本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「年収が低い」「離職率が高い」
ニプロが気になっている人からすると、企業に対するネガティブな情報を目にすることは不安な気持ちになってしまうものです。しかし、噂には真偽のわからないものが含まれていることも事実です。
そこで、ニプロは本当にやばい企業なのか、就活のプロであるキャリアコンサルタントとともに読み解いていきます。信頼できる情報をもとに、安心して企業選びをすることができるように、ぜひ最後まで読んでみてください。
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1分でわかるニプロ
ニプロとは
1954年の設立以来、技術革新をコンセプトに、患者のQOL(生活の質)向上や医療現場のニーズに応える製品開発を推進している企業。医療機器、医薬、ファーマパッケージング、再生医療の4事業を中心に展開し、「和ごころをもった真のグローバル総合医療メーカー」を目指す。
「地産地消」の考えのもとグローバルに事業を展開しており、製品競争力と市場シェアにおいて世界トップを目指すことで社会に貢献。
| 会社名 | ニプロ株式会社 |
| 従業員数(連結) | 38,593名(2026年3月末日現在) |
| 本社所在地 | 大阪府摂津市 |
| おもな事業 | ・医療機器事業 ・医薬事業 ・ファーマパッケージング事業 ・再生医療事業 上記4つの事業を通じて、医療ニーズに応える製品や技術を日々研究・開発し、世界中の医療現場に届ける。 |
| 売上高(連結) | 6,445億8,600万円(前年同期比9.9%増)(2025年3月期) |
| 経常利益(連結) | 108億1,700万円(同44.5%減)(同期間) |
| 企業HP | https://www.nipro.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.nipro.co.jp/employ/ |
「ニプロがやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「ニプロがやばい」と言われる4つの理由
ニプロがやばいと言われている噂について、実態を紹介していきます。企業や公的機関が出している具体的なデータを示しながら、キャリアコンサルタントのプロ視点の解説を参考にして、企業への理解度を高めていきましょう。
①年収が低いと言われているから
ニプロの平均年収は659.2万円(平均年齢40.8歳・2025年3月期)(※1)と公表されています。製造業界全体としては569.5万円(※2)が平均額となっているため、業界内では高いほうだと言えます。
ただし、同じ医療機器を扱うメーカーで従業員数も似た企業と比較すると、テルモが778.4万円(従業員30,689名)(※3)、オリンパスが1,045.6万円(従業員29,297名)(※4)となっており、比較対象によっては給与額に不満を感じる人がいると考えられます。
また、年功序列であるために若いうちは給与が上がらないという意見もありますが、同社では年齢にかかわらない役職者への登用、従業員自ら異動ができる社内公募制度など、若手からも昇給のチャンスを掴みに行ける仕組みが整っています(※5)。
※1 二プロ 第72期 有価証券報告書
※2 国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
※3 テルモ 第110期 有価証券報告書
※4 オリンパス 第157期(2025年3月期) 有価証券報告書
※5 二プロ 第70期 有価証券報告書
プロのアドバイザーはこう分析!給与水準を見る前にまずは市場価値でキャリアを考えよう
医療機器メーカーのなかでニプロの年収が低いかという点ですが、国内大手トップ層と比較すると低く映るかもしれません。しかし、業界平均や一般的な平均年収(約500万円)と比べれば高い部類に属します。
まずは、志望する医療機器がどの分野(人工臓器、医薬品、細胞培養など)に属し、その領域内での市場価値がどうであるかを分析することが重要です。
年功序列は過去の話? ニプロの昇給事情とキャリア支援の現在
また、「年功序列のため若手のうちは給与が上がりにくい」という意見について、古くからある国内メーカーでは未だにその傾向が見られるのは事実です。
私自身の医療機器メーカーでの勤務経験を振り返っても、一定の年功序列は存在しました。しかし現在では、営業職を中心に実績に応じた昇給・昇進制度や、優秀な社員へのボーナス加算といったインセンティブを設ける企業が増えています。
ニプロにおいても、社内公募制度をはじめとする主体的なキャリア支援の動きが見られます。
ステレオタイプな評判だけで判断せず、同社の最新の評価制度や公募制度をしっかりと企業分析したうえで、自身の理想とする働き方に合致しているかを見極めてください。
あなたが製造業界に向いているか確認してください
自分に合う職業・合わない職業を知ることは、就活において非常に重要です。しかし、見つけるのが難しいという人も多いでしょう。
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②離職率が高いから
具体的な離職率については公表されていません。参考として、ニプロの平均勤続年数は約8.1年(男性8.8年、女性7.4年から平均を計算)(※1)となっており、製造業界の平均が14.9年(※2)であることを考えると、確かに社員が辞めやすい傾向にあると見受けられます。
明確な原因を断言することはできませんが、企業が目標としている従業員のエンゲージメント目標55.0が未達であり、2023年3月期に51.1だったものが2025年3月期には48.8%(※1)に下がっていることから、従業員が不満を感じる要素があると考えられます。
企業側も従業員の満足度を高めるために、マネジメント強化を重点課題として、管理職向けに研修および360度フィードバックを実施することで、従業員が活き活きと働ける環境づくりに努めているようです(※3)。
※1 ニプロ ANNUAL REPORT 2025
※2 厚労省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
※3 ニプロ 第71期 有価証券報告書
アドバイザーのリアル・アドバイス!エンゲージメント低下が意味する勤続年数の短さの要因
ニプロの平均勤続年数が業界平均より短い背景には、公開情報と組織開発の現場視点から、いくつかの構造的要因が推測できます。
まず、公式の離職理由は非開示のため断定はできません。そのうえで、同社が公表しているサステナビリティ関連データや公開情報から読み取れる従業員エンゲージメントスコアの低下傾向は大きな示唆です。
一般的にこの低下は、評価制度への納得感、上司との関係性、業務負荷と裁量のアンバランスが影響します。
多角化による配属の壁と医療特有の重圧! 口コミでは見えないニプロのリアル
また、同社のような多角化・グローバル企業では、配属や異動によるミスマッチが生じやすい傾向があります。さらに、生命に直結する医療業界特有の高い品質要求や責任の重さが、現場のプレッシャーとなっている可能性も否定できません。
これらはあくまで推測です。実態は職種や部署で異なるため、口コミに頼りすぎず、説明会や面接の場で具体的な働き方や評価制度、フォロー体制を直接確認し、納得したうえで選択することが重要です。
③不祥事があったから
2023年にニプロの子会社であるニプロファーマの大館工場が、品質管理上の問題があったことで業務改善命令を受けています(※)。
ニプロはニプロファーマに対してQC本部を設置したうえで、埼玉県の試験棟と大阪府の品質管理センターを稼働させることで、各工場における試験業務の負担の平準化に取り組んでいます。
また、GMP監査部門の直下にラインQAを新設することで、工場の各生産現場で直接作業手順の確認を進められ、作業担当者とラインQAがコミュニケーションを取ることで、問題発生時の迅速な対応を可能にする風土を作っています。
過去に不祥事があった際は、その後の対応まで含めて企業を判断しましょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!「不祥事=やばい」で終わらせない企業分析のポイント
ブラウザ検索で「ニプロ 不祥事」と候補に出てくると、「大丈夫かな」と不安になりますよね。
しかし、不祥事があったという事実だけで、「やばい会社」と判断してしまうのは少し早いです。大切なのは問題が起きた後に企業がどのように動き、組織をどう変えようとしているか、その姿勢や取り組みをよく見ることです。
有価証券報告書などを見ると、ニプロは子会社の不祥事を受けて、QC本部の設置や品質管理センターの稼働、現場直結の監査体制の新設など、具体的な再発防止策に取り組んでいます。
こうした動きから、問題を単なる謝罪で終わらせるのではなく、仕組みや組織運営そのものを見直そうとする姿勢がうかがえます。
不祥事の事実は受け入れつつその後の動きを含めて判断しよう
もちろん、不祥事そのものを軽視することはできませんし、改善策の効果は実際の運用を見続けなければわかりません。
