エネルギー業界に向いている人は? 仕事内容や将来性を徹底解説

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  • キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める

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  • キャリアコンサルタント / システムエンジニア

    Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている

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  • キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー

    Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める

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人々の生活を根幹から支えるエネルギー業界。社会に貢献したい、人々の日常生活をより良いものにしたいと考え、就職を目指す人もいるでしょう。

しかし、「エネルギー業界の具体的な仕事内容がわからない」「自分に向いているかな」など、疑問を持つ人もいると思います。

この記事では、キャリアアドバイザーの平井さん、小峰さん、古田さんと一緒にエネルギー業界の仕事内容や向いている人の特徴、対策方法などを解説します。エネルギー業界に興味がある人は最後まで読んで、全体像を把握しましょう。

目次

エネルギー業界の現状と将来性を把握して理想のキャリアパスを描こう

世界の情勢の変化やIT技術の進歩などによって、エネルギー業界は激しく変化を遂げています。そして、就職を目指すにあたって重要になるのが現状と将来性を把握すること。特に将来性を把握していなければ理想のキャリアパスは描けません。

しかし、「具体的にどんな現状で、どう変化していくのかわからない」や「まだエネルギー業界でどう働いていきたいかイメージできない」などの疑問・悩みを持つ人もいると思います。

この記事では前半で、エネルギー業界の現状や将来性、仕事内容など基礎的な情報を解説します。まずはエネルギー業界の前提・基礎をつかみましょう。

そして、記事後半でエネルギー業界のメリット・デメリット、向いている人の特徴、対策方法を解説します。基礎を押さえたうえで、自分に向いているか、どう対策するかを考えていきましょう。

最初に確認! エネルギー業界の基本情報

最初に確認! エネルギー業界の基本情報

  • エネルギー業界とは?
  • エネルギー業界を構成する3つの分野
  • エネルギー業界のビジネスモデル・仕組み
  • エネルギー業界の平均年収
  • エネルギー業界の企業一覧

一概にエネルギー業界といっても、世界にはさまざまなエネルギーがあるためイメージしづらいですよね。そして、どの企業がエネルギー業界に属するかも把握できていない人もいると思います。

ここからは、エネルギー業界を構成する分野やビジネスモデル、企業一覧など、エネルギー業界の基本情報を解説します。後ほど解説する仕事内容や対策方法などを理解するためにも、まずは基本を押さえましょう。

エネルギー業界とは?

エネルギー業界とは、その名の通りエネルギーを取り扱う業界を指します。後述しますが、エネルギーは大きく分けて以下の3つの分野で構成されています。

エネルギー業界を構成する3つの分野

  • 石油
  • ガス
  • 電気

これらのエネルギーは我々が生活するには欠かせないもの。そんなエネルギーを家庭や取引先企業に安定供給し、人々の生活の根幹を支えるのがエネルギー業界の役割です

そして、近年は「脱酸素」や「IoT」などの言葉が出て、時代の流れに合わせてエネルギー業界も変化しています。このような前提を知ったうえで、具体的にどんな仕事内容か、自分に向いているかなどを考えていきましょう。

エネルギー業界を構成する3つの分野

エネルギー業界を構成する3つの分野

  1. 石油
  2. ガス
  3. 電気

前述のとおり、エネルギー業界はおもに上記の3つの分野から構成されています。

同じエネルギー業界に属するものの、取り扱う資源は当然、業務内容も異なります。明確な志望動機を考えるには、これらの分野の違いを認識しておくことは欠かせないのです

ここからは、エネルギー業界を構成する3分野それぞれの特徴を解説します。自分は何に興味があるかを意識しながら確認しましょう。

石油

石油業界は、石油開発会社から石油を調達し加工して取引先企業に販売するのがおもな仕事内容です。石油はガソリンや灯油、軽油、重油など、我々の生活には欠かせない資源・エネルギーに加工されます。

そして、石油業界はおもに技術系と事務系の仕事に分けられ、技術系は石油の調達や加工、管理などを担当し、事務系は販売やマーケティング、物流管理などをおこないます

ただ、近年はハイブリットカーや電気自動車などが推進されていることから、今後も石油需要は年々減少すると予想されています。そのため、石油業界の将来性をしっかり把握し、キャリアパスを明確に描いたうえで就職することが大切です。

平井 厚子

プロフィール

今後も化石燃料の使用抑制が進むと考えられます。その意味では石油業界も厳しいと言えますが、再生可能エネルギーに参入する石油会社もあります。業界自体が大きな変革期にあるので、意欲のある人にはチャレンジングな業界かもしれませんね。

石油業界については以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。

ガス

ガス業界は、ガスを製造し消費者に供給するのがおもな仕事内容です。我々の生活において、乗り物や調理などあらゆる場面で利用されています。

そんなガス業界は、ガスを生産する生産部門、ガスを消費者に供給する供給部門、顧客にガスを届ける営業部門の3つに分けられ、安定供給を目指しています

季節によってガスの需要量に変化があるものの、年単位ではほとんど減少していません。つまり、今後も必要とされる可能性が高いということです。また、地域密着型で事業を進めているのも特徴の一つです。

ガス会社を志望する人は、以下の記事でガス会社の志望動機の書き方を解説しているので、参考にして選考突破を目指しましょう。
ガス会社の志望動機は社会貢献では落ちる! 例文付きで作り方も解説

電気

電気業界は、電気を製造し供給するのがおもな仕事内容です。電気エネルギーはテレビやパソコン、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など、我々の生活の至るところで利用され、欠かすことのできないものとなりました。

そして、電気業界は発電所を運営して電気を生産する発電部門、発電所から消費者へ電気を供給する送配電部門、消費者に電気サービスを提供する小売り部門の3つに分けられます

