「理系なのに公務員になるのはもったいない」は本当? 理系院卒の元公務員が分析!

この記事の執筆者 幅広い業界での経験とキャリア支援実績がある専門家が書き下ろしました
山田 圭佑
山田 圭佑
国家資格キャリアコンサルタント/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
Keisuke Yamada〇沖縄県職員として18年間務めた後、キャリアコンサルタントに転身。お金や仕事に関するセミナーや個別指導などで、のべ3,000人を超える受講者や学生のキャリア支援をおこなう。KYお金と仕事の相談所所長。保有資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/AFP。

こんにちは。独立系キャリアコンサルタントの山田と申します。始めに、簡単に私の経歴を紹介させていただきます。

18歳のとき、東京の進学校から開校以来初めて、とある地方の国立大学(農学部)に進学しました。

その際周囲からは

「この進学校に入っておきながら、そんな大学に進学するのは『もったいない』」

と、奇妙に思われていました。まったく気にしませんでした。

24歳のとき、農学の大学院修士課程から沖縄県庁(行政職)へ就職しました。

その際周囲からは

「理系の修士課程まで出ておきながら、公務員になるなんて『もったいない』」

と、奇妙に思われていました。まったく気にしませんでした。

42歳のとき、沖縄県庁を退職しました。

その際周囲からは

「せっかく就職氷河期に公務員になって、早期退職するなんて『もったいない』」

と、奇妙に思われていました。まったく気にしませんでした。

そして今、おそらく文系の学問を修めてきた人がなることが多いだろう職業であるキャリアコンサルタントとして、「理系なのに公務員になるのはもったいない?」をキーワードとする記事の執筆依頼を受け、パソコンに向かっています。

周囲の大勢から「もったいない」と思われ、言われ続けていた人生を送ってきながらも、今は笑顔で気楽に生きられている人物である。ということで、この記事を書く機会をいただけたようです。ありがたいですね。

今回の記事では私なりに、周囲から「〇〇なのに、▲▲に就職するなんて、もったいない」と言われたときの対処法を書いていきます。最後までご覧いただければ幸いです。

本コラムのコンセプト

生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。

理系から公務員という選択を、筆者が「もったいない」と思わなかった理由

いきなりですが、1つ謝罪をさせてください。

記事の冒頭に「理系の修士課程まで出ておきながら、公務員になるなんて『もったいない』」と、奇妙に思われていました。まったく気にしませんでした。と書きましたが、このとき実際はそこまで奇妙には思われてなかったはずです。

当時は就職氷河期で、理系の修士といえど、ろくな就職先がなかったからです。「公務員なんて、安定した場所に就職できるなんてうらやましい!」とすら思われていたはずです。

記事の展開上、話を盛らせていただきました。申し訳ありません。

ただ、それはあくまでも就職氷河期という過去のお話。現在のように日本中で人手不足が慢性化し、若い就活生は引く手あまたです。

そのなかでも特に、理系研究職の初任給はうなぎ登り……という状況では、まさしく「理系の修士課程まで出ておきながら、公務員になるなんて『もったいない』」などと言われるシチュエーションは多いでしょう。

そのような「呪いの言葉」に接したとき、どのように考えれば気持ちを楽に、また自分を見失わないようにできるでしょうか。私の経験をもとに、ヒントをお伝えしましょう。

「理系の受験勉強が得意」と「理系の研究者に向いている」は、まったく異なる特性

最初にお伝えしたいことは、「理系科目が得意な人」と「研究者肌の人」は必ずしも一致しないということです。私もそうでした。

高校の授業や大学入試における物理・化学・数学などの科目で高得点を取るのは得意とする一方で、ひとつの分野を突き詰めて研究し、実験を繰り返し、世界中から関連論文を集めて読み、自分でも論文を書き……という作業には、自分が想像していたほどの興味や意欲を持てませんでした。

これは、実際に自分で研究や論文執筆などを実際におこなわないとわからないことだと思います。

「研究者には向かない」認めてからが人生の本番だった

私自身は大学3年生くらいの時点で「自分は研究者には向いていない」と気づき始めても、最初は頭でそれを否定していました。これまで歩んできた道を否定するようで、また大学受験や理系大学生としての生活を支援してくれた両親に申し訳ない、という気持ちが強かったのだと思います。

しかしある時点で「まあ、自分がそういう人間なら仕方ないか。」と思い切って認め、「研究者に向いていない自分が、楽しく生きていくためには、どのような仕事を選択すべきか? そのために今何をおこなうべきか?」という難題に取り組み始めました。

