この記事のまとめ
- 美大生で身に付けたスキルを活かせる9つの就職先を紹介
- 「美大生は就職先がない」という話の実態をプロが解説
- 美大生の経験やスキルを就活に活かすコツを理解しよう
- 自己分析ツール
たった3分で面接で使える"あなたの強み"がわかる!
この記事を読んでいる人におすすめ
「美大に進学したものの、どんな就職先があるのかわからない」「美大ならではの就職先はあるのだろうか」などと考える人もいるのではないでしょうか。「美大に進学すると就職先がない」と言われたことがある人もいるかもしれません。そのような話を聞くと不安になりますよね。
結論、美大に進んだ人にも多様な就職先があります。特に、在学中に得た経験や学生自身が持っているスキルを活かせば社会人になってもいきいきと働くことができると考えられます。
この記事では、キャリアコンサルタントの杉原さん、板谷さん、古田さんと一緒に、美大生のおもな就職先や仕事内容を解説します。美大からの就職に関する知識を身に付け、自分の選択肢を増やしましょう。
美大の就職先選びは学生時代の経験や強みを活かせるかが重要!
美大生は作品制作や美術関係の歴史など、ほかの大学にはない学問やスキルを学べます。在学中に得た経験を活かせば、経済学部や経営学部などの一般的な学部に所属していた人と違った側面から採用担当者に自分をアピールできるでしょう。
しかし、就活の場面では、「美大で身に付けたスキルの何をアピールしたら良いかわからない」や「どんな就職先が向いているかわからない」と悩む人もいると思います。
この記事では、前半で美大生のおもな就職先や仕事内容を詳しく解説します。最初にどのような選択肢があるのかを把握し、視野を広げましょう。
その後で、美大生に求められるスキルや就活で活かせる経験を解説します。記事を最後まで読めば、自分が持っている経験を就活でアピールする方法が身に付きますよ。
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「美大生は就職先がない」は本当? 就活のプロが真実を解説!
はじめに、「美大生は就職先がない」という話は真実なのか採用経験のあるキャリアコンサルタントの古田さんに解説してもらいます。
「就活をはじめても就職先がないなら意味がないのではないか」という不安を持ったまま就活を開始しても、履歴書の作成や面接の練習に身が入らない人も多いでしょう。
就職活動をはじめる前に不安な点を解消しておき、後悔なく就活に取り組めるようにしましょう。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見るむしろ美大生は多くの選択肢から就職先を選べるので安心してOK
本当に就職先がないのであれば、誰も美大に進学しようと考えなくなってしまうでしょう。また、もし本当に就職ができないのであれば、それは自己理解や自己分析が不足しているなど、美大出身である以外のところに理由があるのかもしれません。
どちらにしても、労働人口が減っている昨今、求人倍率を見ても就職先がないということはないので、安心してください。
美大を出ているため、一部はデザインや工芸品作家などのアーティスト系の仕事を選ぶ人もいますが、多くの美大生の就職先は、広告業界や建築業界、ゲーム業界、出版業界、教育業界など、実際はかなり多岐に渡ります。
就職先に迷ったら自身が美大に入学した動機を思い出そう
私は高校時代、選択授業で美術を選択していましたが、担当の先生は美大出身でした。とてもユーモアがあり、先生自身も楽しんでいたような印象があり今でもよく覚えています。
就職先選びに迷ったら、なぜ美大への進学を決めたのかなどの動機を振り返って、自分で枠を作らずに納得のいく選択をしてほしいと思います。
こちらのQ&Aでは就職ができない学生の特徴をキャリアコンサルタントが回答しているので参考にしてみてください。
あなたが受けない方がいい職業を確認してください
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美大生のおもな就職先とおすすめの仕事内容
前述のとおり、美大生であっても就職は可能です。一方で、やりがいを持って働くためにもただ就職するのではなく、自分のスキルを活かせたり、好きなことを仕事にできたりするのが理想的ですよね。満足のいく就職を実現させるためにも、実際に美大に通っていた人がどのような仕事をしているのか理解を深めることが大切です。
ここからは、美大生のおもな就職先とおすすめの仕事内容を解説します。
美大生におすすめの就職先や仕事内容を理解すれば、経験を活かして働ける可能性が高まります。自分のやりたい仕事がまだわからない人は、美大生が活躍しやすい業界を知ることで選択肢を増やせますよ。
広告業界
広告代理店をはじめとした広告業界は、美大生が活躍しやすい業界です。広告代理店では顧客からの依頼に合わせて、商品やサービスを世間に広めるための広告づくりがおこなわれています。
広告作りでも、美大で学んだデザインやイラストに関する知識を活かして活躍可能だからです。
また、広告代理店はおもに3つの種類に分かれます。
広告代理店のおもな種類
- 総合広告代理店:幅広い媒体を利用する広告代理店
- 専門広告代理店:特定の媒体に精通した広告代理店
- ハウスエージェンシー:特定の企業を広告主とし、事業をおこなう広告代理店
どのような違いがあるか知っておけば、就職先選びの参考になりますよ。
専攻した学科の内容を理解してくれる、また美大自体に理解がある広告代理店を選ぶのがおすすめです。そして、学んだ内容が業務とどのくらい一致しているか、学びを発揮できるかで検討しましょう。
広告代理店についてはこちらの記事で詳しく解説していますよ。向いている人の特徴や働くやりがについても紹介していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
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広告代理店の仕事内容や向いている人の特徴を解説しています。また、広告代理店への転職を成功させるためのポイントをキャリアコンサルタント視点から解説しているので、ぜひ確認してみてください。広告代理店の仕事内容を正しく理解して、転職活動を悔いなく終えましょう。
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アパレル業界
アパレル業界は、洋服やカバン、靴など、製品を製造・販売する業界です。
アパレル業界にとって布地は切っても切り離せない存在で、布地の染色や織物の生地作りを専門分野としている人は重宝される可能性が高いです。そのなかで、美大のテキスタイル科に在学している人は、アパレル業界で必要な知識やスキルを持ち合わせている傾向にあるため、企業にとっても心強いでしょう。
また、アパレルデザイナーは服飾関係の学校を出身としている場合が多いですが、企業によっては美大を卒業した人でも目指せます。特にデザインの部分はセンスや知識が求められます。その際、美大で培ったものを発揮することも可能です。
ファッション関係に興味がある人や、もの作りに携わりたい人にとって、アパレル業界はやりがいを感じる仕事となるでしょう。
ゲーム業界
絵画や工作へ精通している美大生が、ゲーム業界に勤めるイメージがない人もいるかもしれません。しかし、ゲーム業界は職種が幅広く、美大生が持っている知識を活かせる職種も多く存在します。
美大生がゲーム業界を目指すなら、ゲームのキャラクターやシナリオ、アイテムの設定を任せられるゲームデザイナーがおすすめです。創作活動で発想力を培った美大生であれば、他者が思い浮かばない魅力的なデザインができるのではと期待されるのでしょう。
ゲーム業界は納期に間に合わせる必要があるため、忙しい業界の一つともいわれていますが、もの作りに携われる仕事です。ゲームやアニメが好きな人であれば、やりがいを感じて楽しく働けるでしょう。
ゲームのキャラクターデザインや背景アートなどの作品作りに関する経験があればポートフォリオを準備してアピールすることが効果的です。ゲーム業界での使用頻度の高いソフトウェアスキルについても効果的なアピールとなります。
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テレビ・映像系
映画やドラマが好きな人であれば、撮影時のセットや小道具を作る美術スタッフを目指すのもおすすめです。
映画では撮影のためにセットを作るケースが多く、学生時代に美術関係を学んでいた舞台芸術を学んでいた美大生は頼りになる存在です。監督やプロデューサーが持つイメージを聞き出し、具体的な形にする想像力や表現力が欠かせません。美大生であれば、学生時代に培ったデザインやものづくりの技術・知識を活かし、本物そっくりな小道具や大道具を作成できるでしょう。
ただし、テレビや映像業界は納期や人手不足の関係で多忙になりがちです。好きな仕事であればやりがいを感じる人が多いですが、長く続けるためには体力や気力も必要になります。
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建築業界・インテリア業界
美大生の就職先として、ハウスメーカーや家具・インテリアメーカーに就職する人もいます。建築・インテリア業界にはさまざまな仕事があるなかで、美大生は設計と内装デザインがおすすめです。
ここからは、美大生が建築業界に勤めたときにそれぞれどのような仕事をするのか解説します。
設計
建築業界に勤める美大卒業生の中には、設計の仕事をしている人もいますが、電気やガスなど生活に欠かせない設計から、建物全体の設計まで細かく分野が分けられています。
電気やガスの設計は設備設計と言い、住宅の空調や照明、配管からメーカー製品の選定まで幅広く対応します。エアコンの空調効率や照明配置は電気代にも直結するため、顧客も重視する部分です。工事がはじまってからも顧客とやりとりする必要があり、状況に合わせて設計を変更するケースもあります。
建物全体の設計は、基本設計と言います。顧客の要望を形にするだけでなく、法律上問題ない建物を設計することが必要です。他者の暮らしを支える家を作るという点から、責任感がある人が向いているでしょう。
自己PRとして責任感が強いことをアピールしたいと考えている人は、こちらの記事を参考にしてください。
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責任感の自己PRは安易に使用すると高評価を得られません。注意点を踏まえて内容を考える必要があります。この記事では仕事で求められる責任感か見極める基準や自己PRでアピールする方法、周囲と差別化するコツをキャリアコンサルタントが解説します。
