公務員に就職したい人は毎年とても多く、倍率の高い狭き門です。そのため卒業までに合格できず、民間企業に進むかもう1年勉強して公務員試験に再挑戦するか迷っている人も多いでしょう。
新卒という貴重な期間を浪人という形で消費してしまい、「もし公務員試験に合格できなかったら……」と考えると、誰しも不安に思うものです。しかし浪人のリスクを熟知して、かつ本気で公務員を目指したいと考えているならばとても有意義な選択肢といえます。
この記事ではキャリアアドバイザーの瀧本さん、吉野さん、谷猪さんとともに、就職せず浪人して公務員を目指す際の心得やリスクについて解説します。自分にとって浪人が現実的な選択肢であるか見極められる内容となっているため、ぜひ参考にしてくださいね。
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就職せず浪人も一つの選択肢! まずは公務員になりたい理由を明確にしよう
浪人は何となく悪いイメージがありますが、就職せず公務員を目指すことも進路の一つであるため、決して良くないことではありません。
しかし浪人してまで公務員を目指すのであれば、明確な理由を決めることが大切です。理由を決めなければ「何となく安定しているから」など漠然とした理由で貴重な新卒期間を逃してしまいます。
この記事の前半では、浪人して公務員を目指すことが現実的な選択肢であるか解説します。インターネット上では「人生終了」とまで書かれる選択肢であるため、自分に達成できるものであるか見極めましょう。
記事後半では浪人して公務員試験を目指す際の心得や合格しやすい人の特徴について解説するため、本気で公務員を目指したい人はぜひ最後までチェックしてみてください。
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おもな選択肢は2つ! 公務員試験に落ちた後の進路
卒業後は就職する人が7割、進学が1割を占めるため、周囲に浪人を選択する人がおらず相談しにくいという人も多いでしょう。
公務員試験に落ちた場合は民間企業への就職が一般的な選択肢であり、就職と進学どちらもしない人は1割でした。
ここからは卒業後や公務員試験を落ちた後の進路について詳しく解説します。まず全体がどのような進路を選ぶかデータを参考にしてみましょう。
進路選択のバリエーションには、留学、フリーター、療養、起業、家業の継承、資格取得を目指すなど、さまざまな選択肢があります。しかし、進路未決定卒業で挫折感を抱き、ニート・ひきこもりになってしまうケースもあります。
公務員を諦めきれないけれど、不安だから民間企業も受けたいという人は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。併願を成功させるポイントのみでなく、公務員が第一志望の人に向けたコツも詳しく解説しています。
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大学卒業後に就職する人の割合は約76%
文部科学省の「令和5年学校基本統計」によると、大学卒業後に就職する人は75.9%と約7割を占めています。
他社での就職経験のない新卒は、一度就職した人よりも企業の文化やルールを吸収しやすいといえます。新卒の入社は選考や研修などのスケジュールも組みやすく、広告料がかからないことから採用コストを抑えられるなど、企業側のメリットも大きい方法です。
そのため「同じキャリアのない人を雇うなら既卒よりも新卒が良いかな?」と思っている企業も多いでしょう。人気の企業は新卒同士の競争も激しいですが、貴重な新卒期間を活用するならば自分に合った企業を見つけて卒業とともに入社する方法が一般的です。
大学卒業後も就職・進学しない人の割合は約8%
大学卒業後は就職の次に、進学が最も多い選択肢です。進学する人は12.5%と約1割ですが、就職も進学もしない人は全体の8.2%でした。令和5年の卒業者59万162人のうち4万8,642人が進路を定めていないことになります。
この8.2%には浪人や家事手伝いなどが当てはまります。そのため何人が公務員を目指すために浪人しているか定かではありませんが、卒業後に就職も進学もしない人は珍しくないことがわかります。
浪人になることは悪いことではありません。なぜならあなたにとってたった一度の人生だから、悔いのないものでありたいと思うのは当然だからです。
時間という縛りの中で夢はいつまでも追いかけることはできませんが、ぜひ後悔のないように期限を決めて決断してください。
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高倍率! 公務員になれる人は限られている
人事院によると、2023年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の申込者は2万6,319人であり、合格者は8,269人でした。倍率は3.2倍であり、合格は決して楽な道のりとはいえない結果です。
同じく2023年度国家公務員採用専門職試験(大卒程度試験)では、申込者2万3,831人に対して合格者は4,953人と、倍率は4.8倍とさらに上がっています。
この倍率の高さを乗り越えるには計画的な勉強が必要で、「何となく」で浪人するのみでは難しいといえるでしょう。
- 1年浪人して公務員を目指すには、1日何時間勉強すれば合格できるでしょうか?
