キーエンスは本当にやばいのか? 労働時間や環境への懸念を解説

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • 国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

    Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済

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  • 国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Kazuyoshi Masuda〇教育研修サービス会社等での勤務を経て独立。キャリア相談、就職支援のほか、大学でキャリアデザイン講座を担当。ミッションは「自分とかかわる人の可能性を信じる」こと。

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  • 国家資格キャリアコンサルタント/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    Keisuke Yamada〇沖縄県職員として18年間務めた後、キャリアコンサルタントに転身。お金や仕事に関するセミナーや個別指導などで、のべ3,000人を超える受講者や学生のキャリア支援をおこなう

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社員の高額な年収について取り上げられることが多いキーエンス。

「年収が良すぎてかえって怪しい」「よっぽどたくさん働かされるのでは」そんな風に漠然と考えてしまう人がいても不思議はありません。しかし、それは根拠があいまいな先入観かもしれません。

この記事では、キーエンスへの就活を検討している人に向けて、「やばい」「怪しい」といわれる理由と、企業の実態、入社の判断の仕方について、プロの意見を交えながら解説します。

本企画について

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1分でわかるキーエンス

キーエンスとは

1974年にリード電機として創業。1986年に社名を「Key of Science(=科学の鍵)」に由来する「キーエンス」に変更。幅広く製造業で必要とされるセンサーや測定器、画像処理機器、制御・計測機器等の、FA(生産現場の自動化)に欠かせない機器類の開発・販売。

新商品の約70%が世界初・業界初の新規開発によるもの。FA機器分野におけるシェアは世界トップクラス。全世界の顧客数は35万社を超える。

会社名キーエンス(KEYENCE CORPORATION)
従業員数(連結)12,261名(2025年3月現在)
本社所在地大阪府大阪市
主な事業センサー、測定器、画像処理機器、制御・計測機器、研究・開発用解析機器、ビジネス情報機器
売上高1兆591億円(前年同期比9.49%増)(2025年3月20日現在)
営業利益(同)5,498億円(同11.07%増)(同期間)
企業HPhttps://www.keyence.co.jp/
採用HPhttps://www.keyence.co.jp/jobs/
企業情報

「キーエンスはやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く

「キーエンスはやばい」と言われる理由を客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントが説明するデータの読み方を参考に、自分の適性との相性をチェックしてみてください。

給料に見合った激務に追われそうだから

キーエンスの激務ぶりを表す言葉としてネット上でよく取り上げられるのが「(キーエンスの社員は)30代で家が建ち、40代で墓が建つ」という表現。出所は不明ですが、高年収の裏には激務があることをイメージさせてしまう言葉です。

しかし実際には、高年収なのだから仕事はハードに違いないという先入観が生んだ言葉なのかもしれません。逆に言えば好待遇の裏返しの評価とも受け取れます。

残業時間は公表されていませんが、コンプライアンス重視の社会状況の中で、法定労働時間の上限を超える残業や、過労死レベルの激務は考えにくいという一般論も成り立ちます。

残業の実態は社外からは見えにくい面もあるので、できればOB・OGから直接情報を仕入れましょう。

ちなみに年間休日は、有給休暇とは別に会社としての休業日(土・日を含む)が128日(2025年度)設けられています。この中には毎年、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始の各9日間前後の連休を含みます(※1)。

※1 企業HP 数字で知るキーエンス

アドバイザーのリアル・アドバイス!時間は問題ではない! 求められる生産性の高さに注目

国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

五十嵐 篤

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「高年収=激務」というイメージを持つ就活生は多いですが、実際には働き方の実態を数字だけで判断するのは難しいのが現実です。

残業時間などの公式データが公開がないため、ネット上の口コミだけで判断するのは避けるべきでしょう。企業文化を理解することは重要です。

「高い期待値を楽しめるか」を考えてみよう

日経ビジネス(2025.6.10号)には、キーエンスの営業は「コンサルティング営業」を重視し、顧客と対等な立場で価値提供をおこなう、営業活動を1分単位で管理するなど、時間の使い方を仕組み化している点が紹介されています。

