
可能性は、確率論というよりは、早い者勝ち!
のっけから文章で煙に巻こうとしているな? と感じさせてしまったら、ゴメンナサイ。まったくそういう意図ではありません。
コラムやハウツーものの文章が溢れんばかりの世の中。しかも生成系AIが勝手に各種情報を読みやすいように編集までしてくれて、検索結果として還元してくれる昨今!
なんとなくキーワードとして引っかかるような書き方になっているのは職業病だと思ってください。改めてスイマセン!!
でも、ここで書きたいことは、世の中の動向分析やビッグデータ解析などではありません。もっともっとシンプルに、自身の体験や見聞きしたリアルな事象を書きたいのです。
そしてそれを読んでいただいたアナタのご判断材料の一つになればと、そういう想いなのです。
さらにいうと、私自身もコンサルやメーカーからの転職経験(新人やキャリア採用者との面接経験や育成経験も)、そして現役での大手金融やITベンチャーでの人事部門側の経験があります。
個人の転職経験談だけでは星の数ほどある転職者のエピソードの一つになってしまうので、現役のキャリア採用の面接官側の観点も織り交ぜながらお話しできたらと思っています。
本コラムのコンセプト
生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。
採用が早い者勝ちとはどういうことか
さて、冒頭の見出しにある、「可能性は、確率論というよりは、早い者勝ち」とは、どういうことかご説明しましょう。
結論から言えば言葉通りなのですが、これまでキャリア相談を受けるなかで、「今の経験で志望企業に入れる可能性はどれくらいか?」といった趣旨のご質問を受けることが多くありました。
それもそのはず。特に転職が初めての方は、入社の確率を上げていかないと不安でしようがないわけです。
しかし、確率論というのは、元ネタが何の確率を表しているか、まったくわからないままになりがちです。
たとえば、同じ部署の人10名が同時に面接して受かった確率ならばまだしも、一人の人間がバラバラの業界10社に応募して落ちた結果を「受からない確率」にカウントしても、それはなんの参考にもならない数字です。
さらに、採用者側の視点に立てば、「今欲しい人材に対して、今現れた候補者のなかから選ぶ」だけのこと。毎年恒例のオーディションと違って、奇跡の確率論はいりません。
応募が早い人が勝ちを獲得する。採用は、シンプルに早い者勝ちなのです。
メーカーから行けるところはどこだろうか? メーカーという業界は、どこの確率が高いかな? というようなことを指標にしてしまいがちな方は、まずは「早い者勝ち」の視点を持ってみてください。
メーカーには、企業の業務プロセスが詰まっている!
メーカーからの転職の際に意識したいこと
せっかくの「メーカーからの転職を考える方」向けのコラムなので、先に一つポジティブな発言をさせてもらいます。
メーカーには、企画(商品・ビジネス戦略)~開発~生産~販売戦略~原価売上管理といった、企業の業務プロセスがきれいなサイクルとして詰まっており、そして完結できます。これは、金融や商社、IT会社や、サービス会社には欠けている、職種としてのサイクルの特徴であり、貴重な経験が出来る環境です。
そうなると、各部署の方々とどのような人的ネットワークがあって、それがどのように自身のキャリアに影響するのか、関連する業務の実態を理解して織り交ぜて語れたら、面接官側としてはとても信頼できるエピソードになり得ます。
アナタがどこの部署から、どういう世界に行きたいかによって、それらをどう活用するかは変わります。
メーカー経験の言語化で地に足ついた印象を残す
私自身がメーカーから金融大手に受かった際のお話です。当時の面接官から合格ポイントを教えてもらう機会がありました。
評価されたのは、自分自身の職務でなくとも、「メーカーではその製品がなぜ存在し、会社の利益やブランディング、さらには愛社精神にどのように寄与しているのか」を自分の言葉で語れていたことでした。
それは、面接における机上論や空中戦のような受け答えとは異なり、地に足がついていた印象を残したといいます。
