本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「矢崎総業はやばい」
世界にも拠点を設けて事業を伸ばしている矢崎総業ですが、「給与が低い」という噂や、「年功序列の社風が残っている」という懸念を抱く人がいるようです。果たして、そのような話はすべてが本当なのでしょうか。
そこで、矢崎総業がやばいと言われることについて、この記事で詳しく解説をしています。製造業界での経験があるキャリアコンサルタントからも、正しい情報の読み解き方を紹介しているので、最後まで読んでみてください。
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1分でわかる矢崎総業はやばい
矢崎総業とは
非上場ながら世界46の国と地域に展開し、グローバルグループ全体で従業員約24万人、グループ売上高2兆円超を誇る巨大グローバル企業。主力製品である自動車用ワイヤーハーネスなどの自動車部品が売り上げの大半を占めるほか、電線・ガス機器などの生活環境事業、介護や農業といった地域密着事業も展開。
「世界とともにある企業」「社会から必要とされる企業」を社是に掲げ、人を大切にして成果を適正に評価する社風が特徴。
| 会社名 | 矢崎総業株式会社 |
| 従業員数(連結) | 17,873名 |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| おもな事業 | ・自動車事業:主力製品であるワイヤーハーネスを中心に、コネクタ・端子・自動車用電線、メータ、HMI、計装などを手掛ける。 ・生活環境事業:電線やガス機器のほか、カーボンニュートラル対応機器などを扱う。 ・地域密着事業:介護事業、農業・食品事業、環境リサイクル事業などをおこなう。 |
| 売上高(連結) | 2兆6,096億円(2025年度) |
| 企業HP | https://www.yazaki-group.com/ |
| 新卒採用HP | https://www.yazaki-group.com/recruit/newgrads/index.html |
「矢崎総業はやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「矢崎総業がやばい」と言われる4つの理由
矢崎総業がやばいと言われる理由を4つにまとめています。キャリアコンサルタントから、それぞれの理由について深掘りした解説もしているので、読み込んで企業の実態を把握していきましょう。
①給与がそこまで高くないから
矢崎総業はグループ全体で24万人を超える従業員を抱えており、2兆6,096億円の売り上げを誇る大規模な企業です。しかし、その規模感の割には給与がそこまで高くないという噂があるようです。
年収の額については公表されていませんが、参考として口コミサイト等ではおよそ550万円前後という意見が多いようです。製造業界の平均が569.5万円(※1)のため、確かに事業規模からするとそこまで高水準ではないととらえることもできます。
同規模のグローバル展開している自動車部品のメーカーを例に挙げると、デンソーが約915.2万(※3)、アイシンが約777.2万(※4)となっており、一定数、給与額に満足のいかない人もいるかもしれません。
その反面、同社は退職金制度や確定給付型年金制度、任意の確定拠出型年金制度を設けています。さらに、社員への独身寮、単身寮、社宅の提供や食堂の整備などもおこなっており、給与以外の豊富な福利厚生にも着目してみましょう(※2)。
※1 国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
※2 YAZAKI GROUP CSR REPORT 2022
※3 デンソー 有価証券報告書 第103期
※4 アイシン 第103期 有価証券報告書
プロのアドバイザーはこう分析!年収の高さは断言はできない! 条件によって変わることを押さえよう
矢崎総業の年収については、公表値がない以上、事業規模だけを見て「低い」と断定するのは早いかなと思います。
口コミでは製造業平均と大きく変わらない水準に見えますが、平均はあくまで平均であり、年齢構成や職種、海外勤務の有無でも実態は変わります。
年収だけでなく関連する待遇を多角的に見て判断しよう
就活生としては、年収の額面だけでなく、初任給、昇給のペース、住宅関連支援、退職金、企業年金、寮社宅などを含めた総合的な待遇で見たほうが実態に近づきます。
特に矢崎総業は、退職金制度、確定給付企業年金、確定拠出年金、寮・社宅、食堂整備など福利厚生が厚く、可処分感覚では補いやすい面があります。
規模感からの期待値や製造業平均との比較だけで判断せず、「長く働いたときにどんな生活設計ができるか」という中長期的・総合的な観点で見ておくことが大切です。
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②年功序列の文化が残っているから
矢崎総業は創業から80年以上の歴史がある老舗企業のため、社風が年功序列という意見があるようです。
