例文8選|「5年後の自分」の考え方とコツをキャリアの専門家が解説

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  • ジャーナリスト/キャリアコンサルタント

    Kazuyoshi Konishi〇大手メディア政治記者を経て、配偶者の海外転勤に伴いキャリアを一時中断。現在は大学院でキャリア形成を研究する一方、プロの文章力を活かし各メディアで幅広く記事を執筆。

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  • キャリアコンサルタント

    Kazuhiro Yamaji〇会社員として長年勤務した後キャリアコンサルタントとして開業。企業の採用・高校生向けセミナー講師・転職支援・リスキリング補助など多岐にわたる分野でキャリア支援にたずさわる

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  • キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Takuya Akita〇人事・採用の責任者として7年間、新卒・中途採用を担当。To Be Myselfを起業後、企業内のキャリアコンサルティング、新卒・中途の就職をサポートしている

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この記事のまとめ

  • 「5年後の自分」は小さな目標の積み重ねから考えよう
  • 面接官の記憶に残るためには企業の利益を意識することが重要
  • 4つのNG例から「5年後の自分」へのマイナス評価を避けよう


面接では「5年後の自分はどうなってると考えていますか?」といった、将来についての質問をされることがあります。「5年後の自分」の質問に対する対策をしていないと、的外れな意見を伝えてしまったり、将来についてあまり考えていないととらえられてしまったりなど、面接官からも「あまり面接対策をしていないんだな」と思われる可能性があります。

しかし、まだ就職の経験もない学生が「5年後の自分」をうまく回答するのは、とても難しいことですよね。

この記事ではキャリアコンサルタントの山路さん、秋田さん、小西さんともに、「5年後の自分」の考え方や、意図が伝わりやすい回答の具体的な作成方法について解説します。まだ自分が将来どのように働いているかイメージできていない人は、ぜひ参考にしてください。

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目次

「5年後の自分」の回答は細かな目標の抽象化で作れる!

5年後の自分をイメージするには、まず目標を見つけることが重要です。最初は「将来この業務を担当したい」や「同年代よりも少し多めの給与がほしい」など、さまざまなジャンルの細かな目標を考える程度で問題ありません。

そこからエピソードを抽象化したり、企業研究で自分と企業の共通点を見つけたりなど、より面接官に伝わりやすい内容に変えていきます。

記事ではシチュエーション別や職種別の具体的な例文を解説します。まだ目標の立て方がわからない人でも、記事後半で目標の考え方や伝わりやすい文章の組み立て方など、実際に面接で活用できる方法も解説するため、ぜひこの記事を読み進めながら5年後の自分をイメージしてみてください。

山路 和博

プロフィール

「5年後のことなんてわからない」という人も多いのではないでしょうか? とはいえ面接官もそこは承知のうえで、つまりは「どれだけ自社で働くことをイメージしているか?」を確認したいのです。

この記事を参考に5年後の自分を考えるポイントを押さえて、具体性と妥当性のあるプランを伝えられるようになりましょう。

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【森永製菓】
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企業が「5年後の自分」の質問から知りたい4つのポイント

企業が「5年後の自分」の質問から知りたい4つのポイント

  • 自社に入社する際のイメージを持っているか
  • 明確なキャリアプランや成長意欲を持っているか
  • 学生のビジョンと自社の方向性に大きな相違がないか
  • 長期間働く意欲があるか

前提として、企業は学生の「5年後の自分」に対する回答を聞いて、「入社後は絶対にそれを目指してもらおう」と考えているわけではありません。あくまで学生の成長意欲や現時点で働く際のイメージを持っているかなどを知ろうとしているのです。

ここからは「5年後の自分」の回答から、企業が学生のどのような部分を知りたいのか解説します。「5年後の自分」はどの企業からも聞かれるほどメジャーな質問ではありませんが、どんな質問でも対応できるように、内定獲得を目指したい企業がある場合は対策しておきましょう。

①自社に入社する際のイメージを持っているか

企業に入社して働くといったビジョンは、新卒既卒問わず面接を受ける時点ではなかなか見えてこないものですが、だからこそ自分が働いているイメージをしっかり回答できる学生は、社風や企業方針、事業内容などを把握するための企業研究も怠らず、本気で面接に臨んでいることがわかります。

企業はこのように自社に強く興味を持っている人を採用したいと思っているため、その企業で働くイメージを持っていないと、「自社への理解度が低いのかな?」と思われて、評価が下がってしまうことがあります

この企業の意図を意識した回答を作ることが、「5年後の自分」を攻略する方法の一つです。

秋田 拓也

プロフィール

面接で将来像についてたずねられたときは、具体的に回答できるかどうかが重要です。将来像の質問をすると自己成長に関する回答をする学生が多いですが、具体的な内容まで答えられる人は少ないと感じます。

自己理解が進んでいる人はどのように自己成長したいかまで掘り下げて考えているので、面接官は回答の具体性からも学生の本気度も測っています。

②明確なキャリアプランや成長意欲を持っているか

キャリアプランとは、入社後にどのような仕事を担当し、どのようなスキルを身に付けて、何年後にどのようなポジションに就きたいかなどを計画することを指します。

キャリアプランは企業理解を深めるのみでなく、実際に将来の自分がそのキャリアプランを実現できるのか、今の自分から努力次第で目指せるのかといったことも把握しなくては作れないため、自己分析能力に長けていることもわかります

そのため「5年後の自分」を答えられる学生は志望度が高く、入社後の成長意欲もあると評価されやすいです。

また、キャリアプランの内容は、専門分野を極めたりチームワークでリーダーになったりなどさまざまで正解はありません。あいまいな言葉でまとめず、明確な将来像を回答して成長意欲をアピールしましょう。

③学生のビジョンと自社の方向性に大きな相違がないか

学生が入社後に目指す姿と企業の方向性に相違がある場合は、入社した後に「思っていた働き方と違って自分の目標を目指せない」と意欲を見い出せなくなることも考えられます。

たとえば、もし学生が「5年後は昇進して部下を率いる立場になりたい」と回答しても、企業側が「弊社は10年程度勤務しないと中堅社員にはなれない」と考えている場合は、企業と学生の方向性に明確に相違がありますよね。

このように「5年後の自分」の質問は、企業が学生に求めていることと、学生の理想のキャリアの相違が確かめられて、方向性の違いによる意欲の低下を避けられる質問といえます

自分の将来像をイメージすることが難しい人は、キャリアビジョンの考え方を詳しく解説したこちらの記事を参考にしてみてください。キャリアビジョンの考え方のみでなく、企業に伝えやすい文章構成も解説しています。

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④長期間働く意欲があるか

入社後に退職する権利は誰にも侵害できるものではありませんが、企業からすると新入社員にすぐ退職されてしまうと損害となってしまうため、なるべく面接時に長く勤めてくれるような学生を見極めて採用したいと思っています。

「5年後の自分」がアピールできるからといって必ずしも早期退職しないとは決めつけられませんが、キャリアビジョンを明確にしている学生はその企業で長期間働くイメージがすでについていると思われやすく、長く働いてくれる学生であると推察されます

そのため面接ではあらかじめ回答を考えていて、会話のようにスムーズに答えられる学生のほうが印象が良いことは明白です。

新入社員がすぐ退職したら、企業は具体的にどのような不利益となるのですか?

小西 一禎

プロフィール

企業は新入社員の採用と育成に多くのリソースを割いている

新卒採用に携わるのは人事部のみと考えている学生もいるかもしれませんが、実際には現場社員などさまざな部署の社員が関与しています。

彼らはほかの仕事をいったん脇に置いて、書類選考や面接に時間を費やしています。つまり、企業は新入社員を採用するにあたって、学生の想像以上の手間をかけているのです。

入社後の新人研修についても同様です。あらゆる部署から人員が投入され、その会社で働くために必要なスキルやノウハウ、心構えなどを伝授し、新入社員を指導します。

企業は採用・育成にこれほどのコストをかけているので、新入社員にすぐ退職されたら痛手なのです。もし同業他社にでも転職されようなものなら、研修で伝えた事柄が他社に筒抜けになりかねないといったリスクもあります。

こうした事情・背景があるために、企業側は長期的に働く意思があるか否かを学生にたずねています。

「5年後の自分」を聞かれた際に参考にできる例文8選

就職経験がない場合、「5年後の自分」を問われても、まずどのような文章を作るべきかイメージが沸かない人も多いでしょう。ここからは、実際に面接で利用できる例文をシチュエーションと職種別に4つずつ解説します。

まずは例文で文章構成やアピールしている内容を確認してから、細かい考え方や回答の作成方法についてみていきましょう。

シチュエーション別の例文4選

まずはシチュエーション別の例文を4つ解説します。いずれも多くの企業で活用しやすい例文となっていて、自分のアピールポイントや企業の方向性を組み込んで再利用することも可能です

それぞれにキャリアコンサルタントからのコメントも添えられているため、ぜひ併せて参考にしてください。

①社員を育成する立場になりたい

例文①社員を育成する立場になりたい

私は5年後、若手社員を育成する立場になりたいと考えています。アルバイトリーダーとして新人の教育をしてきた経験から、教え方一つで新人の成長速度が変わっていくことを知り、社員育成は企業を成長させるための重要な業務であることを学びました。

自分自身のみでなく、チーム全体を成長させられるような人材になりたいので、まずは先輩社員の方々からスキルや知識とともに指導方法についても学びたいと考えています。

就職支援のプロが解説! アルバイトのエピソードで差別化するコツ

山路 和博

プロフィール

アルバイトは定番ネタの一つなので、自身のオリジナル性のあるエピソードを効果的に盛り込めるかが重要です。

上記の例文だと、自身がどう新人教育にかかわったのか、どのような経験から現在の目標に至ったのかといったエピソードを加えることで、文章のオリジナリティを高めることができます。

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例文②海外支店でも活躍したい

例文②海外支店でも活躍したい

私は御社に入社した5年後に、英語力を活かして海外支店でも活躍したいと考えています。

TOEICでは800点を取得したので英語力には自信がありますが、現地と日本の関係性を構築して橋渡しのような存在になるために、英語のみでなくビジネスの基本やコミュニケーション能力を積極的に学び、社会人基礎力のレベルアップを目指します。

ビジネスの知識が身に付いた後は、御社のさらなるグローバル化に貢献していくために、他言語の習得も目指して学習を進めていきたいと考えています。

キャリアコンサルタントからの例文の評価とアドバイス

秋田 拓也

プロフィール

海外支店に異動する場合は、その国の文化を知ることも大切です。価値観や物事のとらえ方に違いがあることをまず理解する必要があります。

今回の例文では、5年後の自分について数字で伝えるなど、目標設定が具体的であることがよく伝わってきます。信憑性が感じられる良い回答だと思います。

例文③チームリーダーを目指したい

例文③チームリーダーを目指したい

私は入社5年後に、リーダーとしてチームを引っ張る立場になりたいと考えます。

アルバイトでリーダーとしてチームを引っ張っていくなかで、仲間がついてきてくれるためには統率力やコミュニケーション能力のみでなく、自ら課題を見つけて改善する問題解決能力が必要だとわかりました。

そのためまずはメンバーの規範となれるように、御社で基礎的な知識やスキルを積み重ね、いずれ一つのプロジェクトを任されるような人材になりたいです。

就職支援のプロが解説! リーダー経験で強みの再現性を高める方法

小西 一禎

プロフィール

アルバイトでチームリーダーを務めた経験を魅力的に伝えるためには、どのような成果を挙げたかを話すことがおすすめです。

具体的な数字があればベストですが、もしなければ、自分のもとで働いたアルバイターから寄せられた声をもとに考えると良いでしょう。

リーダー経験を魅力的に伝える方法が知りたい人は、以下の記事も併せて確認しておきましょう。

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例文④新規事業を担当したい

例文④新規事業を担当したい

私は5年後、御社の新規事業の開発チームに所属したいと考えています。

説明会にて、御社では20代でも新規事業の立ち上げに携われると伺っています。若いうちから幅広い業務を担当できることに強い魅力を感じたと同時に、御社で成長したいと思いました。

私は在学中の部活動で、チームを勝利に導くために他校の試合や選手の特徴を分析して、試合ごとに戦略を立てて、その結果、試合中の予測も正確になり、チームの勝利数を上げられた経験があります。

