化粧品業界とは? 仕事内容や今後の動向を就活のプロが解説

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー

    Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める

    プロフィール詳細
  • キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー

    Rie Kuwata〇2018年にキャリアコンサルタントとして独立。企業対象の研修講師や各学校でのキャリアカウンセラーを経てハローワーク就職支援ナビゲーターを務め、年間約3,000名の相談を受けている

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  • キャリアコンサルタント/就活塾「我究館」講師

    Hayato Yoshida〇東証一部上場の人材会社で入社2年半で支店長に抜擢。これまで3,000名以上のキャリアを支援。現在はベストセラー書籍「絶対内定」シリーズを監修する我究館でコーチとして従事

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この記事のまとめ

  • 国内の化粧品市場は回復傾向にあり将来性もある
  • グローバルに働きたい人が活躍しやすい業界
  • 化粧品業界で働くうえでの大変なことをプロが解説

スキンケアやコスメが好きな人のなかには、化粧品業界への就職に興味がある人もいるのではないでしょうか。化粧品業界は化粧品そのものを作る開発・研究職から、美容部員のように店頭で商品を販売する仕事までさまざまあります。

化粧品業界を目指す前に、まずは仕事内容や業界の構造、将来性について理解を深めましょう。この記事ではキャリアコンサルタントの古田さん、吉田さん、桑田さんとともに、化粧品業界の仕事内容や今後の動向について解説します。

ベストセラー書籍「絶対内定」シリーズを監修する吉田さんからは、化粧品業界の倍率などを詳しく解説しています。

化粧品業界の基礎知識に加えて、国内の大手企業の特徴や就活するうえで有利なポイントなど、就職を具体的に考えられる内容となっているため、化粧品業界への就職に少しでも興味がある人はぜひ参考にしてください。

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目次

化粧品業界は将来性あり! 多角的に業界理解を深めよう

生活必需品であるスキンケア用品やコスメ用品。普段使用しているブランドの企業に就職したいという人も多いのではないでしょうか。

しかし、化粧品業界の仕事は職種ごとに求められるスキルが大きく異なるため、漠然と「化粧品が好き」といった気持ちだけで仕事を選ぶことは避けるべきです。まずは業界の特徴や将来性、仕事内容を知ることから始めることが重要です。

記事の前半では、まず業界の構造や将来性、それぞれの仕事内容について解説します。化粧品業界の基礎知識を理解して、業界のイメージを深めていきましょう。

記事の後半では、より就職を具体的に考えられるように、化粧品業界への就職が向いている人の特徴や、就職をより有利にするポイントについて解説します。

自分が化粧品業界を目指すべきか判断できる内容となっているため、まだ目指すべき業界を決められないという人はぜひ参考にしてみてください。

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開発から販売まで! 一目でわかる化粧品業界の構造

化粧品業界の構造

化粧品は製品が完成してから、卸売りや販売小売店、ECを経て消費者の手に届きます。

ECとは

イーコマース(電子商取引)の略であり、ネットショップやWebサイト上の取引を指す

化粧品メーカーが問屋や営業所などの業者に製品を流通させ、各小売店が仕入れて店頭で商品を販売することが一般的です

メーカーから問屋に流通した後は、百貨店やドラッグストアなどの小売店だけでなく、美容院やエステサロンといった企業が仕入れて消費者に使用することもあります。また、製造から販売まで自社でおこなうメーカーも多いです。

化粧品を商品として取り扱うのは化粧品メーカーだけでなく、メーカーから化粧品を仕入れる問屋や、化粧品を販売する小売店も化粧品業界の一部であることを理解しましょう。

古田 文子

プロフィール

化粧品関連の問屋や卸売業者は、メーカーと小売店の間で商品の流通を円滑にするために、商品の調達、在庫管理、販売促進、物流や配送、市場分析や顧客対応、価格設定など、多岐に渡って重要な役割を果たしています。

化粧品業界の仕事とは? おもな5つの職種の特徴を解説

化粧品業界の5つの職種

化粧品業界の仕事は開発から販売まで、おもに5つの職種に分類できます。いずれも異なる役割を担当しており、一つでも欠けると成り立ちません。

それぞれの職種では専門的なスキルや知識が求められ、チーム全体で協力してより良い製品を作り流通させます。各職種の業務内容や求められているスキルを解説するために、自分はどの役割に向いているか考えてみてください。

研究・開発:化粧品の新規開発やリニューアルに携わる

研究・開発職では、自社で販売する化粧品を新規開発したり、成分そのものの研究を進めたりすることがおもな業務内容です。研究設備が整っている企業では、自社での成分開発や新たな技術による商品開発などもおこないます。

化粧品の新規開発では、商品企画部と連携を取りながら成分の選定や調合をおこない、実際に使用できる段階まで試作品を作ります。

化粧品業界の研究・開発職では、ほかの部署と連携を取り開発を進めていくためチームワークが重要ですが、何より重視されることは理系の基礎知識です。化学や薬学の知識が活用されるため、理系の大学生に向いている仕事ともいえます。

