本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
ブレインパッドはデータ分析の分野に強みを持つリーディングカンパニーですが、「業績が下がった」「離職者が多い」といった評判も目にします。
この記事では、ブレインパッドのネガティブな噂について、実態を読み解いていきます。また、就活の専門家であるキャリアコンサルタントから、企業の情報を正しくとらえる方法も伝授します。
1分でわかるブレインパッド
ブレインパッドとは
2004年に設立されたデータ活用のリーディングカンパニー。「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をパーパスに掲げる。データサイエンティストなどの専門人材による「プロフェッショナルサービス事業」と、SaaSプロダクトなどを提供する「プロダクト事業」の2軸を展開し、企業の経営改善やDX推進を支援。
| 会社名 | 株式会社ブレインパッド(BrainPad Inc.) |
| 従業員数(連結) | 589名(2025年6月30日現在) |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| 主な事業 | ・プロフェッショナルサービス事業(データ分析、システム開発を含むコンサルティング、人的支援を通じたデータ活用支援) ・プロダクト事業(自社製および他社製プロダクトの提供を通じたデータ活用支援) |
| 売上高(連結) | 117億7,225万4,000円(前年同期比11.5%増)(2025年6月期) |
| 営業利益(同) | 15億7,574万9,000円(同16.8%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.brainpad.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.brainpad.co.jp/recruit/entry/new/ |
「ブレインパッドがやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「ブレインパッドがやばい」と言われる4つの理由
ブレインパッドが「やばい」と言われる4つの理由についてのとらえ方、データを用いた解説をしていきます。実際にIT業界で働いた経験のあるキャリアコンサルタントのアドバイスも併せて参考にしてみてください。
①業績が落ち込んだから
自分が行きたいと思う企業の業績が下がっていると、将来性に不安を感じてしまうものです。
確かにブレインパッドでは、2015年6月期の損失額が2,992万4,000円(※1)となっており、売上高が下がって赤字計上をしたタイミングがありました。また、直近では2026年6月期に2億7,057万5,000円(※2)の純損失を記録しています。
有価証券報告書によると、前者は「アナリティクス事業が想定よりも伸びなかったこと」「人材採用の拡大による人材採用費の増加」、後者は「公開買付関連費用の特別損失計上」や「新規連結子会社の先行投資等」という一時的な損失であることが説明されています。
加えて、それ以外の年においては、ブレインパッドは黒字経営を継続しているため、一時的な赤字だけで「やばい会社」とは判断できません。売上の下がった原因と、普段の経営状況を併せて確認するようにしましょう。
※1 ブレインパッド「2015年6月期 有価証券報告書」
※2 ブレインパッド「2026年6月期 半期報告書」
プロのアドバイザーはこう分析!既存の技術力に富士通の土台が加わった
結論から言えば、一時的な赤字や受注遅延は、直ちに企業の長期的価値を損なうものではないと考えます。
むしろ注目すべきは、データ活用の重要性が高まるなかで、同社が国内有数のデータサイエンス企業として一定の技術的ポジションを確立している点です。
2026年3月には富士通の完全子会社となり上場を廃止しました。これは短期的な業績悪化による後退ではなく、大手である富士通グループのリソースを活用した事業基盤強化ととらえて良いでしょう。
富士通の広範な顧客基盤と、ブレインパッドのデータ分析力が組み合わさります。より大規模なDX案件への関与機会が広がる可能性が出てきます。
外部要因によって安定性が崩れる可能性は低い
一方で、ブレインパッド社は完全にストック型のSaaS企業へ移行しているわけではないようです。依然として案件ベースの収益構造も残るため、外部環境の変化が業績の不安定さにつながるリスクがあります。
ただ、現時点で今後の安定性を過度に不安視する必要はなく、就職先として大きな懸念がある状況ではないでしょう。
➁上場が廃止されたから
企業を選ぶ際に、上場の有無を気にしている人もいるのではないでしょうか。
ブレインパッドは2026年3月17日に上場が廃止となりました(※1)。背景として、富士通がData&AI事業強化のためにブレインパッドを完全子会社化する運びとなったことが挙げられます(※2)。
企業側の発表では、ブレインパッドのブランドは維持しつつ、サービス提供は継続していく方針を示しています。
上場が廃止されてからはまだ日が浅いため、今後の事業展開については、企業のホームページ(HP)などを通して動向をチェックしておくと良いでしょう。
※1 日本取引所グループ マーケットニュース
※2 富士通 プレスリリース
プロのアドバイザーはこう分析!上場廃止はより強固な企業に進化するための準備
上場廃止というニュースを聞くと「会社が危ないのかな」と不安になりますよね。
でも、安心してください。今回の件は、富士通による完全子会社化(TOB)に伴う、さらなる成長に向けた前向きなステップです。
具体的には、ブレインパッドの強みであるデータ分析力に、富士通の巨大な顧客基盤やグローバルネットワークが組み合わさります。たとえば、これまでは国内中心だったサービスが、富士通の力を借りて一気に世界中へ広がる可能性があります。
新卒の人たちにとっては、より大規模で社会的なインパクトの大きいプロジェクトに、安定した基盤の上で挑戦できるチャンスが増えるということです。
現在の就活市場は激しく変化している
現在の就活市場では、大手企業がデータ専門集団を自社に取り込む「内製化」の動きが加速しています。
これは皆さんのような専門スキルを身につけていく人材の価値が、かつてないほど高まっている証拠です。
変化の激しい時期だからこそ、体制変更を「リスク」ではなく「成長の加速器」ととらえてみてください。
➂離職者が多いから
ブレインパッドについて調べると、離職者が多いという評判を目にします。
実態としては、2024年度の有価証券報告書(※)に、一時的に退職者が増加したことが述べられています。これは会社の体制変更やマネジメント方針の変更によるものと説明されており、業績悪化や不祥事などの極度にマイナスな理由で退職する人が増えたのではないことがわかります。
そして、企業は退職者の増加に対して環境整備や上司との対話を増やすことなど、改善策を発表しています。
退職を防ぐ対策の事例
- 従業員がやりがい・働きがいを感じられる魅力的な業務環境の構築
- キャリアプランや報酬体系の整備・改善と上司・部下における対話の促進 ほか
離職者が増えた際は、決して企業の業績悪化や不祥事といった悪い理由だけではないことを押さえておきましょう。
プロのアドバイザーはこう分析!ブレインパッドの人材は市場価値が高いと考えられる
ブレインパッドは、データ分析の先駆者的な会社であり、AIというキーワードよりも少し前から、「ビッグデータ解析、データアナリティクス」というエリアで早くから実績や経験値を貯めている会社です。
ゆえに、現在のIT人財の奪い合いのなかには、当然、データアナリストも含まれており、かなり高額な年収提示をする会社もあるようです。
そういった会社のオファーを受けて、新しい環境にチャレンジする機会を求めて、ブレインパッドから離職者が出ていた可能性はありますね。
直近の体制変更が離職者対策になる可能性がある
しかし、富士通によるTOBで、ブレインパッドにとっても、新たなフィールドが広がることと、大手により安定性が浮上することが想定されます。
一時的な高額オファーではなく、企業としての安定性とデータ分析のフィールドのすそ野(業務環境)が広がることに価値を見出して、離職率が抑えられる可能性が出てきたと見ています。
④高度な技術力が求められるから
情報通信業界ではITスキルが必要とされますが、ブレインパッドでも高いレベルの能力が求められます。
ブレインパッドは人工知能(AI)が流行する以前、2004年の創業からデータ分析を主軸に事業を展開し、国内トップクラスの技術力やノウハウを培ってきました。現在では、その高い技術力を活かして複数のプロダクトを自社開発しています(※1)。
ブレインパッドの自社開発
- Rtoaster:あらゆる顧客データを統合・分析し、高度なアルゴリズム・多彩なアクション機能により、精度の高いパーソナライズを実現するトータルソリューション。
