銀行員は、安定しているという印象から学生からの人気も高いですが、仕事内容を具体的に理解できている人は少ないのではないでしょうか。銀行への就職を目指すなら、事前に業界研究を重ね、本当に銀行員として働きたいのか考えておくことが大切です。
また、銀行員の仕事内容は多岐にわたります。多くの人がイメージする窓口業務だけでなく、営業やIT系といったさまざまなバックグラウンドを活かせる魅力的な業界です。文系・理系問わず活躍の場があるため、まずは銀行業界の働き方の理解を深めましょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの沖さん、平井さん、古田さんのアドバイスを交えつつ、銀行業界に就職するメリットや将来性を解説します。銀行員になるために必要なアクションやおすすめの資格にも触れているので、内定率をアップさせたい人はぜひ最後まで読んでみてください。
銀行に就職するならリサーチが重要! 職種ごとの仕事内容や将来性を理解しておこう
銀行に就職すれば「安定」「勝ち組」というイメージを持つ人も一定数いるでしょう。たしかに銀行業界は将来性もあり安定しているイメージなため、その分人気が高い業種です。
しかし一方で、銀行業界への就職に魅力を感じる人が多いからこそ内定の競争倍率が高くなり、必然的に就職難易度も高くなっているという実情もあります。
また、銀行といっても業務内容はさまざまです。納得のいく就職を叶えるにはしっかりと業界研究をおこない、自分に合った銀行や職種を選ぶことが重要です。
この記事では、銀行の4つの主要な種類と仕事内容を紹介し、具体的にどのような業務があるのかを説明します。自身の持つスキルや興味のある職種を明確にし、理想の働き方を実現するために、入社前から準備しておくべきアクションを確認しましょう。
さらに、銀行業界の将来性やメリット・デメリットも解説するので、銀行への就職を考えている人はぜひこの機会に銀行における働き方を知り、就職活動を進めてください。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
まずは基本情報を確認! 銀行の4つの種類
まずは基本情報を確認! 銀行の4つの種類
- メガバンク・都市銀行
- 地方銀行
- 信託銀行
- ネット銀行
銀行と聞くと、多くの人はCMで耳にするような有名銀行を思い浮かべるかもしれません。しかし銀行はそれ以外にもたくさんあります。
銀行には、おもにメガバンク・都市銀行、地方銀行、信託銀行、ネット銀行という4つの種類があります。以下では各銀行の特徴を詳しく解説しているので、自身が希望する働き方やキャリアをイメージしながら読み進めてください。
①メガバンク・都市銀行
メガバンクとは、1兆ドル以上の資産を有する銀行や銀行グループを指します。国内のメガバンクは数が少なく、以下の3つのみです。
上記に示した3つのメガバンクにりそな銀行を加えて、「都市銀行」と呼ぶこともあります。都市銀行は、大都市の企業やお店との取引が多い大規模な銀行であることが特徴です。
メガバンクは国との取引をおこなっているだけでなく、海外にも多くの拠点を持っています。そのため部署によっては海外転勤の可能性もあるので、世界を舞台に働きたい人におすすめです。
- メガバンクは銀行の中でも就職難易度が高いのでしょうか?
沖 英子
プロフィールメガバンクは難易度が高いので早期から企業研究に取り組もう
就活で金融業界を志望している学生から取ったアンケートでは、メガバンクが人気TOP3にランキングしています。
メガバンクは金融業界のみならず経済全体の要として位置付けられることもあります。そのため「金融業界を目指すならメガバンクが良い」と考える人も少なくないのでしょう。
志望理由としては業務内容の幅の広さ、ブランド力(信用の高さ)、職場環境の良さなどが挙げられています。
こうした人気の高さから、メガバンクの就職難易度はたしかに高いといえるでしょう。そのため内定に向けては、早期の企業研究が必要です。
もし総合職を狙うのであれば、インターンシップにエントリーする前に、銀行の仕組み、銀行内の業務内容、銀行を志望する理由などをしっかり研究しておきましょう。
②地方銀行
地方銀行はおもに、地方に拠点を置いている銀行を指します。たとえば北海道や九州、四国など、全国各地の特定のエリアを中心にサービスを提供しています。地域の人々や小さなお店、企業とのかかわりが深いのが特徴です。
メガバンク・都市銀行とは異なり、国や大企業との取引よりも、地域独自の文化や産業に特化したサービスを提供しています。地方銀行はその地域に根ざした銀行として、地域の発展や成長をサポートしているのです。
地方銀行の場合は、海外転勤や県をまたいで転居をともなう転勤などは少ないといえます。ただし、支店を多く構えている銀行は大規模な転勤もあるので注意してください。
沖 英子
プロフィール地方銀行を目指す場合、その地域に縁がないと不利になると思う人もいるかもしれません。
実際は不利ということはありませんが、銀行からすると「縁もゆかりもないのに、なぜ当行?」という疑問は当然湧きます。説得力が十分にある志望動機が必要になりますね。
③信託銀行
信託とは
委託者が自分の財産を受託者に託して、受託者が代わりにその財産を管理・運用し、成果を委託者や指定された第三者(受益者)に帰属させること
信託銀行は企業や個人、公共団体などから預かるお金や土地などの資産を運用し、運用成果を委託者または指定の受益者に還元します。一般的な銀行が預金を受け取ることとは異なり、信託銀行は委託者の財産を特別に管理・運用する役目を担っています。
信託銀行の代表例は以下の通りです。
信託銀行が必要になるのは、特定の目的や条件を持つ特別な預け物や運用が求められる場合です。高齢化が進んでいるので、遺言書の保管や遺言の執行などの相続関連の業務、不動産売買の仲介業務もおこなうので、一般的な銀行よりも幅広い知識が求められるのが特徴です。
④ネット銀行
ネット銀行とは、インターネットを介してサービスを提供している銀行のことです。パソコンやスマホがあれば、時間や場所を問わず取引や相談ができるのが特徴です。
ネット銀行の例
ネット銀行は24時間いつでも利用できる手軽さや、店舗を持たないことにより手数料が安い点で非常に人気があります。顧客は法人よりも個人が多く、特に若い世代や忙しい人に利便性の高いサービスとして受け入れられています。
仕事内容はメガバンクや地方銀行などとは大きく異なり、ネットバンキングのシステム開発を中心とした業務に携わることが多いです。コミュニケーションの場もネット上のため、顧客と実際に対面でかかわることは少ないでしょう。
- 銀行の仕事に興味はあるのですが、コミュニケーションが苦手です。ネット銀行の方が向いているのでしょうか?
そもそもコミュニケーションが苦手と簡単に決めつけていないか考えよう
どの銀行が向いているという話より、「コミュニケーションが苦手」との自己理解がまず気になります。人と世間話をしたり、初対面の人と打ち解けたりすることに苦手意識があっても、営業で活き活きと働く人もいますよ。
そのためまずは、どんな場面のどんなコミュニケーションが苦手なのか、自己理解を深めましょう。銀行以外への志望を考えるにしても、とても大事なことです。
それができたら、改めて銀行の種別や存在する仕事・職種について情報を集めましょう。銀行は巨大なシステムなのでさまざまな仕事があります。
自分はコミュニケーションが苦手と決めつけないこと、銀行にある仕事・職種を十分調べること。この2つをやってみてください。
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職種別! 銀行員のおもな仕事内容
銀行員というと窓口業務をイメージする人も多いかと思います。しかし銀行員の仕事はそれだけにとどまりません。実際には、総合職、専門職、一般職といった職種に分かれています。
以下では、それぞれの職種の仕事内容や役割を詳しく解説します。自身の興味や希望するキャリアにマッチした働き方を探してみてください。
総合職
総合職の業務の例
- 法人営業
- 個人営業
- 融資業務
- 本部業務
総合職は、営業部門での顧客対応から商品開発部門での新たな金融商品の企画まで、多岐にわたる業務を担当します。業務を通して幅広い知識とスキルを身に付け、将来的には管理職やリーダーとしての役割を担うことを求められているのです。
総合職で働くメリットとしては、銀行業務の全体像を把握し、各部門の連携や業務フローの最適化に貢献する能力を身に付けることができる点です。銀行内での幅広いキャリアを目指す人にとって、総合職は特におすすめの職種といえるでしょう。
以下では、総合職の具体的な業務の種類を解説します。
法人営業
法人営業とは
法人顧客に対して融資、資金運用、決済サービスなどを提案・提供する業務
法人営業は、銀行と企業の間の重要な橋渡し役として、企業の成長や安定的な経営をサポートする役割を果たしています。
具体的には、新たな事業展開を予定する企業が融資を希望した際、法人営業の担当者はその事業計画の妥当性を評価します。中には国内事業だけでなく、企業の海外展開をサポートするために、外国為替や国際的な資金移動に関するアドバイスをおこなうこともあります。
業務を通じて、金融の専門性だけでなくさまざまな産業やビジネスの知識も習得できるのが、法人営業の魅力の一つといえるでしょう。
法人営業はBtoB営業とも呼ばれます。BtoB営業の仕事について詳しく知りたい人は、以下の記事をチェックしてみてください。
BtoB営業ってどんな仕事? 魅力から大変な部分までまるごと解説
個人営業
個人営業とは
個人の顧客に対して、各種金融サービスや提案をおこなう業務
個人営業は、顧客の生涯を通じての金融ニーズを満たさなくてはならず、深い顧客理解と幅広い金融知識が不可欠です。そのため貯蓄、投資、融資、保険など、さまざまな金融商品やサービスの知識が求められます。
たとえば、顧客が住宅購入を検討している場合、個人営業担当者は適切な住宅ローンのプランを提案する必要があります。また、将来のリタイアメントに向けて資産を増やしたい顧客には投資信託や保険商品を提案するなど、顧客の人生のさまざまなシーンに合わせて最適な金融サポートをおこなうのが個人営業の仕事です。
顧客との密な関係を築きながらその人生をサポートする役割を果たせるのが、個人営業の大きな魅力といえるでしょう。
法人営業は顧客企業の事業成長に寄り添い、個人営業は顧客と顧客の家族の成長と変化に寄り添います。
どちらも「売って終わり」ではない関係を作る仕事です。企業か個人か、自分がどちらの顧客と一緒に成長したいか考えてみてはどうでしょうか。
営業は向いていないと感じる人も多いですが、チャレンジしてみると案外向いていると感じる人もいます。営業への適性を知りたい人は、以下の記事も併せて参考にしてください。
営業に向いてない人の16の特徴|不向きな人におすすめの道も解説
融資業務
融資業務とは、銀行が企業や個人に対して資金を貸し出す際の一連の業務を指します。融資は銀行の主要な業務の一つであり、社会や経済の発展を支える重要な役割です。
企業の設備投資や運転資金、個人の住宅ローンや教育ローンなど、さまざまなニーズに応じた資金供給を担当するので、借り手の信用状態や返済能力を正確に把握し、適切に資金を提供することが求められます。
たとえば、新たに事業を起こそうとする企業が銀行に資金調達の相談を持ちかけた場合、融資担当者はその企業のビジネスプランや財務状態を詳細に分析することからはじめる必要があります。返済計画や利息率など、適切な融資条件を提案するのが融資業務の重要なポイントなのです。
融資業務は、銀行の資金供給機能を体現する業務であり、正確な判断と高度な専門知識が求められる仕事といえます。
本部業務
本部業務とは、銀行の経営や運営をサポートし、全体の方針や戦略を策定・実行する役割を担う業務です。
銀行は多数の支店や拠点を持ち、数多くの業務をおこなっています。これらの業務が円滑に機能し銀行全体が一貫した方向性で動くためには、統括・指導する役割を果たす中央の本部が必要です。
本部業務では、具体的な取引の実務よりも、以下のような組織全体を支える幅広い業務を担当します。
本部業務の仕事内容の例
- 経営戦略の策定
- リスク管理
- 法規制への対応
- 人事・教育
- 広報活動
上記以外にも、金利政策の変動に対応する新しい金融商品の開発や、新しい法律が施行された際の社内ルールの再設定なども本部業務の一部です。また新卒採用や中途採用の方針、研修制度の構築といった人事関連の戦略も本部で策定されます。
本部業務は組織全体の動きを左右するため、戦略的な思考と高い決断力が求められます。
本部業務に携わりたい学生もいると思いますが、新卒から本部業務に就くことは正直難しいでしょう。
まずは窓口業務や融資、渉外などの基本的な業務を経験した後、適正や能力に応じて支店や本部業務を担当させてもらうという流れになることが多いようです。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
専門職
専門職の業務の例
- システム開発
- デジタルトランスフォーメーション(DX)
- ファイナンシャル・テクノロジー(FT)
銀行員とIT系は関連が少ないと思う人もいるかもしれませんが、近年銀行員の専門職としてIT系人材のニーズは高まっています。
金融業界は、テクノロジーの急速な進化とデジタル変革の波に直面しています。銀行の業務やサービスの提供方法にも技術的進化が求められているのです。
以下では、専門職の具体的な仕事内容を説明します。
システム開発
銀行においてシステム開発を担当するシステムエンジニア(SE)は、情報システムの設計から実装、運用までをトータルで対応します。
現代の銀行はより良いサービスを提供するために、最先端の情報技術を活用しています。業務の最適化や新しい技術の導入など、銀行が直面するさまざまな課題の解決を技術面からサポートするのがSEの仕事です。
たとえば、オンラインバンキングの導入やマーケティング戦略の最適化、セキュリティの強化は、SEの優れた技術力によるものです。SEの専門的なスキルと経験は、今後の銀行業界でも重要視されると考えられます。
SEの仕事内容についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
システムエンジニアとは? 仕事内容から未経験の就職方法まで解説
- IT系を専攻していてSEに興味がありますが、銀行業界のSEになる場合は金融の知識も必要になるのでしょうか?
