本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
5大商社と呼ばれる大手商社のなかでもトップクラスの売り上げを誇る三菱商事は、例年就活生からの人気が高い企業です。しかし、同社には高すぎる年収や就職難易度についてのネガティブな評判があることも確かです。
そこで、この記事では三菱商事がやばいと言われている理由について、客観的な視点で解説をします。さらに、商社での勤務経験があるキャリアコンサルタントからの専門的なアドバイスも紹介するので、最後まで読んで企業の実態を知っていきましょう。
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1分でわかる三菱商事
三菱商事とは
創業以来の社是である「三綱領」を理念に掲げ、国内外のネットワークを通じて、金属資源、生活産業、エネルギーなど多角的な領域で事業を展開するグローバルな総合事業会社。
130を超えるビジネスユニットと千数百社の連結事業会社を擁しており、「全産業を俯瞰する総合力」が強み。事業を通じて「経済、社会、環境」の三価値同時実現による持続的な成長を目指す。
| 会社名 | 三菱商事株式会社 |
| 上場 | 東京証券取引所プライム市場 |
| 従業員数(連結) | 26,330人(2025年12月時点) |
| 本社所在地 | 東京都中央区 |
| おもな事業 | 7つの営業グループが各種産業と幅広い接地面を持ちながら、多様なビジネスを展開。 ・エネルギー&パワーソリューション ・マテリアルソリューション ・金属資源 ・社会インフラ ・モビリティ ・食品産業 ・S.L.C. |
| 売上高(連結) | 18兆9,159億9,500万円(前年同期比1.6%減)(2026年3月期) |
| 売上総利益(連結) | 1兆6,550億7,400万円(同9.9%減)(同期間) |
| 平均年収 | 2,112万5,472円(2026年3月期) |
| おもな福利厚生 | 各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)、退職金・年金制度、診療所、研修所、独身寮・社宅、育児休職制度、配偶者の国内外の転勤に伴う再雇用制度など |
| 企業HP | https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ |
| 新卒採用HP | https://www.career-mc.com/newgraduate/ |
「三菱商事はやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く
「三菱商事はやばい」と言われる5つの理由
三菱商事がやばいと言われているおもな理由を5つにまとめています。噂と実態は一致するのか、異なるのかを解説していくので、キャリアコンサルタントのコメントを参考にしながら読み進めてみましょう。
①年収が2,000万円を超えるから
三菱商事の平均年収は2,112万5,472円(2025年)(※1)と、同社が含まれる卸売業・小売業の平均326.7万円(※2)の7倍近い好待遇となっています。この圧倒的な高収入のために「やばい」と噂されていると考えられます。
大学学部卒の初任給も350,000円(2026年度)(※3)と、企業全体の平均299,000円(※4)を超え、給料の高さがうかがえます。
※1 三菱商事 2025年度有価証券報告書
※2 国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
※3 三菱商事 新卒採用サイト 募集要項
※4 厚労省 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況
②新卒の就職難易度が高いから
三菱商事は就活生からの人気が高く、東洋経済オンラインが発表する「入社が難しい有名企業ランキング」(2024年12月)(※)では10位にランクインしています。
募集要項では大学、学部、学科は不問(※)となっています。しかし、同社の仕事では商社として自社事業への深い知識を持つこと、海外を含めた各方面とコミュニケーションをとることなど、高い能力が必要になるため、就活生にもその素質が求められると考えられます。
また、入社にあたって高い英語力が求められるという噂があるようですが、選考の段階では特段ハードルを設けているわけではありません。英語力は入社後に一定のレベルが要求されるため、内定期間には学習の機会を設けているようです(※)。
※ 東洋経済オンライン 「入社が難しい有名企業ランキング」トップ200社【再配信】 大手商社や不動産が外資コンサルに押され気味
※ 三菱商事 新卒採用サイト 募集要項
プロのアドバイザーはこう分析!優秀なだけではない? 三菱商事の内定者が持つ人間力
三菱商事に内定・入社する人物像は、正解のない課題にも自ら問いを立て、周囲を巻き込みながら行動に移せる人です。
同社の事業は、資源、エネルギー、食品、モビリティなど幅広く、国や企業、地域によって異なる利害を調整し、長期的な視点で価値を生み出すことが求められます。
そのため、論理的思考力や情報収集力に加え、相手の立場を理解して信頼関係を築く力、環境の変化に対応する柔軟性、諦めない粘り強さが欠かせません。
失敗こそ武器! 面接官を納得させる困難への向き合い方と当事者意識
また、華やかな実績や強い自己主張だけが評価されるとは限りません。チームの成果を優先し、失敗から学び、自分の考えを伝えながらも異なる意見を受け入れられる誠実さが大切です。
