自己分析とは? わかりやすいやり方と選考での6つの活用法を解説

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  • キャリアコンサルタント

    Eri Kuno〇キャリアコンサルタントとしてこれまで学生への就職セミナーや就活相談、企業における従業員へのキャリア支援などをおこなう。現在はおもに求職者の就職支援やカウンセリングに従事

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  • キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士

    Mihoko Endo〇メガバンクで法人営業や新人研修講師、採用面接に携わる。現在は「その人らしさを引き出すカウンセリング」をモットーに、大学での就活支援、社会人向けキャリア開発研修をおこなう

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    Nagisa Kihara◯放送・行政・人財開発など多様な職種を経験する中でキャリア支援に興味を持つ。一人ひとりが楽しく働き、豊かに生きられる社会を目指し、現在はカウンセラーや研修講師として活動中

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この記事のまとめ

  • 自己分析とは自分がどういう人間かの分析であり就活の基盤固めになる
  • 自己分析は3ステップのくり返しで深化できる
  • 自己分析の選考での活かし方を5つの状況別に解説

「自己分析」は就活について調べていると何度も見かけるワードです。しかし「自己分析って何をするの?」「就活と何の関係があるの?」「やらないとダメ?」と中身をつかみかねている人も多いのではないでしょうか。

実は、自己分析は就活の明暗を分ける重要な工程です。

自分をどれだけ理解しているか、そしてなぜその企業に入りたいのかをアピールするとき、自己分析の深さが主張の説得力を大きく左右します。加えて、「社会人としてどんな道を歩みたいか」といったキャリアについて考える良い機会にもなります。面接でも頻出の質問なので、準備しておきたいですよね。

一方で自己分析はやり方を間違えると、現実とかけ離れた自分像を作り出してしまう原因にもなります。また、おこなうべきタイミングも押さえておかないと直前に慌てることになりかねません。

この記事では自己分析の基本的な知識にはじまり、実施すべきタイミング、具体的なやり方、選考に向けての活用法までをキャリアアドバイザーの久野さん、遠藤さん、木原さんとともに解説します。あなたの魅力をより効果的に企業へアピールするために、精度の高い自己分析で選考に備えましょう。

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目次

自己分析とは就活の土台! 型に沿って自分自身を理解していこう

自己分析とは、文字通り自身を分析することです。

「自分のことは誰よりもわかっているのにどうして今さら?」と思う人もいるかもしれませんが、就活では自身の個性や魅力を初対面の人にも納得してもらえるほどわかりやすく説明しなくてはならない場面が多々あります。つまり自己分析はあなたの就活の基盤をつくる準備なのです。

就活は自分がいきいきと働ける場所を探すためにあるので、自分に合う業界・企業の特徴や望ましい働き方の条件も把握する必要があります。自己分析で自身の価値観を明確にすることで、企業とのマッチングもより効率的かつ高い精度でおこなえますよ。

まずは効果的な自己分析について基礎知識や取りかかるべきタイミングを押さえることが重要です。次に具体的な方法、選考での活用法へと進んでいきましょう。すぐに実践できるフレームワークも掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

就活の準備がまったくできていないと焦っている人は、こちらのQ&Aも参考にしてください。「就活の準備はどこから始めるべき?」という疑問にキャリアコンサルタントが回答しています。

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自己分析とは? メリットやおこなうべきタイミングから特徴を把握しよう

自己分析とは、あなたの性格、長所・短所、価値観、望むキャリア、いきいきと働ける業界や業種、環境などを掘り下げる作業のことです。キャリアや志望先など、学生生活のなかで考える機会の少なかった事柄について整理するだけでなく、自分の性格や価値観を象徴するエピソードや経験を洗い出すことも含まれます。

エントリーシート(ES)や面接のなかで、企業側は学生の人柄や価値観を見極めようとしています。学生は基本的に就業経験がないので、その学生が自社とどれほどマッチしているか、配属先の職場との相性が良いかなどをパーソナリティから測るのです。そのために数多のステップを踏んであなた自身を知ろうとします。

したがって、自己分析はESの作成や面接対策と密接にかかわります。どう分析するかも大切ですが、いつ分析するかというタイミングも、自分により合った企業とのマッチングには欠かせません。自己分析が就活にどれほど影響を持つのか、順を追って確認していきましょう。

自己分析はとにかく手軽に済ませたい! という人はぜひこちらの記事を参考にしてください。短時間で実践できる6つの方法を紹介しているので、あなたに合ったフォーマットを活用してくださいね。

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遠藤 美穂子

プロフィール

自己分析とは、自分を理解することです。何が好きで何が嫌いか、何が得意で何が苦手か。どんなときにやる気が出て、チームの中でどんな役割を果たせるのか。

就活の自己分析は、将来の選択肢を広げたり絞ったりするための判断材料を見つける工程といえます。

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自己分析をおこなうメリット

自己分析をおこなうメリット

  1. 自分の個性を第三者に理解してもらいやすくなる
  2. プレゼン内容に説得力を持たせられる
  3. 企業とのミスマッチを防げる

就活には自己分析が絶対不可欠といわれますが、そもそもどうしてそこまで自己分析が重視されているのでしょうか。「自分の個性や価値観は十分わかっているし、言葉にもできる」という人にとっても必要な作業なのでしょうか?

先述の通り、自己分析は就活において必要になる材料を掘り起こす作業です。その材料を活用するのはESを作成するときや志望動機などを述べる瞬間ばかりではありません。掘り起こした情報をどれだけ有効に活かせるかによって、就活の進めやすさはまったく変わります

ここからは、自己分析をおこなうメリットを解説します。初めて自己分析をする人だけでなく、これまで自己分析に時間を割けなかった人、あるいは就活の方向性に悩みを抱いている人も、ぜひ基本に立ち返るための参考にしてください。

①自分の個性を第三者に理解してもらいやすくなる

事前の自己分析で自分の行動傾向や趣味趣向などを整理しておくことで、採用担当者という初対面の人にもあなたの個性や魅力を伝えるための言い方を考えることができます。または、場面に応じて伝える情報を絞るのも手です。

人は誰しもさまざまな側面を持っています。人前では社交的でも、家では一人黙々と趣味に打ち込むといった人もいます。この人が「あなたの性格は?」と問われて「社交的かつ寡黙な性格」と答えた場合、聞き手は首をかしげるでしょう。

「自分がどういう人間か」を俯瞰することは、聞き手の立場を踏まえた伝え方を考えるときに非常に有効です。就活でも同様に、初対面の面接官へあなたの個性や人柄を伝えるために、自己分析を通して客観的に自分を把握することが役立つのです。

久野 永理

プロフィール

個性とは「自分らしさ」です。何かをする時、普段の行動などからこだわりや価値観が見えてきます。もしかしたら自然にやっていることで自分自身では見つけられないのかもしれません。友達など周りの人に尋ねてみましょう。

個性や性格、趣味の伝え方については以下の記事でも解説しています。企業側の見解も知ることができるので、自己分析後の選考対策の参考にしてください。

性格の答え方
例文10選|「自覚している性格」を問う企業の真意と回答のコツ

趣味の答え方
例文21選|面接で趣味はどう答える? 個性が伝わる回答方法を伝授

②プレゼン内容に説得力を持たせられる

プレゼン内容に説得力を持たせる材料を用意する際にも、事前の準備、すなわち自己分析が鍵を握ります。特に就活は人柄を深掘りされるので、アピールポイントを裏打ちするエピソードは前もって準備しておくべきです

たとえばあなたが「行動力」をアピールしたいとき、ただ「私は行動力があります」というだけではそれを証明できません。「私にはこんなにも行動力があるんです」と根拠として提示できる具体的なエピソードがあれば、一気に説得力が増します。

