本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「ボードルアは仕事がキツイし残業も多い」
「仕事に追われて自分磨きの余裕がない」
ボードルアは、業績好調な独立系のシステムインテグレーターですが、仕事が自分の成長につながるかどうかや、働きやすさやに関してさまざまな意見が聞かれます。そのような声や評価の妥当性を検証してみましょう。
この記事では、客観的なデータをベースとする専門家の意見を、ボードルアへの就活を検討している人たちに提供します。
1分でわかるボードルア
1分でわかるボードルア
IT技術者不足が「2007年問題」として騒がれたこの年にITベンチャー企業として設立。ネットワークインフラ技術を強みにクラウドやITセキュリティなどの先端技術分野で事業を展開。2021年に東証マザーズに上場。2025年3月に東証プライム市場へ移行。上場前から積極的にエンジニア要員を増強しており、毎年100人以上の新卒採用も継続し業績を拡大。2023年からは本社を麻布台ヒルズに置く。
| 会社名 | ボードルア(baudroie, inc.) |
| 従業員数(連結) | 2,238人(2025年2月現在) |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| 主な事業 | ITサービス利用の際に必要となる、システムを動作させるためのサーバー、システムに接続するためのネットワーク、通信・情報を守るセキュリティといったITインフラのコンサルティングから設計構築の支援、運用保守などまでの機能を、各種事業会社に提供。主な顧客はIT通信業、金融業、流通業、医療、官公庁など。 |
| 資本金 | 6億3,69万円(2025年2月期) |
| 経常利益 | 22億591万円(2025年6月期) |
| 企業HP | https://www.baudroie.jp |
| 新卒採用HP | https://www.baudroie.jp/recruit |
「ボードルアはやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く
「ボードルアはやばい」と言われる5つの理由
どのような理由によって「ボードルアはやばい」とされるのか。客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントの説明も加えましたので、対象企業と自分との適性を判断する参考材料として役立ててください。
①給料が安そうだから
出発点となる初任給は大卒で21万5000円(※1)。大卒初任給の平均21万2,500円(※2)とほぼ同じです。
また会社が公表しているモデル年収は入社3年目で300~350万円(※3)。ちなみに1年間以上在籍した社員の平均年間給与(残業代含む)は409万円(※4)で、こちらも高くはありません。
これには理由があります。社員の99%がIT未経験で入社しているため、スキルレベルが一定に達するまで、最初のうちは給料が安めに抑えられており昇給も最初の3年間は全員一律の固定昇給の仕組みだからです(※5)。
人件費が比較的安く抑えられる若手のITエンジニアを育てることで、ベテランエンジニアを沢山抱える同業他社より競争力を高めようという戦略が垣間見えることも、「給料が安い」という評価に結び付けられてしまう一因かも知れません。
※1 企業HP 採用情報
※2 厚生労働省 令和5年3月 新規学校卒業者の求人初任給調査結果
※3 企業HP 採用情報
※4 企業HP 有価証券報告書
※5 企業HP Baudroe’sLounge
②年収の増加が期待できるかわからないから
会社にとっての人材への投資期間である3年間を終え4年目に入ると評価制度が変わります(※6)。4年目以降は仕事の成果が反映されるようになり、頑張った分は給料増額となって返ってくるフェーズに変化すると、会社側では説明しています。
会社が示すモデル年収も5年目で400~450万円、8年目以降は500万円以上(※7)と変化していきます。
また会社への貢献度が高いと認められた4年目以降の社員には株式報酬の形で、いわゆるストックオプションが提供され、入社5年目以上の社員の7~8割にこの権利が与えられているそうです(※6)。
※6 企業HP Baudroie Lounge
※7 企業HP 採用情報
※8 企業HP Boudroie Lounge
プロのアドバイザーはこう分析!ボードルアの給与は社員思いの仕組みが含まれている
初任給の極端な引き上げができる企業は実は限られています。報道に惑わされて形だけを模倣した企業は先輩社員のモチベーションを下げてしまい、中核的な社員の信頼を失ったり、人材流出を加速させてしまったりする事例も多く見られます。
その点、戦力となるまでの3年間は給料を抑えるというボードルアの考え方は合理的であり、その間しっかり教育投資もおこなうので、社員にとってもフェアな考え方と言えるでしょう。
ストックオプションの制度も会社の価値を表している
ストックオプションの考え方も妥当なものです。会社の業績向上によって貢献度の高い社員が株価上昇の恩恵を受けられ、会社の経費負担も抑えられるこの方法は、急成長して上場できた企業の特権のようなものです。
もちろん、株価が下がれば恩恵は受けられませんが、その場合でも株は売らずに保有していれば良く、皆で業績を上げられれば再び株価を上げることもできるでしょう。
会社が事業を継続している以上、社員にとって損になる場面はほとんどありません。
言い換えれば、個人がストックオプションで高い利益を得たいならば会社の価値を高めることが必要なので、制度をしっかり浸透することができれば長期的に個人と組織の目標を合わせることができ、エンゲージメントの強化につながります。
③「IT未経験者でも大丈夫」が信じられないから
新入社員の99.2%がIT業界未経験者で、文系出身者比率もかなり高く83%とのこと(※9)。それでも会社が成り立っているのは、教育制度に力を入れて未経験者をITエンジニアに育てる体制を整えているからだと考えられます。
内定後の入社前研修でネットワークエンジニアへの入門資格、CCNA取得を目指し、入社1年目、2年目の社員にはOJTをしながら社内勉強会「技術カレッジ」でスキルを身に付ける機会を用意。入社1、2年目社員の平均研修時間は111.3時間(※9)となっています。
その後も、資格取得をサポートするイベント「資格取得マラソン」や外部のプロトレーナーによる「1on1コーチング」のチャンスも得られます。やる気さえあれば「未経験者でも大丈夫」は現実になります。
プロのアドバイザーはこう分析!9割以上が未経験! 十分な育成制度が整っている
ボードルア最大の特徴は、新入社員の99.2%がIT未経験という点です。この中には新卒社員が含まれている可能性も踏まえて解釈する必要がありますが、それでもこの数値は驚異的です。
これは徹底した「育成前提」の採用戦略です。入社1~2年目の社員に対し平均111.3時間の研修時間を確保しています。このように教育体制の充実に注力している点は高く評価できます。
特筆すべきは、この未経験者の多くが文系出身者である点です。この構成からも、育成を前提としたポテンシャルを重視していると考えられます。
文系出身者が持つ多角的な視点や知識の幅は、十分に活かせるでしょう。一方で、技術的な基礎や論理的思考などは、入社後の研修で十分に補完できます。
どんな人でも輝ける仕組みのうえで働ける
もちろん理系・文系にかかわらず、趣味が多彩だったり、一芸に秀でていたりすると有利です。そこにITスキルという「道具」が加われば、クライアントの課題解決において大きな助けになります。
同社の教育システムは、技術を補うだけでなく、文系の人も本来の強みを活かして活躍できる仕組みだといえるでしょう。
④大量採用は新入社員が定着しないからだと思うから
ボードルアは大量採用を続けながら業績を伸ばし、2021年の上場後も毎年100名以上の採用を継続しています。
ただしこれは歩留まりの悪さ、定着率の低さを前提とした大量採用ではなく、業績拡大に伴うものだと考えられます。18期連続増収増益で上場後も毎年売上高を2割前後も伸ばしているからです。
従業員数は2021年2月から4年で倍増して2025年2月には1,000人を超え、同年11月には約1,300人とハイペースで増員しています(※10)。これだけの増員を果たしている事実は、定着率の高さを物語っています。
| 2021年2月 | 523人 |
| 2022年2月 | 653人 |
| 2023年2月 | 771人 |
| 2024年2月 | 886人 |
| 2025年2月 | 1,087人 |
※10 企業HP 有価証券報告書
プロのアドバイザーはこう分析!大量採用には人材を育てるうえでの落とし穴がある
ボードルアが推進する未経験者の大量採用は、旺盛なIT需要に対し「供給力」で応える合理的な戦略ですが、組織の急拡大は現場のマネジメント機能を著しく希薄化させています。
平均年齢28歳という若さゆえ、入社数年の若手がさらに経験の浅い新人を教える連鎖が常態化しており、中長期的な視点を持つリーダーが育ちにくい土壌になっています。
また、短期間での戦力化を優先するあまり、現場では運用・監視といったマニュアル業務の比重が高まり、エンジニアとしての成長実感を阻害している実情があります。定着率を巡る懸念も、実はビジネスモデルに内包された構造的な帰結です。
エンジニアが育たない危険性も想定する必要がある
平均勤続年数3.5年という事実は、3年間の「教育投資」を経てスキルを得た社員が、自社の給与体系と市場価値の乖離に直面し、他社へ流出する「卒業」のメカニズムを示唆しています。
低賃金でコストを回収するサイクルを優先する限り、組織に高度な知見は蓄積されず、現場の空洞化は避けられません。
こうした「人的資源の消費」に依存する成長モデルは、将来的にAIが単純作業を代替する時代が到来した際、組織の存立基盤を揺るがす甚大な反動を招くリスクを孕んでいます。
⑤社員同士の仲が良い社風がわずらわしそうだから
ボードルアが手掛けるITインフラサービスの領域では、仕事をするに当たってチームワークが重視されることもあって「社員同士がつながることを大事にするカルチャーがある」とのこと。
月1回のレクリエーションイベントの他に、年1回の社員旅行、社員総会、総会での資格合格者の表彰式が実施されています。さらに部活やサークル活動も活発で、グループ会社対抗の麻雀大会やeスポーツ大会もあって会社生活は賑やかです。
企業戦略の一環としても社員同士のコミュニケーション活性化を図っていて、仕事や会社とプライベートは切り離したい人が、わずらわしさを感じても不思議はありません。
アドバイザーからワンポイントアドバイス柔軟性と成長志向のある人材を待っている
成長のスピードが速く、賃金や教育の考え方などを見ても、合理的な経営をしている若い会社であることが見て取れます。
プライム上場企業とはいえ、社風はベンチャー気質が残っており、業種の特徴からみても、日々刻々と変わる変化への適応を良しとする文化があるものと思われます。
このような企業に合うのは、スキルアップに貪欲で自ら変わろうとすることができ、自ら考えて行動できる主体的な人です。
文系や未経験の採用が多いことからも、現時点の保有能力より、知らないことにでも果敢に取り組める人や、入社後の成長性に期待できるような意欲の高い人を評価する傾向が強いと考えられます。
安定志向で受け身な人はミスマッチの可能性が高い
逆に、変化を嫌い安定を望む人には最も合わない企業と言えるでしょう。仕事の内容よりも給与や休日休暇、福利厚生を重視するような人、指示待ち型と判断されるような人も採用の場面では敬遠されると思います。
どんな大企業も優良企業も、成長途上のベンチャーの段階では現場は多忙であり、要求される仕事が多い時期を社員の努力でクリアしてきています。
それを「やばい」と考えるのはそれぞれの価値観次第ですが、まったくリスクを取らずにこのような急成長ができるということも現実的にはあり得ません。
社員同士の連帯感はともに苦労を乗り越えて成長しているからこそ体感できる面もあるでしょう。自分の価値観に照らして「その仲間になれるか」を多角的に検討してみてください。
ボードルアの特徴を短所or長所と評価するかは自分次第
調べてみると「ボードルアはやばい」という噂のいくつかは、会社側も一部の事実を認める内容がありました。とはいえ同じ事実でもプラスに見えたりマイナスに見えたり、両面があるのが現実。どちらに重きを置くのかは自分で判断するしかありません。
そのためにもこの記事やプロの見解を参考にしてみて下さい。
アドバイザーのリアル・アドバイス!人材のバランスが崩れると成長は鈍くなる可能性あり
未経験人材を大量に採用し、一定水準のITエンジニアへ育成していくモデルは、慢性的な人材不足が続くITインフラ領域においては合理性のある戦略です。
特にネットワークやクラウド、セキュリティといった分野は需要が安定しており、教育投資をおこないながら人員を拡大することで売上成長につなげやすい構造があります。
一方で、このモデルは「採用・育成・案件確保」のバランスが崩れると成長が鈍化するリスクも抱えています。
採用数に対して純増数が乖離している現状は、育てた人材が一定のスキルを得た段階で、条件の良い上位工程や他社へ流動しているのかもしれません。
人材育成への向き合い方が企業の鍵を握る
今後の持続性を考えるうえでは、育成した人材をどの領域で活用し、どこまで付加価値を高められるかがカギになります。単なる人員拡大型から、専門性や高付加価値領域への展開が進むかどうかがポイントです。
拡大を前提としたビジネスモデルはいずれ転換点を迎えます。実際に、環境変化への対応が遅れた結果、構造改革を繰り返している企業も少なくありません。時代にマッチした方向転換ができる人材の育成が課題となるでしょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は60000件超。30年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細