旭化成はやばい? 年功序列や全国転勤など気になる点を専門家が徹底解析

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • 国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

    Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済

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  • キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

    Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう

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  • キャリアコンサルタント / システムエンジニア

    Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている

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本企画について

「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。

旭化成は2026年に創業から104年目を迎えた製造業界の大手企業です。しかし、「年功序列の社風が残る」「全国転勤がある」など、就職を検討している人にとっては気になるような噂があることも事実です。

真偽のわからない情報で「旭化成はやばい」と断定するのは早いです。そこで、製造業界に詳しいキャリアコンサルタントとともに、企業の実態を紐解いていきます。正式なデータをもとに正しく情報を理解していきましょう。

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1分でわかる旭化成

旭化成とは

旭化成は1922年に創業した100年以上の歴史を持つ企業。現在はおもに「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つの領域で事業を多角的に展開。

マテリアル領域では素材・化学の技術を活かした製品を幅広く製造し、住宅領域では「ヘーベルハウス」などの住宅・建材やサービスを提供。ヘルスケア領域では革新的な医薬品や医療機器を提供しており、世界の人々の命と暮らしに貢献。

会社名旭化成株式会社
従業員数(連結)50,352人
本社所在地東京都千代田区
おもな事業「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の3つの領域で事業を展開しています。
・ヘルスケア
“Improve and save patients’ lives”のミッションの下、アンメットニーズを満たす革新的な医薬や医療機器の提供で、人びとの命に貢献。
・住宅
高品質で耐久性に優れた住宅・建材や、住まいに関するさまざまなサービスの提供を通じ、安心で豊かな暮らしを実現。
・マテリアル
素材・化学の技術・知見を活かし、地球と人びとのより良い暮らしに貢献するサステナブルソリューションを提供。
売上高3兆745億500万円(前年同期比1.2%増)(2026年3月期)
経常利益2,304億1,900万円(同19.1%増)(同期間)
企業HPhttps://www.asahi-kasei.com/jp
新卒採用HPhttps://www.asahi-kasei-jobs.com/newgrads/recruit/guide.html
企業情報

「旭化成がやばい」と言われる3つの理由|プロが読み解く

旭化成がやばいと言われる理由について、キャリアコンサルタントからの解説を参考に読み進めてみてください。どのような根拠から噂が流れているのか、その真偽はどうなのかについて意識してみましょう。

①年功序列で保守的な社風だから

旭化成は設立から100年以上の歴史がある老舗企業であるため、昔ながらの年功序列で保守的な社風があると思われているようです。

同社は2025年度に人事制度を大幅に改定することが発表して、年功序列ではなく、より挑戦的な社風を強化することが述べています(※1)。そのなかで、新たなことへの挑戦や成果に応じた報酬をこれまで以上に得られる仕組みが設けられています

実際に複数の社員から、「若手にも裁量権がある」「挑戦をさせてもらえる」といった意見が挙がっており、旭化成は従来の社風から新たなステージへと移行している過渡期と言えるでしょう。

ITエンジニア データサイエンティスト

「前向きに手を挙げた社員に挑戦のチャンスをくれる文化がある。『やってみたい』と声を上げる人を、全力で後押ししてくれる会社なのだ。」(※2)

研究開発 プロセス開発

「若手にも大きな裁量が与えられ、自由度高く研究ができる会社だと聞き、“旭化成ならやりたいことができるはずだ”と感じたことが、入社を決めた一番の理由です」(※3)

※1 旭化成レポート2025
※2 社員紹介 ITエンジニア データサイエンティスト
※3 社員紹介 研究開発 プロセス開発

アドバイザーのリアル・アドバイス!人事トップが明かす変革期の旭化成で求められる人材像

国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

五十嵐 篤

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従来の社風からの変革期における人材の適性については、人事トップが明かす刷新の目的と求める人材像から実態を整理する必要があります。

日本経済新聞の最新インタビューにおいて、内炭広志執行役員人事部長は、新卒採用で重視して求める人材像として、自分の興味関心を突き詰めた人を挙げています。

さらに別のメディアインタビュー等でも同氏は、挑戦や成長への野心的な意欲を呼び戻す「A-Spirit」の掲示や、「終身成長」を促す仕組みの重要性を強調しています。

これらは2025年度からの人事制度刷新とも合致しており、指示を待つ受動的な姿勢ではなく独自の熱量を持って自律的に挑戦する人材が優遇される仕組みへと移行している事実を物語っています。

自発的か受動的かで企業との適性が大きく変わる

したがって、同社の安定した資本力をレバレッジに、自発的にプロジェクトや技術革新を主導したい人材には最適な環境と言えます。

その反面、昔ながらの大企業らしい一律の年次昇給や、受動的な安定を期待する人材にはギャップが生じる可能性に注目する視点が重要と考えられます。

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②配属先によって全国転勤があるから

旭化成は国内、海外問わずに拠点を設けているため、配属される部門によって自分の希望する勤務地とは異なる可能性があります(※1)。

配属先は面接や面談を通して希望と適性によって決まるようですが、業務のうえで必要とされた場合には転勤があることも述べられています(※2)。

旭化成の代表的な勤務地一覧

  • 国内:東京、大阪(大阪府)、名古屋(愛知県)、延岡(宮崎県)、富士(静岡県)、水島(岡山県)、川崎(神奈川県)、横浜(神奈川県)、鈴鹿(三重県)、守山(滋賀県)
  • 海外:上海、北京、台北、ソウル、バンコク、ムンバイ、ニューヨーク、デュッセルドルフ、シンガポールなど

