この記事のまとめ
- 法学部の就職先は多岐に渡るからこそ軸が重要
- 法学部生は法律の知識以外もアピールポイントがある
- 法学部生が面接で聞かれやすい質問や必須の対策方法も解説
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この記事を読んでいる人に
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就活を控えた法学部生の中には「法学部の就職先が想像できない……」「法学部生であることが強みになる就職先はあるの?」と悩んでいる人もいるでしょう。
法学部の就職先といえば弁護士などの法律家をイメージする人が多いかもしれません。たしかに法にかかわる仕事を選ぶ学生もいますが、実際には専門分野以外の業界や職種に就いている学生も多く、ほかの分野の仕事でも法学部生であることを強みに活躍することも可能です。
この記事では、キャリアアドバイザーの小松さん、上原さん、内藤さんと一緒に、法学部におすすめの就職先や法学部生がするべき対策を解説します。法学部で就職先に迷っているなら、ぜひ参考にしてみてください。
法学部の就職先は多岐に渡る! 視野を広げて就活をしよう
法学部は弁護士を目指す人が選ぶ学部というイメージの人もいるかもしれませんが、実際の就職先は多岐に渡ります。
あらゆる企業は法律に基づいて企業活動をする必要があり、法学部で学ぶ法律に関する知識やノウハウはビジネスの場でも活かせます。自分に合った就職先を見つけるために、イメージにとらわれず視野を広げて就活をしましょう。
この記事では、まず法学部生の就職状況を解説します。次に法学部で学んだことを活かしやすいおすすめの就職先や職種を紹介するので、自分に合う進路を考えるきっかけにしてください。
また、法学部生必須の就活対策も解説し、面接で聞かれやすい質問と回答例も紹介します。この記事を読んで、法学部の強みを活かしながら就活を成功させましょう。
実態を知ろう! 法学部生の就職状況
まずは法学部生の就職状況を確認しましょう。資格を取得して法律関係の仕事を目指す人もいるため、ほかの学部と比べて違いはあるのでしょうか。
ここからは法学部の就職率やどのような進路を希望しているのかを解説します。法学部の就職状況を捉えて、自分に合った進路を考えてみてください。
法学部の就職率
大学通信ONLINEが医科・歯科の単科大などを除く全国555大学から得た回答をもとにまとめた2022年 学部系統別実就職率ランキングによると、法学系の上位30大学の平均実就職率は89.6%です。
上位30大学の平均でほかの学部と比べてみると、法学系の数値はやや劣っているといえます。法学部は法曹や公務員を目指して浪人する人も多いため、やや実就職率が低くなる傾向にあるようです。
実就職率の計算式
実就職率(%)=就職者数÷(卒業者数-大学院進学者数)×100
- 法学部は就活に強いと聞いたことがあるのですが、本当ですか?
「法学部だから」というだけで就活で有利になることはない
一般的に法学部の入学難易度が高いことに加えて、法学部で学べるビジネス法務や国際法の知識などがビジネスシーンに応用できることから、法学部生は優秀な人材というイメージがあるかと思います。
しかし、実際のところ「法学部だから」という理由だけで評価を上げる企業はあまり耳にしたことがありません。特に新卒採用では、コミュニケーションスキルやチャレンジ精神などの人間性や汎用的なスキルが採用項目として重視される傾向にあるので、専門知識が重視されることは少ないのです。
法律知識が業務に活かせるような特定の業種や職種でもない限り、あまり学部の優劣を考える必要はないでしょう。
法学部の進路
法務省・文部科学省の法学部に在籍する学生に対する法曹志望に関するアンケート調査結果によると、令和2年度以降入学者の募集を継続する法科大学院を設置する35大学に在籍する学部生が将来の職業(第一志望)に考えている進路は以下のとおりです。
このように、法学部生は法曹や法曹以外の隣接法律専門職を希望する人も多くいますが、民間企業や公務員を志望している人も多いのです。
隣接法律専門職とは
個別法に基づき弁護士の職域の隣接域を自己の専門職域とする法律資格者のこと。公認会計士、税理士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士などが含まれる
法学部生におすすめの就職先11選
法学部で学んだ知識やスキルが仕事で役に立つのかわからないと思っている学生もいるかもしれませんが、法律に関係のない企業は存在せず、さまざまな場面で大いに役立ちます。
では具体的に法学部の学びはどのような業界で役立てられるのでしょうか。ここからは法学部で学んだことを活かしやすい就職先を解説していきます。広い視野を持って自分には何が合っているか考えてみましょう。
①法曹界
法学部は、学んだ知識を活かして法曹界を目指す人が他学部より多い傾向にあります。
法曹界とは
法律関係の仕事に携わる業界のこと。弁護士や裁判官、検察官などの職業を指すことが多い
法曹三者と呼ばれる弁護士・裁判官・検察官になるためには、最難関の国家試験である司法試験を突破しなくてはなりません。
また、司法試験を受けるためには、法科大学院の課程を修了するか司法試験予備試験に合格する必要があります。法曹を目指す人の多くは法科大学院(ロースクール)に進むため、大学在学中に司法試験に合格し、大学卒業してすぐに法曹の道に進む人はごくわずかです。
ただし司法試験に合格していなくても、法律事務所や行政書士事務所などに就職し、業務のアシスタントとして働くことは可能です。また、仕事と同時進行で資格取得を目指すこともできるため、将来法曹三者になりたいと考えている人にもおすすめです。
法律に関連する職種
- パラリーガル:弁護士の指示により法律案件に関する業務を補助する
- 弁護士秘書:スケジュール管理や資料作成など弁護士のサポートをする
- 行政書士補助者:書類作成などで行政書士のサポートをする
②公務員
公務員
国や地方自治体に勤務し、安定した社会の土台作りをする仕事
公務員も法学部生におすすめの就職先です。なぜなら公務員試験では、政治学や憲法、行政法、民法など、法律にかかわる内容が多く出題されるため、法学部生は公務員試験対策がしやすいというメリットがあるためです。
また、法学部では国や地方の政策を学ぶことも多く、公務員の仕事に関して知る機会もほかの学部に比べて多くなります。仕事内容に興味を持ちやすく、学んだことを仕事に活かしやすい点もおすすめのポイントです。
公務員の就職先例
- 国家公務員
法務教官、入国審査官、刑務官など - 地方公務員
地方自治体の職員、公立学校教員、警察官、消防官など
公務員は民間企業とは異なり、事業内容や業務が法律に則って規定されています。いわば法的根拠に基づいた活動をおこなっているため、より法律への理解が求められるのです。
法学部生は法律を学ぶ過程で人間社会そのものへの理解や倫理観を養うため、公共性の高い公務員に適しているといえるでしょう。
公務員に興味のある人はこちらの記事も参考にしてみてください。公務員と民間企業を併願する場合の進め方を解説しています。
公務員と民間企業の併願で共倒れ? 状況別で両立のコツを解説
刑務官に興味のある人はこちらの記事を参考にしてみてください。刑務官の基礎知識や志望動機の書き方をまとめています。
例文7選|刑務官の志望動機の要は将来像? 就活のプロが徹底解説
③金融業界
金融業界
お金にさまざまな形でかかわり、価値を提供する仕事を担う業界。銀行、保険、信託、証券、カード会社などが含まれる
金融業界は多くの法的規制が存在するため、働くうえで法律の知識を求められることも多く、法学部で学んだ知識が活かしやすい就職先といえます。
また、顧客に金融商品を紹介したり情報をリサーチして分析したりする際に、筋道を立てて冷静に考えられる思考力が求められる場面も多くあります。そのため、法学部の討論や議論などで培った論理的思考力や調整力を発揮できるのです。
お金を取り扱うため大きな責任をともないますが、自分の知識を活かして、「多くの人の役に立ちたい」「顧客の人生に深くかかわりたい」と考えている人におすすめです。
- 多くの人の役に立ちたいと考えていますが、数字に苦手意識があります。金融業界には向いていないでしょうか?