これは単純に長時間働くというより、高い生産性を求める働き方であることを示唆しています。

就活生が見るべきポイントは、「忙しいかどうか」よりも、「成果への期待値が高い環境で自分が成長を楽しめるか」です。

働き方の適性は人によって大きく異なるため、OB・OG訪問などで、日々の業務密度や評価のされ方を確認し、自分の価値観と合うかを見極めることが重要です。

長く働けそうにないから

残業時間や休暇制度といった数値化できる指標とは別に、高年収に見合った仕事を要求されるという数値化されないプレッシャーも「やばい」と言われる理由として考えられます。

一つの判断材料として従業員の平均勤続年数があります。従業員が高年収と仕事内容が見合っていると考えているのか、そうでないのかを想像する材料にはなるでしょう。

キーエンスの平均勤続年数を見ると、この3年間では徐々に下がり、2025年3月現在が11. 1年(※2)となっています。ただ、2024年の全企業の平均勤続年数は12. 4年(※3)なので、短すぎるとは言えません。

2020年度12.2年
2021年度12.5年
2022年度12.1年
2023年度11.5年
2024年度11.1年
過去5年間の平均勤続年数(各年度の有価証券報告書より)

また離職者が特別多いということはなく、キーエンスの説明によると最近5年間の離職率は5%前後で推移しています(※4)。

※2 企業HP 第56期有価証券報告書
※3 独立行政法人労働政策研究・研修機構
※4 企業HP 採用情報

アドバイザーのリアル・アドバイス!「マシーン」と言われるほどの仕組化はストレス要因の可能性あり

国家資格キャリアコンサルタント/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

山田 圭佑

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キャリアコンサルタント業界では、キーエンスというと「営業職」が大変有名です。

成績次第で、若くして高収入(20代でも年収2000万円に到達の可能性あり)を実現できる一方、徹底的に行動を管理されてしまい、人の心を持たない「営業マシーン」にさせられてしまう、というような噂が絶えません。

私は、これは悪意のある人が流しているゴシップだとは言い切れないと思っています。

キーエンスは自社の営業に対し、徹底的に「今日、何を、どの程度まで行うか」を仕組み化・システム化して、営業の能力に左右されない営業組織を作ることに成功していて、それが同社の成長を支えていると言う評判には一定の信頼性があると思います。

ただ、このような管理体制の中で激しく働くことが、強いストレスになってしまうビジネスパーソンも多いことでしょう。

離職率が低い=つらさに見合う待遇が用意されているともいえる

管理体制の強さが平均勤続年数の低下につながっている面はあるかもしれません。ただ、統計上で出ているキーエンス社の離職率は、日本企業全体と比べるとかなり低いレベルです。

管理体制が徹底された激務であっても、年収1,000万円~2,000万円以上が当たり前という環境であれば、多くのビジネスパーソンは進んで雇用されるという一つの傍証と言えるのではないでしょうか。

女性が活躍できそうにないから

女性社員の比率は決して多くはないようです。詳しい男女比は公表されていませんが、他業界と比較して低い傾向にあることはキーエンスも認めています(※5)。

給与の実態に関しては男女で開きがあります。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づいて算出された男女の賃金の差異を見ると、キーエンスの女性社員の賃金レベルは男性のそれを100とした場合、女性は41.8%(※6)となっています。

社員に占める女性の比率や勤続年数の違いにも左右される点には留意すべきですが、男女で2倍以上の開きがあることは事実です。全企業の平均が75.8%(※7)であるのと比べると、男女差が大きいと感じてしまう人もいるかもしれません。

※5 企業HP 採用情報
※6 企業HP 第56期有価証券報告書
※7 厚労省「2024年賃金構造基本統計調査」

プロのアドバイザーはこう分析!傾向として就業時間・就業年数の違いが賃金につながる

国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

増田 和芳

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男女の賃金格差は、「男性は仕事、女性は家庭」といった性別役割分担意識の影響で生じていると結論づけるのでは不十分です。

もともと女性従業員の比率が少ない企業もありますが、男女の働き方の特徴に目を向ける必要があります。

近年は男性が育児休暇を取得する動きが出てきているとはいえ、その割合はまだ少ないです。女性は出産や育児を経験すると、たとえば時短勤務を選択して働き方が変わる、退職するなどによって、入社時と比べて賃金が減少する可能性が高くなります。

また、出産を経て復帰しても、仕事への負担を軽減して家事に投下する時間を増やすために、出産前とまったく同じ業務を担うとは限りません。肉体的負担の少ない職種に業務内容が変わるなどで、たとえば営業職から変わり成果給の影響が少なくなって、賃金が減少する可能性も出てくるでしょう。