選考では、学生時代の経験の規模よりも、なぜ取り組んだのか、困難にどう向き合い、周囲にどのような働きかけをしたのかを、自分の言葉で具体的に説明できる人が評価されると考えられます。
企業理念である「三綱領」への共感に加え、社会や事業をより良くするために、なぜ、自分ならどうすると考え続ける好奇心と当事者意識を備えた人が、同社に適した人物像と言えるでしょう。
③残業時間が長く激務だから
三菱商事の最新の残業時間は31.0時間(2024年度)(※1)と公表されており、卸売業・小売業の平均7.1時間(※2)を大きく上回っています。過去4年をさかのぼっても、おおむね30時間前後で推移していることから、残業時間は長い傾向にあると言えます。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 月間平均残業時間 | 27.2時間 | 30.4時間 | 29.9時間 | 29.2時間 | 31.0時間 |
| 有給休暇取得率 | 55.0% | 60.0% | 67.0% | 71.1% | 68.4% |
同社は労働過多による健康被害を避けるために、適切な対処に取り組んでいます。具体的な事例として、一定の残業時間を超えた社員には産業医などに面接指導を義務付けることや、管理職に向けた時間管理研修などが挙げられます(※1)。
ただし、有給休暇取得率は2020年度に55.0%だったところから、2024年度には同業界平均60.6%(※3)を上回る68.4%まで改善されています。そのため、労働時間自体は長くはあるものの、休みはしっかりと取れるメリハリのある働き方に移行していると言えます。
※1 三菱商事 サステナビリティ・レポート 2025
※2 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
※3 厚労省 令和6年就労条件総合調査の概況
プロのアドバイザーはこう分析!三菱商事は激務といえる? データで読み解くリアルな働き方
三菱商事の単体における月間平均残業時間は、2024年度で31.0時間です。厚生労働省の毎月勤労統計と比べる際は、年次や事業所規模、一般労働者かパートタイム労働者かといった条件をそろえる必要があります。
それでも、一般労働者の所定外労働時間と比べて高めの水準にあることはうかがえます。なお、統計上は「残業時間」より「所定外労働時間」と表記するほうが厳密です。
この背景には、業務の複雑化や意思決定のスピード化に伴う負荷の増加があります。大型案件や海外取引では、特定の時期に業務が集中しやすく、繁忙期も生まれます。
激務はとらえ方による! 数字には表れない働き方を引き出す質問術
ただし、31.0時間は全体の平均であり、配属先や担当案件、時期によって働き方の実感はかなり異なるはずです。
参考までに、2026年3月末時点の従業員数は単体5,328人、連結6万3,037人です。ただし、残業時間は年度が異なるため、両者を直接結び付けて考えるのは慎重であるべきでしょう。
もし、OB・OG訪問の機会があれば、繁忙期の時期、海外との会議が入りやすい時間帯、部署ごとの仕事量を具体的に聞くと、数字だけでは見えない実態をつかみやすくなります。
④転勤が多く配属に納得ができないから
三菱商事では「多様な事業経験の場」(※1)という考えがあり、社員が異なる組織や拠点などに異動したり、転勤をする可能性があります。
加えて、勤務地については「本店(東京)、国内・海外の拠点および事業会社など」(※2)と記載があり、実際に全社員の約2割が海外で勤務しています(※3)。また、入社8年目までに全員がグローバル研修生という制度を通して、海外経験を積むことになっています(※4)。
新卒入社時の初期配属については、個別のヒアリングや、会社側の育成・人材配置を含めて決定するため、配属希望が確実にかなうとは断言できません。そのため、ある程度幅広い経験を積んでキャリアを形成していきたいと思えないとミスマッチになるととらえられます。
※1 三菱商事 統合報告書 2025
※2 三菱商事 新卒採用サイト 募集要項
※3 三菱商事 キャリア採用サイト キャリア展開のあり方
※4 三菱商事 サステナビリティ・レポート 2023
アドバイザーからワンポイントアドバイス主体性を持つことが納得のいく配属先選択につながる
総合商社の配属は、本人の適性や意欲に加え、経営戦略や組織全体の要員計画を踏まえて決定される傾向にあり、個人の希望だけで100%決まるとは限りません。
納得感のあるキャリアを築くうえで大切なのは、配属先を受け身でとらえず、自らの市場価値を高める実践の場ととらえ直す姿勢です。
初期配属は、将来どの事業や拠点を担うにしても土台となる基礎力を養う機会となり得ます。
研修の振る舞い方が将来性を高めるポイントになる
研修期間中は専門知識の習得だけでなく、自身の強みや貢献できる価値を言語化し、周囲との信頼関係を築く行動が求められます。
最初の配属先で着実に成果を積み重ねることが、その後の社内異動や海外駐在など、望むキャリアの選択肢を広げる有力な方法の一つとなっていきます。
⑤年功序列で裁量が小さいから
三菱商事は1954年に設立された長い歴史を持つ企業のため、昔ながらの年功序列の文化が残っており、若手の裁量が小さいという意見を持たれることがあるようです。
しかし、同社は「資格制度」と「職能給制度」のハイブリッド型人事制度(※1)を導入しており、社員の実力や成果を適切に評価する仕組みが整っています。加えて、直属の上司以外の評価を取り入れており、年齢や勤続年数だけで評価が決まるわけではありません。
