オワハラとは? 企業の手口と被害に遭わないための対策をプロと解説

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  • キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー

    Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める

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  • キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士

    Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている

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  • 社労士/涌井社会保険労務士事務所代表

    Wakui Yoshifumi〇平成26年に神奈川県で社会保険労務士事務所を開業。企業の人事労務相談や給与計算などを請け負う。また、関与先企業の社員のキャリアプランなどに関してアドバイスをしている

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近年、就職活動でオワハラが問題になっています。オワハラとは、就活終われハラスメントの略称で、企業が就活生に対して、就職活動の継続を阻止しようとする動きのことを言います。

複数の企業を受けて、働きがいや条件などをしっかり考慮したい就活生からすると、オワハラは就職活動に大きな影響を与えてしまいますよね。

この記事では、キャリアコンサルタントの古田さん、杉原さん、社労士の涌井さんと一緒に、企業がオワハラをする理由やオワハラの手口、就活生ができる対策を解説していきます。オワハラに遭わないため、そして万が一遭ったとしても対処できるようこの記事を最後まで読んでくださいね。

目次

オワハラの被害に遭わないよう手口を知って事前に対策を身に付けよう!

オワハラは就職終われハラスメントの略で、企業が就活生に、就職活動を終了するよう強制する行為です。

オワハラに遭ってしまい、そのまま何の対処もできないと、希望していた就職先に勤めることができなくなり、やむなく望まない就職先で働くことになってしまいます。

オワハラはいくつか手口があるので、事前にその手口を知っておくと対策できます。この記事ではまず、オワハラをする企業の理由や、おもな9パターンの手口を解説します。あらかじめよくあるケースを把握して、オワハラへの不安を軽減しましょう。

後半では、実際にオワハラを受けたときの対処法を社労士やキャリアコンサルタントとともに解説します。トラブルを解消する効果的な方法がわかりますよ。

最後に、万が一オワハラにより内定を承諾してしまったときの対処法も紹介するので、この記事でオワハラ対策を万全にして、過剰に恐れることなく自分が納得いく企業に就職できるようにしましょう。

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オワハラは「就活終われハラスメント」の略! 一体どんなもの?

オワハラは「就活終われハラスメント」の略! 一体どんなもの?

  • 政府が注意喚起するオワハラの定義
  • 近年は約1割の学生がオワハラを受けている
  • 大手企業の選考が8月解禁になったことで増加した

オワハラが就職活動をおこなううえで問題になっていますが、オワハラは「就職終われハラスメント」を略した言葉として使われています。

なんとなく言葉は聞いたことがあるものの、実際にどういったものがオワハラなのか、どうしてオワハラが問題になっているのかまで知らない人も多いのではないでしょうか。

まずはオワハラの定義や近年オワハラが問題視されている背景について解説します。

政府が注意喚起するオワハラの定義

オワハラは企業が就活生に対して就職活動を終わらせるように強制する行為のことを言います。実は政府も明確にオワハラの定義を定めていて、厚生労働省が企業・事業主に向けて発表した資料で、オワハラを以下のように定義しています。

オワハラとは

企業などが新卒者の採用において、内定や内々定を出すことと引き換えに、学生の意思に反してほかの企業などへの就職活動の終了を強要するようなハラスメント行為

このように政府では、職業選択の自由を妨げる行為すべてをオワハラとして定義しています

また職業選択の自由は、日本国憲法第22条第1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。」 と定められています。

職業を自由に選べるのは、日本国民全員が持っている権利ということです。当然、企業がその権利を侵害するのは違法になります。

近年は約1割の学生がオワハラを受けている

2022年度の学生が受けたオワハラ

内閣府が令和4年におこなった学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査調査結果報告書によると、約1割の学生がオワハラを受けているということがわかりました。

オワハラの中でも、「就活終了を条件にした内々定(内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要された、早めに内々定を受ける旨の返答をしない場合には、内々定を取り消すと言われたなど)」という項目が62%をも占めていました。

