この記事のまとめ
- 20代の転職理由でもっとも多いのは「給与が低い・昇給が見込めない」
- 転職理由は4ステップで考えて転職で叶えたいことを絞り込もう
- 転職理由は3ステップで伝えて転職を決意した経緯と意欲が伝わるようにしよう
- 既卒適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人におすすめ
面接で必ずと言って良いほど問われる転職理由。「気持ちの変化をどうやって伝えれば良いのだろう」「どんな理由が好感を持たれるのかな」と回答内容に悩みますよね。就活のときにはなかった項目なので、何を伝えるべきかわからず苦戦する人も多いでしょう。
後ろ向きな内容や前職の愚痴や言い訳のような内容になってしまいやすく、面接官から「転職する必要性が感じられない」「また転職を繰り返すのでは」と厳しくチェックされてしまうことも。
記事では、キャリアアドバイザーの谷所さん、田邉さん、鈴木さんのアドバイスを交えながら転職理由の答え方について詳しく解説していきます。回答に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
20代の転職はポテンシャル重視! 転職理由にも意欲や柔軟性が重要
20代の転職はスキルや経験よりも、人柄、素養といったポテンシャルを重視して採用可否を判断する傾向にあります。そのため、転職理由にも意欲の高さや柔軟性といった高い成長が期待できる要素を盛り込むと効果的です。
記事ではまず、20代の転職理由の実態について紹介。そして、面接で転職理由を問われたときの回答方法を解説します。
回答を作成するときは、あらかじめ面接官の意図を押さえ、転職を決意したきっかけや考えの変化を整理しましょう。そのうえで、3ステップで転職理由の回答を作成します。記事内では転職理由の10例文も紹介しているので、「転職理由がまったく思い浮かばない」という人もイメージを掴むことが可能です。
転職理由は面接官の納得感を得られるかが評価を左右します。自分の過去の考えやこれからのキャリアと向き合って、説得力抜群の転職理由を作成しましょう。
転職理由は面接の質問事項の中でもっとも重視されています。理由によっては早期離職につながる可能性もあるため、採用担当者は慎重に判断していますよ。偽ることは避けるべきですが、好印象がアピールできる伝え方を考えましょう。
20代の転職理由でもっとも多いのは? 転職者たちの本音
順位 | 転職理由 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 34.4% |
2位 | 昇進・キャリアアップが望めない | 23.4% |
3位 | 業界・会社の先行きが不安 | 22.7% |
4位 | 離職率が高い | 21.8% |
5位 | スキルアップしたい | 21.6% |
求人情報・転職サイトdodaが2021年7月~2022年6月の1年間に転職した人のデータを元にまとめた、転職理由ランキング【最新版】によると、20代の転職理由でもっとも多いのは、「給与が低い・昇給が見込めない」で4割以上でした。
次いで2位になったのが、「肉体的または、精神的につらい」。3位が「会社の評価方法に不満があった」という結果でした。
同じような理由で転職しようか悩んでいる20代の人も多いですよね。「こんな理由で転職しても良いのかな」「甘えだと言われそう」と不安に思っている人は、同じような理由でも、転職を実現している人がいることをぜひ知っておいてくださいね。
転職理由の多くが、休みが取れない、労働時間が長い、給与が安い、サービス残業が多いなど、労働条件や待遇面を理由としたものですが、仕事がきつい、やりたい仕事ではない、別の仕事に就きたいといった転職理由もあります。
- 職場の人間関係に悩んでいて転職を検討していますが、甘えだと思われそうで不安です。人間関係は転職する理由としては不十分でしょうか。
改善しようと行動を起こしたのであれば納得感がある
抱えている人間関係の悩みについて原因分析が明確にできており、その関係について自分ができることを実施してきた場合は転職する理由になるでしょう。
人間の悩みのほとんどが人間関係だと言われています。悩みの種であった人間関係を改善しようと努力をしたが駄目だったという結果であれば、面接で述べても面接官が納得する可能性があります。
改善するために起こした行動を具体的に伝えて、あなたの内面の甘さや落ち度という評価より、対応力や順応力が優れているという観点から評価を進めてもらえるようにアピールしましょう。
転職したい気持ちはあるものの、不安や怖さから行動に移せない人もいますよね。怖いと思う原因と向き合い、段階的に解消すれば怖さは軽くなります。詳しくはこちらの記事を参考にしてくださいね。
転職が怖い原因17個を徹底分析! 怖さを軽くする方法も解説
企業の意図を知ろう! 面接官が転職理由から知りたいポイント
企業の意図を知ろう! 面接官が転職理由から知りたいポイント
- 求職者の性格や考え方に落ち度はないか
- 働くことに対して意欲があるのか
では、これ以降は面接で伝える転職理由の回答の仕方について解説していきます。
「転職理由を言うのが怖い」「減点されそう」と感じている人もいますよね。確かに転職理由は、転職を志望している人の行動の原動力を知る質問なので、面接官の注目度は高いといえます。
中でも前職に在職した期間が短い人に対しては、「転職してもまたすぐ辞めてしまうのではないか」という懸念があるため、面接官のチェックは厳しいと心得た方が良いでしょう。
よって、どんな印象を与えると減点されやすいのかを押さえることが対策の手がかりとなります。減点を回避するために、まずは面接官の考えや思考を知りましょう。
求職者の性格や考え方に落ち度はないか
転職を志望している人には、在職中かどうかの違いはあるものの、「前職(現職)では働き続けない」と選択する理由があります。前職に対して何かしらの問題点を感じているからこそ、転職しようという考えに至ったはずです。
ただ、自分は前職の問題点だったと感じていることも、面接官からすると「当たり前のこと」「本人の甘さが原因」と判断されてしまうことがあります。