数字が苦手でも経験を積めば慣れ親しむことができる
金融業界には数字に関連する職種だけでなく、幅広い役割の職種が存在します。法学部に関連しそうな法律や規制に関連する職種では、数字よりも法的な考え方自体や法律・コンプライアンスに関する知識が重視されます。
また数字に苦手意識がある場合でも、数値に関するトレーニングや経験を通じて徐々に慣れ親しむことができるでしょう。
大切なのは、苦手ではあっても前向きに取り組もうとする意欲です。最終的な選択は、自分の興味や強み、キャリアの目標に基づいておこなうべきです。多くの人の役に立ちたいという思いを大切にしてくださいね。
金融業界に興味がある人は以下の記事を参考にしましょう。金融業界の動向や就活対策を詳しく解説しています。
金融業界を徹底調査! 押さえておくべきトレンドや対策まで大解剖
金融業界の中でも、特に銀行に興味のある人はこちらの記事も参考にしてみてください。銀行の志望動機の書き方を紹介しています。
例文14選|銀行の志望動機がスラスラ書ける簡単6ステップ
④商社
商社とは
国内外の企業から製品を調達し販売する仕事。売り手と買い手を結び付けて取引の仲介をする。あらゆる商材を取り扱う総合商社と、特定の専門分野に絞って取引を手掛ける専門商社がある
商社のビジネスモデルはおもにトレーディングと事業投資の2つがあり、それぞれの組み合わせによって収益を得ています。
商社のビジネスモデル
- トレーディング
仲介業者として需要と供給を結びつける。手数料収入と売値買値の差額(マージン)で収益をあげる。 - 事業投資
将来性のある会社や事業に経営資源を投資する。取込利益や配当金、株価の上昇により利益をあげる。
商社は法律の知識が必要な業務が多く、法学部で学んだ知識が活かせます。たとえば営業では商法や民法の知識、海外とのやりとりでは国際法の知識が役立ちます。学んだ知識や身に付けたスキルを活かして、海外で働きたい人やスケールの大きな仕事がしたいと考えている人におすすめです。
商社では、国内外のビジネス取引や契約交渉が日常的におこなわれます。法学部生は法律や契約の知識を習得しており、法的な規制や契約条項の解釈を得意とするので向いているといえます。
法的な視点から問題を分析し、リスク評価や法的な助言をおこなうことで商社の活動に貢献できるとアピールすると良いでしょう。
商社に興味がある人は以下を参考にしましょう。商社を理解するために知っておくべきことや志望動機の作成方法を詳しく解説しています。
総合商社・専門商社別の志望動機例文10選|必須の対策4選も解説
商社の中でも5大商社に興味がある人はこちらの記事も併せて参考にしてみてください。各社の特徴や入社難易度の高い5大商社に就職するための対策を解説しています。
5大商社を徹底比較! 事業や社風の違いから内定への道筋まで解説
⑤マスコミ業界
マスコミ業界とは
メディアを通して多くの人々にさまざまな情報を届ける業界。出版、テレビ、新聞、広告会社など
マスコミ業界も法律と密接なかかわりがあり、法学部の知識が活かせます。
影響力の大きいマスコミ業界では、情報を発信したり取り扱ったりする際に法律で定められた規制が多く存在します。また、法律や政治に関連する情報を発信する場合は、正しい知識が求められます。
マスコミ業界は扱う情報の分野を特定している企業や職種でない限り、どの分野の情報も担当する可能性があるため、好奇心旺盛な人や広い視野を持って物事を追求できる人におすすめの業界といえます。
マスコミ業界に興味を持っている人はこちらの記事も併せて参考にしてみてください。
広告関連
例文7選|広告業界で勝ち抜く志望動機の書き方と差別化のコツ
出版社
出版社への就職を叶える5つの必須準備|トレンドや選考対策も解説
テレビ局
テレビ局への就職を有利にする6つの方法|志望動機例文も紹介
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
⑥製薬業界
製薬業界とは
医薬品の研究開発や製造、販売をする業界
製薬業界で取り扱う医薬品は、人の生命にかかわるものであるため、安全意識の高まりから年々法規制が厳しくなっています。
製薬業界というと研究職や開発職を思い浮かべ、理系の就職先のイメージが強いかもしれません。しかし、法学部で学んだ法律の知識や法の改正や判例を正しく解釈して対応する能力などを活かせる業界のため、文系の法学部でも就職は可能です。
法学部生は、医薬品の安全にかかわる職種で特に活躍が期待できますよ。
製薬業界で法学部生が活躍しやすい職種
- MR(医薬情報担当者):医療関係者に対し、自社の医薬品販売したり情報を伝えたりする
- 安全性情報管理:医薬品の副作用情報を収集・評価し、安全性を監視する
- 法務:医薬品の適正使用を促進するための添付文書の内容と法的規制の整合性の確認など、企業がかかわる法律的な業務を担当する
- 製薬業界は理系のイメージが強いですが、法学部から就職しても評価や昇進に影響はありませんか?
製薬業界は多くの文系出身者が活躍している
会社での評価や昇進は、いかに会社に貢献できたかが判断材料の一つとなります。企業にはさまざまな職種があり、それぞれが重要な役割を担っています。
そのため製薬業界では、理系出身者が活躍する研究職などだけでなく、多くの文系出身者が活躍しています。法学部生は法的な知識と規制に関する理解を持っているため、本文中にもある職種で製薬企業においても活躍できると思います。
しかし、入社後の評価や昇進などよりも、「自分が楽しく働けそうか」「自分に合った業界や企業であるか」も大切なので、この2点も併せて見極めていきましょう。
⑦不動産業界
不動産業界とは
土地や建物を取り扱い、開発・販売・賃貸・仲介・管理を担う業界
不動産業界は、公平な取引や不動産に関連する権利や義務を守るために法律知識が必要なため、法学部で学んだ知識やスキルを活かしやすい業界です。
また不動産業界で取得を目指す人が多い「宅地建物取引士」は、法学部で学ぶ民法などからの出題が多い傾向にあり、法学部生は資格取得を有利に進めやすいメリットがあります。
不動産業界は「法学部だから内定がでる」というほど甘いものではありませんが、在学中に宅建の資格を取得する予定であることをアピールしておくことも一つの手です(毎年7月に申込期限があります)。
法学部生は、民法や不動産取引のルールを理解しているという点が大きな強みです。また契約書類のチェックや交渉など、法学部で学んだ論理的思考能力や交渉力を長期インターンシップやゼミで運用した実績を語れればベストです。
不動産業界の中でも、開発事業がメインのディベロッパーに興味のある人はこちらの記事を参考にしてみてください。
ディベロッパー大手6社を徹底比較! 人気業界を突破する5つの正攻法
以下の記事では不動産業界を志望動機の書き方と注意点をまとめているので参考にしてみてください。
例文5選|不動産業界の志望動機を書く3つのコツと注意点を解説
⑧建設業界
建設業界とは
構造物の計画設計から工事現場の施工管理、完了後の維持管理などを担う業界
建設業界は一見法律と関係が薄い業界に見えますが、建物を建設する際は非常に多くの法律が関係し、法律を遵守して適切に進める必要があります。
建設業界に関連する法律
- 建築基準法
- 都市計画法
- 消防法
- 建築業法
- 国土利用計画法
上記で紹介した以外にも地域によっては条例があったり、個々の法律には関連法令が付属したりと、建設業に関連する法律や条例は多く存在します。そのため、法律の知識を身に付けている法学部生は、ベースとなる知識や法律への理解力を活かして仕事に臨めるのです。
建設業界についてもっと詳しく知りたい人はこの記事がおすすめです。具体的な仕事内容だけでなく今後の動向なども紹介しています。
建設業界の全貌がわかる! 課題・動向から仕事内容まで徹底解説
⑨IT業界
IT業界とは
情報技術を活用したサービスを提供する業界
IT技術の進化やインターネットの普及にともない、今までなかったような新しい問題が次々に表面化するようになりました。まだ法整備が整っていないこともあり、法学部生の法律知識や問題解決能力は多くの企業で必要とされる能力といえます。
また、ITと法律を掛け合わせたLegalTech(法律×テクノロジー)も最近注目が高まっています。これは法律や行政サービスなどにテクノロジーを活用する試みで、手続きの簡略化を目指す目的があります。
これらを運用するためにはITの知識だけでなく、法律の知識も必要になるため、法学部で学んだ知識をITの領域でも活かすことが可能です。
IT業界というと技術職のイメージが強く、理系や専門的な勉強をした人でなくては就職するのが難しいイメージを持っている人もいるかもしれませんが、最近では文系や未経験の人を積極的に採用する企業も増加していますよ。
IT業界で法学部生が活躍しやすい職種
- 営業職:自社のIT製品やサービスの販売をする
- 事務職:ITエンジニアのサポート業務をする
- テクニカルサポート:製品に対する問い合わせ窓口となり、顧客対応をする
- IT法務:システム開発契約の締結からITサービスが納品されるまでの各工程を法的観点から監督する
IT業界に興味のある人はこちらの記事も参考にしてみてください。未経験者に役立つIT業界情報を解説しているので、法学部生がIT業界を目指す際のポイントがわかります。
未経験からIT業界に就職する秘訣とは? 必要なスキルまで徹底解説
また、本文中で紹介したテクニカルサポートの仕事内容について詳しく知りたい人は、この記事を確認してみてください。
テクニカルサポートの仕事とは? 魅力から厳しい一面まで実態を解説
⑩コンサルティング業界
コンサルティング業界とは
顧客が抱える問題に対して、解決策を提案して改善する仕事を担う業界。企業の抱える問題はさまざまなため、経営戦略、IT、人事、財務などさまざまな領域に特化したコンサルタントが存在する
コンサルティングとは顧客のニーズを捉えて解決策を提案することで、企業の問題を解決することを指します。そのため、「誰かの助けになる存在になりたい」と考えて法を学んだ人にはコンサルティング業界もおすすめです。
企業が抱える問題によって求められる知識は異なるので、コンサルティング業界では最初から専門知識を持っていることが重要視されるというよりは、基礎的な能力や学ぶ意欲が重要視される傾向があります。
法学部生は、法律の勉強を通して問題に対して多角的に考える思考力や、今ある概念にとらわれずに解決策を考える問題解決力を身に付けているため、大きなアドバンテージになる可能性が高くなります。
法学部生がコンサルティング業界で活躍するためには、論理的思考力や問題解決能力、コミュニケーション力、リーダーシップなどが求められます。
法学部で学ぶ論文作成やディベート、現実的な問題解決、洞察力などはコンサルティング業務との親和性が高いので、大学で学んだことをどのように企業の問題解決に役立てるかを説明できると良いでしょう。
コンサルティング業界に興味のある人はこちらの記事も参考にしてみてください。コンサル業界の概要から志望動機のポイントまで解説しています。
例文12選|コンサルの志望動機で必須のアピール内容とNG例を解説
⑪人材業界
人材業界とは
求人募集をする企業と、就職先を探す求職者をつなぐ業界
人材業界も法律と深くかかわりのある業界です。たとえば、求職者の応募書類を取り扱う際は個人情報保護法、仕事を紹介する際は労働基準法などの法律知識が必要です。
また人材業界のキャリアアドバイザーは、求職者と企業双方のニーズを捉え、問題を解決する役割のため、法律の勉強を通して学んだ調整力や交渉能力を活かして活躍できる可能性が高くなります。
人材業界は常に人と向き合い密接にかかわるため、誰かの人生に寄り添いサポートしたいと考える人にはおすすめの業界です。さまざまな領域の企業とも深くかかわるため、幅広い知識を身に付けやすい魅力もあり、学ぶ好奇心が強い人に適性があるといえます。
人材業界に興味を持っている人はこちらの記事も参考にしてみてください。人材業界に求められるスキルや志望動機の作成方法を解説しています。
例文6選|人材業界の志望動機を作る3ステップとやりがちなNG例
アドバイザーコメント
小松 茂樹
プロフィールを見る法学部で学んだことは特に公務員の仕事で活かせる
どんな業界であっても何かしらの法規制がありますが、法律や条例による規定が強い業界であるほど、法学部で身に付けた法律知識や考え方が活かされるでしょう。
具体的には、まずは公務員が挙げられます。上述の通り、公務員の事業や業務には法的な根拠があり、「できること・できないこと」「やって良いこと・いけないこと」が明確に定められています。公共性の高い職務なので、社会の秩序を守る法の存在と相性が良いといえるでしょう。
金融業界や不動産、人材業界、IT業界もおすすめ
ほかには金融や不動産、人材紹介や派遣などの業界では、人々の財産や心身を保護するためにさまざまな法律が定められているので、ビジネスのプロセスや意思決定に法律知識や法令遵守の考え方が大いに役に立つことでしょう。
またIT業界でも、近年ではプライバシーや知的財産保護の観点から法律知識が求められる場面が増えてきています。業界の成長スピードに成熟が追いついていない状況もあり、今後の活躍が見込めるフィールドだといえるでしょう。
公共性が高く、法律知識を社会課題解決に役立てるという点では、NPO(非営利団体)やNGO(非政府組織)も選択肢の一つですよ。
法学部生におすすめの職種4選
法学部生におすすめの職種4選
- 法務職
- 労務職
- 総務職
- 営業職
法学部生におすすめの業種を理解できても、「興味のある業界の中でどのような職種が向いているのかわからない」という人もいるでしょう。
ここからは、法学部生におすすめの職種4選を解説します。法学部生はどのような仕事で活躍しているのか確認しましょう。
1点注意してほしいのは、新卒採用では総合職採用が多いということ。必ずしも職種を限定して応募できるわけではなく、総合職で採用して適性に応じてさまざまな部署に配属する企業が多くあるということは覚えておいてくださいね。
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①法務職
法務職とは
企業活動における法律関係の業務を専門的に扱う職種。具体的な業務内容は、契約書の作成や確認、法令遵守の周知徹底促進、社内規定の作成や整備、社内の法律相談など
法務職は法律の専門家として企業で活躍できる職種です。法学部で学んだ知識をそのまま活かしやすいという点から、法学部生に人気があります。
一定以上の規模であれば法務部を設置している企業が多くあり、金融や商社、メーカーなど法務職の活躍の場は多岐にわたります。そのため、自分が仕事に求める条件や興味のある分野に応じて、就職先を選びやすいメリットがあります。
しかし新卒採用ですぐに法務職に配属される可能性は低く、ほかの部署で現場を経験してから法務部に配属されるケースが多くなります。法務職の仕事は、自社サービスや現場を理解している必要があるためです。
また、中小企業の場合は事務職の社員が法務も担当している場合もあります。法務職を希望している人は、業務範囲やキャリアパスをOB・OG訪問や企業説明会などで確認してから応募すると安心ですよ。
- 総合職で入社する場合、法務職を希望していることを面接時に伝えない方が良いですか?
「将来的に就きたい」と伝える分には問題ない
企業が総合職を募集する場合、一般的には入社した社員が企業全体を理解して、幹部候補としてさまざまな業務や部門で経験を積むことを期待しています。
そのためはじめから特定の職種を強く希望することを伝えると、総合職採用の意図を理解していないと受け止められる可能性があります。
とはいえ、近年では主体的・自律的にキャリアを築いていくことが重視される傾向もあるため、将来的に法務に従事したい意思を示すことはNGではありません。入社後に多様な経験を積むことを前提としたうえで、意思表示をする程度に留めるのがベターだといえるでしょう。
そのためには、職務だけでなく会社自体や事業そのものに対する関心を示すことや会社からの指示や期待に柔軟に対応する意思を示すこと、ビジネスパーソンとしての総合的な成長と会社への貢献意欲を示すことが有効です。
②労務職
労務職とは
入退社手続きや社会保険手続き、給与計算や労働環境の整備などを担当する職種。人事部の中に労務担当者がいる場合もあれば、人事と労務が分かれている企業もある
労務の仕事は、労働法などの労務関連の法律知識が求められるため、法学部で学んだ知識を活かせる職種です。
労働環境のトラブルがあった際は、企業と従業員の間に立ち、問題解決を迫られることもあります。また法律や制度の改定にともなう知識のアップデートもスムーズにする必要があるため、情報収集力や継続して学ぶ力も必要です。
知識を用いて従業員が安心して働ける職場づくりを目指す職種のため、縁の下の力持ちとして活躍したいと考えている人におすすめの職種です。
③総務職
総務職とは
社員が働きやすいように環境を整えるためにさまざまな業務を担当する。ファイリング、備品管理、会議や社内行事の企画運営、庶務、重要文書や郵送物の管理など。総務部門が法務、人事、労務、経理、広報などの業務を担っている場合もある
総務職の仕事は幅広く、企業内のほぼすべてにかかわるといっても過言ではありません。企業の機能が円滑に働くようにさまざまな課題解決にあたることが総務職の役割のため、法学部で培った幅広い法律の知識や課題解決力を活かして働ける仕事といえます。
なかには目立たない業務も多くありますが、「社員全員を支える存在になる」といった気持ちを持っている人におすすめの職種です。
総務職は、組織全体の管理や企業文化の形成にかかわる役割があります。
法学部生は組織の規則やルールに対する理解があるので、知識を活かすことができる機会が多いと思います。また文書作成能力も活かされるでしょう。
④営業職
営業職とは
営業活動を通して、自社の商品やサービスの購買や契約を促す仕事
営業職は、直接法律を使って仕事をする場面は少ないですが、個人情報を取り扱う際や契約締結時の契約書作成の際などで法律が関与してきます。販売や契約のトラブルを未然に防ぐためにも、法律の知識があることは営業としての武器になります。
ほかにも営業では、商品やサービスを売る際に相手のニーズを捉えて納得する論理的な説明をする必要があり、法学部で培った論理的思考力や読解力が活かせます。
営業職に興味のある人はこちらの記事も参考にしてみてください。営業職の仕事内容や求められる力を解説しています。
例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ
営業職は向いてなさそうと感じる人はこちらの記事も参考にしてみてください。仕事選びの視野が広がる可能性もありますよ。
営業に向いてない人の16の特徴|不向きな人におすすめの道も解説
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る法学部で得たスキルと自分の興味を掛け合わせて仕事を選ぼう
法学部生におすすめの職種でまず思いつくのが法律家です。具体的には、弁護士や公認会計士事務所のスタッフなどですね。これらの仕事は、法律の専門知識やスキルを活かして問題に対処することが求められます。
また、行政や司法の分野で公務員として働くことも選択肢の一つです。具体的には、裁判所や検察庁、国家公務員などの公共機関で法的な業務を担当することになります。
論理的思考や問題解決能力を活用したければ、コンサルティング業界で企業や顧客に対して法的なアドバイスや戦略的なサポートを提供するのも良いでしょう。
一般企業の法務部門でも学んだ知識を活かして働くことができる
また、法学部生は一般企業内の法務部門で働くことにも適しています。具体的には、企業の法務担当者として契約管理や法的リスクの評価などを担当するこことになります。
法学部で学んだ専門知識やスキルは、さまざまな分野で活かすことができます。また法学部生は文章読解力や文書作成能力が高いと考えられるので、法務に関係がない分野でなくてもさまざまな職種で活躍できるでしょう。
法的思考や論理的思考、調査力、問題解決能力などはあらゆる分野で重視されます。幅広い業界や企業の中から、自分の興味や関心に合わせて仕事を選択してくださいね。
大学別! 法学部の就職先ランキング
法学部生におすすめの業界や職種を解説しましたが、実際にどの就職先に進む人が多いのか気になる人もいるでしょう。
法学部生がどのような企業に進んでいるのかは、大学が公開している主な就職先を確認するとわかります。また、自分の通っている大学の主な就職先を見ることでOB・OG訪問をお願いできる先輩を見つけたり、有利に働く可能性がある企業を見つけ出したりすることも可能です。
ここからは2つの大学の法学部の主な就職先を紹介します。大学によって進路の特色が異なることや、法学部卒業生は幅広い進路選択が可能なことが読み取れるのでぜひ参考にしてみてください。
ロースクール進学 | 21% |
サービスほか | 17% |
金融・保険 | 9% |
メーカー | 9% |
国家公務員 | 8% |
大学院進学 | 8% |
運輸・通信・メディア・電力 | 7% |
司法試験・公務員・大学院等再受験 | 6% |
地方公務員 | 4% |
司法修習生 | 0% |
その他 | 11% |
国立大学である京都大学は、大学進学やロースクール進学の割合が大きく、法曹を目指す人が多いことがわかります。
公務員 | 22.3% |
サービス | 21.6% |
建設・不動産 | 12.2% |
小売・流通 | 11.9% |
商社 | 7.2% |
メーカー(製造) | 5.7% |
進学 | 5.7% |
情報通信 | 5.4% |
金融 | 4.0% |
運輸 | 3.6% |
その他 | 0.4% |
帝京大学は進学よりも民間企業や公務員への進路を選ぶ人が多く、就職先が幅広いことがわかります。
- 通っている大学から希望の業界に就職している人が少ないようです。就活で不利ですか?
必ずしも不利であるとは言えない
大学から希望の業界に就職している人が少ないということは、何か一定の課題を抱えていることがあります。大学のキャリアセンターで、実績についてどのように分析しているのか確認してみることをおすすめします。
しかしほかの人が興味を示さなかっただけかもしれないので、必ずしも通っている大学のせいで就活で不利になっているとは言えません。
自分がやってみたいという意欲や意思を大切にしたうえで、適切なキャリアアドバイザーやキャリアセンターのサポートを十分に活用し、就活を進めてください。
後悔しないために! 法学部生が就活を成功させるためにするべきこと
法学部生が就活を成功させるためにするべきこと
- 早期から選考対策を始める
- 自己分析を徹底して適性を見極める
- 就活の軸を明確にする
- 志望企業を深く知る
法学部生の進路は「民間企業だけでなく法曹や公務員を目指す人が多い」「企業選択の幅が広い」といった特徴があります。
ここからは法学部が就活を成功させるためにするべきことを解説します。法学部ならではの特徴に関連したポイントもあるため、法学部の就職活動事情をしっかりと把握して準備しましょう。
早期から選考対策を始める
前述したとおり、法学部生は法曹をめざして法科大学院に進学したり、公務員を目指したりする人も多くいるため、周りに民間企業を受ける学生が少ない可能性があります。
周囲に同じような就職先を希望している学生が多い場合や、卒業生に志望企業のOB・OGがいる場合は周囲から情報を得られますが、周りに民間企業を受ける学生が少ない場合は情報が入りにくいという懸念点があります。
そのため、ほかの学部より情報収集に時間がかかってしまうことや、タイミングがつかめずに準備開始が遅れてしまうことも考えられるため、早期から選考対策を始めるように心掛けましょう。早い段階から積極的に行動していれば、公務員や法曹志望から民間企業に進路を切り替えようと考えた際にも臨機応変に対応できます。
また、司法書士や行政書士のような業務独占資格を活かした仕事は、通常の就活スケジュールと異なり、試験スケジュールに連動したスケジュールで動く可能性もあります。早めに志望企業の募集要項を調べて、スケジュールや対策を立てることがおすすめですよ。
業務独占資格とは
その資格を持つ人でなければ携わることを禁じられている業務を独占的に携われる資格。具体的には弁護士、行政書士、司法書士、宅地建物取引士、社会保険労務士などのこと
民間就活のために弁護士資格を受験することは現実的ではないので、そのほかの試験の勉強にかかる時間を挙げますね。
具体的に、行政書士で800時間、司法書士で3,000時間、宅建築士で600時間、社労士で1,000時間の対策時間が必要といわれています。もし資格取得を目指しているなら、この時間を確保できるか試験日から逆算してみてくださいね。
自己分析を徹底して適性を見極める
あらゆる企業活動は法律にかかわりがあり、法学部で学ぶ法律の知識やノウハウはビジネスの現場で必須です。そのため法学部生が活躍できるフィールドは広く、多くの選択肢があります。
多くの選択肢の中から自分にあった進路を選択するためには、自己分析をして自分の適性や関心を把握することが重要です。自己分析をしっかりすることにより、自分が働くうえで譲れない部分は何なのか、重視したいことが何なのかなどの価値観が見えてきますよ。
自己分析にはさまざまな方法があります。一度自己分析をしたら終わりではなく、いくつか組み合わせて複数回することにより自分の価値観を深く知ることができます。
自己分析の種類
- 自分史
自分の歴史を時系列にまとめて整理したもの。エピソードの共通点から根底にある価値観や強み・弱みを見つけ、そこからどのような仕事やキャリアが合っているかなどを考える - マインドマップ
一つのテーマに対して連想しながら深掘りし、自分の頭の中にある考えを地図のように作成する。新たな発想を得たり、強みや価値観を見つけ出したりできる - モチベーショングラフ
過去の経験をもとに、モチベーションの揺れ動きをグラフにして表したもの。モチベーションが高いときと低いときの共通点から、仕事に求めることを見つけられる
現在の自分は、過去の体験と思考の蓄積でできています。自分自身について知るためには、まずは自分の歴史を振り返り、どのような生き方をしてきたのかを言語化する必要があります。
また、就活では見えていない自分の一面に気付くことも大切です。分析ツールなどを使いながら、自分の気質や強みに関する情報を得ることも効果的ですよ。
本文中に紹介した自己分析の方法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
マインドマップ
マインドマップで自己分析を極めよう! 活用方法や注意点を徹底解説
自分史
自分史を最大限就活に活かす方法とは? 記入例付きで作り方から解説
上記以外にも自己分析の方法はたくさんあります。ほかにも自己分析のやり方を知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
就活の軸を明確にする
進学ではなく就活をすると決めた際は、就活の軸を明確にしましょう。就活の軸は、企業を選ぶ際の指針となるもので、自分の価値観に沿っていればどんな内容でも構いません。
法学部は企業の選択肢が多いため、就活の軸があいまいなままだと就職したい業界・業種が定まらず、選考準備に多くの時間がかかる可能性があります。加えて、エントリーシート(ES)や面接の回答に一貫性がなくなり、説得力がなくなってしまうことにもつながります。
就活の軸を明確にすることで、多くの選択肢から自分の価値観に合う業界や職種を絞れるため、効率的な就活につながりますよ。
法学部生は、専門的な知識や考え方を活かせる仕事の範囲が広いので、自己分析が十分でない場合には軸が定まらず、自分が進みたい方向を見出せなくなることがあるかもしれません。
軸が定まらないまま就活をすると、面接で入社したいという意欲や熱意が表面に表れにくくなってしまう恐れがあるので、自己分析をしつつ就活の軸を明確にすることを意識してみてくださいね。
就活の軸の見つけ方がわからない……という人はこちらの記事を参考にしてみてください。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
志望企業を深く知る
多くの選択肢の中から自分に合う企業を見つけるためには、企業を深く理解することも重要です。
法学部生が法律関係以外の仕事を選ぶ場合、なぜその分野を選び、なぜその企業で働きたいのかの部分が面接官に伝わりにくいという懸念点があります。自己分析をしっかりしたうえで企業を深く理解し、この企業だから働きたいという明確な志望理由を見つけましょう。
また、企業を深く理解しないまま企業選びをしてしまうと、入社後にミスマッチを感じてしまう可能性もあります。企業のホームページ(HP)やインターネットで調べた情報だけでなく、実際に企業で働く人や詳しい人に話を聞いて、業界や企業への理解を深めましょう。
志望企業を深く知るためにおすすめの方法
- OB・OG訪問をする
- インターンに参加する
- 座談会に参加する
- 就職エージェントを利用する
- キャリアセンターを利用する
- 業界研究や企業研究する際に、特に確認しておくと良いポイントはありますか?
業界や企業の現状・課題などをよく研究しておこう
業界研究では、その業界の現状や動向、主要な企業とその位置付け、課題や今後のトレンドなどの理解を深めましょう。それらの情報は、求人情報サイトや業界専門誌、各種レポートなどから入手できます。
また企業研究では、企業の経営理念や事業内容、売上や利益、成長戦略などの情報を把握することが重要です。
加えて社風や働く環境、社員の評判、成長可能性などにも注目しましょう。これらの情報は企業HP、企業のIR情報、SNSなどから得ることができますよ。
このような情報収集と併せて、自分の興味や適性、キャリアゴールと照らし合わせることも忘れないでください。それによって、自分にとって本当に適した企業を見つけることができるでしょう。
志望企業を深く知るためには、実際に働いている人の話を聞いてみましょう。それぞれのやり方はこちらで詳しく解説しています。
OB・OG訪問
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
インターン
インターンは就活に不可欠? 8のメリットと選び方を詳細解説
座談会
座談会とは? 質問例56選と本選考への活かし方を企業目線で解説
アドバイザーコメント
小松 茂樹
プロフィールを見る「法学部で学んだことをどのように仕事に役立てたいか」を説明できるようにしよう
就職活動とは個人と企業のマッチングを図る行為です。両者にとって適切で有益な結果につなげるためには、自分自身に関する理解と企業に対する理解の双方を深めていく必要があります。
自己理解については、自分の歴史を振り返って経験を言語化し、自分の特性を分析することが大切です。両親や恩師、友人などからフィードバックを得て、自分自身を客観的に捉えることも有効ですよ。
そのうえで法学部としての特徴を打ち出すならば、「なぜ法律を学ぶことを選んだのか」「法学部で学んだことをどのように仕事に役立てたいのか」を理路整然と説明できるようになると良いでしょう。
論理的な思考能力を期待されるので就活時にアピールできるとなお良い
一般的に法学部生には、法律知識に加えて論理的な思考力や説明力も期待されています。面接では、その期待に応えられるような回答ができるとより印象が良くなるでしょう。
企業が従業員を募集する理由は、自社の事業に貢献し、自社の発展に役立つ人材を求めているためです。自分の意思や趣向、希望条件などを伝えることも大切ですが、企業側の視点に立って「自分がどのように相手の事業に役立つのか」を伝えられると良いでしょう。
法学部生がアピールしやすい強み
法学部がアピールしやすい強み
- 論理的思考力
- 読解力
- 法律の知識
- 文書・資料作成能力
法学部生がアピールできる強みは法律の知識だけではありません。法律を学ぶ過程で身に付いたスキルも企業で活かせる強みです。
ここからは法学部生がアピールできる強みを解説します。自分の強みをしっかり理解しておけば、自己PRや志望動機の内容がより充実しますよ。
論理的思考力
論理的思考力とは
結論に向けて根拠を筋道を立てて考えられる能力のこと
法学部生は膨大な法律知識を身に付け、その知識を論理的に整理して活用することが求められます。
この論理的思考力は、仕事のさまざまな場面で必要とされています。たとえば、顧客への提案の際に筋道に沿って論理的に提案することで、一貫性がない説明よりも顧客の心を動かせる可能性が高まります。仕事内容によって活かせる場面は変わるので、志望職種によってアピールの仕方を変えてみてくださいね。
法学部で身に付けた論理的思考力は、ビジネスのあらゆる場面で活かせます。たとえば企画立案やプロジェクト管理では、論理的に思考して情報を整理・分析する際に能力が活かされます。
また、会議や議論の場では、自身の意見を理路整然と述べるための力として活かすことができますね。
特に問題解決能力はどの職種でも重要です。具体的な問題を明らかにし、解決策を見つけ出すプロセスにおいて論理的思考力は必須です。
読解力
読解力とは
得た情報から内容や状況を正しく把握し、理解する力
法学部生は日々の授業や研究の中で、膨大な情報を効率的に収集し、必要な情報をまとめて調査・分析し、最適な結論を導き出すことを繰り返しているため、読解力を身に付けられます。
読解力は就活でも社会に出てからも必要な能力です。読解力がある人は、あらゆる情報から真意を読み取り適切な対応ができるため、円滑なコミュニケーションや交渉、提案ができますよ。
現代のビジネスシーンでは、口頭のやり取り以上に文書やメール、チャットなど文字によるコミュニケーションが頻繁におこなわれます。
情報化社会の進展とともに、業務上扱う情報量が年々増えてきています。限られた時間の中で効率的に情報処理をおこなうためには、法学部で身に付けた読解力が非常に役立ちます。
法律の知識
企業はビジネスをするうえで、法律を遵守する必要があります。そのため、法学部で得た法律の知識は、法曹界などの法律関係の仕事だけでなくあらゆる企業で重宝されます。
また、法学部生は法律を学ぶだけでなく、法律知識を使って対立する主張の調整をし、妥当な結論を導く法的思考力(リーガルマインド)を磨くための勉強をしています。
直接法律の知識を使って仕事をする場面はなくても、法律を学ぶ過程で身に付いた思考力は、問題に直面した際や交渉を必要とする際など、業界や職種を問わずビジネスのさまざまな場面で活かせます。
法学部で身に付けた法律の知識や法的思考力を法律関係以外の仕事でアピールすると、理屈っぽく「べき論思考」で堅苦しいという印象を受けることもあります。
法律は常に変化しているので、新しい情報や法的な変更に対応する適応能力を持っていることを強調し、法学部で学んだ法的な知識や思考力を柔軟性と適応力につなげてアピールすると良いでしょう。
文書・資料作成能力
文書・資料作成能力とは
読みやすくわかりやすい文書や資料を作成する能力
法学部の試験は論述問題が多いという特徴があります。この問題では読み手を説得する文章を書く必要があるため、法学部生は文書・資料作成能力が身に付きやすくなります。
仕事では企画書や稟議書、報告書など書類を作成する機会は多くあります。情報を正確に記載し、相手に伝わりやすく伝えるための文書・資料作成能力は、書類作成をするうえで重要なスキルです。
また、仕事は直接対面して口頭でやり取りするだけでなく、メールやチャットでのコミュニケーションが求められることもあります。文章のみのコミュニケーションは、相手の表情が見えなかったり補足ができなかったりするため、伝えたいことが伝わらず認識相違が生じてしまう場合もあります。
しかしこのような状況でも、相手にわかりやすく文章で伝える力が長けている人は、適切なコミュニケーションを取ることが可能です。リモートワークが主流な企業も増えてきていて、直接会わずにやり取りをする機会が多くあるからこそ、より求められているスキルともいえます。
アドバイザーコメント
内藤 寅之助
プロフィールを見る法学部生が就活でアピールしやすい強みは大きく分けて3つある
法学部生が就活でアピールしやすい強みとして、論理的思考力、読解力、法律の知識、文書・資料作成能力以外にもたくさんありますが、たとえば以下の3つの能力も挙げられるでしょう。
①倫理的判断力
法学部では法律だけでなく、その背後にある倫理や道徳についても学びます。そのため法学部生は倫理的な判断力を養い、ビジネスシーンでも道義的な視点からの判断が求められる場面で能力を発揮できます。
②コミュニケーション能力
証拠理論や法廷実務などの授業やゼミの中では、効果的な意見表明や説得技術を学ぶ機会があります。これらはチームでの仕事や顧客との対話、さらにはビジネス交渉においても活かせるスキルです。
③課題解決能力
法学部では具体的なケーススタディを通じて問題の解決策を模索します。この経験は具体的なビジネスの課題に対して効果的な解決策を考える能力を養います。この能力は就職活動だけでなく、実際の職場でも大いに役立つでしょう。
上記3つの能力は授業やゼミを通して身に付けられる能力ですが、学業以外にも長期インターンなどで実際にビジネスの場面を経験しておくことにはこしたことはありません。さまざまな課題活動にも果敢に取り組んでくださいね。
準備必須! 法学部生が面接で聞かれやすい質問と回答例
法学部生が面接で聞かれやすい質問と回答例
- なぜ法学部に進学したのか
- なぜ法律関係の仕事に就かないのか
- 法学部で学んだことをどう活かすのか
就職活動の面接では、「なぜ法学部を選んだのか」など学部に関連した質問をされることも多くあります。
面接で聞かれやすい質問に対して、明確な根拠をもって説得力のある回答ができなければ、準備不足などのマイナスの印象を残してしまう可能性もあるため、しっかり準備して臨みましょう。
ここからは、法律学部が受けやすい質問を回答例とともに解説します。
法学部特有の質問だけでなく、面接の質問対策をしたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。回答例や回答のポイントを紹介しています。
面接の質問150選! 回答例から答え方まで質問対策を完全網羅
なぜ法学部に進学したのか
あなたの人柄や価値観を知るための質問として、なぜ法学部に進学したのかを聞かれることが多くあります。さまざまな学部の中からなぜ法学部を選んだのか、法学部で何を学びどのように活かしたいと考えたのかを明確に伝えましょう。
入学時点で将来の仕事につながる学部を選択できている人もいますが、大学で学ぶ中でキャリアの選択が決まったり変わったりした人もいるでしょう。現在とは考えが異なっている場合は、現在の目標や法学部で学んだことをどのように活かしたいのかアピールすることをおすすめします。
「なぜ法学部に進学したのか」と質問をする意図は、企業側があなたの価値観や意思決定過程、自己啓発への意欲を把握するためです。
それに加えて、法学部で習得した知識やスキルをどのように仕事に活かそうと考えているか、あなたの可能性やその企業での適性を判断するために質問することもあります。
「なぜ法学部に進学したのか」に対する回答例
回答例
私が法学部に進学した理由は、法律はどのような仕事をするうえでも必要であると考えたためです。
私は探究心が強く、知らないことを学ぶことが好きなため、将来は自分が学んだ知識を誰かの役に立てたいと考えました。しかし大学を選択する際に明確な進路が決めきれなかったため、大学で法律を通して幅広い学問を学び、その中から自分の道を選ぶことにしました。
法学部では特に人々の生活に密着した法律に興味を持ち、法と政策の関係性を学ぶ中で、将来はまちづくりにかかわる仕事がしたいと考えるようになりました。
法学部での学びを通して身に付けた物事を多角的に見る論理的思考力や、多くの人の意見をまとめる傾聴力を活かし、地域に愛される商業施設の企画・運営をしたいと考えています。
上記の例文は少し抽象的な部分が多いので、あなただけの理由や考え方が伝わりにくい可能性があります。
「人々の生活に密着した法律とはどのようなものか」「なぜそこに興味を抱いたのか」など、具体的な法律やエピソードを盛り込んで記載するとより説得力が高まるでしょう。
なぜ法律関係の仕事に就かないのか
法学部を選んだ理由とともに「なぜ法律関係の仕事に就かないのか?」というのも頻出の質問です。この場合、採用担当者は「学んだことに直結する仕事を選ばないのには何か理由があるのか」と考え、その回答からあなたの価値観を知ろうとしています。
回答する際はネガティブな理由にならないように心掛けましょう。たとえば、「法曹を目指せるレベルに達しなかった」「資格取得ができなかった」といった後ろ向きな理由だと、消去法で企業選びをしているのではないかと懸念されてしまう可能性があります。
この質問をする面接官は、「法学部を目指したからには法曹界など法律を専門に扱う職業や職種に興味があるのだろう」という勝手な思い込みが働くのかもしれません。
またこの質問をすることで、法律に関係の深い部門への配属や、法律関係の仕事に抵抗がないか確認したい意図もあるといえます。
どちらにせよ、明確な理由を答えられるようにしておくことが大切です。
なぜ法律関係の仕事に就かなかったのか前向きに回答するには、「入社後にやりたいことがあるから」と伝えるのもおすすめです。入社後にやりたいことの見つけ方や伝え方はこちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。
例文10選|入社後にやりたいことの回答で押さえるべきコツは?
「なぜ法律関係の仕事に就かないのか」に対する回答例
回答例
法律関係の仕事に就かない理由は、コンサルタントとして多くの顧客の問題解決の役に立ちたいと考えたためです。
法律はあらゆる企業と深くかかわりがあるため、法律の知識を活かす場は法律関係の仕事だけでないと感じています。
私はゼミで刑法を専攻し、特にITに関連する法律を事例をもとに研究しました。ゼミ生同士の討論を通して、物事を多角的に捉えて解決策を考え、解決に導くことに面白さややりがいを感じるようになりました。
この経験から、顧客の課題を捉えて、自分の知識を使って問題解決に導くコンサルタントの仕事に興味を持つようになりました。御社に入社後は、法学部で培った論理的思考力を活かし、顧客と御社の利益向上に貢献していきたいと考えています。
なぜ法律関係の仕事を選ばなかったかについて論理的に説明しているので理解しやすいですね。
また、法学部での学びが今後のコンサルタントとしての仕事にどのように活きるか具体的に述べていて、説得力があります。特に自身がどのように顧客や企業の利益に貢献できるかまで具体的に述べている点は大変好印象です。
法学部で学んだことをどう活かすのか
法律関係以外の仕事を希望する場合、「法学部で学んだことをどのように活かすのか」と聞かれることもあります。
企業は入社後に活躍してくれる人材を採用したいと考えているため、学んだことをどのように活かして貢献できると考えているのかを明確に伝え、あなたが活躍しているイメージができるようにアピールしましょう。
法学部で得た知識を企業での仕事に結び付けることが難しい場合は、法律を学ぶ過程で得た考え方や姿勢などを仕事に結びつけて考えてみてください。
- 法学部で学んだことの活かし方がわかりません。どのように考えれば良いでしょうか?
