気だと思える熱意」が伝わるかどうかというのが大事なポイントだと思います。
ほかの学生と同じような言葉を並べ立てて、どれだけ上手に志望動機を述べたとしても「その人らしさ」が伝わらなければなかなか採用には近づきません。「その人を採るべき理由」があってこそ内定が決まってくるのではないでしょうか。
まずは自分の考えや介護を目指した背景などを棚卸しして自己理解を深めよう
介護業界は特に人と密に接することが求められます。
特に顧客にあたる利用者やその家族は自分よりも年長者が多いわけなので、そういった人間関係のなかでもうまく立ち回れる特性があるか、介護という仕事自体をどのように考えているか、というその人独自の視点が採用において重視されるでしょう。
これまでの高齢者とのかかわりの体験談や、介護職を目指すにあたった背景など、オリジナリティのある内容をどんどん磨き上げてインパクトを残すことによって、印象に残る可能性は高くなってきます。
まずは自分の気持ちをしっかり棚卸ししたうえで自己理解を深めることが重要ですね。
介護職の志望動機が思いつかないときは? 企業分析と自己分析を深めよう
介護職の志望動機が思いつかないときは? 企業分析と自己分析を深めよう
- 施設に感じた魅力や独自性を整理する
- 施設の方針を調べて自身の方向性とマッチした点を探す
- 介護職で活かせる自分の強みや価値観を書き出す
- これまでの取り組みをエピソードとして掘り下げる
志望動機が思いつかないときは、企業分析と自己分析が足りていないことが考えられます。志望動機は、志望企業とのミスマッチが起こらないように、あなたの思いを明確に伝えるものです。再度企業や自分について深掘りし、志望動機を明確にする必要があります。
自分が志望先で何ができるのか、どう貢献できるのかを具体的にイメージすることが大切です。志望動機に悩んでいる場合は、ここから解説する点をヒントに企業や自己理解を深めてみてください。
志望動機がなかなか書けずに悩んでいる人は、こちらの記事もおすすめです。併せて参考にして書けない状態から脱しましょう。
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施設に感じた魅力や独自性を整理する
志望施設は「なぜほかの施設ではなく、志望先を選んだのか」の理由が、具体的かつ明確であるほど、採用側の心に響く志望動機になります。ありきたりな内容やどこにでも通用するような志望動機ではなく、志望先ではなくてはならない理由をしっかり伝えることがポイントです。
志望企業のホームページ(HP)や求人情報を収集して分析し、魅力を感じたのはどんなところか、志望施設ならではの特徴や独自性をまとめてみましょう。
求めている人材とその施設で働く自分像を照らし合わせてみることが大切です。希望する働き方ができているか、自分の持ち味を活かして活躍の幅を広げられているかなど、志望先の特色や魅力的に感じた部分と合わせて想像してみてください。
企業分析の仕方がわからない人に向けて、以下の記事でも詳しく解説しています。ステップに沿って進めてみましょう。
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企業分析には自分に合った企業が見つかるなどのメリットが多くあります。また集めた企業情報をうまく活用することで、就活を効率的に進めることができますよ。この記事では、企業分析の正しいやり方から効率化のコツまでキャリアコンサルタントとともに徹底解説します。
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- 企業の独自性を見いだせません……。どのように見つければ良いでしょうか。
働く環境の規模や介護スタイルなどに着目してみよう
サービス内容を比較してもどこも似たり寄ったりに見える、というのであれば規模感を比較してみると良いでしょう。
最大収容人数はどのぐらいで、常時何名ぐらいが利用しているのか、職員一人あたりで何名担当するのか、などを比べてみてください。そこからだいたいの働く環境はイメージできるはずです。
あとは大規模で設備が十分整っているなかでシステマティックに働くのが良いのか、逆に小規模な施設で利用者一人ひとりとじっくり向き合いながら仕事をする方が良いのか、などを検討してみるとおのずと志望すべき企業を見出せるでしょう。
施設の方針を調べて自身の方向性とマッチした点を探す
