この記事のまとめ
- 人事職の適性や求められるスキル、評価されやすい資格を把握しよう
- 人事職の志望動機は書き方7ステップで作成しよう
- 経験者未経験者別の人事の志望動機の例文
人事を志望している人の中には、志望動機をどのように書けば良いのかわからないという方もいるでしょう。人事職を志望するのであれば、仕事に対する適性や求められるスキルをチェックしておく必要があります。
志望動機を書く際は、自分自身の経験やスキルを棚卸しし、志望企業のニーズにマッチした人物像であることをアピールすることが大切です。
この記事では、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ、人事の業務について理解を深めながら、志望動機の書き方や志望動機の例文をご紹介していきます。
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人事職に適した強みをアピールして刺さる志望動機を作成しよう!
人事職を志望する人の中には、志望動機をどう書けばよいのかわからないという人もいるでしょう。
人事職の志望動機を書く前に、まず仕事の適性や求められるスキルをチェックしておくことが大切です。そのうえで、志望企業が求める人物像であることを効果的にアピールするために、自分自身の経験や強みを整理して伝える必要があります。
この記事では、人事の仕事内容、やりがいや魅力、求められる人材やスキル、評価される資格、志望動機の書き方と注意点、志望動機の例文を紹介します。人事の志望動機の書き方で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
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人事の志望動機の前にこれだけは押さえよう! 人事の概要をまるっと解説
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- 会社の中での役割
- おもな4つの仕事内容
- 人事職のやりがいや魅力
人事職は、企業経営するうえで役立つ要素や能力のうちのひとつである「人」に関する業務に携わることで、企業を支える仕事です。
人材の獲得から人材が能力を発揮するための経営ビジョンの実現や、施策の実行をおこない、採用、教育や労務、制度や評価など、人事に関するさまざまな業務を担います。
近年では、人事が扱うテーマは複雑になっており、新しい技術や資格を習得するための取り組みや、リモートワークの導入、多様性のある人材を登用し、個々の能力を最大限に生かす取り組みなど、より重要な役割を担うようになっています。
会社の中での役割
会社の中での人事のおもな役割は、人材による組織の活性化や、企業の成長につなげることです。昨今は、デジタル情報技術が発展し、企業の組織の在り方も大きく変わってきています。
データやデジタル技術に強い人材も求められており、時代に即した取り組みを通して、組織改革を進めていくことも大切な任務です。
そのため、組織づくりにかかわる人事職は、業務内容や求められる資質やスキルも変化していて、企業の成長に貢献し、さらなる企業の発展を支えるという重要な役割を担うことになるとされています。
- これからの人事職にはどのような資質やスキルが求められますか?
変化に対応できるスキルが求められるようになる
人事の仕事は、データを活用した適材適所の配属、リモートワークの労働環境、SNSを活用した採用など、ITやデジタル情報技術を活用した業務に変わってきています。
これからの人事職はルーチン業務だけでなく、働きやすい環境で労働生産性を高めるための組織改革やモチベーションを高める評価制度、新卒や中途採用のなどの適切な人材確保など、時代の変化を読み取りながら改善改革ができる資質とスキルが求められています。
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おもな4つの仕事内容
おもな4つの仕事内容
- 採用業務
- 教育・研修業務
- 人事制度業務
- 労務管理業務
人事は、企業における組織内の人材管理に関わる業務をおこなう仕事です。企業によっては、総務と人事部をまとめて一組織としているケースや、人事が「労務」を兼任しているケースもあります。
人事の仕事内容としては、企業にマッチする人材をどのように採用する「人材採用」、人材をどのように配置し活用する「人員配置」、人材を適材適所するための計画を推進する「人材育成」なども業務の一環です。
また、人事は採用だけでなく、採用した人材が能力を発揮できるよう、就業規則を見直す「労働環境整備」、組織において人材を正しく評価するための「評価制度の企画や運用」など、組織運営の要となる役割も担っています。
人事の仕事内容は多岐にわたりますが、人事のおもな仕事は次の4つです。それぞれの仕事内容について、くわしく見ていきましょう。
①採用業務
人事の仕事には、人材の採用業務があります。採用業務とは、企業に必要な人事の確保をおこなうものです。人事を確保するために、書類選考や面接はもちろん、会社説明会や就職フェアなどの手配、採否の判断、内定後の事務処理など、採用までの一連のプロセスを担います。
採用業務には、新卒採用のように年間を通しておこなわなければならない業務が決まっているものと、中途採用や、パート・アルバイト採用、派遣スタッフ採用など、部門の人材ニーズに合わせて対応していくものとがあります。
近年は、企業により採用方法が多様化しており、XなどのSNSを利用した採用や、社員の人脈から人材紹介をしてもらう採用方法を取り入れている企業もあるため、マーケティングスキルも求められるでしょう。
②教育・研修業務
企業の事業計画を達成するために、社員への適切な教育方法を検討するのも人事の仕事です。
教育計画に基づきOJTやOff-JT、社員が個人的におこなうスキルアップを目的とした書籍購入や通信教育の受講といった自己啓発のサポート、資格取得の支援など、社員の教育研修に関する業務もおこないます。
そのほかにも、外部でおこなわれるセミナーへの参加や、新しい研修システムの導入など、社員を育てるための企画を立案して、実行していきます。
OJTとは
On the job Traningの略語で、新卒や中途社員に対して職場内で行う研修制度のこと。実務経験が豊かな上司や先輩が、若手や交配に知識やスキルを計画的に教えることで、研修だけでは身につかないことを、実践を通して補うトレーニング
Off-JTとは
Off The job Traninngの略語で職場を離れて社外で研修をおこなう研修のこと
- 企業によって仕事内容は異なるかと思いますが、どこの企業にも採用業務や人材育成は含まれていると考えて良いのでしょうか。
人事のおもな仕事は「人材採用」と「人材育成」
おもに人材採用と人材育成を仕事としていますが、企業によっては採用部署と人材育成(人財開発)部署を分けて運営している会社もあります。
また、採用と育成の両方に取り組む企業もあれば、採用のみを積極的におこなっている企業もあります。
応募企業の方針によって人事として携わる仕事内容も変わってくるので、応募企業はどうなのかを説明会などで事前に確認しておくと良いでしょう。