勉強時間は人によるがコミュニケーション能力の強化も重要
前回の学科試験では、合格基準との点数差はどれくらいありましたか? 得意・不得意の分析や、苦手分野の対策、勉強プランの作成は自分で進められそうですか?
もし計画を立てるのが難しい場合は、予備校などで受験のプロのサポートを受けることが必要になるでしょう。
また、公務員試験は学科試験だけでなく、論述や面接も重視される「トライアスロン」のような試験です。
学科対策に集中するあまり、自治体や官公庁の研究、面接に必要なコミュニケーション力の向上といった総合的な準備を忘れないようにしましょう。
就職浪人して公務員を目指すことが人生終了といわれる4つの理由
就職浪人して公務員を目指すことが人生終了といわれる4つの理由
- プレッシャーが精神的な負担となる
- モチベーションが続きにくい
- 新卒よりも就職の難易度が高くなる
- 新卒で入社した人と比較してしまう
就職せず浪人することは決して悪いことではありません。しかしリスクを考えずに浪人したり公務員は何となく安定していそうといった理由で目指したりなどの心持ちで挑むと、まさに「人生終了」といわれるほどのデメリットに悩まされるでしょう。
しかし本気で公務員を目指す人でも、いざ1年頑張ろうと思い浪人したら思い通りに勉強が進まず、悩んで疲弊してしまうこともあります。そうならないために、浪人にはどのようなリスクがあるか事前に知る必要があります。
①プレッシャーが精神的な負担となる
公務員試験は日程さえ同じでなければ、複数を受験することが可能です。そのため公務員という広い枠で考えるのならば、1年のうち何回も受験可能といえるでしょう。
しかし基本的に同じ試験は1年で1度きりであるため、公務員のなかでも絶対に合格したい試験があるのであればプレッシャーはさらに大きくなります。1度の受験で合格できなかったらもう1年浪人、もしくは空白期間を作り既卒として就職するしかないといった不安が強くなり、ずっと悩ませられることもあるでしょう。
プレッシャーをなくすには勉強を重ねて自信をつけることが良い方法ですが、自分を追い詰めすぎると心身ともに不調が出やすくなります。しかし無理のない適度な勉強では合格から遠ざかってしまうなど、浪人中は悩みが尽きません。
反対に考えると、このプレッシャーを乗り越えられて勉強を続けられる人こそが公務員試験に合格しやすいともいえるでしょう。
1回の浪人だけで済むと思っていましたが複数回失敗してしまい、職歴に空白が生じてその後の就職活動にも悪影響を及ぼしたケースがあります。また、浪人期間中の精神的なプレッシャーが大きくなり、心身に悪影響を及ぼした例もあります。
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②モチベーションが続きにくい
公務員試験は倍率も難易度も高く、日ごろの勉強が重要です。浪人となると追加で1年勉強することになるため、モチベーションを保ち続けることが求められます。
在学中に試験を受けるのであれば周囲に公務員試験を受ける人も多いですが、浪人するとともに勉強する友人も少なくなります。モチベーションが続かずやる気がなくなると、勉強を休む日や遊びに行く回数が増えるなど時間だけが過ぎていくでしょう。
そのため次の試験までに勉強を継続できるように目標を明確にしたり予備校やSNSを利用して仲間を探したりなど、自分なりのモチベーションを継続する方法を探すことがおすすめです。
③新卒よりも就職の難易度が高くなる
目標期間までに公務員試験に合格できなかった場合は、民間企業への就職を選ぶことになるでしょう。就活の際に新卒と浪人した既卒の自分を比較すると、選考の難易度は既卒の方が高くなります。
浪人はいわば「空白期間」に含まれます。同じく就職経験のない新卒と比較すると、企業は新卒を選びやすいこともリスクとして念頭においておきましょう。これこそが「公務員浪人は人生終了」といわれてしまう大きな理由の一つです。
大学生は学校で面接対策を十分に指導してもらえることや、既卒の悩みである就職経験を求められないなどのメリットがあるため、浪人した人と比較すると新卒の方が魅力的に思える企業も多いことが現状です。
浪人の空白期間は公務員試験合格を目指すためという明確な目標がありますが、企業から見ると「第一志望に落ちたからうちに来た」といった理由に捉えられてしまいます。
選考時は企業からの質問に備えて、公務員を目指していた目的やなぜ諦めたかなどの理由を明確にしておくと、空白期間をカバーしやすくなります。
- 1年浪人した後に民間企業を受けた人の面接での印象はどのようなものになりますか?