しかし、同社には公募人事制度(※3)という社員自らの意思で部署異動ができる仕組みがあります。毎年数十名が利用しており、事業領域を超えた挑戦も積極的に推進されているため、決して配属や転勤について自分の思い通りにならないとは限りません。

転勤があることを「やばい」と考えるのではなく、自身のキャリアを考えたときに必要かどうかで判断するのが良いでしょう。

※1 旭化成 2027年度 新卒採用 募集要項
※2 旭化成グループキャリア採用サイト
※3 旭化成 第132期 有価証券報告書

アドバイザーのリアル・アドバイス!転勤しないと出世できないわけではない! 自発的なキャリア形成もできる

キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

谷所 健一郎

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旭化成は総合職の場合、転勤の可能性がある企業です。ただし、転勤を繰り返さなければ昇進できない企業ではなく、事業や職種、本人のキャリア志向によって状況は異なります。

同社は化学、住宅、ヘルスケアなど幅広い事業を展開し、全国および海外に拠点を持っています。そのため、キャリア形成の過程で異動や転勤を経験する機会はありますが、短期間で頻繁に勤務地が変わる企業とは言えません

また、旭化成には社内公募制度があり、自ら希望する部署や職種に挑戦できる環境も整っています。この制度を活用する社員もいて、会社主導の異動だけでなく、自らキャリアを切り拓く選択肢もあります。

場所にとらわれない評価軸! キャリアの主導権を自分で握るための方法

したがって、旭化成の転勤は、キャリアアップのために必ず繰り返すものというより、事業経験の幅を広げる機会の一つととらえるのが適切でしょう。

成長意欲の高い社員は転勤や異動を活用してキャリアの幅を広げられますが、それだけが評価や昇進の条件ではありません。

重要なのは、転勤の有無ではなく、自身がどのような専門性を身につけ、どのようなキャリアを築きたいのかを明確にすることです。

③過去最大の赤字となったから

旭化成は2023年3月期に919億4,800万円にのぼる、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています(※)。これが過去最大の赤字と言われているようです。

赤字の要因としては、2022年度の間に合計1,939億500万円もの減損損失を計上したこととされており、おもに買収したアメリカのPolypore社に関するのれんや顧客関連資産の減損が影響しています(※)。

のれん

M&A(買収や合併)をおこなった際に、買収した企業の純資産を上回る金額を支払った場合に、その差分のことを表す用語

しかし、同社は赤字計上後に事業の構造改革や撤退を進めることで、2024年3月期には438億円の黒字に回復しました(※)。そして、営業利益は6期ぶりに過去最高を更新する2,119億円を計上しており、2026年3月期には2,312億円と連続で増益を達成しています。

旭化成 第133期 有価証券報告書

アドバイザーのリアル・アドバイス!旭化成の業績が伸び続けると予想できる理由

キャリアコンサルタント / システムエンジニア

小峰 一朗

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旭化成は、今後も業績を伸ばしていける企業だと思います。

ただ、毎年確実に伸びていく会社というよりは、多角化された事業構造となっていることから、領域ごとの景気の変動や環境変化の影響を受けながら、全体として成長力を維持していく会社ととらえるほうが良いかもしれません。

表面的な数字に惑わされない! 一時的なマイナスよりリカバリー力を見よう

就活生として大切なのは、一時的な赤字や減損だけで中長期的な将来性を判断しないことです。実際、旭化成は赤字計上後に構造改革を進め、翌期には黒字回復と営業利益の過去最高更新につなげています。

将来性を見るときは、損失の有無よりも、そこから立て直せる力があるかどうかを見たほうが良いです。その意味でも、旭化成は事業の幅広さと立て直し力を持つ企業として評価できると思います。

多角化されている企業だからこそ、自分がどの事業でどのようなキャリアを築いていきたいかまで考えていくとより良いですね。

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旭化成の過去の噂と現在の状況を合わせて見てみよう

企業研究においては、過去と現在を分けてとらえることが重要です。過去のあったマイナスな事象と、そこから現在はどのような状況なのか、以前までの社風は今変わっているのかといった考え方です。

一時的な情報を切り取るのではなく、噂の根拠を知ったうえで幅広く企業を見ていくことで、実態を把握できるようになるでしょう。

アドバイザーからあなたにエール多角的な経営をする企業でミスマッチを防ぐ企業研究の極意

国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

五十嵐 篤

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入社後のミスマッチを防ぐためには、多角化された事業構造特有の力学と配属リスクを冷静に見極める必要があります。

同社はマテリアル、住宅、ヘルスケアという独立した3領域で事業を展開しており、公式の財務データが示す通り領域ごとの景気変動リスクを分散させています。

しかし、これは同時に、配属される場所によって社風、働き方、評価基準がまったく異なるギャップを孕んでいます。

たとえば、住宅分野(旭化成ホームズ)は5期連続最高業績を更新するなど国内の建築請負営業で高い成果が求められる環境である一方、他領域では長期的な研究開発やメーカーとしての堅実な運用が主軸となります。

ブランド名で選ばない! 自分軸で適性を判断しよう

就活生は、同社のブランドイメージだけで判断するのではなく、自身がどの業種で働きたいのか、どのような専門性を身につけたいのかという明確なキャリア軸を持ち、志望する企業の実態と照らし合わせる視点を持つことが重要です。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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