金融系SEも自分の担当範囲の金融業界の知識は必要
銀行などの金融業界で活躍するSEを「金融系SE」と呼びます。金融系SEとして働く際は、金融業界の知識が必要になります。
たとえば決済系のシステムに携わる場合は、資金決済に関する知識が必要になります。ほとんどの決済系システムは全国銀行データ通信システムに接続されているため、そのシステムの仕様理解が重要なのです。
また銀行を担当する金融系SEは、勘定系システムや情報系システムなどの開発・保守・運用にかかわることが多く、金融知識がある方が設計や開発をスムーズにおこなうことができます。
もちろん一人で担当するわけではないので就いてから習得しても良いですが、いずれにせよ金融の知識は必要になるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
企業がデジタル技術を活用して業務やサービスを進展させること
銀行業界においても、DXは業務効率化や新しい価値創出のカギとして注目されています。たとえば、生体認証を活用したインターネット口座へのログインや、AI(人工知能)を活用した問い合わせチャットボットの導入などが当てはまります。
なぜDX化が活発になっているかというと、これらを取り入れることでこれまで窓口業務などアナログな対応で運営してきた銀行業務をデジタル化でき、人件費の削減を通して利益を高められるためです。
また中には専用のモバイルアプリを導入するなどして、独自の高品質なサービス提供に取り組んでいる銀行もあります。
このように銀行業界におけるDX化は、今後銀行業界を大きく発展させ、顧客に対してより高品質なサービスを提供するための重要な取り組みといえます。
ファイナンシャル・テクノロジー(FT)
ファイナンシャル・テクノロジー(FT)とは
金融と技術のかけ合わせで金融業界のサービスやプロセスの発展を進める技術
FTは、金融を意味する「ファイナンス」と技術を意味する「テクノロジー」から、「フィンテック」という造語としても知られています。
スマートフォンを用いた即時の資金移動や暗号技術による安全な取引の実現、AIを活用した資産運用アドバイスなど、FTの取り組みは多岐にわたります。一般的にコンピューターやアプリの開発などで知られているIT系の知識を分野の異なる金融関連の業務に活かせるため、今後も貴重な人材として重宝されるでしょう。
IT技術と金融の両方に興味を持っている人は、FTの仕事に対してやりがいやモチベーションを感じやすいですよ。
沖 英子
プロフィールFTを目指す場合、新卒採用なら募集要項上は学部・専攻は問われないことが多いです。人事が学生の資質を見て配属を決め、業務上必要なことは研修・業務を通して身に付けていくことになります。
ただ専攻しておく必要まではなくとも、情報処理、AIなどを勉強しておくことはアピールにはなるでしょう。
一般職
一般職の業務の例
- 窓口業務
- 事務業務
一般職の仕事は、おもに窓口業務と事務業務の2つに分けられます。銀行員といえばこれらの一般職の仕事をイメージする人も多いでしょう。
以下では、一般職の具体的な仕事内容を解説します。
総合職と一般職の違いについて詳しく知りたい人は、以下の記事を確認してみてください。
総合職と一般職の7つの違いを解説! 将来後悔しない選択の秘訣とは?
窓口業務
一般職のおもな仕事内容は窓口業務であり、銀行に訪れる顧客の対応をおこないます。預金、送金、口座の開設といった窓口で可能なサービスを担当するのが窓口業務の仕事です。
この窓口業務は、顧客と直接かかわり銀行の印象を決定付けることから、銀行の顔ともいえます。たとえ有名な銀行でも窓口の対応に問題があれば、顧客は離れてしまうので、ただの顧客対応ではないということを覚えておきましょう。
また、顧客は金融の専門家ではない場合が多いため、顧客のニーズをしっかり把握し適切なサービスを提供するコミュニケーション能力が求められます。顧客の満足度を高めるには丁寧な接客が必須ですよ。
事務業務
窓口業務とは別で一般職に求められるのが事務業務です。おもに書類の不備のチェックや専用端末への入力作業をおこないます。入出金の処理や書類の整理なども銀行員の事務業務に含まれます。
特に銀行業界は、個人や企業に対する入出金プロセスにかかわるため、金額の計算や処理に少しでも間違いがあると顧客に大きな損失を与えてしまいます。加えてその銀行の信用度を低下させることにもつながりかねません。
このように銀行員の事務業務は責任重大のため、一つひとつの作業をミスなく丁寧にこなす注意力や責任感が求められます。
- 実際、一般職は総合職・専門職よりも収入は低い傾向にあるのでしょうか?
沖 英子
プロフィール一般職の方が低いのはたしかだが魅力ややりがいもある
一般職の収入が総合職・専門職よりも低いのはたしかです。職能、業務内容、勤務時間など、複数の要件から給与テーブルが異なっています。
しかし銀行の業務というのは、たとえ事務であっても専門性や正確性が必要とされているので能力は問われます。勉強しなければならないことも多くあるので、自分を成長させることも可能です。
近年は一般職行員の採用は減る傾向にありますが、一般職を採用している銀行であれば、福利厚生やワークライフバランスを考えると、長く勤務することも可能かもしれません。
事務職に向いているかどうか知りたい人は、以下の記事を確認してみてください。
事務職の仕事内容が丸わかり! 必要なスキルや就職のコツも
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
将来性はある? 銀行業界の傾向・動向
将来性はある? 銀行業界の傾向・動向
- 市場規模は高水準で成長傾向にある
- AIにより一般職のニーズが減る可能性が高い
- 総合職・専門職のニーズが高まり内定の難易度が上がっている
- 事業のグローバル化を推進している
銀行業界は、技術の進化やグローバルな市場の変動によって、そのビジネスモデルや求められる人材が大きく変わります。
志望業界の市場変動を理解することは、業界の将来性を見極め、自身のキャリアを計画するうえで不可欠なので、ぜひここで理解を深めておきましょう。
以下のQ&Aコンテンツでも、銀行の将来性についてキャリアコンサルタントが解説しているので、併せて参考にしてみてください。
市場規模は高水準で成長傾向にある
銀行業界は金融の中核を担い、多くの企業や個人と深いかかわりを持つため、市場規模が非常に大きいことが特徴です。
近年は、DXやFTといったIT技術の活用による業界の発展やグローバル化の加速により、ますます市場が拡大しています。特にアジアやアフリカなどの新興市場では、急速な成長が見られます。
また、ネットバンキングやモバイル決済も、銀行業界の新しいビジネスの形です。今後も形を変えながら、銀行業界は成長し続けると考えられます。
AIにより一般職のニーズが減る可能性が高い
AI技術が持つ高度な計算能力やデータ分析力により、従来の単純な事務作業を自動化・高速化できるようになりました。その影響を受けて、特に窓口業務や事務作業を担う銀行の一般職のニーズは減少傾向にあります。
具体的には、近年多くの銀行がAIを活用したチャットボットの導入を進めています。顧客の基本的な問い合わせ対応など、以前は人手を必要としていた業務が自動化されつつあるのです。
さらに、複雑なデータの分析やレポート作成、不正取引の検出といった高度な業務も、AIの力を借りることで高精度かつ迅速に結果を得られるようになりました。
AIの進化とともに一般職の仕事は少なくなっていくため、金融に関する専門知識やIT関連のスキル習得に積極的に取り組める人材が求められるようになると理解しておいてください。
総合職・専門職のニーズが高まり内定の難易度が上がっている
一般職のニーズが減少している反面、高い能力や技術を持つ人材は今まで以上に求められることから、総合職や専門職のニーズが高まっています。
総合職の中でも、より専門的な知識やスキルを持つ優秀な人が求められるようになる分、就職の難易度は上がるため、従来よりも銀行への内定のハードルは高いといえます。
そのため総合職や専門職に求められる高度なスキルや知識を得ることが、今後銀行への就職を叶えるカギとなります。
- 銀行を志望していますが、学歴に自信がありません。銀行業界は学歴フィルターを設けている企業が多いのでしょうか?
本当に志望しているなら学歴を気にするよりやるべき行動がある
たしかに銀行によっては学歴フィルターがあるかもしれません。有利な大学や学部もあるかもしれません。
しかし、もしそれがわかったとしたらどうしたいですか。有利な大学や学部に入り直しますか。銀行を諦めますか。
本当に銀行に入りたいなら、自分の持っているリソースや変えられないものを悩むより、今から積み上げて変えられるものに注目してはどうでしょうか。
まずは相手を知ることです。銀行の種別の違い、各行の特色、信用組合や信用金庫はどんなところなのかなど、徹底的に調べましょう。銀行に存在する職種についても同様です。
その作業を通して、自分の強みや得意をアピールできるところや職種を検討してみてください。
このように、本当に志望しているなら、語学力など今から伸ばせるものはどんどん取り組んで、少しでもプラス評価を得られる要素を増やしてみましょう。
信用金庫に興味のある人は以下の記事をチェックしてください。仕事内容や志望動機の書き方をまとめています。
例文5選! 信用金庫の志望動機で厚みが出る2つの秘策
信用組合を志望している人はこちらのQ&Aも参考にしてみてください。信用組合に就職するメリット・デメリットをキャリアコンサルタントが回答しています。
こちらのQ&Aでは信用金庫の将来性をキャリアコンサルタントが回答しています。併せて参考にしてみてください。
事業のグローバル化を推進している
銀行業界に限らず、あらゆる業界で経済のグローバル化が加速しているのが現状です。銀行も国際的な取引や海外展開をサポートするためのサービス提供が求められており、グローバル化の流れを受けています。
実際に多くの大手銀行はアジアやアフリカといった新興市場に進出し、現地の企業や個人向けの金融サービスを拡充しています。現地の銀行や金融機関との連携を強化し、事業基盤を築いている事例もあるのです。
グローバル化の波に乗ることで、銀行業界は国内だけでなく新たな市場や顧客層の獲得を目指しているのです。
本文にあるように、たしかにグローバル化の流れを受けている企業もありますが、地方銀行やネット銀行は、都市銀行と比べると海外転勤は少ないのが現状です。
ただし今後は地方銀行やネット銀行の顧客企業もグローバルビジネス化が進むと予想されるので、それを支援する銀行の海外進出は増えると思います。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見るインターネットやAIの普及により全体的な銀行の業務は縮小傾向にある
インターネットの発展によりネット口座の開設や振り込みなどが可能になったため、近年は直接銀行に足を運ぶ人が減りました。またネット銀行は店舗が必要ないため、従業員の数も少なくなることが予想されています。
同様に事務業務も、AIの普及によって従業員の業務量が減ります。それだけにとどまらず、キャッシュレス決済や仮想通貨などのフィンテックが発展しているため、銀行業務そのものが減少しています。
時代の流れとともに、今後も銀行業界の業務は縮小傾向にあることは否めないでしょう。
今後は求められるスキルが変わると考えよう
ただ、銀行の仕事は出入金だけではありません。AIにできない仕事もまだまだあるため、今後2、30年の間に完全に消滅するということは考えにくいです。また顧客を獲得するための営業業務がなくなることもないでしょう。
したがって、銀行業界に就職する際に求められるスキルは変わっていくものの、将来性がないとも言い切れないのではないでしょうか。
魅力がたくさん! 銀行に就職する6つのメリット
魅力がたくさん! 銀行に就職する6つのメリット
銀行は毎年学生からの人気が比較的高い傾向にあますが、今後も銀行業界は成長が見込まれていることから人気は続いていくでしょう。しかし将来性以外には、具体的にどのような魅力があるのでしょうか。
以下では、銀行に就職する6つのメリットを詳しく解説します。将来性以外でも年収やスキル面で多くの魅力があるため、自身の理想のキャリアを思い描きながら読み進めてくださいね。
メリット①年収が高い傾向がある
銀行員は専門的な知識やスキルが必要とされ、仕事の責任も大きいです。しかしその分、年収が高い傾向にあるのが銀行業界の特徴です。業績が好調な場合、従業員への報酬に反映されることもあります。
実際、令和4年に厚生労働省が実施した賃金構造基本統計調査によると、銀行業界での月収平均は男性が約48万円、女性が約29万円です。そのため多くの収入を得て生活を安定させたい人は、銀行への就職はぴったりだといえます。
ほかにも給料が高い仕事は多く存在します。待遇面を重視して就職先を選びたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
年収の高さを重視している人は以下の記事も参考にしてみてください。新卒で高収入を目指せる業界と注意点をまとめています。
2023年最新版! 新卒の年収や高収入を目指せる業界をチェック
選考通過率がグッと上がる!
