オービックはやばいのか?「高年収だが激務」は本当かプロが読み解く

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  • 国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー

    Yukio Minami○理系大学院修了後、SEとして医療系システムに従事。私立高校に転職後は進路指導やキャリア教育に携わり、カウンセリングなどを通して生徒一人ひとりに合わせた支援をおこなっている

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  • キャリアコンサルタント

    Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味

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  • 国家資格キャリアコンサルタント

    Takuya Takahashi〇人材系スタートアップ企業で採用支援・D&I推進に従事。その後、SIer企業でエンジニア兼研修講師として新人育成に参画。現在はNPOで若者の居場所支援やケアに取り組む

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本企画について

「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。

「オービックは高年収だが激務」「とくに若手の間は残業も多い」

オービックは業績好調な独立系システムインテグレーターとして、社員の高年収で知られる一方で、仕事の厳しさを指摘する口コミも目にします。では実際のところはどうなのか、プロの視点で検証してみましょう。

この記事では、オービックへの就活を検討している人たちに向けて、「やばい」「やめとけ」といわれる理由と、企業の実態について、プロの意見を交えつつ解説します。

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1分でわかるオービック

オービックとは

1968年に会計機等の事務機器販売を目的として大阪で会社設立。1971年東京支店(現・東京本社を開設し、1974年には商号をオービックに変更。

会計や人事、給与、販売、生産等を統合する管理システムを自社開発し各企業に提供すると共に、コンサルティングから開発・サポートまでワンストップで対応。独立系システムインテグレーターとして確固たる地位を築いている。

1998年東証二部上場。2000年東証一部上場。2022年東証プライム市場に移行。2023年には連結売上高1000億円を突破。

会社名オービック(OBIC Co., Ltd.)
従業員数(連結)連結2,189人(2025年3月現在) 
単体1,969人(同期間)
本社所在地東京都中央区
主な事業システムインテグレーション事業として、自社開発の統合業務ソフトウェア「OBIC7シリーズ」の提供を中心に、コンサルティングから設計・開発までを支援。導入後の保守・運用・管理もシステムサポート事業として展開。ほかにグループ会社が中小企業向けのソフトウェア「勘定奉行」シリーズの提供や、ハードウェア販売などを手掛けている。
売上高(連結)1,212億4,000万円(前年同期比8.64%増)(2025年3月期)
営業利益(同)783億7,800万円(同%1.05増)(同期間)
企業HPhttps://www.obic.co.jp
採用HPhttps://www.obic.co.jp/recruit
企業情報

「オービックはやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く

「オービックはやばい」といわれる理由を客観的なデータから紐解きます。キャリアコンサルタントのプロ目線の説明もあるので、対象企業が自分にマッチするのかを考えながら読み進めてください。

①激務だし残業も多いといわれるから

オービックの1カ月当たりの平均残業時間は23.7時間(※1)です。厚生労働省・毎月勤労統計によると全国の所定外労働時間の平均が13.5時間(※2)なので、残業が多いのは間違いありません。

しかし経営層が主導して夜9時以降の残業を原則禁止とし、組織で長時間労働の是正を図るなど、会社も改善に取り組んでいます。

激務かどうかは働く側の受け取り方にもよりますが、平均勤続年数が13年で、5年間の平均離職率も4%です(※3)。厚生労働省・雇用動向調査の正社員等一般労働者の平均が約12%(※4)なので、離職率は低く働く側も現状について少なくとも過酷すぎるとは考えていないことがうかがえます

※1 企業HP 人的資本経営
※2 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
※3 企業HP 健康経営への取り組み
※4 厚労省 令和6年雇用動向調査結果の概況

プロのアドバイザーはこう分析!オービックは労働時間に対して高収入が見込める

国家資格キャリアコンサルタント

高橋 拓也

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同社の残業時間は、IT業界(SIer)が20~30時間程度と言われているので、業界内では平均的です。