次いで「内々定の段階での内定承諾書提出(内定承諾書を提出しない場合は、内々定を辞退したものとみなすと言われたなど)」という項目が39.3%と高くなっています。

この結果から、就活生に対してオワハラをおこなっている企業が一定数あり、10人に1人はオワハラを経験していることがわかります

人ごとではなく、もしかすると実際にこういったケースに遭遇する可能性もあるかもしれませんね。そのため就活ではオワハラへの対処を事前に知ることが重要です。

実際、オワハラは当たり前にあるのでしょうか? 自分も受けるかもと思うと不安です……。

杉原 美佐子

プロフィール

オワハラは目の前の学生を欲する強い気持ちの表れ

オワハラが当たり前にあるわけではありませんが、それに近い話になることはありえます。

採用担当者もオワハラはやってはいけないと認識しているはずですが、どうしてもこの学生を獲得したいといった強い思いがあったり、採用目標に届いていないためにかなりのプレッシャーにさらされていたりする場合があります。

そうすると、つい「うちに入ってくれるよね」「入ってくれないと困るよ」と本音を口走ってしまうこともあるでしょう。オワハラを容認するつもりはありませんが、欲しい人材を目の前にしての発言や心情であることは理解しておくと良いかもしれません。

企業が就活のマナーを守るのであれば学生側も就活のマナーを守り、オワハラにあっても冷静に対応しましょう。

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大手企業の選考が8月解禁になったことで増加した

大手企業の就職活動の時期は年々変化してきましたが、経団連の要請により、2016年卒の就活生の採用から、それまでが4月から本選考解禁だったところ、8月からのスタートになりました。

そのため、8月以前に選考をスタートしていた企業は、大手企業に人材を取られてしまわないよう、就活生に就職活動を中断するよう迫ることが増えるようになったのではないかと考えられています

2015年以前もオワハラという言葉はあったものの、2015年にオワハラはメディアでも広く取り上げられ話題となり、その後企業や就活生の間では聴きなじみのある言葉として定着しました。

涌井 好文

プロフィール

企業にとって、手間暇をかけた採用活動が無駄になるのは避けたい事態です。そのため、オワハラのようなものは以前から存在しています。

しかし、現在はどの業種や職種でも人手不足が深刻であり、人材確保の重要性がいっそう増しています。そのような背景から、オワハラは近年増加傾向にあるといえるでしょう。

オワハラは違法になるケースも! 関連する法律を知って身を守ろう

企業が就職活動を終わるよう求めてくるオワハラですが、実は違法になるケースも多くあります。その場合、当然オワハラに従う必要はなく、企業側が罰せられることになります。

しかしオワハラに関する法律について知らないと、企業側が取っている行為が違法なのかどうか判断がつかず、企業側に言いくるめられてしまう可能性もあります。

オワハラに関しては、ケースによっては脅迫罪と強要罪の2つが適応される可能性があるので、この2つについて理解しておきましょう。

古田 文子

プロフィール

面接官のなかには、オワハラが違法行為だと認識していないどころか、企業も学生から選ばれる側だという視点が抜け落ちている人も多くいます。

あるいは、人材確保に必死な企業の面接官は、上司の指示によって違法性を承知のうえでオワハラをおこなっている可能性もあります。

脅迫罪

脅迫罪は、刑法では以下のように定められています。

脅迫罪

第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

たとえば就活生に対して、「内定を辞退した場合、損害賠償を請求する」という内容の発言があった場合、就活生の職業選択の自由を侵害しているうえ、損害賠償を請求すると脅迫していると考えられるため、脅迫罪にあたる可能性があります

強要罪

刑法では、強要罪というものも以下のように定められています。

脅迫罪

第二百二十三条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことをおこなわせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

脅迫をおこなったり暴力を行使することによって、他社の内定を辞退する旨の誓約書を書かせるなどは、強要罪にあたる可能性があると考えられます。実際にはここまで深刻な事態に陥ることはまれかもしれませんが、身を守る知識として覚えておきましょう。

涌井 好文

プロフィール

オワハラ自体を直接罰する法律は存在しません。しかし、威圧的に辞退を迫るようなことがあれば、自由な意思を侵害したとして、強要罪や脅迫罪に問われる可能性があるでしょう。

企業がリスクを背負ってまでオワハラをする理由とは?

オワハラをすることで、企業側は法律に触れたとして罪に問われたり、企業のイメージがダウンしたりするというリスクを背負っていますが、そこまでしてオワハラをおこなうのは一体どうしてなのでしょうか。

その理由としては、優秀な人材を確保したいという理由と、採用コストを抑えたいという理由が挙げられます。

この2つについて詳しく解説していきます。

優秀な人材を確保したい

オワハラをおこなう理由の1つとして、企業が優秀な人材を確保したいからという理由が挙げられます。

就活の時期として、経団連に属する大手企業はルール上は8月から選考がスタートしますが、それ以外の企業は8月以前に始まっていて、大手企業の採用選考がスタートする前に採用が決まることもあります。

採用した就活生が優秀な人材で、大手企業への就職も検討している場合、中小企業が内定を出したとしても、大手企業で採用が決まればそちらに就職する可能性が高くなってしまいます

優秀な人材はやはり大手企業へ就職する傾向が強いので、採用した優秀な人材が大手企業に取られないための対策として、オワハラをしてしまう企業が増えているのです。

採用コストを抑えたい

採用活動には、コストが掛かります。企業は求人媒体に広告を掲載したり、SNSの運用をおこなったりと、時間もお金もかけて応募者を集め、自社にマッチしている就活生を選んでいきます。

就職みらい研究所の就職白書2020によると、一人当たりの採用に掛かる費用(採用単価)の平均は、2020年新卒のデータで93.6万円と報告されています。

つまり、1人の採用を獲得するために企業は約100万円ものお金を掛けているのです

就活生としてはより良い条件の会社が見つかったらそちらに就職したいと思うものですが、企業側からするとそれだけのコストを掛けているので、採用を決めたからには入社してもらわないと大きな損失になってしまいます。

あらかじめ大手企業に内定者が乗り換えてしまうのを見越して多めに内定を出すこともできますが、もし大手企業に流れる人数が想定より少なかった場合、会社としては人件費が増えてしまうので、リスクが高いのです。

こうした背景から、採用コストを抑えるため、確実に入社してもらえるようオワハラをしてしまう企業もあります。

杉原 美佐子

プロフィール

100万円という金額をうまくイメージできない人もいるかもしれません。その場合、自分がアルバイトで100万円を稼ごうとしたときにどのくらい働かないといけないかを考えてみてください。

採用に掛かる100万円は、その企業の社員たちが一生懸命に働いて稼いだ金額です。そのお金を入社しない人に投資できないことは、理解できると思います。

当てはまったら要注意! 企業が取るオワハラのおもな9パターン

企業が取るオワハラのおもな9パターン

ここまでオワハラの定義や、どうして企業がオワハラをおこなうのかを解説してきました。

それでは具体的にオワハラにはどのようなものがあるのでしょうか。企業がおこなうオワハラの手口を知らないと、まんまと企業の思うままになってしまうかもしれないので、どんな手口が使われているのかを把握しておきましょう。

中には意外にもオワハラと気付かないような手口もあるので、すべて頭に入れておき、経験したらオワハラだと気付けるように備えましょう。

他社の内定を取り消させる手口

他社の内定を取り消させる手口

  1. 他社の内定を辞退したら内定を出すと言う
  2. その場で他社へ辞退の連絡を入れるよう求める

まずは他社の内定を取り消させる手口です。こちらはあからさまにオワハラと見抜けるものではありますが、知らないとオワハラに該当すると気付かず、企業に言われるがままになってしまう可能性もあります

それでは具体的に、企業はどのようにしてすでに決まった内定を取り消させるのでしょうか。

他社の内定を辞退したら内定を出すと言う

企業がよく使う、他社の内定を取り消させる手口としては、「他社の内定を辞退したら内定を出す」というものです。

すでに内定をもらっているのに、それを取り消すように求めてくるのは、常識的に考えればおかしいことですよね。

しかし確実に入社させるために、すでに内定が決まっている企業を辞退しないと内定を出さないという手口を使ってくる企業があります

もちろんオワハラに該当するので、企業からそのような申し出があったとしても、すでに決まっている内定を取り消す必要はありません。

他社の内定状況も正確に伝えないといけないのでしょうか? また内定状況を偽って伝えるのは良くないのでしょうか?

古田 文子

プロフィール

内定状況を伝える義務はないが嘘はやめよう

面接で内定状況を質問されても詳細を答える義務はないので、話したくない場合は「その質問についてはお答えできかねます」と回答を断っても問題ありません。

面接を受けている企業が第一志望で、面接官と交渉してでも内定を獲得したいのであれば、内定状況を伝えるのは個人の自由です。

ただし、その際に1社からしか内定をもらっていないにもかかわらず、交渉で優位に立とうとして「3社からもらっている」などと偽った情報を伝えると、後々トラブルになる可能性があるため、やめたほうが良いです。

その場で他社へ辞退の連絡を入れるよう求める

選考中などのその場で、内定が決まっている他社へ辞退の連絡を入れるように求めてくる企業もあります。

「後で内定を辞退する」などの口約束だけでは不安なので、その場で電話をさせてすでに獲得した内定を辞退するところを確実に見届けてから内定を出すという手口です

本当にこんなことがあるのかと疑いたくなるような手口ですが、実際にこうした手口でオワハラがおこなわれたケースもあるようです。

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他社を受けさせない手口

他社を受けさせない手口

  1. 就職活動を継続しない旨の誓約書を提出させる
  2. 面接を先延ばしにしたり回数を増やしたりして他社を受けづらくする
  3. インターンシップとしての勤務を強要する
  4. 内定を出す前に内定誓約書を提出させる

他社を受けさせないようにする手口も、使われています。

こちらは直接的に就職活動をおこなわせないようにするものもありますが、遠回しにほかの企業を受けさせないようにする手口もあります

他社を受けさせないオワハラの手口として、どのようなものが用いられているのでしょうか。

就職活動を継続しない旨の誓約書を提出させる

まずは直接的に他社を受けさせないようにするオワハラの手口として、就職活動を継続しない旨の誓約書を提出させるというものが挙げられます。

この書類を提出することで、「これ以上就職活動を続けない」ということをその企業と約束することになるので、かなり直接的に他社を受けさせないような手口といえます

書類にサインを書く際は、何の書類なのかをしっかり確認し、内容も読んだうえでサインするよう気を付けましょう。

このように、内定を獲得するためにあの手この手で迫ってくる企業もあります。たとえ内々定であっても、自分の考えを持たず企業側に流されるままとりあえず承諾するのは、リスクが高いです。

こちらの記事では、内々定をとりあえず承諾してしまったらどういったリスクがあるのか解説しているので、併せて参考にしてください。

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普通の書類と、就職活動を継続しない旨の書類を見分けるのが難しそうです……。

涌井 好文

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内容にかかわらず企業から受け取った書類はよく確認しよう

たしかに、オワハラとして就職活動を継続しない旨の誓約書などの提出を求められることも考えられます。

しかし、学生が就職活動を継続するか否かを決定する権利は企業にはありません。仮に高圧的な態度で誓約を求められても、毅然とした態度を取りましょう。

また、直接的な誓約を求める書類ばかりがオワハラに該当するわけではありません。なかには会社案内や会社説明の文中に「当該書類を受け取った後は、他社での就職活動をおこなわない」といった文言を忍ばせていることもありえます。

