本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「シスメックスはやばい」
シスメックスは医療機器の分野において、世界でもトップクラスのシェアを誇る企業です。しかし、「業績が悪化している」「現場は激務」といった理由から、「やばい」と言われることがあるようです。
この記事では、シスメックスが気になっている人に向けて、同社が本当にやばい企業なのかを紐解いていきます。さらに、就活の専門家であるキャリアコンサルタントからプロ視点での解説もしているので、併せて読んでみてください。
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1分でわかるシスメックス
シスメックスとは
血液や尿などを調べる「検体検査」領域を中核事業とするグローバルなヘルスケア企業。医療機関向けに検査機器、試薬、ソフトウェアの研究開発から製造・販売・サポートまでを一貫して手がけ、主力の血球計数検査(ヘマトロジー)などの分野で世界トップシェアを誇る。
世界190以上の国と地域に製品を供給し、近年は国産初の手術支援ロボット「hinotori」の展開や、個別化医療に向けたライフサイエンス分野などにも事業を拡大。
| 会社名 | シスメックス株式会社(SYSMEX CORPORATION) |
| 従業員数(連結) | 11,731名(2026年3月31日現在) |
| 本社所在地 | 兵庫県神戸市 |
| 主な事業 | 臨床検査機器、検査用診断薬ならびに関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入 |
| 売上高(連結) | 5,086億4,300万円(前年同期比10.2%増)(2025年3月期) |
| 営業利益(連結) | 875億8,300万円(同11.7%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.sysmex.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.sysmex-info.com/ |
「シスメックスがやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「シスメックスがやばい」と言われる4つの理由
シスメックスがやばいと言われる理由を4つ紹介します。それぞれの理由について、根拠となるデータや情報を用いて解説していきます。また、キャリアコンサルタントからのプロ目線でのアドバイスも参考にしてみてください。
①業績が悪化していて将来性がないから
シスメックスは2025年3月期に売上高が5,000億円を突破し、右肩上がりに業績を伸ばしています(※1)。市場の約55%のシェアを誇る主力事業であるヘマトロジー分野を中心に、海外への売上高を86.7%まで拡大するなど、事業成長に向けた取り組みを推進しているようです。

実態と異なって業績悪化という噂がされる理由として、一時的に多額の損失があったことが挙げられます。
たとえば、手術支援ロボット事業における計画の達成が困難になったことで、2024年3月期に129億5,500万円の損失(※2)があったり、ドイツの子会社を買収したことで、2025年3月期に31億7,200万円の減損損失(※3)を計上したりしています。
過去の損失だけで判断せず、企業の現状まで確認すると良いでしょう。
※1 シスメックス 有価証券報告書
※2 シスメックス 有価証券報告書 2024年3月期
※3 シスメックス 有価証券報告書 2025年3月期
プロのアドバイザーはこう分析!損失の裏には売り上げを伸ばした経営努力がある
シスメックスは、確かにドイツやイギリスの子会社に関連して、数年間にわたり「のれんの減損損失」を計上しています。
しかし、一方で2024年度の売上高・営業利益・当期利益はいずれも過去最高を更新し、売上高は5,000億円の大台を突破しました。
この「損失」と「最高益」の共存は、同社が主力の検体検査事業で稼ぎ出した豊富な資金を、手術支援ロボットや再生細胞医療といった次世代の成長領域へ果敢に投資し続けている結果と言えます。
成長のためにリスクを取れる企業に価値がある
就活市場では「安定」が重視されがちですが、真に将来性があるのは、リスクを取って挑戦し続ける財務的体力のある企業です。
また、同社はアジアの製造業で初めて人的資本開示の国際規格「ISO30414」を取得するなど、「社員の成長」を経営の柱に据えています。
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②中国市場で業績が伸び悩んでいるから
2025年3月期のシスメックスの業績において、中国市場での売上は1,179億7,000万円を計上しており、これは同社の連結売上の23.2%を占めております(※)。
しかし、2018年頃から中国国内で医療費抑制政策によって医療制度の見直しが進められたことで、シスメックスの製品を販売する機会が減少し、業績に影響が出ているのではないかと言われているようです。
ただ、同社は2018年3月期以降、中国市場での売上を右肩上がりに伸ばしています。一時的な逆風はあるものの、グローバル展開でカバーしているため、業界の傾向だけで判断せず、実際の数字を見て見極めることが大切になるでしょう。

プロのアドバイザーはこう分析!中国の逆風で一時的な停滞! 政府の医療費抑制で大幅な減益を得る
中国市場の動向については、業界のトレンドと足元の業績データを多角的に検証する必要があります。
日本経済新聞などの直近の報道によると、中国政府が推進する医療費抑制政策(集中購買制度:VBP)などの影響により、同社の決算は中国統括セグメントが低迷したことで減収大幅減益となりました。
政府主導の検査単価引き下げが、高収益源である試薬の販売価格に下押し圧力をかけている事実は否めません。
欧米など他地域の躍進が中国のマイナスを完全にカバーした
一方で、米州や欧州(EMEA)などの他地域ではヘマトロジー(血球計数検査)分野を中心に非常に堅調な成長を維持しています。
2027年3月期は中国以外の地域での拡大や新製品の寄与を軸に、連結業績予想で5,350億円の増収増益を見込んでいます。
局所的なリスクにとらわれず全体の地力をセットで評価しよう
中国における政策リスクという事実を認識しつつ、それを相殺する他地域でのグローバルな展開力や地力と合わせて評価することが重要です。
③医療現場はプレッシャーがあり激務だから
シスメックスは医療分野で事業を展開する企業です。人の命にかかわる医療器具を扱うため、開発エンジニアとして安全な製品を作ったり、トラブルが起きれば、フィールドエンジニアとしていち早く修理や点検をおこなったりすることが想定されます。