ただ、不祥事の有無だけで企業を判断するのではなく、その後の対応や改善への取り組みまで含めて見ることで、より納得感のある企業選びにつながるはずです。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④激務でパワハラがあるから
ニプロの月平均残業時間は14.4時間(※1)であり、製造業界の平均14.5時間(※2)とほとんど差はないです。ただし、2023年に子会社のニプロファーマにおいて、人員不足により業務負荷が発生していたという事実があるため、拠点によっては激務が発生する可能性はあります。
また、パワハラについては口コミサイト等で噂されているようですが、同社では目安箱と呼ばれる相談の窓口を設けていたり、360度フィードバックという仕組みを導入していたりと、心理的安全性の高い職場環境の実現を目指しているようです(※3)。
そして、ニプロではFISH哲学(※3)という考えのもと、活気のある職場づくりが推進されています。具体例として、フレックス制度やテレワーク、最大120分の時差勤務(※1)をはじめとした社員の働きやすさを意識した取り組みが積極的に導入されています。
FISH哲学
ニプログループで展開されている「態度を選ぶ」「仕事を楽しむ」「注意を向ける」「人を喜ばせる」という4つの基本マインド
※1 ニプロ ANNUAL REPORT 2025
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
※3 ニプロ 第72期 有価証券報告書
プロのアドバイザーはこう分析!期限厳守が絶対! 各方面からの重責や激務が伴う
ニプロで働くうえでの「激務」と呼ばれる状況は、担当する職種によってその性質が大きく異なると考えられます。
まず、研究開発や製造現場における業務では、厳密な期限の遵守が常に求められます。医療を支える製品である以上、納期の遅れは社内の他部署に多大な迷惑をかけるだけにとどまりません。
最終的なエンドユーザーである患者や医療現場へも直接的な悪影響を及ぼすため、期限前には非常に大きなプレッシャーや業務量の増加が伴うことが想定されます。
緊急対応が発生しやすい! 医療に携わる労働環境のリアル
一方、営業や技術サービス職においては、顧客である医療機関への対応が中心となるため、予期せぬ事態への対応力が求められます。
人命にかかわる医療機器の性質上、万が一何らかのトラブルが発生した場合には、元々のスケジュールにかかわらず早急な緊急対応が必要になる場面が生じます。
このように、それぞれの職種が担う「医療に対する責任の重さ」が、結果として激務と感じられる要因に直結していると言えます。
あらゆる情報は総合的に見ることで実態がわかる
年収や激務のようなとらえ方による情報、離職率の高さや不祥事があったという事実の情報、いずれもそこからどのような実態が読み解けるのかが重要です。
断片的に読み取るのではなく総合的に見て判断することで、より納得して企業選びをすることができるようになるでしょう。
アドバイザーからワンポイントアドバイス2つのポイントを押さえてギャップのない納得のキャリアを歩もう
ニプロへの就職・転職を考える人に、事前に理解してほしい大切なポイントが2点あります。
1点目は「働く環境の差」です。会社全体の平均残業時間は水準内に収まっていますが、実際には配属される工場や部署、子会社によって忙しさに違いが出る可能性があります。
入社後の「思っていた働き方と違う」というギャップを防ぐためにも、面接やOB・OG訪問を活用し、希望する現場の具体的な働き方を直接確認しておくことが安心につながります。
2点目は「キャリアの進め方」です。同社には社内公募制度など、自ら手を挙げて可能性を広げる仕組みがあります。
裏を返せば、待っているだけではチャンスを掴みにくい環境とも言えます。「どんな仕事に挑戦し、どんなスキルを磨きたいか」という自身の軸をあらかじめ考えておくことが重要です。
制度だけでは見抜けない! 入社後の後悔を防ぐ現場のリアルの見極め方
企業の制度の「有無」だけでなく、現場でどう使われているかまで意識して情報収集をおこなうことです。
この一歩を踏み込む姿勢が、入社後のミスマッチを防ぎ、納得のいくキャリア形成を実現します。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Takuya Takahashi〇人材系スタートアップ企業で採用支援・D&I推進に従事。その後、SIer企業でエンジニア兼研修講師として新人育成に参画。現在はNPOで若者の居場所支援やケアに取り組む
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり
プロフィール詳細