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③人事制度業務
人事がおこなう業務として、人事制度業務があります。人事制度は、企業が人材の管理をする仕組み全般をいいます。近年の人事制度は、働き方にかかわる仕組みなども含まれますが、従業員の扱いを決定する仕組みに絞って使うことも多いです。
従業員それぞれを、自社が求める業務の到達レベル、会社の利益への貢献度、組織での役割などを評価し、社内における立場や給与の判断材料にします。その判断基準を作成するのも、人事の仕事です。
正しく評価されることで従業員のモチベーションアップにつながりますが、納得のいかない評価をされれば人材を失うこともあり得ます。いかに明確で公平な評価がおこなえるかが、人事職の能力として問われるでしょう。
④労務管理業務
労務管理業務も人事がおこなう仕事です。労務管理とは、従業員の労働に関する事項を管理することを意味します。
具体的には、従業員の勤怠管理や給与計算、社会保険の手続き、交通費計算、入社や退職手続き、年末調整、福利厚生、法律、会社規定など裏方の事務的な業務です。労働に関する管理のほか、健康やハラスメントなどの対策もおこないます。
ハラスメントとは
人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為で、属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけること
人事労務管理業務の、月に1度の繁忙期が給与計算の時期です。また、1年の中では、採用活動の時期、新入社員の入社時期、査定や昇給の時期、社会保険算定の時期、年末調整の時期は繁忙期にあたります。
労務管理を適切にするためには、労働に関する法律知識を実務レベルで使えるスキルが求められます。また、給与計算や手続きでは、正確かつ迅速に業務を進める必要があるでしょう。
査定とは
取り調べて金額や等級を決めること
どの会社でも必要とされるような労務に関する基礎知識は、ネット上でも詳しく解説されているので、わからないことがあれば都度調べながら知識を身に付けていくことが多いです。
専門的なことは社労士の人に確認するのが良いでしょう。
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人事職のやりがいや魅力
人事職に限らず、仕事をするうえでやりがいを感じられることは、日々の業務をおこなううえで大切な要素です。人事は会社の印象を左右する顔となる存在でもあります。
会社の代表として、企業の柱となる組織運営にかかわる重要な役割を担うだけに、組織運営に対する提案や企画が、企業の発展につながることもあるでしょう。
また、採用する人材の選定や面接などをおこなう役割も担います。「人事スタッフが素敵だった」「親身になって話を聞いてくれた」など、人事の印象が入社の決め手になることも少なくありません。
そのため、人事担当者は日頃から清潔で明るい印象を持たせること、コミュニケーション力を磨くことが求められます。ここでは、人事職のやりがいや魅力について、よりくわしく見ていきましょう。
組織運営で経営に貢献できる
人事は、組織づくりに携われる仕事です。人事における組織づくりは、社員一人一人が能力やスキルを最大限発揮できるような人員配置、持続的な成長を遂げられる組織づくりを目指す目的でおこないます。
人事戦略については、経営陣と直接話し合うことも多く、組織において重要なポジションとして活躍できるのも魅力です。
人事が企画や策定した制度により、社員の働きやすさがアップし、社員が能力を発揮して生き生きと働けるようになった、会社の業績が向上したなど、社員の自己実現や企業の発展に貢献することが可能です。
働き方の方向性を変え、会社そのものを成長に導くことができるのが人事のやりがいのひとつだといえるでしょう。
企業に貢献する意思を志望動機で伝える際は、企業が求めている人事職としての業務を見極めたうえで、これまでの経験や知識を活かして貢献できることを具体的に述べるようにしましょう。
たとえば労務管理業務を重視している企業であれば、労務管理に関する知識や経験があれば、貢献する意思が明確に伝わります。
採用した人の成長を感じられる
人事は、入社時から社員を見守り、成長をサポートしていく仕事です。社員との距離が近く、成長を間近で感じられるのも人事の仕事の魅力だといえます。
人事はコミュニケーションを図り、社員と直接接することができる部署です。採用だけでなく、入社後の研修やキャリアパスのサポート、パフォーマンス評価の実施など、さまざまな面で社員の成長を支援します。
採用を担当した社員や、研修に携わった社員が仕事で成果を上げたり、売上に貢献したりしたときは、自分事のように嬉しく感じるものです。社員の成長をそばでサポートすることに喜びを見出せる人には、やりがいが得られる仕事だといえるでしょう。
人事職のキャリアパスは?就活のプロであるキャリアコンサルタントの視点で解説!
人事職を目指すなら、将来どのようなキャリアの道があるのかを把握しておくことが大切です。
人事職では、特定業務におけるスペシャリストになることもできます。大手企業ほど分業制を採用しているため、人事業務に専念することが可能です。
また、人事職では、経理や総務、財務、法務などのバックオフィス業務を担当するケースも少なくありません。幅広い業務に従事したあとで、マネジメントの経験を重ね、ゼネラルマネージャーを目指す道もあります。
人事職のキャリアパスの例を簡単に挙げてみましたが、なかなかイメージが湧かないという人もいるでしょう。そこで就活のプロであるキャリアコンサルタントの井上さんに人事職のキャリアパスについて聞いてみました。
具体的なキャリア設計をイメージしたいという人は参考にしてみてください。
アドバイザーコメント
井上 捺稀
プロフィールを見る人事職のキャリアパスはおもに3つが挙げられる
人事職の一般的なキャリアパスは、「管理職になる」「専門性を高める」「独立する」の3つが挙げられます。
人事職では幅広い業務を経験できるため、営業職や事務職で転職する際にも有利に働くことが多いです。下記のキャリアパスを参考に、自分の理想のキャリアパスについて自由にイメージしてみてくださいね。
①管理職になる
人事部長となりチームのマネジメントを担ったり、最高人事責任者(CHRO)に就任したりしてその企業の人事業務のすべてを統括したりする道です。
CHROとは、経営陣の一員として企業の経営戦略の策定にもかかわりながらそれに沿った人事戦略を立て、人事部全体の指揮を取る役職です。
②専門性を高める
人事業務の中でも特定の業務に特化して専門性を高める道です。その部門のスペシャリストとしてマネージャーになったり、専門性をさらに活かせる企業に転職したりするケースがあります。
③独立する
人事経験を活かしてフリーランスとして独立する道です。研修講師として企業や学校にてセミナーをおこなったり、社外人事として複数の企業のコンサルティングをおこなったりなど、自ら案件を取って働きます。
適性をチェック! 人事が求める人材とは?