実は企業側も評価制度については課題として認識したうえで、変革に向けて動いているようです。従来の職能資格制度から、より公正で働きがいのある人事制度を目指して、「がんばった人が報われる人事制度」を導入し、問題解決に取り組んでいます(※1)。
がんばった人が報われる人事制度
- 「目標管理評価」と「役割行動評価」の2つによる人事評価
- 期の最初に上司と部下で年間目標や重点取り組み項目を設定し、半年に1度評価
また、同社の社員の平均年齢は42.4歳(※2)と、製造業界の平均43.8歳(※3)と大きな差はありません。中堅層が厚く長期就業者が多い一方で、人事評価制度は実力主義へと移行中のようです。
※1 矢崎総業 Social & Environmental Report 社会環境報告書 2014
※2 矢崎総業 YAZAKI GROUP SUSTAINABILITY REPORT 2025
※3 厚労省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
プロのアドバイザーはこう分析!企業文化は長い年月で積み上げられた基盤である
年功序列の文化は、決して過去のものと割り切れるわけではなく、現在も組織のベースとして存在しているととらえるのが自然です。
創業80年を超える歴史や非上場という経営形態、そして主力事業が自動車メーカーとの長期的な信頼関係で成り立つワイヤーハーネスである以上、職人気質の社風を急に変化させるのは難しいでしょう。
年齢は関係ない! 安定した社風と実力主義が共存する過渡期のリアル
しかし、これは若手が活躍できないという意味ではありません。同社が導入した目標管理や役割行動の評価制度は、年功的な安心感を土台としつつも、自発的に成果を追う人には正当評価をおこなうための仕組みです。
つまり、完全に実力主義へ生まれ変わったわけではなく、古き良き安定性と、頑張りが報われる新制度が混在している過渡期と言えます。保守的な側面が残る部署がある可能性は否定できません。
しかし、裏を返せば、安定した人材育成や長期的な視点で仕事に取り組める環境ともとらえられます。変化の激しい時代に新技術や制度を取り入れながらも、伝統的な手法も守り続ける姿勢が支えてきたと言えるでしょう。
③過去に何度か不祥事があったから
矢崎総業について調べると、「独占禁止法違反」「340億円もの申告漏れ」といったワードが関連して出てきますが、これがやばいと言われる理由の一つとして挙げられるようです。
独占禁止法違反となった事例として、2009年12月住宅用電線の取引き、2010年2月に自動車用組電線の取引きがあり、公正取引委員会から指摘を受けています(※1)。併せて、同時期に米国司法省とカナダの州裁判所からそれぞれ罰金を言い渡されています(※2)。
また、2024年12月に340億円の申告漏れがあったという報道がされたようです(※3)。こちらについては企業側が申告内容に相違があったとしており、東京国税局の指摘にしたがい、すでに追徴徴税は納めていると発表しています。
矢崎総業の過去のトラブル
- 2009年12月:住宅用電線の取引きについて公正取引委員会から指摘を受ける
- 2010年2月:自動車用組電線の取引きについて公正取引委員会から指摘を受ける
- 2012年1月:自動車用ワイヤーハーネスの取引について米国司法省から指摘および課徴金納付の命令を受ける
- 2013年4月:自動車用ワイヤーハーネスの取引きについてオンタリオ州裁判所から罰金の命令を受ける
ただし、企業も相談窓口やコンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス・チェックシートの定期点検、風化防止教育の実施を通して、再発防止やコンプライアンス強化に努めています(※2)(※4)(※5)。不祥事が起きたことだけでなく、その後の対応も含めて企業を判断すると良いでしょう。
※1 矢崎総業 Social & Environmental Report 社会環境報告書 2010
※2 矢崎総業 Social & Environmental Report 社会環境報告書 2012
※3 矢崎総業 当社の申告漏れに関する報道について
※4 矢崎総業 YAZAKI CSR REPORT 2018
※5 矢崎総業 YAZAKI GROUP CSR REPORT 2021
プロのアドバイザーならこうアドバイス!「不祥事=やばい」で終わらせない! 企業の回復力に着目しよう
矢崎総業の不祥事については、過去に一定の影響があったと考えるほうが自然かと思います。
とくに独占禁止法違反のような事案は、取引先や社会からの信頼に深い傷をつけるため、当時の評価や企業イメージにはマイナスに働いたと思われます。
ただ、就活生に大切にしてほしいことは、不祥事があったかだけで企業を判断しないことです。
実際には、その後も同社は事業を継続し、売り上げや利益を確保しながら、相談窓口や委員会の設置、教育の実施など再発防止にも取り組んできています。