- Ligla:顧客データと機械学習アルゴリズムを用いた配信シナリオ設計で、パーソナライズされたLINEコミュニケーションを自動化するマーケティングオートメーション。
- Conomi:収集・蓄積したデータを活用して、独自のアルゴリズムでヒト・モノを複合的にマッチングでき、組み込み先や利用データを選ばない柔軟なマッチングエンジン。
ただ、募集要項には必須となるスキルの明記はありません。その代わり、会社ではITスキル獲得のための補助制度が豊富にあるため、働きながら自主的に学習をして、最新の技術についていく姿勢を持っておきましょう(※2)。
ブレインパッドのスキルアップの補助
- 年間12万円までのスキルアップ補助金
- 年300回の社内勉強会
- 書籍購入費用を全額補助
※1 ブレインパッド 事業を知る
※2 ブレインパッド 働く環境
アドバイザーからワンポイントアドバイス入社時に求められるのは高度な技術力はではない
「高いスキルが必要」と聞くと、身構えてしまうかもしれません。
しかし、新卒採用においては、入社時点で完成された技術力よりも、「論理的思考力」と「学習への意欲」が重視される傾向があります。
実際の選考では、Python、SQL、Rなどの習熟度そのものより、説明できる力が問われます。「なぜその結論に至ったのか」を言語化できるかどうかです。未経験での入社事例もあり、基礎から実務へと段階的に成長できるよう、研修や勉強会などの環境は整っています。
技術が進化するスピードについて行く自主性を持とう
一方で、AI・データ分析領域は技術進化が非常に速い世界です。研修を受け身で待つだけでは十分に対応しきれないでしょう。自ら必要な知識を積極的に、かつ継続的に学び続ける姿勢が求められます。
特に入社後は、与えられた業務をこなすだけでなく、業務の背景を理解し改善につなげる視点も重要になります。
明確な必須スキルは設定されていないものの、主体的に学び試行錯誤できるかどうかが、実務適応の分かれ目になるといえるでしょう。
一時的な状態だけで企業は判断できない
ブレインパッドの業績が落ちたり、離職者が増えたりしたことは事実ではあるものの、それは一時的なものだということがわかりました。
企業のマイナスな情報を見たときには、公式に出ているデータをもとに正しく読み解くことで、企業の実態をとらえましょう。
アドバイザーからワンポイントアドバイス企業との適性は3つの観点で判断できる
ブレインパッドへの挑戦、素晴らしいですね。ミスマッチを防ぐために抑えておくべき3つの視点をお伝えします。
①「データをビジネス価値に変える」強い意志
同社は単なる分析にとどまらず、企業の経営課題を特定・解決することをミッションとしています。研究者的な「分析そのものへの興味」が強すぎると、実際のビジネス現場での課題解決プロセスにギャップを感じるかもしれません。
②組織の変革期を楽しむ姿勢
現在は富士通による完全子会社化の過程にあり、異なる組織文化が融合していく真っ最中です。完成された体制を求めるのではなく、むしろ新しい文化を一緒に作っていくような柔軟性が求められます。
③「どの領域で輝きたいか」の明確化
顧客の課題に向き合うプロフェッショナルサービスと、自社SaaSを育てるプロダクトサービスでは、役割が大きく異なります。自分が「誰の」「何を」解決したいのかを、各募集コースの詳細から深く掘り下げることが不可欠です。
変化の激しい今だからこそ得られる経験は、将来の大きな武器になります。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Gaku Baba〇製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事する傍ら、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。幼児教育事業も展開するなど、幅広い年代のキャリア支援に携わる
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Norihiro Takahashi〇過去には外資企業、現在も金融大手の人事系部門管理職で年間100名超のキャリア面談実績がある。ベンチャー人事顧問と大学キャリア講義も担当。
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