いずれにせよ、企業から受け取った書類にはよく目を通しましょう。

面接を先延ばしにしたり回数を増やしたりして他社を受けづらくする

こちらは間接的に他社を受けさせないオワハラとして使われている手口です。

面接を通過しているのにむやみに次の面接を先延ばしにしたり、面接の回数を当初の予定よりも増やしたりすることで、就活生のスケジュールを極力埋め、他社と比較検討する時間を奪うというものです

これにより他社の選考を受けるチャンスを減らし、確実に自社に入社してもらおうという狙いがあると考えられます。

こちらは直接的でない分オワハラだと気付きづらいですが、れっきとしたオワハラに該当するので、あらかじめ選考フローを聞いておくなどして対策を打ちましょう。

古田 文子

プロフィール

企業によっては必要性を感じて複数回の面談・面接を設けている場合もあり、すべてがオワハラというわけではないため、回数のみで見分けるのは難しいです。

リクルーター面談を企業から持ちかけられたとして、他社の面接の日程と重なる場合は、志望度や優先順位を見直して学生側が判断していくしかないでしょう。

インターンシップとしての勤務を強要する

インターンシップとしての勤務を強要するのも、オワハラに該当します。

インターンを実施する企業は多いためこちらも気付きづらいですが、就活生をインターンに来させて、他社の面接スケジュールが入らないようにしたり、心理的に自社への入社を断りづらくさせたりすることが狙いです

インターンは就職活動の一貫としておこなわれるイベントではありますが、就活生全員が必ず参加しなければならないというものではありません。

つまり、企業側からインターンに参加するよう強要されたとしても、それに応じる必要はありません。

ただし、インターンの参加を断る際は、相手に失礼のないよう丁寧に断るのが礼儀です。こちらの記事でインターンを辞退する際の断り方も解説しているので、併せて参考にしてください。

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内定を出す前に内定誓約書を提出させる

内定を出す前に内定誓約書を提出させるということも、オワハラの手口として用いられています。

内定誓約書とは、就活生がその企業へ入社することを約束する書類です。この書類の提出をもって、就活生はその企業に就職するという意思を企業側に伝えることになります。

しかし、本来は企業が内定を出し、就活生がいくつかある内定の中からどこに就職するかを選ぶことができます。

新卒の場合、就活自体が初めてなので、本来の就活の流れがわからず、企業側から書類を書くように求められたから内定誓約書にサインしてしまった、ということもあります

そもそも、企業から内定をもらい、その後内定誓約書を提出するというフローがあることを知っておき、書類を記入する際もどういった書類なのかを確認してからサインするように気を付けましょう。

内定を辞退しづらくする手口

内定を辞退しづらくする手口

  1. 「義理がない」などの言葉で内定辞退を退ける
  2. 内定辞退者に対して研修費用などの返還を求める
  3. 面接で長時間拘束して無理やり内定を約束させる

内定を辞退しづらくするオワハラの手口もあります。この手のオワハラは、オワハラだと気付きづらいのが厄介な点です

しかしよくよく考えてみるとオワハラに該当するとわかるので、こうしたケースもあるかもしれないと頭に入れておきましょう。

「義理がない」などの言葉で内定辞退を退ける

企業側が直接的に「他社の内定を取り消しなさい」「ほかの企業は受けたらいけません」と言った場合、明確にオワハラに該当します。

しかしそうとは言わずとも、「内定を出したのに辞退するのは社会人として義理がないですよね」などのように、遠回しに内定を辞退させないよう誘導するような言い方をしてくる場合もあります

こうした言い回しで説得されてしまうと、内定をもらったのに辞退するのはどうかと考え出してしまい、正義感が強すぎる人の場合、そのまま入社してしまうということもあります。