企業はあらゆる角度から見ることで本当の姿が見える
つまり、市場評価や経営への影響は一時的にはあったとしても、それで企業の競争力が決定的に失われたとまでは言えない状態でもあると思います。
企業は不祥事の有無だけでなく、その後の立て直し方や現在の姿、そして今後のビジョンまで含めて、多面的・総合的に見ていくことが大切です。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
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自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④配属先により差があるから
配属される場所によって、上司との相性が悪かったり、パワハラがあったりといった噂があるようです。
また、募集要項を確認すると、勤務地は配属先によって決まるために指定ができないという記載があり(※1)、配属後にギャップを感じて差があると考える原因になっていることも想定されます。
ただし、企業が配属の決め方について見ているポイントを紹介しています。学校での学習内容や、研修中の様子などから適性を判断するとされているため、納得のいく配属を叶えるために意識しておくと良いでしょう。また、同時に配属先の担当者や内情についてもヒアリングしておくと、よりギャップを埋めることができるでしょう。
配属先を決めるための要素(※2)
- 職場のニーズと学習内容の一致
- 面接時の本人の希望
- 面接時、面接官から見た適性職種
- 適性検査の結果
- 研修中に行う希望調査の結果(第三希望まで取ります)
- 研修中の態度などを担当者が見た感想
※1 求める人物像・募集要項
※2 採用・人事に関するお問い合わせ
アドバイザーのリアル・アドバイス!配属先の差の正体! 拠点ごとの役割や業務から解き明かす
配属先による差を正確にとらえるためには、「各拠点が担う機能(役割)」と「担当する顧客に紐づくグローバルな業務サイクル」に着目する必要があります。
同社は世界46の国と地域に展開しており、国内だけでも完成車メーカーに近接した営業・開発拠点、静岡県を中心とする統括・生産管理拠点、各地方の工場まで役割が分かれています。
そのため、どの拠点に配属されるかによって業務内容や身に付くスキルに違いが生じる構造です。
国内と海外との差も視野に入れて理想のキャリアを歩めるか確かめよう
さらに、現在約550人の海外出向者が活躍しており、部署によっては若手のうちから海外トレーニー制度や海外赴任の機会がある一方、国内拠点が中心となる部署もあるため、海外就業の可能性や頻度にも拠点・職種間で差が存在します。
単に配属リスクととらえるのではなく、拠点が担う具体的な機能や、将来的な海外赴任の可能性を含めたキャリアビジョンが自身の希望と合致しているかを事前に確認しておくことが大切です。
矢崎総業の今を見つめてやばいかどうかを判断しよう
噂はよくないものが目立ちやすく、また過去のものが今も語られることもあります。しかし、企業が今どのような状態なのかを判断することが大切です。企業から出されている公式な情報を正しく読み解くことで、実態を読み解きましょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!業界の変革期には仕事の様相も大きく変化する
矢崎総業を志望する就活生にまず確認しておいてほしいのは、自動車業界全体が大きな転換期にあるという点です。
同社の売り上げの大半を占めるワイヤーハーネスは、EV化が進むにつれて需要が変化していきます。EVは従来のガソリン車やディーゼル車に比べてワイヤーハーネスの使用量が大幅に増えます。
このような変化の時期には、急激な仕事の増加やグローバル化が進みます。海外拠点に関しては確認しておくべきでしょう。
競合との比較や製品への理解を通して企業の価値を知ろう
また、強力なライバル企業である住友電気工業との違いも把握しておきましょう。製品からはじめて、経営状況などの比較表を作ってみることをおすすめします。違いがわかれば製品へのアプローチ方法がわかってきます。
ワイヤーハーネスのような製品は単純なようですが、技術力が必要です。どのような製品なのか細かく調べておきましょう。
この製品のできる過程を知れば、その奥深さを知るはずです。良い意味でのやばい製品であることを理解できるはずです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント / システムエンジニア
Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている
プロフィール詳細2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC
Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済
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