ジョブホッパーの定義とは? 転職経験を活かすキャリア形成のコツ

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  • キャリアコンサルタント/公認心理師

    Ikuko Yoshino〇就職支援歴18年。若者就労支援NPOに勤務の後、独立。現在は行政の就職支援施設にて、学生/既卒/フリーター/ニート/ひきこもり/女性などを対象に相談やセミナー講師を担当

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  • キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級

    Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施

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  • キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士

    Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう

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近年、転職することを前提に就活をする学生も多いですが、転職が身近になったことで、短期間での転職をくり返し一社で長く経験を積むことができない「ジョブホッパー」と呼ばれる人も増えました。

終身雇用に慣れ親しんだ日本では、理由にもよりますが、転職回数が多いことに対して企業からネガティブな印象を持たれることもあります。しかし、そもそもどの程度の期間で何度転職をすればジョブホッパーになるのか、またジョブホッパーは転職市場で評価が低い存在なのか気になっている人もいるでしょう。

この記事ではキャリアアドバイザーの吉野さん、隈本さん、瀧本さんとともに、ジョブホッパーについて徹底的に解説していきます。社会で活躍するジョブホッパーの特徴や、ジョブホッパーが築けるキャリアなども紹介するので、「自分はジョブホッパーかもしれない」と思った人はぜひ最後まで目を通して今後の参考にしてください。

目次

ジョブホッパーは組織で活躍できる! 経験を魅力にして理想のキャリアを築こう

ジョブホッパーにネガティブなイメージを持っている人は、短いスパンでの転職そのものを良くないことだと思っているかもしれません。しかし、転職によって複数の企業を内側から見てきた経験は大きな強みになります。重要なのは転職経験をどう活かすかです。

この記事ではまず、採用現場でジョブホッパーがどのように評価されているかを解説します。企業がジョブホッパーに求めることや、さまざまな企業で活躍するジョブホッパーの共通点を知り、自分の転職経験をどのように活かせるかを見つめ直す機会にしてください。

後半からは、ジョブホッパーならではの強みを、理想のキャリアの実現のために活かす方法を具体的に考えていきます。今後どのように仕事と向き合いたいかを明確にして、理想的な働き方を実現させましょう。

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そもそもジョブホッパーとは? 転職が何回なら当てはまる?

ジョブホッパーは、一社に定着することなく、短期間で転職をくり返す人を指します。「転職をくり返す」という意味のjob-hoppingを語源とした呼び名です。ただし、明確に何年のうちに何回以上転職をするとジョブホッパーと呼ばれるという明確な定義はありません。

では、どれほどの頻度で転職をすると一般的にジョブホッパーと呼ばれるのでしょうか。自身も転職を経験しているキャリアコンサルタントの隈本さんに話を聞いてみました。

アドバイザーコメント

業界や企業状況によってジョブホッパーの定義は大きく変わる

一般的には、3年以内に3回以上の転職をしている人はジョブホッパーと見なされるでしょう。ただし、この基準は業界や職種によってさまざまです。

まず、技術革新が急速に進む分野では、頻繁な転職が必ずしもネガティブにとらえられることはありません。むしろ、異なる業界・企業での多様な経験が評価される傾向にあります。

そのため、たとえばIT業界やスタートアップ企業では、3年以内に2~3回の転職をしていても、技術や知識の向上、キャリアアップの一環と受け取られることも多いでしょう。

一方で、金融業界やメーカー業界など、一社に長く勤める慣習がある業界では、頻繁な転職はネガティブに見なされやすいです。

これらの業界では、長期間にわたって一つの企業で経験を積むことが信頼性や専門性を証明すると考えられています。よって、3年以内に2回以上の転職経験があると、採用担当者も判断に慎重になります。

職種によっても転職経験が好意的に受け取られる場合がある

また、職種によっても転職への考え方は異なり、プロジェクトベースで働くクリエイティブ職やコンサルタント職などは、複数の企業での経験が幅広いスキルセットや適応力の証明と見なされやすいです。

このような職種では、1~2年ごとの転職がキャリアの一環として受け入れられるでしょう。

どう見られている? 企業からジョブホッパーへの8つの評価

一社にとどまることなく転職をくり返すジョブホッパーは、企業から高い評価を得ることが難しいのではと考える人もいるかと思います。しかし実は、役職ではなく業務内容によって給与が決まるジョブ型雇用が一般的なアメリカなどでは、転職をくり返してキャリアアップを図るのはそれほど珍しいことではありません。

日本でも転職が身近な選択肢になりつつある今、誰しもがジョブホッパーになる可能性を持っていることを念頭に置く必要があります。ジョブホッパーがどのような点を企業に評価されて何度も内定を勝ち取っているのかを知っておくと、ジョブホッパーだけでなく転職に興味のある人にとっても今後の参考になります。

また、ジョブホッパーの強みだけでなく、ジョブホッパーが企業に懸念されやすい点も押さえておきましょう。先んじて企業の抱える不安を把握しておけば、現職のうちに対策が可能です。企業からジョブホッパーへの評価を把握して、理想的なキャリアの形成に役立ててください。

企業がジョブホッパーに期待する能力や強み

ジョブホッパーは、言い換えれば何度も企業に採用されている人でもあります。それは企業がジョブホッパーに対して何かしらの期待をしているからにほかなりません。個人の持つ専門的なスキルが影響することもありますが、ジョブホッパーが必ずしもそういった特殊性を持っているわけではありません。

ここでは、ジョブホッパーが企業から期待される能力や入社後の役割について確認していきます。ジョブホッパーであることに負い目を感じていた人は自分の強みに気付くことができるかもしれません。また、転職によるキャリアアップやスキルアップに興味のある人は、転職先で求められる基本スキルを把握することが可能です。

ジョブホッパーの強みを理解し、自分のキャリアや経験の活かし方を考える際の参考にしてください。

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①幅広い経験を活かした課題解決力

ジョブホッパーはさまざまな環境で幅広い業務を経験しています。言い換えれば、ジョブホッパーはその経験や知識をかけ合わせてシナジーを生み出す可能性を持っているのです。たとえば営業職と開発職の経験を持つジョブホッパーは、顧客の要望をかなえて売り上げを立てたい営業職と、現実的かつ良質な製品を作りたい開発職が衝突する背景をよく理解しているため、両者の架け橋となりえます。