部活動で培った情報収集力と分析能力を活かして、人に必要とされるサービスの立ち上げを目指したいです。

キャリアコンサルタントからの例文の評価とアドバイス

山路 和博

プロフィール

目標達成のために自身の強みをどう活かしたいかが明確になっている点は高評価です。ただ、「部活動でしか使えない能力なのでは?」という疑問も残ります。

情報収集力や分析能力が部活以外で活かせた場面やスキルを仕事で活かすために現在取り組んでいることなどを加えると、より魅力的な回答になりますよ。

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職種別の例文4選

ここからは職種別の例文を4つ解説します。たとえ同じ企業でも、事務職や営業職といった職種が違えば、仕事内容や将来の方向性も大きく変わります。ぜひ例文の大枠を利用して自分なりの「5年後の自分」に組み替えてみてください。

例文①営業職の場合

例文①営業職の場合

私は5年後、営業職で新規開拓のプロフェッショナルになり御社に貢献したいと考えています。

まずは先輩社員の営業から学ばせていただき、営業にふさわしいコミュニケーションの取り方や顧客先の情報収集に励み、5年かけて営業スキルを高めていきます。

交渉力が高まった5年後には、潜在顧客に向けたアプローチなどもできるようになって、さらなる顧客開拓を目指したいです。

キャリアコンサルタントからの例文の評価とアドバイス

秋田 拓也

プロフィール

段階的に将来像を描いている点は良いと思います。ただ、より具体性を持たせるために、各企業の育成プランに沿った形で将来像をアピールしても良いのではという印象も受けました。

また表現について、「5年後に」も明確でわかりやすいですが、「5年以内に」のほうが今回の内容には合っているのではないでしょうか。

営業職のキャリアプランについてあまり想像できていない人は、以下の記事も参考にして解像度を高めておきましょう。

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例文②経理職の場合

例文②経理職の場合

私は5年以内に複数の資格を取得して、5年後には経理のプロフェッショナルになりたいと考えています。

まず3年以内に経理の基礎を学んで、簿記検定1級の取得を目指します。資格の取得以外にも、日々自己評価をおこない実務経験からもスキル向上させ、5年後には一通りの業務を一人で締められるようになったのちに、人材育成も任せられる経理担当になりたいです。

そのためにもまずは毎日の業務をミスなくおこない、社員の方の働きを真似させていただきたいと考えています。

就職支援のプロが解説! 経理職の将来像のポイント

小西 一禎

プロフィール

一円たりともミスが許されない経理の世界では、緻密さが何よりも要求されます。粘り強く、正確に職務を遂行する能力も必要です。

簿記検定1級は決して簡単に取得できる資格ではありませんが、意気込みは十分に伝わるでしょう。

経理職についてまだ詳しくわかっていないと感じている人は、以下の記事も併せて確認して、仕事内容への理解を深めましょう。

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例文③販売職の場合

例文③販売職の場合

私は5年後、店長の補佐役として活躍する副店長になりたいと考えています。飲食店アルバイトの経験から副店長に助けられたことが多く、店長と店を支える副店長の役割の重要さに気付きました。

まずは新人として経験を積んで営業成績の向上を目指しつつ、自分のみでなくほかのスタッフの売上改善もサポートできるようになりたいです。

そして顧客管理や商品管理を任されるようになったのち、店舗管理や人材育成に関する知識も高めて、5年以内に副店長に就任されることが5年後の自分の目標です。

キャリアコンサルタントからの例文の評価とアドバイス

山路 和博

プロフィール

自身が考える副店長の役割や、そこに到達するまでの計画が段階的にわかりやすく語られていて良いですね。

副店長として必要な知識や経験を理解していることや、普段の業務だけでなく、そのほかでも目標に向けて頑張っていく姿・人柄のイメージが掻き立てられる回答です。

販売職でのキャリアプランを考えるうえで、現場を理解することは不可欠です。以下の記事も参考に販売職の仕事内容への理解を深めましょう。

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例文④企画職の場合

例文④企画職の場合

私は5年後、新たな商品の企画に携わり、国内で誰もが知っているような商品を作りたいと考えています。

飲食店のアルバイトをしていた時、自分がアイデアを出した商品がその店舗の人気メニューになったことが、商品開発を担当したいと思ったきっかけでした。

アルバイトのときとは違い、自身が企画担当になる際は市場調査や販売促進など、顧客に届くまでのフローを考える必要があるため、まずは情報収集力と意見を伝えるためのプレゼン力を高めて、新商品の企画を任せてもらえるように成長したいです。

キャリアコンサルタントからの例文の評価とアドバイス

秋田 拓也

プロフィール

自分が目指す方向のきっかけとなったエピソードから伝えているところが、第三者にもとてもわかりやすくて好印象です。

また、学生のときと違って社会人は責任の所在がどこにあるのかを意識しなくてはならないことを自覚している様子も伝わってきました。

企画職は華々しいイメージがある人も多いかもしれませんが、実際は地道に市場調査をする場面も多々あります。働くイメージを具体化するためにも、以下の記事も確認しておきましょう。

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面接官からの評価が点数でわかる! 本番に備えて面接力を測定しよう!

自分が面接官の目にどう映っているか、きちんと把握できていますか?

面接力診断」では、あなたが面接本番でどれほどの力を発揮できるかを100点満点で測ります。

39点以下だと実力を発揮できていない可能性が高いです。診断結果から改善策を提案するので、本番に向けて対策しましょう。

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就職支援のプロが解説! 5年後の自分に関する質問で好印象な答え方とは

例文をいくつか紹介しましたが、「5年後の自分」の質問に回答する際、具体的にどのような要素を組み込めば好印象を残せるのか、まだわからない人も多いのではないでしょうか。

ここからは就活支援のプロである小西さんに、「5年後の自分」で印象に残る回答について解説してもらいます。どのような回答であればほかの学生と差を付けられるのか、企業側の視点に立って考えてみましょう

アドバイザーコメント

具体的な回答で面接官に「5年後の自分」を想像してもらおう

5年後の自分について、面接官の印象に残る答えを述べるには具体性を込めて話すことが大事です。そのためには、その企業をしっかりと調べ、研究することが求められます。そのうえで自分なりの目標などを肉付けしていくと、具体的で説得力が高い回答を考えられるでしょう。

「5年後には〇〇の部署(支店)にいて、〇〇の仕事に日々取り組んでいる」「5年間で培った経験や浮き彫りになった反省点を後輩に伝えつつ、自分も成長を目指している」「〇〇という新規事業に取り組み、業界で〇位のシェアを目指している」などがその回答例です。

さらに具体的な数字を盛り込めればベストですが、まだ働いていない段階でそこまでは難しいので無理をする必要はありません。また、「5年後には入社後に取得した資格を仕事に生かしている」など、5年間で成長する可能性を示す回答も好印象を狙えますよ。

