この記事のまとめ
- 正社員とアルバイトの違いを5つの観点で比較
- 正社員からアルバイトになるならマイナス面も理解必須
- 正社員からアルバイトになる判断基準を参考にして後悔しない選択をしよう
- 自己分析ツール
たった3分で面接で使える"あなたの強み"がわかる!
この記事を読んでいる人におすすめ
安定した収入で信用度が高く、ローンやクレジットカードの審査に通過しやすい正社員。日本では大学や高校を卒業した後は正社員として働く人が多くいますが、勤務時間を減らしたい場合や重い責任から解放されたい場合などでアルバイトとして働くことを選択する人もいます。
一方で、「正社員からアルバイトになると後悔しないか心配」「せっかく就活を頑張って正社員になったのにもったいない気がする」と考える人もいるのではないでしょうか。
この記事では、キャリアアドバイザーの佐藤さん、井上さん、若林さん、社労士の涌井さんのアドバイスを交えつつ、正社員からアルバイトになるメリットや判断基準を解説します。正社員からアルバイトになることを検討している人は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
正社員からアルバイトになる際の判断基準を理解して後悔しないようにしよう
正社員からアルバイトになって後悔しないためには、まずはそれぞれの違いを理解しましょう。そしてメリットとデメリットを把握できれば、正社員からアルバイトになる際の判断基準が明確になります。
記事では、最初に正社員とアルバイトの違いを5つの観点で比較し、それぞれの特徴を理解できるように説明します。その後で正社員からアルバイトになるメリットとデメリットを紹介します。良い面と悪い面を把握して、納得のいく決断をするのに役立ててください。
また、「転身して後悔したくない!」という人のために、アルバイトになることを決めるうえで大切な指針となる判断基準を解説します。正社員とアルバイトをさまざまな観点で比較し、転身後に悔いが残らないようにしましょう。
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最初に確認! 正社員とアルバイトの違い
正社員とアルバイトでは、大きく分けて5つのポイントが異なります。それぞれの違いを理解していないと、特に収入や社会保障で転身前とのギャップを感じ、後悔する恐れがあります。
判断する際の迷いを減らすためにも、それぞれの違いを理解しておきましょう。また、複雑な健康保険や厚生年金保険などにも言及しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
一度正社員からアルバイトになると、正社員に戻ることがなかなかできません。その場の思いで決めてしまわず、現在の状況や将来の状況をよく考え本当に最善策なのかを検討してから行動することが必要です。
雇用期間
正社員 | 期間に定めがない無期雇用 |
アルバイト | 期間に定めがある有期雇用 |
正社員とアルバイトでは、雇用の期限に関して大きな違いがあります。正社員は期間に定めがない無期雇用が一般的なので、契約違反などのトラブルや退職の意思がなければ基本的に解雇されません。
一方で、アルバイトは期間に定めがある有期雇用のケースが多く、会社の都合で契約が更新されない可能性があります。正社員が急に仕事を失う可能性は低いですが、アルバイトは解雇されるリスクがあることを理解しましょう。
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
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給与体系
正社員 | 毎月決まった金額が支給される固定給+残業代+手当 |
アルバイト | 時給×労働時間の時給制 |
正社員は月給制や年俸制が一般的なので、毎月決まった金額の収入を得られることが保証されています。そして残業代や深夜手当などが加算されれば、固定給以上の収入を得ることが可能です。ボーナスや退職金制度もあり、安定して稼ぎ続けられるでしょう。
一方で、アルバイトは働いた時間単位で賃金が支払われる時給制や1日単位で賃金を支払われる日給制があります。そのため、勤務時間・勤務日数によって収入が変わるうえに、ボーナスや退職金制度は基本的にありません。
給与体系を見ると、アルバイトよりも正社員の方が良い待遇だといえるでしょう。
勤務時間
正社員 | 1日8時間の週5日勤務 |
アルバイト | 自分の希望を出せるシフト制 |
正社員として働く場合、1日8時間の週5日勤務が一般的です。企業ごとに年間の休日日数が定められており、100日〜140日程度とさまざまです。なお、厚生労働省が実施した令和4年就労条件総合調査によると、年間休日の平均日数は107.0日でした。
夏休みや年末年始に長期休暇を取得できる会社であれば、まとまった休みをとることができます。
年間休日とは
各企業が定める1年間の休日日数
一方で、アルバイトはシフト制で融通が利きやすいのが特徴です。子どもが学校にいる3時間限定、時給が上がる深夜帯の5時間勤務など、勤務時間や働く時間帯を選べます。休日を自分で設定できるため、ライフスタイルに合った働き方を選択可能です。
- 学生時代に友人がアルバイトなのに有給を取得していました。アルバイトでも有給を取得できるのでしょうか?
アルバイトでも条件をクリアすれば有給の取得は可能
2019年4月より、労働基準法で有給休暇が義務化されたため、アルバイトでも有給休暇が取得できます。有給休暇の取得には、以下の条件があります。
・入社して半年以上経っている
・雇用契約書などで交わした所定労働日の8割以上の出勤を満たしている
この条件を満たせば、有給休暇が取得できます。しかし使わないまま2年経つと権利が消滅してしまうので気を付けましょう。
仕事内容
正社員 | 責任の重い仕事が多くて業務の範囲も幅広い |
アルバイト | 比較的取り組みやすいルーチン業務が多い傾向にある |
正社員は責任のある業務を任されるため、強いプレッシャーがかかる場合もあります。また、業務範囲が広く営業であればアポイントから商談まで一貫しておこなう必要があります。部署異動や転勤もあるため、希望する業務に就けない可能性もあるでしょう。
一方で、アルバイトは責任の重い仕事を任されるケースが少なく、多くの人が取り組みやすいルーチン業務が中心です。回数を重ねるにつれてスムーズにできるようになることが多く、正社員と比べると負担が少ないでしょう。
しかし、人手不足の深刻化にともない、アルバイトでも店長やマネージャーのような役割を求められるケースがあります。
たとえば小売業の場合、正社員は売り上げや在庫の管理、新人育成、販促企画といった幅広い仕事を任されるのに対し、アルバイトはレジ対応や商品補充、売り場の清掃といったマニュアル化された仕事をおこなうことが多いです。
社会保険
正社員 | 加入が義務付けられている |
アルバイト | 条件を満たすと加入が必須になる |
雇用保険・健康保険・厚生年金保険の社会保険の取り扱いも、正社員とアルバイトの違いです。正社員は加入が義務付けられていて、保険料を会社と半分ずつ労使折半が適用されます。
一方で、アルバイトが社会保険に加入するかどうかは、労働状況によって異なる点に注意が必要です。同じ会社で働く正社員の年収および所定労働日数を比較して4分の3以上であれば、社会保険への加入が必須になります。なお、年収と所定労働日数の条件を満たしていなくても、以下の条件をすべて満たすと加入しなければなりません。
社会保険への加入義務が生じる条件
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金月額が月8.8万円(年約106万円)以上であること
- 雇用期間が2ヵ月を超える見込みがあること
- 学生でないこと
- 従業員101名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先であること
現在は101名以上が基準になっている従業員の数ですが、2024年10月以降は51人以上に拡大されます。
正社員だけでなく、アルバイトであっても社会保険に加入が必要となる場合があります。未加入には、罰金や懲役といった罰則の適用も予定されているため、注意しましょう。
- 社会保険は複雑なので、あまり理解できていません。加入していないと不利に働くのでしょうか?