生産:工場で化粧品やサンプルの受注・生産をおこなう

生産では自社工場や委託先の工場にて、研究・開発部から上がってきたアイデアをもとに商品の生産をおこないます。

工場での仕事は同じ作業を繰り返すのみでなく、大量生産のための生産ラインの管理や設備管理をおこなったり、定期的に不良品が混ざっていないか品質管理の業務もおこなったりなど、さまざまな仕事があります。

作業をこなすだけでなく、生産効率を向上させるために、生産工程の改善や機械の適切な運用など、工場の効率的な稼働を考えられる提案力も重要です

製品や設備のみでなく作業員の管理もおこなうため、設備管理や品質管理の担当として工場で働く場合は、現場の状況を的確に把握して問題が起こっても迅速に対応する能力が求められます。

吉田 隼人

プロフィール

人材会社で働いていたとき、某大手化粧品メーカー工場との取引がありよく出入りしていましたが、通勤・工場内移動・作業用で2回着替えが必要など、品質管理や異物混入防止の徹底がされています。

そういった対応や普段の清潔な身だしなみに違和感を覚える人は向いていないかもしれません。

営業:他社への化粧品の提案や新店舗獲得などをおこなう

どの業界でも、自社の製品やサービスを売り込む営業は重要な役割を担っています。化粧品メーカーの営業職は、問屋や小売店に自社の商品を取り扱ってもらうために提案をおこないます。

ほかにも、すでに契約している店舗に対して新しい商品を置いてもらうための営業をおこなったり、新たに自社商品を取り扱ってくれる店舗や企業を開拓したりすることも業務の一つです

化粧品メーカーの営業職は、自社製品の知識はもちろん、含まれている成分の知識や他社の化粧品との違いなど、さまざまな観点から商品の魅力をアピールしなければいけません。

特に化粧品は、他社製品でも同じ成分が入っている商品や、同じ悩みをケアする商品など競合が多いため、いかに自社ブランドを差別化した提案ができるかが求められます。

自社製品を理解したうえで魅力をわかりやすく的確に伝える提案力がある人や、売れ筋や在庫状況、これから予定されるキャンペーンなどの情報にアンテナを張れる人が、化粧品業界の営業に向いている人といえます。

企画:化粧品の販売促進やPR施策などをおこなう

化粧品業界を目指す人のなかには、コスメやスキンケアの商品開発・企画に携わりたい人も多いのではないでしょうか。企画職の役割は、新たな商品を企画するだけでなく、商品が売れるためのキャンペーンやPR施策など、販売促進をおこなうことも仕事の一つです。

ターゲットの購買意欲が湧くような商品を生み出すことや、より多くの潜在顧客に商品をアピールできる戦略を考えることなどが必要となり、情報収集力やニーズに沿ったアイデアの提案が求められます

またこの職種は、自分が企画した商品が店頭に並んでいたり、考案したPRが成功したりなど、やりがいが目に見えやすい仕事でもあります。

販売促進の分野はマーケティング部門として独立している企業もあるなか、企画とマーケティングはいずれも市場のリサーチが必須で共通する業務も多いことから、両方の役割を担っている部署を設置している企業も多いです。

企画職として化粧品業界に就職したいです。学生のうちからできることや身に付けておくべきスキルはありますか?

桒田 里絵

プロフィール

販売されている商品の売り上げを伸ばすにはどうすれば良いかを考えてみよう

化粧品業界の企画職は大きく商品企画と販売企画に分かれます。いずれも商品を多く販売し、売上を最大化することが目的です。

そのために、学生のうちからできることは、世の中に販売されている化粧品をできるだけ多く知り、使ってみることです。そして、その商品をどう改良すれば、どんな売り方をすればもっと売れるようになるか、考えてみてください。

それを企画書にまとめてみたり、その意見を人に話して感想を求めたりして、自分の案をどんどんブラッシュアップしてみましょう。

販売:実店舗で消費者に化粧品を販売する

化粧品業界の販売では、店頭に訪れた顧客の悩みや肌の状態に合う商品を提案することがおもな業務です。身近な存在としては、百貨店のコスメ販売店で接客する美容部員などでが該当します。

顧客にとって身近な存在である分、ブランドのイメージを崩さない丁寧な接客が求められます。化粧品メーカー直営の店舗であれば、自社製品のなかから顧客の悩みや肌の状態に合う商品を選び、ドラッグストアや小売店などの販売員であれば、店舗で取り扱うさまざまなメーカーからおすすめを提案することが一般的です。

そのため化粧品業界の販売では、顧客の悩み・要望を理解する傾聴力や取り扱う商品のなかから最適な商品を導き出す分析力が求められます

近年ではEC販売に力を入れている業界も多いなか、化粧品は実際に店頭で試して購入する顧客が多く、店頭での販売員は今後も求められる仕事の一つです。

また近年の化粧品業界では、SNSを活用したライブ配信で商品を紹介したり、各社がオンラインカウンセリングを導入したりなど、販売職がオンライン上で活躍する機会が増えています。

化粧品の販売員に興味があります。化粧品メーカーの販売員と、小売店の化粧品担当スタッフで違いはあるのでしょうか?