民間就職を目指すのであれば就職浪人はハイリスク
1年浪人したあとの就職活動は、非常に大変です。
新卒と比較されてしまうということが大きく、志望動機では、公務員試験がうまくいかなかったから仕方なく就職活動してるのだろうと思われてしまうため、新卒者との間で大きな差をつけられてしまいます。
採用担当者からすると、面接時からマイナスの印象からスタートすることになります。この差を挽回するには良い印象を持ってもらうための工夫が必要となります。
公務員になりたい理由が言語化できない人は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。それぞれ公務員向けの志望動機や自己PRの考え方が詳しく解説されています。
公務員向けESの書き方
公務員を目指す理由が必ず伝わるエントリーシートの書き方|12例文
公務員の自己PRの考え方
公務員の自己PRのコツは? 評価される作り方を例文付きで解説
公務員になりたい理由の考え方
例文あり|公務員になりたい理由の最適な回答と言語化のコツを解説
④新卒で入社した人と比較してしまう
身近に新卒で入社し働いている友人がいると、つい自分と比較して「もし次に合格できなかったらさらに置いていかれる」といった焦りや不安などが思い浮かびやすくなります。
そこから「自分もさらに頑張らないと」といったモチベーションにつながる人もいれば、「もし浪人状態が続いたら……」と考えてさらにプレッシャーに追い込まれ、果ては挫折してしまう人もいます。
たとえ新卒で就職した友人が羨ましいと思っても自分の生活と比較せず、目標に向かって勉強し続けられるモチベーションを持てる人が合格しやすいといえるでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
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時間を味方につける! 就職せず浪人して公務員を目指すメリット4つ
就職せず浪人して公務員を目指すメリット4つ
- 勉強時間を作れる
- 効率的な受験対策ができる
- 受験経験を積める
- モチベーションアップにつながる
浪人はネガティブなイメージが強いですが、民間企業に就職して勉強を続けるよりも効率的に合格を目指せる方法です。
ここからは浪人して公務員を目指すことの具体的なメリットを4つ解説します。漠然と「時間があるから」といった理由で浪人を目指さず、しっかりメリットを把握したうえで検討しましょう。
①勉強時間を作れる
浪人の最大のメリットは、通常で受験するよりも1年以上という長期間の勉強時間が確保できる点です。在学中に進路を決めるのが遅く、目指そうと思ったときにはもう勉強時間が残されていなかったという人でも、浪人することで十分な勉強時間を確保できます。
特に公務員は面接や筆記試験のみでなく、適性検査や論文、グループディスカッションなど、一般の就職と面接内容が異なります。
十分な点数をキープするには時間をかけて対策する必要があるため、浪人による勉強時間の確保は有利になります。勉強時間をどれほど活かせるかが重要なポイントといえるでしょう。
「暇と孤独は自分をむしばむ毒」と言います。自分の裁量に任された時間が多すぎること、1人で過ごす時間が増えることは、精神的にも負担になります。「マイペース」は決して良いことばかりではないことを覚悟しましょう。
②効率的な受験対策ができる
公務員は受験する自治体や職種によって、勉強の難易度や科目数が大きく変化します。在学中は公務員試験以外の勉強も必要になるため、公務員試験のためだけに効率的な勉強をすることは難しいかもしれません。
浪人する場合は公務員試験一本に絞って勉強できるため、目標である試験の対策も十分に取れます。
特に国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)などは難易度が高く、2024年度の倍率も7.9倍でした。難易度の高い公務員試験は合格まで1,000時間以上の勉強が必要になることもあるため、たとえ1年の期間があり時間的に余裕だと思っていても油断できません。
③受験経験を積める
一般で受験する人と浪人した人の大きな違いは、受験回数の差です。公務員試験は毎年科目が変わることもなく、前年度の受験で似たような問題を見ることもあるでしょう。