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建築学科がある美大では、二級建築士、木造建築士受験資格、一級建築士受験資格などが取得できます。実務経験が必要なもの、必要ないものなどがありますが、これらは取得しておくと就職に有利になるでしょう。
内装デザイン
内装デザインは、一から室内のコーディネートをおこなうのが仕事です。デザインするのは住宅や店舗だけでなく、飛行機や自動車の内装まで幅広く業務が分かれます。
内装デザインとして働く際、依頼者や施工業者とやりとりが多いため、要望やイメージを形にしていく技術が必要になります。ほかにも顧客の希望を正確に聞き出すためのコミュニケーション能力も必要です。
インテリアや家具に興味があり美大へ進んだ人は、制作まで携われる工房への就職を視野に入れるのもおすすめです。自分の考えた家具を作り顧客へ届けられるのは、もの作りが好きな美大生にとってやりがいにつながるでしょう。
印刷・出版業界
印刷・出版業界では、自分が任せられた雑誌の企画立案を担当したり、企画に沿って必要な人材を手配したりするのがおもな仕事内容です。美大で培ったデザイン力を活かして、雑誌や書籍の制作にかかわることができます。
また、雑誌や書籍を作る際多くの人とかかわるため、イメージの共有やお互いが気持ちよく働けるようコミュニケーション能力も必要になります。
また、デザイナーだけでなくカメラマンとして写真の道へ進む人もいます。それぞれの仕事内容を理解しておくと、自分に合った道を探せるでしょう。
デザイナー
デザイナー職は、新聞や雑誌をはじめとした、印刷物のデザインをおこないます。編集者やディレクターの指示のもと、用意された写真やイラストを活用して読者が理解しやすいようにレイアウトを考えるのがおもな仕事内容です。
デザイナーは求められたイメージを形とする力が求められますが、同時に自分が持つデザイン力をしっかり発揮できる職業です。美大でデザインを学んだ人にとって、一つの作品作りに貢献できるため、完成したときには大きなやりがいを感じられるでしょう。
デザイナー志望の人は、以下の記事で志望動機の書き方をチェックしておきましょう。
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デザイナーの選考では応募企業とのマッチ度が重要とされているため、志望動機がとても大切です。夢や憧れを語るだけでは不十分。この記事では、多種多様なデザイナー業界の採用担当者に響く志望動機の作成方法を、キャリアコンサルタントとともに例文付きで紹介します。
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デザイナー採用であれば、一年目からデザイナーとして働けます。ただし、大手の場合は作業が細分化されてやりたいことができない可能性もあるため、入社前に確認しましょう。また、小規模の会社だとデザイン以外の仕事も兼務することがあります。
カメラマン
美大の学科には、映像や写真をメインに取り扱うコースもあります。このようなコースを卒業した学生のなかにはカメラマンとして写真や映像に関する仕事に就く人もいるでしょう。
カメラマンとしての仕事は、テレビや映画などの映像の撮影から、雑誌で使われる静止画撮影まで幅広く分かれます。人を対象にした撮影だけでなく、商品を魅力的に撮影する場合もあります。
なお、カメラマンとして働く手段として企業に勤めるだけでなく、フリーランスとして働くことも可能です。それぞれの特徴を理解して、自分に合った働き方を選びましょう。
公務員
美大を卒業後安定して働き方を志望する人には公務員がおすすめです。公務員は業績で給与やボーナスが左右されず、福利厚生も充実している職業です。
しかし、美大のスキルを活かせる公務員の仕事に関して、すぐに思い付かない人もいるかもしれません。ここでは、美大生が学生時代の経験を活かして働ける職業を解説します。美術の道に進みながら安定して働きたい人は、ぜひ参考にしてください。
行政のクリエイティブ枠
近年では、兵庫県の神戸市や千葉県の市川市など、いくつかの自治体で「デザイン・クリエイティブ枠」を設置しています。公務員のなかでも専門性に特化した職業で、デザインの力で地域活性やまちづくりをするなど、行政の問題を解決することが目的です。
行政でのクリエイティブ職は、市役所内で作るチラシやサッシのデザインがおもな仕事内容です。チラシや冊子はデザインによって読んでもらえるかが変わるため、行政によっては重宝されることがあるでしょう。
ただし、行政で募集されるクリエイティブ枠の人数は多くありません。目指すのであれば、倍率の高さを理解したうえでしっかり準備し公務員試験に臨みましょう。
学芸員
博物館の学芸員として働くのは、美術にかかわる仕事をしながら安定的な収入が得られるのが魅力です。
学芸員のおもな仕事内容は、博物館で資料の収集や保管、展示されている品の管理などです。美大に通う間に身に付けた知識を活かせるだけでなく、働いている場所に展示されている貴重な資料を間近で堪能できます。
展示する際には資料に触れる機会もあり、ほかの仕事では得られない経験となるでしょう。
なお、学芸員として働くには国家資格が必要です。資格を得るには大学で必要な科目を履修するか、文部科学省がおこなう学芸員資格認定に合格する必要があります。
- 学芸員になるために、美大に在学している間どのような経験を積んでおけば良いでしょうか?
実務経験の有無が影響するため研究実績とアルバイト経験を積もう
学芸員はどちらかというと研究者の面が強い職種です。そのため、美大ではなく人文学部を出た人も多いのが特徴です。在学中は、美術史などの知識を身に付けると同時に、関心がある分野の研究対象を持って、とことん研究すると良いでしょう。
また、近年の学芸員は大学院を出ているのが当たり前という風潮があります。国家資格を持っていることは大前提ですが、修士号以上を取得していることや、アルバイトレベルでも良いので美術館などでの実務経験がある方が就職には有利になります。
在学中は、研究実績と博物館でのアルバイト経験を積むことをおすすめします。
公務員と民間企業の併願を考えている人は以下の記事もチェックしておきましょう。
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教育業界
人に教えることやコミュニケーションが好きな人は、美術の講師として教育業界に勤めるのもおすすめです。
教育業界では、常に若い感性や自分以外に芸術を愛する人とかかわりを持ち続けることができ、刺激を得られるため、自身の創作活動にもプラスに働くことが多いでしょう。
なお、教員免許をとっておけば、ライフスタイルの変化があったり、引っ越しが必要になったりした場合でも仕事が探しやすくなります。
中学・高校の美術教師や専門学校の講師
中学や高校で美術教師を目指す場合は、教員免許の取得が必要です。美大在学中に、教職課程を履修しておくことで、大学卒業後に教員として働けるようになります。
公教育で美術教師として働く場合は、生徒一人ひとりの個性を尊重し、創作の楽しみを伝えるのが大切です。多感な年頃の生徒と接するため、同年代以外とも会話できるコミュニケーション能力が求められます。
自分の想像力を仕事で活かすだけでなく、他者のクリエイティブな発想を伸ばす能力も必要です。そのうえで美術以外の校務も仕事に含まれます。美術に携わるだけでなく、学校で生徒が過ごしやすいための配慮やスケジュール管理が必要になります。
中学・高校の美術教師や専門学校の講師を目指すのであれば、他者に教えたり、能力を発揮できるよう環境を整えたりする経験を積んでおくと役立つでしょう。
美術教室の講師
公教育で美術を教えるのと違い、美術教室で講師になるのに特別な資格は必要ありません。
絵画教室は子ども向けから社会人向けまで幅広くあり、自分が教えたい年代や需要に合わせて教室を選べます。
美術教室で働くための方法は大きく分けて2つあります。一つ目は、講師を募集しているカルチャーセンターへ応募して選考を突破する方法です。美大で学んでいた経験がある人なら、美術の基本的な知識があると判断され、採用される可能性は高くなるでしょう。
もう一つは、自分で絵画教室を開くことです。実績がなくても実力があればチャレンジできます。しかし、生徒を集めるのは簡単ではありません。インターネットを利用したオンライン講座も選択肢に入れ、どのように集客するか考える必要があります。
絵画・イラスト業界
絵を描くのを仕事にしたい人は、絵画・イラスト業界を目指すのがおすすめです。自分の好きなことを仕事にできるため、やりがいを感じながら働けるでしょう。
イラストを仕事にできれば、絵画業界だけでなく出版業界や広告業界など幅広い業界にチャレンジしやすいのも特徴です。絵画・イラスト業界で実力を身に付けてからほかの業界にチャレンジするのも良いでしょう。
また、絵画業界であれば自分で作品を作る以外にもさまざまな働き方があるため、どのような仕事があるのか理解を深めておきましょう。
イラストレーター
イラストレーターの仕事は、雑誌や小説の挿絵や駅に貼るポスター作成など多くの人の目に触れる絵を描き、絵を通してメッセージを伝えることです。ただ絵を描くだけでなく、顧客が伝えたいメッセージを表現し、見た人が瞬時に理解できるように描く必要があります。
そのためには、顧客の要望を正確に聞き出すコミュニケーション能力も欠かせません。また、イラストレーターの仕事には納期がつきもののため、自己管理能力も必要です。