古田 文子

プロフィール

メーカーはBtoBで小売店はBtoCとなるため誰が顧客になるかが違う

おもな違いとして、メーカーの販売員は、自社製品や特定のブランドに特化しているため、深い知識があり、顧客は小売店やサロンといったBtoBになることが多いです。

それに対して小売店の化粧品担当スタッフは、さまざまなメーカーや複数のブランドの商品を扱います。BtoCとなるため商品知識に関しては深さも大切ですが、一般消費者に合わせた広範な知識が求められるのです。

また、メーカーの販売員は営業活動やプロモーション活動が中心ですが、小売店のスタッフは顧客対応や店舗運営が主な業務になります。

どちらも、それぞれ異なる魅力とやりがいがあるので、興味やスキルに合わせて選ぶと良いでしょう。

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化粧品業界の今後は? 市場動向から見る化粧品業界の変化

就職する業界を検討する際は、その業界が今どのような状況であるかも把握しておきましょう。市場の動向や業界の変化などは、自分がその道に進むべきか判断するための重要な情報の一つです。

ここでは現在の化粧品業界に見られる5つの動きを解説します。この業界の変化を把握することで、就職先の判断だけでなく、就活の際に自己PRや志望動機にも活かしやすくなります。

国内化粧品市場は回復傾向

2020年に流行した新型コロナウイルス感染症ウイルスは、化粧品業界にも大きな打撃を与えました。

在宅勤務の増加や不要不急の外出を避けるなど、外出する機会が一気に減ったり、外に出てもマスクで顔の大半が隠れたりしたことで、化粧品業界のなかでも特にメイクアップ市場は規模が大きく落ち込みました。

矢野経済研究所が調査した国内化粧品市場規によると、2019年度に2兆6,480億円だった市場規模は2020年度に2兆2,350億円まで下がりました。

その後、新型コロナウイルス感染症ウイルスの規制緩和やマスクを外す機会が増えたことから、2024年度の予測値は2兆5,840円と、少しずつ2020年以前の規模まで回復しつつあります

2024年以降もさらなる市場規模の回復が見込め、現時点で2028年度は2兆7,400億円まで成長すると予測されています。

桒田 里絵

プロフィール

化粧品関連の市場規模が大きくなると、メーカーの売上も増え、開発や販促にかける費用も増加します。

そうすることで、さらに良い商品を作ることができ、より多くの顧客を獲得することができるのです。結果、社員の給与に還元される可能性もあります。

販売業態の移り変わり


業態とは、商品を販売するための方法のことを指します。化粧品業界では従来、店頭販売や訪問販売が主流の販売業態でしたが、現在はほかの業界と同じくネットを介して商品を購入する人が増えました。

こうした背景から、化粧品業界ではEC化の動きが活発化しているのです。

経済産業省の電子商取引に関する市場調査によると、化粧品・医薬品の分類で業界全体のEC化率は8.24%、2023年には8.57%と徐々に増加しています。

ほかの業界と比較すると数値が低めであるため、まだ店頭や訪問による販売が主流ともいえますが、今後はEC販売に力を入れつつも、店頭での販売も手を抜かず取り組んでいく姿勢が求められます

メンズコスメティック市場の需要の拡大

男性の身だしなみやスキンケアへの意識は年々高まりつつあります。富士経済のメンズコスメティック国内化粧品市場調査によると、2021年度からメンズ向けの保湿ケア用品や整髪料などの売上が伸びており、特に若年層からはメイク用品の需要も増えて、多くの企業がメンズコスメティック市場に注目しています。

化粧品業界は女性向けの商品が多く、国内企業の資生堂でも約7割が女性社員であり、男性が参入しにくい業界に思われやすいです。

しかし、近年のメンズコスメに対する需要の傾向からも、化粧品メーカーは男女問わず自社で活躍してくれる人材を募集していると考えられます

販売チャネルの多さによるEC化の遅れ

上記で「化粧品業界のEC化」について解説しましたが、化粧品業界全体のEC化率はほかの業界と比較すると低めであることが実情です。その理由は販売チャネルの多さが挙げられます。

販売チャネルとは、企業が商品を販売する場所や経路のことです。EC以外の主要な販売チャネルは百貨店やドラッグストア、量販店、訪問販売などで、それぞれが多くの売り上げを生み出しています。

経済産業省の化粧品産業ビジョンによると、化粧品の売上の多くは、全国に店舗があり手軽に購入しやすいドラッグストアや、高級な商品を実際に試しやすい百貨店などが占めています

特に自分の肌で試してから購入したい顧客層は、ECから購入する機会が少ないため、今後も店頭による販売チャネルが重要視されていくといえるでしょう。

世界の化粧品市場規模の拡大

日本の化粧品市場規模は2016年以降から大きく上下していませんが、日本化粧品工業会の化粧品統計によると、アメリカや中国は2005年から現在まで、右肩上がりで市場規模が拡大しています。日本への輸入額も2019年から増加傾向であり、特に近年は韓国からの輸入が急激に伸びました。

その一方で、日本の化粧品を求めて来日する外国人は以前よりも減りつつあり、国内でも輸入品を使用する人が増えたことで、国内での日本製化粧品の消費は低迷しています

化粧品業界はこの状況を打破するために、コミュニケーション力や行動力があり世界で活躍できるような人材や、国内需要を増加させるアイデアを出せるような人材を求めるといえます。

化粧品業界で求められるスキルや経験は、外資系企業と国内企業とで違いはありますか?

吉田 隼人

プロフィール

基本的なスキルは同じだが外資は成果主義で国内は年功序列を重んじる傾向がある

化粧品業界は人気業界であるため、基本的なスキルや経験は外資・国内問わずある程度高いレベルが求められます。

もちろん個社ごとに違いはありますが、外資の場合は成果や主体性が求められやすく、国内企業ではチームワークや年功序列の文化を重んじていく必要があります。

また、外資の場合は特にマーケット理解が重要となり、異文化や海外市場について常にアンテナを張り情報をアップデートする姿勢が求められるのです。

国内企業でも国内の市場やトレンドに敏感に反応する力が必要でしょう。

こちらのQAでは化粧品業界の動向についてキャリアコンサルタントが解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

あなたが受けないほうがいい職業を知っておこう

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化粧品業界を支える企業とは? 国内大手5社の特徴を解説

化粧品業界は、同じ分野の商品の種類がとても多く、常に各商品の差別化が求められるため、企業同士の競合が激しい傾向にあります。そのため化粧品業界への就職を具体的に考える場合は、企業の強みや戦略といった特徴を把握し、より化粧品業界の企業のイメージを明確にすることが重要なのです。

取り扱う商品や売上のみでなく、企業それぞれに経営方針や取り組む事業の違いがあるため、まず5つの国内大手の企業を特徴を見ながら、自分のなかで「こんな企業で働きたい!」というイメージを高めてくださいね。

①資生堂

資生堂の基本情報(2023年度)

  • 売上高:約9,730億円
  • 従業員数:38,878人
  • 離職率:8.7%
  • 有給休暇取得率:83.4%
  • 初任給(大学卒):237,890円
  • 平均年間給与:7,405,508円

1872年創業の老舗企業である資生堂は、おもにスキンケア用品やメイクアップ化粧品を取り扱っています。

資生堂では、百貨店や化粧品専門店でカウンセリングを通じて販売する高価格帯の商品と、ドラッグストアや量販店を中心に販売する中価格帯の商品など、さまざまな層にヒットする商品を作り出していて、現在は高価格帯商品を第一優先に伸ばしていく方針です を固めています。

資生堂は、国内よりも国外での売上高が伸びている企業で、アジア諸国や米州、欧州など海外への進出にも積極的であり、各地域の文化やニーズに沿った商品展開を得意とします。そのためグローバルに働きたい人でも活躍できる企業です。

また研究開発にも強い企業で、AI(人工知能)で皮膚組織を3D解析する技術を化粧品開発に活用したり、将来的に化粧品の容器や包装資材に活用できるような資材を共同開発したりなど、技術面の発展にも力を入れているといえます。

古田 文子

プロフィール

化粧品業界におけるグローバルな人材を目指すなら語学は必須です。英語はもちろん、ほかの主要な言語にも対応できることが望ましいでしょう。さらに、各国の化粧品に関する法規制や輸出入手続きなどの国際ビジネスの知識があると良いですね。

②コーセー

コーセーの基本情報(2023年度)

  • 売上高:3,004億円
  • 従業員数:12,816人
  • 離職率:8.5%
  • 有給休暇取得率:62.6%
  • 初任給(大学卒):232,350円
  • 平均年間給与:非公開

コーセーが主要展開する化粧品は、ハイクラスのブランドと多くの人が使えるために幅広い販売チャネルに対応するブランド、そしてメイクアップ用品以外のトイレタリー製品を取り扱うブランドの3種類に分かれています。

トイレタリーとは

シャンプーや入浴剤、歯ブラシなどの日用品のジャンルを指す

メイクアップ部門ではコーセー独自の技術で、現在の肌の状態から未来のしわを予測する方程式や、メイクを崩れにくくさせるための技術などを活用した商品開発が特徴です。

特に崩れないメイクについては、コーセーが創業以来からこだわってきたポイントであり、現在もコーセー独自の価値観として大切にされています

また、新卒の応募条件は「美を通じて新たな価値創造にチャレンジしたい方」とあり、新しいアイデアやアプローチを考える想像力や、常に向上心を持ち新しいことににチャレンジしていくといった積極性のある人材を求めていることがわかります。

③花王

花王の基本情報(2023年度)

  • 売上高:1兆5,325億円
  • 従業員数:8,199人
  • 離職率:非公開
  • 有給休暇取得率:非公開
  • 初任給(大学卒):240,000円
  • 平均年間給与:8,024,000円

花王は資生堂やコーセーと異なり、化粧品以外の事業も幅広く手掛ける企業です。

花王の化粧品関連のグループ企業と役割

  • 花王グループカスタマーマーケティング:商談を通じた製品販売
  • 花王コスメプロダクツ小田原:化粧品の製造
  • 花王サロンジャパン:サロン向けのヘアケア商品の展開
  • カネボウ化粧品:カネボウブランドの製造・販売

花王がグループを通して大切にすることは、「豊かな共生世界の実現」です。ものづくりの力で事業に変革を起こし、企業の価値を向上させて、持続可能な社会に欠かせない存在になることを目指しています

このように、花王は経営の中心にサステナビリティを据えていることが特徴的といえる企業です。

また社風に関しては、社員の自主性を尊重していて、花王グループをより良い企業にするための目標を社員一人ひとりが掲げます。化粧品業界でやりたいことが明確なある人は、志望動機に自分の思いを組み込むことで、評価につながりやすくなるかもしれません。

④ポーラ・オルビスHD

ポーラ・オルビスHDの基本情報(2023年度)

  • 売上高:1,733億円
  • 従業員数:4,046人
  • 離職率:非公開
  • 有給休暇取得率:非公開
  • 初任給(大学卒・総合コース):269,500円
  • 平均年間給与:7,464,416円

2006年創立のポーラ・オルビスHDは、これまで解説した企業と比較すると経営年数が短めの企業ですが、基幹となる「ポーラ化粧品本舗」は1946年に設立し、もう一つの主力である通信販売がメインの「オルビス」は1984年に設立されました。

ポーラ・オルビスは創業当時から顧客との直接的なつながりを事業の核として、市場と時代に合わせた変革を常に意識しています。現在は多様化する価値観やライフスタイルに沿うように、展開するブランドに独立性を持たせてアイデンティティを深めるといった、ブランド力を高める戦略です

ポーラ・オルビスではこれまでに、日本で初めて美白をアピールした商品を出したり、世界で初めて化粧品にヒアルロン酸を配合したりなど、常に革新的な商品を発表しています。近年では、2017年に日本で初めてしわを改善する医薬部外品を発売しました。

常に革新を求める企業であるため、新卒募集では新しい視点や発想力を持ち、課題を的確に捉えて解決できるような人材が評価されやすいといえます。

⑤ファンケル

ファンケルの基本情報(2023年度)

  • 売上高:1,108億円
  • 従業員数:1,276人
  • 離職率:非公開
  • 有給休暇取得率:80.6%
  • 初任給(大学卒):226,000円
  • 平均年間給与:6,470,000円

サプリメントなどで有名なファンケルでは、売上の半分程度が化粧品事業によるものです。取り扱うジャンルも国内での消費に強く、特に主力ブランドであるファンケルとアテニアは全体の約9割が国内での売上となります

ファンケルでは常に安心・安全を追及することを経営理念としていて、看板化粧品であるファンケルシリーズは無添加で肌にやさしい化粧品として、国内の多くの人に愛されるロングセラー商品となりました。

このファンケルシリーズは売上の半分が通信販売によるもので、EC化に強い企業であることがわかりますが、その一方で直営の店舗販売が約2割、ドラッグストアやコンビニなど小売店でも約2割程度の売上があり、多様な販売チャネルからバランス良く流通しています。

売上の約1割は海外での販売になりますが、全体を通して国内での需要供給が大部分を占めるため、日本の化粧品市場に特化した経験を積みたい人や国内で長く活躍したい人にはおすすめの企業です。

吉田 隼人

プロフィール

国内を主要に展開する化粧品メーカーは知名度があります。そのため、身近な人や周囲で実際に使っている感想やフィードバックがもらいやすく、人々の反応が見えるのでやりがいに感じる点は多いでしょう。

美容などのトレンドやニュースの情報収集も必要不可欠なため、そういったところに興味のある人には、好きなことを仕事にできるうってつけの業界ともいえます。

企業情報をより詳しく知りたい場合は、企業情報が詳しく記載されている「IR」を読み込むことをおすすめします。特に応募する企業のIRは必ず目を通すべきですが、情報量が多いため、どこを読むべきかわからないという人も多いです。こちらの記事ではIRの読み方や重要な点について解説しています。

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どんな人におすすめ? 化粧品業界への就職が向いている人の特徴

化粧品業界への就職が向いている人の特徴

  • 最新のトレンドに敏感な人
  • 語学力がありグローバルに活躍したい人
  • ブランドの価値を重視できる人
  • 顧客に寄り添った提案力がある人

化粧品業界には興味があるものの、自分が化粧品業界で活躍できるか不安に思う人もいるでしょう。業界に対する適性がないと、仕事のなかでストレスを感じやすかったり、思うようなキャリアアップができなかったりと、入社できても早期離職の可能性が高まってしまうかもしれません。

ここからは化粧品業界への就職が向いている人の4つの特徴について解説します。自分の長所や強みと照らし合わせながら、化粧品業界への就職が向いているか考えてみてください。

①最新のトレンドに敏感な人

化粧品のトレンドは移り変わりやすく、最新のトレンドを敏感に察知できるか否かで、企業の売り上げを大きく左右します。

たとえば企画関連では、トレンドを先取りした商品開発やマーケティングが重要だったり、消費者と最も近い関係にある販売員も、トレンドを把握した提案が求められたりなど、業界全体でこうした美容に関するトレンドに敏感な人が重宝される傾向にあります。

最新のトレンドに敏感な人は、企業にとって有能な人材と評価されるだけでなく、働いてからも自分の能力を活かして売り上げに貢献できるため、やりがいを持って働けるのです

興味のある分野のトレンドを知るために、日頃からSNSでの情報収集や周囲の動きを観察できることが、化粧品業界で求められるスキルの一つといえます。

桒田 里絵

プロフィール

今はSNSやネットの化粧品評価サイトなどでもトレンドをつかめます。また、新しい材料や技術を使った商品もどんどん出てきます。Web、店頭、広告やニュースで先進的な取り組みにアンテナを張って情報収集をしていきましょう。

②語学力がありグローバルに活躍したい人

ファンケルのように国内での販売をメインとする大手企業もありますが、多くの化粧品メーカーは国内に加えて海外の進出にも精力的です。

化粧品業界では海外の代理店・小売店への営業や、海外市場向けの商品企画、販売戦略の考案、海外の原料メーカーや研究機関とのやり取りなど、グローバルに活躍できる機会が非常に多くあります

そのため化粧品メーカーは、いずれ海外に移住して働きたい人や、語学力を活かした働き方に挑戦したい人にとっては、それをかなえるためのチャンスが多い業界といえるのです。

またグローバルに活躍するには、日常会話だけでなく化粧品に関する専門的な話ができる語学力が求められます。化粧品業界に限らず海外で仕事したいと考える場合は、独学やスクールで勉強して資格を取るなど、語学力を鍛えることで、選考でも自分の強みとしてアピールできるポイントになります。

いずれ海外で働きたいと思う人は、こちらの記事もおすすめです。海外に行ける仕事を職種ごとに解説しており、海外で働くための準備や語学力以外の必要なスキルについて詳しく解説しています。

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③ブランドの価値を重視できる人

消費者として商品を選ぶ際は、機能性や価格帯が重要なポイントです。化粧品全般はそれに加えて、ブランドのイメージや世界観など、ブランドが持つ価値で商品を選ぶ人も多いです。

たとえば商品企画においては最新のトレンドを取り入れつつ、ブランドのイメージを崩さない商品を考えることや、販売ではブランドの価値を落とさないような手を抜かない接客が求められます。

常に「自分は〇〇会社の、そしてこのブランドの顔なんだ」といった意識を持ち、ブランドの魅力に相応しい振る舞いができる人は、化粧品業界で活躍できる人材といえます

④顧客に寄り添った提案力がある人

顧客に寄り添った提案力は、美容部員など販売職だけに求められるわけではありません。化粧品の売り上げを伸ばすためには、顧客の悩みやニーズを深く理解し、それに基づいた商品企画や開発、マーケティングをおこなうことが必要不可欠だからです

たとえば開発職や企画職では、ユーザーの口コミや反応をもとにした商品や技術開発の提案が必要であり、営業であれば取引先の販売戦略に沿った提案が求められるなど、常に顧客を意識した働き方が重要です。

相手の立場で物事を考えられる人や、状況を把握したうえで最適な提案ができる人であれば、化粧品業界で活躍でき、選考でも高く評価されるといえます。

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こんな人に「適職診断」はおすすめ!
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  • 自分の強みを活かせる職業を知りたい人

キャリアコンサルタントに聞く! 化粧品業界で働く魅力や大変さとは

ここまでで化粧品業界での仕事や就職に向いている人の特徴について解説しましたが、実際に働くうえでの大変さや仕事の魅力、やりがいなどは、一度経験しないとイメージが湧きにくいものです。

ここからは、さまざまな業界の就職支援に携わってきた古田さんが、化粧品業界の大変なことや働くうえでの魅力について解説します。化粧品業界を就職の選択肢に加えたい人はぜひ参考にして、イメージを深めてください。

プロのアドバイザーはこう分析!トレンドや最新の知識への理解の深さと顧客満足度のための努力が必須な業界

大変なポイントはいくつかあります。まずは競争の激しさです。化粧品業界は競争が激しいため、市場シェアを獲得するための戦略が求められます。常に新しいトレンドに対応しなければなりません。

また、化粧品は新しい成分や技術が次々に登場するため、最新の知識を習得し続ける必要があります。製品の成分や効果について深い理解が求められるのです。

それだけでなく、顧客のニーズや悩みに対応するため、コミュニケーションスキルや共感力が求められます。顧客満足度を高めるための努力は欠かせないでしょう。

自分のアイデアを活かせる場面があったり多様なキャリアパスを描けることが魅力

とはいえ、魅力ややりがいもあります。たとえば、新しい製品の開発やパッケージのデザインなど、創造力を活かす場面が多くあり、自分のアイデアが実際の商品に反映される喜びがあります。

マーケティングや販売、研究開発やデザインなど、多様なキャリアパスがあり、興味やスキルに合った役割を見つけることができるため、自分の活かし方も幅広く展開できます。

化粧品業界は挑戦に満ちていますが、その分、達成感や成長を感じることができる魅力的な分野ではないでしょうか。

化粧品業界で働くには? 就活を有利にする3つのポイント

化粧品業界で働くには? 就活を有利にする3つのポイント

  • 応募企業のトレンドや化粧品のコンセプトに合ったアピールをする
  • 化粧品業界の課題や将来性について自分なりに分析する
  • 消費者としての感想ではなく業界視点を踏まえた考えを持っておく

化粧品業界の仕事内容や、向いている人の特徴を知ったうえで「化粧品業界で頑張りたい」と思えたら、次は選考での立ち振る舞いを考えてみましょう。

良い学歴や功績があることも評価されるポイントの一つですが、化粧品業界特有の3つポイントを活用すれば、選考で「しっかり業界研究ができている」「入社後も活躍してくれそう」といったプラスワンの評価につながるようなアピールができます。

ここからは化粧品業界の就活に使える3つのポイントを解説するため、自分なりにこのポイントを意識したアピールができるか考えてみてください。

①応募企業のトレンドや化粧品のコンセプトに合ったアピールをする

化粧品メーカーでは企業特有のトレンドや、ブランド・化粧品ごとのコンセプトが設定されています。たとえばコーセーでは2024年に、ジェンダーレスで楽しめる新たな顧客体験として、ハイプレステージブランドに特化した商品を取りそろえた店舗をオープンしました。

そして同年に、ブランドのターゲットがジェンダーレス・ボーダレスの人であるブランドの「ヴィセ」から新商品を発売するなど、コーセーはジェンダーレスへの展開に注力していることがわかります。

このような企業の化粧品販売に関する方針やトレンド、ブランドのコンセプトなどを理解することで、自分の活躍したい分野を見つけやすくなり、選考でもブランドの長期的な方向性を理解したアピールができるため、高評価につなげられるのです

②化粧品業界の課題や将来性について自分なりに分析する

どの業界でも就活に入る前には、一度その業界特有の課題や将来性について考えることが重要です。

化粧品業界の面接では「今後どのようなものがトレンドになると思いますか?」「化粧品業界の今後についてどうお考えですか?」といった、難易度の高い質問をされる可能性があるからです。

ここでは回答が本当に正しいかどうかは重要ではなく、自分なりにどこから情報を集めてどのような結果や答えを導き出したかが大切なポイントです。自分なりの考えを持つことは、面接時の説得力にもつながります。

また念入りに業界を研究することで、面接の質問に備えられるだけでなく、市場の動向や消費者のニーズも把握しやすくなり、企業の戦略やブランドの方向性を理解しやすくなります。

記事前半で解説した、化粧品業界の変化についても選考に活用できるため、面接時の最新の情報を交えて参考にしてみてください。

業界特有の課題や将来性などをどのようにリサーチすれば良いのかわかりません……。

桒田 里絵

プロフィール

社会問題と化粧品の役割を結びつけて考えてみよう

業界特有の課題を考えるには、化粧品というものが何のために存在するのか、そしてその存在意義が時代と社会の変化にどう関係しているか考えてみることが大切です。

単に人を美しくするだけでなく、人に自信や勇気を与えることができたり、何かに立ち向かうきっかけになったり、自己表現の手段としての役割が増えているのではないでしょうか。

環境問題、ボーダーレス、ジェンダーレスといった社会課題を調べ、それらと結びつけて自分なりに分析し、将来的にどう推移していくかを考えてみることをお勧めします。

③消費者としての感想ではなく業界視点を踏まえた考えを持っておく

化粧品メーカーへの就活では、「御社の商品が好きで応募しました」という志望動機の人も多いと思います。商品を使っていたり好きでいたりすることも良いことですが、それだけでは評価につながりません。

たとえば好きな商品を伝える場合は、その商品が競合他社と差別化できているポイントやどのようなニーズに対応しているかなど意識してアピールしましょう。

また業界全体で見た応募企業の立ち位置や、自分が働くことが企業にとってどのようなメリットになるかといったことを具体的に伝えられると、「業界側の視点が持てている」と評価されやすくなります

面接対策の際は、ただそのメーカーやブランドが好きだからで終わらせずに、業界や企業目線で考えた意見を追加することを意識してみてください。

化粧品業界は倍率が高い? 就職支援のプロが就活の難易度を解説

化粧品業界は、特定の商品やメーカーが好きな人にとっては憧れの強い業界といえます。特に大手の化粧品メーカーは認知度も高く、就職倍率も上がりやすいため、自分の力で入社できるか不安に思う人もいるでしょう。

ここからはキャリアコンサルタントの吉田さんが、化粧品業界の入社しやすさについて、ほかの業界との比較を交えて解説します。就職するうえでの難易度を知ってから就活に臨みたい人は、ぜひ参考にしてください。

アドバイザーからワンポイントアドバイスその企業でどんな経験をどう活かして貢献できるのかを伝えよう

化粧品メーカーは知名度も高く人気業界のため、倍率は高いといえます。総合職はもちろんマーケティング職なども人気が高く、倍率は100倍以上になる企業もあります。そういったなかで内定をつかんでいくために必要なことは、「やりたい+できる」ことをアピールしていくことです。

よくある悪い例として、「○○社の化粧品が好き」「昔から○○社の製品をずっと使っている」など、その会社のファンとして、その熱量のみを伝えてしまっている人がいます。ファンであること自体は悪いことではありませんが、仕事とは成果を出すことが求められます。

好きであることは大前提として、何ができるのか、どのように貢献できるのかといった点もアピールできないと企業側はあなたを採用するメリットがありません。

なぜ化粧品会社を志望しているのかを明確にしよう

また、化粧品メーカーの内定者の共通点として、化粧品に携わることが目的ではなく手段であることを伝えていることが挙げられます。

そもそも、自分自身にどんな夢やビジョンがあるのか、そしてそれを実現するためになぜ化粧品である必要があるのか。そういったことを自己分析を徹底的にすることで結びつけています。