適性をチェック! 人事が求める人材とは?
- 人とかかわることが好きな人
- 人間観察力がある人
- 秘密を厳守できる人
- 相手の立場に立ったうえで冷静に判断できる人
人事の仕事は、採用の場面では会社の顔になったり、社長などの経営陣とコミュニケーションを取る機会があったり、ほかの部署にはないことを経験します。
また、人事事務の業務は、ルールに沿って正確にこなすこと、法令や制度を守るすることは必須です。人事職を目指すなら、人事の仕事内容をしっかり把握したうえで、求める人材としての適性が自分にあるかを見極めることが大切です。
ここからは、人事で求められる人材について、見ていきます。
人と関わることが好きな人
人事の仕事は人とかかわることに喜びを感じる人や、積極的にコミュニケーションできる人に向いています。社員だけでなく、社外の人とも接する機会が多いため、企業の顔ともいえる立場です。
そのため、誰とでもスムーズに意思疎通ができ、相手の意向を汲み取る力や過不足なく伝えられる伝達力は、必須といえます。社内では経営陣と社員との橋渡し役になるなど、難しい調整役を務める際も、笑顔で穏やかに対応できることや、困難なときでも冷静に対処できることが求められるでしょう。
人事は社員をサポートする業務が多く、直接評価されることは少ないです。サポート役にやりがいを見出せる人や得意な人、裏方の仕事を好む人に適しています。
人事の仕事は社員のサポートを通して、「働きやすい制度や環境作り」「社員の成長の機会の創出」「組織力の強化」などをおこなうのが役割です。
人のサポートを通して具体的に自身が感じるやりがいと、応募企業への具体的な貢献方法までを書くようにしましょう。
人間観察力がある人
人事は採用や人材の評価、労務管理など、多くの人とかかわり、向き合う仕事です。そのため、人間観察力に長けている人に向いています。
人に対して興味や関心がなければ、他人を理解することができません。興味関心を持って人と接することができる人であれば、社員や応募者の人柄や適性を見極められます。
社員が持つ特性を理解することで、個々の能力を最大限に活かした人員配置に役立てることが可能です。
また、社員をサポートする際は、あらゆることを全体的な視点で見る必要があります。1歩引いて冷静な目で判断できることは、人事の仕事をするうえでも大切です。
人間観察力に長けていることは、社員の能力を引き立てられるなど、人事の仕事でも存分に活かせるでしょう。
普段の生活から人の言動だけでなく、表情や声のトーン、仕草なども意識的に見てみると良いでしょう。
そこからその人の長所と短所を自分なりに分析・言語化し、直接答え合わせをするとさらに観察力が鍛えられます。
秘密を厳守できる人
人事の仕事では、個人情報や機密情報を取り扱うため、秘密を厳守できる人が求められます。機密情報は、慎重かつ安全に取り扱う必要があります。
人事の立場であれば、給与額、人事評価、社員のマイナンバーなどは簡単に調べられます。業務を通じて知り得た情報を第三者に漏らしたり、業務に関係ないことを調べたりすることは絶対におこなってはいけないことです。データが流出すれば、企業に多大な損失を与えかねません。
秘密を厳守する規律性と情報漏えいに対する強い危機意識は必須です。会社の信用ににかかわる間違いが許されない業務であるため、情報の取り扱いを徹底できる責任感がある人に適しています。人事の経験が浅いうちは、情報の取扱いに慣れていないため、より注意が必要です。
相手の立場に立った上で冷静に判断できる人
人事の仕事に求められるのは、相手の立場で冷静な判断ができる人です。会社には、経営者や役員、社員など、さまざまな立場の人がいます。
希望する働き方や就業条件、考え方などは社員によって異なるため、相手の立場に立って考えられることはとても重要です。それぞれの社員に応じた、適切なサポートをおこなう必要があります。
その際は、公平性を保ち、冷静な判断を下さなくてはなりません。収益アップだけを考えてで業務をこなせば、結果的に会社に不利益をもたらすリスクもあります。
自分の感情を入れずに誰に対してもブレない判断や、客観的な視点で物事を捉えることが求められるでしょう。経営者の要求と社員の希望をバランス良く汲み取るのは難しいですが、双方の立場を理解できる人に適しています。
あらゆる立場の人の意見をバランス良くくみ取るためには、相手の立場になりしっかり意見を聞くだけでなく、人事として公平性のある対策案を持つことが重要です。
意見を聞いているだけでは収集がつかなくなることがあるので、それぞれの意見を活かしながら客観的な視点で何をすべきか考えて実行することが大切です。
積極的にアピールしよう!人事に求められるスキル
積極的にアピールしよう!人事に求められるスキル
人事職を目指すなら、求められるスキルを把握することが大切です。これまで人事の仕事は、制度や法令に関する取り組みが重視されてきましたが、人材育成や社員のモチベーション向上などの重要度が高くなっています。
これからの人事の仕事では、人事が現場に入り込み、現場が抱えている問題点などを把握し、人材育成に活かしていくことが大切です。人事にどのようなスキルが求められるかチェックし、選考で効果的にアピールしましょう。
PCスキル
人事職に就くなら、基本的なPCスキルも欠かせません。実際に、人事職では一定のPCスキルが採用条件となっていることも多いです。
また、パワーポイントやプレゼンテーションにかかわるスキルがあれば、評価されるポイントとなります。採用業務では良い人材の獲得に向けて、求職者が企業をイメージしやすいような資料をパワーポイントで作成し、プレゼンテーションする企業も増えているからです。
PCスキルとして持っておくと良いのが、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」です。マイクロソフトオフィスの各種ソフトの使用スキルを証明できる検定で、採用選考時にも有利に働きます。
人事職への就職であれば、「一般レベル」「上級レベル(エキスパート)」の挑戦がおすすめです。
こちらのQ&AではMOSが就活で有利になるのかキャリアコンサルタントが回答しています。併せて参考にしてみてください
情報収集力
人事の仕事には、情報収集能力も大切な要素です。従業員がより働きやすい職場環境づくりのために、社内外の情報を幅広く収集する必要があります。
情報収集とは、信頼性のある情報源を見極める力や、収集した情報を整理・分析して必要な情報を抽出する能力で、その情報を実際の業務にどのように活かすかも大切なポイントです。
人事の仕事では、より働きやすい職場環境づくりのために、社員の要望、困っていることや悩み事を拾い上げ、人事評価制度の改善や、世の中の流れを踏まえた福利厚生の見直しをおこないます。
人事職は、法改正などの社会の動きや、組織内の人の動きなど、情報をいち早くキャッチする能力に長けていることが求められるでしょう。
企画力
人事職は、組織における現状ある課題を発見分析し、効果的な施策や、制度を提案します。そのため、データや情報を整理し、論理的に考えることが必要です。
採用計画や教育制度などの人事制度を設計する際は、市場や競合の動向、自社の強みや弱みを把握しなくてはなりません。そのうえで、目標や予算を設定し、その効果に応じて改善策を考えていく企画力が求められます。
変化の激しいビジネスの世界で組織や人材の育成を支援するためには、新しいアイデアを生み出す力も必要です。
加えて、自ら課題を見つけて改善するような、主体性や責任感がある人に適しています。自分の担当領域はもちろん、組織全体のことを考えて行動し、自分の意見や提案をしっかり伝えることが大切です。
人事制度や教育制度などの内容や仕組みも、社会情勢に合わせて都度見直して改善していくことが求められます。
現状に甘んじることなく「会社が継続的に発展していくためにはどうするべきか」という視点で企画をするように常にアンテナを張りましょう。
労働に関する法律の知識
人事職は、社員の権利を守るためにも、労働に関する法律の基礎知識が求められます。人事に関連する法律は多くありますが、特に人事の仕事と労働法は密接な関係にあります。
企業の就業規則はさまざまな法律に基づき、作成されています。労働三法と呼ばれる「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」など、労働の権利に関する法律は正しく理解しておくべきです。そのほかにも、男女雇用機会均等法や最低賃金法などは、人事の仕事をおこなううえで押さえておきましょう。
また、近年重視されている、ダイバーシティ推進やハラスメント防止などについては、関連法や判例を押さえておくことが望ましいです。労働法はたびたび改正されるため、最新情報を取得して業務にあたるようにしてください。
ダイバーシティ推進とは
国籍・性別・年齢などの区別なく多様な人材を積極的に登用する戦略のこと
ハラスメント防止とは
事業主にパワハラ防止の措置を義務付ける法律のこと
労基に関する情報は、労務関連の専門サイトや厚生労働省の公式サイトを定期的にチェックしたり、そのような情報を発信しているSNSをフォローしたりすると最新のものをキャッチしやすいです。詳しく知りたい際はセミナーの参加もおすすめです。
コミュニケーション力
人事職は、社内外のさまざまな人とかかわり、調整や交渉をおこなうため、コミュニケーション能力のある人に向いています。また、コミュニケーションを取る際に、重要なのが傾聴力です。
人事は従業員の労働環境や評価など多くの意見をもらう機会があります。相手の話を聞いたうえで、相手の要望を把握し、自社の状況や課題を考慮して対応することが大切です。
社内では、社員のキャリアや評価に関する相談に応じたり、採用候補者には会社の魅力や働き方について説明したりします。
社外でも経営陣や専門家と意見をやり取りする場面もあるため、さまざまな立場や年代のニーズを理解し、円滑にコミュニケーションを図る能力が求められるでしょう。
志望動機で評価されやすい!6つの資格
志望動機で評価されやすい!6つの資格
人事に就くために、特に必要な資格はありません。つまり、人事の仕事は、無資格でも未経験でも就くことは可能だということです。ですが、人事の志望動機で持っていると評価されやすい資格はあります。
資格の有無が選考を分けることにはなりませんが、資格を持っていることが優位に働くこともあるでしょう。人事への就職後のさらなるキャリアアップにも有効です。
ここでは、人事の志望動機において、評価されやすい6つの資格を紹介します。
①社会保険労務士
社会保険労務士は、人事を志望する場合に持っていると評価されやすくなる資格のひとつです。社会保険労務士は、社会保険の申請や帳簿作成を代行するための国家資格になります。
資格を取得することで得た知識を、社会保険手続きや労働相談などの人事労務の関連業務に活かすことが可能です。また、労働関係法令に関する深い知識により、社員や自分自身を法的に守れます。