曖昧な言い回しや受け身な姿勢は面接官の印象に残りにくい
                                                                                                                                                                                                                       逆に、面接官の印象に残らないのは、曖昧な言葉が目立つ答えです。「しっかりとやる」「頑張る」など、社会人として当たり前に求められる要素を入れると曖昧になりやすいです。

「与えられた仕事をこなす」といった受け身的な要素が強い答えも、高評価を得られない可能性が高いので注意しましょう。

まずは小さな目標を立ててみよう! 「5年後の自分」を設定するための3つの準備

「5年後の自分」を設定するための3つの準備

  • 業務に関する具体的な目標を考える
  • 希望する給与面について考える
  • ワークライフバランスについて考える

面接官に伝わりやすい回答を作るには、文章の構成や内容を魅力的に思わせるコツも重要ですが、まずは自分なりの「5年後の自分」を答えるための準備が必要です。

ここからは回答を作る前の3つの準備について解説します。イメージを膨らませて、将来目指したい自分の姿を想像してみましょう。

①業務に関する具体的な目標を考える

まずは希望する部署で、自分が5年後どのように働いているか考えてみましょう。入社1年目などの新人であれば、極力ミスを減らすことや自分勝手に行動しないことが求められますが、「5年後の自分」を答える場合はもう少し具体的な内容が求められます。

たとえば営業志望である場合は、営業成績上位をキープしたり、新たな開拓先を見つけたりなどが目標にしやすい内容です。後輩を教える立場やチームリーダーとして活躍することなど人を引っ張る立場も良いでしょう。若手が活躍しやすい企業であれば、すでに何かしらのポジションに就いているかもしれません。

このように「5年後の自分」の回答は、明確な将来像を決めたり大きな目標を立てたりなど、業務に関する具体的な内容で作成してみましょう

やりたいことがわからないので、働いてからの目標が何も思い浮かびません。

山路 和博

プロフィール

やりたくないことから自分が働く姿を思い描いていこう

「やりたいことがわからないから、目標も浮かばない」という気持ちはよくわかります。そんなときは逆転の発想として、あえて「やりたくないこと」や「働くうえで避けたい事項」から考えていくことも一つの手ですよ。

具体例としては「転勤はないほうが良い」「給料〇万円以下は嫌だ」「〇〇系の仕事はやりたくない」などです。

これらを思いつく限り書き出して「結果として残っているものは何か」を探していくことも、自分が働くことに対する解像度を高めてくれます。

もちろん、挙げたすべての希望がかなうことはごくまれで、どこかで妥協したり、優先順位を付けなければならなかったりする場面は出てきますが、何も思い浮かばないと悩む人はまず一度試してみてください。

やりたいことがわからないという人は、以下の記事で紹介している方法を実践して、隠れた思いを見つけましょう。

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やりたいことがわからない人必見! 隠れた本心を見つける思考・行動

やりたいことがわからないと悩む人は多くいます。その原因は8つ。それぞれの原因を見つめつつ、やりたいことが必ず見つかる12の方法をキャリアコンサルタントと解説します。やりたいことがわからず将来に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

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面接の不安を解消! 本番前に面接力を測って弱点を発見しよう

不安を抱えたまま面接本番に臨むと、面接官に好印象を残せず、内定が遠のいてしまう可能性があります。

そんなときこそ「面接力診断」を受けましょう。

簡単な質問に答えるだけで自分の弱点がわかり、改善方法も提案してもらえます。ぜひ活用して面接を突破してください。

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  • 近く面接本番を控えている人
  • 自分の面接の改善点を知りたい人
  • 過去の面接で力を発揮しきれなかった人

②希望する給与面について考える

入社1年目と5年目では、業務内容以外に給与の差も大きくなります。希望する給与をもらうためには、どのような仕事をしてどの役職についていれば実現できるのか考えてみましょう。どの職種でも目標にしやすいものとしては、高難度な資格を取って専門技術を認められたり、役職に就いたりなどが挙げられます

面接で「5年後の自分」を回答する際は、「給料は〇万円ほしい」や「ずっと地元にいたい」といったプライベートの話は避けたほうが無難ですが、働くうえで給与は重要なポイントの一つです。そのため面接では、具体的な給与額を伝えるのではなく、キャリアプランとして「5年後はこのような姿になりたい」ということを伝えましょう。

「5年後の自分」の回答で、将来もらいたい給与の話をすると印象は悪くなりますか?

秋田 拓也

プロフィール

給与の話自体はしても良いが伝え方には注意しよう

給与をもらうことは働く理由のひとつでもあるので、印象が悪いことはありません。ただし、印象を考えるとすれば、遊ぶお金が欲しいという理由よりも、「実現したいことがあるから給与アップを目指している」と伝えるほうが印象は悪くなりません。

もらいたい給与を実現するためには、どのような活躍をする必要があるのかを逆質問するのも良いでしょう。目標を持って働くことはモチベーションの維持にもつながるので、悪い印象にはならないと思いますよ。

仕事のモチベーションが全くない人はこちらの記事をチェックしてください。対処法から注意点まで詳しく解説しています。

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仕事のモチベーションがまったくないときは、その理由を突き止めることが大切です。この記事では、仕事のやる気が出ないときの対処法をキャリアコンサルタントとともに解説します。モチベーションを高める手順を紹介するので、今の状況を改善するうえで参考にしてみてください。

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③ワークライフバランスについて考える

ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスについてを指す言葉です。残業が多く休日も少ない働き方であれば、ワークライフバランスの均整が取れていないといえるでしょう。

「5年後の自分」を考えたときに、他人よりも早くキャリアアップして良い給与を得たいと考えるのであれば、休日を利用して勉強したり積極的に仕事をもらったりするような働き方になるかもしれません。一方でプライベートの時間を大切にしたい人は、休日が多く残業も少ない部署を選ぶなど大きく方向性が変わるため、まず自分の望む働き方を明確にすることを意識してみましょう。

ワークライフバランスでは働き方のみでなく、「働く場所」も重要なポイントです。全国に支店がある企業や転勤の多い企業を志望する場合は、5年後に自分がどの地域で働くようになるのか入社時点ではわかりません。環境の変化に対応できる自信がない人は、頻繁に居住地が変わる職種であると、体調を崩したり業務効率が下がったりなどの悪影響も考えられます。