さらに、当時はデジタル戦略や人事領域の経験がありました。このように、職務経歴としてITや人事を経験していたことも、単なるスキルにとどまらず、「ビジネスを理解して職務についていた人だ」と判断してもらえた一因でした。
外部人材ならではの希少性を活かす
おそらくみなさんも、就活に慣れていたら、ITでも人事でも、あるいは生産、営業、経理でも、自身の経験した職務経歴や、実務の重要ポイントを語ることはそんなに難しくないはずです。
ただやはり、あなたが「早い者勝ちで集まった採用枠の候補者から一つ抜き出るポイントを持っておきたい」と思うのなら、メーカー経験を語ることでビジネス面でのポテンシャルを感じさせていくのが良いかもしれません。
というのも、メーカーは会社のお手本といえる企業プロセスを持っている業界です。そこを土台に、自身の職務にどう向き合っていたかを語ると、上っ面な「御社に役立てます」や「御社を研究してきました」という言葉よりもずっと、面接官としては「欲しいと思わせる材料」になると思います。
もう少し具体的に言えば、私が所属する金融やITベンチャーには「物流」が存在しません。そのため原価計算や生産工程管理のスキル、それらと関連する特有のシステムの知識は、金融やITベンチャーのプロパー社員にはない、キャリア採用者だからこその「自社業界外のスキル」です。
(むろん、逆に業界が特有のビジネス慣習があるような企業経験では、まさにその特有さを、どう転職先の現業に活かすつもりなのかを語るスキルがあると、ぐっと抜き出るチカラになりますね)
「ポジティブ化」は面接官の心をつかむ
また、一つ思い出したのが「物流倉庫の配送実務」から、将来を見越して「ITエンジニア」を目指したいということでITベンチャーを受けに来た人のエピソードです。
一見すると大きなジョブチェンジなので、IT経験も不足しているし、キャリアの連続性も感じられませんでした。ただ、その人は「配送ルート算出の実務を、複数のAIを使って、既存パッケージ製品にはない機能と、それよりも低予算で実現できるのでは?と思い描いて勉強してきた。ただ、現職の会社への提案は受け入れてもらえなかった」と熱く語りました。
こうした実体験に基づいた改善意識は、ジョブチェンジを応援したくなる(採用したくなる)ものです。
「メーカーからの転職」ではなく、アナタが求める「転職」!
ここまでメーカー経験ならではのポジティブな面を先に記載しましたが、実は、私がお伝えしたかったのは「メーカー出身」という肩書に囚われなくて良い、ということです。
正直に言えば、どこの業界から来たのかはあまり関係ありません。面接官としては「なぜその業界からうちに?」という志望動機が聞きたいわけです。
なので、冒頭に書いたように「メーカーだから……メーカーなのに……」ということに縛られなくて良いのです。
私が先ほど書いた「ポジティブ化」についても、無理に「面談のなかで武器となるエピソードにしなくちゃ」とか「(メーカー出身は転職先の業界にあまりいないので)面接時の重荷になってしまうのでは」などと杞憂する必要はありません。「出身地」くらいの気持ちで十分かなと思います。
少しヒントをお伝えするなら、アナタが「メーカーからの転職」というキーワードで検索したり、面談での言葉を整理して不安を覚えたりするのは、それは本当に「メーカー」だからでしょうか?
・転職してやったみたいのは、まったく未経験の職種である
・世の中でよく聞く平均値よりも、高い年齢での転職活動である
・中小企業から大手に入れるだろうか?
・大手から中小を選んで後悔しないだろうか?
上記はすべて、「メーカー出身」とは関係ない不安です。
もちろんそれぞれに対して、過去転職経験や、キャリア採用面接官として思うことはあります。ただし今回のコラムは、「メーカーからの転職」に悩む読者の方々に向けてお話させていただきました。
もし、別の観点での不安だと整理できましたら、ご縁あれば小職、またはアナタの信頼できるキャリア相談相手とお話されて、キャリアを積み上げて行かれることを願っております!
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi




