この記事のまとめ
受刑者に対する生活指導をおこなって社会復帰をサポートする刑務官は、国家資格であるため決して簡単になれる職業ではありません。そんな刑務官の志望動機を作成する際は、最初にどんな刑務官になりたいのかという将来像を示すことが大切です。そうすることによって面接官が志望動機の方向性を理解でき、印象に残りやすくなるからです。
しかし、「具体的にどんな将来像を書けば良いかわからない」「今の志望動機で難しい選考を突破できる気がしない」と悩んでいる人も多いでしょう。
この記事では、キャリアコンサルタントの高尾さん、柴田さん、永田さんのアドバイスを交えつつ、刑務官の志望動機を作成する方法を解説します。例文も紹介しているので、志望動機に何を書こうか迷っている人はぜひ参考にしてくださいね。
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刑務官の仕事や動向を踏まえて説得力のある志望動機を作成しよう
刑務官の志望動機を作成するにあたって、具体的な仕事内容や動向に関する理解は欠かせません。刑務官の業務について詳しくない状態だと、解像度の高い志望動機を作成できないからです。
この記事では、前半で志望動機の作成に欠かせない刑務官の基礎知識や求められる人物像を解説します。まずは刑務官の基本情報や就職するために必要なことなどを理解しましょう。
その後、志望動機を作成するステップを解説した後、理想の刑務官像ごとに7つの例文を紹介します。いざ志望動機を作成する際にスムーズかつ高評価を得られるものを書けるよう、書き方やコツを把握しておきましょう。
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志望動機を考える前に知っておきたい刑務官の基礎知識
刑務官の志望動機を作成するにあたって、具体的な仕事内容や今後の動向に関する理解は必須です。知識がない状態で作成した志望動機は現実味に欠け、魅力的な文章に仕上がらないからです。
ここでは刑務官に対する理解を深められるよう、おもな3つの配属先を紹介します。今後の動向についても解説しているので、ぜひチェックしてくださいね。
刑務官の配属先
刑務官は、受刑者の生活指導や作業監督をおこなう仕事です。罪を犯した収容者とのかかわりを通じて、刑期終了後の社会復帰をサポートします。
刑務官と一括りに言っても配属先によって収容者の属性が異なるため、仕事内容に少し違いがあります。配属先でどのような仕事に取り組むのか、それぞれ見ていきましょう。
刑務官の志望動機を作成するにあたっては、内容を具体的にするためにも仕事内容や配属先ごとの違い、社会的意義を十分に理解することが重要です。そのうえで自分の適性や経験、意欲を具体的に結びつけることであなたの使命感や責任感などが伝わり、説得力のある志望動機になります。
①刑務所
刑務所とは、罪を犯した人々が刑罰として収容される施設で、受刑者が社会復帰するための更生プログラムや教育プログラムを提供しています。現在、日本にある刑務所は約60施設です。
そして、刑務所ではおもに以下の業務をおこないます。
刑務所でおこなう業務
- 受刑者の監視や教育
- 施設内の管理や点検
- 社会復帰に向けたサポート
- 日誌や報告書の作成
受刑者の刑務作業を監督するほか、脱走や外部からの侵入を防ぐための点検も業務の一つです。またほかの刑務官と情報を共有する目的で、日誌や報告書の作成といった事務作業も担当します。
トラブルへの対応を求められることが多いため、責任感の強い人や臨機応変に対応できる人に向いています。将来的に刑務所で働きたい人は、責任感や対応力などの強みをアピールすると良いでしょう。
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②少年刑務所
少年刑務所とは、刑事事件を起こした16〜20歳未満の少年が収容される施設です。刑務所よりも数が少なく、日本にあるのは以下の6施設です。
日本の少年刑務所
- 函館少年刑務所
- 盛岡少年刑務所
- 川越少年刑務所
- 松本少年刑務所
- 姫路少年刑務所
- 佐賀少年刑務所
刑務官がおこなう業務自体は刑務所と変わりませんが、受刑者が若いためカウンセリングに費やす時間が長い傾向にあります。なお、少年に健全な社会復帰をさせるための保護処分を目的とした少年院と違い、少年刑務所では刑が執行されます。
少年刑務所も刑務所と同様に、責任感の強い人や臨機応変に対応できる人に向いています。また、カウンセリングの時間が長い分、相手に寄り添って話を聞く力も求められるため、志望動機ではこれらの能力をアピールできるようにエピソードを準備しておきましょう。
③拘置所
拘置所は、裁判を控えている被告人や死刑を宣告されて執行を待っている死刑囚を収容する施設です。拘置所は8施設あり、その補助として拘置支所が約100施設あります。
刑務所とは違って刑の執行を目的としておらず、収容者は刑務作業をおこないません。そのため、拘置所で働く刑務官は、刑務作業の監督業務が不要です。ただ収容者の監視や施設内の点検といった業務は、刑務所と同様におこないます。
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刑務官の動向
刑務官の動向
- 人手不足が深刻化している
- 規制緩和によって民間事業者が参入している
- 受刑者の高齢化が進んでいる