そのため自分の適性を考えて、5年後の自分が全国各地で活躍しているか、在宅勤務を交えて働いているかなど、働く場所から回答を考えることも準備の一つです

地元で働きたい人や家族と離れたくない人はこちらの記事も参考にしてみてください。キャリアコンサルタントが転勤なしの仕事や企業の探し方について詳しく解説しています。

エピソードを具体化しよう! 「5年後の自分」の回答作成5ステップ

5年後の目標がおおまかに定まったら、次は面接の回答に使えるように精度を高めていきましょう。

たとえば「チームリーダーとして活躍して、給与も同年代より多くもらいたい」と考えるのであれば、志望する企業でそのキャリアアップが可能であるのか、自分の適性から考えてどのように5年間頑張ればその姿になれるのかなどをイメージするステップに入ります。

回答を具体化するためにやるべきことは次の5ステップです。一つずつ実践して回答に組み込んでいきましょう。

ステップ①企業研究や業界研究を徹底する

5年後の具体的な目標を立てても、志望する企業でその目標が達成できるか否かはまだわかりません。そのため目標を現実にできることを面接官に伝えるためには、企業研究や業界研究が必須です。

企業研究は、自分と企業の相性やその企業で自分の目標とする姿をかなえられるかなどを知るための最も重要なステップといっても過言ではありません。効率的な就活を目指すのであれば、まず企業について知ることから始めてみましょう。

企業研究に加えて業界研究も徹底することで、業界全体のイメージが沸きやすくなるだけでなく、応募する企業の業界における立ち位置もわかるため、面接でもより深い部分の受け答えがしやすくなります。

企業研究・業界研究でわかること

  • 商品やサービスなどの「現状」
  • 給与や勤続年数などの「キャリアステップ」
  • 売上や営業利益などの「業績」
  • 新規事業や事業拡大などの「成長性」
  • 企業の意思決定や職場の雰囲気などの「社風」

山路 和博

プロフィール

業績や売上などの数字の上がり下がりには必ず市場の拡大・縮小や流行、企業戦略の変化など、何らかの要因があります。

これらを自分なりに分析し理解することは、そこで働く自分がこれからやるべきこと・身に付けるべきものを考えるヒントになります。

企業研究や業界研究について自信がない人は、ぜひこちらの記事も参考にしてください。企業の情報を一つにまとめた企業研究ノートの作り方や、自分が本当に目指したい業界の探し方について詳しく解説しています。

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ステップ②自己分析で自分のことを深く知る

「5年後の自分」は自分のことを深く知らなくては回答を作れません。まずは自分の経験や考え方を振り返って自己分析をしてみてください。

自己分析とは、長所や短所、向いている職種など自分に関するさまざまなことを言語化する作業を指します。自己分析せずに自己PRを考えると表面的な内容になりがちですが、自己分析を深めることで自分の魅力を自己PRや志望動機に取りこみやすくなります

企業に対してより説得力のあるアピールがしやすくなるため、自己分析は就活では企業研究と同じく必須ともいえる作業の一つです。

自己分析を進めるための基本的なステップ

  1. これまでの自分の経験や考え方を振り返る
  2. 自分の経験を「なぜその道に進んだか」と考える
  3. 自分の本質を文章にする

たとえば「昔から本を読むことが好き」である場合、なぜ読書が好きなのか掘り下げると、物語を楽しむことが好きであったり、自分の知らないことを知れることが好きだったり、少なからず理由が見つかるはずです。その理由をどんどん掘り下げていき、自分のなかにある本質を探してみましょう。

そうして見つかった自分の本質を一度文章として書き記しまとめることで、「5年後の自分」の回答を作りやすくなるだけでなく、自己PRや志望動機にも落とし込めるようになります。

自己分析の方法について詳しく知りたい人は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。自己分析を深めることで、「5年後の自分」だけでなく、面接で頻出する質問にも対応しやすくなりますよ。

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ステップ③企業のサイトなどの社員インタビュー記事を確認する

企業のサイトには面接対策となる情報が数多く掲載されています。そのため応募する企業のサイトは必ずチェックしておきましょう。

なかでも先輩社員のインタビュー記事は、「5年後の自分」の回答を作るための大きなヒントとなります。業務内容やキャリアアップについてなど入社から現在までの道のりがわかり、より自分の5年後をイメージしやすくなるでしょう

社員インタビューで確認すべき項目

  • 入社したきっかけ
  • 今後の目標やキャリアプラン
  • 社内の成功体験ややりがい

小西 一禎

プロフィール

企業サイトでは、志望企業のここ5~10年間の売上高や営業・経常利益の伸び率に加え、新たな事業に取り組んできたかなどについても調べてみてください。

まったく同じような経験ができるわけではないですが、そこに入社した5年後の自分を実務レベルでイメージしやすくなりますよ。

ステップ④OB・OG訪問で既存社員の働き方を知る

OB・OG訪問とは、すでに企業で働いている元卒業生の話を聞ける場を指します。OB・OG訪問を経験することで社内の雰囲気や実際の働き方など可視化されにくい部分が肌で感じられ、企業と自分の相性も確認できます

実際の選考でされた質問や社会人になるうえでの心構えなどを聞けば、リアルな情報をもとに志望動機や自己PRも考えやすく、逆質問で企業のより深い部分を質問できるようになるでしょう。

選考とは異なりますが、OB・OG訪問で企業から優秀と思われた学生は選考でも評価されやすいため、第一志望の企業があるならぜひやっておきたい面接対策の一つです。

OB・OG訪問時に「5年後の自分」のモデルにしたい社員がいた場合、どのようなことを質問すれば良いでしょうか?