あなたが「行動力」を発揮した場面はこれまでにたくさんあったはずです。そのなかで最もあなたの魅力が伝わるエピソードをその場で選ぶことは至難の業です。反対に、エピソードが思い出せない、思い浮かばないということもあるでしょう。いずれも事前の振り返りや対策がプレゼンのクオリティに影響します。

遠藤 美穂子

プロフィール

プレゼン内容に説得力を持たせるには、ロジカルな構成がポイントです。

結論=自分のアピールポイントに加え、裏付け=適切なエピソードがあり、そのアピールポイントが仕事の場面で活かせそうであれば面接官に納得してもらえます。

③企業とのミスマッチを防げる

これまでに自分が高いモチベーションで臨めたこと、ストレスを感じた出来事、相性の良い人の性格などを整理していくと、企業とのミスマッチの防止にもつながります

「こんなことをしていたときに自分は積極的になれた」「こういうシチュエーションではネガティブな気持ちを抱いた」と要素を仕分けていくことで、譲れないポイントを明確にできるからです。

経済産業省と総務省が令和5年に発表した令和3年経済センサス‐活動調査によれば、2021年6月1日時点で日本国内には368万以上の企業があります。

すべての企業が採用をおこなっているわけではないにしろ、膨大な選択肢があることに変わりありません。その中で自分に合う企業を見つけるためにも絶対的な軸を確立させ、効率的にミスマッチを回避しましょう。

久野 永理

プロフィール

自己分析ができていないと、与えられた職務からやりがいを見つけることができずに、モチベーションが下がってしまう恐れがあります。

また、自分の強みやスキルを十分に発揮できないのは職場が自分に合わないせいだと感じ、早期離職に至るケースがあります。

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自己分析をおこなうべきタイミング

自己分析をおこなうべきタイミング

  • 就活が本格化する前
  • 就活中
  • 内定獲得後

自己分析は就活が始まる前に済ませるべきと思っている人も多いのではないでしょうか。もちろんそれ自体は間違いではありません。準備は前もっておこなうべきです。

しかし、就活はそもそもいつから始まるのでしょうか。ニュースで「就活の早期化」を耳にしたことのある人も多いでしょう。気づいたときには間に合わない状態だった、などということは絶対に避けたいですよね。

ここから自己分析をおこなうべきタイミングを解説するので、自己分析を最初におこなう具体的な時期、自己分析の内容を見つめ直す適切なタイミングを把握し、就活を効率的に進めていきましょう

①就活が本格化する前

自己分析の最もスタンダードなタイミングは「就活が本格化する前」、具体的には卒業・修了年度前年の4~5月です。4年生大学の学生であれば3年生になって間もなくの時期に当たります。

なぜなら、6月からは夏季インターンシップが盛んになるためです。日系企業・外資系企業共に、インターンは6月頃から開催され、インターンのための説明会もその直前に開催されます。つまり、各業界・各企業の情報が公開される最初のタイミングが卒業・修了年度前年の5~6月なのです

このときまでに自己分析が済んでいないと、自分の興味がある業界・企業を絞り込みきれず、効率的な情報収集ができません。そのために、夏季インターンシップが盛んになる前には自己分析を済ませておく必要があります。

内閣官房が2024(令和6)年度卒業・修了予定者などの就職・採用活動に関する要請などについてにて企業側の採用活動を原則卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降にするよう要請する一方、就職みらい研究所の就職白書2024によると24卒の学生の56.9%は23年の9月以前に就活を開始しています。そのタイミングを目途に自己分析を始めましょう。

インターンに参加する予定がない場合は、採用が始まる3月直前の1~2月頃に自己分析をしても間に合いますか?

インターンに関係なく自己分析はなるべく早めに始めよう

インターンに参加する予定がない場合、1~2月に自己分析を始めることは可能です。タイミングを逃してしまったからといってやらないよりは、ぎりぎりになってもやった方が良いでしょう。

ただし、自己分析には時間がかかることが多く、過去の経験や価値観を振り返り、自分の強みや弱みをしっかり理解するには時間が必要です。なるべく早めに始めることをおすすめします。

自分の強みや弱み、価値観、キャリアの目標などを深く理解することで、ESの作成や面接対策がしっかりとおこなえます。自信を持って魅力をアピールしていきましょう。

久野 永理

プロフィール

就活が本格化する前に自己分析をしておくと、自身の仕事へのこだわりや価値観が見えてくるので、企業研究には大きなメリットとなります。

しかし、こだわりのあまり企業や業界を絞り込み過ぎないないよう、あわせて注意しましょう。

②就活中

自己分析をやり直すタイミング例

  • 企業説明会に参加して業界・企業に対する違和感や認識のズレを感じたとき
  • 面接や面談で相手からフィードバックを受けたとき
  • 選考で不合格が続いたとき
  • これまでとまったく違う業界・企業に興味が湧いたとき

説明会や面接を受けていくうちに「この業界、想像と違ったな」「良い企業だと思うのにあんまり惹かれないな……」と漠然とした違和感を持つこともあるでしょう。小さくとも疑問や違和感を持ったとき、最初の自己分析にズレがあったか、就活前から就活中の現在までに自分のなかで変化が起きたのか、原因究明は必須です

違和感を無視して就活を進めてしまうと、就活が長引いたり、納得のいく就活ができない恐れがあります。精神的にも肉体的にも負荷がかかる時期ですが、前回の自己分析の内容を参照して進めていくことでより充実した分析結果を出すことができます。

たとえ就活中に違和感やズレを感じなかったとしても、自己分析をおこなうことで得られるメリットは多く、おこなわないことによるデメリットも多いです。

自己分析をおこなうメリットは、自己理解が深まり、選考過程で自信を持ってアピールできることです。また、長期的に満足度の高いキャリアを築くのにも役立ちます。

おこなわないデメリットとしては、面接やESでの自己PRが表面的なものになりがちであるということが考えられます。面接で自分の魅力を十分に伝えられなかったり、入社後にミスマッチを感じて後悔するかもしれません。

③内定獲得後

内定を得ると、就活そのものには一区切りつきます。しかし内定獲得はあくまでも通過点です。その内定先は数年、長ければ40年以上も身を置く可能性がある環境です。

最も大切なのは、社会人となったあなたがいきいきと働くことができるかどうかです。その内定先へ就職してあなたがやりがいを持って働けるかどうか、ほかにもっとあなたが能力を発揮できる環境があるのではないか、このタイミングで熟考しましょう

複数企業から内定もしくは内々定を出された人にとっては、どの企業へ就職するかも迷うところですよね。どの環境を選ぶことがその後の自分にとってベストなのかを見極めるのは難しいことです。給与や企業規模などの目立つ情報にとらわれず、あなたが社会人としてどう働きたいかに重きをおいて内定承諾先を検討してください。

そして内定を承諾したあとには、入社後のキャリアプランについても今一度見直しましょう。選考を経て多くの情報を得たこのとき、3年後・5年後・10年後自分がどのように働いていたいか、そのために何をすべきか、何が必要かといったことがより鮮明に考えられるはずです。

重ねてきた自己分析と合わせてプランを練り、充実した社会人生活に向けて準備していきましょう。

複数企業から内定を得たものの「どこの内定を承諾すれば良いのか」と悩む人はこちらの記事を参考に、あなたにとって働きやすい職場を選びましょう。

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アドバイザーコメント

将来の自分の課題を見つけるためには内定獲得後の自己分析が重要

就職先が決まったら自己分析を振り返ってみましょう。今後、その会社で伸ばしていきたいスキルは何か、今の自分に足らないスキルが何かを知ることも必要です。その会社でどのようにキャリアアップをしていきたいかなどキャリアプランを立ててみるのも良いでしょう。