全国平均比では長いですが、同業他社には月30時間を超える企業も少なくなく、毎日1時間強の残業なので、激務というほどの水準ではないです。

平均年収が1,000万円超という高い給与水準のことを踏まえると、時間単価は高額であり、給与面においては社員の満足度は高そうです。

短時間で成果を出すことが求められる

また、経営層主導の「夜9時以降の残業禁止」という仕組みは、ワークライフバランスの観点で働く側には安心材料となり得ます。

「帰りづらい空気」や「残業しなければという空気」を全社方針で強制的に無くすので、深夜残業という身体的負荷がかかることが原則ない、という心理的安全が確保されます。

ただし、仕事量は減らないので、限られた時間で成果を出さなければ、という心理的負荷はかかります。私の経験からも、終業時間が決まっている環境では長時間の集中力を要します。

深夜残業の身体的なキツさはないですが、高収入に見合う高い生産性が求められる、という点ではストイックかもしれません。

➁とくに若手の仕事がハードだと聞くから

オービックは100%新卒採用で「新卒主義」を掲げています。全員がいわば素人からのスタートなので、最初のうちは仕事の現場で苦労するのは当然といえば当然です

もちろん研修等で学び指導を受けますが、学んだ内容を咀嚼して自分のものにするまでは時間がかかります。

アドバイザーのリアル・アドバイス!オービックの「新卒主義」は業界でも珍しい

国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー

南 幸雄

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オービックの「新卒主義」には高い合理性と、同時に見逃せないリスクの両面を感じます。

中途採用が当たり前のIT業界で、全社員を新卒から育てる企業は極めて稀です。同じ土壌で育った組織は意思疎通の速さという武器を持ちますが、一方で異なる意見を口にしづらい空気が生まれないか、元SEとしても少し気になります。

教育現場での経験から言えば、この環境を「守られている安心感」ととらて成長の糧にできるのは、周囲と対話し、素直に助けを求められる人です。逆に悩みを一人で抱えがちな人にとっては、組織の結束がかえって窮屈に映るかもしれません。

過去の経験が自分の動き方を導いてくれる

迷ったときは、これまでのゼミやアルバイト、プロジェクト活動など、何らかのチームで動いたときの居心地を鏡にしてみてください。密なつながりに支えられてきたか、自分なりの自由度を求めてきたかなどあると思います。

その原体験を振り返ることが、あなたが自立して歩み出すための最も誠実な「物差し」になるはずです。この回答が、納得感ある一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

➂家族主義というのが暑苦しそうだから

オービックは家族主義も掲げています。社員だけでなく家族も参加するファミリー運動会を毎年開催するほか、クリスマスには全社員にクリスマスケーキが配られます。毎朝、皆でラジオ体操をするのも特徴です。

会社側は、コミュニケーションを重視した風通しの良い企業風土がビジネス上での結束力にもつながっているとしています

とはいえ、そうした社風は個人によって合う、合わないがあるので、じっくり考えてみる必要があるかもしれません。

プロのアドバイザーはこう分析!家族主義が会社と社員をつないでいる

キャリアコンサルタント

高尾 有沙

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最近、エンゲージメント向上を目的に社内イベントを復活させる企業が増えていますが、オービックの「家族主義」はその次元をある種超えた、徹底した一貫性が特徴です。

ラジオ体操や運動会、クリスマスケーキといった内容は一見「昭和的」に映るかもしれませんが、注目すべきは約4%という驚異的に低い離職率と、営業利益率60%超という圧倒的な実績の両立です。

この社風は単なる精神論ではなく、「社員を大切にし、結束力を高めることが、結果として顧客への手厚いサポートと、ひいては高収益につながる」という、確立された経営戦略として機能しています。

企業文化へのマッチ度が高収入にも影響する

個人主義を徹底したい人には「暑苦しい」と感じるでしょうが、チームの一体感や「会社が自分を守ってくれる」という安心感を求める人にとっては、現代では稀有なほど強固なプラットフォームといえます。

今の時代、ここまで「色」がはっきりしているのは、むしろミスマッチを防ぐための強力なフィルターです。この文化を「これがあるから頑張れる」とポジティブに変換できる人こそが、30代で年収1,000万円超という結果を掴み取っているのだと思います。