秋田 拓也

プロフィール

その企業で目標をかなえるために必要な心構えを聞いてみよう

まずは、目標設定の方法を聞いてみましょう。次に、目標を達成するまでの意識付けや行動をどのようにしてきたのかを聞いてみてください。何かのヒントが得られると思います。

ただ、個人的にはマインドの保ち方や向上させる方法のほうが重要だと思います。ゴールから逆算して何をするべきかの優先順位を考えていくと良いでしょう。

とはいえ人それぞれ自分に合ったやり方があるので、あくまでも参考意見として受け止めましょう。

OB・OG訪問の流れや準備について詳しく知りたい人は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。訪問時の質問が70選紹介されているので、周りと差をつけるためのコツについても解説しています。

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ステップ⑤将来の自分をワークシートなどを用いてイメージしてみる

5年後の将来像を描くワークシートの作成例

企業研究やOB・OG訪問など、特定の企業で働く自分を想像する方法以外でも、自己分析のように自分の将来をイメージすることも「5年後の自分」が浮かびやすくなる方法です。

将来の自分をイメージする3ステップ

  1. 5年後の理想の姿を箇条書きにする
  2. 理想の姿になるために現在の自分の足りない部分をまとめる
  3. 何をどのように完了させれば5年後に理想の姿になれるか考える

たとえば「5年後の自分」を企業や業界で働いている姿に絞らずに、ワークシートやノートに働き方や給与、職種、仕事内容について箇条書きで書いてみるのも良いでしょう。業務中の服装や、仕事のやりがいについてなど、思い浮かぶ限りのものを書いてイメージを広げてみてください。

「5年後の自分」をイメージしてみたら、その姿になるためには現在の自分に何が必要か考えて、こちらもギャップを分析するために書き記します。5年後のなりたい姿に必要な過程を書き出せたら、あとはどのように課題を解決するか、いつまでに完了させるかなどを考えてみてください。

特に第一志望の企業やまだ就職したい業界も決まっていない人はこの3ステップを使いイメージを深めることで、自分のやりたい仕事や目標について考えやすくなります。ぜひ取り組んでみてください。

アドバイザーコメント

将来像を明確な目標にするには具体性と妥当性の追求が必要

5年後に限らず、将来のプランを考えたとしても計画通りにいかないことのほうが多いです。皆さんのなかにも「どうせ計画通りにはいかないし……」と思っている人もいるのではないでしょうか。

思い描いた将来の姿が目標となるのか、思い描いただけの空想になるのか、その差は具体性と妥当性にあります。

たとえば「5年後に部長になる」という目標を立てたにもかかわらず、部長になるためには何が必要かがイメージできていなければ具体性は低いうえに、その企業で5年後に部長になれる可能性がなければ妥当性が低いです。

思い描いた目標を達成するまでのプロセス、それを実現できる可能性の有無などをしっかり分析し、具体性と妥当性を高めていきましょう。

キャリアプランは自己分析と企業研究をもとに組み立てよう

そして、具体性と妥当性の土台となるのが自己分析と企業研究です。

将来どうなりたいのか、活かしたい強みは何か、この企業はどこを目指しているのか、入社後にどのようなキャリアが築けるのかなど、これらを掛け合わせた先に将来の自分の姿が見えてきます。

「5年後の自分」と似た質問として、「10年後の自分」について聞かれることもあります。考え方は似ていますが、より先の未来を考えるからこその要素も確認しておきましょう。

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年数に限らず、ざっくりと「将来の夢」について聞かれることもあります。同じく理想の姿を題材としたテーマであるため、ぜひ併せて参考にしてみてください。

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実際に文章を作ろう! 「5年後の自分」をわかりやすく伝える文章構成

「5年後の自分」をわかりやすく伝える文章構成

  • 5年後の自分のイメージを冒頭で伝える
  • その姿に至った理由を伝える
  • 5年後に理想を実現するための具体的な計画を伝える

ここまでの内容で「5年後の自分」をおおまかにイメージすることはできたでしょうか。次の過程では、イメージした要素を使って実際に面接で回答するための文章を作成してみましょう。

理想の姿を継ぎはぎした文章だと面接官にも伝わりにくいため、ここからはより面接官の記憶に残りやすい文章構成と表現を解説します。ここまで洗い出した要素を利用しつつ、ぜひ一度文章を作ってみてください。

①5年後の自分のイメージを冒頭で伝える

面接官の記憶に残りやすくするために、一番初めには質問の答えである「5年後の自分」の姿を伝えましょう。

最初に結論を伝え、次に結論に至った理由やエピソードなどの具体例を説明し、最後に再び結論で締める構成をPREP法といいます。PREP法は自己PRや志望動機の書き方にも利用できるため、エントリーシート(ES)を作成する前に知っておきたい文章構成の一つです。

OK例文

私は5年後、チームでもトップの成績を残せるような人材になりたいです。入社から1~2年目はまず御社の商品やサービスを隅々まで把握して説得力を高めつつ、いち早く営業になれるために積極的に行動していきます。

その経験を積み重ねて、5年後には常に顧客に対して最適な営業をおこなえるような提案ができる営業になりたいと考えています。

NG例文

私は入社から1~2年目で御社の商品やサービスを隅々まで把握して説得力を高めつつ、いち早く営業になれるために積極的に行動していきます。

その経験を積み重ねて、常に顧客に対して最適な営業をおこない、トップの成績を残せる人材になることが5年後の自分の目標です。

OK例文は、PREP法を用いて最初にどんな人材になりたいか答えている一方で、NG例文では最初に行動を説明して、最後に「5年後の自分」の姿を回答しています。

文章で見た際は読み返せばわかりますが、面接の場ではいかに一度で面接官にわかりやすく伝えるかが重要です。そのためまず質問の回答を持ってきて、後にその理由を説明する構成のほうが頭に入りやすくなります。

文章の作り方に自信がない人は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。文章の構成による読み取られ方の違いがわかりやすく解説されています。PREP法のみでなく、エピソードを伝える際に使いやすいSTAR法の文章構成も紹介しています。

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②その姿に至った理由を伝える

最初に答えを伝えた後は、なぜその姿になりたいと思ったか理由を伝えます。答えの理由を加えることで、面接官は学生の考え方やエピソードの背景がわかり、自社と学生のビジョンの違いなどを読み取ることができるのです

たとえば、「ポジションに就いて部下を持つことが5年後の自分」だと答える場合、その理由が「ポジションに就けば給与が上がるから」という理由では、面接官からは「自社でなくてもかなうのでは?」と思ってしまうでしょう。

そのため、もし人材育成に力を入れていたりチームでプロジェクトを進める働き方などを大事にしていたりする企業であれば、ポジションに就くことではなく、「部下を育成すること」をメインの目標にすると良いでしょう。より社風に合った理由になり、企業の方向性に適している人材と評価されやすくなります。

アルバイトでの経験や自己分析で気付いたことも回答に交えると、具体性も増すでしょう。

③5年後に理想を実現するための具体的な計画を伝える

答えと理由を伝えた後は、その姿を実現するための計画を具体的に伝えます。説得力のある計画があれば、入社後もその通りに働いてくれるかもしれないといった期待を向けられやすくなります

