
高収入=仕事が楽しい?
自分で会社を経営するようになって5年が経過したころ、久しぶりに会社員時代の仲間たちと飲みに行った時のこと。久しぶりの再会をうれしく思って当時の話で盛り上がり、楽しい時間が続きました。
話に熱が帯び始めた21時を過ぎた時間帯から、どうも様子がおかしくなってきたのです。
「あの役員、本当に変わらないよね。」
「この業界の〇〇は楽勝だよ。」
「会社の求めることはつらいけど稼げるから良いよね。」
わたしが在籍していた7~8年前と会話の内容がさほど変わらないことに違和感を覚えました。
思わず聞いてしまいました。
「数年前と会話が変わってないけど、仕事楽しい?」
皆、仕事は楽しくないけど、良い給料をもらえているから納得感を持たせようと必死になっているように思えました。
本コラムのコンセプト
生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。
困難を乗り越えれば、仕事は楽しくなるのか
「困難を乗り越えれば、仕事は楽しくなる」
このような言葉を耳にしたことがある人もいると思います。人生において、必要な困難はあることは確かですが、仕事の楽しさが困難ありきというのはおかしいような気がしています。
わたしの大学時代の友人に、日本トップの総合商社に入社し、外資系に転職、活躍した後、起業した人がいます。わたしのような者からすると、彼のように誰が見ても輝かしいキャリアを歩み、今は社長として活躍している人は常に仕事を楽しんでいるのだろうと思ってしまいます。
彼とランチに行くと、毎回「仕事、楽しそうで羨ましいよ。」と相談されます。
国内外でトップオブトップの企業で働き、優秀な猛者たちとの競争を乗り越え、クライアントとの折衝における困難に立ち向かってきたが、「スキルと忍耐力は身についたけど、それが楽しさかというと違うんじゃないかな。」と彼は言っていました。
太陽の下で見つけた楽しさ
わたしは現在、千葉県香取市で事業所を構えています。周りは田んぼに囲まれていて、この記事を執筆している4月下旬は米作りのはじまりの時期、田んぼに水が張られ、小さな緑色の苗が水面から顔を出している光景が辺り一面に広がっています。
近所の30代の農家さんと話しているときのことです。
「身体は疲れるけど、毎日楽しくて仕方がない。この時期は特に働いても働いても、遊んでいるような感覚なんだ。」
耳を疑うような、でもとても心躍る言葉に出会いました。
20代は東京のビル群のなかで働き、活躍。高収入を得ていたけど、向き合っていたのは資本経済と稼ぎであり、外側にある世界にばかり気を取られていたようです。
ふと、友人の誘いを受けて、香取市の田植え体験に出かけたときに、大人も子供も屈託なく笑い、協力し合っている姿に物凄く魅了されたといいます。
メンタルモデルを知る
それぞれのメンタルモデル
人や環境によって仕事は楽しくもなるし、楽しくなくもなる、と思われがちです。わたしはそうは思っていません。
そこで本日、皆様に知っていただきたい言葉があります。それはメンタルモデルという言葉です。
メンタルモデルとは
簡単に説明しますと、メンタルモデルとは「自分が無意識に気にしてしまうこと」です。
私たちは幼少期、学生期にいろいろな体験や学習をします。それらの体験や学習が自分自身の当たり前をつくりあげています。たとえば、価値観や思考、実世界に対しての思い込みです。
学生期に「仕事は楽しくない」と言い続けている人が周りにたくさんいると、あなたが大人になったときに「仕事は楽しくないものだから、とにかくこなそう。」という考えで仕事をとらえ始めます。
逆に、「何をしても仕事は楽しい」と言い続けている人に囲まれていたら「楽しいこと探し」という考えで仕事をとらえ始めます。
「仕事はつらい」というメンタルモデル
わたしの大学時代の友人や会社員時代の仲間は、自分の楽しさがどこにあるのかをまだ見つけられていない状態なのかもしれません。その裏には「仕事はつらいもの」と思い込んでいるメンタルモデルがあるとも考えられます。
どうして、仕事はつらいものと思うようになったのか、本来の自分の楽しさはどこにあるのか、根源的なところを探れば彼らはきっと、より楽しく働き、より活躍していくのでしょう。
「仕事は楽しい」というメンタルモデル
一方30代の農家さんは、田植え作業を通して、「老若男女交じり合える場所」で自分自身が育ち、楽しんでいたことを思い出したようです。この楽しさの原点こそメンタルモデルです。
このメンタルモデルを見つけた彼は資本経済やお金への執着を一旦脇に置き、農家起業をしました。結果的に大成功。楽しいが楽しいを呼び込み、人を呼び、仕事を呼び、老若男女に囲まれ会社を大きく推進させています。
楽しい仕事はある
「楽しい仕事はある。仕事を楽しくさせているのは自分の考え方だ。」
この考え方を一度、ご自分のなかに取り入れてみてください。
世のなかには仕事を楽しんでいる人がごまんといます。その人たちに共通していることは「楽しむマインド」を常に持っていることです。難しい仕事が出てきたときも、クライアントとの交渉がうまくいかなくなったときも、難しい人間関係の板挟みになったときも、常に楽しそうに過ごしています。
それは「自分にとって何が楽しいかを知っている」からです。
言葉を変えると、「自分がどこに向かっているかを知っている」ということです。
自分の価値観、考え方、実世界への思い込みが仕事を楽しもうとしていない状態を作り出してはいないでしょうか。ぜひ、あなた自身のメンタルモデルがどんな形をしているのか探してみてください。きっと、あなただけの楽しい仕事に出会えるはずです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi




