本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
東証プライム市場に上場するIT企業であるサイボウズですが、「ブラックで離職率が高い」「社風が自由すぎる」といった噂から、「やばい」と言われることがあるようです。しかし、すべての噂が正しいとは限りません。
そこで、情報通信業界での勤務経験があるキャリアコンサルタントとともに、企業の実態を解説していきます。信頼性の高い情報をもとに、正しい企業の姿を見ていきましょう。
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1分でわかるサイボウズ
サイボウズとは
1997年に設立され、グループウェアの開発・販売・運用をおもな事業とする東京証券取引所プライム市場上場企業。
「チームワークあふれる社会を創る」という理念のもと、世界で一番使われるグループウェアメーカーを目指す。日本全国の各都市だけでなく、中国やアメリカなど海外にも子会社を展開し、2025年12月期の連結売上高は約374億円に上るなど、着実な実績を上げている会社。
| 会社名 | サイボウズ株式会社(Cybozu, Inc.) |
| 従業員数(連結) | 1,356人(2025年12月末) |
| 本社所在地 | 東京都中央区 |
| おもな事業 | グループウェアの開発、販売、運用 |
| 売上高 | 374億3,000万円(前年同期比26.1%)(2025年12月期) |
| 経常利益 | 103億2,500万円(同93.5%)(同期間) |
| 企業HP | https://cybozu.co.jp/company/outline/ |
| 新卒採用HP | https://cybozu.co.jp/recruit/about/newgrad-firststep/ |
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「サイボウズがやばい」と言われる3つの理由|プロが読み解く
「サイボウズがやばい」と言われる3つの理由
サイボウズがやばいと言われるおもな理由を3つ紹介します。キャリアコンサルタントの視点を交えて解説しますので、気になる点に着目しながら、ぜひ企業研究の参考にしてみてください。
①離職率が高くブラック企業だったから
サイボウズについて調べたときに、ブラック企業と言われていた時期があったという情報がヒットするようです。具体的にはかつて離職率が高かったことが原因となっていると考えられます。
同社の離職率が最も高かったのは2005年で、28.0%というデータが公表されています(※1)。同時期の情報通信業界の離職率は12.2%(※2)でした。業界平均を大きく上回っていたことが、ブラック企業と噂される原因だと考えられます。
ただし、同社単体の離職率は2024年には6.9%(※3)まで改善されており、同業界の9.8%(※4)と比較しても、社員が辞めにくい環境に変わったと分析できます。
※1 サイボウズ「離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史」
※2 厚労省 平成17年雇用動向調査結果の概況
※3 サイボウズの人的資本経営
※4 厚労省 令和6年雇用動向調査結果の概況
プロのアドバイザーはこう分析!ブラック企業は過去の話? 数字が証明する劇的な変化
何をもって「ブラック企業」と定義するかによって見方は変わってきます。
毎日長時間の残業が当たり前、朝9時に全員がオフィスへ出社することが絶対などのような環境をブラックと呼ぶのであれば、現在の同社は大きく改善されていると見て良いでしょう。
離職率の劇的な低下が、まさにその改革の成果を物語っています。実際に、同社が働き方改革、働き方の多様化に積極的な企業として広く知られているのは事実です。
数字以外にも判断材料はある! 企業の働き方を多角的に見て判断しよう
ただし、離職率が下がったからといって、ほかのすべてのブラック要素(パワハラ、セクハラなど人間関係の悩み、過剰なノルマなど)が完全にゼロになったかどうかは、客観的に判断が難しい部分があります。
就職を検討している人は、「離職率が低い=自分にとって100%ホワイト」と盲信するのではなく、企業HPなどで公開されている多様な働き方の制度を調べてみてください。
それが本当に自分の理想とする生き方や価値観に合致しているかどうかを、一歩引いた視点で冷静に見極めてみましょう。
②SNSの発信内容が独特だから
SNSでの発信内容という噂については、おもにサイボウズ社長の青野慶久氏のX(旧Twitter)における発言のことを指しているようです。ただし、SNSでの発信内容は受け手によって印象が変わるため、一概にやばいと断言できません。
サイボウズは外部に向けてnoteで頻繁に記事を配信していたり、社内SNSのような分報(※)を通して社員同士で交流していたり、社内外問わず情報発信を活発におこなっている企業です。
そのため、採用サイトで記載されているようなオフィシャルな情報だけでなく、職場環境のリアルな情報や、社員の本音などが人の目にとまる機会が多く、ほかの企業と比べると独特だと感じる可能性があるのかもしれません。
※ サイボウズ まるで社内SNS!「分報」でメンバーの状況をハイブリッドワークでも感じられるようにしよう
プロのアドバイザーはこう分析!企業のSNSは貴重な情報源! 2つの点を意識してチェックしよう
結論から言うと、サイボウズを志望するなら、社長のX(旧Twitter)や公式note、社員の人たちの発信は「宝の山」なので、積極的にチェックしてほしいです。
一般的な企業が隠したがるような「社内の議論のプロセス」や「リアルな試行錯誤」がこれほどオープンに開示されている環境は珍しいです。最高の企業研究ツールだと思ってください。
ただし、これら独自のオープンな発信を見る際には、2つの注意点を踏まえておきましょう。
①表面的な「自由で楽しそうなノリ」だけをすくい取らない
サイボウズが重んじる「公明正大」という文化は、裏を返せば「自分の意見をロジカルに言語化し、公に発信する責任(自律)」を全社員に求めているということです。
SNSが活発なのは、裏にそれだけシビアな「個の自律」があるからです。
②発信されている意見の「好き嫌い」で一喜一憂しない
ここまで個人の発言を許容し、風通しの良さを担保している「組織の器」そのものに注目してみてください。
綺麗事だけではないリアルな発信をあらかじめ咀嚼し、「この圧倒的な透明性と当事者意識のなかに、自分も飛び込みたいか」を測るリトマス試験紙として、自分なりに賢く活用してください。
働きやすそうなホワイト企業というイメージの裏にある、サイボウズ特有の徹底的な情報公開と自律のカルチャーを理解したうえで選考に臨むことで、面接官の見る目は確実に変わります。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
③社風が自由すぎると言われているから
サイボウズでは労働条件を社員と企業ですり合わせて決定したり、他部署への体験入部をおこなっていたり、一般的な企業と比較すると社風の自由度が高いことが特徴的です(※1)。人によっては、そのカルチャーにギャップを感じることもあるのかもしれません。
多様な働き方を可能にする制度
- 働き方マッチング
メンバーは勤務時間・場所の希望を伝え、会社は業務内容、働き方、給与の条件を提示。両者が合意すると条件が決定する。 - 育児・介護休暇制度
育児・介護休暇を最長6年間取得可能。 - 複業許可
複業における注意点を認識したうえで、原則自由に複業ができる。 - 大人の体験入部
本人のキャリア検討や現在の業務へ活かすことを目的に、他部署に体験入部できる。
サイボウズは文化の一つとして、「多様な個性を重視」(※2)を掲げており、社員同士の個性を活かし合うことが、チームの生産性を向上させると考えています。
同社は決して社員を放任しているわけではなく、より良い職場環境を実現するために、社員一人ひとりが満足して働けるような取り組みを実践しているととらえられます。
※1 サイボウズ Corporate Profile
※2 サイボウズ 採用サイト 企業理念
プロのアドバイザーはこう分析!自由=楽ではない? 自律して働ける人でないとマッチしない
サイボウズの自由度の高い社風に比較的合いやすいのは、制度の多さそのものに魅力を感じる人というより、自分の希望とチームへの貢献をすり合わせながら働ける人でしょう。
採用サイトでも、以前の「100人100通りの働き方」から、現在は「100人100通りのマッチング」へ考え方を更新し、個人の意思とチームへの貢献、マネージャーの期待が合うことを重視しています。
つまり、働く場所や時間の柔軟さだけでなく、その条件のもとで自分は何を担い、どう価値を出すかまで考えられる人のほうが、制度を活かしやすいと見られます。
自由のなかでも確固たる自分の考えを持つことでマッチ度が高まる
逆に、役割や期待が曖昧なままだと動きにくい人は、戸惑う場面が出やすいでしょう。
自由な会社というより、自律と対話を前提に成り立つ会社ととらえておくと、実態を理解しやすくなります。
制度の珍しさだけでなく、その環境で自分がどう働きたいかまで考えておくことが、相性を見極めるうえで重要です。
サイボウズの現状や文化をどう考えるかが大事
サイボウズの噂については、過去と現状を分けて考えることや、企業のスタンスをどうとらえるかが大事です。
真偽がわからない噂については、企業から出されている信頼性の高い情報を確認して、企業の実態を見極めることを意識しましょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!高い採用倍率の原因には自由な社風への誤解が考えられる
同社が「やばい」と言われる背景には、記事にある要素のほかにも、同社への就職を目指す人が事前に知っておくべき大切な側面があります。
それは、魅力的な「自由な社風」に憧れる人が非常に多く、採用倍率が高くなっている点です。ただ、本当に目を向けるべきなのは、その人気の理由である「自由」のとらえ方かもしれません。
自由で楽は大きな勘違い! 柔軟な制度の裏にある自律の重さを知ろう
同社の柔軟な制度は、すべて社員一人ひとりの「自律」を前提として成り立っていると考えられます。つまり、自由な働き方とは、自分で仕事に責任を持ち、成果を出し続けることと表裏一体であるケースが多いです。
周囲から細かく指示されなくても、自分で目標を定め、タイムマネジメントをして行動できる、高い自己管理能力がないと、この環境を活かしきれない可能性もあります。
「自由で楽そうな会社」という表面的なイメージだけで志望せず、自由な社風が求める自律の重さをあらかじめ理解しておくことが大切です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント
Takuya Takahashi〇人材系スタートアップ企業で採用支援・D&I推進に従事。その後、SIer企業でエンジニア兼研修講師として新人育成に参画。現在はNPOで若者の居場所支援やケアに取り組む
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Hiroshi Sakai〇大手ICT企業で人事部長・人材開発部長として採用・育成・制度・労務を統括。面接は5,000人超。国家資格キャリアコンサルタントとして就労支援・研修講師も担当。
プロフィール詳細