「ポジションに就き部下を持つ」を例とすると、まずポジションに就くためには若手のうちからの積極的な行動や、先輩の姿を見て勉強することなどが求められるでしょう。

「営業のプロフェッショナルになる」であれば、最新の市場動向を把握していたり、常に自分の課題や反省点を受け入れたりすることなども目標に向かう計画の一つに設定できます。

しかし応募する企業が若手をじっくり育成する方向性である場合、5年ではポジションに就けない可能性もあるため、企業研究を重ね、応募する企業で実現可能な計画を伝える必要があります。

秋田 拓也

プロフィール

仕事を通じて目標設定が変化するのは当然なので、企業が採用時の将来像にこだわることはありません。実際、入社後も定期的に目標設定をさせる企業は多いです。

とはいえ入社前から志の高かった新入社員のことは企業もよく覚えていて、期待もしています。

④「5年後の自分」が企業に貢献できることを伝える

回答の最後には、「5年後の自分」が企業にどのような利益を与えるのか内容に組み込んでみましょう。現在の自分を雇えば、5年後には企業にとって手放したくないような人材になるということを伝えると、より期待できる人材として面接官の記憶に残りやすくなります。

そのためには、企業がどのような人材を求めているか企業目線で考えることが必要です。たとえば営業で考えると、ただ単純に営業ができるだけでなく、新規事業の開拓に強い営業やコミュニケーション能力が高く英語も得意な営業など、企業が求めるプラスワンの要素があればなお良いでしょう。

企業に必要と思われるためには、どのような目標をアピールすれば良いでしょうか?

小西 一禎

プロフィール

企業の可能性を広げるためのスキルの活かし方を伝えよう

まずは、企業が目指すべき方向性や現在おこなっている事業に共感している点をアピールすることが大事です。

大学で学んできたことや、部活やアルバイトなどで吸収したことを入社後にどのように活かしたいかをエピソードとともにプレゼンすると、面接官も目の前の学生の将来を想像しやすくなります。

さらに、自分が企業に新たな風を吹き込める人材であることも伝えられると、面接官は身を乗り出すでしょう。

企業の足りていない点や改善点、新規事業の可能性などを学生の視点で指摘し、それを補うために自らのスキルが活かせることを具体的に説明できれば、内定にいっそう近付きますよ。

「5年後の自分」の回答で周囲と差をつけるコツ

「5年後の自分」の回答で周囲と差をつけるコツ

  • 企業の利益を意識した内容にする
  • 主体性のある回答を目指す
  • 内容を自己PRや志望動機と結びつける
  • 深掘りされても答えられるように対策を練る

ここまでの内容を用いることで「5年後の自分」の基本的な回答ができあがります。次はより企業に自分をアピールするために、さらに回答に深みを出すコツを4つ解説します。

回答の内容以外でも自分をアピールできるポイントがいくつかあるため、随所にオリジナリティあふれる内容を加えて、同じ質問でも周囲と差をつけましょう。

企業の利益を意識した内容にする

「5年後の自分」をわかりやすく伝える文章構成でも、5年後の自分が企業に貢献していることを伝えるべきと解説しましたが、内容を練る際もなるべく企業の利益を意識して本文を考えてみましょう。

たとえば「5年後は難関資格を取得している」という内容であれば、資格を取ることをゴールとするのではなく、取得した資格を活かしてどう利益をもたらすかまで回答に組み込むと、面接官にわかりやすく伝わります。

「5年後の自分」を考える流れに正解はないですが、企業の利益をより意識するのであれば、先に企業研究から始めることもおすすめです。企業研究の際は、どのような人材を求めているか企業側の目線をイメージしながら情報をまとめると、企業に貢献しやすい内容になりやすいですよ。

山路 和博

プロフィール

企業の利益を意識することはとても重要ですが、伝え方を間違えるとただの自信過剰な印象を与えてしまいます。

そうならないためにも、自身が考える会社の利益に対して自分ができること・できるように心掛けていることを伝えると、ただ「売り上げを創出します」と主張するよりも説得力が高まりますよ。

主体性のある回答を目指す

回答を考える際は、あくまで「自分がこうしたい」といった主体性のある回答を目指しましょう。

新入社員であれば先輩の指示を待つ場面も多いですが、「5年後の自分」であれば、指示がなくても自分の意見で物事を決めなければならないことが増えます。そのため将来像としても自分で物事を決断する際に必要な積極性や責任感が求められます

「5年後の自分」を問われた際に「指示されたことは何でもやります」といった内容にすると、自分で物事を考えることが苦手と思われてしまう可能性もあるため、企業の利益だけでなく主体性も意識して作成しましょう。

内容を自己PRや志望動機と結びつける

「5年後の自分」の内容を自己PRや志望動機と結び付けることで、さらに説得力のある回答が作れます。

たとえば「5年後の自分」でチームリーダーになることを目標とするのであれば、学生時代のリーダー経験やエピソードを活かしましょう。関連性のある内容にすることで説得力が増すだけでなく、面接官の記憶にも残りやすくなります

一方で「5年後の自分」が自己PRで伝えたことと反対の内容であると、一貫性がないと評価されやすいです。面接官に「この人なら5年後に実現できそう」と思われるような内容を意識してみてください。

秋田 拓也

プロフィール

その企業で築けるキャリアパスがわかっている場合は、それに合わせた内容で将来像を構成すると説得力がアップします。5年後の自分を目指すには具体的に何をするべきかも併せて示すことがポイントです。

希望や願望のような表現にならないように注意しましょう。

深掘りされても答えられるように対策を練る

「5年後の自分」の回答を考える際は、深掘りされても答えられるようにあらかじめ対策を考えておきましょう。

たとえば「英語力を活かして海外支店に勤務したい」という回答であれば、面接官から「では5年後、弊社の海外支店ではどのような業務をおこなっていると思いますか?」といった質問をされるかもしれません。または「5年後に海外支店に異動となった後、さらに5年後にはどのような業務を担当していると思いますか?」などの話にもつながる可能性もあります。

質問に対してすべてすらすら答えられる人は少ないですが、用意した回答から派生する質問はなるべく答えられるように準備することで、自社に入社した将来を見据えていると本気度を評価されやすく、ほかの学生にも差をつけられるでしょう

面接でどのような質問がされるかわからなくて怖いという人は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。新卒の面接で頻出される質問や、最終面接に向けて対策しておくべき質問について詳しく解説しています。