試験の雰囲気をつかんでいることは、勉強のみでなく現場の緊張感にも慣れていることもあり、受験において非常に有利なメリットになります。
前年度不合格になった原因を探ることで反省も活かされて、より次の受験のハードルが下がるといえるでしょう。時間も十分に確保できるため、前年度の受験経験を経験値にして万全の状態で次に臨めます。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
職業選択においてやりたいことはもちろんですが、その中でも適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうため適職への理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみよう!
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
④モチベーションアップにつながる
公務員試験合格という明確な目標のもと浪人を選択した場合、新卒で就職した人たちと1年の差が生じてしまいます。周囲に置いていかれるといった緊張感や「もし合格できなかったら……」といった不安に苛まれるときもあるかもしれません。
しかしネガティブな感情を「必ず合格してやる」といったモチベーションにつなげることで、浪人期間の勉強も集中力が続きやすくなり、結果的に合格に近づくというメリットがあります。
そのため目標があることでモチベーションを維持しやすい人は就職せず浪人することに向いているといえるでしょう。
浪人中は勉強しなければならないという気持ちが強く、その思いが強すぎるとストレスとなりうまくいかないことも多いでしょう。そんなときは、自分の趣味の時間を持つなどして気分転換をおこなってください。
リスクも知ろう! 浪人して公務員を目指すデメリット4つ
浪人して公務員を目指すデメリット4つ
- 浪人しても絶対公務員になれるとは限らない
- 空白期間が生まれて就職が不利になりやすい
- 浪人期間が長引くと公務員へのこだわりが強くなりやすい
- 経済的な負担が生まれやすい
第一希望の公務員を目指すための浪人は、モチベーションを維持して効率的に勉強できれば非常に有意義な期間です。
しかし浪人はリスクの高い選択肢であるため、メリットのみでなくデメリットも理解したうえで決めなくてはなりません。
浪人するデメリットがメリットよりも上回る場合は、浪人せず新卒での就職を検討することもおすすめです。就職か浪人か、慎重に検討して進路を選択してくださいね。
追加で注意すべき点として、年齢制限が挙げられます。ほとんどの自治体では年齢制限があり、多くは30~35歳前後が上限です。
浪人を長引かせると、年齢制限により受験資格を失う可能性があります。
また、精神的負担やモチベーションの低下、その人の価値観によりますが、ライフイベントの遅延(結婚や住宅購入など)もリスクとなりえます。
①浪人しても絶対公務員になれるとは限らない
浪人を検討する人たちが一番悩むポイントが、1年やそれ以上の期間をかけて勉強したのに結局公務員になれないという最悪の事態です。
浪人して公務員を目指すからには、その期間は就職やほかの資格の勉強には手を付けていないことが一般的です。浪人期間を経て残るものが空白期間のみという事態は一番避けたい展開といえます。
しかしどんなに勉強しても、必ず合格できるという保証はありません。合格できる確率を高めるために、リスクを受け入れながら勉強を続けることが求めらます。
②空白期間が生まれて就職が不利になりやすい
浪人後に公務員試験に合格できなかった場合は、そのまま浪人を続けるか就職を選ぶか選択することになります。就職を選ぶ際は、面接で空白期間について尋ねられてもしっかり回答を用意しておきましょう。
同じく就職経験のない新卒と空白期間の空いた人どちらを採用するというと、働く意欲をよりアピールできる新卒を選ぶ企業も多いです。
浪人は公務員試験合格という目標に向かって努力していたとはいえ、第一希望が公務員であったことは明確であるため、新卒に負けないように労働意欲をアピールしましょう。
- 浪人の空白期間は、何年であれば面接が不利になりますか?