介護職は比較的就職しやすい業界ですが、誰でも良いわけではありません。志望企業の多くは、「将来貢献してくれる人材」や「施設にマッチする人材」を確保し、長く働いてもらいたいと考えています。
そのためには、志望施設の方針や求める人物像、歓迎される条件を探り、自分の資質や経験、スキル、将来のキャリアプランなどの方向性とマッチした点を探してみてください。
志望施設に必要な人材だと伝えられること
- 仕事におけるポジションや役割
- 介護の仕事で大切にしていることやとらえ方
- 将来どのような形で活躍できるか
- 志望先で挑戦してみたいこと
- これまでの経験を通して身に付けたことや資格
どんな仕事でどの強みを活かせるのか、職場でどんな働き方で役に立てるのか、志望施設に対する貢献度を具体的にアピールしましょう。志望先を選んだ理由やキャリアプランを伝えて働く意欲を示すことで、自分を採用することで得られるメリットを感じてもらうことが大切です。
会社への貢献をうまく表現できないと感じる人は、以下の記事を参考に、どう会社に貢献できるか掘り下げてみてください。
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面接で「会社に貢献できることは何ですか?」と聞かれた際や、自己PRや志望動機で貢献できることをアピールするとき、どのように貢献の仕方を伝えれば良いのか、キャリアコンサルタントとともに解説します。
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志望動機は、応募先の介護施設の方針とマッチしていることをアピールできれば、意欲的には映るでしょう。
しかし、ほかの学生も同じように企業理念や会社の方針を利用した自己PRを考えている可能性が高いので、印象に残ってもらえるように自分のエピソードを盛り込むなど、工夫する必要がありますね。
介護職で活かせる自分の強みや価値観を書き出す
介護職は慢性的な人手不足で常に人材を求めているため、人柄が重視されて採用に至るケースも多いです。たとえば、人とかかわることが好き、コミュニケーション能力が高いといった強みは介護職に活かせるため、仕事への適性があると判断される可能性があります。
そのほかにも介護職で活かせる強みがあれば書き出して、アピールすべきことをまとめてみてください。また、自分の価値観を整理し、志望施設の運営方針や考え方と合致するかも確認しておきたいポイントです。
介護職で活かせる強みや価値観の例
- 人とかかわることが好き
- コミュニケーション能力が高い
- 思いやりがあり世話するのが好き
- 人のサポートをしたい
自分の価値観とズレがあると、就職後に違和感を抱きやすくなります。ミスマッチを防ぐためにも、大切なプロセスになるため、丁寧におこないましょう。
自分の強みや価値観がわからない人は、自己分析が足りないのかもしれません。こちらの記事で分析のステップを丁寧に解説しているので活用してみてください。
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自己分析は就活の明暗を分ける重要なポイント。自己分析をするメリットや自己分析のやり方、注意点などをキャリアコンサルタントが解説します。自分に合った自己分析方法を見つけて選考や企業選びに活かしましょう。
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これまでの取り組みをエピソードとして掘り下げる
志望動機には、根拠となる理由があるはずです。その理由をこれまでの経験や事例を交えて、具体的に書きましょう。信憑性や信頼度が高くなり、よりあなたの思いが伝わりやすくなります。
これまでの取り組みのエピソードの例
- ボランティアや身内の介護経験
- 人とかかわる接客業などのアルバイト経験
- ボランティア経験
- 主体性を軸としたエピソード
主体性とは、自分の意思や判断に基づいて行動することです。介護の現場では、指示を受けるだけでなく、自分で考えて行動しなければならないこともあります。そのため、自分の人間性をアピールできるような主体性を軸としたエピソードを加えるのがポイントです。
エピソードを見つけたら、自分で考えて行動した結果を順序立てて伝えてみてください。実際のエピソードを盛り込むことで、強みを効果的にアピールできます。
過去の取り組みがなかなか思い浮かばない人は、「自分史」を活用するのがおすすめです。こちらの記事で具体的な書き方を解説しています。
