本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
TKCは60年もの歴史がある、会計や法律等の分野に強みを持つIT企業です。しかし、「社風が宗教的」「仕事が激務」といった、企業に対して「やばい」という情報も飛び交っています。
そこで、TKCが気になってる人に向けて、「やばい」と言われる理由を解説します。さらに、豊富な求職者支援の経験を持つキャリアコンサルタントが情報の正しいとらえ方を伝授するので、噂の実態を見ていきましょう。
1分でわかるTKC
TKCとは
1966年設立の情報サービス企業。おもに会計事務所と関与先の中小企業、地方公共団体、中堅・大企業、法曹界等に向け、業務システムやクラウドサービスを提供。「自利利他」を社是に掲げ、ICTの活用を通じて顧客の事業成功と発展を支援。
| 会社名 | 株式会社 TKC(TKC Corporation) |
| 従業員数 | 連結:2,964名(2025年9月30日現在) 単体:2,458名(同) |
| 本社所在地 | 栃木県宇都宮市 |
| 主な事業 | ・会計事務所向け事業 ・中堅・大企業向け事業 ・地方公共団体向け事業 ・法律専門家・法科大学院向け事業 |
| 売上高(連結) | 834億7,600万円(前年同期比10.07%増)(2025年9月期) |
| 営業利益(同) | 165億9,000万円(同3.46%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.tkc.jp/company/ |
| 新卒採用HP | https://www.tkc.jp/recruit/ |
「TKCがやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「TKCがやばい」と言われる4つの理由
TKCが「やばい」と言われるおもな理由を4つにまとめています。それぞれの理由を根拠となるデータや情報を使いながら説明していきます。同社と同じ業界での勤務経験のあるキャリアコンサルタントからの解説も参考にして読んでみてください。
①宗教的な企業文化だから
TKCは社是に「自利利他」を掲げており、「自分の本当の利益は、人の利益を図ることの中にある」(※)という考え方を展開しています。また、経営理念を「顧客への貢献」として、「お客様への貢献は、私たちの喜びです。」と述べています。
このように、顧客至上主義を押し出した考え方が、人によっては宗教っぽさを感じてしまう原因となっているのかもしれません。
また、新入社員研修において、集中力を高めるために坐禅を取り入れていることも、宗教らしさを感じさせる要因である可能性があります。
このような独特の社風を公表する背景には、できるだけミスマッチを防ごうという狙いがあるととらえることもできます。
プロのアドバイザーはこう分析!TKCは社内外から安心を得られる社風を掲げている
元システムエンジニア(SE)の目では、TKCの「自利利他」は、筋の通った理念でありつつ、扱い次第で働く人を守りにも苦しめにも変える、そんな両面を持つものに映ります。
メリットは明確です。理念が組織の芯まで通っているため、判断の軸がぶれず、顧客からの信頼も厚いことです。それが高年収や低い離職率として、働く側に安心を還してくれます。
この価値観に共感できる人には、迷いなく走れる「成長の足場」になるはずです。
理念も企業を判断する重要な要素となる
一方、「顧客優先」が無制限のサービス提供と同義化すると、現場が蔑ろにされたように感じる瞬間が出てきます。
私がSE時代に顧客へ一心に向き合えたのは、上司が納期やメンバーのコンディションを見てペースを調整してくれたからです。理念が独り歩きせず、現場に寄り添って運用されているか、ここが見極めの要です。
不安を感じたら、一人で抱え込まないでください。「その不安はどんな不安か」「入社を決めた時、どんなビジョンを描いていたか」を言葉にし、身近な信頼できる人や私たちキャリアの専門家にぜひ話してみてほしいのです。
そこで得た専門性は、磨き方次第でポータブルスキルへ昇華できます。
②異動や転勤が多く発生するから
TKCは独立系SIerであり、職務の一つに地方公共団体向け事業を展開しているため、担当する案件によっては地方での勤務が想定されます。
また、海外勤務については、すべての部署にあるわけではないものの、海外への出張や研修は増えているとのことです(※)。
口コミサイト等では3~5年に転勤があるという意見もあり、勤務場所についてのこだわりが強すぎるとミスマッチとなる可能性が考えられます。
アドバイザーからワンポイントアドバイス部署にもよるが異動や転勤はあるものと認識しよう
TKCは、全国展開している企業です。そのため異動や転勤の頻度は、一定程度あると考えておくのが現実的です。
特に営業職や導入支援職、自治体・会計事務所向けに顧客対応を行う部門では、勤務地が変わる可能性があります。口コミサイトなどで3〜5年程度という声が見られるのも、全国型企業としては不自然な頻度ではありません。
ただし、全社員が同じ頻度で転勤するわけではなく、職種や部署によって大きな差が現れるでしょう。差は大きいと考えられ、開発部門や本社機能に近い職種であれば、勤務地がずっと変わらないケースもあります。
転勤は職種による! 自分の志望職種の実態を調べよう
ただし、海外出張や研修があるからといって、転勤が多い会社と一括りに見なくても良いでしょう。転勤の有無は職種によって変わります。自分が希望する職種ではどの程度勤務地変更があるのかを確認することが重要です。
さらに、TKCのように歴史の長い会社は、時代に対応するために組織を変化させることがあります。そのタイミングで、国内で職場が変わると考えることができます。
③残業時間が長いから
口コミサイトでは、TKCは残業が多いという意見が見られます。
企業の公式サイトには掲載されていないものの、マイナビではTKCの平均残業時間は21.8時間(2024年度)(※1)となっており、情報通信業界全体の平均16.5時間(※2)のため、労働時間は長めになる傾向にあります。