たとえば、評価制度が成果主義の企業で、評価してもらえないことを理由に転職を希望している場合、「成果を出すための努力をしていない」「周りより頑張っていないのかもしれない」というように、本人の落ち度として考えることもできます。
そのうえ、本人が自分の落ち度だと気付いていないのであれば、何か問題が起こる度に周りの人や環境のせいにして、また転職を繰り返すことが懸念されます。
面接官は転職理由を通して、応募者が「前職では働き続けない理由」を知り、そこに応募者の性格や考え方に落ち度はないかを確かめているのです。
働くことに対して意欲があるのか
面接官の中には、20代の転職希望者に対して、「働く意欲が低いから前職は長続きしなかったのではないか」という懸念を持つケースがあります。
働いているとどんな企業や職種であっても、困難な局面やつらいことがあります。働く意欲が低い人は、たとえ転職してもまた同じ理由ですぐに辞めてしまうことになりかねません。転職理由の回答では、働くことに対する意欲を測られていることも意識してください。
早期退職者である第二新卒に対して、面接官はどのような点を不安視しているか知ると、転職理由の対策も立てやすくなりますよ。こちらの記事を参考にしてください。
第二新卒はやばい? 好印象へイメージチェンジの秘訣を解説
仕事をすぐ辞めてしまうとネガティブな印象を残してしまうこともありますが、無理して続けることがリスクになる場合もあります。以下の記事では仕事をすぐに辞めることについて専門家が解説しているので参考にしましょう。
専門家が解説|仕事をすぐ辞めることへの迷いを解消する7ステップ
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る転職理由で重視されているのは仕事への意欲
20代の求職者に対して、実務経験はそれほど期待しませんが、仕事に対しての意欲はとても重視しています。「仕事がきつい」「楽な仕事がしたい」という理由だと、仕事ヘの意欲が低いと判断します。
前職でできず叶えたいことを実現したいといった転職理由は、そう思った経緯が納得でき、自社で実現可能なものであれば、転職理由として評価します。
叶えたいことをどうしても実現したいといった仕事への意欲を、転職理由の回答や表情から見極めています。
同様の理由で転職を繰り返すことが懸念されている
労働条件や待遇面に関する転職理由だと、自社よりも良い条件の企業が見つかれば再び転職する可能性があり、せっかく採用しても長続きしない可能性が高いと判断されてしまいます。
人間関係が転職理由の場合も、状況によっては自社で同様の問題が起きる可能性は低くないと考えます。
20代の転職では、前職を短期間の在籍期間で辞めることはそれほど気にしませんが、自社に置き換えても同様の問題で辞めることが考えられれば、採用からは遠ざかってしまいます。
既卒就活で適職診断からはじめるのがおすすめ!
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
まず押さえておきたい! 納得感がある転職理由を作る5つの鉄則
まず押さえておきたい! 納得感がある転職理由を作る5つの鉄則
- 気持ちや出来事を偽らない
- 転職を決意するまでの経緯がわかるようにする
- 前職に対するネガティブな表現は最小限にする
- 転職しなければならない理由が伝わるようにする
- 前向きな姿勢や成長意欲をアピールする
減点になり得るポイントを押さえると、どんな転職理由にするべきかがなんとなくわかってきますよね。ただ、減点を回避するだけでは採用にはつなげられません。高評価を得るために、「その理由だったら転職するべきだな」と、面接官が納得できるような転職理由に仕上げましょう。
減点を回避しつつ、さらに自分の魅力をアピールできるような転職理由にするには、ここで解説する鉄則を守る必要があります。5つの鉄則を遵守しながら作成を進めましょう。
①気持ちや出来事を偽らない
面接官に納得してもらうためには余程の理由にしなければと考える人もいますが、出来事を大袈裟に言ったり、思ってもいないことを理由にしたりする必要はありません。面接は転職理由を回答したら終わりではなく、その後も複数の質問をされます。
一度気持ちや出来事を偽ってしまうと、他の質問を通じて綻びが出ることもあり得ます。特に、転職理由は転職に対する考え方の基盤となるものなので、ほかの質問と関連していることも少なくありません。
仮に、嘘を述べて内定をもらえたとしても、入社後も嘘を吐いた後ろめたさを感じ続けることになります。偽った状態の自分ではなく本心や事実を述べたうえで、内定を獲得できた会社であれば自分らしく働ける期待も高まります。
以下の記事では自分らしく働くためのコツを解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自分らしく生きるためには? すぐできる11個のコツとやめるべきこと
言うことと言わないことの整理は重要
ただ、本音をすべて曝け出さなければならないわけではありません。たとえば、「楽をして働きたい」や「苦労したくない」という本音をダイレクトに聞いて、良い印象を抱く面接官はあまりいません。
あまりよく思われなさそうな本音は、あらかじめ「言わない」と決めておくと良いでしょう。最初から意識的に危うい本音を言う人はほとんどいませんが、面接本番で予想外の質問をされたときにうっかり口にしてしまうケースはよくあります。よって、事前に言うことと言わないことを区分けしておくことが重要です。
「なんとなくそう思った」というように、明確な理由を語ることができないのであれば面接では触れない方が良いでしょう。転職は悪いことではありませんが、自分の感情に任せたような発言は控えてください。
②転職を決意するまでの経緯がわかるようにする
転職が新卒の就活と大きく異なるのは「一度企業に入社している」という点です。新卒で入社する企業を決めるというのはとても重要な選択で、人生を左右しかねないということは多くの人の共通認識です。
だからこそ、誤った選択をしないように入念に企業研究や自己分析をして、慎重に決定したはずなのに、なぜ転職したいと思うようになったのか、と面接官は疑問に思っています。
入社を決めた時点から「早々に辞めて転職しよう」と考えていた人はあまりおらず、当時は想定していなかった変化や出来事があって転職を決意するにいたった経緯があるはずです。
その変化や出来事が転職理由となります。ただ変化や出来事だけをピンポイントで伝えても、面接官の疑問には答えきれていません。入社を決めた当初の気持ちから、転職しようというように気持ちが変わった経緯を伝えましょう。
③前職に対するネガティブな表現は最小限にする
前職に対する不満や愚痴と受け取られるような表現はなるべく避けましょう。
いくら愚痴を言いたくなるような劣悪な職場だったとしても、面接官は目の前の応募者の話だけを全面的に信じることはできません。そのうえ「何でも周囲のせいにする人なのかも」と思われてしまっては、自分の印象を落としてしまうことになります。
とはいえ、転職する以上は自分にとって前職は最適な企業ではなかったということなので、多少ネガティブな表現になってしまうのは仕方ありません。それでも、前向きな表現に言い換えたり、自分がしたいことや自分の適性を軸にした表現にできないか検討するなどして、ネガティブさが和らぐように心がけてください。
- 前職の労働環境が本当に悪くて、とてもじゃないけど働き続けられないと思い転職を決意しました。ネガティブな表現になるのは仕方ないと思うのですが、どうすれば上手く伝えられますか。
自分のキャリアプランを実現するために退職したと伝えよう
どんなに労働環境が悪かったとしても、早期離職が懸念されて選考落ちにならないか不安になりますよね。このように悩む人は、「キャリアプランを実現する」のようにポジティブな伝え方をすることがおすすめです。
たとえば、「月間の残業が50時間を超えて、体力的に顧客へ向き合う余裕ができませんでした。顧客と向き合って仕事をしたいと考えているため、転職活動をおこなっています」と伝えるとポジティブな印象になりますよね。
このように、退職をして何をしたいのかにフォーカスするとポジティブな印象になりますよ。
たった30秒であなたが既卒就活で受けないほうがいい職業がわかります
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
④転職しなければならない理由が伝わるようにする
面接において転職は、単純に職場が変わるのではなく、所属する企業が変わるということです。たとえば、転職理由が「営業職から事務職に職種を変更したいから」だと、「部署を異動すれば解決するのでは」「今すぐ転職する必要はないのでは」と思われてしまいます。
もちろん、部署異動が簡単にできるわけではないことは面接官は承知しています。ただ、最大限の努力や工夫をしないうちに転職しようとしているのであれば、どこに就職しても転職を繰り返すのではないかと考えてしまいます。
また、「裁量がある仕事を任せてもらえない」のような、数年経てば解決しそうな現職の問題点を挙げるときも注意しましょう。入社して数年しか経っていない新人よりも、経験値が高い中堅社員の方が裁量が大きいのは普通のことです。
「今の職場で経験を積めば叶うのでは」と思われてしまうような転職理由は、転職する必要性が感じられません。「若いうちから裁量がある仕事をしたい」と考えているのであれば、なぜそう考えているのかまで掘り下げて伝えて、「この人にとって転職はベストな判断である」と納得してもらえる内容にしましょう。
⑤前向きな姿勢や成長意欲をアピールする
社会人経験がわずか数年であれば、仕事で通用するスキルやアピールできる実績も少ないですよね。その分、前向きな姿勢や成長意欲をアピールして、自分に対する期待値を高めてもらいましょう。
明るくて仕事に対して積極的な新人は、経験やスキルですぐに貢献できなくても、居るだけで職場の雰囲気を明るくしてくれるため、採用するメリットは多いにあります。
そのため、転職理由も仕事に対してネガティブな表現は避けて、やりたいことやなりたい姿、ビジョンなどを盛り込んで、全体的に前向きな内容になるように仕上げましょう。
アドバイザーコメント
鈴木 洵市
プロフィールを見る転職成功に前向きなアピールは必要不可欠
転職という場面において重要なポイントは、転職に臨む転職者が前向きな姿勢や成長意欲をアピールできているかという点です。これは転職希望先企業の面接官の立場になって考えてみた場合にわかります。
面接官は、自社に転職してくる人材が転職後、本当に自社にマッチして活躍してくれる人材であるかどうかという視点で面接します。
企業に自分を採用するメリットを感じてもらおう
その中で、現在の職場や前職に対するネガティブなことよりも、どのように自社で活躍してくれるかの前向きなアピールポイントがないと、採用するメリットを感じられません。
転職希望者に関してはある程度の社会経験を積んできて、社会経験や自分の実績から自分をアピールできる強みがあることが前提です。
また、入社後にどのように自己成長していきたいかということを伝えることも重要です。自己研鑽を積み成長してくれることが、企業にとっても利益につながるからです。
考えを整理! 転職理由を考える4ステップ
1つ目の鉄則で「気持ちや考えを偽らない」と示しました。転職理由は本心と事実を伝えるのが前提です。「本心を言ったら落とされてしまう」「これといったきっかけも理由もない」という人は、自分の考えを整理できていない可能性が高いです。
転職理由は点ではなく線で考えるのがコツです。最初から一言で説明できるような転職理由を見つけようとせずに、自分の考えや過去の出来事とじっくり向き合いましょう。
転職理由を考えるときに、自分の考えの整理を怠ると面接でうまく答えられず選考落ちになる可能性もあります。少しでもモヤモヤした感覚があったら自分と向き合い、納得できる転職理由を見つけることが転職を成功に導くポイントですよ。
ステップ①転職で叶えたいことを挙げる
「どのような目的や目標があって転職するか」という未来に求めていることが転職理由として重要です。
転職を決意したものの、まだ的確に言語化できずにいるという人もいますよね。転職理由は転職活動の指針ともいえます。この機会に徹底して自分の考えと向き合いましょう。
まずは転職で叶えたいことを列挙してください。なるべく多く挙げましょう。とりあえず前職との比較は置いておいて、自分が働くうえで外せないことや条件を考えて書き出してください。
転職で叶えたいことを考える項目
- 職種は?