浪人期間が1年以上あると面接で不利になりやすい
浪人の空白期間は1年以上越えてしまうと面接で不利になります。
1年間何をしていたのかを上手に説明できないと、「大してやる気もなく応募したのではないか?」「入ってもすぐに辞めてしまうのではないか?」と相手に悪い印象を与えてしまいます。
そのため期限があるものとして公務員試験勉強に取り組むことが大事です。
③浪人期間が長引くと公務員へのこだわりが強くなりやすい
1年で公務員試験に合格できずに2年、3年と浪人する期間が長引くと、公務員に合格することにこだわりすぎて民間企業への就職が選択肢から抜けてしまう人もいます。
1年でも浪人してしまうと「ここまで勉強してきたのにもったいない」と感じてしまい、諦めにくくなってしまうものです。
浪人中も自分がなぜ公務員を目指すのか、就職してから何をしたいかではなく合格することが目標になっていないか、自問自答しながら勉強を続けることが重要です。
④経済的な負担が生まれやすい
浪人中は本来就職して得るはずの給与がないため経済的な負担が生まれやすく、アルバイトをする人も多いです。しかし週5日8時間のフルタイム勤務では勉強時間の確保も難しく、浪人した意味が薄れてしまうため、シフトを減らすかアルバイト自体諦めるかといった選択肢も出てきます。
より合格に近づくために予備校に通うとしたら、生活費のみでなく受講料もかかります。公務員は対策すべき教科が多いため、予備校の費用のみでも100万円近くかかることもあります。
学業に集中したいところですが、アルバイトをしないとさらに経済的な負担が生まれるため、浪人する際はあらかじめ浪人期間中の生活費確保や実家で暮らすことも検討しましょう。
予備校の費用を自分で負担できない場合は、借用書を作成し、出世払いの形で家族に借りることをおすすめします。
これは、経済的自立の意識を保つためです。安易に親に頼る生活やフリーターの道を選んでいないか、自分の覚悟をしっかり確認しましょう。
就職と浪人はどちらが正解? キャリアアドバイザーが解説
浪人のデメリットを踏まえたうえで公務員試験を諦めたくない人も多いでしょう。しかし大学卒業後は就職が一般的な選択肢であり、自分がどちらを選ぶべきかまだ悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ここからはキャリアアドバイザーの瀧本さんが、就職か浪人か選ぶ際の基準を解説します。「公務員を諦めたくないけれど就職しないと……」と考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見る就職したうえで公務員を目指しなおす道も検討しながら考えよう
公務員浪人と民間企業への就職で迷っている場合、まず重要なのは、自己の価値観や将来の目標を明確にすることです。公務員浪人には、筆記試験の勉強に集中できる時間が増え、過去の失敗を糧に再挑戦できるというメリットがあります。
一方で、合格しなかった場合のリスクも大きいです。浪人中の空白期間が長くなると、就職活動で不利になる可能性があり、ライバルは既卒や社会人も含まれるため、競争は激化します。
また、事務系公務員試験の倍率は筆記試験については低くなっていますが、面接等のその他の評価に比重が置かれ、依然として倍率は高く、一度の失敗で自信を失い、再度チャレンジするのが困難になる場合もあります。
そのため、まずは民間企業に就職してから、数年後に公務員に転職(経験者採用)するという選択肢も検討する価値があります。民間企業での経験が、公務員試験の面接や志望動機の差別化に役立つため、結果的に合格しやすくなることもあります。
民間企業で社会人としての経験を積んでみるのがおすすめ
結論として、公務員に強い熱意があり、浪人期間中のリスクを受け入れる覚悟があるならば、浪人もひとつの選択肢ですが、現実的なリスク管理の観点から考えると、一度民間企業に就職することを検討するのもひとつの選択肢となります。
就職浪人が成功して公務員試験に合格しやすい人の特徴3つ