社会保険未加入の場合のデメリットはしっかり把握しておこう
社会保険に未加入の場合は、国民健康保険への加入が必要になります。社会保険は会社と折半で納められるのに対し、国民健康保険は被保険者が全額負担となります。
国民健康保険では扶養の概念がなく、傷病手当金や出産手当金もないため、内容も社会保険と比べると劣っています。また、社会保険には厚生年金も含まれているため、未加入だと将来的に受け取れる年金額も国民年金分のみとなります。
週の労働時間を20時間以下にし、月額賃金が8.8万円を超えないように調整すれば社会保険の加入義務は発生しませんが、自身で保険に加入するよりも、社会保険に加入した方が負担額も少なく、手厚い保障が受けられるといえるでしょう。
健康保険
正社員 | 加入が義務付けられている |
アルバイト | 条件を満たすと加入義務が生じる(満たしていない場合は国民健康保険に加入する) |
健康保険は、民間企業に勤務する人とその扶養家族が加入する公的な医療保険制度です。保険料は労使折半で、病気や怪我で病院を受診した際、保険適用の治療であれば医療費が3割負担で済みます。
アルバイトは加入条件を満たしていると、社会保険に加入可能です。しかし、条件を満たしていなければ、個人事業主やフリーター、年金受給者を対象とする国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険には労使折半の制度がないため、加入者は保険料の全額を自分で支払う必要があります。
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厚生年金保険
正社員 | 加入が義務付けられている |
アルバイト | 条件を満たすと加入義務が生じる |
厚生年金保険は 、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金に上乗せして年金を受給できるようになる年金制度です。会社員や公務員を対象にしていて、70歳未満の正社員には加入が義務付けられています。健康保険と同様に労使折半なので、保険料の負担割合は50%です。
アルバイトは社会保険の条件を満たした場合のみ、厚生年金保険に加入できます。しかし、条件を満たしていなければ厚生年金保険に加入できず、老後に受け取れるのが基礎年金だけになります。
雇用保険
正社員 | 加入が義務付けられている |
アルバイト | 条件を満たすと加入義務が生じる(扶養に入っている場合でも) |
雇用保険とは、離職・失業時に給付金を受け取れる保険です。雇用保険に加入していれば、育児休業給付金や介護給付金なども給付されます。
雇用保険は健康保険や厚生年金保険と違い、別枠で条件が設定されています。以下の条件を満たした場合は、社会保険に加入する必要がない扶養に入っていても、雇用保険には加入しなければなりません。
雇用保険の条件
- 31日以上雇用される見込みがあること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 学生であること
条件によっては加入義務が生じることを把握しておきましょう。
正社員からアルバイトになる4つのメリット
正社員からアルバイトになるメリット
- ライフスタイルに合わせて働き方を選択しやすい
- 重い責任から解放されてストレスを溜めにくくなる
- 配偶者や両親の扶養に入れる
- 多様なキャリアパスを描ける
正社員からアルバイトになる際は、「どのような良いことがあるのか」を把握しておく必要があります。良い面を理解しないまま転身すると、アルバイトになるメリットを享受できない恐れがあるからです。
ここからは正社員からアルバイトになる4つのメリットを解説します。自身の認識と相違がないか、チェックしながら読み進めてください。
①ライフスタイルに合わせて働き方を選択しやすい
アルバイトは勤務日や勤務時間を調整しやすいシフトなので、ライフスタイルに合った働き方を選択可能です。プライベートの時間を確保して、育児・介護・資格取得・副業・趣味などに時間を使えます。
8時間勤務を週に5日こなす正社員と違い、アルバイトに転身すれば自由な時間を確保できるのです。
また、平日休みを取得することによって、人が少ないときに趣味を楽しんだり、安い価格で航空券を取得して海外旅行を楽しんだりすることもできます。融通が利きやすく、優先順位が高いことに時間を使えるのは大きなメリットといえます。