→例:営業、事務、販売 - 仕事内容は?
→例:チームプレーが多い、自分のペースでできる - 評価制度は?
→例:成果主義 - 給料は?
→例:基本給25万、賞与年2回必須 - 社風は?
→例:若い人が多い、男女比率が半々、成長環境が整っている - 企業規模は?
→例:大企業、ベンチャー企業 - 勤務地は?
→例:全国どこでも可、都市圏
面接の場面において転職理由を聞いているにもかかわらず、退職理由しか述べられていない人もいます。
そうすると企業側としては、「自社は数ある候補企業の中の1社にしか過ぎないのかな」「本当に自社に転職したいのだろうか」と疑問を抱いてしまいます。
既卒就活で後悔したくない人は、適職診断からはじめよう
既卒の就活は新卒と違い、選べる職業に限りがあります。そのため、簡単に就職先を決めると入社前とのギャップから早期退職につながる恐れがあります。
これから既卒就活をはじめる人は、まず「適職診断」を活用しましょう。適職診断では、簡単な質問に答えるだけであなたの強み・弱みとぴったりの職業がわかります。
また、どのような職業を選んだらいいか就活軸も見つかるため、これから就活を始める今に取り組むのがベストです。
既卒就活で後悔しないためにも、今すぐ診断してみましょう。
ステップ②前職では叶えられないことをピックアップする
ステップ①で挙げた「転職で叶えたいこと」の中には、前職でも叶っていたことが含まれていますよね。鉄則として述べた通り、転職理由では「転職しなければならない理由」を伝える必要があります。
よって、部署異動や年数が経てばクリアになりそうなことを転職理由として述べても、面接官の納得感は得られないでしょう。そのため、転職で叶えたいことを一つひとつ確認して、前職で叶うのか叶わないのかをチェックしてください。
ステップ③就活時の考えと比較する
前職で叶えられないことまで絞れたら、それらは就活時にも望んでいたことと望んでいなかったものの2つに分けられます。どちらに該当するかを整理しましょう。
先に述べた通り、新卒で入社する企業を決めるというのは人生の一大決心だったはずです。「強い覚悟を持って入社したはずの会社をなぜ数年で辞めようと思ったのだろう」と疑問に思う面接官が大半です。
その疑問に答えるためにも、就活を振り返る必要があります。就活時にどんなに企業研究や自己分析を重ねても、働いてみなければ実際にはわからないこともあると思います。ただ、厳しい言い方をすると、多くの場合で自己分析不足もしくは企業研究不足のどちらかであったといえます。
まずは、その点を受け止めて就活時の考えと比較しましょう。比較してみると、ギャップが大きかったケースと働いてみて考えが変わったケースのどちらかに区分できます。ステップ②で挙げたものが、どちらに該当するか確かめて、転職理由の前提として踏まえておくようにしてください。
ギャップが大きかった
ステップ②で絞り込んだものの中に、就活時と共通するものがあれば、入社前には叶えられると思っていたけど実際入社してみると叶えられなかったという経緯になります。
たとえば、「残業が少ないと聞いていたけど働いてみると多かった」、「デザイン職で働けると思っていたのに営業職に配属された」のような例があります。
入社前から思い描いていたことを今も変わらず求めているのであれば、理由として強い想いを感じられます。なぜ自分がそれを望んでいるのか、背景を遡って考え、より説得力がある内容にしましょう。
また、これは前職に対するネガティブな表現をしやすいので、企業の内情を見抜けなかった自分の企業研究不足と受け止めて、謙虚に伝えるよう注意してください。
働いてみて考えが変わった
就活時に軸にしていたことや、企業を選ぶうえで外せない条件としていたことが、今の考えとは違うのであれば、働くうちに考えが変わったことが退職理由になります。
自分に向いていると思っていたことが向いていなかったり、働いているうちに「販売職よりも営業職がしたくなった」というように、就活時にはなかった考えができたという人もいますよね。
自分に向いている仕事や本当にやりたいことが、働いてみて初めてわかるというのは誰にでも起こり得ることで、後ろめたさを感じる必要はありません。
ただ、考えの変化を予想できなかったというように自己分析不足として受け止めている方が、面接官としては「反省を受け止めて次に活かせる人だ」「気持ちの変化を繰り返すことはないだろう」と前向きに評価できます。
考えの変化は一時的なものではなく、自分をしっかり見つめ直して、将来を見据えたうえでの転職なのか、という点も突き詰めて考えてください。面接官に堂々と伝えられるのであれば、転職理由の候補となります。
- 働いてみて考えが変わったと言うと、「就活で自己分析や企業研究をしっかりしていなかった」と見なされて、良くない印象になってしまいませんか?