法学部で学んだことを整理したうえで仕事に関する理解を深めよう
まずは、法学部でどのようなことを学んだのかを整理してみましょう。
法学部では法律知識はもちろん、事象に対して判断や評価を下すために求められる論理的思考や問題解決の進め方、相手を説得するためのプレゼンテーションスキルなどが身に付いたと思います。
次に、それらを仕事に活かすイメージを膨らませるために、業務内容についての理解を深める必要があります。
具体的にはインターシップやジョブシャドウイング(社員に1日同行して仕事を体感すること)などを通じて、仕事の場面で求められる思考や能力を把握し、大学で学んだことをそこに当てはめながら自分に何ができるかを考えてください。
そして、それを選考でアピールしていきましょう。企業に対してどのような貢献ができるかを具体的に説明できる人は、高い評価を得ることができます。
「法学部で学んだことをどう活かすのか」に対する回答例
回答例
法学部では、自分の意見を的確に伝える方法を学びました。
所属するゼミナールでは、討論やプレゼンテーションなどの機会が多くあり、自分の意見をまとめて的確に相手にわかりやすく伝えることを意識しました。
はじめは、自信のなさから発言ができなかったり、発言しても説得力が欠けていて思うように伝わらなかったりして苦戦しました。しかし、必要な情報を集めて厳選し、それを論理的に分析してまとめるように意識しだしてからは、自分の意見を的確に相手に伝えられるようになり、周囲からも評価してもらえるようになりました。
御社でも、法学を学ぶ中で得た論理的思考力やプレゼンテーション能力を活かし、わかりやすく的確なアドバイスを通して、顧客の心を動かす販売職になりたいと考えています。
情報を集めて整理し、自分の意見を論理的に組み上げていくスキルは仕事のさまざまな場面できっと重宝します。
ただし、そのスキルがなぜ販売職に役立つのかを理解してもらうためには、もう少し丁寧な説明が必要だと思います。
顧客の心を動かすうえで、論理的思考やプレゼンテーションスキルをどのように活用できるのか、それを文字通り「論理的」に説明することができれば、スキルの高さを身をもって示すことができます。
さらに差をつけよう! 法学部生の就活が有利になる資格8選
法学部生の就活が有利になる資格8選
就職先に関連した資格を保有していると、熱意や活躍できるイメージが伝わりやすく、就活を有利に進められることもあります。また、法律知識を活かして働く仕事のなかには、資格がないと業務に携われないものもあります。
ここからは法学部の就職が有利になる資格を8選紹介します。資格をアピールして、ほかの学生との差別化を図りましょう。
- 法律系の資格を何も持っていません。どの資格から挑戦するべきでしょうか?
目指すキャリアや市場価値を踏まえて選んでみよう
必ずしも資格を取らなければいけないわけではありませんが、仮に選ぶなら以下の3つの軸で選定してみてください。
①自分の興味や将来の目指すキャリアパス
興味のある分野や将来の目指すキャリアパスに関連する資格を選ぶことは重要です。
たとえば一般的な法律業務に携わりたい場合は、司法書士や行政書士、ビジネスと法律の両面に興味があるなら中小企業診断士やビジネス実務法務検定がおすすめです。
②取得難易度と時間
一部の資格は取得までに時間や労力がかかります。そのため、時間や自分の学力を考慮して選択することも必要です。
③市場価値
資格の中には、取得することで就職・転職市場での価値が上がるものもあります。目指す職種や業界で需要の高い資格を選ぶことで有利になれます。
これらの3つの視点から、自分に合った資格を選んでいくことをおすすめします。
就職に有利な資格をほかにも知りたい人はこちらの記事でも解説しています。業界別・状況別に紹介しているので自分の希望や状況に併せて参考にしてみてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説
①司法書士
司法書士試験は司法書士になるために必須の資格です。非常に難易度の高い資格ですが、取得できると司法書士事務所や企業法務での就職を有利に進められます。
困っている人を法律の知識で助けたいと考えている人や、将来独立開業をしたいと考えている人におすすめの資格です。
司法書士とは
個人や企業から依頼を受けて法律に関する高度な知識が必要となる書類の作成や手続きを代行する。主な業務は不動産登記や商業登記、供託の手続き、成年後見業務など
主催団体 | 法務省 |
資格種類 | 国家資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 8,000円 |
試験スケジュール(例年) | 申込受付期間:5月初旬〜中旬 試験日:筆記試験7月、口述試験10月 合格発表:11月 |
試験科目・試験方式 | 筆記試験:11科目 択一式・記述式 口述試験:不動産登記法、商業登記法、司法書士法から出題 |
目安勉強時間 | 3,000時間前後 |
合格率 | 3%〜4%前後 |
②行政書士
行政書士試験は、法律系資格の登竜門として位置付けられている資格です。行政書士になる方法は以下の3つがあり、もっとも一般的な方法が行政書士試験に合格する方法です。
行政書士になる方法
- 行政書士試験に合格する
- 弁護士や弁理士、税理士などの資格を取得する
- 公務員の特任制度を利用して資格を取得する
行政書士とは
国民にもっとも身近な街の法律家ともいわれている。
おもな業務は、国や地方自治体などの官公署に提出する行政書類の作成、許認可申請の代理など
行政書士の試験は内容が多岐に渡り出題範囲が広いですが、出題科目は法律の土台となる部分です。そのため、司法書士などのほかの法律系の資格を目指すうえでのベースになり、ステップアップを狙いやすくなります。
また、法学部の講義と試験範囲がリンクする部分も多く、学習効果向上の相乗効果を狙うこともできますよ。
主催団体 | 一般財団法人行政書士試験研究センター |
資格種類 | 国家資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 10,400円 |
試験スケジュール(例年) | 申込受付期間:7月下旬〜8月下旬 試験日:11月 合格発表:1月 |
試験科目・試験方式 | 行政書士の業務に関し必要な法令等:出題数46題 択一式・記述式 行政書士の業務に関連する一般知識等:出題数14題 択一式 |
目安勉強時間 | 800時間前後 |
合格率 | 10%~15%前後 |
③中小企業診断士
中小企業診断士試験は、経営コンサルタントとしての唯一の国家試験です。試験合格後に実務補習を受け、実習が修了すれば中小企業診断士として登録できます。
中小企業診断士とは
中小企業の経営課題に対応するための診断をし、適切なアドバイスをする専門家
中小企業診断士の資格を取得すると、企業経営に必要な知識やマネジメントスキルを身に付けている証明になるため、多くの企業で活かせます。
主催団体 | 中小企業診断協会 |
資格種類 | 国家資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 17,800円 |
試験スケジュール(例年) | 申込受付期間:4月下旬〜5月下旬 試験日:一次試験8月、二次筆記試験10月、二次口述試験12月〜翌1月 合格発表:1月 |
試験科目・試験方式 | 一次試験:7科目 選択式 二次筆記試験:4科目 記述式 二次口述試験:面接試験 |
目安勉強時間 | 1,000時間前後 |
合格率 | 4%前後 |
中小企業診断士は、中小企業が抱えるビジネスの課題解決に必要な知識を持つ人物と認知されています。
この資格は事業運営の観点から論理的に問題解決をする能力があることを証明し、就活でのアピールポイントとなります。また実務としては経営コンサルタントや内部改革推進など、幅広い業務で活かすことが可能です。
④社会保険労務士
社会保険労務士試験は、雇用や社会保険、労働問題、公的年金の分野で唯一の国家試験です。社会保険労務士の資格を取得すると、労務関係のプロとして企業の人事や総務に配属されやすくなります。
社会保険労務士とは
労働・社会保険の問題の専門家として、行政機関に提出する提出書類や申請書などを依頼者に代わって作成する
社会保険労務士になるためには、社会保険労務士試験に合格し、全国社会保険労務士会連合会への登録が必要です。試験を受ける際に注意してほしいのは、社労士試験には受検資格があることです。大学在学中に以下のいずれかを満たすことが求められているため、在学中に取得するハードルが高めといえます。
大学在学中に社労士資格を取得するための条件
- 大学で62単位以上の卒業要件単位を修得していること
- 一般教養科目と専門教育科目などとの区分けをしているものにおいて一般教養科目36単位以上を修得し、専門教育科目などの単位を加えて合計48単位以上の卒業要件単位を取得していること
- 司法試験予備試験や行政書士試験などの定められた国家試験に合格していること
主催団体 | 全国社会保険労務士会連合会 試験センター |
資格種類 | 国家資格 |
受検料 | 15,000円 |
試験スケジュール(例年) | 申込受付期間:4月中旬〜5月下旬 試験日:8月 合格発表:10月 |
試験方式 | 選択式8科目、択一式7科目 すべてマークシート記入 |
目安勉強時間 | 500~1,000時間前後 |
合格率 | 6%~7%前後 |