特に時間の融通が利きやすいのは、派遣型バイトでしょう。働きたいと思った日だけ自由にシフトが登録でき、数時間から一日と拘束時間も自由に選べます。
ほかにも、固定シフトではなく、自己申告制で自由にシフトが決められるバイトは融通が利きやすいですよ。
②重い責任から解放されてストレスを溜めにくくなる
正社員は業務量が多く、役職が上がるにつれて仕事の責任が重くなります。強いプレッシャーからストレスが溜まり、心身の健康を損ねてしまう人がいるのも事実。業務量と責任ともに限定的なアルバイトとして働けば、ストレスの原因になりやすいプレッシャーから解放されます。
ストレスがかかりにくい生活を送っていると、心身が健康になって日々の暮らしが楽しくなるでしょう。日常生活にハリが出ることによって、やりたいことに集中したり、新しいことにチャレンジできたりする可能性もあります。
過度なストレスによって正社員として働くことに限界を感じているのであれば、アルバイトへの転身も選択肢の一つです。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
③配偶者や両親の扶養に入れる
アルバイトに転身して年間収入が一定の基準内であれば、生計をともにする配偶者や両親の扶養に入れます。扶養に入るとは、1人で生計を立てることが難しい人が親族などから経済的な援助を受けることです。
年収が103万円以下なら、所得税や住民税の負担が軽減されて健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の支払いが不要になります。103万超130万円以下なら社会保険料の支払いは不要ですが、納税義務が生じます。
130万円以上の収入がある場合は、税金や社会保険料によって手取りが少なくなる可能性があるため、扶養に入ってアルバイトをする場合は計算しながら働きましょう。
- 大人になって両親の扶養に入るのは抵抗があります。扶養に入るメリット・デメリットを教えてください。
経済的なメリットが多い一方制限がかかりやすいデメリットがある
両親の扶養に入ることの主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
・健康保険料、年金保険料が節約できる
・両親が扶養控除を受けられる
デメリット
・所得制限(年間130万円以下)がある
・将来的に受け取れる年金額が減少する
・クレジットカードやローンの審査に通りづらくなる可能性がある
このように、両親の扶養に入ることは経済的なメリットが多い一方で、所得制限があるなど、自立しづらくなるというデメリットも挙げられます。
扶養に入るべきか否かは個々の経済状況や家庭の事情によって変わるため、一人で悩まず、家族や専門家に相談しながら慎重に検討していきましょう。
④多様なキャリアパスを描ける
採用後のコストが低いアルバイトは、正社員よりも採用されやすい傾向にあります。そのため、業界経験がなくても好きな仕事を選んで働ける可能性があります。興味のある分野にチャレンジしやすく、描けるキャリアパスが幅広いことがメリットです。
「新しい職種にチャレンジしたいものの経験がなくて選考突破が難しい」と悩んでいる人は、まずはアルバイトから始めてみるのも一つの方法です。アルバイトとして経験を積み、スキルを身に付けることで、ほかの企業で働く可能性を高められます。
アドバイザーコメント
若林 宏美
プロフィールを見る時間に融通が利きやすいアルバイトはメリットも多い
さまざまな理由から、正社員からアルバイトになる人はたくさんいます。
これまで聞いてきたなかで、個人的に一番メリットが大きいと感じるのは「ライフスタイルの変化に柔軟に対応できること」です。
子育て中の人ならアルバイトとして働き、子どもが小さなうちは子どもと過ごす時間を増やせます。また、子どもが独立して「もうあくせく働く必要がなくなった」人のなかにも、アルバイトになる人がいます。
誰しも平等に一日は過ぎていくので、そのなかで働く時間とプライベートをどう振り分けようかと考えたときに、アルバイトにした方が自分の暮らしが充実するなら、これは大きなメリットだと思います。
ストレスフルな環境の人は一度立ち止まり自分自身を癒やすのも一つの手