三菱商事の評価制度の例
- 資格制度
段階的な人材育成を主軸とする制度 - 職務給制度
担当する職務の大きさや難易度に応じて報いることを主眼とする制度 - タレントレビュープログラム
直属の上司による評価だけでなく、より広い母集団において複数の眼で社員の能力評価や経験の棚卸しをおこなう制度
加えて、若手が主体的に活躍できる仕組みが採用されています(※2)。自らが挑戦したい組織への異動を後押しするCareer Choiceという制度があり、年齢にかかわらず挑戦できる環境が用意されています。
※1 三菱商事 統合報告書 2025
※2 三菱商事 サステナビリティ・レポート 2025
プロのアドバイザーはこう分析!年功序列はまだ残っている! 若手だけでは判断できない場面が多い
人事制度が整備されても、三菱商事から年功序列的な要素が完全になくなったとは言い切れません。
総合商社の事業は投資額が大きく、リスクを伴うため、若手が単独で重要事項を決定するのではなく、上司や関係部門の承認を得ながら進める場面が多くあります。
こうした組織階層や意思決定の手続きを、年次を重視する文化や裁量の小ささと感じる社員もいるでしょう。
また、経験の蓄積が判断の質に直結する仕事では、入社直後からベテランと同じ権限が与えられるわけではありません。
裁量権の大きさは年数やスキルによっても変わってくる
一方、若手でも担当者として海外企業との交渉や事業運営にかかわる機会があり、裁量の大きさは年齢だけでなく、所属部署、担当案件、上司の方針、本人の実績によって異なります。
Career Choiceも希望した異動が必ず実現する制度ではなく、専門性や社内での信頼を築くことが必要です。
実力本位へ移行しつつも、育成やリスク管理の観点から年次や経験が一定程度考慮される組織ととらえるのが現実的です。就活生は社員訪問で、若手の担当範囲や意思決定へのかかわり方、異動制度の利用状況を確認しましょう。
三菱商事に向いているのは○○な人
三菱商事は大企業で好待遇な部分だけで入社を検討すると、選考の難しさや労働時間などにギャップを感じてしまうリスクのある企業だと言えます。しかし、やばいと言われる理由を深掘りすることで、本当に自分とマッチしているのかがわかります。
最後に、同社に向いている人と向いていない人の特徴をまとめているので、改めて自分自身と照らし合わせたうえで、納得する企業選びの参考にしてみてください。
向いている人の特徴
・強い好奇心を持ち、自発的にキャリアを切り拓きたい人
・「多様な現場・環境」への異動やタフな環境を楽しめる人
・確固たる倫理観を持ち、社会的な責任を重視できる人
向いていない人の特徴
・指示待ち気質で、会社が用意した画一的なレールの上を歩み続けたい人
・特定の職種・勤務地から一生異動したくない、転勤や海外出向を拒む人
・英語の習得や、多様な文化・価値観の壁を乗り越えることが苦痛な人
アドバイザーのリアル・アドバイス!ギャップを感じやすい3点に注意!
三菱商事への入社を検討中の人へ、入社前後でギャップを感じやすい3つのポイントを伝えます。
①「高年収の裏側」
有価証券報告書によれば平均年収は2,000万円超(2024年度)ですが、それに見合う高い成果責任が常に問われます。「高収入=楽」というイメージのままだと、業務の密度に戸惑うでしょう。
②「配属の自由度」
事業領域が幅広く、希望通りの配属がかなうとは限りません。柔軟に学ぶ姿勢が求められます。
③「転勤・海外勤務」
同社公式情報によれば、入社8年目までに全社員が海外経験を積む制度があります。グローバルな挑戦を望まない人には負担となる場合が考えられます。
高年収という表面的魅力だけで判断せず、自身のキャリア観と照らし合わせることが重要です。噂ではなく、確度の高い事実をもとに冷静に見極めてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





プロのアドバイザーはこう分析!圧倒的な高収入は収益性の高さと責任の重さに支えられている
キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
瀧本博史
プロフィールを見る三菱商事の平均年間給与は2,112万円(2026年3月期・単体)で、5大商社のなかでもトップクラスです。
ただ、商社だから高いというだけではありません。背景の一つには、会社そのものの高い収益力があります。
特に金属資源やエネルギー&パワーソリューショングループなどの大規模な事業を世界で展開し、豊富な利益やキャッシュを生み出しています。
また、グループ全体では6万人を超える従業員がいる一方、三菱商事単体の就業人員数は4,456人です。
限られた人数で大型投資の判断やグループ企業の経営を担うため、一人ひとりに求められる責任も大きくなります。
平均金額に惑わされない! ギャップを防ぐ年収の見方
さらに、賞与などが会社の業績に左右されやすい点も特徴です。賞与などを含む年間給与は、業績や報酬制度の影響を受けるため、好調なときは上がる可能性がある一方、業績次第では下がる可能性もあります。
なお、2,112万円は平均年齢42.3歳、平均勤続17年7カ月の社員を含めた数字です。新卒で入社してすぐにこの年収になるわけではありません。
就活では平均年収の高さだけを見るのではなく、なぜ高いのか、その分どんな仕事や責任を任されるのかまで考えて企業研究を進めてみてください。