自己分析から転職を見すえたキャリアプランの策定もできる

最近では、長期的なキャリアプランのなかで転職をしながらキャリアアップを望んでいる学生も少なからずいます。転職時も自己分析は必要不可欠です。転職も就活と同じように、転職先を探す軸、自己PR、転職後のキャリアプランが必要です。

自己分析ができていないと、転職先が見つけられない、就業先が決まらないなどの問題が起き、求職期間が長くなる恐れがあります。

もし、転職によるキャリアアップを望んでいるのであれば、現在の自己分析の結果と、数年後の自己分析の結果を比較し、どのくらいキャリアアップできているのかを判断できます。その内容を転職活動に活かすのも良いでしょう。

先のことを想像するのは難しいかもしれませんが、自己分析は将来像の明確化に非常に役立ちます。自己分析をすると、自分が本当に興味を持っていることや大切にしている価値観を見つけることができますよ。

また、過去の経験を振り返り、そこから得た教訓や感じたことを整理することで、将来に活かせるヒントが得られます。より具体的で現実的な将来像を描き、自分らしく満足度の高いキャリアを築くための道筋を明確にしていきましょう。

将来像の考え方についてはこちらの記事もぜひ参考にしてください。面接の場面以外でも役に立つ、キャリアプランの基礎知識や組み立てのコツを解説しています。

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あなたが受けない方がいい職業を確認しよう

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

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・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

自己分析の基本的な流れ3ステップ

自己分析の基本的な流れ3ステップ

  • 自身のこれまでの活動や思考を振り返る
  • これまでの経験に対し「なぜ?」をくり返す
  • 見えてきた自分の本質を明文化する

自己分析の目的がはっきりしたところで、実際に自己分析をおこなっていきましょう。

自己分析は自分の中にある情報を掘り起こし、活用のために整理することです。ここからは、その自己分析の基本的な流れを3ステップに分けて解説します。

就活ではあなたの個性や魅力を初対面の面接官にも納得できるよう説明しなくてはなりません。面接官にあなたの魅力を理解してもらうために、あるいは想定外の質問にも機敏に対応できるように、事前にあなた自身の情報を丁寧に整理するための基本的な考え方をマスターしましょう。

①自身のこれまでの活動や思考を振り返る

振り返りの例

  • 小学生:おとなしかった、読書が好き、決まった友人としか遊ばなかった、親に体操教室に入れられた
  • 中学生:体操部に入った、部活ばかりで勉強は不真面目だった、高校受験が大変だった
  • 高校生:第一希望校に入れず気落ちした、体操部がなかったので初心者歓迎の写真部に入った
  • 大学生:第一志望校の経済学部に入った、ワンダーフォーゲル部に入部して各地で写真を撮った

過去の振り返りは分析のもとになります。そのため、自己分析の第一歩として、幼少期から現在までの活動、思考、性格などを洗い出す必要があります。

克明に思い出せない場合には大まかな振り返りでも問題ありません。この段階では何があなたの強みや価値観を形成しているかわからないので、就活に役立つかどうかは考えず、全体的な振り返りをおこないましょう。

自分に強い影響をもたらした出来事や、過去から現在までに自分に起きた変化を書き起こすことで、主張したいポイントの根拠を組み立てることが簡単になります

就活では直近の出来事を話すのに、昔のことまで振り返るんですか?

遠藤 美穂子

プロフィール

昔から現在までの自分の変化は今の自分への理解度に直結する

現在の自分を形作っているのは、これまでの人生すべてです。

大学入学後に何かのきっかけがあって自分が大きく変わったという人は大学の話をすれば良いですが、それも入学前と入学後の自分を比較してみるからこそ変化が見つかります。

「昔から絵を描くのが好きだった」「人と一緒に何かやることが多かった」「周りの意見を聞いて素直に進路を決めてきた」「環境が変わるのが苦手」など、自分のなかの変わったこと、変わらないことを見直してみるのも自己分析のステップの一つです。

②これまでの経験に対し「なぜ?」をくり返す

「なぜ?」の例

  • ワンダーフォーゲル部に入った

    ↓「なぜ」入部した?
  • いろいろな写真を撮るのにうってつけだと思ったから

    ↓「なぜ」いろいろな写真を撮りたかった?
  • 今まで行ったことのない場所に行きたかったから

    ↓「なぜ」部活動で各地を回ろうとした?
  • 自分以外の人の興味に触れて知見を広げたかったから

    ↓「なぜ」知見を広げたかった?
  • 新しいことを体験したり学ぶのが楽しいから

    ↓「なぜ」新しいものに触れるのが楽しい?
  • 視野が広がり柔軟な考え方ができるようになるから

経験に対し「なぜ? なぜ?」と自問していくことでその根底にあった動機にたどり着くことができます。それがあなたの性格であり、価値観です。

各経験を掘り下げていくうちに共通点が浮き彫りになることもあれば、矛盾が生じることもあるでしょう。矛盾がある場合には「なぜ」矛盾しているのかを掘り下げ、自分の考えがどのタイミングで変化したのか、なぜ変化したのか、あるいは掘り下げ方そのものに問題がないかなどを分析していきましょう

自分の性格、長所・短所、価値観が明確になると就活の軸を定めることにつながります。

「なぜなぜ5回」という言葉があります。これは「なぜ」を5回繰り返すと表面的ではなく、本質にたどり着くという問題解決の手法で、トヨタ自動車の創業者によって提唱されました。

この考え方は経験を掘り下げる際にも非常に役立ちます。経験の背後にある深い理由や動機、自分の価値観を明確にすることで、具体的で説得力のある自己PRができるようになりますよ。

③見えてきた自分の本質を明文化する

明文化の例

幼少期からいろいろな本を読んでいて、知識欲や好奇心は強かったが、当時は積極性や行動力に欠けていた。学校生活や部活動を経て、人と接することで自分が知らない領域に触れることができると学び、コミュニケーションが楽しくなった。

今も静かに趣味に打ち込むことは好きだが、さまざまな人とかかわり多くのことを学ぶ機会も持ち続けたい。

経験を掘り下げていくうちに見えてきたあなたの本質を書き起こしましょう。文章化することで今のあなたがどのように形成されたかの流れが見えてくると同時に、これまでの掘り下げに不足がないかなどの確認もできます

文章としての質も大切です。第三者があなたの主張を正しく汲み取れる、筋道立った文章を事前に準備しましょう。ESや面接の回答として活用できます。文章力に自信がない人は家族や友人など、身近な人に読んでもらうのも良いでしょう。

就活が本格化すると自作の文章を読み返す余裕が持てなかったり、他者へ添削を依頼するほど時間的猶予がないなどの可能性も大いに考えられるので、やはり前もって準備しておくことが望ましいです。

久野 永理

プロフィール

最近ではさまざまな自己分析ツールがありますが、その結果に対してなぜこの結果が出たのか考えてみることがとても大切です。ほかの人と同じ結果でも理由は人それぞれ違います。

結果を友達同士で話してみるといろいろなことが見えてきますよ。

自己分析の方法4選! 自分の性格や将来像を明確にしよう

ここでは自己分析に活用できる4つのフレームワークを紹介します。時間をかけて細かく自分を分析していくものから、感覚的におこなえるもの、論理的に自分の目指す方向を導くものまでさまざまなので、あなたに合う方法がきっと見つかりますよ。

フレームワークはあくまでもツールです。「自分はどんな人間なのか」を高い精度で考えるのはあなた自身であり、ツールは深掘りを補助するものです。

あなたが「①振り返る」「②掘り下げる」「③明文化する」の3ステップを進めやすいと感じられるフレームワークを探していきましょう。

①自分史:自分の年表を作る

自分史のフォーマット

自分史とは、文字通り自分の歴史であり、つまりあなたの半生の年表を作成するフレームワークです。

幼少期から現在までを時間軸に沿って網羅的に振り返るため、時間に余裕がある人、じっくり自分と向き合いたい人、これまで自己分析をおこなったことのない人におすすめの手法です。上の画像が自分史のフォーマットになるので、ぜひダウンロードして使ってみてください。

