「新卒で辞めた。人生終わり……」な気分のあなたに。公認心理師のおすすめ回復行動3選

この記事の執筆者 自身も離職・転職の経験がある専門家が書き下ろしました
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吉野 郁子
キャリアコンサルタント/公認心理師
Ikuko Yoshino〇就職支援歴18年。若者就労支援NPOに勤務の後、独立。現在は行政の就職支援施設にて、学生/既卒/フリーター/ニート/ひきこもり/女性などを対象に相談やセミナー講師を担当。保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16070714)/公認心理師(登録番号44050)

早期離職は珍しくない!

まずは早期離職が珍しくないことを、実際の数値とともに見ていきましょう。

大卒1年目で離職する人は、およそ5万人

厚生労働省が令和7年10月24日に発表した「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況」によると、大卒(令和4年3月卒)で就職した44万8,000人のうち、1年以内に離職した人は12.0%。人数にすると約5万3,800人です。

これは、東京ドームがほぼ満員になるくらいの人数。365日で割ると、毎日約150人が新卒1年以内に会社を辞めている計算になります。

大卒に限らず、「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況(厚生労働省・令和7年10月24日発表)」では、1年以内離職人数はおよそ107,000人。3年以内の離職者数はおよそ26万8,000人になります。

つまり、新卒で早期離職することは決して珍しいことではありません

本コラムのコンセプト

生成AIによる一般的な情報がすぐに手に入る時代。就活生や求職者にいま求められているのは、経験や体験に基づく血の通ったアドバイスではないか。そうした読者のニーズに応えるために、編集部がテーマを選定し、参画するキャリアコンサルタントらに寄稿いただくコラム企画を始めました。自身の経験や実アドバイスをベースに、綺麗事を一切排除した本音の就活対策をお届けします。

早期離職者向けサービスはたくさんある

試しに「第二新卒」「既卒 就活」と検索してみてください。「当社の転職サービスに登録しませんか」「合同説明会がありますよ」といった広告が次々に表示されるでしょう。

「早く再就職しなきゃ」と思ったとき、世の中にはあなたを支えてくれる制度やサービスがたくさんあります

とはいえ、それでも動く気になれない人もいるかもしれません。

「周りはみんなちゃんとしているのに、自分だけダメだ。」

そんな気持ちになったとき、見直してほしいのが、「周り」「みんな」「ちゃんと」という言葉の意味です。

人生の転機だからこそ、視野を少し広げてみませんか。この時間が、いつか「あの時期があってよかった」と思える未来につながるかもしれません。

心を整えよう、おすすめ行動プランはこれ!

早期離職をした際に、心を整えるためのおすすめプランを3つ紹介します。

まずは大掃除。身も心も断捨離しよう

外へ出る元気がないなら、まずおすすめは、部屋の大掃除です。

あなたはもう学生でも、前の会社の社員でもありません。今の自分に必要のないものは、思い切って手放してしまいましょう。掃除は、心の整理にも生活リズムの立て直しにも役立ちます

そして何より、「やればできた」という小さな成功体験になります。自信を取り戻す第一歩は、「自分にもできる」という感覚を積み重ねること。掃除は、その第一歩にぴったりです。

収入が不安な時期には、不用品をフリマアプリで売って、お小遣いにするのもちょうど良いですね。

「大掃除は開運につながる」とよく言われますが、新しいものを入れるには、まず空きスペースが必要です。これは部屋だけでなく、心にも当てはまるのかもしれません。

読書や映画で、自分の世界を広げよう

次におすすめしたいのは、読書や映画です。お金があまりない時期だからこそ、図書館は心強い味方になります。

離職中は孤独になりやすく、時間があるほど考えすぎてしまうものです。だからこそ今は、人生を変える本との出会いのタイミングかもしれません。

おすすめしたいのは、無理に前向きになる本ではなく、人間の孤独や絶望にきちんと向き合った作品です

一冊挙げるなら、『絶望名人カフカの人生論』(頭木弘樹 編訳・新潮文庫)です。

偉大な作家であるカフカも、悩みながら生きていました。「ネガティブ名言ばかりなのに、不思議と元気が出る」と評される一冊です。

図書館のなかには、映画のDVDを視聴できるところもあります。動画配信サービスも便利ですが、「外出する理由」を作る意味でも、図書館へ足を運ぶ価値はあります。

映画を選ぶなら、普段なら見ない作品に挑戦してみてください。戦争映画、歴史大作、大恋愛、SFなど、自分とは違う人生を疑似体験できます。

一作おすすめするなら、『風と共に去りぬ』(1939年・アメリカ)はどうでしょうか。

南北戦争という激動の時代を生き抜くヒロインの姿は、「人は何度でも立ち上がれる」と教えてくれます。

旅に出よう

旅は、自分の世界を一気に広げてくれます。できれば一人旅。そして、可能であれば海外へ。「お金が不安なのに旅行なんて」と思うかもしれませんが、人生の転機だからこそ、自分への投資として旅は有用です