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メリット②金融分野の専門スキルが身に付く
銀行は金融の中核を担う機関として、幅広い知識を必要とします。融資や投資といったさまざまな専門業務を経験する中で、金融関連の能力を高め将来のキャリアに活かせるのは銀行業界の大きなメリットです。
たとえば融資業務にかかわると、企業の財務状況の分析やリスク評価の方法を習得できます。また外国為替取引の業務では、国際経済の動きや通貨の特性に関する知識を深められます。
このように現場で学ぶことができるので、金融関連の専門性を高めたいなら銀行への就職がおすすめです。
金融分野のスキルはほかの分野でも重宝されます。たとえば法人営業を経験しているなら、保険会社やファイナンス・リースなどの金融業界では即戦力として評価されます。
汎用スキルももちろん身に付くので、どの業界でも活かせるでしょう。
メリット③業界が安定している
銀行は経済の基盤としての役割を担っていて、私たちの生活になくてはならない機関の一つです。今後すぐにこの立ち位置が変わることはないと考えられるので、安定したビジネスモデルを有しているといえます。
そのため、経済が低迷すると多くの業界が影響を受ける中、銀行はその影響を比較的小さく抑えられます。過去の金融危機などの状況でも、銀行は国や中央銀行のサポートを受けつつ、業務を継続してきました。
銀行業界には、長期的なキャリアを築くための安定した環境が用意されているといえます。
メリット④社会的に信頼されやすい
企業活動や個人の日常生活で、お金の動きが正しく機能することは非常に重要であり、それらが滞らないようにするために、銀行が存在しています。
そのため社会的な重要度が高く、正確性や誠実性が求められる分、そこで働く銀行員も社会的に高い信頼度を得られる業種といえるのです。
社会的信用が高いと、自身が住宅ローンなどの融資を受ける際に有利になります。転職の際に有利に働く点も、銀行員として働くメリットといえるでしょう。
メリット⑤福利厚生が充実している
銀行業界の経営は比較的安定していることから、従業員に対する福利厚生が手厚いのもメリットです。
たとえば、家賃補助や住宅補助として専用の寮・社宅などが提供されることも多く、生活費の負担を軽減する配慮がなされています。
また多様な休暇制度や研修制度といった福利厚生が充実している銀行も多いです。従業員の生活やキャリアの質を向上させるためのサポートを受けられるのは嬉しいポイントです。
働きやすさや福利厚生を重視したい人は、銀行で働くメリットが多いといえます。
メリット⑥プライベートとのメリハリをつけやすい
働き手の健康やモチベーションの維持は、企業の成果にも直結します。銀行業界もその例外ではなく、従業員のワークライフバランスを大切にする取り組みが多くなされています。
特に銀行業界は年間休日が多く、プライベートを充実させやすいのがメリットです。完全週休二日制はもちろん、祝日や夏季・年末年始の休暇も用意されています。
有給休暇も取得しやすい環境のため、家族や友人との時間を楽しんだり、リフレッシュのための十分な時間を確保できます。
銀行業界への就職は、プライベートを大切にしたい人にとって魅力的な選択といえるでしょう。
沖 英子
プロフィール銀行は基本的にはカレンダー通りの勤務なので、学校に通っている子どもがいる場合などはたしかに休みを合わせやすいですね。
しかし総合職の場合、業務内容によっては大変な激務であることもあります。プライベートとの切り替えが難しい時期もあるかもしれません。
事前にチェック! 銀行に就職する4つのデメリット
事前にチェック! 銀行に就職する4つのデメリット
ここまで銀行に就職するメリットを解説しました。しかし銀行は魅力的な面ばかりではなく、人によってはデメリットに感じる点もあります。
以下では、銀行に就職する4つのデメリットを説明します。実際に就職してから後悔しないためにも、事前にデメリットを把握しておき、納得のいく就職をかなえましょう。
デメリット①ノルマを課せられることがある
銀行のビジネスを発展させ利益を得るには、新規の顧客獲得やサービス・商品の提供を通じて成果を出さなければなりません。そこで業績目標を達成する手段として、一定のノルマが設定されている場合があります。
具体的なノルマの例としては、新規の口座開設数、ローンの契約数、投資商品の販売数などが挙げられます。
ノルマを達成すれば昇給・昇進のチャンスを手にできますが、常に緊張感を持って業務に取り組む必要があるため、ストレスやプレッシャーを感じやすいのは事実です。
数値目標を追い求めることに苦手意識がある人は、銀行は少し厳しい環境かもしれません。
- ノルマを達成できなかった場合は減給や降級になる可能性があるのでしょうか?
減給や降級は法律上認められていないがボーナスなどに影響することはある
ノルマ未達成を理由に基本給を減額した場合は「労働基準法24条(賃金の支払)」に、配置転換や懲戒処分の場合は「労働契約法15条(懲戒)」に抵触する可能性があるので、基本給が下がることはほぼないでしょう。
同様に、営業担当が自腹で買い取りすることを「自爆営業」と呼びますが、これも強要するなどして「労働基準法16条(賠償予定の禁止)」に当たると判断された場合は、違法になります。
このように罰金を伴う労働契約は認められていませんが、ボーナスや報奨金のような基本給以外の賃金は、ノルマ達成度や業績が反映されることもあります。
ノルマを達成した際に支払われる報奨金やボーナスは、未達成の際に支払われなくても、前年度より少なくても違法にはなりません。
デメリット②部署異動や転勤の可能性がある
多くの銀行では、従業員にさまざまな業務を経験させる目的で、定期的な部署異動や転勤がおこなわれます。特にメガバンクなどの規模の大きな銀行だと、支店が全国にあるため転勤の範囲もかなり広くなるでしょう。環境の変化によるストレスや転勤による家族への負担は、デメリットの一つといえます。
たとえば、新卒入社で窓口業務に携わった後、数年経ってから営業部門や企画部門へ異動するなどのキャリアパスが考えられます。また本社から地方の支店や、国内外の子会社への転勤も可能性としてはあります。
銀行員としてのキャリアを検討する際には、部署異動や転勤の可能性を視野にいれつつ、自身が理想とする働き方やライフスタイルと照らし合わせてみてください。
もし転勤に抵抗がある場合は、銀行によっては勤務地を一定のエリアに限定した「エリア限定採用」をしているところがあるので確認してみましょう。
エリア限定採用は会社によって「地域限定職」「エリア総合職」などと呼び方が違うので、応募先の募集要項をよく読んで探してみてください。
デメリット③業務時間が長い傾向にある
銀行員の仕事はタイミングによっては忙しく、報告書の作成や翌日の業務の準備に追われることがあります。場合によっては残業を迫られるケースもあるでしょう。
特に新商品の開発段階や決算時期は業務量が増え、業務時間が長くなる傾向にあります。長時間労働は身体面だけでなく精神面にもダメージを与えるため、適度にリフレッシュを挟むなど対策が必要です。
銀行への就職を検討する際には、業務時間の長くなる繁忙期があることを考慮に入れておきましょう。
銀行員の業務は一般的に、年度決算(3月)、中間決算(9月)、第3四半期決算(12月)、第1四半期決算(6月)の順に忙しいとされています。
繁忙期の残業時間は銀行や部署にもよりますが、月40時間ほどが一般的です。
デメリット④常に勉強の時間を確保しなければならない
金融業界は、時代の流れに応じてサービスの形を変えています。顧客満足度を高める価値を提供するには、従業員一人ひとりが常に最新の情報や知識を身に付けることが必要です。
近年ではネットバンキングやフィンテックなど、金融とテクノロジーの融合が進んでいます。自身の業務に必要な知識を積極的にインプットしなければ、顧客のニーズを満たせる業務はできません。
また国際的な取引や業務を担当する場合、海外の経済情勢や規制に関する知識も求められます。
このように、銀行に就職しキャリアを築いていくためには、自発的に学ぶ意欲を持ち続けなければならない大変さがあるのです。
- 銀行員の働き方には興味がありますが、常に意欲や向上心を持って働き続けられる自信がありません。
沖 英子
プロフィール自発的な学びは銀行員でなくても大切! まずは業務に真摯に取り組もう
働いていくうえでのモチベーションというのは人それぞれではないでしょうか。そして今の時代、銀行員でなくとも自発的に学ぶ意欲を持ち続けることが必要とされています。
その中でも銀行員は業務上学ばなければならないことも多いですが、まずは今必要とされていることに真摯に取り組むことが重要です。
またそれとは別に、自分のキャリアを考えたとき、自分が望む未来のために自分の意思で何かに取り組んでみることも大切だと思います。
あなたは当てはまる? 銀行への就職に向いている人の特徴
あなたは当てはまる? 銀行への就職に向いている人の特徴
銀行業界への就職を検討している人にとって、自身がこの業界に向いているかどうかは気になるポイントでしょう。
以下では、銀行業界への就職に向いている人の特徴を6つ解説します。これらの特徴に自身が当てはまっているか確認し、銀行業界が適したキャリア選択なのかを考えてみてください。
①金融業界に興味がある
世の中では、新たな技術革新や国際的な情勢変動などが日々起こっています。金融業界の一員として意欲的に仕事を続けていくには、金融に対する興味や好奇心を持つことが大切です。
たとえば、近年では金融とテクノロジーの融合であるフィンテックによって、新しい金融サービスや商品が次々と生まれています。このような技術の進化に興味を持ち、主体的に情報を追い求める姿勢があれば、顧客への提案や新たなサービスの開発につながります。
銀行に就職して長期的なキャリアを築きたい人は、その興味や好奇心を忘れないようにしてください。
沖 英子
プロフィール金融業界のトレンドやニュースにアンテナを張るには、月並みですが、日経新聞に目を通したりマーケットニュースを視聴したりなどが基本だと思います。
金融専門の新聞も出ているので、さらに詳しい情報を得ることもできます。これらの行為は銀行員になった後の日課としてもおすすめですよ。
金融業界についてさらに詳しく理解を深めたい場合は、併せて以下の記事も参考にしてくださいね。
金融業界を徹底調査! 押さえておくべきトレンドや対策まで大解剖
金融業界を志望している人は以下の記事を参考にしてください。志望動機の書き方を解説しています。
金融の志望動機の書き方! 難関企業も狙える構成4パターンを解説
②責任感がある
銀行が提供するサービスや取引は、顧客の経済的な安定や将来設計に直結するものが多いです。融資の審査や資産運用の提案、口座管理など、いずれの業務もミスは許されません。そのため日頃から責任感を持って作業に取り組める人は、銀行員に向いているといえます。
たとえば融資審査で不備や過失があった場合、企業経営や個人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、資産運用のアドバイスで無責任な提案をおこなった場合、顧客の資産に損失が生じることも考えられます。
顧客からの信頼を維持するためにも、強い責任感を持つことが重要であると理解しておいてください。
就活で責任感をアピールする際はいくつか注意点を押さえておく必要があります。詳しくは以下の記事で解説しています。
責任感の自己PRは要注意! 失敗例と絶対響く6例文で徹底差別化
③仕事を正確にこなせる
金融取引は、数字の移動や契約内容の管理など、ミスのないように仕事を進める正確さが必要です。些細なミスが大きな損失や顧客からの信頼を失うことにつながる可能性があり、場合によっては法的な問題に発展することもあります。
たとえば送金業務の場合、取引金額や口座番号の入力ミスは送金先の誤りや顧客の不利益を招く可能性があります。また融資業務においても、審査内容や契約書類の確認ミスは許されません。
仕事をミスなく正確にこなすのが得意な人は、将来的に銀行業界で活躍する素質があるといえます。
- 昔からケアレスミスが多いです。ミスなく仕事をこなすコツなどはありますか?
どんなときにどんなミスをするのか振り返って分析しよう
ミスをしてしまうときの自分の傾向はわかっていますか。たとえば、勘違い、思い込み、うっかり、意味の理解不足、情報の斜め読みなどいろいろな原因が考えられます。
自分ではよくわからない場合は、周囲の人からフィードバックをもらうと良いです。
たとえば「グループLINEでみんなに伝えたのに、一人だけ把握していなかった」「一回目のお店と違うのに、一人だけ一回目のお店に行った」など、ミスをしたときの具体的な状況をフィードバックしてもらいましょう。
それをもとになぜそうしてしまったのかを自己分析して、直していってください。
④論理的思考ができる
銀行員は金融取引や商品設計などの業務を進める中で、顧客や経営層に内容を説明する機会があります。サービスの内容を正しく伝えて理解してもらうには、筋道立てて話を展開する論理的思考力が大切です。
たとえば顧客からの投資相談に応じる際、なぜその金融商品が相手に最適なのかを論理的に説明しなければなりません。また新しい金融商品の開発時にも、ターゲット層の分析や市場のニーズの洞察などで論理的思考力が求められる場面は多いです。
相手の目線に合わせ、物事を論理的に考えて伝えられる人は、銀行の仕事に向いているといえるでしょう。
銀行業界の仕事に必要な論理的思考力を養うには、普段から自分の意見や考えを伝えるときに、以下の2つを意識してみましょう。
①なぜこの意見・考えをすすめるのかの根拠を提示する
②この意見・考えが実現したらどんな良いことが期待できるかまでをイメージする
まず①で理性で納得してもらい、②で感情を刺激して納得してもらうイメージでやってみてください。
⑤コミュニケーション能力が高い
銀行の業務の中でかかわる顧客は、それぞれ異なるバックグラウンドやニーズを持っています。顧客が求めていることや悩みを引き出し、適切なサービスを提案するためには、高いコミュニケーション能力が求められます。
たとえば資産運用の相談を受けた際、顧客の現在の資産状況や将来的な目標などを的確にヒアリングしなければなりません。また新しいサービスの企画や他部署とのプロジェクトにおいても、共通の目標を達成するためのコミュニケーションが必要です。
人の話を聞いたり適切な解決策を提示するといったコミュニケーションが好きな人は、銀行の業務に向いています。
コミュニケーション能力は意味が広い言葉なので、銀行で活かせるコミュニケーション能力として適切に言い換えるのがおすすめです。以下の記事を参考に、ぴったりな言葉を見つけましょう。
コミュニケーション能力は12個の言い換えで勝負しよう! 例文つき
⑥粘り強さがある
銀行の業務は専門的なスキルが求められる分、難易度が高いといえます。時には困難な状況に直面することもあるでしょう。その際に諦めず努力し続ける粘り強さがある人は、銀行への就職に向いています。
たとえば、新しい金融商品の提案や大規模なプロジェクトに携わる際、当初の計画通りに進まないケースや予期せぬ問題が発生することがあります。
そんな状況でも挫折せずに解決策を模索し続け、時には周囲の協力も得ながら目標達成を目指すための粘り強さがあれば、成果を上げられるでしょう。
また、顧客との長期的な信頼関係の構築にも、丁寧なフォローアップや細やかなサポートといった粘り強さが求められます。学生生活を振り返り、一つの物事を継続してきた経験があるようなら、銀行に就職しても仕事をこなしていけるでしょう。
粘り強さをアピールするときに気を付けてほしいポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
例文11選|粘り強い性格の自己PRで知らないと損する注意点
準備が肝心! 銀行への内定率をアップさせる方法
準備が肝心! 銀行への内定率をアップさせる方法
- 銀行ごとに企業研究し理解を深める
- 業務に活かせる資格を取得する
- インターンシップに参加する
銀行業界への就職は多くの学生から注目されており、競争率は高い傾向にあります。ほかの学生と差をつけ、自身の魅力をしっかりとアピールするためには事前準備が必要です。
以下では、銀行への内定率をアップさせるための具体的な方法を3つ解説します。銀行への就職を検討している人は今日から実践してみてください。
銀行ごとに企業研究し理解を深める
銀行は、それぞれ独自の経営ビジョンや目指す方向性を持っています。その違いを理解しておくと、採用選考を有利に進められます。特に銀行業界は、各銀行で業務内容が似通っているため、志望先の銀行の特徴や理念を深く把握しておくなど、徹底的な企業研究が大切です。
銀行が目指すビジョンや取り組むプロジェクト、直面している課題などを把握するためにも、就職を希望する銀行のホームページ(HP)や採用サイトを熟読しておきましょう。
各銀行が抱える課題をどのように解決できるのかを言語化しておけば、書類選考や面接の場で自身の意欲や適性をアピールできます。
たとえば、ある銀行がDX推進のビジョンを掲げていた場合、事前にDXの知識や自身の考えを整理しておくと良いでしょう。そして、銀行が思い描くビジョンの実現に「なぜ」「どのように」貢献したいのかを伝えることが大切です。
銀行ごとの企業研究を徹底し、自分事で銀行の課題解決の方法を考えることでほかの学生と差をつけられますよ。
企業研究で企業ごとの違いを把握するには、以下の項目を調べましょう。
①資本金、②従業員数、③企業理念、④事業方針・事業展開、⑤プレスリリース、⑥採用情報(新卒、既卒、採用人数)などがおもな項目です。
可能であれば、転勤や研修の有無、制度などもHPで調べてまとめておくと良いですね。
企業研究で集めた情報を整理する際は、企業研究ノートを作成するのがおすすめです。作り方は以下の記事を参考にしてください。
作り方例4選|企業研究ノートのまとめ方をイラスト付きで解説!
企業研究などで仕事の理解を深めたら、その内容を志望動機にも反映させましょう。銀行の志望動機の書き方は以下の記事で解説しています。
例文14選|銀行の志望動機がスラスラ書ける簡単6ステップ
業務に活かせる資格を取得する
金融業界と関連性の強い資格を取得しておくことで、銀行に就職し将来的に活躍したいという意欲・熱意をアピールできます。以下に、銀行への就職に役立つおすすめの資格を記載しました。
銀行への就職に役立つ資格
- 日商簿記検定
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 宅地建物取引士(宅建)
- TOEICなどの英語試験
- 普通自動車免許
営業周りをする部署に配属された場合、移動は基本的に車のケースが多いです。時間のある大学生のうちに、普通自動車免許を取得しておくと良いでしょう。
日商簿記検定やFPの資格は、金融に関する豊富な知識を持っていることを証明できる資格です。アピールするなら最低でも3級、できれば2級の取得を目指しましょう。
宅建は、不動産ローン関連の業務知識を有することを示す資格です。融資や資産運用にかかわる業務に活用できるでしょう。ただし難易度が高いため、勉強中であることを伝えるだけでもアピールにつながります。
海外との取引をおこなう場合には英語力も求められます。TOEICなどで英語能力をアピールできると有利です。TOEICの場合は一般的に700点以上、メガバンクの場合は800〜900点を目指しましょう。
金融業界で有利にはたらきやすい資格は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントとともに紹介しています。
就職全般でおすすめの資格は以下の記事で紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説
- 簿記3級しか持っていないのですが、アピール材料になるでしょうか? 3級ならかえって伝えないほうが良いでしょうか?
3級でも伝え方次第でアピールになる!
保有資格は、たとえ3級以下でもすべて伝えましょう。難易度が高くなくても、取得するための努力がアピール材料になり、評価する面接官もいます。
「3級だから伝えるまでもない」と考えるより、「今は3級ですが、今後2級、1級取得を目指します」とすることで伝わる熱意もあると考えれば、より良いアピール材料にもなるでしょう。
企業目線で考えると、簿記資格を持っていなくても採用したいと思う人はいます。銀行の業務に簿記資格は必須ではないため、簿記資格は「ないよりはあった方が良い」程度のものです。
3級でも持っていないよりは良いのです。もっと自分に自信を持ちましょう。
インターンシップに参加する
インターンシップには、以下の4つの種類があります。
インターンシップの4つの種類
- 高度専門型インターンシップ
- 汎用的能力・専門活用型インターンシップ
- キャリア教育
- オープン・カンパニー
2023年4月以降、「高度専門型インターンシップ」と「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」は、採用に直結するインターンとして扱えるようになりました。内定率を高めるためにはこれらのインターンに参加し、熱意や能力をアピールできると良いでしょう。
採用直結型インターンでなくても、キャリア教育型のインターンやオープン・カンパニーを通して、その銀行での働き方や職場の雰囲気を知っておくことも大切です。
職場の雰囲気や先輩のキャリアが自身の理想とマッチしていると感じられれば、積極的に就職を検討しても良いでしょう。
以下は、2023年時点で三菱UFJ銀行で開催しているインターンのコース一覧です。
三菱UFJ銀行で開催しているインターンの例
- 法人営業
- カスタマーサービス
- トレードビジネス
- フィナンシャル・エンジニアリング
- システム・デジタル
- サイバーセキュリティ
- 戦略財務会計
- ウェルスマネジメント
- グローバル・マーケッツ
三菱UFJ銀行は、9つの部門ごとにインターンをおこなっています。ほかの銀行でも総合職や専門職のように、職種別でインターンを開いているケースが多いので、自身の興味に合わせて応募してみてください。
銀行への就職を叶えたいなら、できるだけ多くの銀行のインターンに参加しておくと良いでしょう。自身の肌に合う銀行を見つけられれば、入社後のギャップを減らし、理想のキャリアに一歩近付けますよ。
沖 英子
プロフィールインターンには何社参加すればOKという正解はないので、インターンに参加する目的を明確にし、その目的に適したインターンに参加しましょう。
2023年4月のインターンルール改訂以降、業務体験型と課題解決型のインターンは採用に直結できることになりました。そのためよく比較検討して、先を見越して選択してください。
インターンのメリットや選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
インターンは就活に不可欠? 8のメリットと選び方を詳細解説
インターンに応募する際は、あらかじめ目的をはっきりさせておくことが重要です。応募書類の作り方のコツについては、以下の記事を参照してください。
インターンシップの目的とは? 応募書類の作成4ステップと例文も解説
銀行への就職は魅力多数! 早めの準備で内定率をアップさせよう
銀行業界は成長傾向にあり、学生からも一定の人気があります。ただし銀行の就職と一口にいっても、総合職・専門職・一般職と業務内容は多岐にわたります。
今回の記事を参考にしながら、まずは銀行の中でもどういった種類の仕事に携わりたいのか考えてみてください。
また銀行への就職には、安定した収入が得られたり専門スキルを習得できるといったメリットがあります。銀行員としての働き方やキャリアに魅力を感じる人は、内定率をアップさせるためにできるだけ早く準備を始めましょう。
特に、銀行ごとの企業研究や資格の取得は重要なポイントです。できればインターンにも応募・参加し、各銀行の特徴や雰囲気を知っておくと良いでしょう。
就職後に後悔しないためにも、今回解説した内容を参考にして、本当に銀行に就職したいのか再度考えてみてくださいね。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見るこれからの銀行は社会の変化に適応していくことが求められる
従来、「銀行=安定業界」と捉えられてきました。今後も銀行が経済を動かす中枢の役割を担うことは変わりませんが、その安定は社会の変化に適応し続けることで実現するということを理解する必要があります。
銀行への就職を考えているなら、大手コンサルタント会社PwCがまとめたDX/ニューノーマル時代における銀行業界の将来展望はぜひ目を通してください。銀行業界の状況と変化、ビジネスモデル変革のポイント、変革に向けた課題などについて図を用いて解説しています。
銀行就職を目指すなら「入行してから何をしたいか」が重要
ここまで解説してきたような変化を考えると、「銀行に入行して何をしたいのか」が改めて問われることになるでしょう。
銀行の機能は4つです。「お金を預かる」「お金を運用する」「お金を貸し出す」「お金を決済する」。どの銀行でもこの4つの機能を果たすことは同じですが、その先に目指すところが異なります。
それが都市銀行・信託銀行・地方銀行の違いであり、さらには各行の経営理念やミッション・ビジョン・バリューの違いです。それぞれの銀行がやろうとしていることを、しっかり理解しましょう。
キャッシュレス化やネットバンキングの普及で、銀行窓口やATMは減少する傾向にあります。一般的な銀行のイメージである窓口やATMがなくなっても、銀行と銀行員に求められるものは何でしょうか。それはこれまでの銀行員とは異なる資質や能力かもしれません。
ぜひ銀行を取り巻く環境変化をしっかり押さえて、やりたいことを持って挑戦してください。応援しています。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/大学キャリア・アドバイザー
Hideko Oki〇大学卒業後、都市銀行のマーケット部門で勤務。その後夫の海外赴任に伴って台湾へ。帰国後は外国人留学生の支援に従事。また複数大学のキャリアカウンセラー及びセミナー講師としても活動
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
プロフィール詳細