プラスアルファとして、「共通点」や「気づいたこと」といった項目を作っておくと、総括や掘り下げの一助になります。たとえば、小学生時代から現在までに「趣味」が読書・体操・写真・登山と変わっていた場合、「共通点」として「一人でもできること」「〇年以上継続している」などと書き込んでいきましょう。

自分の強みや大切にしている価値観がわかると、就活の軸も立てやすくなります。

遠藤 美穂子

プロフィール

昔のことをよく覚えていないという人は、家族や友人にも聞いてみると良いでしょう。とはいえすべてのマスを埋めること自体が重要なのではなく、自分を理解するのがそもそもの目的です。

少しでも記憶にあることは、そのときの自分にとって印象が強く重要だったととらえていきましょう。

自分史を就活で有効に活用するための方法や記入例などはこちらの記事で解説しているので、自分史を作る人はぜひ参考にしてください。

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自分史を作成することで自己理解が深まり、自分に合った企業の見分け方が明らかになったり、選考での質問にも備えられます。キャリアコンサルタントとともに自分史の作り方や活かし方を徹底解説します。

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②ライフラインチャート:自分の感情や体験を感覚的につかむ

ライフラインチャートの作成例

ライフラインチャートとは、時間軸に沿って幸福度を振り返り、自分が充実感を得る条件を探るフレームワークです。

自分史よりも感覚的に振り返りをおこなえるので、手軽に自己分析を始めたい人や、感覚的に振り返りをしたい人、時間的な余裕がない人へおすすめの手法です。

幸福度が高い瞬間、低い瞬間、急激な変化が起きた過程のことを思い返しながら、自分が幸福を感じるために何が重要なのかを洗い出していきます。視覚的にもわかりやすく、あとから見返したときにも自己分析の過程がわかりやすいです

たとえば高校時代の幸福度が高かったにもかかわらず大学入学直後にガクンと下がっていた場合、「仲の良かった友人と離ればなれになった」「一人暮らしが始まって苦労した」「希望の大学に入れなかった」「講義が難しく学部選びを失敗したと感じた」など、何かしらの要因があったはずです。「なぜ?」をくり返して深掘りし、自分にとってのネガティブ要素を洗い出すことが重要になります。

就活時には、それらの要素を避けて就職先を探していくと良いでしょう。

ライフラインチャートの起伏が少ない人は、たとえば「生活環境が安定していて、大きな変化やチャレンジなどの経験がなかった」「そもそも感情表現が控えめである」「視点が制限されている」といった理由が考えられます。

必ずしも悪いことではありませんが、自己PRを作成する際には焦ってしまうかもしれませんね。

経験を細かく振り返り、見逃している出来事や感情の動きはないか再評価してみましょう。また、大きな変化ではなくても、日常のなかの小さな成功や失敗、気づきも大切な経験です。

どうしても自分では見つけられない場合は、友人や家族などに印象に残っているエピソードを聞いてみると新たな発見につながるかもしれません。

ライフラインチャートとよく似た手法として、やる気にフォーカスしたモチベーショングラフというものもあります。興味のある人はぜひこちらの記事を参考にしてください。

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自己分析に有効な手法としてモチベーショングラフがあります。モチベーショングラフは適切な書き方や活用方法を知らないと、就活にうまく活かせません。この記事ではキャリアアドバイザーがモチベーショングラフで自己分析を極める方法を解説します。

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③メモリーツリー:興味や思考を視覚的に整理する

メモリーツリーの作成例

メモリーツリーとは、脳内に浮かぶ情報同士がどのようなつながりを持っているかを書き出すことで、思考プロセスや興味を整理するフレームワークです。多くある自己分析のフレームワークのなかでも自由度が高いものなので、感覚的に自己分析をしたい人や、抽象的に考えることが得意な人におすすめです

紙の中心に置いたテーマから連想できる単語を放射状に広げていき、脳内の地図を作り出すイメージです。単語のつながりや単語の集まりから興味や思考の傾向を導き出します。ツリーの全体図にも個性が表れますよ。

自分史やライフラインチャートと大きく異なるのは、時間軸に沿わない点です。思いついたことをあとからでも書き足しやすいというメリットもあります。

自分の興味関心が明確になっていると、自分に合った業界や職種などを絞りやすくなります。

久野 永理

プロフィール

メモリーツリーは思っていることを書きだす作業になるので、きれいに書けなくてもかまいません。自身の考えていることを紙に書き出す作業になるので、書くことが好きな人、比較的時間に余裕のある人に向いているといえるでしょう。

メモリーツリーと類似したマインドマップというフレームワークもあります。脳内の地図を書き出すタイプのフレームワークに興味のある人はこちらの記事もぜひ参考にしてください。

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④Will・Can・Must:能力とやりたいことをロジカルに整理する

Will・Can・Mustで考える

Will・Can・Mustとは、Will=「理想・欲求」、Can=「強み・スキル」、Must=「周囲から期待されていること・やるべきこと・課題」の重なりから自分の目指すべき方向性を導くフレームワークです。

「どのように働きたいか」「自分の強みは何か」「社会人になるにあたってどんな学習や苦手克服が必要になるか」、思いつくままに書いていきましょう。それらの3要素はそのまま就活の軸にもなるので、業界・業種の選択やキャリア形成に活用しやすい手法でもあります。

これまでに自己分析をおこなったことのある人が就活の方向性を見直す際には非常に使いやすく、おすすめのフレームワークです

Will・Can・Mustの例

Will=より多くの人の役に立って感謝されたい・周囲から認められたい
Can=人に対して誠実に対応できる・本番のために入念に準備できる
Must=会社に貢献する・利益を上げる

→顧客にとって最適な提案を常に心掛け、会社の評判と営業としての評判を同時に追求する

「強みがない」という相談はよく受けます。「無意識にできる」からこそ「強み」なので、本人が気付いていないだけというケースがとても多いです。また、本当は強みであるにもかかわらず、自分では弱みだと認識していることも多いです。

強みは自分では気付きにくいからこそ、自己分析ツールを利用したり、友人や家族にフィードバックをもらったりして、客観的に自分を分析すると良いと思います。

また、強みはいつからでも開発が可能です。やりたいことに対して能力が足りていないと感じる場合は、必要なスキルを習得し、強みを育てていきましょう。

他己分析の方法2選! 自己分析の精度を高めよう

自己分析について調べるなかで「他己分析」という言葉を見かけた人も多いのではないでしょうか。他己分析とは、他人に自分を分析してもらう、自己分析の一手法です。ほかの人に自分を分析してもらうことで分析内容の客観性を担保し、精度を高めることができるので、自己分析とセットでおこなうこともおすすめです。

他己分析を依頼する相手は、あなたの長所にも短所にも誠実に向き合ってくれる人を選びましょう。より自分を深く知るために依頼するので、あなたに遠慮してしまったり、反対にあなたが自分のことを話しにくいと感じる人は依頼相手として適当ではありません。

あなたをよく知る家族・友人や、就活や各業界・企業について広い知識を持つキャリアアドバイザーへ依頼することはもちろん、実際に志望先に勤めるOB・OGを頼るのも良いでしょう。気恥ずかしく感じる人もいるかもしれませんが、面接で「周りの人にどんな性格だと言われる?」と質問されることも多いので一石二鳥です。

