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東京女子医科大学とのIoT×都市型遠隔診療に関する共同研究の完了のお知らせ及び結果速報

  • 2019.05.15
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ポート株式会社(東京都新宿区:代表取締役社長 春日博文)と東京女子医科大学が2016年9月より共同で実施してまいりました、IoTを活用した『都市型遠隔診療』の安全性および有効性に関する実証研究の期間が2019年3月31日をもって満了しましたことをお知らせいたします。
 
1.本共同研究の概要
本共同研究では特に高血圧治療におけるIoTを活用した非対面型遠隔診療と従来型対面診療の比較試験を実施いたしました。(東京女子医科大学病院倫理委員会(承認番号160603)UMIN000025372:研究課題名「高血圧診療における非対面型遠隔新診療と従来型対面診療の比較試験」研究責任者:市原淳弘)
 
159名の方から臨床試験への参加希望があり、実際に127人の高血圧患者様が事前検査を受けられました。安全に参加可能と判定された97人が登録され、オンライン診療群に48人、従来型診療群に46人が割り付けられました。皆様に家庭血圧を測定していただきながら、オンライン診療をご利用の患者様は医療機関に通院せず、主にご自宅と職場からビデオチャットで医師と会話し、処方箋または処方薬をご自宅にお届けしました。従来型診療とされた方々は、通常通り医療機関に通院していただきました。試験前後での臨床検査所見には明らかな変化は見られませんでした。
 
2.本共同研究の結果速報
試験期間全体を通じた血圧の平均は、オンライン診療群で129/86 mmHg、従来型診療群で133/90 mmHgとオンライン診療群でより低値であり、統計的に有意でした。

試験参加前後の比較では、従来型診療群で136/91 mmHgから131/87 mmHgへ、オンライン診療群で136/91 mmHgから125/83 mmHgへと有意に低下しました。しかし、従来型診療群よりもオンライン診療群で血圧低下量が大きく、オンライン診療群でのみ135/85 mmHgの管理目標をクリアすることができました(図2)。

 
3.本共同研究の目的
本共同研究では、生活習慣病の都市部における生活習慣病の診療に遠隔診療を導入した場合の安全性および有効性を検証することにより、都市部でのIoTを活用した医療の効果に関する医学的エビデンスを国内で先駆けて蓄積することを目指しております。
 
当社は2015年11月より主に高血圧等の生活習慣病を対象としたオンライン診療サービス「ポートメディカル」を展開してまいりました。

高血圧は脳出血や脳梗塞などの脳卒中、心筋梗塞や心不全、不整脈などの心臓病、慢性腎臓病といった長期合併症等につながり得る病気でありながら、その治療においては長期間にわたる定期的な血圧のモニタリングが重要とされ、継続通院のハードルの高さから症状が悪化し、重大疾患に陥るケースが多く発生しています。
 

 
スマートフォン等の身近なデバイスによるオンライン診療での高血圧治療法が確立することで、患者の継続的な治療ハードルを圧倒的に低くすることができ、高血圧の放置や不十分な治療によって引き起こされる重大な疾患を予防することが可能になると考えます。
 
また日本高血圧学会のガイドライン(JSH20194)においては、病院等ではなく特に家庭血圧の測定に基づいた治療介入が重視されており、IoTと遠隔診療の活用により、自宅での血圧測定をより積極的に取り入れることで、血圧の最適なコントロールが可能になると期待されます。
 
4.今後の展開予定
本共同研究結果によって、”非対面型の遠隔診療(=オンライン診療)による慢性疾患の治療が従来の診療に比して医学的に劣らない”という仮説を証明しうる非常に大きな示唆を得たと認識しております。

本共同研究で得た医学的エビデンスをもとに、プロダクトの改良を積極的に進めていくほか、オンライン診療の日本国内における適正推進とマーケットの拡大にむけ真摯に取り組んでまいります。