このように企業は、多岐にわたる課題に立ち向かってきた経験や多角的な視点を活かして、自社の抱える課題を解決してくれることをジョブホッパーに期待しています

また、さまざまな環境に身を置くなかで鍛えられた視野の広さや経験則は、既存社員に影響を与えます。性質の異なる者同士が協働することによって、これまでと違ったアイデアが生まれる効果も期待できるため、企業はジョブホッパーの採用を検討するのです。

吉野 郁子

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課題解決力には、短期的なトラブル解決に優れている場合と、トラブルが発生しないような体制の構築に優れている場合の2つが考えられます。

ジョブホッパーには前者が求められ、既存社員には後者が期待されやすいです。

課題解決力をより魅力的にアピールするコツはこちらの記事で詳しく解説しているので、自身の強みとして押し出していきたいと考えている人はぜひ目を通してみてください。

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②目的達成に向かう強い行動力

転職という大きな決断をする行動力そのものも、企業視点では評価項目の一つです。特にスキルアップなどの明確な目的を持って転職活動をおこなう人は、目的を達成するための努力を惜しまないと高評価を得られる可能性があります。

ジョブホッパーは目的を達成するための熱量と、目的達成にかける行動量を職歴で示すことができます。さらに、転職をくり返して目的をかなえようとする積極性・自立性も伝わってくるので、企業はジョブホッパーが業務においてもその行動力を発揮して企業に貢献してくれるのではと期待するのです。

とはいえ、強みとして行動力をアピールしたいならば、職歴だけでなく、どのような背景があって転職をしてきたのかといったエピソードも付け加える必要があります。どのようなエピソードトークが自身の魅力を企業へ明確に伝えられるのかは以下の記事で解説しています。例文も豊富に掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

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③熱心に自己成長を目指す意欲

複数回の転職という思い切った行動の目的に当たる成長意欲もまた、社会人に求められる心構えです。常に新しい知識を吸収しようとする姿勢があれば個人のスキルアップがかなうだけでなく、周囲にも影響を与えます。

加えて、転職は新しい環境で成長を目指す、非常にチャレンジングな行動です。新しく入社したジョブホッパーが積極的に業務に取り組んで期待以上の成果を上げれば、本人は自信を付けてさらに学習を重ね、周囲も触発されて主体性を持って仕事に臨むようになります。

このように成長意欲の高いジョブホッパーの加入は、組織全体のパフォーマンスを向上させる効果が期待できるのです

新しい職場でも緊張せず主体的に動けるジョブホッパーは、これまでの多様な経験から高い適応力とコミュニケーション能力、柔軟な思考を育んでいる人が多いです。

このような人たちは、素早く環境に慣れて、積極的に新しいチャレンジを取り、自信をもって行動するための良いサイクルを確立させていくことが得意です。

成長意欲と似た強みとして、向上心があることや、ストイックさ、責任感の強さ、努力家な一面などが挙げられます。以下の記事ではそれぞれの強みを企業にアピールする際のコツを詳しく解説しているので、成長意欲を強みとして押し出す際にはぜひ参考にしてください。

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④多くの人と協働したコミュニケーション能力

ジョブホッパーは転職するたびに新しい人間関係を構築し続けているため、コミュニケーション能力が高い傾向にあります。コミュニケーション能力は社会人に求められる基本的なスキルです。短い期間で周囲との連携を取り、さらに良い結果を出すことができれば、コミュニケーション能力は非常に高いと言えます。

コミュニケーション能力が求められるのは社内だけではありません。社外の人と接する機会のある職種の場合もコミュニケーション能力はきわめて重要です。丁寧なコミュニケーションによって関係者や顧客からの信頼を獲得できれば、業務効率や業績の向上も見込めます

瀧本博史

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ジョブホッパーは多様な職場経験を積んでいて、多角的な視点と高いコミュニケーション能力を持つ一方、一社に長く勤めている人は長期間の一貫した勤務を通じて深い社内関係と協調性を築くことが可能です。

ジョブホッパーは新しい環境への適応力が高く、短期間での成果を求める傾向がありますが、協調性や忍耐力に欠けると見られることもあります。

コミュニケーション能力のアピール方法については以下の記事でも詳しく解説しているので、強みとしてアピールしたい人はぜひ参考にしてください。コミュニケーション能力はどのような職種であっても必須のスキルなので、より自分の魅力を伝えられるアピールの仕方を考えましょう。

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企業がジョブホッパーに懸念しやすいこと

長所と短所は表裏一体なので、先に挙げたジョブホッパーの強みも、見方を変えれば弱みとしてとらえられてしまう恐れがあります。

以下では企業がジョブホッパーを採用するにあたって懸念しやすいことを解説するので、ジョブホッパーに当てはまる人は企業の懸念事項を確認し、企業の不安を払拭できる材料を持ち合わせているかを確認しましょう。

また、ジョブホッパーでない人も、以下の項目は把握しておくことをおすすめします。これらは企業がジョブホッパーに対して特に不安視しやすいことではあるものの、組織で活躍するには欠かせないことでもあります。転職するしないにかかわらず重要なスキル・経験なので、今後の成長のためのチェックリストとして参考にしてください。

①組織の中核を担った経験が不足しているのではないか

短期間での転職をくり返す人材は、当然一社一社とのかかわりが浅くなるので、組織の重要なポジションを担ったり、重大なプロジェクトに参加したりといった経験が不足している可能性があります。組織の中核に触れるには、組織内での信用を得る必要がありますが、信用を得るには相応の時間がかかるからです。

組織の中核に触れた経験がないと、組織のなかで働く責任や組織で果たすべき役割などについて真剣に考える機会がなかなかないため、入社しても組織人として働いてはくれないのではないかと企業は不安に思います。

しかし、若手にも裁量権を与える企業や成果主義の企業では、働きぶり次第で所属期間とは関係なしに重要案件に携わることができます。あるいは、そういった経験がなくとも、組織のために何ができるかを自分で考えて行動したことがあればこの点はカバーが可能です

何より大切なのは組織の一員として働く意識を持っているかどうかなので、エピソードの規模にこだわらず、自分の組織への貢献意識を積極的にアピールをしましょう。

②社内での協調性に欠けているのではないか

ジョブホッパーに対して、転職をくり返す原因が当人の性格や人間性にあるのではと懸念する企業もあるかもしれません。

たとえば、円滑に業務を進めるための関係構築ができないといった課題を本人が持っている場合、すぐに離職する可能性が高いだけでなく、入社後に周囲のモチベーションに悪影響を及ぼすことも考えられます。

このような企業の不安を払拭するためには、これまでの職場で周囲と強固な連携体制を築いてきたことをアピールしなくてはなりません。具体的なエピソードを駆使して、協調性を持っていることを証明しましょう。

協調性の有無を面接官はどういうポイントで見ているのですか?

吉野 郁子

プロフィール

周囲への敬意を抱いているのは良好な関係が築けている証拠

面接では、ソロプレイヤーとしての能力だけでなく、チームプレイヤーとしてどれだけ全体に貢献できたかも重視されます。

自身の活躍したエピソードを話す際に、共同作業者への敬意や感謝を述べていると、前の職場でも良好な信頼関係を築いていたことが面接官にも伝わります。

逆に、他者を見下したり不満を述べたりすることが多いと、周囲とうまく協力できていなかったのではないかと面接官に不安を持たれてしまいます。

チームワーク力のなかでも、調整・交渉・根回しといった能力は、経験年数とともに向上していきます。自分にとってまだ足りないチームワーク力が何なのかも自己分析で明らかにして、話せるように準備しておくと良いでしょう。

協調性を企業にアピールする際には、ぜひこちらの記事も参考にしてください。協調性があることを初対面の面接官に示すためのポイントが恐縮されています。

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例文17選|協調性の自己PRで確実に差別化する8つのコツ

協調性はどの企業でも必要とされる特徴のため、うまく自己PRで伝えられれば高評価をもらえます。企業が求める人物像にリンクした方向性やほかの就活生と差別化されたエピソードを盛り込み、的確にアピールする方法をキャリアコンサルタントとともに解説します。

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③基本スキルが成熟しきっていないのではないか

新卒社員が独り立ちするまでには、企業風土や職種にもよりますが、1~3年程度かかると一般的には考えられています。これは一社に定着することが前提の考えです。企業はそれだけ人材の育成には時間がかかると想定しているのです。

そのため企業は、一社に定着しないジョブホッパーに対して、ビジネスの基礎が固まりきっていないまま社会人としての年月を過ごしてしまったのではないかと不安に思うことがあります。各社で学べることを学びきらずに新しい環境へ出ているのではという懸念です。

ジョブホッパーはこの懸念を払拭するためにも、自分が各社で十分な学びを得ていることや、社会人としての基礎スキルを十分に備えていることを選考中に示さなくてはなりません。一社に定着する同年代と同等の学びを得るためにどのような工夫をおこなっているか、それによってどのような効果があったかなどを面接官に伝え、スキルが成熟していることをアピールしましょう。

一般的な企業では、若手のジョブホッパーに対しても指導力や育成力が求められます。頻繁に転職していても、そのなかで培った多様な経験やスキルを活かしてチームをリードし、若手を育成する能力は評価されます。

選考では、入社後に短期間で信頼を築き、若手の指導・育成に取り組む気持ちがあることを示すのが重要です。

社会人経験が長くなるほどジョブホッパーが企業に確認されやすい能力として、「リーダーシップ」といった後輩への影響力に関するものが挙げられます。ジョブホッパーの成長意欲は周囲への好影響も期待されているので、影響力を面接官に示す際には以下の記事もぜひ参考にしてください。

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④深い信頼を構築する力が不足しているのではないか

ジョブホッパーは次々と職場を変えてきた分、短期間で一から人間関係を構築することに長けていると見ることができます。しかしその反面、コミュニケーションが広く浅いものに終始してしまったり、深化させることができないまま転職してしまったりといったケースも企業は想定します

深い信頼関係とは、たとえば社内では積極的な提案や業務にまつわるさまざまな悩み相談が可能な、心理的安全性が確保された関係が該当します。社外であれば、自社サービスを愛好する顧客の育成を成功させることも信頼構築の結果の一つです。

心理的安全性とは

この組織では自分の考えを口にしても、ぞんざいな対応をされたり、拒絶されたりといったネガティブな反応をされることがないと各メンバーが安心している状態

関係を深化させるには、誠実な態度だけでなく、時間も重要になります。しかし一社に身を置いた時間が短くとも、誠実性やパフォーマンスの高さ、コミュニケーションの丁寧さなどによって信頼を獲得することは可能です。社内外の人と関係を深めるための工夫やその結果を適切に説明することで、関係構築力を持っていることを選考内で示しましょう。

以下のQ&Aでは、人間関係を構築する力をより魅力的にアピールするにはどうするべきかという悩みに、キャリアコンサルタントが回答しています。転職などに際して関係構築能力を強みとして押し出したい人はぜひ目を通してみてください。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。

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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。

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・志望業種をまだ決めきれない人
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就労支援のプロが解説! 現在の採用市場でのジョブホッパーの立ち位置とは

近年、転職を身近な選択肢としてとらえる人が若い世代を中心に増えつつあります。日本の企業で一般的に用いられてきた終身雇用システムが、トレンド変化の激しい現代社会に合わなくなってきたためです。この流れは今後も続くと予想されます。

それでは、転職が当たり前になりつつある現在の採用市場では、周囲よりも多くの転職を経験しているジョブホッパーはどのように見られているのでしょうか

今回は、約25年に渡って40,000件以上の就労支援をおこなってきたキャリアコンサルタントであり、採用市場のトレンドに精通する瀧本さんに話を聞いてみました。

アドバイザーコメント

ジョブホッパーは企業に新たなアイデアをもたらせる存在

現代の転職市場において、ジョブホッパーと呼ばれる頻繁に転職を繰り返す人々に対する企業の評価は二分されています。

一般的に、ジョブホッパーに対する懸念は、採用しても短期間で辞めてしまうのではないかという点です。そのため、ジョブホッパーは書類選考や面接の通過率が低くなる傾向があります。

