井関農機はやばい? 赤字? 年功序列? ネガティブな噂をプロが解説

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • 国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士

    Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり

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  • 国家資格キャリアコンサルタント

    Gaku Baba〇製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事する傍ら、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。幼児教育事業も展開するなど、幅広い年代のキャリア支援に携わる

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  • 2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級

    Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう

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本企画について

「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。

農業機械のメーカーとして2026年で創業100年を迎える井関農機ですが、インターネット上では「赤字でやばい」「年功序列でやばい」といった噂をされているようです。ただし、噂はすべてが正しい情報とは限らないものです。

そこで、井関農機が気になっている人に向けて、この記事では企業の実態を説明していきます。キャリアコンサルタントからのプロ視点の解説も参考にしながら、不安に思う点を解消していきましょう。

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1分でわかる井関農機

井関農機とは

1926年に創立された農業機械の総合専業メーカー。創業者の「農家を過酷な労働から解放したい」という想いを原点とし、「お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」ことを基本理念とする。

おもにトラクタ、田植機、コンバインなどの農業用機械の開発・製造・販売を手掛け、「食と農と大地」のソリューションカンパニーとして、国内外の農業の発展に貢献。

会社名井関農機株式会社(ISEKI&CO.,LTD.)
従業員数(連結)5,199名(2025年12月31日現在)
本社所在地愛媛県松山市
おもな事業以下の製品の製造・販売
・整地用機械:トラクタ、耕うん機、乗用管理機、芝刈機
・栽培用機械:田植機、野菜移植機
・収穫用機械:コンバイン、バインダ、ハーベスタ
・調製用機械:籾すり機、精米機、計量選別機、野菜収穫調製機
・その他:作業機、補修用部品、農業用施設、コイン精米事業、炊飯事業、その他仕入商品
売上高(連結)1,857億7,000万円(前年同期比10.3%増)(2025年12月期)
経常利益(連結)41億1,900万円(前年同期比161.2%増)(2025年12月期)
企業HPhttps://www.iseki.co.jp/
新卒採用HPhttps://recruit.iseki.co.jp/newgraduates/
企業情報

「井関農機がやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く

井関農機がやばいと言われる4つの理由を紹介します。正確なデータをもとにした客観的な分析と、キャリアコンサルタントからの情報の読み解き方を参考にしながら、企業の実態をとらえていきましょう。

①赤字を計上したから

井関農機は2024年12月期の決算において赤字を計上しています。売上高は昨対比99.1%となる1,684億2,500万円、経常利益は昨対比75.4%となる15億7,700万円と業績が下がり、当期純損失として30億2,200万円の赤字が出ることになりました(※1)。

損失の原因としては、為替換算の影響で販売費や管理費が増えたこと、持分法による投資の損失が挙げられます。また、プロジェクトZという抜本的な構造改革を実施したことで、多額の損失につながったと分析されています(※1)。

同社は引き続きプロジェクトZを推し進めた結果、2025年12月期の決算では、昨対比110.3%となる1,857億7,000万円の黒字回復を果たしています(※2)。そのため、一時的に痛みの伴う戦略を取ったものの、その成果が出ているととらえることができます。

※1 井関農機 有価証券報告書 2024年12月期
※2 井関農機 有価証券報告書 2025年12月期

アドバイザーのリアル・アドバイス!企業の赤字が「やばい」かは3つの点でわかる

国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士

平野 裕一

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赤字の金額だけを見て「やばい」と一喜一憂する必要はありません。危険水域かどうかを見極めるポイントは3つあります。

①本業の稼ぎ(営業利益):これが3期以上連続でマイナスかつ売り上げも落ち続けているなら黄色信号です。

②赤字の理由:今回の井関農機のように、構造改革という未来のための「膿出し」であれば、一時的な出血に過ぎません。

③自己資本の厚み(会社の体力):1回の赤字で会社が傾くほどのダメージでなければ、倒産リスクは低いです。

リスクを代償に立て直せる力のある企業かを見極めよう

井関農機は「プロジェクトZ」という痛みを伴う改革を断行し、翌2025年には見事なV字回復を果たしました。これこそが未来への投資による一時的な赤字の典型例です。

就活生の皆さんは、表面的な数字のマイナスに惑わされず、「その赤字を乗り越ええる底力や次の一手(戦略)があるか」をセットで見る目を養っていきましょう。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

