営業しかできないは嘘! 営業からの転職経験者に学ぶキャリアの選択肢を広げる戦略

この記事の執筆者 幅広い業界での経験とキャリア支援実績がある専門家が書き下ろしました
谷猪 幸司
谷猪 幸司
国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Koji Tanii〇大手メーカーで設計、品質管理に従事。キャリアチェンジののち、高校・大学の就職講師として活動。障がい者の就職や恋と仕事の両立を実現させるコンサルティングなど幅広い支援をおこなう。JLC認定恋愛アドバイザーとしても活動し、自分らしく働くためのサポートを信条としている。

営業から転職を考えるとき、「自分は営業しかやってこなかったからほかは無理では?」と感じる人は少なくありません。

結論から言うと、それは完全に思い込みです。

実際に私は、営業職からキャリアチェンジを経験し、その過程で多くの方の転職支援にも関わってきました。そのなかで断言できるのは、「営業経験はむしろ汎用性が高い武器になる」ということです

本記事では、営業から転職できる仕事や具体的な進め方、そして私自身の体験談を交えながら、キャリアの広げ方を解説していきます。

本コラムのコンセプト

生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。

営業から転職できる可能性がある仕事

営業での経験を横展開できれば、転職は実現できます。

転職活動を進める前にやるべきこと 

営業からの転職でまずやるべきは、「職種を探すこと」ではなく「自分の棚卸し」です。

多くの人がいきなり求人を見始めますが、それだとミスマッチが起きやすい。先にやるべきは、「自分が何をやってきたか」を言語化することです

どのような商品を扱っていたのかを振り返る

営業職をおこなってきたうえでこれは実はかなり重要です。

転職先の方向性を左右する商材の扱い方

  1. 高単価商材(100万円以上)を扱っていた
  2. 無形商材(サービス・コンサルなど)を提案していた
  3. 法人向けか個人向けか

これによって転職先の方向性は大きく変わります

高単価×法人営業ならコンサルや企画職への親和性が高く、個人向け営業なら接客・カスタマーサクセスなどにも候補先として展開しやすいです。

数字と成果をどう出していたかを整理する

営業は数字の仕事です。ここを整理できていたら非常に有効な強みになります。

営業経験の棚卸しで確認したいこと

  1. 年間もしくは月間の売上はいくらだったか
  2. 目標達成率は何%だったか
  3. どんな工夫で成果を出したか
  4. 新規開拓か既存顧客か

これらを整理することで、「再現性のあるスキル」として評価されます

営業から転職しやすい職種

そんな営業職だった方が実際に多い転職先の職種としては以下のような職種です。

営業から転職しやすい職種

  • カスタマーサクセス
  • 人材コーディネーター
  • キャリアアドバイザー
  • 企画職(営業企画・事業企画)
  • マーケティング職
  • 事務職(営業事務など)

ポイントは、「人とかかわる力」や「課題解決力」をどう活かすかです

営業=売るだけ、ではなく「価値を伝える仕事」なので、横展開は十分可能です。

営業から転職する方法 

営業からの転職で失敗する人の特徴はシンプルで、「なんとなく辞める」ことです。

①辞めたい理由を明確にする

まず整理すべきはここです。

数字プレッシャーがきついのか、商材に納得感がないのか、働き方の問題か、会社の方向性が変わったのかなど、辞めたい理由を整理しましょう。

理由が曖昧だと、転職しても同じことで悩みます

②自分の強みを言語化する

営業経験の言い換え例

  • 課題ヒアリング力
  • 関係構築力
  • 提案力
  • スケジュール管理力

営業経験はそのままだと「誰でもできる」と思われがちです。実際はそうではなく、「課題ヒアリング力」「関係構築力」などの言葉を使って分解して伝える必要があります

③未経験前提で戦う覚悟を持つ

営業職は手当などがつくため、給料が高くなりがちです。そのため正直に言うと、職種を変える場合は年収が一時的に下がることもあります。

ただ、その代わりに「長期的なキャリア」が手に入るならどうかを一つ考えておくことが大事です。ここは短期目線ではなく、中長期な目線で判断しましょう

私が営業から転職した理由 

私自身も営業を経験していましたが、あるタイミングで違和感を持ちました。

それは「このまま売り続けるだけで良いのか?」という疑問です。

もちろん営業自体が悪いわけではありません。ただ、私の場合は「人の人生にもっと深くかかわる仕事がしたい」「自分が人から受けた恩を別の方へお返ししたい」という思いが強くなりました。

数字を追うことよりも、「誰かの選択を支えること、より良い未来へ歩むための手助けをすること」に価値を感じるようになった

これが転職を考えたきっかけです。

私がどのように転職したか 

やったことはシンプルです。

まず、自分の経験を徹底的に棚卸ししました。「何ができるのか」ではなく、「何をしてきたのか」を細かく書き出しました。

次に、それが活かせる仕事を探しました。結果として、人材・キャリア支援の領域にたどり着きました。

正直、最初からうまくいったわけではありません。未経験なので選考を通らない企業もありました。

ただ、一貫していたのは「軸をぶらさなかったこと」です

人にかかわる仕事がしたい

成長実感を持てる環境に行きたい

この2つを基準に選び続けた結果、今の仕事につながっています。

最後に伝えたいこと

営業しかできない、というのはただの思い込みです。

むしろ営業を経験している人は、「コミュニケーション力」「課題解決力」「行動力」があります。

この3つを持っている時点で、かなり市場価値は高いのです。

問題は、「それに気づいていないこと」です。

キャリアは選べます。ただし、なんとなくではなく「意図的に選ぶ」ことが必要です

もし今、営業として働きながら違和感を感じているなら、それは次のステージに進むサインかもしれません。その違和感、無視しないほうが良いです。

キャリアは我慢大会ではなく、選択の積み重ねです。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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