具体的な経緯が説明できれば納得は得られる
実際に働いてみることで、やりたいことが見えてくるケースは珍しくないので、説明に信ぴょう性があれば良くない印象にはなりません。
向いていないことがわかったというより、より向いている仕事に就きたい意欲を、転職理由として伝えると良いでしょう。
実際に職務を経験したことによって、やりたい仕事が見つかった、あるいは元々やりたいと考えていたがより気持ちが強くなったなど、具体的な経緯を説明しましょう。
就活でどちらを選択しようか迷ったが、実際に働くことでやりたいことが明確になったという説明もできます。
ステップ④志望企業で確実に叶えられることを軸にする
ここまでで、ステップ②で絞った「転職で叶えたいこと」が就活のときも重視していたものと重視していなかったものの2つに分けられました。
2つのどちらからでも良いですが、志望企業で確実に叶えられるものを転職理由のメインにするのが必須です。面接中の企業で叶わないことであれば、「自社に入社しても転職の意味がないな」ということで縁がなかったと判断されてしまいます。
また、転職で自分の希望や価値観にもっとも合った企業に入社するためには、転職で叶えたいことが確実に叶えられる企業を選ぶ必要があります。もし転職で叶えたいことの中に、志望企業で叶えられるかわからないものがあれば、入社前までに確認しましょう。
突っ込みどころを与えない! 転職理由を伝える3ステップ
突っ込みどころを与えない! 転職理由を伝える3ステップ
- 前職に就いた理由を簡潔に説明する
- 転職を決意したきっかけを述べる
- 転職で叶えたいことを話す
理由が整理できたら、あとは面接官が理解しやすいような構成にすれば、転職理由は作成完了です。構成は、簡単にいえば話す順番です。
前項で考えを整理し、転職理由の中で伝えるべき題材がいくつか見つかったと思います。それらを適切な順番で話して、もっとも納得感を高める構成にします。
構成が適切でないと「なぜそう思ったの?」「転職する必要はないのでは」といった、突っ込みどころを与えてしまうことがあります。そこで、ここで解説する3ステップを踏んで伝えると、簡潔で一貫した転職理由にすることができます。
転職理由は、面接で必ずと言って良いほど高確率で問われる質問です。面接練習をするときはぜひこの3ステップを意識してくださいね。
転職理由は、長々と回答すると言い訳のように受け取られる可能性があります。できればさらっと回答したほうが良いでしょう。文字数は200字から300字程度で、回答時間は30秒から長くても1分程度に収めてください。
ステップ①前職に就いた理由を簡潔に説明する
まずは、前職に就いた理由を簡潔に説明しましょう。ここは本題ではないので、簡潔で構いません。ただ、後から掘り下げて質問される可能性は高いので、しっかりと答えられるように用意しておく必要はあります。
前職に就いた理由を簡潔に説明する例
まず、私が前職に就いた理由から説明させていただきます。学生時代接客業のアルバイトをしていた経験から、接客のスキルをさらに極めたいと思い、一流の接客が身に付けられるホテルスタッフを志し、前職に入社しました。
ステップ②転職を決意したきっかけを述べる
ステップ①で前職に就いた理由が伝わったところで、次はなぜそれから転職を決意したのかがわかるように話を展開しましょう。
ここは、前項で述べた通り、ギャップが大きかった、もしくは働いていてみて考えが変わったのどちらかに該当します。軸となる転職理由がどちらに該当するかを踏まえながら、経緯を説明しましょう。
言い訳や愚痴だと受け取られないように注意が必要です。コツは、前職の話題を展開するときは職務内容を中心に事実を述べて所感を少なくすること。むしろ、やりがいを感じていたことや前向きに取り組んでいたことがわかると好印象でしょう。
ただ、自身の考えはもちろん述べなければなりません。「前職はこれができない」というように前職を主語にするのではなく、「自分はこうしたい」というように自分がしたいことを強調して、それが前職ではできないことが話の流れでわかるという作りにしましょう。
転職を決意したきっかけを述べる例
フロント受付の仕事を通して、丁寧な言葉遣いや気配り、動作を学び、日々成長を実感していました。
しかし、自動チェックイン機が導入され、お客様とかかわることも少なくなり、職務のほとんどがお客様からのお部屋やお食事に関するご要望を各担当箇所に伝言するという伝言板のような役割で、今後のキャリアに疑問を抱くようになりました。
もっと、自ら働きかけて人との関係を一から構築したり、提案するような仕事の方がやりがいや成長を感じられるのではないかと思い、転職を決意しました。
ステップ③転職で叶えたいことを話す
最後に転職で叶えたいことを話します。ここは、転職を決意したきっかけを具体化させるステップです。
「働くことに対して意欲的な姿勢」「目の前の企業と求めていることが合っている」など、加点になりそうなアピールを含めることもできます。前向きに締めくくりましょう。
転職で叶えたいことを話す例
接客を通して、顧客からの信頼を得るためにコミュニケーションのコツや工夫の仕方を習得してきました。それらを活かし、これからは営業の仕事で、自ら働きかけ0から関係性を作る仕事をしていきたいと考えています。
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見る「転職後に実現したいこと」を軸にアピールしよう
転職理由を通じてより前向きな姿勢を伝えるためには、この4つで文章を構成することがおすすめです。
ステップ①転職後に実現したいこと
ステップ②なぜそれを実現したいのか
ステップ③前職では実現できず、転職先では実現できる理由
ステップ④入社後にどのように企業へ貢献するか
本文で説明されているように、前職について伝えることで、早期離職しないかどうかなどの懸念を払拭することができます。
自分の貢献の仕方をイメージできる構成にしよう
ただし、企業によっては「どのように貢献してくれるのか」を重視していることもあります。そのため、前職に就職した理由よりも転職後に実現したいことを転職理由として説明する方が、より有効なアピールとなる場合もあります。
ステップ④は、あくまでも自己実現だけでなく企業に貢献をすることに注意しましょう。企業への貢献を伝えなければ採用するメリットが感じられませんよね。そのため、「自己実現ができること」と「実現をする過程で企業への貢献ができること」もきちんとアピールしましょう。
転職したい企業に伝える転職理由の内容はとても重要ですが、退職したい企業への理由の伝え方も重要になってきます。次の記事で退職を成立させる手順について詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
会社を辞めさせてくれないのは違法? 退職を成立させる手順を解説
NG例文も紹介! 転職理由の10例文
NG例文も紹介! 転職理由の10例文
- NG例文:前職への不満で終始している
- NG例文:前向きさや意欲が伝わらない
- OK例文:職種を変えたい(販売職から営業職)
- OK例文:職種を変えたい(個人営業から法人営業)
- OK例文:業界を変えたい(サービス業から人材業界)
- OK例文:業界を変えたい(食品業界からIT業界)
- OK例文:評価制度が理由
- OK例文:社風が理由
- OK例文:勤務地が理由
- OK例文:ワークライフバランスが理由
ここからは転職理由のNG例文2つと、OK例文8つの計10例文を紹介します。ここまで解説した通り、転職理由は面接官が厳しくチェックしている項目で、評価を下げてしまうリスクも高くなっています。
減点を回避するために、NG例文もぜひ確認して、自分の転職理由に活かしてくださいね。
また、OK例文はさまざまな転職理由を題材にした内容なので、自分の状況に近いものを見つけて参考にしてください。
NG例文:前職への不満で終始している
NG例文:前職への不満で終始している
私が転職しようと思った理由は働く環境を変えたかったからです。
前職は駅ナカのショップで販売員をしておりました。勤務形態はシフト制なのですが、休みたい時に休めなかったり、朝から晩までの長時間労働を課せられたり、辛い思いをしながら働いていました。さらに、労働時間に対する給与は低く、生活するので精一杯でした。
このような状況を打破したいと考えていたときに御社の求人を見つけました。御社は前職とは異なり、休みや勤務時間が明確に決まっており、オン・オフを明確に分けて働けると思います。さらに、前職よりも給与が高く、やりがいを持って働けると考えております。
このように、前職よりも良い環境で働けることに魅力を感じ、御社への転職を志望しました。
労働環境が転職理由だと、仕事への意欲が感じられず自社でも同様の問題が起きるのではと考える可能性があります。応募企業で叶えたいことをプラスして説明するか、労働環境ではなく叶えたいことの実現といった転職理由にすると良いでしょう。
NG例文:前向きさや意欲が伝わらない
NG例文:前向きさや意欲が伝わらない
私が転職を希望する理由は御社の制度・社風に魅力を感じたからです。
御社では定時完全帰宅デーを設けたり、20時以降の残業を禁止していたりと、長時間労働を防ぐための施策を実施しているかと存じます。私は仕事とプライベートの両立を実現させたいと考えており、この制度に魅力を感じております。
さらに、御社にはノルマがないと伺っております。私はノルマに迫られるような働き方が苦手で、一つひとつの案件を丁寧にじっくりおこないたいと考えております。そのため、御社のノルマがない社風が自分に合うと考えました。
このように、御社の制度・社風が自分に合うと考え、御社への転職を志望しました。
この転職理由は、企業にどのように貢献をするのかが書かれていません。そのため残念ながら企業は採用するメリットを感じることができませんよね。好印象にするためには、自分の希望だけでなく企業が採用するメリットを織り交ぜましょう。
OK例文:職種を変えたい(販売職から営業職)
OK例文:職種を変えたい(販売職から営業職)
私が転職をしようと思った理由は職種を変えたかったからです。
私はこれまで販売員として日々やりがいをもって働いていました。しかし、販売員は商品を提供できますが、購入前と購入後にかかわることができないことに物足りなさを感じていました。
どんな理由で商品を購入しようと思ったのか、商品購入後どんな変化があったのかなどが知りたく、それを知ることでもっと良い商品が提案できると思っているからです。
このようなことを考えているときに御社の求人に出会いました。御社の製品は元々知っており、魅力的だと思っていました。そして、御社の営業職なら、顧客の経緯を知ったうえで製品を販売し、販売後もお客様に伴走してより良い提案ができると思います。
そして、実際に販売する際は現在の販売職の経験を活かして最善の提案ができると自負しております。
このような理由から御社への転職を志望しております。
視野の拡大をしたいという前向きな姿勢が感じられます。
営業活動方法に魅力を感じた点を転職理由に挙げているため、転職理由としては「自分が製品をすでに知っている」という部分は削った方が簡潔で伝わりやすくなります。
製品については志望動機などに盛り込んだ方が適切でしょう。
OK例文:職種を変えたい(個人営業から法人営業)
OK例文:職種を変えたい(個人営業から法人営業)
私が転職しようと思った理由は法人営業に職種を変えたかったからです。
現在個人向け保険の営業職として働いております。お客様にとってベストな提案をして感謝をいただいたときはすごくやりがいを感じられるのですが、もっと大規模な事業にかかわって世の中を良くしたいという思いが常にありました。
このようなことを考えている際、御社の求人に出会いました。御社がおこなっている生命保険の法人営業は、個人向け保険の営業よりも大きく世の中を変えられると思います。さらに、現職の経験を活かせるため即戦力として活躍できると自負しております。
このような理由から御社への転職を志望しております。
営業職として個人営業から法人営業の仕事をおこない、大規模な事業にかかわりたいという転職理由は、仕事を前向きに捉えており好感が持てる転職理由です。
世の中を良くしたいという回答がやや漠然としているので、どう良くしたいのか具体的に説明するとさらに良くなります。
OK例文:業界を変えたい(サービス業から人材業界)
OK例文:業界を変えたい(サービス業から人材業界)
私の転職理由は、皆がやりがいを持って働ける世の中にしたいという思いがあったからです。
私は現在ホテルマンとして働いており、ホテルの採用担当も兼任しております。
毎年10名ほどの新卒者や転職者が入社するのですが、その中にはホテルマンという働き方では本来持つ実力を発揮できず、他の職種の方が向いているのではないかという人もいます。このような人のほとんどは3年以内に退職してしまうのも事実です。
このような経験から、その人の良さや強みを引き出してやりがいを持って働けるようにしたいと考えるようになりました。そこで出会ったのが御社の求人です。ホテルマンで培ったお客様への対応や要望を先に予想するということも活かして働きたいと考えております。
前職では実現したいことが叶えられなかったことと、転職先では叶えられることがわかりやすくまとまっていますね。
より熱意を伝えるためには、離職してしまった具体的なエピソードを入れましょう。過去の悔しさが伝わり好印象になります。
OK例文:業界を変えたい(食品業界からIT業界)
OK例文:業界を変えたい(食品業界からIT業界)
私が御社への転職を志望する理由は、世の中の会社はIT技術の活用によって、もっと効率的に商品を届けられると思っているからです。
私は現在食品業界の営業職として働いています。営業職ながら流通の仕事にもかかわっているのですが、商品を生産してから消費者に届けるまでの時間が長すぎる現実を変えたいと思っていました。
そして、素早く商品を届けられるようになるにはIT技術の導入が必要と知り、少しでも実現に近づけるために休みや平日の朝・夜の時間を活用してプログラミングの勉強をおこなっていましたが、私1人で変えられる規模には限りがあることに気が付きました。
そこで御社に転職して、IT技術を活用して商品を生産してからすぐに消費者に届けられる仕組みを作りたいと考えております。
自分の働いた経験から世の中の課題を見出し、その点を改善したいという前向きな内容になっている点が良いポイントです。
消費者に商品が到着するまでの仕組みを、IT技術を活用してどのように作りたいかまで明確にすると、リアリティが増してさらに良くなります。
OK例文:評価制度が理由
OK例文:評価制度が理由
私が御社に転職したいと思った一番の理由は、御社の評価制度にあります。
御社の人事部の方が回答しているインタビュー記事にて、評価制度が完全実力主義ということを知りました。私はこの完全実力主義に非常に共感しております。なぜなら、成果を出した人はそれ相応の評価をされるべきだと思っているからです。
世の中の多くの会社は、どれだけ成果を出しても給与をはじめとする評価は大きく変わることがありません。それは本来あるべき会社の姿ではないと考えています。成果を出した分の評価は得られるべきです。
このような考えから、御社の完全実力主義という評価制度のもと働きたいと思い、転職を志望いたしました。
応募企業の完全実力主義という評価制度のもと働きたい思いが伝わってきて、評価できる回答です。
年功序列型の企業を、本来あるべき姿ではないと伝えるのは批判と受け取られる可能性があるので、年功序列型ではなく実力主義の評価制度の企業で実績を上げたいという回答のみでも問題ないでしょう。
OK例文:社風が理由
OK例文:社風が理由
私が転職したいと思った理由は、御社の社風に共感したからです。
御社の「全員が幸せに働けるようにする」という社風は非常に魅力的だと思います。私が現在働いている会社では「結果がすべて」という雰囲気があり、社員の幸福度や満足度は後回しになっていました。
一方で、御社は社員が幸せに働くことを第一にしており、そのうえで成果が付いてくるという社風かと存じます。これには共感しており、私自身も実現したい働き方と考えております。
このように御社の社風に共感し、私自身も全員が幸せに働ける環境づくりにかかわりたいと考え、御社への転職を志望いたしました。
この例文はわかりやすいですが、具体的な経験が書かれていないため、熱意が伝わらずやや物足りない印象になってしまいます。社風に共感する理由を経験を交えて説明すると、より志望する説得力が生まれますよ。
こちらは新卒向けの志望動機の記事ですが、社風を志望動機とする際に盛り込みたい内容と転職理由で盛り込むと良い内容は共通しています。ぜひ参考にしてくださいね。
「社風の志望動機」は注意が必要! 例文付きで受かるコツを伝授
OK例文:勤務地が理由
OK例文:勤務地が理由
私は御社の勤務地の自由度の高さに魅力を感じ、転職を志望いたしました。
私は現在、御社と同様に人材業界に勤務しております。現在は東京勤務なのですが、両親の介護が理由で実家に戻らなければいけなくなりました。人材業界で働き続けたいという希望はあるのですが、現職で転勤するのは難しいのが現状です。
このような状況で、御社の求人に出会い勤務地を自由に選択できることに魅力を感じました。そして、幸いにも実家から車で通える位置に御社の支店がございます。
このように、御社の勤務地の自由度の高さに魅力を感じ、さらに人材業界での経験も活かせるため、御社への転職を志望いたしました。
転職する理由が端的に親の介護が理由であると述べられている点と、勤務地のマッチングを見たうえでの転職活動であると明確に述べられている点が非常に良いです。同業種の転職のため、前職での自分の実績などを付け加えるともっと良くなります。
OK例文:ワークライフバランスが理由
OK例文:ワークライフバランスが理由
私が御社への転職を志望した理由はワークライフバランスが実現できるからです。
私は1年前に子どもを出産し、仕事に割ける時間が少なくなりました。しかし、出産後も世の中に貢献したいという思いは変わらず、また復職したいと考えておりました。その中で、御社はワークライフバランスの実現を掲げており、理念や事業内容にも非常に共感できます。