しかし、ジョブホッピングが必ずしもネガティブな評価を受けるわけではありません。企業側は、ジョブホッパーが多角的な視点を持ち、新しい環境に適応しやすいことを認識しています。

多くの職場を経験しているジョブホッパーは、新しい発想やアイデアをもたらす可能性を持っているのです。

スキルや実績を明示できるジョブホッパーは高評価を得られる

ジョブホッパーが高評価を得るためには、スキルと実績の明確なアピールが重要です。単に転職を繰り返しているだけではなく、各職場で得たスキルや実績を具体的に示すことが求められます。これにより、市場価値を高めることができます。

また、キャリアビジョンの明確化も重要です。将来の目標やキャリアプランが明確であり、それに向けて計画的に転職をおこなっていることを示すことで、企業側に長期的な貢献が期待できるとアピールできます。

さらに、新しい環境に迅速に適応し、積極的に挑戦する姿勢を示すことも大切です。これにより、企業に新しい風を吹き込む存在として評価される可能性が高まります。

ジョブホッパーであることは必ずしも不利ではなく、スキルとビジョンを持って計画的に転職をおこなうことで、企業からの高評価を得ることができるのです。

企業が雇いたいジョブホッパーの4つの特徴! 引く手あまたの人材になるには

企業が雇いたいジョブホッパーの4つの特徴!

  • 転職の方向性に一貫性がある
  • ポジティブな理由で転職している
  • 自分の強みを明確に示せる
  • 高い専門性を有している

前章までは、企業からジョブホッパー全体に対する評価を解説してきました。しかしこれらはジョブホッパーの傾向であり、ジョブホッパー一人ひとりへの評価ではありません。企業は最終的には自社に利益をもたらす人材を採用するので、ジョブホッパーのなかで突出した人材になれるかどうかが肝心です。

この章では、企業が優秀だと評価するジョブホッパーの特徴を解説します。これらの特徴すべてを有していることが重要なのではなく、それぞれが独立した評価軸だと考えてください。

企業の目線を理解すれば、自分が多くの企業から求められる優秀な人材になるにはどういった心掛けが必要かを導き出すことができます。以下を成長の指針として、これまでの経験から得た学びを深化させましょう。

①転職の方向性に一貫性がある

転職の目的がはっきりしているジョブホッパーは、企業から見ても何を求めて転職をくり返しているのかが明確です。企業にとって「この人材は自社に定着してくれそうだ」「今の自社の課題を解決する力を持っているだろう」といった予測がしやすいので、入社後のミスマッチが起きにくい傾向にあります

たとえば、自動車業界での転職をくり返すジョブホッパーは業界に対する熱意が明確です。さまざまな業界で営業職を勤めたジョブホッパーは営業職のエキスパートを目指していることがわかります。行動の軸が見えるほど職歴に一貫性があるというのは、企業にとって「自社に合う人材か」を判断する際の重要な材料になります。

反対に、転職の方向性がバラバラなジョブホッパーは、どのようなモチベーションで仕事をしているのかが不明確です。自社に合う人材かどうかの判断をしづらいので、面接でアピールするスキルや熱意の根拠が不足していると見なされるかもしれません。

これまでの転職経歴に軸を見出せないと悩む人は、こちらの記事を参考に、仕事選びで自分が優先していたものを発掘していきましょう。

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②ポジティブな理由で転職している

前向きな目的で転職しているジョブホッパーも、企業にとって魅力的な人材です。ポジティブな転職理由の例として、「新しい領域で自分のスキルを磨きたい」「より大きなフィールドで自分の力を試したい」といったものが挙げられます。スキルアップやキャリアアップに貪欲な人材は自己成長が速いだけでなく、周囲を触発して組織全体のパフォーマンスを向上させる可能性も見込めます

しかし、転職理由の根本に「前の職場は自分を正当に評価してくれなかった」「これまでの業務は自分の性格に合わなかった」といった他責的な思考があると、「この人はこれまでの職場で本当に力を尽くしたのか?」と企業に疑われてしまう可能性があるので注意してください。

それまでの職場ですべきこと・学ぶべきことをすべて果たして初めて、新しい環境へチャレンジするという選択肢が表れるものと思いましょう。

③自分の強みを明確に示せる

ジョブホッパーに対して企業が抱きやすい懸念の一つに、離職の原因が本人にあるかもしれないことが挙げられます。たとえば、「ほかの社員と協力関係を築けない」「自分の好きな業務にしかやる気を出せない」などです。このような課題を持つ人材は既存社員へ悪影響を及ぼすリスクがあるので、魅力的な経験・スキルを持つ人材でも転職回数の多さから採用判断をためらう企業があることは否めません。

だからこそ、ジョブホッパーは自分の強みを示すことが求められます。強みを証明するには成果やエピソードといった根拠が重要です。丁寧な自己分析によって自分の強みを客観的に把握できている人材は、自身を過大にも過小にも評価しないため、周囲と協調して働ける人材である可能性が高いです

また、適切な自己分析によって自分の強みを証明できる人材は、同じレベルで自分の弱みも理解しているので、その弱みを解消するための作戦を自ら考えることができます。強み・弱みを理解したうえで自己成長しようとする人材は成長が速いため、企業にとっても魅力的です。

吉野 郁子

プロフィール

短期人材として働く場合は、専門性に特化してアピールすることもできます。しかし、長期人材を目指すなら、ゼネラリスト的な視点を持って業務に取り組むことが重要です。

ゼネラリストとしての能力を自己評価し、得意な点と不得意な点を整理して考えてみましょう。

転職活動でどのような強みをアピールすれば高評価が狙えるのかわからない人は、以下の記事を参考に自分の強みの見つけ方とプレゼン方法について考えてみてください。

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④高い専門性を有している

特定の業界・職種での経験を積んでいるジョブホッパーは、その専門性の高さも魅力になります。即戦力として成果を挙げられるかつ、既存社員に知見を共有できるほどのスペシャリストは、企業にとって非常に魅力的な人材です。