しかしこうした言い回しもオワハラに該当するので、仮に言われたとしても気にしないようにしましょう。

杉原 美佐子

プロフィール

私は、どのような言い回しであろうと、学生を無理に引き止める企業を見たことがありません。返事の期限を確認する程度です。企業は自分たちが選ばれる立場だと十分に理解しています。

魅力ある会社づくりを通して、学生に来てもらおうと考えている企業がほとんどです。

内定辞退者に対して研修費用などの返還を求める

内定辞退者に対して、研修費などの名目で請求をおこなったり、内定を辞退したらそういった請求があると知らせる企業もあります。しかしこちらもオワハラに該当します。

そもそも就活生が企業の採用活動に掛かった必要を支払わなければならない、ということはほぼありません

また内定を断った場合、請求をおこなうというのは脅迫罪に該当する可能性も高いです。

お金の話を持ち出されると怖くなってしまうものですが、企業側が違法な行為をしているので、仮にこうしたことを言われても応じる必要はありません。

面接で長時間拘束して無理やり内定を約束させる

面接に来た就活生を長時間拘束し、入社するという約束を取り付けるまで帰さないという手口を取る企業もまれにあるようです。

そもそも採用面接の時間自体が長時間取られていて、ほかの企業の面接予定を入れづらくしたり、面接で「就職する」と約束するまで帰さなかったりといった手口が取られています

オワハラに該当するだけでなく、もはや監禁に近い行為でもありますが、こうした手口で確実に就活生を入社させようとする企業もゼロではないので、注意が必要です。

アドバイザーコメント

学生の就活をやめさせようとする企業には要注意

少子高齢化の進展によって生産年齢人口の減少が続いている日本では、どの企業も働き手の確保に必死です。そのため、リスクがあってもオワハラのような行為に及ぶ企業が出てきてしまいます。

オワハラは、基本的に高圧的な態度で就職活動の中止を迫ってくるものです。そのような企業には毅然とした態度で臨むことが重要です。

また、いかに自社が期待を掛けているか、どれだけコストを掛けて採用活動をおこなっているかといったことを説明して良心に働きかける、泣き落としのような手口もよく見られます。人手不足の状況で企業も必死なのです。

つい「わかりました」と言ってしまいそうになるかも知れませんが、よく考えたうえで返事をしましょう。

誓約書のような形で、言質を取るケースも典型例です。「誓約書を提出したのだから」「約束したのだから」と他社の選考を辞退するように迫られることもあるでしょうが、威圧的な態度で提出を求められたのであれば、そのような誓約に何の拘束力もありません。

就活を続けるのも終わらせるのも学生本人の自由

いずれのような形であっても、就活の継続は自分の意思以外で決定できないものだということを忘れてはいけません。オワハラを受けたと感じたのであれば、都道府県労働局などの相談窓口に相談してみましょう。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。

そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。

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遭遇しても落ち着いて! オワハラの対処法

遭遇しても落ち着いて! オワハラの対処法

  • 毅然として従わない
  • 就活を継続しない旨の誓約書は記入しない
  • 大学の就職課やキャリアセンターに相談する
  • 都道府県労働局に相談する

ここまでオワハラは一体どのような手口でおこなわれるのか、具体的な例を出しながら解説しました。

オワハラは直接的に内定を辞退させたり他社への就職活動を禁止したりするものから、インターンに強制的に参加させ就活生のスケジュールを奪い、他社の選考に参加できなくする間接的なものまでさまざまあることがわかりましたね。

万が一オワハラに遭遇してしまった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。オワハラの対処法を解説します。

毅然として従わない

まずは毅然とした態度で振る舞うことが大切です。オドオドとした様子を見せてしまうと、企業側から「強く押し通せば入社してくれそう」と思われてしまいます。

仮にほかに内定が決まっている企業へ内定辞退の連絡を入れるよう求められたとしても、「御社とそちらの企業とを再度比較し検討したいので、今は内定辞退の連絡はおこなえません」と言いきりましょう。

仮にそれでオワハラをしてきた企業から内定をもらえなかったとしても、かえって内定をもらわなくて良かったと考えましょう。

オワハラをするような企業に入社できたとしても、社外に対してそのような行為をする企業では、入社してから従業員に対してもハラスメントなどの問題が待っている可能性があるためです。

就活生にも企業を選ぶ権利があります。弱い立場の学生に非合法的な手口を使う企業は選ばない、という考え方を持てると、オワハラをされたとしても慌てずに対処できます。

気が強くないので、オワハラに遭っても毅然とした態度を取れる自信がありません。何か良い対策はありますか?

古田 文子

プロフィール

曖昧に受け流したり面接の途中で退室したりしても問題ない

毅然とした態度を取る自信がなくとも、多少の我慢ならできるかもしれないという人は、笑顔で受け流してみてください。オワハラと受け取れる質問や要望にははっきり答えず、言葉を濁してやり過ごしましょう。

緊張と怖さで震えてしまって面接を続けることが難しいと感じた場合は、「すみません、失礼します」と逃げるように退室してもかまいません。

オワハラを受けても入社したいなら別ですが、オワハラをするような会社で働きたくないと思うなら、面接を続けることに意味はないでしょう。

就活を継続しない旨の誓約書は記入しない

解説してきたように、オワハラの手口の一つとして、就職を継続しない旨の誓約書を記入させるというものがあります。しかしこうした書類は本来記載する必要がありません。

企業側が就活を継続しない旨の記載がされた誓約書を出してきたとしても、絶対に記入しないようにしましょう。

断る際は、「他社の選考も視野に入れているので、まだサインはできかねます」というように、丁寧な伝え方は意識しつつ、きっぱりと断りましょう

大学の就職課やキャリアセンターに相談する

就活中にオワハラに遭った場合や、オワハラに近いことを企業から言われた場合、必ず大学の就職課やキャリアセンターに相談しましょう。

就職活動は初めてのことが多くて、自分1人だけで判断してしまうと、その判断が後々大きなトラブルになってしまう可能性もあります。

大学の就職課やキャリアセンターの職員は、これまでたくさんの就活生をサポートしてきているので、良いアドバイスをもらえるはずです。オワハラかもしれないと思った際は、遠慮せずこうした周囲の大人に相談しましょう。

どこに相談すべきか迷う人は、こちらの記事がおすすめです。就活の相談先14選と、選び方を解説しています。

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都道府県労働局に相談する

ケースによっては大学の就職課やキャリアセンターの職員でも解決できない事案もあるので、そういった場合は都道府県労働局に相談しましょう。

都道府県労働局は、解雇、賃金の引き下げなどの労働条件のほかにも、募集・採用、ハラスメントなど、労働に関する問題を広く取り扱っていて、学生も就職活動に関する相談ができます

1人だとどうしたら良いかわからず、途方に暮れてしまうかもしれません。解決策がないまま悩んでしまうと貴重な時間がもったいないので、1人で悩まずに相談してくださいね。最悪の場合、警察に相談することも可能です。

ここまでオワハラの対処法を教えていただきましたが、面接に行く前にオワハラをされる可能性がある会社かどうかを見極める方法はありますか?

