本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
日産自動車は日本国内でも有数の自動車メーカーですが、企業について調べてみると、「リストラ」「不祥事」といった話題がヒットし、「日産自動車はやばい」という噂が流れているようです。
しかし、噂がすべて正しいとは限りません。そこで、日産自動車がどのような企業であるか、客観的な視点で読み解いていきます。同社が属する製造業界で働いていたキャリアコンサルタントからも解説をしているので、併せて参考にしてみてください。
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1分でわかる日産自動車
日産自動車とは
1933年に設立された、神奈川県横浜市に本社を置く自動車メーカー。自動車や部品の製造・販売を主軸とし、物流や金融などのサービス事業もグローバルに展開。
「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」というコーポレートパーパスを掲げ、電気自動車(EV)などの電動化技術や自動運転技術の先駆者として業界を牽引。
また、カーボンニュートラルの達成と、自社の車がかかわる交通事故の死者数を実質ゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」の実現を目指し、持続可能な社会への貢献に注力。
| 会社名 | 日産自動車株式会社(Nissan Motor Co., Ltd.) |
| 従業員数(連結) | 120,079人(2026年3月期) |
| 本社所在地 | 神奈川県横浜市 |
| おもな事業 | 自動車の製造、販売および関連事業 |
| 売上高 | 12兆78億8,800万円(前年同期比4.9%減)(2026年3月期) |
| 経常利益 | 10億8,100万円(同99.5%減)(同期間) |
| 企業HP | https://www.nissan.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.nissanmotor.jobs/japan/NE/ |
「日産自動車がやばい」と言われる3つの理由|プロが読み解く
「日産自動車がやばい」と言われる3つの理由
日産自動車がやばいと言われる理由について紹介していきます。キャリアコンサルタントからも、正しい情報の読み取り方を説明しているので、企業研究の参考にしながら読み進めてみてください。
①リストラや工場の閉鎖があったから
2024年11月7日、日産自動車から生産能力を20%削減および、9,000人の人員削減が発表されました(※1)。また、過去には2022年度までに10%の生産能力の削減と、12,500人規模の人員削減を実施する予定が立てられていました(※2)。
さらに、2025年7月15日には、神奈川の追浜工場の生産を2027年度末に止めることを発表しており(※3)、過去にも複数の拠点での生産を中止しています。
ただし、上記の人員調整や拠点の閉鎖は経営再建計画の一環で、事業の安定化を目指すためのものです。現在は、業績を好転させる改革の最中であるため、今後の企業の動きも含めて見ておくのが良いでしょう。
※1 日産自動車 ニュースルーム 日産自動車、2024年度決算を発表
※2 日産自動車 ニュースルーム 日産自動車、2019年度第1四半期決算を発表
※3 日産自動車 ニュースルーム 日産自動車、追浜工場の車両生産を日産自動車九州に統合へ
アドバイザーのリアル・アドバイス!人員削減や工場閉鎖は必ずしもネガティブな出来事ではない
日産自動車の人員削減や工場閉鎖のニュースを見ると、「入社しても働く場所がなくなるのではないか」と不安に感じる就活生もいるでしょう。
結論から言えば、今後も事業環境の変化によって、人員配置の見直しや生産拠点の再編がおこなわれる可能性はあります。ただし、必ずしも企業の将来性が低いことを意味するものではありません。
自動車業界は、電動化や自動運転技術の進展、中国メーカーの台頭など、大きな変革期を迎えています。
そのため、生産体制や事業構造を見直し、競争力を高める企業は少なくありません。日産自動車の改革も、変化する市場に対応するための経営判断と言えます。
大手=安定とは限らない! 自らの学びがキャリアを左右する時代
一方で、就職先を選ぶ際には、「大手企業に入社すれば定年まで安泰」という考え方は見直す必要があります。市場環境の変化によって、担当する事業や仕事内容が変わり、新たなスキルを求められる可能性もあります。
日産自動車を志望する場合は、雇用の安定性だけでなく、電動化や新技術分野への取り組み、専門性を高められる環境があるかを確認することが大切です。
変化の大きい時代では、自ら学び成長し続ける力が長期的なキャリアの安定につながります。
まずはあなたが受けないほうがいい職業を確認してみよう
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②業績が振るわないから
日産自動車の業績を確認すると、売上収益はほとんど右肩上がりに成長しているものの、2020年度に4,487億円、2024年度に6,709億円と、当期純利益で大きな赤字を計上していることがわかります(※1)(※2)。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 78,626億円 | 84,246億円 | 105,967億円 | 126,857億円 | 126,332億円 |
| 当期純利益 | ▲4,487億円 | 2,155億円 | 2,219億円 | 4,266億円 | ▲6,709億円 |
企業側は利益が下がった原因を、半導体の供給不足やロシア・ウクライナ問題の影響と説明しています。さらに、為替変動に伴う原材料・エネルギー価格の高騰など、複数の要因が重なったと分析しています。(※3)。
同社は厳しい状況でも、経営再建計画であるRe:Nissanを策定し(※2)、抜本的な事業構造の改革をおこなっています。また、長期ビジョンであるNissan Ambition 2030を目標としながら、将来的な回復を目指していると言えます。