このように、子どもを育てながらも世の中に貢献したいという思いを達成できるのは御社だと考え、転職を志望いたしました。
ワークライフバランスが実現できる企業であれば、転職理由として問題はありません。理念や事業内容に共感しているという説明も好感が持てます。
世の中に貢献したいという言葉を、どのように貢献したいのか、応募企業の仕事と関連させて説明しても良いでしょう。
転職理由と矛盾は厳禁! 類似質問との一貫性を意識しよう
面接中は、転職理由と類似した質問をされることも多くあります。類似質問に対してその場しのぎで回答を考えて答えたら、転職理由と一貫していなかったり、矛盾していることも。
転職理由は自分が転職活動をおこなううえで、根幹となっている考えなので、ほかの質問と矛盾して、根幹が疑われるようなことは避けなければなりません。一方、転職理由と一貫していれば、説得力を高めることにつながります。
ここでは、2つの類似質問を取り挙げ、転職理由とどのように一貫させるかを解説します。類似質問に対する回答の質を高めつつ、転職理由の納得感をさらにアップできるようにしましょう。
志望動機には転職理由も含める
転職理由の軸は、「志望企業で確実に叶えられること」を軸にするように解説しました。つまり、転職理由の軸としたものは志望動機になります。そのため、志望動機と転職理由はほぼ同じ内容になることもあります。
ただ、転職理由以外にも、「志望企業でしか叶えられないこと」「志望企業の魅力を感じているところ」などを志望動機とする人もいるでしょう。これらもまったく問題ありませんが、転職理由と矛盾しないように注意してください。
たとえば、「裁量がある仕事がしたい」という転職理由なのに、志望動機で「仕事内容がマニュアル化されている点」に魅力を感じていたら、どんな仕事がしたいのか一貫していない印象を受けてしまいます。
転職活動の軸は転職理由を具体化させる
転職活動の軸と転職理由は、ほぼ隣り合わせの関係になっているぐらい密接なものと考えて良いでしょう。転職理由を基盤として、転職活動の軸を明確化させてください。
軸を問われたときは3つほど挙げる人が多いですが、少なくとも1つは転職理由に関する軸にしましょう。たとえば、転職理由が「若いうちから市場価値を高めたい」であれば「若手の成長環境が整っている」を軸の1つとするようにすると、転職理由の説得力が増しますよ。
新卒向けですが、企業選びの軸の考え方について解説しています。企業選ぶときに重視するポイントは転職でも共通している部分が多いので、ぜひ参考にしてください。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
志望動機に転職活動の軸を入れることが目的にならないように注意しましょう。転職理由とは別に優先度が高い転職活動の軸がある人もいますよね。そのような人は、最も優先する転職活動の軸を志望理由に入れましょう。
退職届の転職理由は自己都合のときのみ「一身上の都合」を用いる
最後に、退職届に記入する転職理由の書き方についても解説します。「一身上の都合」という理由が多用されていますが、「一身上の都合」は自分の希望で退職することを意味しています。
転職や結婚、体調不良など、労働者側の都合で退職する場合の退職理由はすべて「一身上の都合により」と書いて問題ありません。
もし、人員整理や希望退職、退職勧奨など、会社側の都合で退職する場合は「一身上の都合」とは書かず、会社側の都合を具体的に記入するようにしてください。
退職届は自分が次のステップへ進むための重要な書類です。多いケースではありませんが、前職から推薦をもらって転職につながることもあります。慎重に書き進めてください。
納得感ある転職理由を完成させて面接で堂々と伝えよう
新卒で入社した企業から転職するというのは一大決心です。そもそも、新卒で入社する企業を決めるのも大きな決断だったと思います。
入社前の「この企業に入社しよう」という決断から、今「違う企業で働こう」という正反対の決断をすることになったのはなぜなのか、面接官はとても気になっています。
回答があいまいであったり、一貫していない内容だと、「また転職を繰り返すのではないか」と思われてしまいます。記事内で解説した考え方の4ステップと伝え方の3ステップを踏んで、納得感のある転職理由を完成させましょう。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る職務を経験したからこそ明確になったビジョンを伝えよう
労働環境や待遇面が転職を決意した主な理由であっても、なるべく仕事を通して叶えたいことを転職理由にすると良いでしょう。仕事を通して叶えたいことは、前職ではできず応募企業では実現可能なことであるのが前提です。
労働条件や待遇面が転職理由だと、より条件が良い企業があれば辞めてしまう応募者だと考える可能性があります。
人間関係がうまくいかなかったことが転職理由でも、そのまま伝えれば、自社でも同様の問題が起きないかと採用担当者は考えます。
意欲が伝わる表現に言い換えしよう
自己都合の転職であれば、辞めたい理由は自分自身の考えが軸となります。本音は条件面や人間関係が転職理由でも、そのことをきっかけとして今後叶えたいことを実現したいと考えれば、転職理由にすることができます。
たとえば本音は待遇面でも、「待遇が悪いから辞めた」ではなく、「実力主義の企業で貢献したい」と置き換えて説明することもできます。「嫌だから」という説明を「やりたいこと」に転換することで、ポジティブな転職理由になります。
20代の転職理由から、採用担当者は仕事への意欲を見極めています。前職の仕事を経験することで、やりたい仕事が明確になり実現したいといった、仕事への意欲を転職理由で示すと良いでしょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
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