就活で絶望しているあなたへ|3つの原因と立て直し方

この記事の執筆者 幅広い業界での経験とキャリア支援実績がある専門家が書き下ろしました
柴田 登子
柴田 登子
国家資格キャリアコンサルタント / 2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう libero firm代表。保有資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士/公認心理師など。書籍:『人生を変えるスピーチ: 生きづらさを抱えている人が「やりたい仕事」に出会える』(プラウド出版)

就活で絶望するのは、あなたに価値がないからではない

私はキャリアコンサルティングの現場で、就活で絶望してしまう学生を数多く見てきました。熱望していた企業の選考に落ちた、内定が全く取れないなど理由はさまざまです。しかしその絶望は「努力が足りない」や「怠けてきた」「意識が低い」ことによるものばかりではありません。

必死に頑張っていても、むしろ必死で頑張ってきたからこそ思うような結果が出ずに深く傷つき、絶望する人が少なくないのです。

就活における絶望は、単に不採用だったことが辛かったからではありません。ESでも面接でも、問われるのは学歴や経験だけではなく、「あなたが何者なのか」「何を大切にしているのか」「何ができるのか」という人としての価値です。だからこそ落とされたとなると「あなたはうちの会社には合わない」ではなく、「あなたには価値がない」と言われたような気になってしまうのです。

もしそう感じ、絶望してしまった時に思い出してほしいことがあります。

「就活で落ちることと、人として価値がないことは別の話」

カウンセリングをしていて、ここを混同している人の多さに驚かされます。よく言われることですが、就活にはもちろん本人の能力を問われる要素もあります。しかし最も大切なのは企業との「相性」です。そこがなければ職場の定着は難しいものです。どんなに優秀でも求める人材像とかけ離れていれば採用しない。これは組織の運営上、ごく当たり前に行われていることです。

本コラムのコンセプト

生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。

就活で絶望を感じるのはこんなとき

就活の現場で、学生が強く落ち込む場面にはいくつかの共通点があります。主なものを3つ紹介しておきます。

選考落ちが続いた

誰でも選考落ちが何社も続くと「もうどこにも受からないのではないか」と思い始めます。特に、志望度の高い企業や、手応えがあった面接で落ちたときのダメージは大きいものです

自己分析で自分の強みが見えない

自己分析とは自分を理解する作業です。ところが就活になると多くの学生は「企業に評価される答え」を探しがちです。そうなると華やかな経験がない、リーダー経験がない、目立った成果がないという理由で、「自分には何もない」と思い込んでしまうものです。

人と比べてしまう

友人の内定をSNSで見かけたとき、家族から「まだなの?」と聞かれたとき。何気ないことが積み重なると焦ってしまい、自分のペースを見失いがちです。本来は自分に合う仕事を探すはずの就活がいつの間にか「早く内定を取るゲーム」になってしまうのです

たいていの原因は「能力不足」より「言語化不足」

私が思うに、就活で絶望している学生に共通しているのは、能力がないことではありません。実際に現場で感じてきたのは、自分の経験や思いをまだ言葉にできていない、つまり「言語化不足」というケースが非常に多いということです。

たとえば、アルバイトを長く続けた経験があっても、それを「ただ働いていただけ」「誰でもできること」と思っている人は多いです。部活動で裏方をしてきた人が、それを「地味でアピールにならない」と切り捨ててしまうこともあります。しかし実際には、その経験の中に継続力、調整力、観察力、責任感、共感力といった強みが隠れていることは少なくありません。またそれらの「当たり前にこなしてきた作業」は最初からできていたわけではないはずです。

「できるようになった」「もっとうまくやるために工夫した」そのプロセスは間違いなく社会人になってからも役に立つはずです。絶望してしまう人はそこに気づいていないのです。

私は、就活でも転職でも、そしてスピーチの指導でも、ずっと「言語化」の大切さを伝えてきました。人は自分のことをわかっているようで、案外わかっていません。自分の強みも、頑張ってきたことも、言葉にして初めてその意味や価値が見えてきます。だからこそ、言語化できていない段階で「自分には何もない」と結論づけるのは早すぎるのです。

絶望したときにやるべき3つのこと

多くの人は絶望したときに「努力が足りなかった」「だからもっと頑張らなければ」と考えます。しかし頑張るだけではうまくいかないことが多いのです。必要なのは根性ではなく現状の整理です。次の3つを意識してみましょう。

落ち込んでいる自分を否定しない

次の選考に進めないと知ると傷ついてしまうのは自然なことです。本気で将来を考えているからこそつらいのです。その自分を「甘い」と断定するのは違います。「そりゃショックだよね」と落ち込む自分を受け入れましょう

課題を小さく分ける

「内定を取る」という大きすぎる目標だけを見ていると、人は簡単に動けなくなります。ESを一つ見直す、よく聞かれる質問三つの答えを整理する、企業を一社だけ調べる。やることを小さく区切れば次の動きが見えてきます

一人で考え込みすぎない

誰でも苦しくなればなるほど、失敗を恐れ行動せずに頭の中だけで結論を出そうとします。しかし、自分の強みや経験は、対話の中で見えてくることが多いのです。

キャリアセンターでも、信頼できる大人でもでもかまいません。自分の話をアウトプットしてください。相手に伝えようと言葉にしてみれば、その発話を自分の耳で聞き、思考が反芻されます。そうすればものの見え方が変わり、課題や改善策が見えてきます。

絶望しそうなときに忘れないでほしいこと

就活中は「一刻も早く内定を取るべき!」といった思考に陥りがちです。でも、私はそうは思いません。早く決まることと、納得できる就職ができることは別です。むしろ焦って決めた結果入社後に苦しむ人は少なくありません。

また「内定した企業名や知名度=あなたの価値」ではありません。就活の最中はどうしても「周囲からすごいと思われる会社」に意識が向きます。けれど本当に大事なのは、あなたがその環境で無理なく力を発揮できるかどうかです。見栄えのよい就職と、自分に合う就職は同じではないと認識しましょう。

就活の結果だけでその人の将来全部が決まるわけではありません。私は多くのキャリアを見てきましたが、希望通りの会社に入社してもその後はうまくいかない人ももちろんたくさんいます。それどころか、最初は納得いかない職場であったとしても、悩みながら自分に合った道を切り拓いた人は長い目で見てしなやかに成長し、満足できているケースが多いのです

就活で絶望しているあなたへ伝えたいこと

就活では不採用という結果だけが目に見えます。そのため、自分の欠点ばかりに意識が向きがちです。しかしその経験は、あなたが自分を知り、言葉にし、働く意味を考える時間にもなっています。この時間は、人生において必要な成長痛のようなものです。

就活に限らず、人生で絶望した経験がある人ほど、後に強くなります。なぜなら、うまくいかない時期こそ、自分と向き合う行為を繰り返すからです。また、あなたの価値は内定の有無だけでは決まりません。

就活はあなたに合う場所を探すための過程です。じっくり自分と向き合って、どのような環境であれば満足できるのか、それが見つかればどこにいても、人生はとても有意義なものになるはずです

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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