それでは、日頃のあなたが他者にどう映っているのかを知るためには、どのように依頼すると効果的でしょうか。ポイントを確認していきましょう。

①添削依頼:分析内容を身近な第三者に見てもらう

これまでにおこなってきた自己分析の内容や、フレームワークに沿って作成した図、あるいは自分一人ではまとめられなかった各要素などを、そのまま第三者に見てもらいましょう。手元にあるものを流用できるので、最も手軽な他己分析といえます。

行き詰まっている箇所については他者視点の結論を得られる可能性があります。場合によっては、分析内容そのものに対して何かしらの指摘を受けるかもしれません。「自分のことは自分が一番わかっている!」とはねのけることはせず、「そういう見方もあるのか」「気づいていなかったがそういうところがあるのかも」と一度受け止めることが大切です。

遠藤 美穂子

プロフィール

他己分析と自己分析の結果が異なる場合、納得して取り入れるかを選ぶのは自分自身です。良い意見はありがたく取り入れて自信につなげ、厳しい意見は改善点=短所に気づけて良かったと受け止めてみてはいかがでしょうか。

②ジョハリの窓:枠に沿って他者と認識をすり合わせる

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは、他己分析のフレームワークです。複数人でお互いの性質や特徴を指摘し合うことで、自己と他者の認識のズレを確認し、かつすり合わせていくことで認識を深めていく手法です

「開放の窓」を広げることを目指し、「盲点の窓」や「秘密の窓」に分類された要素がなぜそこにあるのか議論し、認識をすり合わせていきます。その中で「未知の窓」にたどり着けるとなお良いでしょう。

特に「盲点の窓」や「秘密の窓」について話すときは、具体的なエピソードを挙げましょう。エピソードと結論のつながりが不自然だった場合には思い込みや印象につられている可能性が高く、反対につながりが自然だった場合には双方の納得度が増し、有効なすり合わせができます。

そして「未知の窓」は、ほかの3つの窓を総合して導き出すことが可能です。それまでに挙げられた特徴の共通点や矛盾点に向き合うことで、これまで意識してこなかったあなたの新たな一面が見えてきますよ。

未知の窓の発見例

開放の窓:真面目(約束を守る・誰に対しても丁寧)
盲点の窓:行動力がある(率先して動き出すことが多い)
秘密の窓:悲観的(いつも失敗を想像する)
未知の窓:真面目×行動力がある×悲観的=苦手なことにも強い責任感で取り組んでいる

他者から自分がどう見えているかを知りたいときに有効な手法なので、初対面の他者である面接官の視点を考える際にも活用できますね。

一対多数で特徴を指摘し合うことに忌避感があります。仲が険悪になったりしないでしょうか?

久野 永理

プロフィール

相手の特徴をポジティブに伝え合うことを意識しよう

ジョハリの窓は信頼関係のあるメンバーで実施する安心した場であって、決して短所やネガティブな部分を指摘し合う場でありません。「指摘し合う」より「伝え合う」という言葉のほうが合っているのかもしれません。

相手へはポジティブな言葉で伝えていきます。意外と自分が弱みだと思っていることが周囲から強みといわれているケースをよく見かけます。複数人の前で話し合うのが難しいようであれば、紙に書いて伝え合うやり方もあります。

あくまでもその場限りのワークショップです。ネガティブな言葉に対して人それぞれのとらえ方があることを知り、気持ちをひきずらないようにしてください。

他己分析についてはこちらの記事でも紹介しています。詳しい質問例のほか、他己分析をおこなうにあたっての注意点なども解説しているので、他己分析をおこなってみたい人は必見です。

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就活ではよく自己分析の重要性が取り挙げられますが、他己分析をすることで自己分析の精度を上げることができます。記事では、キャリアコンサルタントの解説を交えながら、他己分析をおこなう具体的な方法や質問例、面接への活かし方などを解説するので、ぜひ参考にしてください。

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自己分析で陥りやすい5つの落とし穴

自己分析は「自分は何者か」を明らかにする作業です。前提として、性格や価値観といった自身の内面を正確に言葉にすることは非常に難しく、そこに就活という要素が加わると考えの偏りが発生しやすいため注意が必要です。

自己分析に失敗すると、内定獲得が遠のいたり、就職後になってミスマッチが発覚する可能性が高まります。また、分析が行き詰まることによる精神的な疲弊にもつながります。それでなくとも負担の大きい就活ですから、自己分析は失敗したくありませんよね。

ここからは自己分析でつまずきやすい5つのポイントを紹介します。あなたが自分らしく健康的に働ける企業とのマッチングのために、しっかりチェックしていきましょう。

①分析結果を企業側に寄せてしまう

企業の「求める人物像」で多く挙げられる要件

  • コミュニケーション能力が高い
  • 積極性を持っている
  • リーダーシップがある
  • 協調性がある
  • チャレンジ精神がある
  • 向上心が強い

多くの企業が「経営理念」や「求める人物像」をホームページ(HP)や新卒採用用の特設ページなどに掲載しています。その企業への志望度が高いほど、つい自分の性格や価値観を「その企業が求める学生像」に寄せたくなりますよね。

しかし、自分を極端に偽って選考に臨んだとしても、面接官は人を見るプロなので「この学生は無理をしているな」と不合格になる可能性が高く、内定を獲得したとしても、就職後に感じるギャップは大きなストレスを生み、早期離職にもつながりかねません。

自己分析の時点では就活や選考のことは考えず、自分の本質を素直に追いかけましょう

遠藤 美穂子

プロフィール

企業が求める人物像は、あくまでも「あれば望ましい」という資質です。社員全員が同じだけの強さで同じ資質を持っていては組織はうまく回りません。

「その人らしさ」を仕事の場面でどう活かすかを面接官は知りたいと考えています。

②先入観をもとに分析してしまう

特に就活を控える学生が起こしやすいミスとして、志望業界・企業・業種のイメージと自分の価値観が一致しているはずだ、といった思い込みから自分像を無意識のうちにねじ曲げてしまうことが挙げられます。

たとえば、「自分は流行に敏感で発想力にも富んでいるから、広告業界がピッタリだ。学生時代に運動部だったからタフだし、営業職を志望しよう」といった流れで志望先を決めてしまうのはリスクを伴います。

自己分析の結果として「広告業界の営業職」が最適と思うのならば良いですが、結論ありきで分析を進めているとほかの業界や職種の情報を遮断する恐れがあります。また、業界の情報を正しくキャッチアップできていないままイメージを先行させて就活を進めてしまうと、後々にミスマッチが発覚し、結果大きなタイムロスを生む危険をはらみます。

そのほかにも、自己分析のなかで浮かび上がった短所や思い出したくない過去を受容しきれずに無視してしまう、模範的・形式的な文言と替えてしまう人もいるかもしれません。しかし、面接官は多くの学生を見てきているので、実際のあなたの持つ印象と話の内容のねじれにはすぐに違和感を抱きます。

就活において重要なのは、あなたが個性や魅力を活かして働ける環境とマッチングすることです。せっかくの個性を消してしまうことはせず、あるいは受け入れがたい自身の側面に対してもこの機に向き合い、あなたがいきいきと働ける就職先がどこなのかを考えましょう

自分の欠点や過去の失敗を受け止めるのは苦しく、勇気のいることだと思います。それらをネガティブにとらえるのではなく、成長の機会だと考えることが重要です。

完璧な人間は存在せず、誰にだって失敗はあります。成功経験だけでなく、失敗経験から得られるものはたくさんあります。欠点や失敗を含めてありのままの自分を受け入れ、そこから学びを得ることで改善策につなげていきましょう。