そういったプレッシャーがかかることや、緊急対応で激務になるという可能性が、「やばい」と言われる要因になっていると考えられます。
確かに医療の現場ではある程度の緊張感は必要になりますが、平均残業時間自体は17.0時間(2025年度)(1※)と、製造業界平均の14.7時間(2025年度)(※2)と大きな差はなく、激務が常態化しているというよりは、一時的に忙しくなることを想定しておくことが良いようです。
※1 厚労省 女性の活躍推進企業 シスメックス株式会社
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報
アドバイザーのリアル・アドバイス!「いつでも忙しい」は誤解! 特定の時期に負荷がかかる医療業界のリアル
シスメックスにおける「激務」の正体は、慢性的な長時間労働ではなく、特定の局面に負荷が集中しやすい働き方です。
医療機器の開発では安全性・精度の厳密な検証が不可欠であり、不具合が生じた際は原因究明と再発防止に多大な時間を要します。また、営業やフィールドサポートの職種でも、医療現場の稼働スケジュールに合わせた柔軟な対応が求められ、突発的な業務調整が日常的に発生します。
業界共通のハードさ! 組織でカバーし合える仕組みがあるかが最重要
しかし、これらは医療系メーカー全般に見られる傾向であり、同社固有の問題ではありません。重要なのは、繁閑の波があることを前提とし、チーム内で業務が適切に分担されているか、無理な属人化が生じていないかを見極めることです。
「激務」の噂に惑わされず説明会や面接で実際の波を直接確かめよう
就活生の皆さんは、面接や説明会において「繁忙期の働き方」「突発対応の頻度」「配属職種ごとの残業実態」を確認してください。「激務」という言葉の印象だけで判断せず、実際の働き方に自分が心から納得できるかどうかを軸に企業を評価することが、ミスマッチのない就職活動につながります。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④独占禁止法違反の疑いで調査が入ったから
2024年6月4日、シスメックスは血液凝固測定装置とその試薬について独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による検査を受けました(※1)。
その後、2025年2月に同社が確約計画を提出し、公正取引委員会が認定したことで、違反はなかったと証明することができ、調査は終わりました。同社もコンプライアンスの徹底と再発防止に努めると公表しています(※2)。
疑いがかかったことは事実ではありますが、その真偽と発覚後の対応も含めて企業を評価するようにしましょう。
※1 シスメックス 有価証券報告書 2024年3月期
※2 シスメックスレポート 2025
プロのアドバイザーはこう分析!違反の疑惑は晴れていて企業は改善に向けて動いている
ニュースを見て不安に思う気持ち、よくわかります。しかし、ニュースの表面だけでなくその後の企業の対応まで見ることが大切です。
具体的には、2024年に公正取引委員会から独占禁止法違反の疑いで調査を受けましたが、2025年2月にシスメックスが提出した「確約計画」が認定され、「違反があった」と認定されることなく調査は終了しています。
企業側はこの疑いを受けた事実を重く受け止め、再発防止とコンプライアンスの徹底を一層強化すると宣言しています。
一時的なトラブルよりも企業の動き方で本質を見極めよう
就活市場では「不祥事=リスク」ととらえがちですが、投資家含めプロの視点では「起きた問題にどう誠実に向き合い、改善したか」を重視します。
シスメックスは検体検査で世界トップシェアを誇るだけでなく、人的資本開示の国際規格を取得するなど、透明性の高い経営を志向しています。
市場の評価は、一時の疑いよりも、本質的な事業の強さと誠実なガバナンスによって決まるので、影響が長引くことはないと考えます。
あなたが受けないほうがいい職業を知っておこう
就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。
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早いうちに自分に合う職業・合わない職業を知って、就活を成功させましょう。
断片的な情報だけで判断しないなことがポイントになる
10,000人以上の従業員を有する大企業でも、業界の動向や世界の市場の変化によって、業績に影響が出ることがあります。そのため、一時的な情報だけでなく、現状を含めて包括的に企業を見つめることが大切です。
企業側が出している正式なデータを用いて、実態を把握するようにしましょう。
プロのアドバイザーはこう分析!イメージ先行は卒業! リスクとグローバルな強みのバランスを見極めよう
シスメックスを志望する上で注目すべきは、「特定市場の変動リスク」と「グローバルな事業基盤の頑健さ」のバランスです。
へマトロジー分野で世界トップシェアを持つ強みがある一方、直近の報道が示す通り、中国市場の政策変化といった特定地域の環境悪化が全体の利益を一時的に圧迫するリスクも併せ持っています。
単年の「やばい」という噂に流されず、こうした国際政治や医療政策が業績に与える影響の仕組み(構造)を、開示情報から冷静に読み解く姿勢が求められます。
一本足打法からの脱却! 特定国に頼らない分散投資と安心の労働環境
また、同社は2027年3月期に向けて新興国展開や日本電子からの生化学事業の承継など、特定の国に依存しないためのリスク分散を進めています。
平均残業時間は17時間と製造業平均並みで、新卒のジョブマッチング配属による納得度の高いキャリア形成など、労務・人事面での客観的な制度構築も進んでいます。
安定の看板に甘んじない! 激変する市場を勝ち抜く戦略に注目しよう
「医療に貢献する安定企業」というイメージだけでとらえず、変化の激しい市場を勝ち抜くための「地域分散や多角化の動き」というポイントに着目すると良いと思います。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント
Gaku Baba〇製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事する傍ら、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。幼児教育事業も展開するなど、幅広い年代のキャリア支援に携わる
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC
Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり
プロフィール詳細