採用担当者は、刑務官として社会に貢献できる人材を採用したいと考えています。あなたの働きが社会に貢献できていることをイメージしやすいように刑務官の志望動機では将来像を伝える必要があるため、動向も把握しておきましょう。
また動向を知らないまま入社すると、働き始めてからギャップを感じるかもしれません。「思っていた環境と違った」という理由で退職することがないよう、事前に刑務官の今後の展望について確認してください。
人手不足が深刻化している
受刑者の相手をする刑務官の仕事は精神的にも肉体的にも苦しいイメージが強いため、人手不足が深刻な問題です。具体的な離職率は公表されていませんが、刑務官採用試験は2022年と2023年ともに倍率2倍を超えているにもかかわらず慢性的な人手不足が続いていることから離職率の高さがうかがえます。
ただ人員が足りない状態が続くと残された刑務官の仕事量が増加するため、今後はますます離職数が増加する可能性もあるでしょう。人手不足に対応するために、長期間にわたって働ける人材が必要とされます。すぐに退職することなく長く働き続けられることをアピールできるように、志望動機では熱意をアピールしましょう。
規制緩和によって民間事業者が参入している
規制緩和の影響を受けて、刑務所や拘置所の管理や巡回といった業務に民間事業者が参入しています。施設内の点検や保安業務を民間の警備会社が引き受けており、刑務官にかかる負担を軽減してるのです。
ただ民間事業者には戒護権が認められていないため、トラブル発生時の対応は刑務官の責任範囲になります。
戒護権
施設内の安全を侵害しうる受刑者に対し、直接に強制力を行使する権利
民間業者の責任も取りつつ、刑務官だけにしかできない業務をまっとうする必要があります。そのため、業務自体は減っても周りを常に見られるような俯瞰力も必要になってくるでしょう。
刑務所に限らず、行政のさまざまな業務がどんどん民間に委託されるようになってきました。そのため、刑務官としての業務は軽微なものが減り、プロでなければできないものに集約されるのではないかと予想されています。
また、刑務所は懲罰機関から受刑者の社会復帰のための教育機関へと役割が変化しつつあります。この点も踏まえて志望動機を作成すると良いでしょう。
受刑者の高齢化が進んでいる
法務省の「令和3年版犯罪白書」によると、2002年の受刑者の高齢者率は約6%でしたが2020年は12.9%です。18年で約2倍になっており、受刑者の高齢化が大幅に進行しています。
高齢受刑者には介護が必要なケースがあり、刑務所が介護施設化しているとの声が上がるほどです。高齢化にともない、施設によっては前述の業務に加えて高齢受刑者の介護をおこなう可能性があります。
受刑者の監視や社会復帰のサポートといった通常業務に加えて、介護スキルも求められます。老人ホームでアルバイトしていた経験があれば、入社後に活かせるスキルとしてアピールできるでしょう。
- 介護経験がないので、入社後の業務に不安があります。刑務官として実際どのくらい介護業務に携わる可能性があるのでしょうか?
高齢受刑者が増加傾向にあるため介護業務は切っても切り離せない
刑務官としての職務として、拘置所においては被収容者を監視・監督することや施設の管理が主となります。
そのほかにも、職業訓練や生活指導といった業務もあるため、介護業務としては排泄や入浴、食事などの介助を直接おこなう場合もあれば、メインで介護業務をしている訪問介護などの民間サービスの人の補助をする程度の場合もあるのです。
基本的に高齢の受刑者は増える一方で刑務官の数は増員を余儀なくされている状況なため、やはり介護業務は切り離せないものとなっています。介護に関する知識や技術を備えておくことは、刑務官として働くにあたって優位に働くことでしょう。
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事前にチェック! 刑務官に求められる人物像
刑務官に求められる人物像
- 正義感が強い
- 立ち直ろうとする人を支えられる
- 体力に自信がある
志望動機では入職後に活躍できる人材かどうかを見られているため、熱意だけではなく将来的にどう貢献できるのかも伝える必要があります。一方的に熱意や強みを主張しても、人柄や能力が刑務官に求められる人物像とかけ離れていると選考を突破しにくくなります。
適切な強みを選んでアピールできるように、ここでは刑務官に求められる人物像を紹介します。自分に当てはまっている強みがないか確認しながら読み進めてくださいね。
①正義感が強い
刑務所や拘置所に収容されている人は、必ずしも刑務官の指示通りに動くとは限りません。しかしそのような受刑者をそのまま放置していると、刑期を終えても更生せずに再び罪を犯す可能性があります。
受刑者が出所後に更生できるよう、適切に指導する必要があるため、刑務官には正義感の強さが求められます。正義感が強いことによって、受刑者が更生するまで根気強く寄り添えることをアピールしましょう。
「アルバイトリーダーとしてルールの遵守を徹底した」などエピソードがあれば、志望動機のエピソードトして伝えてみてください。
正義感と似た真面目さをアピールする方法はこちらの記事で解説しています。
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- 正義感が強いといわれることが多いのですが、具体的なエピソードが思いつきません。どのように対処すれば良いでしょうか?
一般的に正義感が強い人の特徴から自分に当てはまるものを見極めよう
一般論として、正義感が強い人にありがちなエピソードをいくつか思い浮かべてみましょう。たとえば以下の5つが挙げられます。
・困っている人を見かけると放っておけない
・たとえ相手に嫌われても言うべきことは言う
・みんなが悪いことをしても、自分だけは流されずに不正はおこなわない
・社会が抱える問題の解決に積極的に取り組む
・罪を憎んで人を憎まずという精神を持っている
たいてい正義感の強い人にはこれらを示す経験が少なからずあるはずです。そこからアピールしやすいもの、話しやすいものを選んでみてはいかがでしょうか。
②立ち直ろうとする人を支えられる
刑務所は刑罰としての刑務作業を通じて、社会復帰に向けたサポートも提供する施設です。一度犯してしまった罪は消えませんが、反省して刑期を過ごしている受刑者は多くいます。
そのため、刑務官は立ち直ろうとしている受刑者を励まし、支えてあげなければなりません。「人は変われる」と信じていることを主張しましょう。
もし過去に失敗をしてしまい、反省して、改心した経験がある場合は、そのエピソードから学んだことを伝えることで主張の信ぴょう性を高められます。該当する経験があるかどうかを確かめる意味でも、これまでの生活を振り返りながら自らを分析してみましょう。
モチベーショングラフを活用した自己分析の方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ確認してください。
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もし未成年の頃に鑑別所に入った経験がある場合、そのエピソードを話すべきかどうかはどちらとも言えない難しい部分がありますね。
過去の経験が役立つ場合もある一方で、かなり専門的な職種ですからそれが足枷になる場合もありそうです。とは言え、それに見合うだけの能力を備えていれば、基本的には評価にはさほど影響しないのではないかと個人的には感じます。
③体力に自信がある
刑務官は暴れる受刑者がいたら鎮圧する必要があるため、日々武道の稽古をる必要があります。業務の一環として取り組む武道の訓練は、体力がないと乗り越えられません。
また人手不足による激務に加えて、トラブルが発生すると休みを返上して対応しなければならないこともあります。肉体的に厳しい状況を乗り越えられることは効果的なアピールになるため、体力に自信がある場合は積極的に伝えましょう。
「学費のために3つのバイトを掛け持ちしながら単位を取得し続けた」「10年間取り組んだ野球部の活動で走り込みを継続した」といったエピソードがあれば、体力のアピールとしても有効です。
刑務官に求められるそのほかの人物像としては以下が考えられます。
・受刑者との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力と共感力
・刑務所の業務に対するストレス耐性と精神的な強さ
・受刑者の特性や状況、社会情勢の変化に応じた柔軟性と適応力
・同僚や他部門の職員と連携しながら業務を遂行するうえでのチームワーク力
・更生支援の方法について学習する意欲と向上心
自分の強みと刑務官に求められる人物像を照らし合わせて、説得力のある事例を盛り込むことで魅力的な志望動機を作ることができるでしょう。
まずはここから! 刑務官の志望動機を考える4ステップ
刑務官の志望動機を考える4ステップ
- 刑務官を目指すきっかけになったエピソードを振り返る
- 刑務官に求められる人物像を把握する
- 求められる人物像と一致する自分の経験や能力を見出す
- なりたい刑務官像や就職後の貢献方法を言語化する
刑務官への理解を深められたら、志望動機を考え始めましょう。ただいきなり志望動機の内容を考えてもあまり思い浮かばない可能性があるため、上記のステップに沿って考えましょう。
ここでは刑務官の志望動機を考えるための手順を、4つのステップに分けて解説しています。刑務官の志望動機がなかなか思い浮かばないと困っているという方は、ぜひ参考にしてください。
①刑務官を目指すきっかけになったエピソードを振り返る
ほかの学生と差別化するためにも、志望動機のオリジナリティを高めることが大切です。そのためにも、まずは刑務官を目指すきっかけになったエピソードを振り返りましょう。
「ドキュメンタリーで受刑者と真剣に向き合う姿に感銘を受けた」「授業で再犯率の高さを知り刑務官として再犯防止に貢献したい」などがエピソードとして該当します。
きっかけになったエピソードが明確なほど、具体的かつ熱意が伝わりやすい志望動機が作成できるようになります。自分が実際に経験したエピソードによって説得力が増すため、最初に刑務官を目指すきっかけとなったエピソードを振り返りましょう。
エピソードが浮かばない場合、自己分析が足りていない可能性があります。自分史を活用した自己分析の方法をこちらの記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください。
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自己分析をしても思い浮かばない場合は、刑務官がどのような人が向いているのかを分析することが大切です。
求められる知識やスキル、また人となりなどを資料などから調べて書き出し、人物像がイメージできたら自分にも刑務官になる人にありがちな要素がないか考えてみましょう。そこで何か見つかれば、そこからエピソードを掘り起こせるはずです。
②刑務官に求められる人物像を把握する
次にアピールポイントを決定するため、刑務官に求められる人物像を把握しましょう。先述のとおり「正義感が強い」「立ち直ろうとする人を支えられる」という精神面、「体力に自信がある」という体力面の両面があることを把握しておきましょう。
刑務官の募集要項やホームページを確認すると、求められている人物像がより具体的に記載されています。また業界研究をおこなうことでも確認できますが、困った場合は現場の声を聞ける座談会に参加してみましょう。現場で働く人から実務で活かせるスキルを聞いて、自分でアピールできる強みを探してみてくださいね。
座談会を効果的に解説する方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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- 求められる人物像に自分が当てはまっていない気がします。強みを変えてでも寄せに行くべきなのでしょうか?