大げさな表現になってしまいますが、当時私が大学でおこなっていた実験研究よりもよほど壮大で、自分が真剣になれる「研究テーマ」だったと思います。そして、その「研究」は今でも継続中です。

興味があちこちに向くので、「行政職」を志望した

大学生であった当時の私なりに「自己分析」をしてみると、私は頭の作りが理系っぽい(理屈っぽい、いつも論理的に考えるが柔軟性が弱い)一方で、世界中で起こる政治・経済がらみの出来事や人間心理、新しい技術のニュースなどに強い興味があり、一つの事柄を突き詰めて考えるよりは、さまざまな物事を総合的に考えることにおもしろさを感じることがわかりました。

そうするうちに就職を考える時期になり、前述の通りそのタイミングは就職氷河期だったため、「公務員くらいしかまともな働き先がない」状態だったのですが、あえて専門職である「農業職」ではなく「行政職」でエントリーすることを選択し、懸命に慣れない法律系科目の学習を始めました。

「あちこちに興味が移り変わる」性格も幸いし、法律に関する興味も持って公務員試験対策ができ、結果として新卒で沖縄県庁職員となることができました

しかも、行政職として入庁した結果、業務で「キャリア教育」を担当することがあり、それが現在のキャリアコンサルタントとしての基礎にもなりました。これは、当時の私がまったく予想できなかった副産物です。

総合的に考えて、私の「理系→公務員」という選択は、私の人生のなかで一つの大成功事例だと、今でも自信を持って言い切れます。

あなたの「もったいない」はどこから?

私が思うに、軽々しく他人に向けて「理系なのに公務員になるなんて、『もったいない』」というような言葉をかけてしまう人は、おおよそ以下のような勘違いをしています

あなたに「もったいない」と声をかけてくる人は、どれにあてはまるでしょうか。

①理系は研究が好きなはず(と、私が思い込んでいる)なのに「もったいない」

記事の前半で書いた通り、「理系でも、研究すること自体が苦手」という人は必ず存在します

そのような人が無理に研究職に就いてしまうことは、本人のためにも組織のためにもなりません。

②理系の職業は稼げるはず(と、私が思い込んでいる)なのに「もったいない」

「稼げる会社」に就職できたならば、その指摘は当たっています。かといってそれは世のなかの真理ではなく、「稼げる理系以外の職業」も多数あれば、「稼げない理系の職業」も多数存在します

この思い込みは、「理系の学生は、就職率が良く、職にあぶれる心配が少ない」という事実を曲解することで生まれてしまうのではないかと、私は思っています。

③理系の知識は理系の研究でしか使えない(と、私が思い込んでいる)のに「もったいない」

研究分野にピンポイントの「理系の知識」であればこの指摘は当てはまるかもしれません。しかし、理系の学問を修めたことで向上する論理的思考や論文執筆を経て身に付ける文章構成力などは、広くビジネスに応用が効くものです

そうでなければ、元理系の私がこのような記事執筆を依頼されることもないでしょう。

あなたは自分自身に「もったいない」と制約をかけてしまっていないか?

上記のような(一方的な)意見に共通するのは「いずれも発言者の主観であり、いわゆる一般論の枠を出ていない」ということだと思います。

要するに、「一般論から抜け出せない程度の知識・経験しかない人が、『あなたという個人』の裏にある複雑な性質や事情を考えることなく、自分の思い込みで、批判めいた発言をしている」ということです。あまり気にするべき言葉ではありません。

これは「理系」と「公務員」の言葉をほかのものに入れ替えても成り立つと思います。

ここで改めて考えていただきたいのですが、あなたは自分自身で上記のような考え方にはまりこんではいないでしょうか。その結果、自分で自分を責めてしまい、自信を失ってはいないでしょうか。

私の事例を引くまでもなく、自分でよく考え、自分で決断し選び取ったキャリアであれば、一般に「もったいない」と言われるような選択であっても、あなたの人生は「自分が納得できるもの」になります。それこそが、あなたが自分の人生を心安らかに歩める選択だと、私は信じています。

キャリア選択において、何を「もったいない」と思うかは、本来は「本人の価値観」のみによるべきものだと、私は思います。そして、その価値観は人生経験によって刻々と移り変わるものでもあります。

この記事を読んでいる読者の皆様は、そのときどきの自分の価値観をできるかぎり客観的に認識し、自分が納得できるキャリア選択をし続けてほしいと、私は心から願っています。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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