もう一つ感じるのは「ストレスからの解放」です。特に激務の人、ノルマのある職種の人に聞かれる話ですが、仕事のストレスから精神的に参ってしまった人は、正社員よりは責任の少ないアルバイトでいったんリセットしても良いかもしれません。
時間の自由がきくアルバイトは、「働きながら学校に行く」「資格取得の勉強をする」など、将来に向けたさまざまなキャリアを築けるチャンスでもあり、正社員からアルバイトになることにはいろいろなメリットがあるといえるでしょう。
マイナス面もチェックしよう! 正社員からアルバイトになる4つのデメリット
正社員からアルバイトになるデメリット
- 収入が不安定になる
- 信用度が低くなる
- 保険料の負担割合が大きくなる
- 正社員に戻りにくくなる
アルバイトへの転身にはメリットも多くありますが、良い面ばかりではありません。転身する前にデメリットから目を背けていると、アルバイトとして働き始めた後に悔いが残る恐れがあります。
また、アルバイトに転身した後に正社員に再度戻るのは難しいこともあります。転身して後悔しないように、事前にマイナス面も把握しておいてください。キャリアコンサルタントからのアドバイスも掲載しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
①収入が不安定になる
アルバイトは時給制・日給制なので、働いた分だけ給与が支給されます。病気や怪我、アルバイト先の都合によって勤務時間が短くなってしまうと、収入も減ってしまうのです。そのため、基本給が保障されている正社員と違い、アルバイトは収入が不安定になりやすいです。
また、ボーナスや産休・育休などの制度もないことが多く、基本的には手厚い保証を受けられません。会社員からアルバイトになれば、生活が苦しくなる可能性があることを把握しておきましょう。
アルバイトで生計を立てるのは難しいのかについて、こちらのQ&Aでキャリアアドバイザーが回答しています。
②信用度が低くなる
正社員から収入が不安定なアルバイトになると、社会的な信用度が低くなります。そのため、クレジットカードやローン、賃貸の審査通過は難しくなることもあるでしょう。
住宅ローンやカーローンでは頭金を多めに用意したり、賃貸では数カ月の家賃を前払いしたりすることもあります。また、クレジットカードは審査に通過せず、買い物時に困る恐れもあります。
信用度が下がることによって、時間以外の自由度が下がる可能性を把握しましょう。
ローンやカードの審査において、最終的にお金が回収できるかどうかが大切なポイントになります。
正社員であれば安定した収入が期待できますが、アルバイトとなると収入に変動があったり、職を失う可能性も正社員より高くなるため安定性に欠けます。そのため審査にも通りにくくなってしまうのです。
③保険料の負担割合が大きくなる
正社員として働いていると、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上65歳未満のみ必要)の50%を会社が負担してくれます。しかし、アルバイトが加入する国民健康保険や国民年金に労使折半の制度はなく、保険料を全額自分で支払わなければなりません。
そしてアルバイトは条件を満たさないと厚生年金保険に加入できないため、将来の年金受給額が少ない傾向にあります。老後に受け取れるお金が少なくなるうえに、保険料の負担割合が大きくなることがデメリットです。
一方で、配偶者や両親の扶養に入る場合は、社会保険料を支払う必要はありません。また、1週間の所定労働時間が20時間以上・月額賃金が月8.8万円以上(年間で約106万円)・雇用期間が2カ月以上などの条件を満たしていれば、アルバイトでも社会保険に加入できます。
④正社員に戻りにくくなる
アルバイトは正社員よりも簡単な業務を任される傾向があり、専門的なスキルを磨く機会がそれほどない場合もあります。しかし、正社員募集はすぐに戦力になる人材を求める企業が多い傾向にあるため、アルバイト期間が長くなれば即戦力になるスキルが身に付かず、正社員に戻りにくくなるリスクがあります。
次の仕事に活かせるスキルや能力を身に付けながら働けるのであれば問題ありませんが、ルーチン業務だけに携わっている場合は注意が必要です。アルバイトとして働いているうちに、正社員としての道が狭くなる可能性があることを理解しましょう。
- 正社員からアルバイトになると、再就職の際にマイナスに働くのでしょうか?