TKCの場合は、顧客によって繁忙期に特徴があると推測されます。たとえば、税理士事務所では12~1月の年末調整の時期、法人相手なら3月の決算申告の時期など、業務が増えるタイミングがあります。
※1 マイナビ2027 (株)TKC【東証プライム市場上場】
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
プロのアドバイザーはこう分析!顧客に合わせた仕事のペースが要求される
TKCの顧客である税理士事務所や会計事務所向けのように、年末調整や決算、確定申告の時期に、運用上のヘルプが増えるのは想定範囲だと思います。
しかし、SIerであることが大前提だとすると、運用上の繁忙の前に新規開発リリースがあります。特定の顧客に向けたシステムの新機能開発などは、その運用繁忙期までには、リリース後の検証までも終わっている必要があります。
そうなると、通常の開発会社のように、もしものためのリリースが遅れるというのが許されにくい顧客と言えるでしょう。
プロジェクトのリリース直前が繁忙期である
その点を踏まえると、繁忙というキーワードで時期だけを指すわけではなく、絶対にリリースを延期できない覚悟の元で、リリース直前の残業が他業界に比べて急激に増える可能性があるとも考えられるわけです。
④得られるスキルが専門的すぎるから
TKCは法律、会計、行政といった専門的分野を対象とした事業を展開する企業です。そのため、身に付くスキルもニッチなものが多いことが推測されます。
確かに、TKC社員の資格取得実績(※)を見ると、クライアントに合わせた分野の専門資格が多いことがわかります。しかし、IT全般に活用できる資格についても多くの取得実績があることも事実です。
システム開発に関連する資格取得状況
- 基本情報技術者(レベル2):855名
- 応用情報技術者(レベル3):181名
- 高度情報処理技術者(レベル4):31名
- 情報処理安全確保支援士:21名
- マイクロソフト認定技術資格(MCP):533名
- AWS認定資格:29名
- JSTQB 認定テスト技術者資格:106名
- G検定:153名
その他資格取得状況(全役社員)
- 税理士資格
税理士(5科目合格者):4名
簿記論:29名
財務諸表論:22名
税法科目:10名 - 公認会計士:3名
- 米国公認会計士:1名
- その他資格(社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士):12名
事業内容が専門的であるがゆえ、獲得できるスキルも限定されてしまうという意見もあるかもしれません。しかし、実際は幅広いITスキルが身につけられる企業と言えるでしょう。
※ TKC 人材教育
アドバイザーのリアル・アドバイス!ITスキルの価値はキャリア次第で変わる
「TKCのスキルは外で通用するのか」、専門性の高い環境ほど、この不安は自然に湧くものです。まずはその気持ちを、無理に押し込めず言葉にしてみてください。
結論から言えば、何が「一生モノの武器」になるかは、あなたがどんなキャリアを描くかで変わります。
汎用性ではモダン言語に軍配が上がりますが、TKCで磨く税務・行政の業務ロジックは、FinTechや自治体DX領域で「喉から手が出るほど欲しい」と評価される希少価値です。競合が少ない=価値が高い、という感覚を持てると強いです。
どのような場面でスキルが役立つのかを考えよう
社内の資格やITスキル基準(ITSS)は、「自分のレベル感」を整理するフレームとして有効です。ただし真の市場価値は、ITSS×扱う領域(クラウド・業務ドメイン等)の需要で決まる、ここを忘れないでほしいのです。
私自身SEから教育へ転身した際、持ち出せたのはスキルそのものより「スキルの考え方」でした。実装前の仕様言語化は、教育現場では予算案や計画策定へと形を変えています。
具体的な働き方のイメージを描けたとき、ニッチは覚悟ある「強み」に変わります。
企業の詳細なデータから噂と真実を照らし合わせよう
TKCは社風が宗教的、学びが専門的といった評判が挙がっていますが、実態を紐解くとすべてが真実ではないことがわかります。事業内容や事業の対象など、細かい部分まで調べることで、「やばい」理由を分析してみましょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!独特な企業文化は一体感の現れである
歴史の長い会社では、多かれ少なかれ独自の社風や伝統があります。
そして多くの企業が、社是や理念、行動指針を掲げ、社員に浸透させようとしています。会社が目指す方向に対して、組織全体のベクトルを合わせるためです。
わかりやすく言えば、スポーツチームが掲げるスローガンに近いものと考えると理解しやすいでしょう。
TKCの理念も、特別に突飛なものでも、宗教色が強いものでもありません。研修で坐禅を取り入れる例も、集中力向上や自己統制を目的としており、極端に珍しい取り組みとは言えないでしょう。
むしろ、何らかの理念共有や文化形成をおこなっていない会社のほうが少数派です。
柔軟性と学習姿勢がTKCで活躍するための鍵になる
TKCに向いているのは、こうした企業文化を過度に警戒せず、まずは受け止めたうえで柔軟に対応できる人です。
組織のルールや価値観を理解しながら、自分の役割を果たせる人はなじみやすいでしょう。また、会計・法務・行政など専門性の高い分野に対し、地道に知識を積み上げられる人にも適性があります。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Yukio Minami○理系大学院修了後、SEとして医療系システムに従事。私立高校に転職後は進路指導やキャリア教育に携わり、カウンセリングなどを通して生徒一人ひとりに合わせた支援をおこなっている
プロフィール詳細2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Norihiro Takahashi〇過去には外資企業、現在も金融大手の人事系部門管理職で年間100名超のキャリア面談実績がある。ベンチャー人事顧問と大学キャリア講義も担当。
プロフィール詳細