本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
独立系システムインテグレーター(SIer)の日本ビジネスシステムズは好調な業績を上げているものの、企業の魅力に関しては「パワハラ体質」「仕事の割に給料が安い」「SIer自体がオワコン」といった声もあります。もっとも、口コミには時に不正確な情報に基づくコメントが含まれます。
この記事では、日本ビジネスシステムズへの就活を検討している人に向けて、「やばい」といわれる理由と実態を示すデータなどを、プロの分析も加えて説明します。
1分でわかる日本ビジネスシステムズ
日本ビジネスシステムズとは
1990年に創業すると7年後には米国法人を設立。マイクロソフト社との関係を強化し同社との取引・協業を強みに事業を拡大。2022年東証スタンダード市場上場、2025年同プライム市場に上場。企業のIT課題とビジネス課題の解決に取り組み、ITコンサルティングから導入、保守運用、利活用まで包括したソリューション提供とマネージドサービスを提供。
| 会社名 | 日本ビジネスシステムズ(Japan Business Systems,Inc.) |
| 従業員数(連結) | 2,839名(2025年9月30日現在) |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| 主な事業 | 企業のIT構築・運用支援を、クラウドとオンプレミス(※1)との両面から提供。エンジニアリングサービスに加え、クラウド製品のライセンスやIT事務機器の提供をおこなうライセンス・物販事業も手掛ける。ほかに戦略事業としてAIサービスも強化。 |
| 売上高(連結) | 1,725億8,000万円(2025年9月30日現在) |
| 営業利益(同) | 75億9,400万円(同期間) |
| 企業HP | https://www.jbs.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://recruit.jbs.co.jp/?_fsi=kFxXJeOM |
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オンプレミス
サーバーやネットワーク機器などを使用者の設備内に設置して運用するシステム利用形態のこと
「日本ビジネスシステムズはやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く
「日本ビジネスシステムズはやばい」と言われる5つの理由
「日本ビジネスシステムズはやばい」といわれるのはなぜなのか。客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントの説明も参考にしながら、自分と対象企業との相性をチェックしてみてください。
➀パワハラ体質だといわれるから
一部幹部にパワハラ体質があったのは事実です。2025年1月に当時の取締役専務執行役員が会社から辞任勧告を受けて解任されました。
辞任勧告の理由は、取引先社員に対する不適切な言動があったからで(※2)、誹謗中傷行為を含むいわゆるパワハラがあったと報告されています。
社内で常態化していたかどうかは不明ですが、パワハラが指摘される理由の一つになっていた可能性はあります。
ちなみにパワハラに限らず、コンプライアンス上の問題を指摘するための内部通報窓口「JBSホットライン」には2022年9月期に14件、2023年9月期に19件の情報が寄せられており(※3)、同制度が問題の予防・防止に一定の役割を果たしていると考えられます。
※2 企業HP プレスリリース
※3 企業HP 非財務データ
プロのアドバイザーはこう分析!パワハラの原因は会社の環境にある?
オーナー企業、同族企業とパワハラの間に直接の因果関係はありませんが、組織文化はトップの価値観に左右されやすい傾向があります。
パワハラ体質の本質は、問題を見逃す、あるいは気づかない環境にあると言えます。経営陣に認識がなければ社内の振る舞いが外部に波及し、本人が強いリーダーシップと勘違いするケースも生じます。
問題発生は改善の兆しととらえることもできる
今回のように問題が社外へ露呈することは、説明責任や迅速な改善をうながす契機となります。
重要なのは、個別の不祥事は企業文化の暴露であるということです。組織の自浄作用が機能しているかは内部通報や処分の透明性から判断できます。
パワハラ問題が公になった大きな組織ではガバナンス強化が進み、職場環境が改善するケースも少なくありません。
➁給料が安く退職金もないから
給与水準が低いとは断言できないでしょう。平均年間給与は2020年9月期から2025年9月期まで5年連続で上がっており、641万8,000円(※4)となっています。
ただし上場企業の平均年間給与は671万1,000円(※5)なので、平均はやや下回ります。また東証プライム市場の企業平均は763万3,000(※6)であるため、その中では見劣りします。
同業の独立系SIerと比較すると、最大手の大塚商会(2024年12月期992万6,000円)やTIS(2025年3月期806万7,000円)などには差を付けられています(※7)。
さらに退職金については、貸借対照表に退職金引き当ての項目がないことから、やはり制度はないと考えられます。
※4 企業HP 各年度有価証券報告書
※5 帝国データバンク 上場企業「年間平均給与」動向調査
※6 帝国データバンク 上場企業「年間平均給与」動向調査
※7 大塚商会 有価証券報告書
アドバイザーのリアル・アドバイス!退職金制度は当たり前ではなくなっている?
大企業でも従来の退職一時金に代わり、企業型確定拠出年金(DC)を導入するケースが増えています。
売上一千億円規模の企業でも「退職金なし・企業型DCあり」という設計は珍しくありません。
長期的な視点で十分な額が貰えるかを見ておこう
就活生にとって重要なのは名称ではなく、会社が老後資金としていくら積み立ててくれるかという実態です。
DCは形を変えた退職給付ととらえ、月々の拠出額や上乗せの可否などの条件を確認しましょう。
また、退職給付だけでなく年収、昇給、手当、得られる経験などを総合的に比較すべきです。
退職金が薄くても給与が高い会社もあります。自身のキャリアやライフプランに合わせ、NISA等との組み合わせも視野に入れた設計が求められます。
➂若手の離職率が高いから
会社全体の離職率は2020年9月期の7.9%から2023年9月期には5.9%まで下がっており(※8)、全体の離職率は他社と比べてとくに高いとはいえません(※9)。
平均勤続年数も年々上がっており、2025年9月期は7.7年(※10)となっているので、際立って短いわけではありません(※11)。
気になるのは若手に関する離職率です。公表されている従業員における20代比率や、各年度の新卒試採用者数(基本的に20代と想定される)、次年度の20代比率などのデータ(※12)から試算すると、20代従業員の離職率が3割前後にのぼる年もあると推計されます。
※8 企業HP 非財務データ
※9 厚生労働省「令和6年度雇用動向調査結果の概況」
※10 企業HP 2025年9月期有価証券報告書
※11 労働政策研究・研修機構 統計情報
※12 企業HP 非財務データ
プロのアドバイザーはこう分析!高い離職率の原因は入社前後のギャップ
JBSはマイクロソフトとの強力なパートナーシップを武器に、プライム市場へ上場した勢いのある独立系SIerです。
一方で、20代の離職率が約3割と高めな背景には、理想と現実のギャップ、そして市場価値の向上という二面性があります。
まず、虎ノ門ヒルズのオフィスや最先端クラウドという華やかなイメージに対し、実態は泥臭い実装や運用の積み重ねであり、そのギャップに戸惑う若手は少なくありません。
自分の市場価値を上げたい人には向いている
しかし、JBSでAzure等の実務を数年経験すれば市場価値は確実に上がります。
DX推進企業や外資コンサル等から引く手あまたとなるため、より好条件な他社へ「卒業」していくポジティブな離職も相当数含まれているのが、同社のリアルな構造と言えます。
④忙しく残業時間が多そうだから
公表されている2020年9月期から2023年9月期までの正社員平均残業時間は、6.65時間、10.29時間、8.82時間、8.48時間で、全国の所定外労働時間は13.5時間と比べても多くはありません(※13)(※14)。
従業員の満足度を示すエンゲージメントに関して、調査に基づくエンゲージメントスコアは71で14段階評価の上から3番目(※15)となっています。残業が多すぎればスコアも下がる傾向があり、いわれるような過酷な残業実態はないと思われます。
一方で自社の労務管理に関するリスクについて、システム開発プロジェクトにおいては「予想外のトラブルや開発環境の変化が生じた場合、品質や納期を遵守するため一時的に長時間労働が発生することがある」(※16)と認めています。
※13 企業HP 非財務データ
※14 厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年分結果速報
※15 企業HP 2025年9月期有価証券報告書
※16 企業HP 2025年9月期有価証券報告書
プロのアドバイザーならこうアドバイス!多忙な時期を成長と考えられるかが分かれ目
SIerの仕事はプロジェクト単位で進むため、案件やフェーズにより業務量が大きく変動します。
これを「市場価値を高める修行」ととらえるか、「安定」を重視するかで企業選びが分かれます。
導入前やトラブル時は一時的に多忙になりますが、特に独立系は多様な案件を扱うため業務量の差が出やすいのが特徴です。
仕事において優先したいことと照らし合わせよう
一方、ユーザー系やメーカー系は顧客が固定され、リズムが安定しやすい傾向にあります。また、PMや上流工程は責任が重く残業が増えがちです。
自分の優先順位が「技術習得」か「安定」かを明確にし、タイプを見極めることが長く続ける秘訣です。自分の姿勢と仕事への適性で判断することをおすすめします。
⑤SIerはオワコンだと感じるから
AIの台頭によりエンジニアに求められる仕事の量と質が変化していることもあって、「SIerはオワコンだ」という声は少なくありません。しかし顧客対象となる企業のIT投資は増す傾向にあり、SIerのサービスニーズはむしろ高まると考えられます。
国内企業のIT投資は年々増加中です。2024年度は15兆8,200億円で、2025年度には16兆7,300億円まで増えたと見られ、2027年度にはさらに17兆9,300億円まで拡大すると予測されています(※17)。
| 年度 | 国内民間IT市場規模推移・予測 |
|---|---|
| 2021年度 | 13兆5,500億円 |
| 2022年度 | 14兆1,600億円 |
| 2023年度 | 15兆500億円 |
| 2024年度 | 15兆8,200億円 |
| 2025年度 | 16兆7,300億円 |
| 2026年度(予測) | 17兆3,900億円 |
| 2027年度(予測) | 17兆9300億円 |
業界一括りでオワコンとすることにも無理があります。日本ビジネスシステムズは上場以来、増収増益で2025年9月期も売上高が22.5%増、経常利益が60.7%増となっています。
今後についても、主力事業であるクラウドインテグレーション事業とクラウドサービス事業がいずれも、2026年9月期も2ケタ成長を継続すると予想されます。さらに中期経営計画では2028年9月期に売上高1,900億円の目標を掲げています(※18)。
※17 矢野経済研究所 国内企業の投資に関する調査(2025年)
※18 企業HP 2025年9月期決算説明資料
アドバイザーのリアル・アドバイス!「人間として何ができるか」が将来性を決める
「SIerオワコン説」の本質は業界の終焉ではなく稼ぎ方のルール変更にあります。
生成AIの台頭で「人月商売」は限界を迎え、効率化が売上を減らす構造的矛盾に直面しています。
今後は「どう作るか」をAIに任せ、人間は「何を、なぜ作るか」という価値定義やコンサル能力へシフトせねばなりません。
自主的に情報を扱う姿勢を身に付けよう
市場は変革をリードする「伴走者」か、淘汰される「労働集約モデル」かに二極化します。日本ビジネスシステムズについても、噂に惑わされず公表データ等を参考に冷静に判断しましょう。
自ら情報収集し、自分の頭で判定する姿勢が重要です。受託という枠組みから脱皮し、真の価値を提供できるかが今、試されています。
日本ビジネスシステムズはやばいといわれる根拠を見極め冷静に判断しよう
職場の雰囲気やパワハラ不安、待遇などに不安はつきものですが、口コミだけでなく公表データや信頼のおける公的データを参考にすると、企業の本当の姿に近づけます。情報収集の努力を怠らず、自分の頭で考え判定することが重要です。
アドバイザーのリアル・アドバイス!自ら成長を望むかどうかで適性がわかる
JBSを検討するなら、成長機会を自ら「奪い取る」覚悟があるかを自問してください。急成長しプライム上場した企業として要求水準は高いです。
「やばい」と言われる要因は、組織のスピード感と個人の安定欲求のズレにあります。退職金がない等のデメリットは、流動性の高いプロ集団であることの裏返しというトレードオフを理解しましょう。
成長志向のある人には適切な環境と言える
ここは居座る場ではなく、市場で戦う武器を磨く場です。
独立系ゆえの自由な提案には、自ら数字を上げる責任も伴います。会社に守られたい人には厳しい環境ですが、数年で市場価値を高めたい人には最高の挑戦の場です。
この厳しさをワクワクして受け入れられるかが適性の物差しとなります。応援しています。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は60000件超。30年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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