上記の点を考えブラッシュアップしていくことで、化粧品業界の内定はグッと手に入りやすくなります。

化粧品業界で働きたい人必見! 就活で使える志望動機&自己PRの例文

化粧品業界への就職を目指すと決めた際は、第一志望の企業に合格するために、選考に通りやすい志望動機や自己PRの内容を考えなくてはなりません。

記事後半では就活を有利にする3つのポイントを解説しましたが、実際にどのように文章を作成すれば良いか、イメージが湧かないという人もいるでしょう。

ここからは就活を有利にする3つのポイントを交えて、化粧品業界の就活で評価されやすい志望動機と自己PRを解説します。

例文をもとにキャリアコンサルタントが企業目線からコメントしているため、ぜひ履歴書や面接時の参考にして、高評価をもらえる志望動機や自己PRを作りましょう。

化粧品業界の志望動機の例

化粧品業界の志望動機の例

私は、化粧品による変化が外見のみでなく、内面にも大きな影響を与えることを実感しました。自身の体験から、より多くの人に自信や喜びを届ける仕事がしたいと考えています。

私は化粧品を選ぶうえで、個人の価値観や肌の状態に寄り添った商品を探すことが大切だと感じました。そのため自身が化粧品業界に携わる場合も、一人ひとりの価値観を重要視する企業を選びたいと考えています。

そこで御社の情報を拝見し、「多様な美を尊重し、革新的な技術で新たな価値を生み出す」理念に共感いたしました。特に「多様な美を尊重する」という点に強く共感しており、御社であれば消費者一人ひとりの価値観に沿った美しさを発揮させられると確信したため、このたび志望いたしました。

古田 文子

プロフィール

上記の志望動機は、自己分析と企業研究をきちんとおこなっている印象があります。自分が学生時代に学んだことを仕事にどう活かすかをイメージできていることがうかがえるため、もう少し詳しく聞いてみたいと思わせる興味深い内容です。

化粧品業界の自己PRの例

化粧品業界の自己PRの例

私の強みは、情報収集力と分析力を活かして最適な提案ができることです。

大学のゼミ活動では、市場調査をもとに新商品の企画を考えるプロジェクトに取り組みました。プロジェクト内では消費者のニーズを正確にとらえるために、SNSをはじめとする媒体を用いて1,500人以上にアンケートを実施し、トレンドや購買動機分析しました。

その結果、消費者の関心が高いポイントを押さえた企画を提案することができ、学内コンペでも評価していただくことができました。

こうした経験から、データを分析して論理的に説明するスキルを培えたと実感しています。

貴社にご縁をいただけた暁には、自分の感性と化粧品知識を磨きながら、消費者の動向を的確にとらえた商品企画・マーケティングをおこない、貢献していきたいと考えています。

吉田 隼人

プロフィール

上記の自己PRは、情報収集や分析など、化粧品業界で必要なスキルに対して実際に取り組んでいるため、業界理解はできている印象です。そのなかで、なぜその企業なのか、ほかの企業ではダメなのかという個社別の志望理由を考える必要がありそうです。

こちらの記事では化粧品会社の就活の難しさについて、キャリアコンサルタントが解説しています。難易度について気になる人はぜひ参考にしてみてください。

化粧品業界の将来性や課題を把握して就活を有利に進めよう

化粧品業界は成分や技術の研究・開発から、店頭での販売といったさまざまな職種で成り立っています。

それぞれの業種で向いている人の特徴は異なりますが、業界全体に共通しているのは、トレンドに敏感な人やブランドの価値を重視できる人を求めている点です。

特に現在の化粧品業界は海外でのマーケティングにも積極的で、グローバルに働きたい人でも活躍しやすい業界といえます。

この記事で解説した化粧品業界の仕事内容や向いている人の特徴を参考にして、自分が納得できるような業界や企業で就職を成功させてくださいね。

アドバイザーからあなたにエール化粧品業界は社会とのつながりが深いため自身の成長にも社会にも良い影響を与える

アドバイザーコメント
化粧品業界は社会とのつながりが深いため自身の成長にも社会にも良い影響を与える
化粧品業界は非常に大きな市場を対象とし、将来的にも有望な業界です。人が生きるために必要不可欠ではありませんが、人のポテンシャルを引き出し、可能性を広めることのできる重要なアイテムを供給しています。

また、社会課題との関連性も高く、人の精神性に深くかかわり、支えることのできる可能性もあります。そのような意義深い業界で働くことで、あなた自身も成長し、社会にも良い影響をもたらすことができるでしょう。

化粧品に対して真剣に向き合い自分の情熱を捧げられる企業を見つけましょう

化粧品業界を志望する人は多いですが、競争率やライバルがどうあれ、あなたが化粧品というものをどうとらえ、今後の社会にどのような価値をもたらしたいのかを真剣に考え続けてください。それを意識して毎日を過ごし、新たなアイデアを出し続けましょう。

その情熱をもって将来の化粧品業界をともに発展させていけることを信じてください。その情熱を捧げるのにふさわしい企業を見つけ、志望し、自分の考えを真摯に伝えましょう。

自分の将来的な成功より化粧品業界がより良い価値を創造していけることを優先して考えることが重要です。その結果として自らに還元されると信じて前に進んで行ってください。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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