④入社後の研修が厳しそうだから

人材の成長こそが会社の成長との考えが会社の人材戦略の根底にあり、研修や実務を通じて一からスキルと人間力を備えた人材を育成しています

それだけに新人研修は入念で、まずは全職共通の入門研修としてビジネスマナーや簿記、コンピューターの基礎知識を習得します。その後、財務分析やIT分野の研修を経て職種ごとに専門知識を学ぶ研修へステップアップします。

集合研修では約200人の社員が講師役を務め、約6カ月間にわたりオービック独自の知識やノウハウを継承します。

こうした研修に加えて現場でのOJTでも鍛えられる日々は、社会人1年生にとっては確かにハードな毎日ということもできます(※3)。

※3 企業HP 人財育成制度

⑤年収が非常に高いから

オービックは社員の平均年齢が35.9歳で平均年収は1,103万円(※4)、つまり30代で年収1,000万円が当たり前ということです。初任給も35万円(※5)と高水準になっています。

独立系システムインテグレーターの中でもトップクラスの高年収です。しかしこれは業績の好調さと収益率の高さが反映されたもので、不自然な高年収ではありません。

オービックは31期連続で増益しており、売上高に対する営業利益率は64.6%と驚異的な水準を実現しています。社員に十分な報酬を配分するだけの収益力があるわけです。

※4 企業HP 有価証券報告書
※5 企業HP 募集要項

アドバイザーからワンポイントアドバイス社内完結と効率化により高収入が実現している

国家資格キャリアコンサルタント

高橋 拓也

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営業利益率60%超という数字は、かなりの衝撃です。

社員の給与や経費をすべて払った後に売上の6割が利益として残り、そこからさらに賞与を還元しています。調べたところ、年収1,000万円の内、賞与は2割程度だそうです。

IR情報や経営者メッセージ等を読むと、その高収益の実現には「自前主義」と「徹底した効率化」が関係していそうです。

これをキャリアの視点でとらえると、外注を使わない「自前主義」は、顧客と深くかかわるやりがいを得られますが、代わりのいない全責任を背負うということでもあります。

また、これほどの高給を払いながら利益を残せるのは、低収益事業も時間の無駄も許さない「徹底した効率化」があるからです。

これは残業禁止などで私生活を守れるメリットがある反面、勤務時間中は常に集中し続けることを求められる、緊張感との戦いでもあります。

収入だけで決めるのはNG! 内部事情も含めて考えよう

同社を志望するなら、高年収という華やかな部分だけを見るのは危険です。その裏にある高い合理性を心地良い刺激ととらえるか、それとも重圧で息苦しいと感じるか、その見極めは必須です。

噂の元を見極めて良い面にも目を向けてみよう

調べてみると「オービックはやばい」という噂は、新人を鍛え上げてくれる環境や高年収、風通しの良い職場環境の裏返しの面がありました。それぞれのやばい面だけに注目してしまうのではなく、良い面にも目を向け、仕事選びの参考にしましょう。

アドバイザーからワンポイントアドバイス組織文化を学びとして受け入れてみよう

国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー

南 幸雄

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オービックの驚異的な収益力は、全員が同じ「型」を徹底的に磨くことで生まれる組織の効率性から来ています。元SEの私から見ても、この同質性が生む生産性の高さは合理的で、だからこそ営業利益率60%超という数字が実現できているのだと感じます。

ここに向く人は、まず「守破離」の「守」を大切にできる人です。独自の教育体制を、自分を縛るものではなく、プロの土台を身体に染み込ませる貴重な期間ととらえられる素直さが求められます。

安心するか息苦しいかは過去の経験から判断しよう

また「家族主義」を活かせるかは、本人の対話力次第です。周囲に相談し、自分から助けを求められる人にとって、この環境は最強の安心基盤になります。

一方、一人で抱え込みがちな人には、密なつながりが息苦しさに変わるリスクもあります。

判断のヒントとして、ゼミやアルバイト、プロジェクト活動など「チームで動いた経験」を振り返ってみてください。組織の目標への貢献に喜びを感じてきたなら、この環境は大きな成長を約束してくれるはずです。あなたの納得ある決断を応援しています。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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