スキル習得への意欲をアピールできればプラスに働く可能性もある
マイナスに働くか働かないかは、採用担当者や会社の考え方によりますが、個人的にはマイナスに働くとは思えません。
特にこの質問の場合では、「やりたいことの実現」に向けてスキルを習得するためのアルバイトなので、意欲が感じられマイナスよりはプラスに働く可能性が高いと思いますよ。
ただし、特に理由もなく長年アルバイトをしていたり、アルバイト先が何回も変わっていたりすると、場合によってはマイナスにとらえられてしまうこともあります。
判断基準にしよう! 正社員からアルバイトへの転身を検討しても良いケース
正社員からアルバイトへの転身を検討しても良いケース
- 正社員として働き続けるのが難しい
- ほかにやりたいことが明確になった
- 家庭と仕事の両立が厳しい
「正社員からアルバイトになって後悔しないか心配」「転身する際の判断基準を知りたい」など、正社員からアルバイトになることに悩みを抱えている人もいるでしょう。
正社員からアルバイトへの転身を検討しても良いケースを理解することで、明確な判断基準になります。後悔しなくて済むように、判断基準を明らかにしておきましょう。
①正社員として働き続けるのが難しい
過度なプレッシャーや過酷な労働環境に限界を感じ、正社員として働き続けるのが難しい場合はアルバイトへの転身を検討しても良いでしょう。そのまま同じ環境に身を置いて心身が壊れてしまっては、あなたの人生においてプラスになりません。
また、のびのびと働けない環境で結果を出し続けるのは難しいでしょう。そして結果を残せないやるせなさがさらなるストレスの原因になり、よりいっそう仕事が苦しくなる悪循環に陥る恐れもあります。
ひとまず問題を解決して心身への負担を軽減するために、アルバイトに転身するのも選択肢の一つです。
正社員として働き続けるのが難しい状況
- 仕事の日にベッドから出られなくなった
- 仕事のことを考えるとご飯が喉を通らない
- 同僚とコミュニケーションを取れない
②ほかにやりたいことが明確になった
「30歳までに起業したい」「アメリカに留学したい」など、やりたいことが明確になっている場合、アルバイトへの転身は有効な選択肢です。正社員は自由な時間が少なく、仕事をしながら起業したり、留学に向けた準備をしたりするのが難しいからです。
加えて、一時的にアルバイトをしながら経験を積むことによって、より市場価値を高められる可能性があります。
たとえば留学して仕事で使えるレベルの英語を習得すれば、帰国後の就職先の選択肢が広がります。また正社員を辞めることによって確保した時間で経営やコストについて学んだり、事業に関する知識を身に付けたりしておくことで、起業に向けた準備を進められることもあるでしょう。
しかし、年齢を重ねるにつれて転職の難易度は高くなるため、やりたいことが明確になったらなるべく早く行動しましょう。
- 挑戦が成功するかわかりません。本当にアルバイトに転身しても大丈夫なのでしょうか?
リスクを考えると正社員のままで挑戦できないのかは再考するべき
やりたいことが明確になり、それに挑戦をするのは素晴らしいことです。しかし、挑戦が成功するかはわからないとすると、やはりなるべくリスクは避けたいですね。
正社員として挑戦に向けて準備をすることは本当にできないのか、副業的に挑戦することができないのかはしっかり考えてみると良いでしょう。
そのうえで正社員のままでは挑戦ができないと判断をしたのなら、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで検討し、結論を慎重に出すと良いでしょう。
③家庭と仕事の両立が厳しい
育児や介護によって家庭と仕事の両立が難しい場合も、自由な時間が増えるアルバイトへの転身を検討しても良いといえます。家でやるべきことが多いのにもかかわらず正社員として働いていると、どちらも中途半端になってしまうかもしれません。
また、仕事のストレスを抱えたまま帰宅して育児や介護に取り組めば、子どもや両親に強くあたってしまう恐れもあります。家庭と仕事の疲れやストレスで心身が疲弊しないよう、業務量を調節しやすいアルバイトに転身するのも立派な選択です。
正社員では、最長2年の育児休業や最大3回通算93日の介護休業が取得でき、育児休業給付金、介護休業給付金がそれぞれ厚生年金から支給されます。
育児や介護に関しては、会社独自の休業制度や補助などがある場合もあるので、確認しておきましょう。
キャリアのプロに質問! 正社員からアルバイトになるのはあり?
