本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「日立ソリューションズは待遇は良いがだ企業体質が古い」
「年功序列で若手にとってはもどかしい」
日立ソリューションズは、財閥系グループ企業にありがちな組織体質の古さや若手に不利な年功序列の評価システムを指摘する声があります。どうして、そのような声や評価が生まれてしまったのか検証してみましょう。
この記事では、日立ソリューションズへの就活を検討している人に向けて、プロによるデータの分析なども交えて実態に迫ります。
1分でわかる日立ソリューションズ
日立ソリューションズとは
2010年に日立ソフトエンジニアリングとシステムアンドサービスが合併して発足。日立グループのデジタル事業を支える中核企業として、人々の社会生活や企業のビジネスを支えるさまざまなソリューションをグローバルに提供している。国内4社、海外8社のグループ会社が17カ国26拠点でビジネスを展開している。
| 会社名 | 日立ソリューションズ(Hitachi Solutions,Ltd.) |
| 従業員数(単独) | 5,049人 |
| 本社所在地 | 東京都品川区 |
| 主な事業 | おもな事業としてソフトウェア・サービス事業と情報処理機器販売事業を展開。具体的にはスマート・マニュファクチャリング、スマートモビリティ、セキュリティ、デジタルマーケティング、都市づくりにおけるデジタルトランスフォーメーション支援などの7つを重点事業に掲げる。 |
| 売上高(連結) | 2,149億2,200万円(前年同期比8.9%増)(2024年度) |
| 営業利益(同) | 2024年272億8,100万円(同13.6%増)(2024年度) |
| 企業HP | https://www.hitachi-solutions.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.hitachi-solutions.co.jp/recruit/ |
「日立ソリューションズはやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「日立ソリューションズはやばい」と言われる4つの理由
「日立ソリューションズはやばい」といわれるのはなぜなのか。客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントの説明も参考にしながら、自分と対象企業との相性をチェックしてみてください。
➀年功序列で若手の肩身が狭そうだから
日本を代表する巨大企業、日立製作所が株式の100%を所有するグループ傘下企業であり、合併前の前身企業の時代を含めると50年以上の歴史を持ち、システムインテグレーター(SIer)業界では老舗に属します。
それだけに年功序列というワードがしっくり合ってしまうことも、年功序列イメージを強化している面もありそうです。
しかし年功序列とは一線を画する制度の実施も見られます。たとえば「若年層ジョブマッチング制度」は、新卒入社3年目の若手社員全員に対し、社内求人へ応募するか、現在の所属部署で仕事を継続するか自ら選択する権利が与えられています。
また社内公募制度や社内フリーエージェント(FA)制度を利用して異動できる制度も設けており、若手でも意欲があれば年齢やポジションの垣根を超えてチャンスに挑戦できます。
プロのアドバイザーはこう分析!完全な年功序列ではない! 時間をかけて自由度が増す
日立ソリューションズは日立グループのIT中核企業です。大規模SIerとして若手への期待は大きく、決して肩身が狭い環境ではありません。
しかし、品質と安定重視の長期プロジェクトが多いため役割や手順が細分化されており、若手が自由度の高い仕事を任されるには一定の時間が必要です。
これが「年功序列」と映ることもありますが、実態は安定稼働のための組織的分業です。
平均年齢の高さは学びと多さととらえよう
平均年齢は約45歳と高く、優秀なベテランが多いため、頼れる先輩に相談できる環境が整っています。
経験を積み領域を広げ、リーダーへ成長する過程で、最初の数年を学びの期間として活かすことが重要です。着実な成長が、その後の大きな裁量へとつながります。
➁企業体質が古そうだから
会社の公表データによると、平均勤続年数は19.0%程度で推移(※1)しており、男性社員で見ると平均勤続年数は21.2年と20年超(※2)。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると企業全体の平均勤続年数は12.4年(2024年)なので、比較的長く勤める人の多さがうかがわれます。
| 年度 | 平均勤続年数 |
|---|---|
| 2021年度 | 19.0年 |
| 2022年度 | 19.1年 |
| 2023年度 | 19.0年 |
| 2024年度 | 19.5年 |
また離職率の低さも際立っています。厚生労働省の雇用動向調査によれば企業平均の離職率は15.1%(2023年)ですが、日立ソリューションズンズの離職率は1%台が続いており2024年度は1.47%の低さです(※1)。
| 年度 | 離職率 |
|---|---|
| 2021年度 | 1.40% |
| 2022年度 | 1.78% |
| 2023年度 | 1.56% |
| 2024年度 | 1.47% |
良い意味でも悪い意味でもベテラン社員が増えがちな構造だと言えるでしょう。それが社風や企業体質に影響したときに、若手には古さを感じさせてしまうのかも知れません。ちなみに従業員の平均年齢は公表されていませんが、兄弟会社の日立ソリューションズ西日本の45.1歳(※4)が参考になるでしょう。
※1 企業HP 従業員の安全と健康の促進
※2 厚生労働省 しょくばらぼ
※3 日立ソリューションズ西日本 数字で見る日立ソリューションズ西日本
プロのアドバイザーはこう分析!企業の構造上ベテランが求められる傾向にある
日立ソリューションズへの鋭い視点は、業界構造の理解ゆえでしょう。
同社のような「メーカー系SIer」は、IT企業というより伝統的な「製造業」の延長にある組織です。日立製作所のDNAが刻まれ、金融や公共など社会インフラを支える巨大システムを主戦場としています。
ここでは最新技術のスピードより、複雑なルールを熟知した「継続性」と「信頼」が重視されます。
そのため、ベテランが重宝される「職人文化」が根付き、平均年齢も高くなります。手厚い福利厚生も相まって離職率は圧倒的に低いです。
年齢層が高いことはプラスにとらえることもできる
これを年功序列とも取れますが、腰を据えて大規模システムと向き合える、今のIT業界では希少で贅沢な環境と言えるでしょう。
➂成長できる環境かわからないから
「成長できる環境なのか不安」という声もあります。巨大グループの傘下企業、大組織の一員という事実から、硬直性や手堅さのイメージが先行し伸び伸びと成長できる環境を想像しづらいために、そのような不安を感じているのかもしれません。
参考として日立ソリューションズが配属後6カ月経過した社員を対象におこなったアンケート調査(※4)があります。この会社を自ら選択した社員が対象ですから、ある程度のバイアスがあることは割り引く必要がありますが、「成長の実感を持てた」率が90%となっています。
「成長の要因はなんだと思いますか」には94%(複数回答あり)が「育成リーダーの指導」を挙げ、育成リーダーの印象を尋ねた結果は「親しみやすい」との回答が97%でした。
また「入社前のイメージより良かったものはなんですか」で多かった回答は「風通しが良い」「成長しやすい環境」も挙げられています。
④安定性だけでは不十分に感じるから
日立グループの老舗SIerとして安定した業績をあげている日立ソリューションズ。2020年度以降、2024年度まで売上と売上総利益は右肩上がりの増収増益。営業利益や経常利益、純利益も2022年度以降は2年連続で伸ばしています(※5)。
こうした業績の安定感もあってか、従業員のエンゲージメント指数(肯定的回答率)も72%まで上がってきています(※5)。安定性だけでは物足りないと考えるのだとしたら、それだけ良い面が多いからこそだともいえます。より高い納得感を求めてしまうやばさは確かにありそうです。
従業員1人当たりの平均研修時間も2021年以降、大幅に増え2024年には59.8時間まで伸長(※5)。1人当たりの教育投資は25万7899円となっています(※6)。会社は従業員の成長を促す投資にも積極的に見えます。
※5 企業HP SustainabilityActionBook2025
※6 企業HP 人財の育成・活躍支援
アドバイザーからワンポイントアドバイス3つの視点で企業の将来性を読み解こう
日立ソリューションズは単なる安定企業ではなく「日立グループDX戦略の心臓部」です。
将来性の鍵は3点。1つ目は「Lumada」とのシナジー。巨大な顧客基盤へ最先端ITを実装する役割は、独立系にはない圧倒的優位性です。
2つ目はSaaS形式への転換。収益構造を強固にしグローバル展開を加速させます。
3つ目はサイバーセキュリティの国内トップランナーであること。ITインフラが複雑化する将来、不可欠な存在であり続けるでしょう。
日本を動かすほどの可能性があるとも考えられる
将来性とは、最新技術を社会実装する挑戦の打席が回ってくることです。実力ある若手をすくい上げる仕組みも整いつつあります。
この巨大な船を単なる安定ではなく「日本を動かす強力な重機」ととらえる人には最高の環境です。
企業や組織の規模にひるまず自分を信じて挑戦意欲を高めよう
「日立ソリューションズはやばい」の噂の元となりそうな事実を検証すると、会社の良い面も見えてきます。企業にはプラスがあればマイナスもある。当たり前のことですが、そこを冷静に切り分けて就活に活かしてください。
アドバイザーのリアル・アドバイス!安定性の裏にあるデメリットにも注目しよう
大手企業の子会社は、親会社の戦略に基づき安定した顧客基盤や教育体制を享受できるのが魅力です。
一方で、意思決定やキャリア形成は親会社の文化に強く影響され、グループ内調整に時間を要する側面もあります。私自身、家電系グループでの経験から、その安定性と引き換えの「動きの重さ」を実感しました。
自らの可能性を広げるチャンスを見逃さないで
しかし、そこで活路を開くのは若手の新鮮なアイデアと突破力です。特にIT分野では、子会社がグループのトップランナーとなり、親会社を導く役割を担う可能性すら秘めています。
子会社を選ぶことは、単なる「安定」の確保ではなく、巨大な組織を内側から変えるチャンスを掴むことでもあるのです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は60000件超。30年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
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