社会保険労務士資格には独占業務があるため、将来的に独立が目指せるのがメリットです。安定したニーズのある資格であるため、独立開業することで、キャリアアップにつながります。
企業内で人事としての経験を積めば、実際の現場での知識や経験が身につき、独立開業する際にも役立つでしょう。
②衛生管理者
衛生管理者は、50人以上の従業員がいる企業であれば、設置する必要があります。衛生管理者は、労働する環境全体に目を配りながら、労働条件や衛生状態、危険管理などをおこなう仕事です。
一般的に衛生管理者業務のみをおこなうことはあまりありません。会社から任された別の仕事があり、役割のひとつとして衛生管理業務をおこなっているケースがほとんどで、人事部などの人員が活躍しています。
社員それぞれの健康診断の受診率及び結果を管理したり、各部署の責任者と連携して衛生教育をおこなったりします。業種や職種によっては、化学薬品や建設資材に関する専門知識がないと、安全対策を実施しづらいことがあるでしょう。
企業側は、衛生管理の資格保有者がどの部署の誰であると望ましいかを考慮し、人員の配置を検討します。
人事の仕事で衛生管理者が活かせる場面として、社員が働く労働環境に目を配り、衛生上の調査・改善、社員の健康診断の実施をする際や、産業医の選任をおこなう際などがあります。
社員の健康管理と適切な労働環境の改善は、人事として大切な業務です。
③メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は、社員のメンタルヘルスの基礎知識と企業の取り組み方への理解を示すことができる資格です。社員の精神的な健康を維持し、心地よく働いてもらえる環境を整備することも、人事の役割のひとつになります。
メンタルヘルス・マネジメント検定は、社内での役割ごとに「Ⅲ種(セルフケアコース)」「Ⅱ種(ラインケアコース)」「Ⅰ種(マスターコース)」という区分があり、人事を目指すなら社内のメンタルヘルス対策の推進を目的としているⅠ種(マスターコース)がおすすめです。
近年、政府も労働者のメンタルヘルス対策を強化しており、2015年から従業員が50人以上いる事業所に対し、年に1度のストレスチェックの実施が義務付けられています。
④キャリアコンサルタント
人事の仕事に就くなら、キャリアコンサルティングの知識を身に付けると良いでしょう。キャリアコンサルタントとは、「労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発及び、向上に関する相談に応じ、助言及び指導をおこなうこと」とされています。
端的にいうと、キャリアコンサルティングの専門家として、従業員や求職者にキャリアプランをアドバイスできる国家資格です。資格取得で得た知識を活かして、社員のキャリアについて適切なアドバイスをすることができます。
社員の成長を定期的に確認することで、社員のモチベーションや生産性のアップ、働きやすい職場環境への改善も実現しやすくなるでしょう。
⑤人事総務検定
人事を目指すなら、人事総務検定の取得もおすすめします。人事総務検定は、主催は一般社団人事総務スキルアップ検定協会で、LECが指定講習団体としておこなう、人事総務部の知識や実務能力にかかわる検定試験です。
人事総務を志望する人の中には、人事総務に関する必要な知識や実務を学ぶ機会や適切な教材がないと感じている人も少なくありません。人事総務検定は、人事総務の実務や、その基礎となる法律知識を体系的かつ実践的に習得できるのがメリットです。
人事総務などの管理部門への就職を考えている人や就職後のスキルアップをしたい人に適しています。人事総務検定を終了していることは、選考時のアピールポイントになるため、検討してみてください。
人事総務検定は、入退社時に発生する手続き業務に関する知識や、労使協定や就業規則に関する法律を学べる資格なので、労務管理業務や人事制度策定する際に役立てることができるでしょう。
1級になると人事評価作成や株主総会に関する知識も学べるので、人事として活躍できる幅も広がりますよ。
⑥産業カウンセラー
産業カウンセラーは、働く人たちが抱える問題を自ら解決できるようにサポートするための民間資格になります。人事は、社員の希望をヒアリングし、公平にサポートするのが仕事です。
資格を取得することで、傾聴力が養えるため、従業員に寄り添った提案ができます。産業カウンセラーを取得することにより、産業カウンセラーの役割、カウンセリングをおこなうための理論や技法、倫理、職場のメンタルヘルスや事例について、学んだ証になります。
ただし、産業カウンセラーは、主催団体の日本産業カウンセラー協会の登録商標となるため、産業カウンセラーと名乗るためには、試験に合格し、資格登録をすることが必要です。
産業カウンセラー養成講座を受講してから、試験を受ける人が大半です。民間資格のため、試験実施機関と養成講座の開催機関はどちらも日本産業カウンセラー協会になります。
7ステップを必ず守ろう!人事の志望動機の書き方
7ステップを守ろう!人事志望動機の書き方
志望動機は、選考を左右する重要な要素になります。人事職を志望するなら、人事職としてどのように企業に貢献したいかを伝えることが大切です。
志望企業の分析や理解を深め、明確な理由や根拠となるエピソードを添えて、説得力のある内容に仕上げる必要があります。
ここでは、人事の志望動機の書き方を7ステップに分けて紹介します。このステップを踏んで作成することで、採用側に評価される志望動機にしていきましょう。
ステップ①志望企業の業務内容や理念を確認する
人事の業務は多岐にわたりますが、企業により担当する業務範囲は異なります。大企業では担当業務を細分化する傾向があり、中小企業では人事と労務の業務をすべて1人でおこなう場合もあります。
入社後のミスマッチを避けるためにも、志望企業の業務内容が希望条件に合っているか確認しておくことが大切です。
また、志望企業の理念への理解を深めておくことも必要です。「人事制度に共感したから」「幅広い業務にあたれる職場環境に魅力を感じたから」などの抽象的な志望動機では、企業から「自社じゃなくても良いのでは?」と思われてしまいます。
志望企業の社風や人事制度に絡めた内容にすることで、企業理解の深さをアピールしましょう。
ステップ②なぜ人事として働きたいのか明確な理由を書き出す
人事の志望動機では、「なぜ人事職に興味があるのか」「なぜ人事でなければならないのか」など、人事を志望する理由をわかりやすく明確に伝えることが大切です。志望理由が曖昧だと、ほかの応募者と似通った内容になってしまうことがあります。
また、人事職は一見華やかで楽しそうな仕事に見えますが、コツコツとした地道な作業も多く、計画通りに採用を進めなくてはならず、プレッシャーを感じることもあります。
人事職に対する憧れや妄想だけで目指していると思われないように注意しましょう。人事の仕事内容を理解したうえで、表面的な魅力だけでなく、地道な作業もこなせる適性やスキルがあること、独自性のある理由をアピールすると良いでしょう。
ほかの応募者と差を付けるためには、自身の経験や強みをもとにアピールすることが大切です。
会社説明会で人事担当者が学生に対して企業の魅力を伝えるように、自分が人事になることでその会社にどのようなメリットをもたらすことができるのかを伝えるようにしましょう。
ステップ③志望企業を選んだ理由を書く
次に、志望企業で働きたい理由を示して、企業への貢献度の高さをアピールしましょう。
人事職は多くの企業で募集しているため、「ほかの企業ではなく、なぜ志望企業なのか」を明確に伝えることが大切です。志望企業を選ぶ際に決め手になったことや、どんなところに魅力を感じたのかがポイントになります。
企業のホームページの経営者の言葉や、ウェブサイトの社員の声などをチェックし、十分な情報収集をおこなうことは必須です。興味関心や共感した内容はピックアップして書き出しておけば、志望動機の作成に役立てられます。さらに、入社後に具体的に成し遂げたいことを加えましょう。
前向きな姿勢を見せて、入社意欲の高さを示すことが大切です。
ステップ④志望に至ったエピソードを書く
志望動機の内容に説得力を持たせるためには、志望に至ったエピソードを添えるのが有効です。
企業に興味を持ったきっかけや、なぜほかの企業ではなくてその企業に入社したいと思ったのか、自分ならではのエピソードを付け加えましょう。人となりが伝わり、相手の印象に残りやすくなります。
志望動機を伝える際は、企業側が自社とマッチしていることや、自社になくてはならない存在だと感じてもらうことが大切です。企業で働いている自分の姿をしっかりイメージしてもらえるような内容にするのがポイントになります。
たとえば、理念に対してどのように感銘を受け、理念に沿って自分が何を実践しようと考えているのかなど、自分の言葉で具体的に伝えてみてください。
求人情報や企業のホームページには、企業の特徴や独自性などが書かれています。良いエピソードが浮かばない場合は、そこから共感できることについて考えてみましょう。
共感した理由を掘り下げると、仕事の価値観や叶えたいことなどの共通点がエピソードとして浮かんでくると思います。
ステップ⑤経験やスキルを棚おろしする
自分自身のこれまでの経験やスキルのすべてを漏れなく書き出してみてください。そこから人事に関連するものをピックアップすれば、人事の仕事で自分に何ができるのかが見えてくるはずです。
アルバイトで後輩を指導した経験や、レポートの作成で培ったPCスキルなども人事職に活かすことができます。人事の採用や人材育成などの業務で活かせそうな経験を整理し、具体的に示しましょう。
また、人事職ではコミュニケーション能力や、企画力なども求められます。それらのスキルの高さをアピールするのも効果的です。人事の業務との親和性を考慮し、自身が持つ経験やスキルを伝えることで、採用に近づいていきます。
ステップ⑥志望企業の人物像とのマッチ度を伝える
企業が求める人物像を把握したうえで、自分がその人物像と合致していることを企業にアピールしていきます。
採用担当者に響く志望動機を作成するためには、企業に相応しい人物だと感じてもらうことが大切です。採用ページや求人票には、企業が求める人物像が記載されていることがあるため、隅々まで目を通してみてください。
企業が求める人物像に合致していない場合は、共通点を見つけて、志望動機に反映させましょう。
ただし、人事評価の策定をおこなえる人を求めている場合であれば「採用活動に貢献します」と伝えても、選考は通りません。人事職の業務内容は幅広いため、自分が携わりたい業務と企業が求める業務や素養を把握したうえで、企業とのマッチ度を伝えることが大切です。
- 志望企業が求める人物像とのマッチ度が低いと感じています。そのほかの要素でカバーすることは可能ですか?
求められるスキルや経験があれば採用される可能性はある
人事職として求められるようなスキル・経験がある場合は、採用される可能性が少なからずあります。
ただし、人事職はいわば「会社の顔」です。特に採用を担当する人事職の求人であれば、求める人物像にマッチした人材を採用する傾向がとりわけ強くなります。
また、あまりにも求める人物像とのマッチ度が低い場合、仮に採用されたとしてもあなた自身が入社後に働きづらさを感じてしまう可能性も否めません。
そのため、無理にほかの要素でカバーしようとするよりは、求める人物像が自身の強みや適性とマッチしている企業を選んだ方が、選考時はもちろん入社後も自分らしく働くことができるでしょう。
ステップ⑦入社後に実現したいビジョンを書く
志望動機の最後は、入社後に「人事職としてどのようなことを成し遂げたいのか」「どんな風に貢献したいのか」など、具体的に実現したいキャリアビジョンを書いて、入社意欲の高さを伝えて締めましょう。
キャリアプランを書く際は、自分の経験やスキルを志望企業でどのように活かせるのかを軸に考えてみてください。
たとえば、「採用広報で御社の魅力を社外に伝えて、志望者を増やしたい」「定着率を高める仕組みづくりをして、御社の発展に貢献したい」といった感じに、自分を採用するメリットや、働く姿がイメージできるような内容を含めましょう。
その際、志望企業が人事職に求める適性があることをアピールすれば、より効果的です。
人事の志望動機を書くときの注意点
人事の志望動機を書くときの注意点
- 志望企業の理解を深めておく
- 企業側の視点を持った内容にする
- 志望企業のニーズに合った内容をアピールする
- 履歴書なども含めて一貫性のある内容にする
志望動機を作成する際は、効果的にアピールするポイントがある一方で、注意しなければならない点があります。書き方を間違えれば、評価されないばかりか、マイナスの印象を与えてしまうこともあるでしょう。
ポイントを押さえたうえで、注意点を守って仕上げることが、評価される志望動機を書く秘訣です。では、人事職の志望動機を書くときにどのような点に注意すれば良いのでしょうか。気をつけるべき点について見ていきます。
志望企業の理解を深めておく
志望動機を書く際に大切なのが、志望企業の分析です。企業理解が不十分だと、企業側とのミスマッチが起こりやすくなるため、志望企業の仕事内容や事業戦略といった基本情報の理解は欠かせません。
また、人事職の仕事内容は、採用方針や人事制度により異なります。企業により業務が細分化されている場合と幅広い業務を担う場合があるため、企業研究はしっかりおこなう必要があるでしょう。
また、採用ページや求人などから、企業が求める人物像を把握しておくことも大切です。採用する際の判断基準のもとになるもので、企業が求めるスキルや社風にマッチした人材がわかります。求める人物像から、志望企業で働くイメージが湧きやすくなるでしょう。
事業戦略とは
企業が事業目的を達成するために作った基本的な方針や計画のこと
志望動機では、企業側の視点を意識せずに書くと、企業との間で意識のギャップが生じてしまい、失敗を招きます。
志望動機の失敗例
・貴社の○○に魅力を感じます→共感して欲しいのはそこではない
・このスキルに自信があります→今求めているのはそのスキルではない
このような意識のギャップを防ぐためにも、企業分析を徹底的におこなうことは必須です。また、自社だけでなく他社にも通じる内容の志望動機を語った場合も、良い評価を得られないでしょう。
志望企業はどのような経営理念や事業戦略をおこなっているのか、企業が求める共感ポイントはどこか、業務においてどんなスキルが求められているのかなど、チェックしておくべきポイントです。
企業分析と自己分析をしっかりおこなったうえで、企業の視点に立った内容にすることを意識してみてください。
経営理念とは
経営者の哲学や信念に基づき、企業の根本となる活動方針を示したもの
応募企業が採用人材に対して求めている視点を把握する一番の方法は、会社説明会やインターンシップに参加して会社が求めているポイントを直接的に把握することです。
独りよがりな志望動機にしてしまわないために、説明会やインターンへの参加で不明確な部分は質問などをして、企業が採用する人材に求めているスキルや人間性をつかみましょう。
志望企業のニーズに合った内容をアピールする
人事職といっても、企業によって業務範囲は異なります。志望企業で自分の希望する働き方ができるのかを確認しましょう。
志望企業のニーズを踏まえたうえで、求められている自身の経験やスキルを書くことが大切です。企業側には、求める人物像があります。志望企業のホームページや採用情報などをしっかり読み込んで、求めている人材を把握し、関連する内容を具体的に記しましょう。
教育や研修業務の求人ニーズがある場合は、サークルや部活動のマネージャー、アルバイトでの後輩の育成の経験が役立ちます。志望企業のニーズにマッチしている内容をアピールすれば、採用側の興味関心を引くことができ、必要な人材だと認識されやすくなるでしょう。
履歴書なども含めて一貫性のある内容にする
履歴書などを含めて、志望動機や自己PRで主張に揺らぎがないよう、一貫性を持たせることも大切です。一貫性に欠けた志望動機の場合、入社意欲や理解力が低いと判断されてしまう可能性もあるでしょう。
自分がやりたいことやできることの方向性にズレがあると、信憑性が低くなってしまいます。
たとえば、プレゼンテーション能力が強みなら、自己PRで自分の強みとして伝えるとともに、志望動機でも「人事の仕事で自分のプレゼンテーション能力を業務の採用計画の企画運営の面で活かせると思い、志望した」と記載してアピールしてみてください。
ポイントは、自己PRで伝えた強みにより、志望動機にある目標やビジョンを達成できることを示して、筋を通すことです。
自分がやりたいこととできることに相違がある場合は、スキル・経験・知識などにおいてのやりたいことに必要な要素を分解し、その中からすでに持っているものを強みとしてアピールしましょう。
また、自分ができることの中からやりたいことを再度考え直してみても良いですね。
経験者・未経験者別|人事における志望動機の例文
人事職の志望動機は、7ステップを順に追っていくことで、書くことができると理解できたかと思います。志望動機は、その人の人柄がわかる重要な要素です。
人事の業務に活かせる経験やスキル、将来をイメージできる具体的なキャリアビジョンを盛り込み、採用側の印象に残る志望動機を作成してみてください。また、志望企業を選んだ理由や、企業でどのように活躍したいかを端的に表現することもポイントです。
ここでは、経験者、未経験者別の人事における志望動機の例文を紹介します。
未経験で人事に応募する場合
未経験で人事に応募する場合
私は食品業界で法人営業として5年勤務経験があります。3年目にマネージャー職に就き、30人のマネジメント業務をおこなってきました。
営業やマネジメントの経験から、人間観察を通して人材の強みを把握し、チームを活性化させることで、売上前年比1.5倍を達成し、働きがいのある職場づくりに貢献してきました。
私はメンバーの個性や得意な役割を理解し、それぞれの力を引き出すことができると自負しています。この経験を人事の業務に活かし、適性や意欲を持つ人材の発掘や、働きがいのある組織づくりに注力したいと考えています。
将来は、社員の成長につながる教育プログラムの設計や実施にも、積極的に取り組みたいです。
他職種からの転職
他職種からの転職
御社を志望した理由は、従業員の能力が最大限に発揮でき、相乗効果を生む組織づくりに従事したいと思ったからです。
私は製菓メーカーの営業を5年経験してきました。人事の人とは、研修などで接する機会が多くありました。大手スーパーやコンビニなどの有利なフェイスの獲得や、キャンペーンを実施することにより、売上は大きく変わります。
その経験を通して、粘り強さと納得するまで話し合う交渉力を身に付けました。
御社は飲料メーカーとして幅広く事業を展開しています。飲料は菓子とは別の業種ですが、消費者に届けて幸せを共有するという点では共通しています。これまで営業で培ってきたスキルを活かしながら、従業員の強みが活かせる組織にするために、尽力したいと思っています。
人事の経験がなくても、スタッフのシフト管理、指導・育成など、人事に関連した経験があれば、経験だけでなく成果を伝えることで、強みとしてアピールできます。
また未経験でも人事に関連する知識や資格を取得していればアピール材料になりますよ。
新卒で人事を志望
新卒で人事を志望
私が御社の人事を志望した理由は、「社員一人ひとりが能力を発揮できる組織づくりに携わりたい」という思いがあったからです。
私は、学生時代にアルバイト先で、作業スピードやコミュニケーション力が高く評価され、アルバイトリーダーに抜擢されました。その役職において、後輩や新人の指導やシフト管理やスケジュール調整などを任され、規模は小さいながらも組織運営を経験しています。
その際に、「作業が円滑に進められるようになった」「職場に活気が出てきた」などの社員やアルバイトスタッフの言葉にやりがいを感じ、人事職を志望しました。入社後は、社員が働きやすい環境を整え、一人ひとりの魅力が活かせるような組織をつくることで、御社に貢献したいです。
人事職の経験がある場合
人事職の経験がある場合は、必ずこれまでの実績をアピールしましょう。人事は専門的な知識やスキルが求められるため、ノウハウのある人は即戦力になると見込まれて、採用に至りやすいからです。
採用側が注目するのは「会社の経営方針を踏まえて、どのように人事業務にあたっていたか」「人事業務の中でどの業務に強みがあるのか」などです。入社後の業務や企業の人事課題にどのように活かしていきたいかを盛り込んでみてください。
たとえば、応募先企業は人事全般の経験を求めていて、応募者自身は採用業務のみの経験があり自身の経験と企業のニーズが合わないような場合は、応募にチャレンジしている理由をしっかりと熱意を持って伝えることが大切です。
その際、今までの経験をどのように活かそうと考えているのかも具体的に伝えるようにしましょう。
業界経験あり
業界経験あり
御社を志望した理由は、人材コンサルティングで培った経験や知識を活かして、人材採用、組織づくりに携わる立場になりたいと思ったからです。
現職では、顧客が採用を成功させるためのアドバイスをおこなってきました。業務の中で、就職活動で成功をおさめ、顧客の課題が解決されて満足する様子を見て、企業の発展に必要なのは、採用手段や全従業員にコミットすることだと実感しました。
御社では、関連部署とコミュニケーションを図り、ミスマッチを防ぐ応募要件をまとめている点が、私の理想と合致しています。
御社の理念や方針に対する理解を深め、事業発展に貢献できるよう努めてまいります。
業界経験なし
業界経験なし
人事職を志望した理由は、アパレル業界での経験を活かし、人材の採用や育成にかかわりたいと思ったからです。
私は、現職でアルバイトの採用や教育する役割を担う小売店の店長をしています。採用と教育に携わった従業員が顧客に感謝され、売上に貢献する姿を見て、人を採用し育てる魅力に気づき、人事の仕事がしたいという思いを強くしました。
御社は、現職と同じアパレル業界ですが、スタッフへの気配りや対応が丁寧だと感じ、その背景にある採用と人事の仕組みに興味を持ち、御社を志望しました。
現場での経験を活かしながら、人事として人材の採用や育成に貢献したいと思っています。
人事の志望動機は適性の把握と企業のニーズに沿ったアピールで選考を突破しよう
人事職は人材の採用や育成はもちろん、社員が能力を発揮できる働きやすい組織づくりにより、企業の発展に貢献するなど、やりがいを感じられる仕事です。
人事職を目指すなら、適性や求められるスキルをチェックしておく必要があります。人事職の志望動機では、多方面から適性や強みがあることを示し、企業が求める人物像を分析し、ニーズに沿ったアピールをすることが大切です。人事職に対する前向きな意欲を伝えて、採用をつかんでくださいね。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る採用担当者が志望動機を聞く意図をしっかりと把握することが重要
採用担当者は、人事職の志望動機から「なぜ人事の仕事がしたいのか・なぜ自社を志望するのか・自社で活かせる経験やスキルは何か・自社で叶えたいビジョンは何か」を見極めています。志望動機ではこれらを忘れずに記載しましょう。
人事職の仕事は、労務管理、社員教育・研修、採用、人事制度の構築など幅広い業務ですが、いずれも企業の発展に貢献できる仕事です。人事としてやりたいことや叶えたいことを考えてみると、人事に就きたい理由が明確になります。
企業研究と自己分析を深めてマッチ度を高めていこう
応募企業を選んだ理由は、求人情報や企業のホームページなどで企業研究をおこない、企業の特徴や業務内容などから共感できる部分を伝えると良いでしょう。
PCスキル・情報収集力・企画力・労務に関する法律知識・コミュニケーション能力などは、人事で活かせるスキルです。採用担当者は、活かせる能力が求めている人材とマッチしていれば、応募者の活躍する姿をイメージできます。
そのため、求人情報から求めている人材を見極めたうえで、これまでの経験と関連させて発揮したい能力として志望動機に盛り込むように意識しましょう。
また、未経験でもコミュニケーション能力やシフト管理といった経験などは、アピール材料になります。自分が持っているアピール材料をしっかりと分析して、人事職に就きたいという意欲が伝わるような志望動機を作成してくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント
Natsuki Inoue〇新卒で携帯電話販売代理店業界のベンチャー企業に入社。現場にてBtoC営業を経験した後、人事部では新卒採用を中心に、社内研修講師や社員面談などの人事業務に幅広く従事
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
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