杉原 美佐子

プロフィール

オワハラが起こりやすい企業の特徴から推測しよう

面接でオワハラを受けるかどうかを事前に知るすべはないと思います。ただし、オワハラが起きやすい企業にはおもに以下のような特徴があるので、事前に確認してみましょう。

①社風が昭和的で上司に逆らえないため、目標の人数の学生を確保できないと必要以上に厳しく叱責される。

②ここ数年新卒採用が目標人数に達していない、あるいは応募そのものがない。

③若手の離職がかなり続いていて、企業に焦りがある。

しかし、これらのすべてに合致したとしても、優秀な採用担当者はオワハラをしないでしょう。それは強制的に入社させたとしても仕事のパフォーマンスが悪くなるからです。

人材は経営資源の一つです。だからこそ企業は入社後に活躍してくれる伸びしろのある学生を求めています。

学生が大切にすべきは、オワハラをされても冷静に対処できる力を備えることではないでしょうか。

オワハラに遭って内定を承諾してしまったら? 覚えておきたい内定の知識

この記事を読んでいる人の中には、オワハラに遭い、すでに内定を承諾してしまったという就活生もいるかもしれません。

しかし安心してください。仮にオワハラの被害に遭っていたとしても、内定に関する知識を正しく知っていると、適切に対処すれば希望の進路をかなえることができます。

ここからはオワハラを回避するために押さえておきたい、内定にかかわる知識を紹介します。

内定を辞退しても基本的に損害賠償は発生しない

企業が用いるオワハラの手口として、内定を辞退したら損害賠償や研修費を請求する、というものがあります。

しかし基本的に、内定を辞退したとしても、就活生が損害賠償や研修費などを請求されるということはありません。あるとしても、入社直前になって突然辞退するようなケースのみであり、その場合でも実際に損害賠償を請求する企業は少ないと考えられます。

それ以外の通常の場合で、特に落ち度のない学生に金銭を要求するというのは、企業側が就活生を取り逃さないように、脅しのために使う文言です。真に受ける必要はなく、内定を辞退した際も振り込む必要はありません。

涌井 好文

プロフィール

内定辞退による損害賠償請求は、原則として認められません。しかし、入社直前になって突然辞退を申し入れるような場合には、信義則に反するとして損害賠償請求が認められることもありえます。

辞退する場合には、相手の立場になって考え、早めに申し入れるようにしましょう。

こちらの記事では、そもそも内定・内々定とは一体何なのかを解説しているので、併せて参考にしてください。

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入社するかは求職者が決められる

基本的にどの会社に入社するかは、就活生が決められます。職業選択の自由が認められているので、企業側に就職するよう強要されるというのはあってはならないことです

辞退したら申し訳ないという気持ちがあったり、最初は入社する予定だったものの、気が変わってしまうこともあったりするかもしれませんが、最終的に決められるのは自分です。

相手から就職先を強要されることはないので、自分が本当にどこに就職したいのかをよく考え、自分の気持ちに嘘をつかず後悔しないように就職先を選んでくださいね。

オワハラには怯まず落ち着いて対処して本当に望む企業に入社しよう

オワハラとは就職終われハラスメントの略で、すでに決まっている内定を辞退させたり、今後就職活動を続けられないように誓約書を提出させたりといった行為が挙げられます。

就活生には、就職先を自由に決める権利があります。企業が入社を強要するのは、職業選択の自由を侵害する行為であり、オワハラに従う必要はありません。

万が一オワハラに遭ったとしても、この記事で解説した対処法を実践し、本当に自分が行きたい企業はどこかを考え、納得いく良い形で就職活動を終えましょう。

アドバイザーコメント

オワハラが起こる背景を理解して事態に備えよう

労働人口が減少してきているといわれる昨今、労働力不足の企業にとって、新しい人材を確保できるかどうかは死活問題です。優秀だと思う人材を確実に雇用したいという気持ちがオワハラを引き起こしているのは明白なので、オワハラを避けるのは難しいかもしれません。

しかし、そうした背景を理解したうえで見方を変えれば、「オワハラをされる学生は企業が優秀だと認めた人材」と受け取ることもできるかもしれません。

自分がオワハラをする側にならないための企業選びが大切

もちろん、どんな事情があってもオワハラをして良い理由にはなりませんが、面接官や企業はそうした現実を背負っています。逆の立場であれば、皆さんがオワハラをする側になるかもしれないのが現代社会なのです。

学生の皆さんにとっては、入社前からハラスメントを受ける可能性があるという事実を突きつけられて、就活を続けるのが怖いと感じる人もいるかもしれません。

皆さんがハラスメントをする側にならないためにも、企業選びやより良い社会づくりには真剣に取り組んでほしいと心から願います。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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