
はじめに|キャリアプランの選択肢は複数ある
社会人になって、どのように働いていこうか。
5年後、10年後のキャリアプランについて考えた際に、結婚や出産とどう向き合っていくのか。大学生の頃、私はとても不安でした。
高校生のときにカウンセラーという仕事に惹かれて大学では臨床心理学を専攻しました。
学業の傍ら、大学2年生の頃からOG訪問やキャリアセンターのイベントに顔を出し始めました。
ゼミ仲間には大学院進学を目指す人もいたため「大学院で臨床心理士の資格を取得しカウンセラーを目指すか、卒業後に就職はせず、すぐにフリーランスになるか、新卒で外の世界を経験しようか」と検討するところからのスタートでした。
新卒で就職活動をすると決めてからも、老舗の中小企業が良いのか、ベンチャー企業か大企業かと一通り迷い倒し、数えきれないくらいの企業へインターンに行きました。
本コラムのコンセプト
生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。
企業で見つけるロールモデル|理想の働き方から探す
「大学院に行く代わりに2~3年大企業で働いて、それから独立しよう。そうすれば、独立してうまくいかなくても一般企業に再就職できるはず。」と考え、新卒でメガバンクに入りました。
入ってみると、職場には、一般職でじっくりキャリアを積み重ねる人。総合職で走り続ける人。時短勤務で3人のお子さんを育てながら正社員を続けている先輩。いったん、結婚や子育てを機に金融機関を退職してからパートで働いている人。さまざまな働き方をしている人が共存していました。正解が一つではないということを知りました。
「どんな働き方をしたいんだろう」と迷ったとき、社内でロールモデルとなる人を探してみるのは一つの方法です。
「この人みたいになりたい!」と思える存在が見つかると、ぼんやりしていた未来の解像度が上がります。今後の生き方が明確になり迷いが減る、ともいえます。
一方で、社内になかなかロールモデルが見つからないときは、社内に限定せず社外に視野を広げてみるのも有効です。
私のロールモデル|理想の生き方から探す
私のロールモデルは、アントレプレナー塾の塾長・三宅宏さんです。大手食品会社で役員などを歴任している方で、「世界はマーケティングでできている」の著者でもあります。
きっかけは東日本大震災
メガバンクで働きながら、コーチングのスクールに通い、3年目に退職。カウンセリングではなく、パーソナルコーチとして独立しました。
それから数カ月後、高校の同級生と千葉県の幕張で食事をしていたとき、東日本大震災に遭いました。液状化現象で駅が海のようになり、近くの公園に避難しました。爆発した工場の煙が見えるなか、余震に耐えたり、別の避難場所で移動したりしながら夜中になんとか自宅に帰りつきました。
震災後、津波の映像や福島原発の惨状を連日テレビで目の当たりにして、「今、自分にできることはNPOに携わることなのではないか」という気持ちになりました。
NPOでの活動と仕事環境の変化
2011年3月25日スタートのNPOの人材育成講座に滑り込むことができ、NPOという業界について学びながら被災地支援のボランティア活動や地域・教育に関わるNPOでインターンをしました。
半年ほど経って、事業型のNPOを創業する道を選びました。
最初に選んだテーマは「小1の壁」。子どもが小学校に上がった途端、放課後の居場所がなくて仕事と育児の両立が崩れていく。
せっかく築いてきたキャリアを手放す選択や、正社員への復帰の困難さなどが当時の課題でした。これを変えたくて、民間のアフタースクールを増やす活動から始めました。
メガバンクでの経験からソーシャルファイナンスへの興味があったこと。心理学を専攻しながら教員免許を取得するなど、教育への関心があったこと。これらを掛け合わせることができました。
当時は図書館にPCを持ち込んで仕事をしていました。図書館では電話のたびに外に出なければなりません。図書館の外のベンチで電話をしていたら足が蚊に刺され放題になってしまったこともあります。
だからといって、同じカフェで一日中ずっと仕事をしているのも居心地が悪いと思っていました。
「勉強カフェ」を通じた出会い
ある程度自由に仕事できる環境が欲しいなと思って、Xで呟いたところ、見知らぬ方から「勉強カフェ」と呼ばれる場所を教えていただきました。
その「勉強カフェ」で出会った会社員の方にNPOの創業に向けて準備をしているという話をした時のことです。「アントレプレナー塾の三宅さんという方がいて、とても素敵な方だから是非、次回の会に来てみたら?」と誘っていただきました。
Webサイトなどもないクローズドな私塾。口頭の説明だけでしたが、興味が湧き参加することにしました。
アントレプレナー塾での学び
会社員時代、私の周りもほぼ会社員ばかりでした。
アントレプレナー塾には一流の料理人や芸能系のプロデューサー、10代で起業した同年代の方など全然違う世界の人達がいました。先輩起業家のオフィスへ見学に行かせていただいたり、ビジネスの相談に乗ってもらったり、自分自身の潜在力を探究するなど、学びの連続でした。
三宅さんの情熱や専門性もさることながら「在り方」や全体像をロールモデルとしています。膨大なインプットを惜しみなく受講生に渡そうとする姿勢。大人の遠足や飲み会一つとっても、どうすれば参加者が喜ぶのかを考える利他の精神。仕事も家庭も、どちらも大切にするバランス感覚などです。
ロールモデルとの出会いで起こった変化
私自身、気づくと仕事に時間の大半を費やしてしまう不器用なタイプです。それ自体は自分の選択ではありますが、もっと大きく人生を見た時に、沢山の引き出しを持っていることが人生の豊かさにつながります。趣味で取り組んできたことが時を経て仕事になることもあります。
20代半ばでフリーランスで独立。NPOを創業した際も初めてのことばかりで責任も多いなかで、尊敬できる社会人の三宅さんに出会うことができて良かったと思っています。
日本の歴史や文化を学んだり、大企業の経営者の方のお話を直接聞けたことは大きな財産です。素敵な飲食店や農業、漆に藍染、三宅さんを通してさまざまな文化的な体験もご紹介いただき、私自身を取り巻く環境も変化していきました。
現在もアントレプレナー塾に引き続き通っています。また、「アントレ祭り」のなかで三宅さんにご紹介いただいた、株式会社Baby-Jのやなせさんと一緒に、「驚異の女子会ティラノサウルス」というフリーランス女性のコミュニティを運営しています。
類は友を呼ぶので良い人で環境を整えよう
一生涯かかわっていく友人や仲間は、自分と似ていたり、尊敬できる部分が多いものです。素敵な人の周りには素敵な人が集まってくるものです。
ロールモデルの人とお近づきになれる機会があるのであれば、勇気を出して接点を持ってみることをおすすめします。「この人達にふさわしい自分でありたいな」と思うことで、ロールモデルの人に近づくことができるようになります。
どんな人をロールモデルにしたいのか。SNSなどで何人か集めて、共通点を探るだけでも自分自身の理想の在り方が見えてくることもあります。
さまざまな選択肢がある時代です。何が正しいかではなく、さまざまな選択肢や可能性のなかから選択したものを、自分自身が後から「この選択をして良かった」と思えることが大切です。
ぜひ、ロールモデルを探してみてくださいね。折角なので、ロールモデルになったつもりで過ごしてみると視座が変化しますよ。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi




