専門卒と比べると、大卒のほうが給料も多少よくなる傾向があります。

また大学（4年間）であれば、専門的・体系的な知識を深めることができます。

卒業時により深い知識を得られるという点だけでなく、大学によっては「保健師」や「助産師」の受験資格も看護師と同時に得られる場合があります。

現場力を身に付けたいならなら専門学校、キャリアの幅を広げたいなら大学

専門学校（2〜3年）はより現場的な内容や実習に重点を置いて学ぶため、現場志向が強くなります。

卒業後に保健師などを目指す場合は、改めて実務経験などが必要になります。

将来的に保健師や助産師も目指したいのか、まずは現場の看護師として早く働きたいのか。自身がどうなりたいかで見極めるのがよいと思います。

高校卒業後に「看護専門学校」か「看護系大学」かで迷う人は少なくありません。どちらを選ぶかは将来の方向性を考えるうえで大きな分かれ道となります。

私がこれまで支援してきた学生の中にも、同じような悩みを持つ人がいました。

たとえば高校生のHさんは学費のことを考えて専門学校を検討していましたが、最終的には大学進学を選びました。

これは現場で働くだけでなく、教育や管理にも携わりたいという目標が明確になったからです。その数年後、彼女は大学卒業後に病院で新人教育を担当する立場となり、自分の選択が大きな可能性を広げたと話してくれました。

教育・管理・地域医療まで視野が広がる点が大学進学の大きな強み

看護系大学では看護技術だけでなく医療制度、チーム運営、地域包括ケア、研究手法などを体系的に学ぶことができます。

一部の大学では保健師や養護教諭などの資格を同時に取得できる制度もあり、将来のキャリアの幅を広げることができます。初任給は専門卒と大きく変わらない場合が多いものの、昇進や役職手当などの面では差が生じることがあります。

また近年はリーダーシップや研究的な視点をもつ看護師を育成する病院も増え、特に国公立病院や大学病院では大卒以上が管理職として活躍する例が多く見られます。

一方で看護専門学校の利点は3年で卒業でき、より早く現場に出られることです。これは学費負担を抑えながら実践的な経験を積みたい人に向いています。

結局のところどちらが優れているというよりも、自分が将来どんな看護師として活躍したいかを基準に考えることが大切です。

教育や管理、地域医療など幅広い分野で活躍したいなら大学。現場で早く力を発揮したいなら専門学校が向いています。

看護師という国家資格は一生ものです。迷ったときは未来の自分の姿を描き、その延長線上で選択してみてください。