強みは変えずに自分の新たな面を見つけてみよう
強みを無理に変える必要はないと思います。強みは強みでそのまま活かしながら、自分の新たな側面に気が付いていくことで求める人物像を作り上げていくというイメージです。
たとえば「自分には正義感がない」と感じていたとします。しかし、道端を歩いていておばあさんが倒れていたらあなたは何もしないでしょうか? 目の前で胸を抑えて苦しんでいる人がいたら声をかけるのではないでしょうか? これらもあなたにとっての立派な「正義感」になります。
必ずしも大きな規模で理想像に当てはまっている必要はありません。わずかでもかまわないので自分のなかにある可能性を探してみて、小さな芽を育てていくような感覚で大事にしていきましょう。
③求められる人物像と一致する自分の経験や能力を見出す
刑務官に求められる人物像を把握できたら、一致する自分の経験や能力を見出しましょう。直接的に強みを考えることはもちろん大事ですが、思い浮かばない場合は弱みから変換することも可能です。
たとえば「融通が利かない」を弱みと考えているなら、「正義感が強い」に変換できる可能性があります。また「気が弱い」を弱みと考えているなら、「思いやりがある」に変換できるでしょう。
自己分析で自身の理解を深め、求められる人物像と一致する自分の経験や能力を見出しましょう。
弱みを強みに変換する方法はこちらの記事で解説しているので、ぜひ確認してみましょう。
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④なりたい刑務官像や就職後の貢献方法を言語化する
ここまで考えてきた要素を踏まえて、理想の刑務官像や就職後の貢献方法を言語化しましょう。これらを言語化することにより、より独自性の強い志望動機になるからです。
「受刑者のストレスや不安を軽減する刑務官になりたい」「再犯率の低下に貢献したい」など、理想の刑務官像や貢献方法はさまざまです。なりたい刑務官像は志望動機で結論として最初に述べるため、面接官を話に引き込めるように時間をかけて考えましょう。
前述のとおり、刑務官は精神的にも肉体的にも大変な仕事なので、熱意があり、働き続けられる人材が求められます。熱意のアピールに欠かせないのがなりたい刑務官像や就職後の貢献方法であるため、入念に整理しておきましょう。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見る刑務官への憧れではなく実態に則した志望動機になっているかが重要
刑務官の仕事は、厳しさや困難もともなう仕事です。志望動機全体を通して、困難や厳しさがあってもなお挑戦したいという意欲を示すことや、自分の価値観や人生経験と結びつけて刑務官になりたい理由を深く掘り下げることが求められます。
志望動機作成で重要なポイントはおもに3つあります。
①具体的なエピソードを交えること
刑務官に求められる正義感や思いやり、体力などの資質について、単に「正義感が強いです」と述べるのではなく、具体的なエピソードを交えて説明するようにしましょう。
②将来のビジョンを示すこと
刑務官の仕事内容や社会的意義と結びつけて、なりたい刑務官像を描きましょう。刑務官の役割と自分の目指す姿を関連付けることで、説得力のあるビジョンを示すことができます。
③刑務官の業務を理解したうえで意欲を伝えること
配属先ごとの違いを踏まえて、自分の強みや意欲を具体的に伝えましょう。刑務所、少年刑務所、拘置所では収容者の属性が異なるため、求められる役割も異なります。志望動機では、配属先ごとの違いを踏まえて、自分の強みや意欲を具体的に結び付けることが重要です。
このような3点を意識して、単なる憧れではなく、自分自身と向き合って刑務官の仕事の重要性を深く理解したうえで志望動機を作成することが、説得力のあるものになるポイントだといえます。
刑務官の志望動機の例文7選
志望動機の例文
- 非行に走ってしまった人々に手を差し伸べたい
- 同世代の更生をサポートしたい
- 受刑者の心の支えになりたい
- 受刑者のストレスや不安を軽減したい
- 受刑者の社会復帰をサポートしたい
- 再犯率の低下に貢献したい
- 安全な社会の実現に貢献したい
4つの手順に沿って必要な要素について考えたら、実際に刑務官の志望動機を作成してみましょう。
最も重要な将来像に焦点を当て、7つの例文を紹介しています。キャリアコンサルタントのアドバイスもセットになっているので、ぜひ参考にしてくださいね。
①非行に走ってしまった人々に手を差し伸べたい
非行に走ってしまった人々に手を差し伸べたい
私は非行に走ってしまった人々に手を差し伸べたいという思いを持って、刑務官を志望しています。刑務官を目指すきっかけとなったのは、大学時代にボランティア活動で少年院を訪れた経験です。
そこで出会った多くの若者は、過ちを犯したものの更生を望んでいました。彼らとの対話を通じて、適切な支援と理解があれば変われると感じています。
大学時代に野球部のキャプテンを務めて部員全員と面談をして意見を取り入れてきた経験を活かし、受刑者一人ひとりと真摯に向き合いコミュニケーションを重ねていきたいです。
入職後は持ち前の相手の立場に寄り添いながら対話する力を活かし、非行に走ってしまった人々の話を聞いて理解を深めながら更生のサポートをしていきたいと考えています。