専門性の高さは追求心の表れでもあります。情報収集や自己学習に余念のない人材は、トレンド変化にも素早く対応できる可能性が高いです。つまり専門性の高い人材は、企業内でその領域を担当する組織全体を牽引することも期待されます

瀧本博史

プロフィール

専門性というと技術職や研究職で問われるイメージが強い人も多いかもしれませんが、営業職や管理部門などの総合職での経験の長さや業界全体への理解の深さは、専門性に含まれます。

たとえば管理部門や営業職の場合、リーダーシップやコミュニケーション能力、業界知識などが専門性にあたります。

専門性と幅広い知識をかけ合わせることによって、キャリアを広げることも可能です。以下の記事では、一つの領域のスペシャリストでありながらゼネラリストとしての能力も有するT型人材を中心に、各タイプの人材の市場価値などについて解説しています。

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おもな選択肢は2つ! ジョブホッパーの経験を活かしたキャリアプランの作り方

ジョブホッパーの経験を活かせる2種類のキャリアプラン

ここまで、企業目線でジョブホッパーについて解説してきました。ここからは当事者の目線からジョブホッパーの将来について考えていきます。

ジョブホッパーは「これからは一つの企業に定着して経験を積みたい」と考える人と、「今後も転職を活用してキャリアアップをかなえたい」と考える人に二分することができます。企業からの評価でも解説したとおり、ジョブホッパーとしての働き方にはメリットもデメリットも存在します。そのどちらを取るかは本人の希望次第です。

しかし、複数の企業を渡り歩くジョブホッパーだからこそ、行動軸や目標をしっかりと定めておかなくてはならないことは揺るぎません。それこそがキャリアプランであり、キャリアプランが明確なジョブホッパーほど転職活動でも優位を保てます。現在の働き方に迷いのあるジョブホッパーは、今一度キャリアプランを見直し、自分が不安なく働ける環境を獲得しましょう。

キャリアビジョンが明確であるほど仕事に対するモチベーションが保ちやすく、行動にも迷いがなくなります。こちらの記事で自分らしいビジョンを持って働くことの重要性を確認しましょう。

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一つの企業で長く経験を積みたい場合

一つの企業で長く経験を積みたい場合のキャリアプランの作り方

  1. どうしてジョブホッパーになったのかを整理する
  2. 自分が長く働ける仕事・環境の条件を洗い出す
  3. これまで培った経験を一つの企業でどう活かすか言語化する

転職に次ぐ転職に終止符を打って、一つの企業に定着したいと考えるジョブホッパーも少なくないでしょう。しかし、これまでの転職経験を悲観的にとらえているのであれば、非常にもったいないです。多くの企業を内側から見てきた経験は貴重なので、考え方をシフトして職歴を独自の強みにしましょう

併せて、転職しないで済むにはどうすれば良いのかを考えることも欠かせません。現在の職場での定着を図る場合も、次の転職先での定着を図る場合も、自分がなぜこれまで転職をくり返したのかを理解していなくては根本的な解決にはなりません。

3つのステップに沿って、転職の原因、定着の要件、自分の強みの明確化をおこない、一社に長く勤めるための準備を整えましょう。

現在の働き方に迷いはあるものの、どうしたいのかは漠然としているといった悩みを抱えている人は、以下の記事を参考にしてみてください。いきいきと働くために自分に必要なものを見つけ出し、迷いを断ち切りましょう。

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ステップ①どうしてジョブホッパーになったのかを整理する

モチベーショングラフの作成例

一つの企業で働き続けたい人が第一に考えるべきことは、「どうして自分が何回も転職をしているのか」です。その理由を明らかにしなくては、転職をくり返さないための対策を適切に考えることができません。

まずは会社を辞めたくなったきっかけ、あるいは別の会社に行きたくなったきっかけを振り返ってみましょう。ノートに書き出すなどして転職の要因を整理することで、これから気を付けるべきポイントや避けるべき環境を把握できます

明確なきっかけを思い出せない場合は、自身の行動・思考の傾向や、これまで身を置いた環境などついて全体的に振り返りましょう。そういった振り返りにはモチベーショングラフなどの自己分析のフレームワークを活用することをおすすめします。大きな決断をしたタイミングに共通することや、モチベーションの下がりやすい条件を探ることで、たびたび新しい環境を求めてしまう要因を見つけ出すことができます。

本人が望んでいないにもかかわらずジョブホッパーとなってしまう人は、職場環境に適応しづらい性格であったり、自分のキャリア目標が明確でなかったりと、自分自身に何かしらの原因がある可能性が高いです。

その原因が解消できないために長期的に働ける職場を見つけられず、結果として頻繁に転職をくり返しているのです。

モチベーショングラフについてはこちらの記事でより詳しく解説しているので、モチベーショングラフをやってみたいと思った人はぜひ目を通してみてください。すぐに実践できるようテンプレートも紹介しています。

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ステップ②自分が長く働ける仕事・環境の条件を洗い出す

自分が転職を決断する要因がはっきりしたら、それらを反転させて、今度は自分が一社で働き続けることができる条件を明らかにしていきましょう。もしそれらが現在の環境でもかなうことであれば、そこでの定着を目指しましょう。

現在の環境への定着が難しいのであれば、洗い出した条件にもとづいて働き続けられる仕事・企業を見つけにいきましょう。離職を防ぐために、「もしこうだったら良かったのに」といった条件があればそれも追加して、妥協せずに転職先を探してください。

転職の要因一社に定着できる条件
残業の多い環境が嫌・残業の少ない仕事
ずっと同じことをするのが退屈・幅広い経験を積める仕事
・豊富なキャリアパスを選べる仕事
そりの合わない上司がいた・職場の人とかかわる機会がない仕事
・そりの合わない人との付き合い方を習得
転職の要因から一社に定着する条件を見つける例
理想の働き方を追求すると高望みといわれてしまいます。

瀧本博史

プロフィール

理想の追求と高望みの違いは現実的な妥協点を持っているか

理想の働き方を追求することは重要ですが、現実的な妥協も必要です。そのためには、自分の価値観やライフステージに応じて、どのポイントで妥協するかを明確にしなくてはなりません。

たとえば、給与が高くて残業がない仕事を希望する場合、まずは給与と労働時間のバランスを考慮しましょう。大手企業で安定した給与を得つつ、ワークライフバランスを重視する企業を探すことが現実的なアプローチです。

キャリア形成や自己実現を目指す場合、最初は厳しい労働条件を受け入れることで将来的なキャリアアップを狙う戦略も有効でしょう。

自分の理想の働き方を明確にするためには、自己分析とキャリアの志向の棚卸しをおこない、自分にとっての重要な要素を整理することが大切です。これにより、自分が何に価値を置き、どこで妥協できるのかが見えてきます。

そして理想の働き方を実現するためには、柔軟な働き方ができる企業を選ぶことや、自分のスキルを磨いて市場価値を高めることが求められます。

人生全体のバランスを考え、その時々の状況に応じて理想と妥協のバランスを見つけることで、自分らしいキャリアを歩んでいきましょう。

定着のために職種を変えて転職したいと考えている人は、ぜひこちらのQ&Aも参考にしてください。自分に合う職種への転職のコツをキャリアコンサルタントが回答しています。

ステップ③これまで培った経験を一つの企業でどう活かすか言語化する

どの環境での定着を目指すにせよ、「長く働けそう」という予測のみでは、いずれ起きるであろう環境変化に耐えることは難しいです。たとえば昇格によって働き方がハードになったり、市場のトレンド変化によって事業の方向性が変わったり、異動が決まったりなど、想定外のことが起こりえるからです。

定着を目指すのであれば、防ぎようのない変化に順応するためのモチベーションは欠かせません。一社で働き続けるキャリアプランを策定し、そのキャリアを実現させるためにどうするべきかを常に考える習慣を身に付けましょう。

キャリアプランを作るときには、複数回の転職から得た経験や学びをプランに落とし込むことが重要です。転職先での定着を目指す場合は特に面接で将来像をたずねられるので、これまでの経験や強みを活かせるプランを就職の軸にできれば志望動機の説得力にもつながります。多くの転職から得た知見をもとに、自分のポテンシャルを引き出すプランを作ってくださいね。

仕事だけでなく、私生活でのライフイベントも考慮した将来像がキャリアビジョンです。こちらの記事を参考に、自分にとっての理想的なライフプランを歩むための準備を整えましょう。

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アドバイザーコメント

一社での定着には長期的な人間関係構築が必要不可欠

ジョブホッパーの働き方にはメリットとデメリットがあります。長期人材を目指す人は、ジョブホッパーのメリットを失う覚悟も必要です。たとえば、苦手な人とも業務上で付き合い続けなくてはならないこともその一つです。

会社の飲み会が強制かどうかという議論をネットで見かけますが、これは社内の人間関係を長期的にとらえるか短期的にとらえるかによって判断が分かれます。一つのコミュニティで酸いも甘いもともにする絆を作るには努力と工夫が必要です。

定着の目的を明確にして適度な割り切りながら働こう

一つの企業に定着することを目指す背景には、ライフステージの変化が考えられます。家庭を持つことや、子どもの教育費や住宅ローンの負担が増すことなどがその例です。

このような状況では、本人も「もう気ままな立場ではいられない」と覚悟を決めています。その意欲と責任感は企業にも伝わります。自分のキャリアや気持ちだけでなく、誰かのために頑張れる人は強いです。

「転職すればもっといい職場に出会えるかも」という青い鳥症候群の考えを切り替え、縁のあった職場で最善を尽くすことが大切です。良い意味での諦めが役に立つでしょう。

今後も転職でキャリアアップを目指す場合

今後も転職でキャリアアップを目指す場合のキャリアプランの作り方

  1. これまでにジョブホッパーとして得た強みを確認する
  2. これからどのように成長したいのかを定める
  3. 成長のためにどんな経験を得るべきか検討する

これからも転職を続けてキャリアアップを目指すというジョブホッパーは、現在の働き方にそれほど悩みを持ってはいないかもしれません。しかし、より効率的にキャリアアップを目指すのであれば、キャリアプランの定期的な見直しは必要不可欠です。

前向きなジョブホッパーは成長が速く、目標も高いので、より多くの学びを得られる環境への転職を目指すでしょう。キャリアプランの見直しはそのための準備です。自分の成長に最適な環境を見つけ、そこへの就職をかなえ、最短距離で理想を実現させるための策略を練りましょう

ステップ①これまでにジョブホッパーとして得た強みを確認する

Will・Can・Mustで考える

社会人としての経験が豊富なジョブホッパーがキャリアを考えるときには、Will・Can・Mustのフレームワークが役に立ちます。将来なりたい姿・やりたいこと(Will)をかなえるために、これからやるべきこと(Must)を、現時点でできること(Can)から考えていくというものです。

特にこれからも転職を続けてキャリアアップを目指すのであれば、がむしゃらに目標に向かうより、現在の自分の長所・短所などを把握したうえで行動するほうが効率的だからです。自分の強みを認識することで、適性のある仕事や、これから伸ばすべきスキルを知ることができます。まずはCanに当てはまる「現時点での自身の強み」を確認しましょう。

たとえば特定の業界・職種を走り続けて獲得した専門性、はたまたまったく毛色の異なる業界・職種を渡り歩いて鍛えた多角的な視点など、複数回の転職を経て強化されたスキルがあるはずです。または、複数社での経験によって築かれた価値観もあるでしょう。それらを客観的に把握すると、キャリアアップのための適切な行動を選ぶことが可能になるので、丁寧に分析をおこないましょう。

瀧本博史

プロフィール

自己分析ではまず、キャリアの棚卸しをおこない、過去の経験やスキルを具体的に整理することが大切です。次に、これまでの転職の動機や目標を明確にし、自分の強みや価値観を再確認しましょう。

最後に、自分の強みを活かせる職種や企業を洗い出し、適切なアピールができるように準備を整えていきます。一つひとつ丁寧に進めることが重要です。

Will・Can・Mustについては以下の記事で詳しく解説しているので、このフレームワークを活用したい人はぜひ目を通してみてください。

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ステップ②これからどのように成長したいのかを定める

現在の自分にできることを分析できたら、次は自分が何を目指しているのかを改めて確かめる必要があります。転職でのキャリアアップを志す人は、すでに自分のなかにある程度こんなふうになりたいという理想があるのではないでしょうか。その理想像であるWillをよりはっきりとさせれば、転職活動や入社後の振る舞いの方向付けが可能です

理想を明確にするには、これまでの転職の経緯を振り返ることが重要です。なぜそのタイミングで転職を決意したのか、なぜその企業を転職先に選んだのかをつまびらかにして、「この分野のスペシャリストになりたい」「特技の英語を活かしてグローバルに活躍したい」などのように、自分の成長の方向性を定めましょう。

高収入になりたい、出世したいといった目標も理想像になりますか?