⑤宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引の専門家であることを示す国家資格で、宅建と呼ばれることが多くあります。毎年多くの人が受検する、日本最大規模の国家試験です。
宅地建物取引士とは
不動産売買や賃貸物件の斡旋など、不動産に関する重要事項を説明する仕事。重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、契約書への記名押印は宅地建物取引士の独占業務となる
不動産会社では、一定の割合で宅地建物取引士の有資格者を設置するように義務付けられています。そのため、宅地建物取引士の資格を持っていると企業で即戦力として活躍できるとアピールできます。
また、金融業界でも顧客の不動産購入のサポートや、不動産を担保にした融資業務などで、不動産に関連する知識を持っていることが活かしやすいです。
主催団体 | 一般財団法人不動産適正取引推進機構 |
資格種類 | 国家資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 8,200円 |
試験スケジュール(例年) | 申込受付期間:7月 試験日:10月 合格発表:11月 |
試験方式 | 四肢択一式 50問 |
目安勉強時間 | 200~500時間前後 |
合格率 | 15%前後 |
宅地建物取引士の資格を取得すれば、不動産業界での就職競争力を高めることができます。
勉強時間は一定必要ですが、国家資格の中では比較的目安時間が短めなのもおすすめなポイントです。
⑥ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定とは、ビジネスの場で必須となる法的知識を実務レベルで習得するための資格です。
民法や商法、会社法など、企業の実務と関連深い法律知識があることの証明になるため、業種や職種問わずあらゆる分野で活かせます。企業側の認知度も高く、評価制度に取り入れている企業もあります。
ビジネス実務法務検定試験は、入門レベルの3級から1級までありますが、就活でアピールするのであれば2級以上を取得するのがおすすめです。
主催団体 | 東京商工会議所 |
資格種類 | 民間資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 2級からの受検や併願も可能 |
受検料 | 3級:5,500円 2級:7,700 (CBT方式の場合は+2,200円) |
試験スケジュール(例年) | 年2回 申込受付期間:5月、9月 試験日:6月〜7月、10月〜11月 合格発表:試験終了後すぐに表示 |
試験方式 | IBT方式・CBT方式 |
目安勉強時間 | 3級:45~60時間前後 2級:60~90時間前後 |
合格率 | 3級:75~85%前後 2級:40~50%前後 |
ビジネス実務法務検定は、ビジネスの現場で必要な法律知識を証明する資格です。これを取得することで、就活であなたが法的問題解決に対する理解を有することを示せます。
また実務では、法的トラブルを未然に防ぐ提案が可能となり、社内でのリーガルリスク管理に貢献できます。
⑦個人情報保護士
個人情報保護士は、個人情報の適正な取扱や管理を身に付けたエキスパートであることが証明できる資格です。
個人情報が流出してしまうと、大きな信頼の失墜につながり、企業に大きなダメージをあたえてしまいます。顧客や従業員の情報を守ることは企業活動に必要不可欠であるため、個人情報保護に関して正しく理解していることは好印象につながります。
大手企業を中心に個人情報保護士の資格取得を後押しする企業や団体も多く、企業側の認知度も高くなりつつある資格です。
主催団体 | 一般財団法人 全日本情報学習振興協会 |
資格種類 | 民間資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 通常:11,000円 学割適用:7,700円 |
試験スケジュール(例年) | 年4回 試験日:3月、6月、9月、12月 合格発表:試験日の約1カ月後 |
試験科目・試験方式 | 課題I:個人情報保護の総論(50問) 課題Ⅱ:個人情報保護の対策と情報セキュリティ(50問) オンライン・会場・CBT方式 |
目安勉強時間 | 20時間~50時間前後 |
合格率 | 30%〜40%前後 |
⑧ビジネスコンプライアンス検定
ビジネスコンプライアンス検定とは、ビジネスをするうえで必須となるコンプライアンスの知識や技能を客観的に証明する資格です。特に企業の法務や総務、秘書を目指している人におすすめです。
初級と上級があり、難易度によってコンプライアンスに対する観点が異なります。初級は従業員としてのコンプライアンス、上級は経営者としてのコンプライアンスが該当します。
会社法や独占禁止法、労働法などの企業活動における基本法令も幅広く出題され、基礎的な法務知識があることを証明できます。
主催団体 | サーティファイ コンプライアンス検定委員会 |
資格種類 | 民間資格 |
受検資格 | 誰でも受検可能 |
受検料 | 初級:5,700円 上級:8,200円 |
試験スケジュール(例年) | 年2回 試験日:2月、7月 合格発表:試験日の約1カ月後 |
試験科目・試験方式 | 初級:多肢選択問題 40問 上級:多肢選択問題 40問 記述式 1問 |
目安勉強時間 | 初級:20時間前後 上級:40時間前後 |
合格率 | 50%前後 |
- 営業職を目指している場合、ビジネスコンプライアンス検定はアピールにならないでしょうか?
内定に直結するわけではないがアピールにはなる
資格を取得したからといって、必ず内定につながるものではありませんが、アピールにならないというわけでもありません。
ビジネスコンプライアンス検定はビジネス活動における法令遵守や社会規範の理解度を証明する資格なので、営業職にとっても有用です。なぜなら法令遵守の視点を持つことは、企業が社会的な信頼を維持するうえで必要なことであり、特に営業職は企業と顧客との窓口となって、直接法令遵守の状況を左右するからです。
またこの資格をアピールすることで、自身の誠実さや責任感を示せる可能性があります。職場でのコンプライアンス遵守や倫理教育のリーダーとして活躍することを期待されるかもしれません。
さまざまな業界やビジネスモデルに対応するためには、法令や規範に対する理解は欠かせません。これらを理解していることは、営業戦略を立てたり顧客への提案をおこなったりするうえでも大きな強みとなりますよ。
法学部の就職活動は早めの対策で自分に合う就職先を見つけよう
法学部で学んだことを活かす就職先といえば法曹や企業の法務部のイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実際には非常に多くの業界や職種で活躍の場があります。
幅広い選択肢の中から自分に合った企業・職種を見つけるためには、しっかり業界研究や企業研究、自己分析をする必要があります。
今回紹介した内容を参考にしてしっかり対策し、自分に合った企業での内定を目指しましょう。
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見る法学部で学んだことを自分の魅力としてしっかりアピールしよう
法学部で学んだ知識や思考力、法律に向き合う際の考え方は大きな強みであり、さまざまな業界や企業で活かすことができます。厚い本を読むことに抵抗がなかったり、文章作成能力が高い人が多いことなども、アピールできる特徴であると感じています。
自分自身の興味や意欲を大切にし、自身の強みが活かせる業界や企業を十分見極めて、自己PRの中で魅力としてアピールしましょう。
法学部生はリスクに対処する能力やコミュニケーションスキルも強みになる
法学部生は法律の基礎や法的な原則についての理解があり、論理的思考や問題解決能力を身に付けています。複雑な問題を分析し、法的な規制やリスクに対処する能力をアピールすることができるのです。
また、コミュニケーションスキルや倫理観を養う機会が多くあることも特徴の一つですね。企業や組織において、法的な規制や倫理的なルールに従い、公正な判断や行動を取ることができるという点が大きな強みとなります。
最後になりますが、法学部生はさまざまな特徴や強みを持っています。それらを存分にアピールして就活に臨んでください。自分の成長と目標に合った働く場を追求していきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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中小企業診断士/キャリアコンサルタント
Shigeki Komatsu○営業企画・マーケティング・情報システム・総務・人事・経営企画室など幅広いキャリア経験を持つ。現在はキャリア形成や能力開発に向けた企業研修や個人面談などを提供している
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Masamitsu Uehara〇会社員時代は人事部として3000人以上の学生と面談を実施。大学でも多くの学生のキャリア支援をおこなう。独立後は、就活生からシニア層までさまざまなキャリア相談に携わる
プロフィール詳細就活アカデミーEdgey代表講師
東京大学法学部卒。ビジネス交渉学・国際契約法が専門。就活アカデミーEdgey2期に通い、最難関外資系企業複数社から内定を得るも経済系省庁に入省。仕事の傍ら、Edgeyにて無償で大学生の進路をサポート
プロフィール詳細