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NGとされる可能性も! 「5年後の自分」で避けるべき回答の4つの傾向

「5年後の自分」で避けるべき回答の4つの傾向

  • 退職をイメージさせることは避ける
  • プライベートが強い内容は避ける
  • 実現不可能なプランは避ける
  • 曖昧な表現は避ける

面接官に「5年後の自分」で好印象を残すためには、印象を下げる内容を入れないことも重要です。ここで解説する4つの傾向を避けつつ周囲に差をつけるコツを組み込めば、「5年後の自分」の回答をさらに完璧に仕上げられるでしょう。

ここからは「5年後の自分」でなるべく避けたい内容4つを解説します。

①退職をイメージさせることは避ける

企業は「5年後の自分」を通して、自社で活躍するイメージを持っているのか知りたがっています。そのためキャリアアップ制度を活用して将来独立する、別の職種に移っているといった退職をイメージさせることは避けてください

自分のスキルを高めるだけでなく、スキルを高めたうえでどのように志望先で活躍するかをアピールすることを意識しましょう。企業でどのように活躍しているかまでしっかり説明することで、面接官に退職を意識させずに話を聞いてもらえます。

小西 一禎

プロフィール

故郷へのUターン可能性や、家業を継ぐ可能性などについては、面接ではぐっとこらえて言わないようにしましょう。

また、その企業に海外拠点がないにもかかわらず、海外勤務希望なども言うべきではありません。中小企業との面接で「より大きな規模の企業で働きたい」などと言及するのも避けたほうが良いですね。

②プライベートが強い内容は避ける

自分が5年後どのように仕事をしているのかは、プライベートがあってこそ考えられるものです。しかし面接では、「家庭を築いている」や「育児休暇制度を利用している」といったプライベートな要素が強い内容を「5年後の自分」に設定することはなるべく避けましょう。

企業は「5年後の自分」を通して、企業と学生の将来のビジョンの方向性や適性、将来性などを評価します。そのためプライベートの話がメインになってしまうと、業務で判断する要素が少なくなってしまうだけでなく、質問の意図を理解していないと思われ評価が下がる可能性もあります

また「5年後の自分」だけでなく、志望動機でも「福利厚生が充実している」や「転勤がない」など、企業にとって学生を雇うメリットがないことをメインの理由として話すことも避けたほうが無難です。

とはいえ、実際に福利厚生の充実は企業に応募するための十分な動機となり得る人もいるでしょう。こちらの記事では、福利厚生が充実している企業について詳しく解説しています。

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就活生向けに多くの企業で導入されている福利厚生や人気の福利厚生をランキング形式で紹介し、福利厚生に着目した企業選びについて解説します。キャリアアドバイザーによる企業側の視点も解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

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③実現不可能なプランは避ける

「5年後の自分」では、努力次第で実現できる内容を伝えることが必要です。たとえば「5年後は役員を目指す」といった高すぎる理想や、国内での売上に力を入れている企業に対して「海外に進出して活躍したい」など、その企業で実現が難しいプランは避けたほうが良いです。

また理想を高くしすぎると、「自信過剰すぎる性格なのかな?」と思われる可能性があるため、説得力のある根拠と5年後までの計画をしっかりアピールできるような内容を作りましょう

④曖昧な表現は避ける

「5年後の自分」の回答は、自分の将来像を明確にする必要があります。イメージを言語化するのは難しいですが、面接官にも5年後の姿をイメージしてもらうために、よりわかりやすく伝えることを意識しましょう。

5年後の明確な姿や目標に至るまでの計画を伝えられないと、企業は学生の将来性や仕事に対するやる気などが評価できません。そのため「働いてみないとわからない」や「企業の方向性に合った活躍をしている」といった表現は避けましょう。

まだ働いていないのに5年後の姿なんて想像できません。理想だけを伝えても良いのでしょうか?

山路 和博

プロフィール

理想をもとにして具体性と妥当性を高めていこう

どのような目標も目指したい理想があってこそなので、自身にとっての「理想的な姿」から考え始めることはとても重要なことです。そこからプランとしての説得力を高め、育てていくためには具体性と妥当性を高めていく必要があります。

達成後の姿や取り組むべき課題が具体的で、そこに至るまでのプロセスに妥当性があれば、それは漠然とした単なる理想ではなく、立派な目標となります。

そして、この具体性と妥当性を高めるためには、考えの土台となる自己分析と企業研究が重要です。これらを徹底して、理想を目標に落とし込んでいきましょう。

「5年後の自分」の質問で働く意欲と将来性をアピールして選考を突破しよう

「5年後の自分」を問われたら、働く意欲と将来性をアピールする絶好のチャンスです。面接でしっかり答えるためにも、「5年後の自分」の将来像を明確にして、それに至るまでの計画も考えましょう。

今回解説した「5年後の自分」の考え方は、10年後の自分が何をしているのか、その企業に入ったらどのような業務を担当したいのかなど類似した質問の対策にもなります。これらの質問の対策にも活かせるように、自分の将来と企業が求める人物像を紐付けて考えて、選考突破を目指してくださいね。

アドバイザーコメント

自己理解と企業理解を深めたうえで「5年後の自分」を考えよう

面接で5年後の自分の姿について回答するには、その企業に入社した自分を具体的にイメージできるかどうかがとても重要です。

イメージができているのであれば自己理解と企業理解が進んでいる証拠だといえるでしょう。反対にイメージができない人は自己理解と企業研究を深める必要があります。5年後に自分はどうなっていたいかを考え、どんなステップを踏めば実現できるのかを考えてください。

この質問を通して企業が知りたがっているのは、「これまでの経験をどの部署で活かせるか」「5年後に目標をかなえるにはどのような成果を上げる必要があるのか」などを学生が深く考えられているかどうかです。

そのため面接の前には、5年後の自分をイメージするだけでなく、そのイメージをかなえるために入社後にするべき行動などを具体的に抽出してください。漠然とした将来像ではなく、具体的な計画性をもとに5年後の自分の姿を思い描いていきましょう。

中長期的な将来像は段階的に考えていくのがポイント

中長期的なキャリアプランを描くには、5年後だけでなく10年後の自分をイメージすることも大切です。

5年後の自分は「何ができるようになっているか」を想像してください。そのイメージをベースに、今度はそこからさらに5年経った自分を思い描くのです。目標をかなえたらその次にどういったステージがあるのかにも考えを広げることで、5年後の自分をいっそう具体的にイメージできます。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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