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自分史を作成することで自己理解が深まり、自分に合った企業の見分け方が明らかになったり、選考での質問にも備えられます。キャリアコンサルタントとともに自分史の作り方や活かし方を徹底解説します。
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どんな志望動機もそうですが、エピソードを伝えるときには、それを聞いた人が頭のなかで再現ドラマを想像できるぐらい、具体的な場面設定をすると伝わりやすくなります。
いつ、誰が、どこで、何を、どのように、などを意識して書くようにしましょう。
介護職の志望動機の書き方4ステップ
志望動機の書き方4ステップ
- 志望した明確な理由を書く
- 自身の強みや志望企業への関心を伝える
- 入社後のキャリアアップのイメージを伝える
- 志望先とのマッチングポイントを伝える
介護職の志望動機を書く際は、採用側の視点に立ち、「採用側が見てどう感じるか」を念頭に置くことが大切です。採用側は、入社意欲が高いか、コミュニケーション能力があるか、長く働いてくれそうか、施設に貢献してくれそうかなどといった点を重視しています。
読む側の気持ちに配慮し、丁寧に仕上げることを意識してください。介護職の志望動機は、次の4つの手順に沿って書き進めることで、必要な情報を過不足なく盛り込みましょう。
志望動機の書き方に自信がない人は、こちらの記事もおすすめです。志望動機の基本的な構成を6要素に分けて解説しています。
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志望動機の構成は採用担当者に伝わりやすい型が決まっています。この記事では志望動機を聞く企業の意図を把握してから、志望動機を構成する要素と順番を解説していきます。キャリアコンサルタントによる解説と業界別の例文もあるので、参考にしながら自分の志望動機の構成を整えていきましょう。
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①志望した明確な理由を書く
採用側は志望動機の内容から、入社意欲の高さを判断します。曖昧な志望理由では採用側を納得させることはできません。明確であるほど、志望先で貢献してくれる人材として評価されます。
志望した理由を考えるポイント
- なぜ志望施設で働きたいのか
- なぜほかの施設ではだめなのか
志望動機を明確にするためには、あらかじめ志望先の必要な情報を収集し、理解しておくことが大切です。実際に職場見学をして、志望先の雰囲気や働いている人の様子などを見ておくと、施設で働くイメージが湧きやすくなります。
併せて介護職を志した理由も伝えることで入社意欲の高さをアピールし、志望動機の冒頭から採用側の気持ちをつかみましょう。
志望動機では最初の一文で、志望理由の結論とも言える「なぜこの施設でなくてはならないのか」を端的に印象深く、かつ強い言葉で明言することが重要です。PREP法やホールパート法などの文章作成法を活用して作成してみましょう。
PREP法とは
Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論)の順番で伝える、おもにビジネスで用いられるコミュニケーション法
ホールパート法とは
結論(Whole)、結論の詳細(Part)、結論(Whole)の順で伝えるコミュニケーション法
②自身の強みや志望企業への関心を伝える
次に、介護職に活かせる自分の強みや志望施設への関心度の高さを伝えましょう。志望動機の根拠として伝えられる部分になるため、自分の強みを把握しておくことは欠かせません。
志望先でどのようにその強みを活かせるのかを具体的に示すことで、施設で貢献できる人材であることをアピールできます。また、志望施設の特色や経営者の理念、事業方針などをしっかり分析し、興味関心を抱いた点を志望動機に盛り込むことも大切です。
自身の強みや志望企業への関心を伝える要素
- 志望施設で活かせる自分の強み
- 施設で貢献できること
- 志望施設の特色や経営者の理念の共感ポイント
志望先への関心の高さは、入社意欲を示すことにつながります。志望理由を軸に、志望先に沿った説得力のある内容を加えてみてください。志望先で活躍できる人材として評価してもらえるためにも、働きたい意欲や思いを込めて伝えましょう。
③入社後のキャリアアップのイメージを伝える
さらに、入社後のキャリアアップのイメージを盛り込むことも大切です。具体的なキャリアビジョンのイメージを伝えることで、採用側に「目的意識を持って働いてくれる」「入社後の成長が期待できる」と判断してもらいやすくなります。
キャリアアップのイメージの例
- 専門資格を取得して介護のプロフェッショナルになる
- 相談援助をおこなう職種を目指す
- 施設や事業所の運営側に立つ
また、キャリアビジョンから人物像や志望先との相性、長く働いてくれる人材であるかどうかを読み取ることができます。ここで言うキャリアビジョンは、漠然とした夢やイメージといったものではありません。
入社後、数年先に実現可能なキャリアアップのイメージプランを伝えることが大切です。採用側に高い向上心を持って、意欲的に仕事に取り組む意思があることをアピールすることができます。
- 介護職でのキャリアアップのイメージがしにくいです……。
OB・OG訪問などで介護業界で働く人の生の声を聞いてみよう
介護職に憧れて目指すようになったとしても、実際にどのようなキャリアパスがあるのかはなかなか把握しづらいですよね。
就活の資料も現場で働くスタッフの業務に関するものがほとんどです。そんなときは、実際に介護職で活躍している人に直接話を聞いてみるのをおすすめします。
大学や専門学校の先輩にOBOG訪問ができる人は自分のバックグラウンドに沿ったキャリアアップにどのようなものがあるのかを知る機会になります。
また、専攻が違うのでそのような先輩がいない、という人は就活の際の見学会などで直接質問してみると良いでしょう。生の声は資料から読み取るよりもとても参考になるはずですよ。
OB・OG訪問のやり方は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。
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OB・OG訪問は質問選びが鍵! おすすめ質問100選を紹介
OB・OG訪問は質問選びが非常に重要です。事前に聞きたいことを準備しておきましょう。この記事ではOB・OG訪問でのマナーや注意点をキャリアコンサルタントが解説します。また、OB・OG訪問でおすすめの質問100選も併せて紹介します。
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④志望先とのマッチングポイントを伝える
最後に志望先とのマッチングポイントを伝えましょう。「志望先の業務内容や求められている人材と合致している点」「自分の経験やスキルを志望先でどう活かせると考えているのか」などを盛り込んでみてください。
志望先とのマッチングポイントの事例
- 自分の強みを活かした働き方ができる
- 志望施設の特色が自身のスキルアップや自己成長につながる
「高齢者をサポートする介護の仕事がしたい」「志望先で活躍したい」など、漠然とした志望動機では、どこの施設にも通用する内容になってしまうため、自分が働く意義を見つけることがポイントです。
ただし、印象を良くするために、自分を高く見せることは控えましょう。等身大の自分の正直な思いを伝えることが大切です。
介護施設の種類別! 志望動機例文6選
ここまで志望動機の書き方について解説してきました。盛り込むべき内容を押さえたうえで、自分でも志望動機を作れた人もいれば、うまく書けない人もいるかもしれません。
ここからは介護施設における志望動機の例文を紹介します。志望する施設によって、アピールすべきポイントが異なりますが、基本はこれまで解説した自己分析や企業分析で得られたマッチングポイントを軸に作成することが大切です。
志望先に合わせた志望動機にするためにも、施設ごとの例文を参考にしてみてください。
①老人ホームへの志望動機
老人ホームへの志望動機の例文
私が貴施設を志望した理由は、終の棲家である特別養護老人ホームで、その人らしい最期を迎えるサポートがしたいと思ったからです。
学生時代に介護老人保健施設でボランティアをする機会がありましたが、在宅復帰を支援した後の利用者の様子を知ることができず、残念に感じていました。特別養護老人ホームでは、利用者の最期まで見届けることができるため、「介護を通じて一人ひとりが望む生き方を実現させる」という私の理想とマッチすると考えています。
貴施設の「利用者が笑顔になれる支援」という理念は、その人らしい生き方の実現に欠かせない考え方だと感じ、非常に共感しました。ボランティアで培った利用者に丁寧に寄り添う力を活かし、利用者やその家族に貢献したいと思います。
上記の例文は、過去のボランティア経験や、自分が利用者とのかかわりをどのように考えているかをしっかり伝えることができていて良いと思います。
加えて自身が考える理想と企業の理念が一致しているとアピールしていることも評価できるポイントです。
②グループホームへの志望動機
グループホームへの志望動機の例文
私が貴施設を志望した理由は、「一人ひとりに役割を任せ、自分らしく生活すること」という認知症ケアの理念に強く共感したからです。
祖父が認知症を患い、特別養護老人ホームにお世話になりました。祖父の介護をサポートするなかで、認知症であっても、その人らしさを失うことはないのだと感じました。また花の管理を任されて活き活きと世話をしていた祖父を見て、認知症になっても役割があることでその人らしい日々を送れるのは、幸せなことだと感じました。
貴施設ではスタッフがサポートに徹し、利用者ができることを最大限に尊重する介護を重視しています。私もその一員として、これまで培ってきた観察力を活かしながら見守る姿勢を大切にし、利用者をサポートする役割をはたしていきたいと思っています。
ただ経験があるからやりたい、できると伝えるだけでなく、これまでの介護経験から何を感じ、学んできたのかを具体的に述べられるとさらに良くなるでしょう。
また、その経験をなぜ自分の職業にしようと思ったのかもしっかり紐づけしておくことが大切です。
③サービス付き高齢者向け住宅への志望動機
サービス付き高齢者向け住宅への志望動機の例文
私は地域密着スタイルの介護が重視されつつある現在、時代の需要に沿ったスキルを積んで多くの人の役に立ちたいという思いがあり、貴施設の介護職を志望いたしました。
大学の授業で介護施設をいくつか見学したした際、施設の特徴ごとに利用者の表情や雰囲気がまったく異なることに気付き、高齢者の身体的なサポートだけでなく、心のケアが重要であると感じました。
これから超高齢社会を迎える日本では、介護をネガティブなものととらえるのではなく、よりその人らしい生活を送るためのポジティブなものとして利用してもらうことが大切だと学びました。サービス付き高齢者向け住宅は、そのなかでも地域の介護において重要な役割を果たす存在であると考えます。
貴施設は、心のケアを重視した運営方針を掲げ、利用者の意見を積極的にサービスに反映している点に深く共感しました。私も健康管理や介護予防サービスの実務スキルを身に付けることで、利用者の個性を尊重した暮らしを支えていきたいと思っています。
ゆくゆくは、大学で学んできた介護と地域社会との連携に関する知識を活かし、利用者が地域とのかかわりを保てるような取り組みにも挑戦したいです。
上の例文は、社会情勢の地域密着性の重視という現状認識の深さと自身の大学での学びをうまく結び付けていますね。
また、施設の運営方針を理解し、今後の発展の方向性にも言及している点は、将来を担っていく人材として期待できる内容となっています。
④デイサービスへの志望動機
デイサービスへの志望動機の例文
私が貴施設を志望した理由は、祖父の介護でデイサービスを利用したことから、そこで働くスタッフに尊敬と憧れを感じるようになったからです。
祖父に介護が必要になってから、母は疲れていることが多くなり、祖父も以前のような明るさがなくなってしまいました。介護施設への入居は祖父に抵抗があったため、知人の勧めでデイサービスを利用し始めたところ、外に出る機会が増えたことで祖父は少しずつ元気を取り戻し、施設での様子を話してくれるようになりました。
また介護における心身の負担が減り、家族の関係が良好になったのもデイサービスを利用したおかげです。このように利用者が充実した時間を過ごせるのはもちろん、介護疲れに悩む家族の支えになることを実感し、私も同じ立場の人々をサポートできる存在になりたいと考えるようになりました。
現在は介護職員初任者研修の取得に向けて、スクールを受講中です。入社後は祖父の介護を通じて得た知識を活かし、利用者と家族の双方に寄り添って貢献できるスタッフになりたいと思います。
まず最初の「尊敬と憧れを持った」というワードが素晴らしいですね。この一言で聞いている人はグッと心をつかまれます。
また、すでに資格取得に向けて動き出しているという点も、口先だけではない本気度が伝わってくる良い志望動機です。
➄訪問介護への志望動機
訪問介護への志望動機の例文
地域ぐるみで高齢者をサポートする社会が求められているなかで、私も介護士としてその一助になりたいと思い、貴社を志望いたしました。
私は親が介護士をしていて、自身も幼い頃から介護職に漠然と憧れがありました。介護業界の課題や現状について調べるなかで、利用者やその家族のより良い暮らしのために、社会と密接にかかわる形でサポートを提供したいと考えるようになりました。
貴事業所は複数の介護サービスを提供していて、地域の高齢者に向けた交流施設の運営など、地域住民の支援活動にも積極的に取り組んでいるところに魅力を感じています。
入社後は介護のスキルはもちろん、福祉制度や補助金などの知識も身に付け、利用者一人ひとりのニーズに合ったきめ細やかなサービスという理念の実現に貢献したいです。最期まで自宅で過ごしたいという多くの利用者の期待に応えるために、心のこもった柔軟なケアを目指してまいります。
訪問介護は利用者の自宅に足を運んで介護の職務を果たすという点が特徴です。そのため施設介護にはない注意点があります。
それをどの程度理解しているのかを述べることがポイントです。また訪問介護の必要性をどう考えて志望したのかも重視されるでしょう。
⑥生活相談員への志望動機
生活相談員への志望動機の例文
私が貴施設を志望した理由は、利用者や家族の気持ちを汲み取りながら悩みや不安を解消するだけでなく、問題解決に向けて必要な支援を提示するなど、幅広い業務を担う役割に魅力を感じたからです。
私自身、祖母の介護を通して、生活相談員の方と接する機会がありました。その際、先頭に立って問題解決を図ろうとしてくれた生活相談員をとても頼もしく感じ、私も利用者やその家族を支えられる存在になりたいと思いました。
貴施設は半年から1年ほどで生活相談員を目指せると説明会でお聞きし、いち早くプロを目指せる環境に魅力を感じています。
現在、社会福祉士の資格取得のための勉強も進めているため、入社後は貴施設が重視している「職種間の連携」を意識し、常に利用者や家族に寄り添い、問題解決を図れる生活相談員を目指したいです。
生活相談員には家族との連携が求められるため、多様な人とのコミュニケーション力、特に相手の立場に立って寄り添える力が求められます。自分にそのようなスキルが備えられていることを強調し、役立てたいとアピールしましょう。
介護職は業界理解や貢献意欲をアピールした志望動機で採用をつかもう
介護職の志望動機を書く際は、業界や仕事内容への理解を深めることや、志望先での貢献意欲をアピールすることが大切です。
介護業界では、人柄などが重視されることが多いため、志望動機では介護職を志すに至った具体的なエピソードを伝えると良いでしょう。
また、志望先で活かせる強みと志望先の求める人物像がマッチしていることや、将来の明確なキャリアビジョンの有無も見られるポイントです。
紹介した4ステップの手順を参考に志望動機を作成し、選考を突破してくださいね。
アドバイザーコメント
桒田 里絵
プロフィールを見る介護の志望動機は3つのことに注意して自分に誇りを持って伝えよう
施設の特徴を実際の情報をもとに深く理解すること、そして自分のなかでその特徴と呼応する体験や考えを見つけること、これからその施設をどう運営していきたいのか考えること、この3つができれば介護職の志望動機は書けます。
介護の仕事は常に人手不足といわれ離職者の多い分野です。しかし相性の良い職場に巡り合えれば、長期にわたって安定して就労する人も多くいます。
また介護業界は経験に左右されることなく入りやすい特徴がありながら、非常に奥深く、人間としての力と成長が問われる仕事でもあるのです。
介護職はすべての人の「老い」を照らす重要な仕事
このように、介護職は一筋縄ではいかない難しい仕事だと思うかもしれませんが、間違いなくこれからの日本にとって最も必要な仕事の一つとなるでしょう。そしてこの仕事を志望する皆さんを心から尊敬します。
介護職を志望する理由はさまざまだと思いますが、どの人にも言えることは、これから人の尊厳と命と心を預かっていくということです。それを重く真摯に受け止めつつ、誰にでも訪れる老いの道を照らす存在になる、という誇りを持って志望動機を書いてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Rie Kuwata〇2018年にキャリアコンサルタントとして独立。企業対象の研修講師や各学校でのキャリアカウンセラーを経てハローワーク就職支援ナビゲーターを務め、年間約3,000名の相談を受けている
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