おすすめは、旅人同士の交流が盛んな「ゲストハウス」に泊まることです。ドミトリーなら宿泊費も安く、自然と会話が生まれます

「実は仕事を辞めたところなんです。」

そんな話をすると、「自分もそう」「何度も転職したよ」そんな返事が返ってくることも珍しくありません。そうした出会いを通じて、「一つの会社で働き続ける人だけが普通ではない」ということに気づくでしょう。

世の中には、さまざまな働き方、生き方があります。人生は順風満帆な時期もあれば、立ち止まる時期もあります。旅から帰るころには、「周り」「みんな」「ちゃんと」という言葉の見え方も、少し変わっているかもしれません。

心が前向きになったら、次の一歩を考えよう

将来のことや再就職について、「何か始めてみよう」と思えるようになったら、少しずつ行動を始めてみましょう。

とはいえ、どんな一歩が自分に合っているかは人それぞれです。すぐに正社員へ応募する人もいれば、インターンシップやアルバイトから始める人もいます。資格取得の勉強や職業訓練が、ちょうど良いチャレンジになる人もいるでしょう

一方で、それらの行動が、自分の課題から目をそらすための「回避行動」になってしまう場合もあります。

結局のところ、自分に合う道は、実際に行動しながら探していくしかありません。「効率良く」「最短で」「失敗なく」と考えるかもしれません。しかし、誰にでも当てはまる正解はないのです。

「成功は約束されていないが、成長は約束されている」という言葉があります。経済学者やスポーツ選手など、多くの人が座右の銘として紹介している言葉です。

「この行動がおすすめです」と答えを示すよりも、試行錯誤しながら自分なりの道を探していくこと自体が、成長の糧になるとお伝えしたいです。

(編集部追記)仕事を辞めてしまった後の進み方について理解を深めたい人は以下の就活Q&Aを参考にしてください。
仕事を辞めたら人生終わりでしょうか?

私が1社目を辞めてからの話

私自身も、これまで何度も離職・転職を経験してきました。その合間には、穏やかな「人生の夏休み」のような時間がありました。今振り返ると、その時間も含めて現在のキャリアにつながっています。

学卒で入社した1社目を辞めた後は、「とりあえず生活費を稼ごう」と思い、派遣社員として通信販売の電話受付をしていました。収入は下がりましたが、残業のない働き方は新鮮で、時間にも心にもゆとりが生まれました。仕事内容より、一緒に働く仲間が大好きで、今でも当時を思い出すと笑みがこぼれます。

時間に余裕ができたことで、社会人サークルの読書会にも参加しました。そこで後に夫となる人と出会いました。読書は今でも生活に欠かせない長年の趣味になっています。こうして皆さんに読んでいただく文章を書けているのも、読書習慣のおかげです。

人生では、何が将来につながるのかわかりません。仕事や肩書だけではなく、人との出会いや趣味、暮らし方など、さまざまな要素で「幸福」は形づくられていくのだと実感しています

(編集部追記)新卒で短期離職をしてしまった人のその後のキャリアについて専門家がアドバイスをしている就活Q&Aは以下からご覧ください。
新卒で短期離職をした場合、その後のキャリアはどう築くべきですか?

人生は、まだまだ終わらない

終わったのは、「○○会社の社員」という肩書だけです。あなたの人生も、キャリアも、この先ずっと続いていきます。会社員という肩書は、人生のほんの一部分にすぎません。

自由な立場になった今だからこそ、自分自身や社会とのつながりを見つめ直す時間を持ってみてください。再就職活動は、その後でも遅くありません。

今は「人生終わりだ」と思っているあなたも、数年後には、「大丈夫。人生、案外なんとかなるよ」と誰かに言葉をかけているかもしれません。

そんな日が訪れることを願いながら、あなたに心からエールを送ります。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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