③振り返りの焦点が合っていない

振り返りの焦点が合っていない例

  • 過去を思い返すだけになっていて、分析に行きついていない
  • 掘り下げる内容・時間に偏りがある
  • 自分の価値観や性格の追及ができていない

自己分析をしたにもかかわらず選考結果が芳しくないという人は、過去を振り返っただけで分析にまで至れていない可能性があります。その結果として、ESがあなたの個性が見えない機械的な内容になってしまったり、面接官による質問が重なるにつれて答えに窮することが想定されます。

深掘りする時間や経験に偏りがあることも危険です。直近の出来事にばかり注目していると、あなたが現在に至るまでに学んだ出来事やそれにともなう成長が見えてきません。

記事の自己分析の基本的な流れ3ステップを参考に、自分のことを知らない第三者にもしっかり伝わるよう、振り返りの焦点を合わせて自己分析をおこないましょう

中でも自分自身を主語にして過去を振り返ることがおすすめです。

久野 永理

プロフィール

自己分析では、過去を振り返ること自体ではなく、過去から現在の自分のつながりを考え、自身の価値観や考え方を見つけることが大切です。それらは過去から同じなのか、過去があったから変わったのかなど、過去と現在の比較によって見えてきます。

振り返りはエピソードの発掘に過ぎません。しっかりと深掘りをしましょう。

④特筆すべき出来事がないと切り捨てる

掘り下げる出来事が見つからない場合のチェックリスト

  • 過去を網羅的に振り返ることができているか
  • 自身の過去を客観視できているか
  • 自身の過去の感情を振り返りのなかに組み込めているか
  • 就活に役立つかどうかで掘り下げる箇所を選定していないか

振り返りをしていくうちに、「あれ、深掘りできる経験が全然ないな……」と思う人もなかにはいるかもしれませんが、その場合は自己分析の基礎を押さえきれていない可能性があります

フレームワークに触れてみたものの自分史に空欄が多かったり、モチベーショングラフの起伏が少なかったりなど、掘り下げるべきポイントがよくわからなかったということもあるかと思います。

しかし、深掘りして見つけるべきものはあなたの根幹となる価値観や性格であり、経験のスケールは無関係です。些細な2択だったとしても、AよりBのほうが良いと感じたならば、あなたが「何となく」で選んだとしてもそこにはあなたなりの理由があるはずです。

とりとめのないことだからと切り捨てず、小さなことでも地道に書き出し、分析していきましょう。

遠藤 美穂子

プロフィール

謙虚な人は「大した経験がない」「人よりすごいところがない」と自己分析で苦労しがちです。学生みんなが世界レベルの何かの達人というわけではないので、相対評価ではなく「自分なりの」工夫や努力を言語化できれば十分です。

⑤短所ばかり考え長所を見つけない

過去の振り返りは楽しいことばかりではありません。これまでに味わった挫折や失敗体験などを思い起こすうち、悲観的になってしまう人もいるかもしれません。あるいは、自分は何の努力もしてこなかったと自虐的になってしまうこともあるかもしれません。以下のような振り返りが例として考えられます。

短所ばかりに注目している例

  • 部活動で何の成績も残せなかった
  • 学業にも特に力を入れてこなかった
  • 努力に結果がともなわなかったので自分はそもそも出来が悪いのだと感じる
  • 大学時代は部活動もサークルもしなかった
  • アルバイトは機械的にこなしていただけで何の目標もなかった

しかし、重要なのは結果よりも経過、つまり目標達成のためにあなたがどのように考え、行動したかであり、企業もプロセスからあなたの人柄を把握しようとしています。目標を明確に設定していなかったとしても、行動によって得た対価や学びをどのように活用したかを考えましょう。

また、短所と長所は表裏一体です。「部活で成績を残せなかった」と感じるのは結果に向けて最後まで努力し続けたからかもしれません。「努力に結果がともなわなかった」と思うのは現状に満足しない強い向上心ゆえかもしれません。

短所やそれを補強する具体的なエピソードを見つけられているのは、しっかりと自分の過去と向き合っている証拠ともいえます。ポジティブに捉え直すとどのように表現できるのかを考えてみてください。

学生時代、部活やアルバイトなどの活動をせずぼんやり過ごしてしまいました。就活で言えるような長所が到底浮かびません。

長所やエピソードは日常生活のなかでも見つけられる

部活やアルバイトの経験がなくても、学業や困難な状況を乗り越えた経験など、多くの場面で強みを見つけることは可能です。たとえば、学業や研究で特に難しかった課題をどのように克服したかといったエピソードも十分にアピールできます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響での活動制限など、困難な状況でどのように対応し、乗り越えたか、精神的に成長したかといったことも大きな強みです。自信を持ってアピールしましょう。

短所を長所にとらえ直すのが難しいと感じる人へ向けて、その考え方について詳しく解説している記事もあります。具体例も豊富に紹介しているのでぜひ参考にしてください。

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実際どう活用する? 自己分析の選考での活かし方を5つの状況別に解説

自己分析の方法や注意点について解説してきました。ここからは実際の選考に向けて、自己分析の就活での活用に落とし込んでいきましょう。大切なのは、初対面の面接官にもあなたの魅力や志望度の高さが伝わるほどの明解さです。

これまでにも深掘りした内容や価値観の明文化の重要性には言及してきましたが、論理的な文章構成は就活において最も重要なポイントの一つです。わかりやすく汎用性の高い文章や回答を事前に用意しておくことは、各企業へのエントリーの負担を軽減することにもつながりますよ。

納得のいく就活のために欠かせないポイントや、ESや面接で聞かれやすい質問も解説していくので、一つずつ対策を進めていきましょう。

①就活の軸を定める

就活の軸を定める目的

  • 就活を効率的におこなうため
  • 企業とのミスマッチを防ぐため
  • 選考対策

就活の軸とは、あなたに合った企業・職場選びの根幹を担う重要事項です。就活の軸に正解はないので、あなたがいきいきとビジネスライフを送るために譲れないポイントを明確にしましょう。また、「あなたの就活の軸を3つ教えてください」はESや面接での頻出質問なので、選考対策にもなります。

世の中には数多の企業があり、それ以上の数の仕事があります。情報収集のために幅広い業界の説明会に参加することも大切ですが、実際に選考に進むとなると各企業に対して相応の時間と労力を割く必要があります。そのため、自身がやりがいを持って働ける仕事や環境を明確にしたうえでエントリー先を選定しなくてはなりません。

「やりたいこと」「やりたくないこと」「絶対に譲れない条件」とそれぞれの軸を持っておくことで、効率的な就活ができるだけでなく、就職後のミスマッチを防ぐことにもなります

たとえば「好奇心が強い」「人とかかわるのは好きだが少人数でじっくりと話したい」「土日はしっかりと休みたい」という分析結果にたどり着いた場合、「幅広い年代の人・さまざまな業界の人とかかわる仕事」「アポイントを取ったうえで顧客と話すスタイルの仕事」「完全週休二日制の会社」などの軸を立てられます。

やりがいに関する就活の軸の例

  • 困っている人を助ける仕事
  • 世界中の人をワクワクさせられる仕事
  • チャレンジをし続ける仕事
  • 人に直接感謝される仕事
  • 技術進歩に貢献できる仕事
  • 人の安全を守る仕事
  • グローバルな事業に携われる仕事
  • 好きなものにかかわれる仕事

働き方に関する就活の軸の例

  • 海外勤務の機会がある
  • リモートワークができる
  • 転勤がない
  • 給与が高い
  • 残業が少ない
  • 始業時間が遅い
  • 成果主義
  • 完全週休二日制

スキルに関する就活の軸

  • コミュニケーション能力を活かせる
  • 語学力を活かせる
  • 経験を活かせる
  • 専門性を活かせる
「やりたくないこと」など、消極的な希望しか浮かびません。企業にどうアピールしたら良いでしょうか?