イラストレーターとして働くのに資格は必要ありません。しかし、自分の表現力を実際に目で見て判断してもらうために、美大にいる間にポートフォリオを作成し実績をアピールする方法を作っておくことも重要です。自分が描いた絵をさまざまな人に見てもらいたい場合は、おすすめの職業です。
コミュニケーション能力の高さを自己PRでアピールしたい人は、以下の記事を参考にしてください。
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例文12選|コミュニケーション能力の自己PRを3ステップで解説
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Webデザイナーやプログラマーなど、特定の技術を必要とする仕事をする際に求められる「ポートフォリオ」。実は作品例だけでなく、自己紹介も大切になります。しかし、「評価されるポートフォリオの自己紹介の作り方がわからない」「そ […]
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概要を伝えるためのデッサンやツールを使ってイラストを描く技術とAdobe IllustratorやAdobe Photoshopなどのデザインソフトを使用することができるとスムーズです。
また、納期や企業ニーズなど細やかな確認が必要な場面も多いため、コミュニケーション能力を養っておくと良いでしょう。
イラストを描くことが得意で自己PRでもアピールしたいと思っている人はこちらのQ&Aも参考にしてみてください。自己PRでイラストを描くことについてキャリアコンサルタントが回答しています。
美術館スタッフ
美術館スタッフといえば、学芸員のイメージがある人もいるでしょう。しかし、実際には美術館は多くのスタッフがいて、学芸員の資格がなくても就ける職種があります。学芸員以外で美術に携わりたい場合は、美術館のスタッフを選択肢に入れるのもおすすめです。
美術館のスタッフは、展示エリアで来場者が展示物に触らないよう監視したり、来場者の案内をしたりします。作品の近くで働けるため、美術品を見るのが好きな人は楽しめるでしょう。
ほかにも、来場者へのチケット販売やミュージアムショップでの販売員などの仕事もあります。規模の小さい美術館であれば複数の仕事を兼任する場合もあり、さまざまな仕事を経験できるでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
就職先に悩むなら! 美大生は就職以外に選択肢がある
多くの学生が大学を卒業後は就職を考えると思います。一方で、大学院への進学やアーティスト活動など企業に就職しない選択肢もあります。
ここからは、就職以外の美大卒業後に選べる選択肢を解説します。自分のキャリアプランを考えつつ、後悔のない進路を選べるよう視野を広げましょう。
大学院
美大卒業後もさらに専門分野の学びを深めたいと感じたら、大学院に進む手もあります。大学院は美大に在学している間よりも創作活動に集中でき、より自分の技術を高められます。
また、大学院へ進学すれば、最終的に就活する際に2年間の準備期間を得られるのも魅力です。企業に自分をアピールする経験やスキルも身に付けられ、就活も心強く進められると考えられます。
一方で、さらに学費がかかるというデメリットもあります。創作活動への時間が増える分、自分から動かなければ刺激も少なくなります。
大学院へ進むなら、2年間をどのように過ごすか事前に計画を立てておくことが重要です。
大学院で学んだ内容を就職活動でアピールする方法がわからない人は、下記の記事を参考にしてください。
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大学院生は履歴書で学歴・職歴をどう書く? 研究成果の伝え方も解説
これから履歴書を作成する大学院生に向けて、学歴・職歴欄の書き方や専門スキルを効果的にアピールするコツをキャリアコンサルタントとともに解説します。大学院生としての経験や実績を履歴書を通して正確に伝えて、高評価を獲得しましょう。
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- 企業にとって、美大の大学院で学んだ人材にはどのような魅力を感じるのでしょうか?