過去に実際にボランティア活動で少年院を訪れた経験があるのは、とても良いきっかけだと思います。そして、その経験をもとに対人関係を築いてきたということがわかる良い例文だと思います。
②同世代の更生をサポートしたい
同世代の更生をサポートしたい
私は同世代の更生をサポートしたいという思いから刑務官を志望しています。この思いが芽生えたのは、大学で社会学を専攻していたときに、非行や犯罪の背景にある社会的要因について学んだことがきっかけです。
大学での学びを深めるなかで、私は青少年の支援団体でボランティア活動に参加しました。そこで、個々の若者が抱えるさまざまな問題に対して、一人ひとりに合わせた支援がいかに重要かを実感しました。
私の強みは、コミュニケーション力です。大学時代には、学生団体でプロジェクトリーダーを務め、メンバーの意見を集約し、チームとしての目標達成に導いた経験があります。この経験を通じて培った、チームビルディングと目標達成に向けたコミュニケーションスキルを活かし、刑務所内での更生プログラムの企画や運営に貢献したいと考えています。
入職後は同世代の受刑者が抱える問題に対して、彼らと一緒に解決策を見つけ出し、更生への道をサポートしたいです。
刑務官を目指す動機と自分の強み、入職後のビジョンが明確に述べられており、十分に評価できる志望動機だといえます。
刑務官を目指す動機が具体的である点や、刑務官の仕事への理解の深さが感じられる点、コミュニケーション力という自分の強みを具体的にアピールできている点や、刑務所内での更生プログラムの企画・運営への意欲を示すことで入職後のビジョンが明確に伝わる点などが良い点として挙げられます。
一方で、「同世代の更生をサポートしたい」という思いや学生団体でのリーダー経験、「一緒に解決策を見つけ出す」方法などをより掘り下げることで強みのアピールにつながるでしょう。
上記の改善点を踏まえてさらに具体性と説得力を高めることで、採用担当者により強い印象を与えることができるでしょう。
③受刑者の心の支えになりたい
受刑者の心の支えになりたい
「受刑者の心の支えになりたい」という考えから、私は刑務官を志望しています。この考えは、大学で心理学を学んでいたときに、人間の心理が直面する困難やストレスにどのように対処するかについて学んだことから生まれました。
大学時代に訪問した地域の支援センターでのボランティアで出会った多くの人々が、ただ話を聞いてもらうだけで心が軽くなると感じているのを目の当たりにしました。罪を犯してしまった人は両親や友人との関係が希薄で、疲れやストレスをうまく発散できていないケースが多いと聞き、それ以来、人とのつながりがいかに心の支えになるかを実感しています。
私の強みは飲食店のアルバイトで培った人の話を丁寧に聞き、共感する能力です。また、心理学の知識を活かして、ストレスや不安を和らげるためのアプローチを提案できます。
刑務所という人とのつながりが薄くなってしまいがちな環境でも、受刑者一人ひとりの心に寄り添い、彼らの心の支えとなりたいと考えています。
刑務所は今後、懲罰的な要素よりも社会復帰のための教育的機関として機能を強化していくと予想されるため、受刑者の心に寄り沿いたいという気持ちと、そのための心理学的アプローチの知識のアピールはとても効果的だと考えます。
どのようなアプローチができるかも具体的に書いておくとさらに良いでしょう。
④受刑者のストレスや不安を軽減したい
受刑者のストレスや不安を軽減したい
「受刑者のストレスや不安を軽減したい」という強い願望を持って、私は刑務官を志望しています。この目標を持ったきっかけは、心理学の講義で犯罪心理と受刑者のメンタルヘルスについて学んだ経験が挙げられます。そこでは受刑者が直面する精神的な課題の深刻さと、それらを軽減するための支援の重要性を理解しました。
私の強みはストレスや不安を抱える人々と効果的にコミュニケーションを取り、彼らの心に寄り添う能力です。この強みは塾講師のアルバイトで成績が思うように伸びず、受験への不安とストレスで精神的に追い詰められていた高校生に寄り添った際に実感しました。
単に学問的な指導をおこなうだけではなく、生徒が直面している不安に対処するために、心に寄り添うアプローチを取り入れることにしました。まず、彼の感じている不安について話をじっくりと聞き、それに共感を示しました。そして、彼の強みや過去の成功体験に焦点を当てることで自信を持たせるように努めました。
試験日が近付くにつれて、彼は明らかに自信を取り戻し、学習への姿勢も積極的になっていきました。結果として、彼は自身の目標としていた大学に見事合格することができました。入職後はこの強みを活かし、受刑者が抱えるストレスや不安を軽減しながら社会復帰をサポートしたいと考えています。
心理学の講義をきっかけにメンタルヘルスに関心を持ち、その後も実践を通して寄り添ってきた経験がわかるとても良い例文だと感じます。
今後はそれが受刑者に変化しても、しっかりと芯を持ってかかわっていけるような人柄がうかがえます。
⑤受刑者の社会復帰をサポートしたい
受刑者の社会復帰をサポートしたい
私は「受刑者の社会復帰をサポートしたい」という思いで、刑務官を志望しています。この思いを持ったきっかけは刑務官のドキュメンタリーを見た際に再犯率の高さを知ったことです。
ドキュメンタリーでは、犯罪歴のある人々が直面する社会的障壁を目の当たりにしました。彼らが再び社会に受け入れられるためには、単に時間が過ぎるのを待つだけでは不十分であり、積極的な支援と理解が必要であることを知りました。
私の強みは、正義感にもとづいて行動できることです。大学時代に野球部のキャプテンを務めていた際、部内で成績優秀ながらも態度に問題のある選手がおり、彼の行動がチームに悪影響を及ぼしていました。問題を放置すればチームの団結力が低下する可能性が高かったため、私はキャプテンとして介入することを決意しました。
まず、私はその選手と対話し、彼の行動がチームの価値観と合致しないこと、そして私たちが目指すべき方向性を明確に伝えました。また、彼が持つ才能がチームにとっていかに重要かを強調し、態度改善への協力を求めました。
その結果、彼の行動は徐々に改善し、チームの雰囲気も前向きに変わり始めました。この件を通して、私はキャプテンとしての責任を果たし、チーム全体の団結力を高めることができたと考えています。
入職後もこの経験を活かして、受刑者が抱える問題に対して、公平かつ積極的に取り組み、彼らの社会復帰をサポートするプログラムの企画や実施にかかわりたいです。
全体として、刑務官の仕事への理解と自分の経験・強みを結びつけた志望動機の例文であり、十分に評価できる内容だといえます。
具体的に、刑務官になりたい理由が具体的なエピソードに基づいており説得力がある点や、刑務官の仕事の重要性を理解している点、強みである正義感と行動力をアピールできている点、受刑者の更生支援に通じる具体的な体験が記載されている点などが良い点といえるでしょう。
一方で、ドキュメンタリーや野球部でのエピソード、社会復帰支援プログラムに関する具体的なエピソードを記載することで、より説得力のある志望動機になるでしょう。
⑥再犯率の低下に貢献したい
再犯率の低下に貢献したい
「再犯率の低下に貢献したい」という思いを持って、私は刑務官を志望しています。この思いは、大学で犯罪学を学んでいたときに、再犯率の高さとその社会的影響について学んだことから強まりました。
特に軽犯罪は再犯率が高いということを聞いて、なぜ犯罪を犯してしまうのか、そしてなぜ繰り返してしまうのかという考え方を理解したうえでサポートをする重要性を感じました。
大学時代には、学生団体でのプロジェクト管理を通じてチームメンバーを励まし、共通の目標達成に導く経験をしました。この経験から、異なるバックグラウンドを持つ人々と協力し、成果を出すためのスキルを磨きました。
入職後は、異なる価値観も受け入れてサポートしていける強みを活かして、受刑者が社会に再び適応できるよう、教育プログラムや職業訓練、心理的サポートを提供することで、再犯率の低下に貢献したいと考えています。
「教育プログラムや職業訓練、心理的サポートの提供」はまさにこれからの刑務所が重要視する点なので、それに触れてあるのは好印象です。
あとはこれらを実践するにあたり、すでに学んだことと活かせるスキルなどがあれば合わせて伝えておくと良いでしょう。
⑦安全な社会の実現に貢献したい
安全な社会の実現に貢献したい
私は「安全な社会の実現に貢献したい」」という思いから、刑務官を志望しています。大学時代にボランティアで地域の安全を守る活動に参加した際、安全な社会を守り、促進することの重要性を理解したことがきっかけです。特に犯罪の予防と再犯の防止が、安全な社会を実現するうえで不可欠であることを学びました。
私の強みは、12年間取り組んだ野球部での活動で培った体力です。投手として暑い夏のトーナメントを投げ切るために、毎朝欠かさず5km走り、投球練習をしていました。その結果、チームが負ける最後まで1人でマウンドを守り切ることができました。
入社後は持ち前の体力とスポーツ経験を活かし、受刑者のリハビリテーション支援に積極的にかかわりたいです。授業のなかで、アルゼンチンで受刑者を集めたラグビーチームを結成した結果、再犯率が大幅に低下したことを大学の授業で学んだので、スポーツを通じて受刑者との信頼関係を築いて社会復帰する際の心身の強さを育むことができれば、再犯率の低下につながって安全な社会の実現に貢献できると信じています。
この人の忍耐強さがよくわかる非常に良い例文だと思います。冒頭の安全な社会にするための考察も的確なうえに、過去のアルゼンチンでの活動も根拠として提示できているので、かなり好印象だと思います。
刑務官の志望動機で高評価を得るためにアピールしたいポイント
必要な要素を考えたうえで、例文も参考にしながら志望動機を作成した場合、きっと合格点以上の仕上がりになるでしょう。そして今から紹介するアピールポイントに言及できれば、より良い印象を残せる可能性が高まります。
志望動機で言及しない場合でも、面接官から質問される可能性があるので、自分なりの回答を用意しておきましょう。
どんな配属先でも努力する意志があること
刑務官は国家公務員なので日本全国で働く可能性がありますが、面接前の希望によって事前に候補地を伝えられます。候補地に納得した場合は面接に進み、合格した場合は面接を実施した場所に配属されるのが一般的です。
そのため、最初にどんな配属先でも努力する意志があることを伝えておくと、刑務官になりたい熱意を効果的にアピールできます。
また刑務官は昇進するにつれて異動回数が増加し、異動範囲も広がります。将来的にどこへ異動してもひたむきに取り組む姿勢をアピールして準備しておきましょう。
刑務官の選考では、志望者の適性や資質が最も重視されます。そのため配属先の希望を伝えることは志望者の意欲や適性を示す一つの材料になりますが、希望が叶うことは確約されないのと、選考結果に直接的な影響を与えるものではないと考えられます。
むしろ、どのような配属先でも全力を尽くす意欲と前向きさ、柔軟性を示すことが、志望者の適性を示すうえで重要だといえるでしょう。
現場の大変さを踏まえて前向きに取り組めること
さまざまな収容者とかかわる刑務所や拘置所での仕事は、精神面にも肉体的にも非常に大変です。そのため実際に現場で働き始めてから、ギャップを感じて退職する人が多くいます。
入社前からその過酷さを踏まえたうえで前向きに取り組めることを伝えられれば、大きなアピールにつながります。
しかし、現場を知らない状態でその主張だけをしても、説得力がなくて信じてもらえません。現場のリアルを知るためには、OB・OG訪問を効果的に活用しましょう。
OB・OG訪問の具体的な手順はこちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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- 実際に働いていないのに現場の大変さを知っていると主張すると、マイナス評価につながらないか心配です……
どのように情報収集したのかを明示すれば問題ない
あなたが面接で伝えようとしている刑務所のリアルは、どこかで情報収集をしたりOB・OGなどに聞いたりしたもののはずです。そのため、それをあたかも自分で見聞きしてきたかのように話すのは避けたほうが良いでしょう。
「~と報道されているのを聞いて」「~であると大学の先輩から伺いました」などと、どこから仕入れた情報であるかを明らかにしつつ、その内容から感じた自身の見解を述べるようにするとマイナス評価にはつながらないでしょう。
キャリアコンサルタント目線で解説! 刑務官の志望動機の作り方のコツは?
今まで解説したような手順通り、かつ必要な要素を考えてから志望動機を作成すれば、魅力的な文章を作成できるようになります。ただ、「もっと志望動機のクオリティを高めたい」「ほかにもコツを教えてほしい」と思っている人もいるのではないでしょうか。
ここからは経験豊富なキャリアコンサルタントに、刑務官の志望動機を作成するコツを解説してもらいます。アドバイザーの視点も取り入れて、刑務官の志望動機をより魅力的に仕上げたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る刑務官という仕事が務まるほどの信頼性を志望動機で示すようにしよう
刑務官の志望動機をより魅力的に見えるようにするには、その志望動機が信用に値する内容かどうかの裏付けが必要になってきます。
どんな仕事でも「人のために何かしたい」「社会に貢献したい」という共通の思いはあると思いますが、刑務官の仕事は特にそのような意識を必要とし、法務省の定める規律のなかで模範的な振る舞いが必要とされます。
そのため、面接官にとっても「この人が言っている気持ちはわかるけどその根拠はどこにあるのか」という疑念が残ってしまう場合があります。それを打ち消すだけの理由が必要なのです。
自分で体験したり聞いたりした一次情報を盛り込んでみよう
一番良いのは「ボランティア経験」や「刑務所を訪問したことがある」といった一次情報です。実際に自分が足を運んで、実体験をもとにした感情・感覚といったものです。
その経験をもとに「実際に体験して感じたことがあったから刑務官という仕事に結び付いた」「大変な仕事であるとわかったうえでもこの職に就きたい」などと伝えられたら、これほど強い意思表示はないと思います。
実体験をすることはなかなかハードルが高いことですが、自分を魅力的に見せることができるのでトライする価値はあると思いますよ。
マイナスポイントを把握! 刑務官の志望動機を作る際の注意点3選
刑務官の志望動機を作る際の注意点
- 刑務官への憧れだけで終わらない
- 刑務官ではなくても成し遂げられる目標にしない
- 安定した待遇面を理由にしない
キャリアコンサルタントに解説してもらったコツも踏まえて志望動機を作成すれば、もう完成まで一息ですが、最後の見直しまで気を抜かないようにしましょう。
ここまで丁寧に作成した志望動機でも、以下で解説する注意点に触れてしまうと、マイナスな印象につながる可能性もあります。作成前に確認してマイナスポイントを確認しておきましょう。
①刑務官への憧れだけで終わらない
ドキュメンタリーやドラマを見て、刑務官に対する憧れを抱いている方もいるでしょう。しかし志望動機で刑務官に対する憧れにしか触れられていないと、あなたを採用するメリットが伝わりにくくなってしまいます。
憧れていた事実は熱意のアピールにつながりますが、精神的にも肉体的にも厳しい刑務官は憧れだけで続けられる仕事ではありません。
入り口は憧れだったとしても、志望動機では目指す刑務官像や入社後の貢献方法を具体的に説明することを心掛けましょう。
人によりますが、直近で放送されたテレビドラマや有名な書籍から憧れを抱いたというのは、それを聞いただけでも「まただ……」と嫌悪感を持つ人がいるので、基本的にはおすすめしません。
きっかけはそうだとしても、そこから刑務官の責任について十分に調べ、必要なスキルや資格を取得して臨む場合であっても、あくまで努力のプロセスを中心に話しましょう。
②刑務官ではなくても成し遂げられる目標にしない
刑務官以外の仕事にも該当する将来像を掲げていると熱意が伝わらないため、面接官の印象に残りにくくなってしまいます。たとえば「社会の秩序を守りたい」と最初に主張した場合、刑務官以外にも社会の秩序を守る仕事があるため、「刑務官でなければ必要がないのではないか」と思われてしまうのです。
もし、刑務官でなければいけない理由や将来像が漠然としている場合は、「どのようにして秩序を守るのか」のように考えを深掘りしてみてください。
最終的に刑務官ではないと実現が難しい目標に到達するまで深掘りしましょう。
③安定した待遇面を理由にしない
刑務官は国家公務員なので、安定した収入や充実した福利厚生といった魅力があります。しかし志望理由を安定した待遇面にしていると選考突破は難しいため、避けた方が無難です。
待遇を重視して刑務官になった場合、厳しい労働環境に耐えきれずに離職すると判断される可能性が高くなります。また待遇で職業を選ぶ人は、正義感の強い人材とはほど遠いと判断される恐れもあります。
待遇面に魅力を感じていたとしても、志望動機での言及は避けるように意識しましょう。
待遇面ばかり気にしてしまい、公務員になりたい理由が答えられない人は以下の記事を参考にしてみてください。回答方法をまとめています。
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- 入社後のことを考えて待遇面に関する質問をしたいです。ただ、待遇のことを聞くのはマイナス評価につながりそうで心配です……
聞き方に気を付ければマイナス評価になる可能性は低い
待遇について質問することは、志望者の関心事項として自然なことです。ただし、質問の仕方やタイミングによっては、マイナスの印象を与えかねないため、以下の点に留意しましょう。
まず、面接の冒頭から待遇の話をすると待遇目当てと受け取られる可能性もあるため、刑務官の仕事への理解と強い使命感を示したうえで、待遇面について質問するようにしましょう。
また、具体的に待遇面の質問をする際には、仕事内容や自分のキャリア形成を関連付けてたずねるようにしましょう。そうすることで前向きな姿勢が伝わりますよ。
仕事の厳しさを理解したうえで、長期的なキャリア形成の観点から質問することで、待遇面への関心を示しつつも、仕事への意欲や覚悟が伝わる質問になります。
刑務官の志望動機では自分の思いをぶつけて熱意をアピールしよう
ここまで解説したとおり、刑務官の志望動機では将来像を明確に伝えることが大切です。あなたが働いている姿を担当者がイメージできるように、入社後の貢献方法を伝えるようにしましょう。
また志望動機の解像度を高めるために、業務への理解も必要不可欠です。配属先に応じた仕事内容や動向についても必ず整理しておきましょう。
これらの要素を踏まえて作成し始めると、魅力的な志望動機に仕上がります。熱意の伝わる志望動機を作成し、刑務官の採用試験に臨みましょう。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る憧れだけではない刑務官への思いを志望動機に盛り込もう
刑務官は社会的意義が非常に高い職業です。一般的にそのような仕事は書籍や報道で取り上げられることも多く、だからこそ憧れの対象にもなりがちです。
しかし、憧れで務まる仕事では決してないので、そのことを認識していることを志望動機でしっかりアピールしましょう。
重要なのは以下2点が伝わるようなエピソードを入れることです。
①刑務官の仕事内容を理解しその厳しさも認識している
業務内容をよく調べたことはもちろん、法に対する意識を持ち、正義感を常としながらも受刑者に寄り添うことや、ルールに沿って行動しつつもさまざまな場面で起こり得る想定外の事態に対して、冷静沈着に行動できることなど、求められる要素をしっかり理解したうえで、それでもなぜやりたいと考えているのかを伝えるようにしましょう。
②仕事理解したうえで自分には刑務官への適性がある
上記で挙げている「自己がとらえている刑務官の姿」に自分がどう合致しているのかを理由や根拠を示しながら具体的に伝えるようにしましょう。「正義感が強い」「他者に寄り添える」というのは簡単ですが、なぜそうといえるのかを述べなければ本当に適性があるのかどうか、採用担当者には伝わりません。
以上から、あなたにとって刑務官という仕事が、憧れの延長線上にあるのではなく、現実のものとして認識できている点をしっかり伝えましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
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