なお、水力や火力、原子力、太陽光など、さまざまな種類の発電所があり、あらゆる力を利用して電気を生産しています。

1世帯あたりの電力消費量は増加傾向にあり、今後も高い需要を維持すると予想されています。また、地域ごとに電力会社があるため、転勤などが少ないのも特徴の一つです。

小峰 一朗

プロフィール

石油業界は需要減少により再生エネルギーなどへの転換を進めています。

電力業界は原子力発電所の事故により、新しいクリーンなエネルギーの創生が求められている状況です。

ガス業界は、エコ推進や自由化などの影響による新エネルギーへの転換や新規事業参入などに注力している会社が多くあります。

どの業界も違いはあれど共通して新しい流れが求められているのです。

エネルギー業界のビジネスモデル・仕組み

エネルギー 業界のビジネスモデル・仕組み

エネルギー業界のビジネスモデルの詳細は分野によって異なりますが、それぞれ上流・中流・下流の3工程を経て、収益を上げています

生産、供給、販売という大まかな流れは、他業界のメーカーと大きく変わらないと考えても良いでしょう。エネルギー業界は上記のような3つの工程を経て我々に供給し、収益を上げているというビジネスモデル・仕組みになります。

アドバイザーコメント

ビジネスモデルの違いにより向いている人物像も違うことを理解しよう

エネルギー業界は上流、中流、下流までのそれぞれの工程によってビジネスモデルが違うため、そこで求められる人の人物像も少しずつ異なります。きちんと把握して、どのビジネスモデルで働くことが自分に合っているのか見極めましょう。

上流工程:企画力・技術力・想像力が求められる

上流の主な仕事である生産・製造をおこなう技術職や研究職には、企画力、設計技術、想像力などが求められるでしょう。担当業務によっては修士以上、学士以上の知識や学歴を求められます。

上流には、「技術開発に興味がある」「コツコツと研究に没頭できる」「未知なる分野を開拓するのが好き」という人が向いているでしょう。

中流工程:知識・管理能力・体力が求められる

中流の主な仕事は上流で調達・生産したものを運ぶ(供給する)、貯蔵を管理することです。生活にかかわる供給分野はメンテナンスなどが必要になるため365日24時間体制で管理しています。

中流には、「技術職としての知識」「管理能力」「交代勤務に耐えられる体力」がある人が向いているでしょう。

下流:知的好奇心・提案力・コミュニケーション能力が求められる

下流の主な仕事は、自社で開発したサービスや商品を顧客に営業(提案)・販売することです。顧客にわかりやすく説明し、購入を促す役目を担っています。

下流には、「商品知識を身に付けるのが好き」「顧客に合わせた提案ができる」「コミュニケーション力がある」人が向いているでしょう。

以下の記事では、下流工程で求められるコミュニケーション能力の自己PRの考え方・伝え方を解説しているので、志望する業界に合わせて参考にしてくださいね。
例文12選| コミュニケーション能力の自己PRを3ステップで解説

エネルギー業界の平均年収

2015年から2016年までにマイナビエージェントに登録した20代・30代の人を対象とした調査によると、エネルギー業界全体の平均年収は2023年11月時点で416万円です。ただ、エネルギー業界にはさまざまな規模の企業が存在し、企業規模によって年収が大きく異なるケースもあります。

また、20代の平均年収は300万円後半ですが、30代は500万円台であり、勤続年数に応じて順調に年収がアップしていく企業も多くあります。

ただ、世の中の変化に応じて衰退していく分野・企業も考えられるため、現在の年収だけをもとに就活するのではなく、将来性もしっかり把握することが大切です

エネルギー業界は安定していると聞いたことがあります。どのような給与体系であることが多いでしょうか。

平井 厚子

プロフィール

さまざまな影響でただ安定している業界ではなくなってきている

確かに生活からエネルギー需要がなくなることはないので、業界自体が消えることはありません。しかし電力やガスへの新規参入が自由化され、供給エリアの限定もなくなり、脱炭素に向けた技術革新など、競争も激しくなっています。

従来の安定的な企業文化から革新的な企業文化に転換できるかどうかが、業界各社の課題です。これからは変革期を乗り切ることに注力できる人材が求められ、変革に対してどれだけ貢献できたかが処遇されるような給与体系になると思います。

エネルギー業界の企業一覧

エネルギー業界には以下のような企業があります。

エネルギーの安定供給と環境問題への対応を理念に掲げている企業が多く、たとえばENEOSホールディングスは「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」をモットーに掲げています。志望企業を決める際は、それ以外の点についてフォーカスし特色を掴むことがポイントです。

上記はエネルギー業界の一部に過ぎません。エネルギー業界の各企業の事業内容や仕事内容などを確認して、就職先を考える際の参考にしてください

エネルギー業界の中で自分に合っている会社を見つけるためにはどのような情報を見るべきですか?

小峰 一朗

プロフィール

自分と会社それぞれが大切に思うことを見比べてみよう

自分に合っている会社を見つけるためには、まず自分の価値観を明確にしたうえで探していくと良いと思います。価値観とは自分が大切に思うことです。

エネルギーに関しては、たとえば「自然との共生」「持続可能な社会」「クリーンな資源」「安心・安定」などですね。

そのうえで、会社の理念やミッション、ビジョンなど会社情報を見て、自分の価値観とぴったりくる会社がないか探してみると良いと思います。

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エネルギー業界に応募する前に知っておきたい専門用語12選