久野 永理

プロフィール

自分の得意なこと・できることからアピールポイントを考えよう

軸を考えてもなかなか見つけられない人もいるでしょう。「やりたいことはないけれど、やりたくないことはある」のであれば、何ならできるのかは導き出せますよね。

「できる」を見つけるためにも自己分析は必須です。そのできるスキルを就活軸に活かしましょう。

また、たくさんあり過ぎて選択しづらい人もいると思います。企業は長く活躍してくれる人、応募職種に活かせるスキルを持っている人を探しています。

その会社がどんな人材を採用しようとしているのかを研究し、自分の軸とマッチングすることが大切です。

こちらの記事では90もの就活の軸の具体例を業界別の回答例とともに紹介しています。就活の軸が見つからない、言葉にできないという際にぜひ参考にしてください。

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②志望動機に落とし込む

志望動機は学生の志望度だけでなく、自社とのマッチ度を人柄の観点からも測るための項目です。そのため、業界・企業研究だけでなく、自分の価値観にも重きを置く必要があります。自己分析で明らかにした価値観がここで活きてきます。

そして、企業としては自社でより長く活躍できそうな人材を探しているため、単に企業を褒めるのみではなく、自分が企業にどれだけ貢献できる人間であるかをアピールしなくてはなりません。あなたの強みとそれを補完するエピソードを伝えることで、面接官の納得度がグッと高まります。

また、貢献と言っても、すぐに何百万の利益を生み出せるかどうかではなく、入社後に企業にさまざまな観点から役立とうとするモチベーションを持っていることが大切です。企業の目指す方向性を理解し、その企業だからこそ生み出せる価値に共感し、どのように企業に価値をもたらしたいと考えているかを伝えましょう

自己分析の結果

幼少期:活発だったらしい(母談)
小学校時代:落ち着きがないと注意されていた
中学時代:英語の成績が悪かったので英会話スクールに入れられた
高校時代:英語が得意になってきたので交換留学にチャレンジした
大学時代:居酒屋のアルバイトとボランティアを頑張った

好きなこと:人と話すこと・食べること(中高時代は毎日買い食いしていた)
苦手なこと:じっとしていること(→行動力がある)

強み:英語が得意(TOEIC750点)・海外へ行くのに抵抗がない
弱み:自分からは苦手なことに取り組めない(→好きなことに一直線)

自己分析の内容を落とし込んだ食品メーカーの志望動機(400字以内)

私が貴社を志望するのは「世界中の食卓に笑顔を与える」という企業理念に感銘を受けたためです。

私は家で食事をできない貧しい子どもと接した経験から、課題解決のために消費者の声を直に聞くことの重要性を学びました。

もともと食べることが好きで、大学で世界中の食について学びました。ある講義で発展途上国の食糧事情について、データをもとに解決策を練る課題が出ました。その他人事感に疑問を覚え、長期休みにボランティアとしてアジア圏の学校を訪問しました。

「家ではご飯が出ないから給食がうれしい」と笑う子どもたちと接し、子どもたちが当たり前に家でも食事ができる環境づくりに貢献したいと強く思いました。

貴社製品は文化を越えて受容される味です。世界中の食卓で貴社製品が家庭の味になる将来に寄与すべく、海外事業部の営業として国外での貴社認知のさらなる上昇に努めるとともに、消費者の声に心を傾け、自分ごととして課題解決を目指します。

説明会や資料を見ても各企業に大きな違いがあると思えません。どうやってその企業独自の魅力を見いだしたら良いですか?

遠藤 美穂子

プロフィール

社員の目線から企業の魅力を探してみよう

その企業ならではの唯一無二の商品やサービスを見つけるのは難しいですね。

それでも、各社で注力している部門や事業、企業理念などをじっくり比較してみると、少しずつ違いが見えてきます。説明会やOB・OG訪問で会った社員の印象も魅力の一つになります。

世の中一般的に言われていることではなく、自分がこの企業で働くとしたらどこが魅力かを考えてみてみましょう。

志望動機の作り方についてはこちらの記事でも解説しています。企業側の目線や他者との差別化を図るコツにも触れているので、ぜひ参考にしてください。

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③長所・短所を明確にする

長所・短所は人間的な特徴・性格を指し、強み・弱みは後天的にも獲得できるスキルを指します。そのため、長所・短所は最も端的にあなたの人柄を表す項目といえます。選考で聞かれることも多々あるので、自己分析では長所・短所をしっかり見つけましょう。

自己分析の結果

小学校時代:人見知り・ゲームやパソコンが好き
中学時代:パソコン部に入ったがなじめずに1年で退部・独学でプログラミングを学習
高校時代:帰宅部・勉強は頑張っていた
大学時代:理工学部・縦のつながりがなく試験の過去問を入手するのが大変だった

アルバイト:塾講師・中高生の理系科目担当

好きなこと:プログラミング
苦手なこと:コミュニケーション

強み:一人でコツコツと作業するのが得意
弱み:大勢とかかわるのは苦手

自己分析の内容を落とし込んだ長所の伝え方

私の長所は自分の興味をとことん突き詰められる点です。

子どもの頃からゲームやパソコンが好きで、それが高じて中学時代には独学でプログラミングについて学びました。高校時代もプログラミングの技術を磨いていて、1年かけて自作のゲームを完成させたこともあります。

プログラミングへの学びを深めるために、大学では理工学部の情報理工学科に入りました。大学在学中も講義内外でアプリを制作して教授に意見を仰ぐなど、プログラミングの道を追求しました。現在も研究室に所属してプログラマーとしての腕を磨いています。

このように、私は自分の興味関心を自分なりに突き詰めることができます。そして、そのために必要な努力であれば決して惜しみません。

自己分析の内容を落とし込んだ短所の伝え方

私の短所は大勢とのコミュニケーションが苦手な点です。

パソコンが好きだったので中学時代はパソコン部に入りましたが、大勢の人が出入りする環境で作業に集中できず、退部してしまいました。高校時代も趣味に傾倒していて積極的に人とかかわろうとはしませんでした。

しかし大学に入ると自分と同じ趣味や傾向を持った人たちがコミュニティを築いていました。ずっと趣味を言い訳にコミュニケーションから逃げてきたのだと気づき、改善すべく、1年生の夏頃からは塾で講師としてアルバイトを始めました。

生徒に頼られる存在になることを目標に、関係構築に努めました。どんな内容でも相手の話は真剣に聞き、相談には時間をかけて自分なりの答えを返しました。生徒が卒業するときに感謝の手紙をくれたときには感動しました。

これからも実直に相手に向き合いコミュニケーション能力を磨き、ゆくゆくは集団での関係構築も克服できるよう努めてまいります。

面接官は経験豊富であり、誠実さや信頼性を重視します。過度に自分を偽ることは避けるべきです。

自分を偽ることは短期的には成功するかもしれませんが、長期的にはミスマッチや不満につながる可能性があります。自分の長所と短所を正直に伝えつつ、それらがどのように志望先の風土に適応し、貢献できるかを伝えるようにしましょう。

長所・短所についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。言い換えの具体例なども多く紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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④自己PRのアピールポイントを定める

PREP法

自己PRとはあなたの強みを企業にアピールする項目です。学生時代に力を入れてきたこと、いわゆるガクチカと混同されることがありますが、両者は別物です。ガクチカはある物事に注力した経験から物事への取り組み姿勢をプレゼンするものです。

どちらもあなたの長所が見える内容ですが、項目分けられている以上、それぞれ違うポイントをアピールしましょう

自己PRを作成するときに大切なのは、推すポイントを定めることです。

自己分析を通してあなたの強みが複数見つかったとしても、要点を絞らなくては聞き手は「結局何を言いたいの?」とあなたの魅力をつかみ損ねてしまう恐れがあります。最も自分らしいものを選択するでも良いですし、あなたが持ついくつかの強みのなかで志望先とマッチ度が特に高いものがあれば戦略的にそれを選んでも良いでしょう。