就職浪人が成功して公務員試験に合格しやすい人の特徴3つ
- スケジュール管理が得意な人
- 公務員になりたい理由が明確な人
- 自ら課題を見つけて改善できる人
浪人中は常に勉強することやモチベーションの維持が求められます。そのため誰しもが勉強に励んで理想通りの浪人生活を送れるとは限りません。浪人の適性がない人は、1年間もしくはそれ以上の期間をうまく勉強に費やせず、空白期間を作るのみになってしまうこともあるでしょう。
自分が浪人に向いているかわからないという人は、浪人しても公務員試験に合格しやすい人の特徴に当てはまるかチェックしてみてください。ここで解説する3つの特徴に当てはまった人は、浪人しても目標に向かって頑張れる人であることがわかります。
①スケジュール管理が得意な人
浪人中は毎日の勉強時間確保のみでなく、どの教科をどの程度勉強して、いつまでに何点まで取りたいといった具体的なスケジュールが求められます。そのため自分の実力を把握して、目標までどのように勉強を進めれば合格できるか考えられる人が浪人に向いているといえるでしょう。
一方でスケジュール管理に自信がない人は、自宅で勉強する「宅浪」ではなく、予備校を活用することがおすすめです。費用は高額ですが自分の実力にあったカリキュラムが受けられるのみでなく、学習計画や自宅での勉強法についても教えてくれるため、最短で合格に導いてくれます。
公務員試験で合格する人の1日のスケジュールについてあくまでも一例ですが、朝昼夜の食事をしっかり食べ、食事までの時間をしっかり勉強し、夜更かしはしないという規則正しい生活を送ることが大事になります。
②公務員になりたい理由が明確な人
浪人の途中で「やっぱり民間企業の就職でも良かったかも……」と思ってしまうと、モチベーションが保てなくなってしまいます。そのため民間企業ではなく、公務員でないといけない理由が明確な人は浪人中も目標に向かって勉強を続けやすいといえます。
自分なりに公務員になって実現したいことがあれば、「民間企業ではかなえられない!」と奮起してモチベーションを保ったまま勉強を続けやすくなります。
浪人を検討している人は自分の将来の姿をよく考えて、民間企業でもなりたい姿を目指せるのではないかもう一度考えてみてくださいね。
- 安定を目指すために国家公務員を目指したいのですが、安定のみが理由では浪人は向いていませんか?
公務員になって何をしたいかが明確な人ほど浪人は成功しやすい
国家公務員を目指す理由が「安定性」のみだと、浪人してまで受験を続けるのは適切でないかもしれません。
国家公務員試験は最終合格をしても採用面接もあり、厳しい競争と受験科目の多さから長期間の勉強が必要であり、明確な志望動機がないとモチベーションが続かず、面接でも弱い印象を与える可能性があります。
浪人して成功する人は、自分の誤りを認めて改善するPDCAサイクルを実践し、公務員として何を実現したいのかが明確です。また、公務員の仕事は止めてはいけない仕事であるため、安定させなければいけない事情もあります。
したがって、安定だけを求めるのではなく、自身の使命感や将来のビジョンを見つめ直すことが重要です。
③自ら課題を見つけて改善できる人
公務員試験は毎年倍率が高く、スケジュール通りに勉強しても必ず合格するとは限りません。合格するにはただひたすら勉強するのではなく、勉強法にもこだわる必要があります。
筆記試験の対策では過去問を繰り返し解いて、自分の苦手分野や得意分野を見つけることと、面接の対策ではより自分らしい「公務員を目指す理由」を答えられるように自己分析や他己分析を深めることなど、より合格に近づけるように課題を見つけてブラッシュアップしていくことが求められます。
就職せずに浪人して公務員を目指す際の3つの心得
就職せずに浪人して公務員を目指す際の3つの心得
- 浪人する期限を決める
- 民間企業への就職も視野に入れる
- 毎日勉強する習慣を身に付ける
浪人の目的は公務員試験への合格ですが、ただやみくもに勉強を頑張るのではなく、自分なりの約束事を決めてから臨みましょう。