エネルギー業界ではさまざまな業界専門用語が使用されています。それらを知らずに選考を受けると「業界・企業研究が足りていない」と思われる可能性もあると考えられます。

そこで、エネルギー業界に応募する前に知っておきたい専門用語12選をまとめました。

カーボンニュートラル温室効果ガスの排出量と吸収量を均等にさせること
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)機械学習などを活用して、さまざまな材料開発の効率を高めること
スイッチング電力会社を切り替えること
メタンハイドレートメタンガスが水分子と結びつくことでできる氷状の物質のこと
デマンドレスポンス電力需要パターンを変化させ、消費者の電力使用量を制限すること
ガスコージェネレーションシステム都市ガスを燃料として電気を作り、同時に発生する熱を冷房や暖房、給湯などに利用するシステムのこと
シェールガス地下深部にある頁岩の間から採れるガスのこと
小型原子炉出力が小さい原子炉のこと
超伝導送電電気抵抗がゼロになる超伝導状態で送電すること
発送電分離発電と送電を分離すること
スマートグリッド通信ネットワークや情報システムを活用して電力量のバランスを調整し、電力利用を効率化すること
スマートメーター電気使用量をデジタルで計測する通信機能のこと
エネルギー業界に応募する前に知っておきたい専門用語

これらは一部に過ぎませんが、選考が始まる前に覚えておくことをおすすめします。

古田 文子

プロフィール

他にも、「仮想発電所(VPP)」や「ネガワット(節電した電力)」などの用語は、これまでの大規模発電所に依存せず、需要家側のエネルギーリソースを活用する電力システムを構築する際に知っておく必要があるでしょう。

エネルギー業界の現状

エネルギー業界の現状

  • 石油:給油所の減少により燃料油販売量が下降傾向
  • ガス:都市ガスの小売事業の自由化にともなって価格競争が発生
  • 電力:「電気小売全面自由化」によって企業間の競争が激化

エネルギー業界が現在どのような状況か知っていますか。前述のとおり、エネルギー業界の変化は激しく、学生の頃に勉強した状況とは異なっている可能性があります。

ここからは、2023年現在のエネルギー業界の現状を解説します。エネルギー業界を志望するのであれば、現在どのような状況にあるのかは把握しておきましょう。

石油:給油所の減少により燃料油販売量が下降傾向

経済産業省の2021~2025年度石油製品需要見通し(案)燃料油編によると、さまざまな石油製品の需要量は減少傾向にあります。その背景には、カーボンニュートラルに向けた施策があると考えられ、それによって給油所自体が減少しているのです。

カーボンニュートラルとは

温室効果ガスの排出量と吸収量を均等にさせること。

とはいえ、自動車を動かすガソリンや、工場を稼働させる重油など、石油はまだまだ必要不可欠な存在です。すぐに需要がゼロになるとは考えにくいですが、需要が減少していることを頭に入れてキャリアパスを考える必要があります

石油業界の企業は衰退していくのでしょうか。

平井 厚子

プロフィール

業界そのものがなくなることはないものの動向には注意が必要

石油業界の業界団体の一つである石油連盟は、石油業界のカーボンニュートラルに向けたビジョン(目指す姿)を出しています。このビジョンでは、供給する製品に伴うCO₂排出を実質ゼロにすることに挑戦するとしています。

石油エネルギーの比率は下がっても業界そのものがなくなることはないと思いますが、石油業界各社は従来のビジネスモデルでは成長はおろか、業界で生き残ることも難しくなってきています。

そのため各社とも経営戦略を立て、新事業に取り組んでいる傾向にあります。

ガス:都市ガスの小売事業の自由化にともなって価格競争が発生

2017年4月に都市ガスの小売事業が自由化されました。それ以前のガス業界は独占状態にあり、エリアにある既存ガス会社しか都市ガスの契約ができない状況でした。そのような状況の中、自由化によってさまざまな事業者の中からガス会社が選べるようになったのです。

この都市ガスの小売事業自由化によって発生するのが企業間の価格競争です。これまでは独占状態にあったため価格競争は起きることはありませんでした。しかし、自由化後はさまざまな事業者が「我が社で契約してもらおう」と価格を下げ、結果として価格競争が発生するようになったのです

なお、経済産業省のガス事業生産動態統計の概況(令和3年11月分の概況)によると、都市ガスの生産量や販売量は年々増加していると調査されています。

小峰 一朗

プロフィール

企業間の価格競争は、価格を下げるために生産性の向上や組織の合理化、働き方改革の加速などへの影響があると考えられます。

その影響により、企業風土として継続や安定を重視する姿勢から、改善や挑戦を尊重する風土へと変化していく傾向も見られるでしょう。

電力:「電気小売全面自由化」によって企業間の競争が激化

電気業界も決められた地域で配電の権利を独占するといった独占状態にありました。しかし、2016年4月に電気小売全面自由化が認められ、多くの企業が参入可能になりました。

その結果、ガス業界と同様に企業間の競争が激化。現在では多くの企業が発電方法や価格で他社との差別化を図り、生き残りをかけて競争するようになりました

なお、2020年度の発電電力量のシェアは火力発電が全体の82.6%となっています。さまざまな発電方法が登場していますが、まだまだ火力発電のシェアが大きいのが現状です。

平井 厚子

プロフィール

ちょうど仕事で新電力会社と取引をしています。規模こそ大きくありませんが積極的に採用し、応募者の質も高いので、たいへん優秀な人材が確保されています。

電力小売り自由化を挑戦機会と捉える人には、魅力的な業界でしょう。

将来性はある? エネルギー業界の今後の展望

将来性はある? エネルギー業界の今後の展望

  • 石油:脱炭素で再生可能エネルギーや水素への移行が進む
  • ガス:LP発電機の需要が高まる
  • 電力:IoTや次世代通信の需要が増加する

ここまでエネルギー業界の現状を解説しましたが、今後さらに展開していくことが予想されています。今後の展望を把握せずに就職すると「やりたいことと違った」と後悔する可能性もあるのです。

ここからは、エネルギー業界の各分野の今後の展望を解説します。就職後にやりたいことを実現し、かつ就活時に業界研究を実施していることをアピールするためにもチェックしておきましょう。

石油:脱炭素で再生可能エネルギーや水素への移行が進む

石油業界は、脱炭素で再生可能エネルギーや水素エネルギーへの移行が進むと予測されています。近年、世界的に脱炭素社会の実現に向けた動きが加速し、石油業界はその影響を直接受けることになると考えられているのです