吉野 郁子

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収入や出世を通じて何を実現させたいのかを考えよう

高収入や出世を目指すのは何のためでしょうか。収入や出世を目指す人の目標として多く聞くのは、「将来独立したい」という将来像です。

たしかに独立すると自由と裁量権を得られますが、起業には失敗すれば借金を負うリスクも伴います。会社員であれば、仕事のことで個人で借金を背負う場面はまずありません。

もし将来独立を考えているなら、勤め人であるうちに挑戦や失敗を多く経験しておくことが将来の糧になります。そうした積極性ややる気のある人は、企業にとっても望ましい人材であり、待遇を良くして自社に引き止めようとするでしょう。

つまり、収入や出世が明確なモチベーションになる人にとっては、これらも理想像になりえるということです。

ステップ③成長のためにどんな経験を得るべきか検討する

理想像が固まったら、そこに至るまでの道筋、つまりキャリアプランを策定します。キャリアプランは仕事のモチベーションになるだけでなく、仕事に関するあらゆる行動の指針にもなるので、チャレンジに前向きになれたり一貫性のある転職活動をおこなえたりと、さまざまな効果が見込めます。

キャリアプランは、スタートとゴールの設定から始まります。スタートは現時点の自分、つまり今の自分に何ができて何ができないかを明確化することです。そしてゴールは理想像です。よってキャリアプランを作るということは、現在の自分がどのような成長を遂げれば理想像を体現できるかを考えるということなのです

現在の強みやスキルをどれほど磨くべきか、これからどのような経験を積むべきかが見えれば、おのずとどのような環境への転職を目指すべきかというMustも導き出せます。自分に足りないものを補える転職、自分の力を磨くための転職を心掛け、理想的なキャリアアップを目指しましょう。

アドバイザーコメント

転職経験をもとに今後の行動軸になるキャリアプランを作ろう

キャリアプランを持つことで目標やビジョンが明確になると、その達成に向けて効率的に行動できるようになります。また、キャリアプランは自分の強みや弱みを把握し、必要なスキルや経験を計画的に積むための指針にもなります。

キャリアプランを策定する際はまず、自分が働くうえで重視する価値観や、これまでにどのようなスキルや経験を獲得してきたのかを整理することが重要です。

次に、短期目標と長期目標を設定し、その達成に向けた具体的なステップを考えます。たとえば、次の3年間で特定のスキルを習得し、その後5年以内に管理職に就くなど、明確な目標を立てていきます。

ジョブホッパーのキャリアアップには計画的な行動が必須

ジョブホッパーがキャリアアップを図る際には、転職理由を明確にし、一貫性のあるストーリーを持つことが重要です。転職先の面接では、なぜ前職を辞めたのか、そしてなぜ次の職場を選んだのか、面接官が納得できる形で説明できるよう準備してください。

転職を繰り返すなかでも、一貫したキャリア目標を持ち、計画的に動くことがキャリアにおいては大切です。焦って転職を繰り返すのではなく、各転職の意味や目的を明確にし、ステップアップのための一環として位置付けることで、長期的なキャリアアップを実現できるでしょう。

キャリアを考えることの重要性はこちらの記事でより詳しく解説しています。自身のキャリアを見つめ直し、いきいきと社会人生活を送るための参考にしてください。

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ジョブホッパーの魅力を最大限に伝えるには? 選考で意識すべき3つのポイント

ジョブホッパーの魅力を最大限に伝えるには? 選考で意識すべき3つのポイント

  • 複数回の転職経緯をポジティブに伝える
  • その企業により大きく貢献できる理由をロジカルに説明する
  • 入社後の活躍ビジョンをこれまでの経験と紐付けて示す

企業の目線を把握し、キャリアプランも策定すれば、残すは選考本番への対策のみです。ジョブホッパーはどうしても転職回数に注目されやすいので、その点をいかにポジティブにとらえてもらうかが焦点になります。

また、多くの企業を知っていることはジョブホッパーの強みなので、その強みを先入観なしにとらえてもらうためには伝え方にも押さえるべきポイントがあります。ジョブホッパーならではの魅力を企業に伝えるための3つのコツを解説するので、次の転職活動に向けた準備に役立ててください。

①複数回の転職経緯をポジティブに伝える

企業にとって、人材の離職は重大な問題です。コストがかかることはもちろん、せっかく入った人材がすぐに離職してしまってはほかの社員のモチベーションにも悪影響が出かねません。そのため、どれだけ入社してほしい人材であろうと、その人が複数回転職していると「期待した役割を果たす前に離職してしまうのでは」と採用をためらってしまいます

たとえば、その人が周囲と協力して働くことができないために職を転々としているのであれば、個人としての能力が秀でていても正社員として採用するメリットが企業にはありません。

このような企業の不安を取り除くためには、まず転職をくり返してきた理由をポジティブに説明することが必要です。企業が納得できるように、職歴と照らし合わせて説得力のある説明をして、自分が入社後に高いパフォーマンスを発揮できる人材であることをアピールしましょう。

転職の経緯言い換え例
企業風土が合わなかった個人主義ではなく、仲間と切磋琢磨し合えるチャレンジ気質の環境で働きたいと思った
さまざまな商材の営業職を経験して、顧客のニーズに寄り添うために幅広い商材を提案できる企業に勤めたいと思った
業務が合わなかったさまざまな業種を経験したことで、人を支える仕事で高いパフォーマンスを発揮できるとわかった
営業職とエンジニア職の経験をかけ合わせて、ITコンサルティングにチャレンジしたいと思った
業務の目的がわからなくなった幅広い業界業種で働いたことで「生活を豊かにする仕事」に惹かれていることに気付いた
これまでを反省して自己分析を徹底した結果、「困っている人を助けたい」という価値観に気付いた
転職の経緯をポジティブに言い換える例
これまで労働環境に恵まれず転職をくり返しました。そのような場合は嘘の理由を作るべきですか?

吉野 郁子

プロフィール

嘘はつかずに状況を変える努力をしたことを伝えよう

噓の理由は作るべきではありません。嘘をついて乗り切れるような要領の良さがあったら、今までだって苦労していないでしょう。

労働環境に恵まれない職場にばかり入社してしまったのは、どんな背景があったのでしょうか。「時代のせい」など、他責的な理由ばかり挙げてしまうと面接で苦労します。

まずは「自分の力で変えられることを見極めて、そのための努力をしてきた」ということを具体的に伝えましょう。加えて、自分の力ではどうにもならなかったことをセットで伝えると説得力が増します。

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②その企業により大きく貢献できる理由をロジカルに説明する

企業が人材を雇おうとする時、「この人は自社にどれだけ貢献してくれるだろうか」と考えます。応募者が複数いれば、より大きく貢献してくれる人材に内定を出します。そのため、ジョブホッパーに限ったことではなく、転職では応募先の企業に自分がどれだけ貢献できるかをアピールすることが大切です。

しかし、ジョブホッパーには特筆すべき特徴があります。それは、一つの企業にとどまる人材よりも幅広い領域で経験を積んでいることです。ジョブホッパーは転職によって得た知見を応募先の企業でどれだけ活かせるかをロジカルにアピールできれば、ほかの応募者との差別化を図れるのです

念入りな企業研究から応募先の企業が求めるものを理解し、自身の豊富な経験がどれほど役に立つかをアピールしましょう。

知見の広さを求められない求人に応募する場合は、複数企業で培った適応力や問題解決力を強調し、即戦力となれるだけの柔軟性と広い視野を持っていることを伝えましょう。

また、各社で得た経験やスキルをアピールする際は、スキルをただ羅列するのではなく、志望企業とマッチ度の高いものに絞ることが大切です。

自分の経験が志望企業で活かせることや、志望企業で求められるスキルをより有効にアピールするには、企業研究が必須です。こちらの記事では企業研究のやり方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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③入社後の活躍ビジョンをこれまでの経験と紐付けて示す

これまでの転職経験をロジカルに説明して企業の不安を解消し、かつ企業に貢献できる人材であることを能力からアピールした後は、決定打として入社後にどのように活躍したいかというビジョンを伝えましょう。

面接の内容がスキルの主張に終始してしまうと、企業は「自社ではなくほかの企業でも良いのでは?」と思ってしまいます。特にジョブホッパーはこれまで転職を複数回おこなっているので、応募先への熱意を示しきれない場合、離職に対する企業の不安を取り除ききれない場合があるのです。

その企業のサービスや理念への理解・共感を示すだけでなく、これまでのジョブホッパーとしての経験を落とし込んだ活躍ビジョンを示すことができると、企業も応募者の志望度の高さを理解してくれます。その企業に入社するからこそかなえられるビジョンで熱意の高さをアピールし、内定を勝ち取りましょう。

ジョブホッパーこそ将来設計が重要! 幅広い経験を活かした活躍の道を拓こう

終身雇用が一般的だった日本では、短期間で転職をくり返すジョブホッパーに対してネガティブなイメージを持つ企業もあります。または、一社に定着できないことをジョブホッパー本人が弱みとしてとらえているかもしれません。

しかし重要なのは転職の回数ではなく、転職の目的と、転職を通じて得た経験の活かし方です。これまでの豊富な転職経験から学んだことを見つめ直し、理想像やそれをかなえるためにやるべきことを明確にすることは、ジョブホッパーならではの経験を強みにするための第一歩になります。

今後も転職を続けてキャリアアップを目指す人も、一つの企業で経験を重ねていく人も、ジョブホッパーとして培ったスキルを活かして活躍のチャンスをつかんでいきましょう。

アドバイザーコメント

ジョブホッパーは将来像を明確に持って行動することが重要

ジョブホッパーには、転職を続けたい人と、今後は転職を控えたい人の両方が存在するので、それぞれに適したアドバイスを提供します。

まず、転職を続けたい人に対しては、ジョブホッパーであることのメリットを活かすことの重要性を再認識してほしいです。さまざまな職場での経験を積むと、多角的な視点を持ち、柔軟な思考を身に付けることができます。

また、転職でキャリアアップを目指す人は成長意欲が強く、新しい環境で常に挑戦する姿勢があるため、自分に適した職場を見つけやすいでしょう。そのなかで広い人脈を築き、異なる業界の知識を得ることができれば、さらにキャリアの幅を広げることも可能です。

このタイプのジョブホッパーは、自分のスキルを最大限に活かし、成長し続けるために、常に新しいチャンスを探し続けると良いでしょう。そのためには、専門的なスキルや資格を取得することで、転職市場での競争力を高めることが重要です。

また、転職の際には、応募企業の社風や職場の雰囲気をしっかりとリサーチし、自分に合った環境を選びましょう。

一社での定着を目指す人は離職しないための対策を徹底しよう

一方で、今後は転職を控えたいと考えているジョブホッパーは、次の3ポイントを確認して定着を目指しましょう。

1つ目は、自分の特性に合った職種を選ぶことです。自分の価値観や優先事項を明確にし、長く働ける環境を見つけることが定着には欠かせません。

2つ目に、忍耐力と対人スキルの養成です。短期間で転職を繰り返さないようにするためには、仕事に対する忍耐力を養うことと、職場の問題を解決するスキルの獲得が必要だからです。

3つ目が、転職前に自己分析をおこない、企業研究を徹底することです。OB・OG訪問や社内見学などを活用して企業の内部事情を理解し、自分に合った職場を見極めてください。入社後は、人間関係の改善や職場での問題解決に積極的に取り組み、長期的に働ける環境を率先して作り出しましょう。

ジョブホッパーであることは必ずしも悪いことではありませんが、希望のキャリアを構築には、自分のキャリアビジョンを明確にし、適切な対策を講じる必要があります。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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