何も決めずに浪人生活を始めると合格できなかった場合のやめ時もわからなくなり、ただただ時間が過ぎで空白期間が延びていくだけになります。そのため浪人を始める前は、3つの心得を意識してみてください。
①浪人する期限を決める
あらかじめ浪人する期限を決めることで、たとえ決められた期間に合格できなくてもきっぱりと諦めて民間企業への就職を検討しましょう。浪人する期限を決めないと、もう少しで合格できたはずと思って次の1年、また1年と浪人期間が長引いてしまう可能性があります。
特に難易度の高い国家公務員の試験などは1年では合格できないことも珍しくありません。そのため自分で決めた期間内に合格できないのであればしっかり諦めましょう。
多浪になりやすいかは、本人の能力や気質に大きく左右されます。公務員試験に最も多く合格しているのは、現役の学生です。
もともと勉強が得意でないにもかかわらず公務員を目指し、結果として目標が高すぎて合格に至らないというケースも見られます。
②民間企業への就職も視野に入れる
浪人は公務員試験合格という明確な目標がありますが、浪人の途中で自分なりに就職したいと思える企業が見つかる可能性もあります。その際は「せっかく浪人したからもったいない……」と思わず、一度民間企業への就職も検討してみてください。
自分の将来なりたい姿をイメージして、見つけた民間企業でも実現できるのか、やはり目指している公務員でないと実現できないものか考えてみましょう。
公務員浪人を途中でやめることは人生の選択肢の一つでもあります。
公務員試験に再挑戦するか、民間企業に就職するかを早い段階で検討することは、自分の将来に対する不安を軽減し、より明確な目標設定に役立ちます。自分の適性や将来のキャリアを総合的に考え、柔軟な選択肢を持つことが大切です。
③毎日勉強する習慣を身に付ける
浪人中は毎日勉強することが当たり前に思えるかもしれません。しかし実際に浪人してみると時間に余裕ができるため、ついアルバイトや遊びに時間を使ってしまいがちです。
適度な気分転換は必要ですが、「今日は予定があるから明日から勉強しよう」とまったく勉強しない日を作ってしまうことは危険です。
もし忙しくてまとまった時間が取れなくても、隙間時間に参考書を読んだり過去問を解いたりなど毎日勉強する習慣をつけることで、勉強することが当たり前の生活になるでしょう。自然と復習できるようになるため知識が確実に身に付いていきます。
公務員を目指さず民間企業に就職するメリット
大学を卒業して就職する人の多くは公務員ではなく、民間企業に就職します。もし在学中に公務員試験に落ちてしまったら、浪人を選ぶのではなく民間企業に就職することも検討しましょう。
ここからは浪人ではなく新卒で民間企業に就職するメリットを解説します。公務員でなく民間企業でも自分のなりたい姿をかなえられるのであれば、就活を始めてみることも検討してみてください。
民間で働くメリットとしては安定した収入を確保することができるということです。奨学金の返済・車など何かと生活するうえではお金は必要不可欠です。
生きていくための選択肢の一つとして忘れないようにしましょう。
選択肢が広がる
民間企業は公務員として働ける場所よりも母数が多く、さまざまな業種・職種から自分のやりたい仕事を選べます。求人数が多くなるのみでなく就職後も頑張り次第で評価アップを目指せて、スキルや経験を積めばより良い条件の企業に転職したり起業したりという選択肢も増えます。
その点公務員として積んだ経験は、民間企業への転職に活かせる場所が少ないことが懸念されます。公務員は基本的に利益を求めるために運営していませんが、民間企業は営利団体であるため根本的な考え方も違い、これまでの経験が通用しないこともあるでしょう。
また公務員は国家公務員法や地方公務員法により副業を禁止していますが、民間企業であればルールを設けていないところも多いため、自由に働けることも魅力の一つです。
- 公務員のなかで民間企業のように実力が評価されやすい職業はなんですか?
専門職などの多くの職種で公務員の実力を評価する動きがある
公務員のなかで実力が評価されやすい職種として挙げられるのは、技術系職種や専門的な役割を持つポジションです。たとえば、IT関連や都市計画などの分野では、具体的な成果やプロジェクトの進行状況が評価の対象となりやすいです。
また、国家公務員や地方自治体においても、人事評価制度が導入されており、特に業績評価において実力を反映しやすい職種が出てきています。
一方で、民間企業と比べると公務員の評価基準は全体的に給与やボーナスへの反映が小さいことが課題とされていますが、専門職においては、プロジェクトの達成度や技術的な貢献が重視されるため、実力が評価されやすい傾向にあります。
新卒として入社できる
民間企業は新卒の採用を積極的におこなっているため、新卒として就活することはそれだけで有利というメリットになります。
既卒であればスキルや経験など求められますが、新卒で入社すれば研修も同期とともに受けられて、切磋琢磨しながら成長できます。企業側も新卒を募集すれば多くの母数から優秀な学生を探せるため、既卒よりも新卒の採用を積極的におこなう傾向にあります。
空白期間のリスクを踏まえると、浪人後ではなく新卒として就活に臨むことは理想の働き方に近づける手段といえるでしょう。
意欲があるなら就職浪人して公務員を目指すのも一つの道だと考えよう
浪人と聞くと言葉のイメージで悪く思えがちですが、確固たる目標のために浪人することは決して悪いことではありません。
しかし公務員を目指す理由が「安定しているから」のみでは、時間と費用をかけて浪人する必要はないでしょう。なぜ自分が浪人して公務員を目指したいか、公務員でなければいけない理由とは何かを考えることが進路選択の第一歩といえます。
新卒での就職を選ばず公務員試験合格のために浪人を選択した人は本記事で解説した3つの心得を踏まえて、1年間もしくはそれ以上の期間、夢に向かって頑張りましょう。
アドバイザーコメント
吉野 郁子
プロフィールを見る就職浪人をせずとも民間企業で働きながら公務員を目指す道もある
浪人するか新卒として就職するかで悩んでいる人に、もう一つの選択肢を提案します。それは、数年間働いてから公務員試験を再受験する道です。これは新卒で民間企業に就職する場合のバリエーションともいえます。
この方法のメリットは、働いて貯金を作ったうえで再受験に臨むことで、経済的な不安を軽減できることです。特に、自分で汗を流して稼いだ金での勉強は、学習意欲が格段に高まります。
また、社会人経験を積むことで、学科試験だけでなく論述や面接対策にも役立ちます。社会での経験を通じて視野が広がり、物事を自分の頭で考える力が養われます。面接カードに記載する「これまで力を入れたこと」「失敗を乗り越えた経験」「チームで取り組んだこと」なども、より深みのある内容になります。
さらに、公務員の本質である「公益性への奉仕」についても、実際に働くことで理解が深まるでしょう。
公務員になった後のことを考えて進路を選択しよう
どの道を選ぶにしても、公務員合格を目的化せず、「公務員になることで、どんな人生を実現したいのか」「その目標は公務員という道でしか達成できないのか」を考え、自分の人生を選択することが大切です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/公認心理師
Ikuko Yoshino〇就職支援歴18年。若者就労支援NPOに勤務の後、独立。現在は行政の就職支援施設にて、学生/既卒/フリーター/ニート/ひきこもり/女性などを対象に相談やセミナー講師を担当
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Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Koji Tanii〇大手メーカーで設計、品質管理に従事。キャリアチェンジののち、高校・大学の就職講師として活動。障がい者の就職や恋と仕事の両立を実現させるコンサルティングなど幅広い支援をおこなう
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