現場でスキルや強みを発揮できる人材が求められる
大学院に行ったかどうかよりも、実際に現場で強みを発揮できる人材かどうかが重要だと思います。大学院に行くならそれなりに年齢を重ねているので、院生といえども社会人としての立ち居振る舞いや一般常識が求められます。
また、ビジネスの現場になると、顧客の要望をビジュアル化できる力が求められます。企業では商業性が追求されます。また、会社の利益に貢献し、組織行動ができないといけません。
そうしたことも含めて院生として研鑚を積んでいると、企業には魅力的な人材と映るのではないでしょうか。
就活を開始してから大学院への進学を考える人は、こちらもおすすめです。
アーティスト活動
美大卒業後に特定の企業に勤めずアーティストとして活動するのも、美大生の選択肢の一つです。
創作活動の時間を増やせるのはメリットですが、収入が安定しないというデメリットもあります。学生時代に作品を販売するルートやファンを作っておかないと、アーティスト活動一本で生計を立てるのは難しいでしょう。
アーティスト活動だけで生計を立てられないうちは、アルバイトなどほかの方法で生計を立てる必要があります。生活するための費用を確保しつつ、創作活動の時間をとるバランスが重要です。
就職先選びの参考に! 美大生が企業に求められているスキル
美大生が企業に求められているスキル
- クリエイティビティ
- 主体性と行動力
- 企画力
- 問題解決能力
美大生の就職先への理解が深まったら、どのようなスキルをアピールすれば就職活動が有利になるのか知識を付けましょう。
企業が美大生に求めるスキルは業界や職種によって異なるため、目指す職種に合わせてアピール方法を変える必要があります。自分が持っているスキルの活かし方を知って、選考突破を目指しましょう。
クリエイティビティ
美大に通う学生は、常に創作活動に身を置いていた人がほとんどでしょう。自分の考えや伝えたい内容を作品として形にする活動をしていたため、企業から見ても美大生は表現する能力が高いイメージがあります。
企業が発展するためには、今市場に出ているサービスや製品と違うデザインや発想が必要になります。他者にない創造力をアピールできれば、就職活動は有利になるでしょう。
就職活動でアピールできるほど自分のクリエイティビティに自信がない人は、アートに触れる機会を増やし自分の作品を作ってみるのがおすすめです。芸術に触れたことで得られた発想を表現する機会を増やせば、少しずつ創造力を身に付けられます。
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発想力は自己PRに効果的です。特に発想力の自己PRは、題材にするエピソードが重要になります。この記事では、発想力をアピールするために大切な基本や、差別化のための応用事項を、例文を交えてキャリアコンサルタントと解説します。
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たとえばダイエットでも、ただ「痩せた」だけではイメージしにくいですが、「3カ月で5キロ痩せた」といえばイメージしやすくなるように、数字にできる情報は数字にすると表現力があると思ってもらいやすくなります。
主体性と行動力
一般的に美大生は、主体性や行動力がある人材と期待されるケースもあります。
就職してから企業で活躍するには、自ら考えて行動する能力が欠かせません。受け身な人では上司からの指示待ちになるケースもあり、企業の成長に貢献できなくなる可能性が高くなります。
その点美大生は、与えられた課題をもとに自分で考え作品を作り上げています。課題をクリアするためには、新たに身に付けなければいけないスキルもあるでしょう。その際、主体的に行動しなければ、スキルを身に付けないまま卒業することになってしまいます。
このような背景があるため、自ら行動してスキルを身に付け、決められたルールのなかで自分の表現したい内容を形にしてきた美大生には、ほかの学生にない行動力があると期待されています。
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企画力
広告業界やアパレル業界など、企画力が求められる企業は多いです。作品を日常的に作っている美大生は、企業から「持っている発想力を活かして新しい企画を作れるのではないか」と期待されることがあるでしょう。
企画力がある人は、問題解決力も高い場合が多い傾向にあります。企画とは、今ある問題を解決するための新しい発想でもあるからです。
企業が成長していくためには、新しい企画を生み出すだけでなく課題を解決し続けていく必要があります。作品作りで鍛えた発想力を活かせば、企業が求める企画力より高い水準であることをアピールできるでしょう。
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問題解決能力
発生したトラブルや企業が抱える課題を解決できる能力も、美大生に求められる能力の一つです。
作品を完成させても納得いかなければ、作り直したり手直ししたりする場合も多くあります。その過程で課題を見つける力は、就職後には企業が成長するために解決するべき課題を見つけ出し、改善策を考えられる力となるでしょう。
企業で成果を出すのに重要なのは、新しいものを作る発想力だけではありません。起きたクレームやトラブルも解決できれば、今いる顧客から信頼を得ることにもつながるでしょう。
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文化祭や展示会などでチームメンバーとコミュニケーションを図り、調整して問題を解決することができた事例があると、入社後に顧客との進捗に関する調整やコミュニケーションを図って業務に取り組むことができるという印象を与えることができます。
アピールしてみよう! 就活に活かせる美大ならではの経験
就活に活かせる美大ならではの経験
- デザイン会社でのインターンシップ
- 美術館でのアルバイト
- 展覧会・SNSでの作品販売
- OB・OG訪問
美大生は一般の大学に通う学生に比べて、特徴的な経験をすることが多くあります。どのような経験が採用担当者の印象に残るか知っておけば、就職活動に向けて事前に準備もできるでしょう。
ここからは、美大生だからこそ採用担当者にアピールできる経験を解説します。当てはまる経験がなければ、就職活動がはじまる前に経験しておくのもおすすめですよ。
デザイン会社でのインターンシップ
大学生にとって、インターンシップは実際に社会人として働く自分を想像できる貴重な機会です。美大に通う学生であれば、デザイン会社のインターンに参加するのがおすすめです。
デザイン会社のインターンに参加した経験は、デザインを仕事にしたい人にとって就職活動でアピールしやすい要素になります。実際の仕事ではどのようなデザインを求められているのか理解でき、創作活動にも落とし込めます。
顧客の要望を形にする作業は、普段自分の伝えたい気持ちを表現するのとは違い、他者の主張を形にする大きな経験となるでしょう。インターンは短期・長期とさまざまなため、早めに行動すると好きなインターン先を選びやすくなります。
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美術館でのアルバイト
美術館でのアルバイトは、芸術を間近に感じつつ就職活動で活かせる経験を身に付けられる場です。
作品の解説や実際に触れるのは学芸員の仕事ですが、展示スペースを監視する役目や美術館内の飲食店などは学生でもアルバイトとして経験できます。一般的な飲食店で働くよりも芸術に近い場所で働けるため、自分の感性を磨くことも可能です。
美術館でのアルバイトでは、芸術を愛する人はさまざまな年代の人と会話する機会が得られるため、就職後に顧客とやりとりするためのコミュニケーション能力も高められます。
美術館でアルバイトとして働く場合、これまでに来た経験や美術館の印象を聞かれる可能性があります。面接前に足を運び、どのような展示があるのか確認しておくのがおすすめです。
美術館で働いた経験が評価されるかどうかは勤務態度次第です。どの仕事でも、真摯に取り組み、生産性を上げ、周囲と連携しながら仕事を進めるもの。
そこに学芸員の経験はあまり関係ないでしょう。ただし、画廊や美術商などに勤務するなら美術館で働いた経験は少しは有利になる可能性があります。
展覧会・SNSでの作品販売
美大生として創作活動するなかで、自分の作品を展覧会で販売する機会もあるでしょう。展覧会では作った作品の感想を目の前で見られ、購入されれば大きな達成感を得られます。
また近年では、SNSを通して作品の販売が可能です。SNSは実際に展覧会に来ることができない人へも作品が届けられ、自分の作品に対してより多くの人から評価を得られます。作品販売をとおして学生時代からファンを作っておけば、アーティストとして活動する際も有利になるでしょう。
作った作品を購入してもらったという実績は就職活動の場面でも実績としてアピールしやすく、採用担当者の興味を引ける可能性が高まりますよ。
OB・OG訪問
OB・OG訪問は、美大生もおこなうべき行動の一つです。目指す企業のOBやOGとかかわれば、美大生だからこその意見を聞くことができます。美大生としてのスキルをどのように仕事で活かせるのかわかり、自分の適性も確認できます。
OB・OGが就職活動時に意識したポイントを把握できれば、自分が実際に就活する際にも活かせるでしょう。社会人として働いている元美大生の声を聞くことができ、企業説明会や企業のコーポレートサイトではわかりにくい部分まで理解を深められます。
就職活動がはじまる前であれば、自分が今するべきことが明確になります。企業に入社した人の意見を聞き、自分に足りない要素があれば就職活動がはじまる前に準備しておきましょう。
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ほかの就活生と差別化可能! 美大生の就活のコツ
美大生の就活のコツ
- ポートフォリオは早めに作る
- 作品の制作者またはそれ以外の仕事に就くか就活の軸を定めておく
- 美大からその業界や企業を目指す理由を明確にする
美大生が就職活動を有利に進めるためには、事前にしっかり準備しておくことが重要です。準備せずに就職活動をはじめてしまうと、せっかく持っているスキルや経験を上手にアピールできない可能性があるからです。
ここからは、美大生が就活を成功させるためのコツを解説します。まだ行動に移していないのであれば、できることから一つずつはじめてみましょう。
ポートフォリオは早めに作る
美大生の就職活動では、ポートフォリオの内容が重視されます。ポートフォリオは学生時代に自分が何を学び、どんな作品を制作できるかを表現できるものです。
特にデザイン系やイラストレーターなど、クリエイティブな職業を目指す人には必須となります。企業から提出を求められることも多々あります。
就職活動を始めてからでは忙しく、満足いくポートフォリオができない可能性も考えられます。できる限り高いクオリティで仕上げるためにも、就職活動が本格化する前の大学3年生の夏頃から着手すると安心です。
- クリエイティブな職種以外を目指す場合でも、美大生ならポートフォリオは作っておくべきでしょうか?