背景にあるライフイベントとの付き合い方の違いを踏まえよう

また、女性は相対的に勤続年数が低くなるために、成果を出し続けて役員や管理職などに昇格する従業員の割合は少ないです。

女性管理職の少なさも多くの企業で課題となっています。賃金が高い立場となる男性従業員の比率が大きいために、結果として男女の賃金格差が生じるといえるでしょう。

単純に男女の差別があると考えずに、男性と女性のライフイベントなどを考慮して賃金格差に着目する必要があります。

異次元の高収入だから

キーエンスの平均年収は2,039万円(平均年齢34.8歳)(※8)。上場企業でも平均年収が1,000万円を超えれば高水準という中でかなりの高年収です。

ライバル企業のオムロン(平均年齢44.5歳)の820万円やファナック(同39.9歳)の1,163万円と比べても断トツで、商社トップの伊藤忠商事(同42.2歳)の1,804万円のさらに上を行く異次元ぶりです。

年度平均年収平均年齢
2022年度2,279万円35.8歳
2023年度2,067万円35.2歳
2024年度2,039万円34.8歳
キーエンスの年収推移(各年度の有価証券報告書より)

賞与(ボーナス)は、営業利益の一定割合を社員に還元する形で四半期ごとに年4回支給されます(※9)。このため営業利益の大きさが高年収の理由の一つと言えるでしょう。

日本の上場企業の営業利益率の平均は6~7%前後とされているのに対し、キーエンスは近年50%台をキープしており、2025年度3月期は51.9%(※10)でした。

社員一人当たりの営業利益も上場企業平均の10倍以上で2025年3月期は4,029万円(※11)。単純に言うと1人で約4,000万円を稼ぐからこそ、平均年収2,000万円台も実現可能なのです。

※8※10※11 企業HP 第56期有価証券報告書
※9 企業HP 数字で知るキーエンス

やばいの噂の裏にある構造を理解しマッチ度を確かめよう

キーエンスは激務、報酬が高すぎるなどと言われることのある会社ですが、その裏には類を見ない品質とスピード感で世の中に影響を残している仕組みがあり、それに対する対価となっていることがわかります。

噂を表面的にとらえるのではなく、データなどから背景も読み取り、自分とマッチするのか深く考えてみましょう。

プロのアドバイザーならこうアドバイス!「世界初」「業界初」を圧倒的な速さで生み出すがゆえの高収益

国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC

五十嵐 篤

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キーエンスの高年収は、単に給与水準が高いという話ではなく、高い収益性を生み出す経営モデルの結果として理解することが大切です。

営業利益率50%超という驚異的な収益性を維持している背景として、ファブレス経営や、付加価値の高い直販・コンサルティングセールス体制があります。

データを元にしながら営業担当者が頻繁に顧客の元へ足を運び、ニーズを素早く的確に捉え、顧客から聞き出した課題などからヒントを得て、他社を圧倒するスピードで顧客に製品を納入することができています。

「やばい」と言われる裏側を理解しにいこう

1万種類以上とも言われる商品を手掛けるキーエンスは、新商品の約7割が「世界初」あるいは「業界初」とも言われ、顧客の生産性向上に直結する価値提供を徹底してます。

高収益は、戦略と仕組みによって生み出されていると言えます。就活生にとって重要なのは、年収の高さだけを見るのではなく、「なぜその報酬が成立しているのか」を理解することです。

本コンテンツにおける編集方針

近年では「ダイバーシティー&インクルージョン(D&I=多様性と社会的包摂)」およびジェンダー尊重の重要性が増しており、PORTキャリアでは、就職活動・転職活動においてそうした取り組みを推進する立場をとっています。
本コンテンツでご紹介する就職活動、転職活動に関連するノウハウ、マナー、対策等の情報は、特定の価値観を押し付けたり個性を損なわせる目的でなく、情報提供及び選択肢の提示であることをご理解いただき、情報の取捨選択については、あくまでそれぞれの価値観ないし個性に基づいて判断いただければ幸いです。

※PORTキャリアのダイバーシティ&インクルージョンな 就活を推進する取り組みについてはこちらにて詳しく説明しています

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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