なお、ENEOSホールディングス出光興産などが脱炭素やカーボンニュートラルを実現することを表明。その影響を受けた多くの企業が再生可能エネルギーや水素などに移行して、脱炭素社会の実現に向け、企業の方針を見直すことが考えられます。

ガス:LP発電機の需要が高まる

LP発電機とは

災害や電気・都市ガスなどが途絶えた場合に活躍する非常用の発電機のこと

近年、LP発電機の注目度が上がり、エネルギー関連のベンチャー企業がLP発電機の市場を開拓していることが見受けられます

日本は特に自然災害が多いため、災害時にエネルギーの供給がストップすることが考えられます。その際、医療施設や大規模な工場は大きな被害を受け、稼働が不可能になるでしょう。その際に活躍するのがLP発電機です。

今後も日本では自然災害が発生する可能性は大いにあります。その際、確実かつ長時間発電できるLP発電機が強みを発揮するため、需要が高まると予測されています。

電力:IoTや次世代通信の需要が増加する

IoTとは

IoTは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」という意味がある。モノをインターネットを経由して通信できるようにすること

近年、IoTや次世代通信の発達により、人々の生活は大きく変化しています。さまざまなものでインターネットの接続が可能になり、さらに高速通信ができるようになりました。今後、インターネットを活用した便利さを求める風潮はさらに加速化するでしょう。

そして、インターネットに接続するには電力が必要不可欠です。そのため、IoTや次世代通信の需要増加とともに、電力の需要も増加すると考えられています

また、電力自由化によってさまざまな企業が参入するようになったことから、各電力会社が他社と差別化するためにもさまざまなサービスやプランを提供するようになると予測されます。

アドバイザーコメント

どの業界も地球環境や人口減少を考えた変革を求められている

石油:代替エネルギーの開発や海外への伸展が見込まれる

記事にある通り、脱炭素、再生エネルギーへの切り替え、人口減少などから燃料転換という構造的な理由で、石油製品の需要が減少しています。また、石油業界では、以前は十数社あった元売が2020年で5社に再編されています。

今後はDXの取り組みを増やしながら、需要が伸びているアジア新興国に石油精製ビジネスを展開し、国内では石油に代わるエネルギーの開発を推進していくものと思われます。

ガス:競争が激化し海外への展開が成長のカギを握る

ガス業界は、高齢化や人口減少が進む日本市場だけでは成長し続けることが困難です。ガスの自由化が始まっているため、国内では企業間の競争が激化していきます。

また、石油同様、海外へ展開することが今後の成長の柱になっていくと予測されます。東南アジアの新興国などでLNG基地の建設や販売が進められていくでしょう。

電力:新規参入が可能になったため利益構造の再編が求められる

こちらも記事にある通り、これまでは電力会社10社が独占状態でしたが、2016年からこの10社以外も業界への参入が可能になりました。

それに加え、国民の「省エネ」が浸透したため、今後、電力会社は利益構造の再編を求められるでしょう。

エネルギー業界の職種・仕事内容

エネルギー業界の職種・仕事内容

  • 営業職
  • 技術開発職
  • 管理職

ここまではエネルギー業界全体のことを解説しました。しかし「具体的に自分はどのような仕事をすることになるのか」と疑問を持つ人もいるでしょう。

ここからは、エネルギー業界の職種とその仕事内容を解説します。具体的に働くイメージを持つためにも、職種とその仕事内容を把握しておきましょう。

営業職

エネルギー業界の営業職は、自社が取り扱うエネルギー商品を顧客に向けて販売する仕事です。営業先はおもに個人と法人の2つがあります。個人は一般家庭に向けて商品を販売し、法人は企業や団体に向けてエネルギーの供給を提案します

ほかの業界と同様に、エネルギー業界の営業職はコミュニケーション能力や提案力が必要です。

他の業界とエネルギー業界の営業職の違いは何ですか?

小峰 一朗

プロフィール

エネルギー業界は長期的な信頼関係の構築が求められる

エネルギー業界の営業職の特徴としては、顧客との関係性において地域密着で長期的な信頼関係が大切な点にあると思います。

新規の顧客獲得というよりは既存顧客との関係性の継続のために、課題やニーズの把握、サービスへのフィードバックが基本的な役割となるでしょう。

ただ、自由化の影響によって業界間の顧客移動が可能となっているため、サービスの差別化や付加価値の創出など、新規顧客獲得に向けて今後はさらなる価値競争にシフトしていくであろう点もまた特徴の一つといえます。

「自分が営業職に向いているかわからない」と悩む人はこちらの記事を参考にしてください。営業職が向いていない人の特徴を紹介しています。
営業に向いてない人の16の特徴|不向きな人におすすめの道も解説

営業を志望する人は、以下の記事で営業職の志望動機を解説しているので、参考にして選考を突破しましょう。
例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ

技術開発職

エネルギー業界の技術開発職は、既存エネルギーの開発や、新しいエネルギーの研究・開発などをする仕事です。新しいエネルギーを開発するためのデータ分析や、市場調査なども技術開発職の業務の一環です。

技術開発職の仕事は、エネルギーという側面からこれからの日本・世界をより良いものにするために欠かせません。高度な専門技術が求められますが、「日本・世界の将来は自分にかかっている」とやりがいを持って業務に取り組めるでしょう。

古田 文子

プロフィール

専門知識が必要となるばかりでなく、新技術や新たな可能性を模索する研究などもおこなうため、求められるものが多い点で難易度はかなり高いでしょう。

さらに、理系の学生に人気があり狭き門ということも就職の難易度を高めている理由の一つです。

開発職に就職したいと考える人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが開発職に就く方法を解説しているので、併せてチェックしてくださいね。

研究職の仕事内容がいまいちイメージできない人はこちらの記事を参考にしてください。研究職の仕事内容から対策方法まで網羅的に解説しています。
研究職ってどんな仕事? 狭き門を勝ち抜くための志望動機例も紹介!

管理職

エネルギー業界の管理職は、多岐にわたる事業が安全かつ円滑に進むために管理する仕事です。なお、企業によって異なりますが、エネルギー業界には以下のように管理職が分けられています。

エネルギー業界の管理職

  • 生産管理:エネルギーの供給を円滑にできるよう管理する
  • 品質管理:商品の品質を維持、改善する
  • 物流・在庫管理:需要に対する適切な供給ができるよう商品を管理する
  • 施工管理:現場の監督をする

このように、エネルギー業界の管理職は、安全であるかどうか、需要に対して適切な供給量であるか、商品の質が衰退していないかなどを確認します

他業界の管理職とは一味違った業務内容ですが、エネルギー業界を陰で支える存在として活躍できますよ。

小峰 一朗

プロフィール

エネルギーは社会を動かす原動力なので、安定して供給しつづけることが大切な役割となります。そのため、管理業務は昼夜を問わず常に安全・安定な状態を維持し続けなければならないという難しさがあります。

逆にやりがいとしては、その社会的責任を支える重要な役目を果たしているということが大きなモチベーションにもつながりやすいでしょう。

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やりがいは? エネルギー業界で働くことのメリット

エネルギー業界で働くことのメリット

  • 人々の生活を支えられる
  • 大規模なプロジェクトに携われる
  • 年収が安定していて比較的高い

エネルギー業界で働くことにどんなやりがいを感じられるか、メリットがあるかイメージが湧かない人もいるのではないでしょうか。人によってメリットと感じられることは異なりますが、多くの人は3つのやりがいを持って働いていると考えられます。

ここからは、エネルギー業界で働くことのメリットを解説します。自分が社会人として働く際に何を求めるかを考えながらチェックしていきましょう。

人々の生活を支えられる

石油やガス、電気などのエネルギーは人々にとって欠かせない存在となりました。これらのエネルギーなしでは今の便利な世の中は成り立っていないでしょう。

たとえば、電気がなければ家電やPC、スマホなどは利用できません。また、ガスがなければ自宅で調理をしたり、お湯を沸かしたりするのも難しいです。

このように、エネルギー業界で働くことで人々の生活の支えになっていることを実感できると考えられます。社会に貢献したい、人々の生活を支えたいという思いがある人におすすめの業界です。

古田 文子

プロフィール

自然災害が原因のトラブルが発生した際、人々の生活や安全を支えなければならないという責任のもと、昼夜関係なく復旧対応に追われる仕事です。

担当業務にもよりますが、人々の生活に関与しているからこそ、人々が活動していない時間にも必要とされる業務もあるため、その点がデメリットになることはあるでしょう。

大規模なプロジェクトに携われる

エネルギー業界のプロジェクトは基本的に規模が大きくなり、費用も莫大になります。それに伴い責任が大きくなりますが、その分、プロジェクトが完了した際のやりがいはとても大きいのです。

特に大規模なプロジェクトに携われるのが、法人向けの事業を手がける会社・部署です。産業用のエネルギーを取り扱うケースもあるため、個人向けの事業に比べて規模が大きくなります。

大規模なプロジェクトに携わって成果を出したい、達成感を得たいと考えている人はエネルギー業界の法人向け事業部を目指すのがおすすめです

年収が安定していて比較的高い

エネルギーは人々に欠かせない存在で、今後なくなることはほとんど考えられません。また、専門性が高い職業でもあります。この安定性と専門性から、平均年収が高い傾向にあります。

とはいえ、企業規模や成長度合いによって年収は異なります。年収を重視する人は、業界全体だけでなく、志望企業の平均年収も調べておくようにしましょう

給料の高さを重視する人は、以下の記事で給料が高い仕事を解説しているので、併せてチェックしてください。
給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説

アドバイザーコメント

エネルギー業界は社会の広範囲に影響を与えているためいろいろな挑戦ができる

エネルギー業界は、社会を支える基幹事業です。そのため、その事業範囲も広く、かかわる対象も広範囲に及びます。地域住民から地域の公的機関、企業、学校、病院、商業施設、国の省庁など、ほぼすべてにつながりがあるということです。

つまり、いろいろなつながりを活かしてさまざまな事業がおこなわれ、やろうと思えばいろいろなチャレンジができるベースが既にできているともいえます。

キャリアを積むための広い知見や人脈を得られることもメリットの一つ

最近は自由化の流れや持続可能な社会への責務もあり、イノベーションや新規事業へのシフトも加速しています。業界の特徴である社会における広いベースを活かして、新しいことへトライをしてみたいという人には最適な業界かもしれませんね。

また、その広いコネクションを通じてさまざまな企業や団体と交流する機会も多いため、知見が深まったり、人脈が広がったりするなど、自分自身のキャリアや経験を積んでいくためのリソースが豊富にあるというメリットもあります。

厳しい一面もある? エネルギー業界で働くことのデメリット

エネルギー業界で働くことのデメリット

  • 一切のミスが許されない
  • 感謝を伝えられる機会が少ない
  • 家庭向け営業の場合はノルマが課せられることがある

エネルギー業界で働くことにはメリットがある一方でデメリット・厳しい一面もあります。デメリットを知らずに就職すると「思っていたのと違った」と後悔することもあるでしょう。

ここからはエネルギー業界で働くことのデメリットを解説します。就職後に後悔しないためにも、事前にデメリットを把握しておきましょう。

一切のミスが許されない

エネルギー業界の仕事は、良くも悪くも人々の生活に大きな影響を与えます。通常どおりの運転ができていれば快適な生活を届けられる一方で、一つでもミスをすると人々の生活に支障をきたす可能性があるのです。そのため、一切のミスが許されません。

このように、エネルギー業界の仕事は緊張と隣り合わせです。プレッシャーに弱い、緊張すると実力を発揮できない人は、エネルギー業界で働くのは難しい可能性があります。

感謝を伝えられる機会が少ない

人々にとってエネルギーが供給されることは当たり前の時代です。車に乗ったり、ガスを使って調理したり、テレビを見たりするなどの行為は皆さんにとって日常生活の一部ですよね。

このように電気やガスなどのエネルギーを使うことが当たり前となった現代では、どれだけ頑張っても感謝される機会が少ないのが現状です。一方で、短時間だけでもエネルギーの供給がストップした場合は苦情を伝えられることもあるでしょう。

「感謝の言葉をもらえないとモチベーションが上がらない」と感じる人は、やりがいを感じにくい可能性があります。

平井 厚子

プロフィール

エネルギーや交通などの社会インフラは、「稼働していて当たり前」なので、エンドユーザーから感謝される機会は少ないですね。

阪神淡路大震災や東日本大震災のような自然災害時には多くのエネルギー業界の関係者の人がインフラ復旧のために動いているため、エンドユーザーとのかかわりも増え、感謝を伝えられる機会も多かったと思います。

家庭向け営業の場合はノルマが課せられることがある

前述のとおり、ガスや電気の自由化から、企業規模問わず新しくエネルギーを販売する企業が増えました。その結果、特に新規参入企業間では競争が激化。他企業との競争に勝たなければ生き残れない業界となりました。

このような背景から、特に家庭向け営業の場合はノルマが課せられる場合があります。ノルマがあり、未達成の場合は精神的に追い詰められることも考えられます。ノルマに対して苦手意識がある人は、このような状況が長く続くと働くことすらも困難となってしまうでしょう。

自分のペースで働きたい人は、応募する前にノルマがあるかどうかも確認しましょう

エネルギー業界の面接でノルマのない仕事が良いと伝えるのはありですか?

古田 文子

プロフィール

伝え方に配慮すれば伝えても良い

「ノルマがない仕事が良い」とストレートに伝えると、評価が下がる可能性があります。「プレッシャーに弱いので、縁の下の力持ちのような業務を担当したい」「◯◯(営業以外)でなら自分の能力を活かせる」といった伝え方をしてみましょう。

厚労省発表の新卒の退職理由に「ノルマや責任が重すぎた」が入っていて、ノルマ未達をきっかけにモチベーションを喪失、離職に至るケースがあります。

最近は、人材不足解消のためにもノルマではなくインセンティブ制度(実績に応じて給与以外に報酬を出す)を導入している企業もあります。そういう企業に応募するのも選択としてありです。

アドバイザーコメント

業界を取り巻く環境変化は捉え方次第でデメリットになり得る

業界自体が変革期にあることはデメリットといえるでしょう。

エネルギー業界といえば企業間のテリトリーがはっきりしていて競争がなく、安定業界の代表的なものでした。国際情勢の影響で原油価格が高騰しても、比較的容易に消費者価格に転換されることが多かったです。

それが「サステナブル」をキーワードに、業界を取り巻く環境が一変しました。今までの常識では、電力会社とガス会社が競合するなど考えられませんでした。

従来のイメージのまま就職すればミスマッチを起こしかねない

今は電気会社が「オール電化」でガス会社のマーケットに切り込めば、ガス会社は「ガスと電気のおまとめプラン」で対抗しています。

従来のエネルギー業界のイメージで、安定した環境でじっくりと仕事に取り組みたい人には、今のエネルギー業界は「思っていたのと違う」ということになりかねません。

エネルギー業界に向いている人の特徴

エネルギー業界に向いている人の特徴

  • 最新の技術や知識を収集するのが好きな人
  • グローバルに活躍したい人
  • 状況の変化に応じて柔軟に対応できる人

前述のとおり、エネルギー業界はほかの業界と働き方が異なる部分が多いため、向き不向きが分かれます。不向きの人がエネルギー業界に就職すると、長く働き続けられず、後悔したりすることも考えられるでしょう。

ここからは、エネルギー業界に向いている人の特徴を解説します。やりがいを持って働くためにも、応募前に自分が本当に向いているかどうかをチェックしましょう。

最新の技術や知識を収集するのが好きな人

エネルギー業界の変化は激しく、年々新しいエネルギーの開発方法や技術が生まれています。このような最新の技術や知識を知らなければ、仕事についていけないこともあるでしょう。最新の技術や知識を収集するのが好きな人はエネルギー業界が向いているといえます

また、日本のエネルギーの多くは、海外からの輸入に頼っているのが現状です。そのため、海外の情勢に変化があった場合、日本のエネルギー業界にも大きな影響があるのです。世界の情勢に関心がある人にも向いているでしょう。

エネルギーに関する最新情報はどのようにして収集するのがおすすめですか?

小峰 一朗

プロフィール

各業界に応じた新聞を活用して理解を深めよう

最新の情報や動向であれば、新聞が良いと思います。各業界に応じた新聞があるので、まずはそのサイトを見てみると良いでしょう。

たとえば、電気新聞ガスエネルギー新聞日刊工業新聞なども良いと思います。

これまでの業界の経緯や現状、今後の動向などの流れを知るためには、資源エネルギー庁が年度ごとに発行しているエネルギー白書を見てみるのも業界の歴史や理解を深めるために有効ですよ。

グローバルに活躍したい人

前述のとおり、日本のエネルギーの多くは海外から輸入していて、海外企業とやり取りする機会が多い企業もあります。英語を活かして仕事をしたい、グローバルに活躍したいと考えている人はエネルギー業界が向いているといえます。

また、海外出張や海外赴任がある企業もあるでしょう。現地に行くと日本では得られない刺激があったり、視野が広がったりすることも考えられます。このように、グローバルを視野に入れたキャリアパスを考えている人はエネルギー業界が向いています。

ただ、企業や部署によっては海外事業に取り組んでいない可能性もあるため、入念に企業研究をし、面接ではグローバルに活躍したいことを伝えるのがおすすめです。

ほかにも海外に行ける仕事を探している人はこちらの記事を参考にしてください。海外に行ける仕事、選考の対策方法を解説しています。
海外に行ける仕事29選! 就職の可能性を高める秘訣も公開

古田 文子

プロフィール

エネルギー業界でグローバルに活躍するなら、もちろん英語力が必要です。ネイティブレベルで話せることに越したことはありませんが、最低でも日常会話レベルは求められます。

企業にもよりますが、TOEICなら目安は600〜700点以上、高いと860点以上を必須スキルとしているところもあります。

就活でのTOEICの活用法は以下の記事で詳しく解説しているので、併せて確認してください。
TOEICのスコアは就職活動に影響大! 目安の点数を大公開

状況の変化に応じて柔軟に対応できる人

エネルギー業界の、企業や家庭にエネルギーを提供するというビジネスモデルは変化しづらいですが、エネルギーの生産方法や提供方法などは日々変化しています。エネルギー業界で働くには、状況の変化に応じて柔軟に対応する力が求められるのです。

また、近年は日本の人口減少から海外向け事業を手がける企業も見られるようになりました。現在の事業だけでなく新規事業にチャレンジしていく企業が増えることも考えられます。

このように、早いスピードで変化する業界であるため、状況の変化に応じて柔軟に対応できる人は向いているといえます。

自己PRで柔軟性をアピールしたいと考えている人はこちらの記事を参考にしてください。アピール方法や注意点などを例文付きで解説しています。
13例文|柔軟性の自己PRで理解必須の注意点と伝え方のコツ

平井 厚子

プロフィール

エネルギー業界では、従来の常識や先入観にとらわれないことは大切です。

脱化石燃料・脱炭素・持続可能社会を考え合わせると、エネルギー業界はボーダレスで企業再編や業務提携もあるでしょう。

戦争により各国のエネルギー政策が打撃を受けることもあるように、グローバルなつながりによる変化にも気をつけておきたいですね。

アドバイザーコメント

エネルギー業界では誠実さ・コミュニケーション能力・安全意識が大切

エネルギー業界は社会の原動力を支える事業なので、ベースとして社会貢献・地域貢献に興味や想いのある人が向いていると思います。そのうえでさらに適性のある人としては、企業風土から考えると、誠実さやコミュニケーション力、安全意識のある人でしょう。

他者のために実直に頑張れる力があれば活躍できる

誠実さは、社会や地域から継続的に信頼されるためにも、意識しておくと良い大事な姿勢であると思います。

コミュニケーション能力は、エネルギーの安定供給のためにさまざまな人との交渉・調整が必要であり、円滑な意思疎通を図るためにも大切な力になります。

安全意識は、エネルギーの製造・供給には危険がつきものであり、安全第一のためにあらゆるリスクを想定しながら、その安定供給を担うため必要な要素になるでしょう。

以上を踏まえると「他者のために実直に、継続的に頑張れる人」が特に向いているといえますね。

誠実さを強みに持つ人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが誠実さの自己PRの作り方・伝え方を解説しているので、併せてチェックしてください。

まだ志望動機で悩んでいる人はAIツールを活用して完成させよう!

「この業界に就きたい!」と思っていても、なぜそうなのか相手により伝わるように説明できないと悩む学生は多いです。

そのなときは無料の「AI志望動機作成ツール」を活用しましょう。簡単な質問に答えるだけで、納得感のある志望動機が完成します。

ぜひ活用して、志望業界の選考を突破しましょう。

内定率アップ! エネルギー業界への就職に役立つ資格

エネルギー業界に就職するにあたって、資格の取得を検討する人もいるのではないでしょうか。資格を取得することで、スキルや知識を有していることを客観的にアピールできるため、内定率アップにつながるケースも多くあります。

ここからは、エネルギー業界への就職に役立つ資格を2つ紹介します。少しでも内定率を上げたい人は、これから紹介する資格の取得を目指してみることをおすすめします。

電気工事士

電気工事士とは、電気設備を工事したり、取り扱ったりする際に必要な国家資格で、電気工事に携わるには取得しなければならない資格です。電気工事士を取得すると、建設現場の電気工事や鉄道の電気工事などの仕事ができるようになります

なお、受検資格はありません。誰でも受検可能なため、電気に携わる仕事がしたい、電気工事士として働きたいと考えていて、時間に余裕がある人は取得するのがおすすめです。

電気工事士の基礎知識

  • 主催団体:一般財団法人 電気技術者試験センター
  • 資格種類:国家資格
  • 試験形式:学科(CBT方式・筆記方式)試験、技能試験
  • 試験日:上期・下期の2回
  • 受検費:9,300円〜
  • 目安勉強時間:200時間程度
  • 合格率:40〜50%

エネルギー管理士

エネルギー管理士とは、エネルギーを管理する際に必要な資格です。もともとは熱管理士と電気管理士の2つの資格が存在していました。これらの資格を一本化した国家資格がエネルギー管理士です。

日本には大小さまざまな規模の工場がありますが、エネルギー使用量が原油換算で年間3,000kl以上の場合はエネルギー管理士の資格を保有している人を置くことが法律で義務化されています。このように一定基準以上の規模の工場ではエネルギー管理士が必要不可欠なのです。

そして、エネルギー管理士は工場で使用する設備の管理や、エネルギー使用方法の監視・改善などを担います。

受検資格はなく、誰でも受検可能です。エネルギーの管理業務に興味がある人は取得しておくのがおすすめです。

エネルギー管理士の基礎知識

エネルギー業界の倍率は高いと聞きますが、資格を持っていると内定をもらえる可能性が高くなりますか?

古田 文子

プロフィール

難易度の高い資格ほど高い評価につながる

資格保有だけでなく、実務経験があると即戦力としてさらに内定率は上がるでしょう。国家資格は難易度が高いものもあり、保有人口が少ない資格は持っているだけで評価につながります。

資格の種類としては、電気工事士(第一種、第二種)やエネルギー管理士以外にも、エネルギー業界で有利に働く資格があります。

電気主任技術者(電験一種~三種)、電気工事施工管理技士(1級、2級)、公害防止管理者、液化石油ガス整備士、ガス主任技術者、高圧ガス製造保安責任者、高圧ガス販売主任者など、国家資格以外を含めると数多くの資格があります。ぜひ挑戦して自分の選択肢を広げてみましょう。

就職に有利な資格は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説

分野別! エネルギー業界の志望動機の例文

分野別! エネルギー業界の志望動機の例文

  • 石油業界の志望動機の例文
  • ガス業界の志望動機の例文
  • 電気業界の志望動機の例文

「エネルギー業界の選考を受けたいけど、志望動機が思いつかない」と悩む人もいるのではないでしょうか。プロジェクトの規模が大きすぎるがゆえに、自分事化した志望動機が思いつかない人もいるでしょう。

ここからは、分野別でエネルギー業界の志望動機の例文を紹介します。例文を参考にして、自分ならどう書くかを考えていきましょう。

石油業界の志望動機の例文

石油業界の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、日本の生活基盤の安定を陰から支えたいと思ったからです。

私は父の仕事の都合で、幼少期は海外を転々としていました。12歳のときに日本に帰ってきたのですが、日本はインフラが強く、いつでも安心して生活できることを非常に実感しました。

しかし、石油は海外からの輸入に頼っており、日本国内だけの生産量では国民全員に届けられないのが現状だと思います。そこで、日本の方々が石油に関して心配することなく、安心して生活できるようにしたいと考え、志望しました。

御社に入社後は、幼少期から身に付いている英語力を活かして、グローバルに活動したいと考えています。そして、日本に安心・安全なエネルギーを届けられるように努めます。

平井 厚子

プロフィール

日本のインフラの優秀さに触れている点は良いですね。

「日本の方々が石油に関して心配することなく」を実現するためのアプローチとしてどんなことを考えているのかを補足したいです。

せっかく「グローバルな活躍」と言っているので、今後の日本のエネルギー調達と絡めて自分の意見を伝えるとさらに良くなるでしょう。

ガス業界の志望動機の例文

ガス業界の志望動機の例文

私は、より多くの人に御社のLP発電機を届けたいと思い志望いたしました。

私は東北出身で、小学生の頃に東日本大震災を経験しました。その際、電気はもちろん、ガスも止まり、満足のいく日常生活を送れなかったことを今でも覚えています。こんな状況でも電気やガスが使えるようになったら良いのになと思っていたところ、LP発電機という存在を知りました。

そして、LP発電機を調べていたところ、御社はLP発電機の開発や販売に力を入れていることを知りました。自然災害は避けられません。しかし、自然災害発生後の対応方法は変えられます。

御社に入社後は、営業職としてLP発電機をより多くの企業・人に届け、自然災害が多い日本でも安心して暮らせるようにしたいと考えています。

古田 文子

プロフィール

ガス業界が社会に貢献していることは既知の事実です。志望動機が「社会に貢献したい」だけでは弱いでしょう。

企業研究をしっかりおこない、例文のように、企業が力を入れていることに共感を示すと響きやすいでしょう。

電気業界の志望動機の例文

電気業界の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、どんな状況でも安定的に電気を供給して安心して暮らせる世の中を作りたいと思っているからです。

私の実家がある地域は悪天候の際に停電が多く、暴風雨や台風のたびに停電していました。そのため、悪天候のニュースがあった際は、毎回発電機の準備をしなければならず、非常に手間がかかっていたことを覚えています。

このような経験から、どんな地域・状況でも安定的に電気を供給できる世の中にしたいと思い、御社を志望させていただきました。

御社に入社後は、技術職を志望しています。知識・スキルを身に付けて、人々が安心して生活できるよう支えたいです。

小峰 一朗

プロフィール

電機業界の志望動機を書く際は、まずはなぜ電気に興味があるのかといった点がその背景とともに語られていると良いと思います。

そのうえで、その興味を活かしてどのような経験や成長を果たし、将来は電気によってどんな社会を創りたいのか、といった夢を語れるとさらにすてきな志望動機になるでしょう。

エネルギー業界各分野の特徴を把握して自分に合った就職先を選ぼう

エネルギー業界は、大きく分けて石油・ガス・電気の3つの分野に分かれていて、それぞれ仕事内容や特徴が異なります。

それぞれの特徴を知ったうえで就活しなければ、「業界・企業研究が足りていない」と選考に落ちたり、就職後に「思っていたのと違う」と後悔したりする可能性もあるのです。

選考に応募する前にエネルギー業界各分野の特徴を把握し、自分に合った就職先を選んで、理想のキャリアパスを描けるようにしましょう。

アドバイザーコメント

今のエネルギー業界はターニングポイントを迎えている

エネルギー業界が安定業界だったのは、石油・ガス・電力ですみ分けができていて、電力・ガスは販売エリアも限定で競争がなかったからですね。今は違います。

エネルギー調達が国の経済成長を支えるものの、「持続可能社会の希求」「カーボンニュートラルの実現」など、従来のエネルギー業界各社の事業のやり方では行き詰まることが見えてきました。

私は今のエネルギー業界は、まさに過渡期にあると思います。安定が一気に崩れて、それぞれの企業が新しいポジション獲得に挑んでいます。

どんな変化でも自分がどう感じて取り組むかが大切

これからのエネルギー業界の状況を「大変」と感じるか、「面白そう」と感じるかは人それぞれです。前者の人は、残念ながらこれからのエネルギー業界では息切れしてしまかもしれません。

「面白そうだ」と思う人には、やりがいのある業界でしょう。日本の経済成長を支えるエネルギー調達・供給は、世界的に重要な役割であり日本国内には収まりきれません。大きな絵を描いて、取り組んでください。応援しています。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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