いずれにせよ、あれもこれもと詰め込みすぎるのではなく、「あなたの強み」「根拠となるエピソード」「エピソードを補完する具体例」「結論」を筋道立てて説明しましょう。PREP法を意識すると書きやすくなりますよ。

自己分析の結果

幼少期:活発だったらしい(母談)
小学校時代:落ち着きがないと注意されていた
中学時代:英語の成績が悪かったので英会話スクールに入れられた
高校時代:英語が得意になってきたので交換留学にチャレンジした
大学時代:居酒屋のアルバイトとボランティアを頑張った

好きなこと:人と話すこと・食べること(中高時代は毎日買い食いしていた)
苦手なこと:じっとしていること(→行動力がある)

強み:英語が得意(TOEIC750点)・海外へ行くのに抵抗がない
弱み:自分からは苦手なことに取り組めない(→好きなことに一直線)

自己分析の内容を落とし込んだ自己PR

私の強みは行動力です。

なぜならば、私は自身の英語力を活かして高校時代には交換留学、大学時代には海外ボランティアにチャレンジしたからです。

特に大学のボランティアについては、講義で海外の問題についてデータだけで議論を進めることに疑問を覚えたからこそ、現地に行って学びを深めたいという思いで参加を決めました。行った先はアジア圏で、英語が通じないことも多かったですが、簡単な文章や単語のやり取りで自分なりに現地で情報を集めました。

その結果、講義で扱った問題に対して自分として納得のいく答えを出すことができ、それをテーマにした卒業論文は論集に掲載されました。

以上より、私には問題解決のために主体的に動ける行動力があります。

久野 永理

プロフィール

自己PRとガクチカの内容やテーマが同じになってしまう場合もあるでしょう。両者の違いを認識したうえで、テーマは同じでもエピソードが違う・話し方で区別するなど、内容が同じにならないような工夫が必要となります。

自己PRとガクチカについては以下の記事でも詳しく解説しています。両者の違いを理解し、魅力的な文章を作成しましょう。

自己PRとガクチカの書き分け方
ガクチカと自己PRの違いは? 例文付きで相違点をわかりやすく解説

魅力的な自己PRの作成法
面接官を惹きつける自己PRの答え方|例文12選

⑤ガクチカで課題への取り組み姿勢を明らかにする

STAR法

ガクチカは物事への取り組み姿勢、もっといえば目標達成のためにどのような働き方ができるかをアピールするための項目です。その姿勢が入社後の仕事への取り組み方を表すと企業側は考えているのです。そのため、目標を達成しようとする意欲と行動をどれだけわかりやすく説明できるかが鍵を握ります

企業は組織としての大きな目標に向かって社員が役割を分担しながら業務にあたっています。どんなポジションであろうと目標達成に向けて計画的に行動すること、計画通りにいかないと判明した時点でどのような軌道修正を図れるか、その過程から何を学んだかが重要です。

自己分析の振り返りを通して、あなたが課題にどのような姿勢で向き合ってきたかが洗い出されているはずなので、STAR法を意識しながら文章化していきましょう。

学生時代に取り組んだことであれば取り組んだ内容はどのようなものでもかまいませんが、課題解決のための動き方と志望先との親和性は見られています。たとえば、周囲と協力して業務に取り組むポジションに応募しているにもかかわらず一人で実践した内容をガクチカとしてプレゼンすると、志望先とのマッチ度が低いと取られる可能性があります。

振り返ったなかから志望先の働き方とのマッチ度が高い取り組み内容を選択すると、「入社後に課題に直面しても、学生時代と同じように前向きに解決を図ってくれるだろう」と良い評価を得やすくなります。

学生時代に打ち込んだことはあっても、結果らしい結果を残せませんでした。

企業は結果だけでなく過程とそこからの学びを重視している

目標達成に至らなかった経験でも、その過程や学び、挑戦する姿勢を適切にアピールすることで、良い印象を与えることができます。

企業は結果だけでなく、その過程での努力や成長、学びを重視します。努力や失敗からの学びを具体的なエピソードを通じて伝えることで、しっかり自己アピールできますよ。

自己分析の結果

小学校時代:人見知り・ゲームやパソコンが好き
中学時代:パソコン部に入ったがなじめずに1年で退部・独学でプログラミングを学習
高校時代:帰宅部・勉強は頑張っていた
大学時代:理工学部・縦のつながりがなく試験の過去問を入手するのが大変だった

アルバイト:塾講師・中高生の理系科目担当

好きなこと:プログラミング
苦手なこと:コミュニケーション

強み:一人でコツコツと作業するのが得意
弱み:大勢とかかわるのは苦手

自己分析の内容を落とし込んだガクチカ

私が学生時代に最も力を入れたことは、大学でのアプリ開発です。

幼少期からプログラミングには興味があり、中高時代も独学でゲームを自作するなどしていました。そのため、アプリを作る課題を出されたときもそう難しくはないだろうと思っていました。

しかし実際には、初対面の4人で構成されたチームで制作をおこなうことは非常に困難でした。序盤からアプリの方向性についての議論でメンバーの意見が割れ、ほかのチームに大幅に遅れを取りました。

そのとき教授から「君たちの話し合いは議論になっていない」と指摘を受け、私を含め全員が意見の主張と受容まではできていても、すり合わせに至っていなかったと気づきました。

そこで、詳細なスケジュールの設定を提案しました。全員で時間を意識することで建設的な話し合いの重要性を共有できました。

期限間際にアプリは無事完成し、教授からはチームの一体感を高く評価してもらえました。

高評価を狙えるガクチカの書き方はこちらの記事で解説しています。例文も多く載せているので、ぜひ参考にしてください。

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ガクチカを企業へ適切に伝えられる構成を、キャリアアドバイザーの意見と併せて解説をしています。 その他にも、魅力的な構成のガクチカを作るための準備なども紹介しています。

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ガクチカの構成は7ステップで高評価を狙おう! 例文12選付き

自己分析とは自分に合った仕事を探す準備! 自分のやりがいや将来像を明確にしよう

自己分析とは何かを解説してきました。就活では過去から現在までのあなたのことだけではなく、あなたがこれからどうしたいのか、どうなりたいのかがとても大切になります。しかし就活や内定獲得は通過点であり、ゴールはあなたがいきいきと働くことです。

長い社会人生活のスタートをより良いものにするために、そしてその先でさらに社会人生活を充実させるために、自分の価値観や将来像を明確にすることは欠かせません。精度の高い自己分析を活用し、選考を突破しましょう。

アドバイザーコメント

自己分析でこれまで気付かなかった自分の可能性を見つけよう

就活における自己分析は、これからの人生=キャリアをどのように進んでいくかを考えるための材料集めといえます。

「やりたいことが見つからない」という人は、好きなことや得意なことから選択肢を広げてみましょう。

「どの業界も面白そうで選べない」という人は、気になる社会課題や価値観から業界を絞ってみてください。

「営業はちょっと……」という人も、人の話をじっくり聴けるという強みがあるならば、実は顧客の悩みを聞くのが仕事である営業に向いているかもしれません。

自己分析で行き詰まったら、大学のキャリアセンターなどでカウンセラーと話すうちに思いを言語化できることもあります。

自己分析では自分の将来を前向きにとらえることが重要

就活の自己分析では、無理につらいことまで掘り起こさなくても大丈夫です。過去を振り返ることで、できることやできたこと、実現できなかったことはわかりますが、これから先にできるようになるかもしれないことや面白くなるかもしれないこともあるでしょう。

過去の分析だけでなく、現在の自分の気持ちや夢、将来やってみたいこともぜひ楽しく考えてみてください。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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