正社員からアルバイトになるメリットや判断基準を解説しましたが、「本当に転身しても大丈夫なのか」と不安な人もいるでしょう。また、就活のプロが考える後悔しないために必要な判断基準も気になりますよね。
これまでに多くの相談を受けてきたキャリアコンサルタントに、「正社員からアルバイトになるのはありなのか」を聞いてみましょう。
アドバイザーコメント
井上 捺稀
プロフィールを見る総合的に考えたうえでアルバイトの方が適していると判断した場合はあり
人生で大切にしたいことが何か、どのように生きていきたいかを考え、その手段として正社員よりもアルバイトの方が適していると総合的に判断できる場合は、アルバイトへの転身もありといえるでしょう。
人生を構成する要素は仕事以外にも家庭や趣味、将来の夢などさまざまです。また、理想のキャリアプランや、仕事において何を重視するかも人それぞれです。まずは自分の人生をどうしていきたいかを考え、そのなかで仕事に求めるものが何かを明確にしてみましょう。
アルバイトに転身する際はデメリットへの対策も立てておこう
これまでの記事にもある通り、正社員のほうが待遇面でも優遇されていて社会的信用もあり、保障も手厚いです。
加えて、アルバイトは何歳からでも始められますが、正社員だと年齢制限があるものも多いため、仮にアルバイトに転身することを決めても、周囲から反対されることもあるでしょう。
そのため、アルバイトに転身した際に起こりうるデメリットへの対策を立てておくこと、「なぜ正社員ではなく、アルバイトのほうが良いといえるのか」をきちんと言語化しておく必要があります。
正社員からアルバイトになる方法2選
正社員からアルバイトになる際に「まずはどうしたら良いのだろう」「とりあえず今の会社を辞めてしまえば良いのだろうか」と悩んでいる人もいるでしょう。
正社員からアルバイトになるためには、大きく分けて2つの方法が考えられます。すぐ辞めてしまう前に2種類の方法を知っておくことで、転身する際の選択肢を増やせますよ。
ここでは、「相性の良い方法で転身して長く働き続けたい」という人に向けて、正社員からアルバイトになる方法を解説します。自身に合った転身方法を選べるように、それぞれの違いを把握しておいてくださいね。
同じ会社でアルバイトとして契約する
正社員として雇用契約を結んでいても、会社と労働者の双方が合意すれば正社員からアルバイトへ転身することも可能です。病気や育児、介護で正社員と同じように働くのが難しいものの、職場を変えたくない場合に有効な方法です。
正社員からアルバイトになりたい場合は、上司や人事部にそのことを伝えてください。スムーズに転身したい場合は、引継ぎを問題なく終えられるように決断した時点で相談するのが良いでしょう。なお、上司に伝える際は相談時間を確保できるように、事前にアポイントを取っておいてくださいね。
また、同じ会社でアルバイトに転身すると、正社員のときと同様の仕事内容を任されるリスクがある点に注意しましょう。
同じ会社であっても雇用契約が変わるため、労働条件や福利厚生が大きく変わる可能性があります。また、仕事内容やキャリアパスも変わってくるため、不明な点は人事担当者に相談して事前に解消しておきましょう。
退職してアルバイトの求人に応募する
退職して別の職場でアルバイトとして働く選択肢もあります。一般的な転職活動と同様に、求人サイトで仕事を探して応募しましょう。アルバイトの求人は、タウンワークやバイトルなどで探せます。ただし、求人サイトによって掲載されている求人に違いがあるので、複数のサイトを比較して自分に合ったアルバイトを見つけましょう。
退職後も収入が必要な人は、働きながらアルバイトに応募して面接を受けるのも選択肢の一つです。なお、直近2年以内に12カ月以上にわたって雇用保険に加入していたのであれば、仕事を探している期間に失業手当を受け取れます。失業手当を受け取りたい場合は、離職票をもらった後にハローワークでおこなってくださいね。
最後にもう一度確認! 正社員からアルバイトになる際に考えるべきこと
ここまで正社員とアルバイトになるメリットやデメリット、転身する際の判断基準を解説してきました。アルバイトになることを決断した人もいるかもしれませんが、やはりリスクはあるので、今の環境で感じている課題を解決できないかは考えておきましょう。
一時的に仕事のストレスから解放されたとしても、日々の生活が苦しくなれば別のストレスに悩まされるかもしれません。「転身して本当に後悔しないか」を明確にするために、正社員からアルバイトになる際に考えるべきことを最後にもう一度確認しましょう。
今の職場で現状を変えることは難しいのか
責任の重さや周囲との人間関係が原因で転身を考えている場合、今の職場でも現状を変えられないのかもう一度検討してみましょう。たとえば昇進にともなう重い責任からプレッシャーを感じているのであれば、別の部署でプレイヤーとして働くことを希望するのも選択肢の一つです。
また、上司や同僚のハラスメントに悩んでいる場合は、人事部に伝えてみましょう。悪いのはあなたではないので、相手が異動や出向になったり、あなたの異動により同じ職場でも働きやすくなる可能性があります。
アルバイトとして新しい仕事を覚えることは大変なうえに、退職前よりも生活が苦しくなる恐れもあります。アルバイトへの転身を決意する前に、「今の職場で働きながら現状を変える方法はないか」を確認してみてください。
- 異動を希望しましたが断られてしまいました。今の職場は離れるしかないのでしょうか?
簡単に諦めず人事やさらに上の立場の人に相談してみよう
上司に話してみたが断られてしまったという場合は、さらに立場が上の人、または直接人事に相談をしてみましょう。
なぜ異動したいのかを丁寧に説明すれば理解してもらえる場合もあり、事情に合わせて降格しなくても働き方を調整することが可能な場合もあります。
断られたということは、職場側の事情もあるのかもしれません。簡単に諦めてしまわず、話し合いができると良いでしょう。
別の会社に転職することで問題が解決しないのか
仕事のストレスから解放される方法は、アルバイトへの転身以外にも別の会社への転職も考えられます。
転職で解決する可能性のある問題
- 重い責任から解放される
- 働きにくい環境や人間関係から逃れられる
- ハラスメントから解放される
また、ブラックな労働環境が原因で心身が疲れているなら、待遇の良い会社に転職すれば解決します。「現状を変えるための選択肢はアルバイトになるしかないのか」という視点で、問題を解決する手段を考えてみてください。
なお、転職を考えている場合は、複数の転職エージェントに登録してみましょう。非公開求人も含まれているので、自身に合った仕事が見つかる可能性を高められます。
転職のタイミングで迷っている人向けに最適なタイミングをこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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正社員からアルバイトになる際は確固たる軸を持って後悔しない選択をしよう
正社員からアルバイトになることにはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも多いです。一時的な感情でアルバイトに転身すれば、後悔する恐れがあります。
自由を求めてアルバイトに転身したにもかかわらず、収入低下と保険料の負担割合増加で生活が苦しくなっては元も子もありません。悔いが残らない選択をできるように、アルバイトへの転身を検討する際は確固たる判断基準を持っておきましょう。
アドバイザーコメント
佐藤 恭子
プロフィールを見る後悔のない選択をするためにも正社員からアルバイトになるメリット・デメリットを理解しよう
学校を卒業し、社会人としてスタートを切ってから、人生のなかではさまざまな「イベント」が起こります。スタート時に想定していたものから、まったく予期していなかったものまでさまざまです。仕事をしている自分以外の役割が社会、家庭のなかで新たに生まれます。
また、キャリアを積んでいくなかで社内での立場も変化していくでしょう。そのようななかで現在の働き方を変える必要が出てくるのは自然なことかもしれません。
しかし、将来、自分の選択を後悔しないためにもさまざまな視点からメリット、デメリットを検討し、将来に向けたビジョンを立て直す必要があります。
一人で考え込まずに広い視野を持って判断することも重要
特に社内でトラブルを抱えている場合は、一人で悩まず社内外で相談をしてみて、解決の糸口を探すことも有効でしょう。トラブルの渦中にいるとどうしても視野が狭くなりがちです。
相談することで自分だけでは気付けなかった解決策が見えてくることもあるでしょう。記事のなかでそれぞれの働き方におけるメリット、デメリットが具体的に紹介されています。
ぜひ一つひとつを自分自身に当てはめてじっくりと考えてから行動に移していただきたいと思います。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Kyoko Sato〇証券会社や航空会社のCAとしての勤務を経て、キャリアコンサルタントとして就職支援をおこなう。大学では就活講座や個別相談、企業では新卒採用関連業務を担当。転職相談などでも幅広く活躍
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Natsuki Inoue〇新卒で携帯電話販売代理店業界のベンチャー企業に入社。現場にてBtoC営業を経験した後、人事部では新卒採用を中心に、社内研修講師や社員面談などの人事業務に幅広く従事
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事
Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修
プロフィール詳細社労士/涌井社会保険労務士事務所代表
Wakui Yoshifumi〇平成26年に神奈川県で社会保険労務士事務所を開業。企業の人事労務相談や給与計算などを請け負う。また、関与先企業の社員のキャリアプランなどに関してアドバイスをしている
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