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②年功序列の風潮が根強いから

井関農機の口コミでは年功序列という意見が良く見られ、「若い内に給与が上がりづらい」といった噂につながっているようです。また、農業にかかわるという仕事のため、若い人が少なそうというイメージが影響していることもあるかもしれません。

ただし、井関農機の社員の平均年齢は45.5歳(※1)と公表されており、製造業界の平均43.8歳(※2)と比べても大きな差はありません

また、評価も決して年齢や勤続年数だけでは決まらず、あらゆる視点から評価する360度評価制度を導入していたり、グループ人材公募制度によって社員の自主的なキャリア形成を促したりしているようです(※1)。

※1 井関農機 有価証券報告書 2025年12月期
※2 厚労省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況

プロのアドバイザーはこう分析!年功序列でも若手が育つ! 井関農機の意外なリアル

国家資格キャリアコンサルタント

馬場 岳

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実際、井関農機は1926年創立の長い歴史を持つ老舗企業であり、社員の口コミでも「年功序列が非常に強い」と感じる声は確かに存在します。

一方で、20代の成長環境や仕事を通じた社会貢献への評価は3.0前後と、若手がやりがいを見出している側面も見て取れます。

若さが武器になる! 2つの質問で企業を動かす存在になろう

今、就活市場では「歴史ある企業の変革期」に飛び込む価値が高まっています。同社も現在、ロボット農機や電動商品の開発、海外展開を加速させる成長戦略「プロジェクトZ」の真っ只中にあります。

こうした先端分野の推進には、年次にとらわれない柔軟な発想が不可欠です。

具体的なアドバイスとして、面接や説明会では「若手がプロジェクトの主導権を握った事例」や「挑戦を評価する仕組み」をぜひ質問してみてください。

伝統と変革が混ざり合う今だからこそ、若い人材の「新しい視点」は組織を動かす最大の武器になるはずです。

③部署によって残業時間が長いから

井関農機の平均残業時間は12.9時間(※1)と、製造業界の平均14.5時間(※2)よりも抑えられているようです。また、フレックスタイム制度やノー残業デーの実施など、従業員のワークライフバランスを考えた施策を取り入れています(※3)。

残業時間が長いと言われるのは、一部で業務量が増加していることだと考えることができます。現在はプロジェクトZという抜本的な構造改革の実施中であり、新たな組織を立ち上げたりする拠点では、一時的に忙しい状況となっている可能性があります

残業時間が伸びる時期や、業務が忙しくなるときの特徴などが気になる場合は、企業の説明会やOB・OG訪問等で、実際の様子を詳しく聞いておくのが良いでしょう。

※1 井関農機 ESGデータ
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
※3 井関農機 働きやすい職場づくり

プロのアドバイザーはこう分析!繁忙期は2回? 農業と連動した特徴的なサイクルがある

2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級

森田 智比呂

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農業機械メーカーの残業時間は、農業の季節性と密接に連動する傾向があります。田植えの春(4〜6月)と稲刈りの秋(9〜10月)は、農家からの問い合わせや修理依頼が急増するため、サービス部門や営業部門で残業が増えやすい時期です。

また、農繁期に間に合わせるための納期前は、製造部門で残業が集中しやすい時期です。特にトラクタや田植機、コンバインは必要な時期が明確なため、出荷前に業務が集中する傾向があります。現場の負担も増えやすいでしょう。

変革期だからこそ知っておくべきもう一つの繁忙期

加えて、現在推進中のプロジェクトZは抜本的な構造改革であり、これまでの業務サイクルにはなかった残業が発生しやすい状況を生み出している可能性があります。

新組織の立ち上げや業務フローの見直しが進む部署では、改革業務と通常業務が重なることで、農繁期や納期とは関係なく、不規則に負荷が高まるタイミングが生じることも想定されます。

残業時間は会社全体の平均だけでなく、配属される職種や部署によって大きく異なる可能性があります。選考を通じて確認しておくことが大切です。

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④複数の違反があったから

井関農機について調べると、「下請法違反」や「独占禁止法違反」など、複数回の違反があったことが話題に上がります。

確かに、2025年5月9日に公正取引委員会から下請法違反についての勧告を受けています(※)。また、2013年11月にも同委員会より、農業用施設の入札において独占禁止法違反の認定をされて、最終的には3億500万円の課徴金納付命令を受けています(※2)。

同社は注意を受けたことで、再発防止に向けた取り組みを策定しています(※1)。違反行為を指摘されたという事実を知ったうえで、その後の企業の動き方を確認することで、企業の実態を把握しましょう

再発防止に向けた取り組み

  • 下請法違反内容および再発防止策の社内通知
  • 下請取引適正化に関する基本方針の策定
  • 法務担当者による下請法の順守状況についての定期的な監査
  • 役職員に対する下請法順守のための定期的な研修

※1 ISEKIレポート 2025
※2 井関農機 有価証券報告書 2015年3月期

プロのアドバイザーならこうアドバイス!不祥事=やばいは早計! 本当に見るべきはその後の動き方

国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士

平野 裕一

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法令違反の事実に不安を覚えるのは当然ですが、「違反の有無」だけで企業を排除するのは早計です。プロの視点から言えば、見極めるべきは「違反後の対応姿勢」と「改善の現在地」です。

同社は2025年に下請法違反の勧告を受けましたが、開示されている同12月期決算では大幅な黒字回復を果たしており、致命的な取引停止には至っていない事実が確認できます。

一度の過ちにとらわれるのではなく、掲げられた再発防止策が組織に浸透しているかどうかが現実的な判断基準となります。

企業の真の姿を自らの目で確かめることが求められる

コンプライアンス意識の高さは働く環境の安心感に直結します。

ネットの噂に流されて「やばい」と決めつけるのではなく、面接や説明会で「再発防止に向けた監査や研修の現在の運用状況」を直接質問するなど、開示された事実をもとに自ら見極める視点を大切にしてください。

噂が真実だから井関農機はやばいとするのは早計である

企業に対する情報が曖昧なまま、「赤字だからやばい」と決めつけたり、「年功序列」と言い切ってしまうのはもったいないです。

企業についての情報は何が事実なのかを理解して、その事実や周辺情報からどのような企業だととらえることができるのかを考えてみましょう。

アドバイザーからワンポイントアドバイス「老舗=安定」の思い込みは危険! 井関農機が直面する激変のリアル

国家資格キャリアコンサルタント

馬場 岳

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井関農機を志望する際、まず知っておくべき「ギャップ」は、100年の歴史を持つ超安定のイメージと、現在進行中の激変期の差です。

現在、同社は「プロジェクトZ」という聖域なき構造改革の真っ只中にあります。具体的には、製品組立拠点を松山へ集約するなど、拠点の再編や機種の30%削減が進められています。

これは「今まで通り」が通用しない覚悟の表れですが、将来的に勤務地や担当業務が予想外に変わる可能性がある点は、事前に認識しておくべき大きな変化です。

また、社内調査でも「賃金・人事制度」への満足度が課題として挙がっており、実力主義への移行期特有の歪みを感じる場面もあるかもしれません。

将来の力になる! 変革期の企業にぶつけるべき逆質問

アドバイスとして、面接では「拠点再編などの変化に対し、現場の若手社員はどのようなマインドで向き合っているか」を質問してみてください。

こうした「組織の変革」に対して当事者として立ち会う経験は、必ず将来の市場価値を高めていくことになります。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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