※1 日産自動車 ESGデータブック2023
※2 日産自動車 サステナビリティデータブック 2025
※3 日産自動車 ESGデータブック2023
プロのアドバイザーはこう分析!巨額赤字からのV字回復を見込む日産自動車の構造改革
市況変動による逆風が続く環境下で同社の中長期的な成長性を見極めるうえでは、足元の構造改革の進捗状況と次世代投資のバランスから構造をとらえる必要があります。
公表された連結決算を元にすると、2026年3月期は5,330億円の巨額の最終赤字を計上しており、経営はまさに正念場を迎えているのは事実です。
しかし、日本経済新聞の報道によれば、続く2027年3月期は構造改革費用の計上リスクが一巡します。併せて、大規模な購買コスト削減などの効果により、200億円の最終黒字へと一転して3期ぶりの黒字化を見込んでいます。
経営再建計画「Re:Nissan」に基づき、世界的な生産能力の適正化を急ぐ一方で、EVをはじめとする次世代の電動化・自動運転技術開発への投資を継続する姿勢が示されています。
短期的な成果だけではなく中長期的な視点で企業を見直してみよう
就活生は「巨額赤字」という結果の数字のみを断片的に受け取るのではなく、中長期的な環境の変化や多様な外部要因があることを意識する必要があります。
その環境においても、固定費削減による筋肉質化と新型車投入による販売回復への道筋が確実に機能しているか、実態を冷静に分析するスタンスが求められます。
③過去に不祥事があったから
日産自動車の不祥事というと、2017年に完成検査において不適切な取扱いがあったことや、2018年に元経営者らによる不正行為があったことなどが挙げられます。また、2021年には公正取引委員会から下請法に基づく勧告を受けています。
経営陣への過度な権限の集中を避けて、社内の意識改革やガバナンス改善などの再発防止に努めています。たとえば、2018年度にコンプライアンス総点検を実施し、2019年度から2020年度にかけて、グローバルコンプライアンス室と関連部署が年2回の定期点検をおこないました(※1)。
また、下請法に関連する部署による内部統制の強化、取引先の声を受ける社外窓口や社長直下のパートナーシップ改革室の設置(※2)などをおこなっています。不祥事の事実と併せて、企業の対応も見ておきましょう。
※1 日産自動車 サステナビリティデータブック2024
※2 日産自動車 サステナビリティデータブック2025
アドバイザーからワンポイントアドバイス信頼回復を目指す今の日産だからこそ見ておきたいポイント
複数の不祥事や業績の悪化を経験したことで、日産はかつてのように業界を引っ張る存在ではなくなりました。まずは品質や会社の信頼を立て直し、あわせて収益面も回復させていく立場にあると言えます。
そのため、今の日産を見るときは、どうやって信頼を取り戻そうとしているのか、どんな体制で次の成長を目指しているのかにも注目する必要があります。
現在の日産は、経営や事業の再編が進むなかでも、将来の製品開発や人材確保を続けています。
だからこそ、エンジニア志望の就活生にとっては、見た目のイメージだけでなく、同社がどのような車を作り、どのような技術を積み重ねてきたかを確認することが重要です。
就職の際は過去の変遷と最新の採用情報の両方を確認しよう
その意味で、日産を志望するなら、まずは車種の変遷や技術の蓄積を調べ、次に最新の採用情報を確認し、自分の専門性と照らし合わせるのが良いでしょう。
会社の歴史と現在の募集内容の両方を見ることで、自分が日産で何を学び、何を担いたいのかをより具体的に考えられるようになります。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう

就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
噂は断片的に受け取らずに深掘りすることが求められる
日産自動車がやばいと言われる3つの理由には、それぞれ事実が含まれていることがわかりました。ただし、事実をそのまま受け取ってしまうと、企業に対する誤解が生じてしまいます。
そのため、リストラがおこなわれた背景、業績悪化や不祥事の後の企業の動きなど、噂の奥深くまで調べることで、正しい企業の姿を認識していくことが大切です。
アドバイザーからあなたにエールかつてない規模の変革期にある日産が求める人材とは
ドラスティックな変革の最中にある同社への参画を望む就活生にとっては、組織が求める行動原則と自身のキャリアに対するスタンスの一致が重要な評価軸となります。
公式のサステナビリティレポートなどの記載を紐解くと、同社はグローバルな人員体制の適正化や工場の統廃合を進めるなど、かつてない規模の新陳代謝を断行しています。
各種の企業分析データを元にすると、このような激変期のメーカーで活躍できるのは、過去の成功体験に固執せず、変化を自らの成長機会ととらえて、能動的に業務を開拓できる高い柔軟性を備えた人材と言えるでしょう。
一方で、かつての日本の大企業らしい「終身雇用の絶対的な安定」を前提とし、定められた役割を受動的にこなすだけの働き方を望む人材には、大きなミスマッチとなる可能性があります。
知名度だけで選ばずに実態を掴む! 自身の理想とのマッチ度を確かめよう
就活生は、歴史ある完成車メーカーという知名度の安心感だけで判断の拠り所とするのではなく、中長期におよぶ環境変化や、あらゆる外部的な要因があることを意識する必要があります。
その環境においても、自ら課題を設定し、グローバルな大変革を牽引していく風土が自身の望む生き方に合致するか、本質を多角的に吟味する姿勢が不可欠です。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC
Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済
プロフィール詳細2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
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