「どんな価値を発揮したのか」も併せてアピールしよう
ポートフォリオは作っておいた方が、採用する際も作品のクオリティを判断することができ有用です。作る際には、ターゲットとなる企業に「一緒に働きたい」と思ってもらえることを念頭に置きましょう。
単に作品を羅列するだけでなく、「売り上げが向上した」などの作品の効果について言及することができると、価値創造に関して意識していることも合わせてアピールすることができます。
作品の制作者またはそれ以外の仕事に就くか就活の軸を定めておく
美大生が社会人として働く際、作品の制作者以外にも芸術品の販売や管理を仕事とすることも可能です。もちろん、芸術自体に携わらない選択肢もあるでしょう。
就職活動を始める前に自分がどのような方向に就職したいのかをはっきりしておかないと、就職の軸が定まりません。目指すべき方向性が明確でないまま就活をしても、満足のいく企業選びも難しくなります。
美大にいる期間を活かし、卒業後も作品を仕事として作り続けたいか、プライベートだけにするか考えましょう。向かうべき方向性が明確になれば、就活の軸も徐々に明確になり、自分のなりたい仕事を具体的に考えられるようになります。
自分が働きたい仕事の方向性が定まらない人は、自己分析をおこなうのも効果的です。やり方がわからない人は、下記の記事を参考にしましょう。
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美大からその業界や企業を目指す理由を明確にする
美大から一般企業に勤める場合、その業界や企業を志望するきっかけとなった理由があるはずです。志望理由を明確にしておかないと内定獲得が難しくなるかもしれません。
特に芸術に関連しない企業の場合は、目指す理由を言語化しましょう。目指す理由を明確にすることで、入社後のミスマッチを防ぐ効果もあるからです。特に美大生はアーティストというイメージを持たれやすく、一般企業への就職に疑問を持たれる可能性があり、丁寧に説明する必要があるのです。
また、面接で聞かれる可能性が高く、採用担当者が納得する理由が必要になります。自分の気持ちをしっかり言語化して採用担当者を納得させられれば、選考時に高い評価を得られるでしょう。
美大の経験を活かせる就職先を把握して自分に合った仕事を選ぼう
美大生は就職先がないといわれてしまうと、せっかく入学したにもかかわらず不安を感じてしまうでしょう。しかし、実際には美大生にはほかの大学生にはない強みや経験があり企業でも重宝される存在です。
美大生の就職活動を成功させるには、自分のスキルや経験を活かせる職業を把握し、アピールすることが大切です。自分が持つスキルを活かして、やりがいを持って働ける職業を見つけましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見るデザインを通じて伝えたいメッセージを伝えられる力が求められる
今後ジョブ型雇用が増えてくるとは思いますが、だからといって美術という専門性の高い求人が増えるかは別問題です。グラフィック専攻ならデザイン会社は多くありますが、彫刻や日本画となるとそのスキルを活かせるところは限られてくると思います。
しかし、デザインの基礎やデッサン力など培った力は、間違いなく普通の人が真似できない専門性と言えます。
最近はツールが発達しているのでWebデザイナーを目指す人が増えてきましたが、肝心なのはツールが使えることより、デザインができるかどうか。デザインを通してメッセージを伝えないといけないからです。
また、デザインが好きであることと、表現すべき内容をビジュアルとして再現できる力は別物です。美大生にはこうした力が備わっていることを忘れないでください。これがみなさんの持つ専門性です。
デザイナー枠以外にも就職する方法は多数ある
デザイナー枠でなくても、総合職でデザイナーとして働ける会社があります。求人票をよく見てみましょう。ただし、総合職であるため最初はデザイナー職でない可能性や、途中で他部署に異動になる可能性があることには注意してください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
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