Q

鉄鋼業界の今後について教えてください。

ものづくりの根幹に当たる鉄鋼業界について気になっているのですが、ネットで調べていると「オワコン」と出てくるので気になっています……。鉄鋼業界が現状抱えている課題や今後の動向、将来性について教えていただきたいです。

そもそも、鉄鋼業界にどのような職種があって、どのような仕組みで成り立っているのかもいまいちピンと来ていないので簡単に教えていただけると嬉しいです。

2人のアドバイザーが回答しています

質問日 :

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キャリアコンサルタント/勉強カフェ札幌大通スタジオ代表

渡邊 裕樹

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鉄鋼業界は「成長が見込める将来性のある分野」という意見もある

鉄鋼業界が「オワコン」という意見があるのは、鉄鋼業界がこれまでとは異なる状況に直面していて、一部の分野で需要や収益が減少傾向にあるからかもしれません。

ただし鉄鋼業界全体で見れば、今後も可能性や成長のチャンスが見込める将来性のある分野という意見もたくさんあります。

たとえば昨今は環境に配慮した生産方法や素材などが求められるようになってきたことから、これまでの生産方法や製品のままでは国内でも海外でも競争力が弱くなってしまいます。この課題を新たな技術の開発により突破することができれば、ビジネスチャンスを広げることが可能です。

このような時代の変化によって生まれた課題に対応する必要があるのは、鉄鋼業界に限らずどの業界でも少なからず起こっていることです。

鉄鋼業界は文系・理系関係なく携われる

最後に、「鉄鋼業界にはどのような職種があるのか」ということについて回答します。鉄鋼業界は鉄鉱石の採掘や調達、製鉄所での製鉄、鋼材の生産、販売・供給といったプロセスが存在しています。

その各プロセスにかかわる人たちがいるわけですが、例を挙げると「製鉄プロセス技術者」「製品設計技術者」「品質管理技術者」「生産管理者」「販売・営業」「マーケティング・広報」などです。

技術系の職種は理系の人が就くことが多いですが、「販売・営業担当」「マーケティング・広報」などは文系の人が求められることが多い職種といえます。

ベストアンサー

キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表

谷所 健一郎

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鉄鋼業界は日本独自の技術力で今後活路を見出していくことができる

鉄鋼業界には、「原料から製鉄して鉄鋼製品になるまで一貫生産している高炉メーカー」、「くず鉄などを溶かして建物などの骨格部分などに使う普通鋼材を製造する電炉メーカー」、「不純物を取り除いて特殊な機能を持たせた鋼材を作る特殊鋼メーカー」などがあります。多くの鋼材は、商社や加工業者を経由して自動車や造船などのメーカーに販売されています。

鉄鋼業界の仕事は、大きく分けて「技術系の仕事」と「事務系の仕事」の2種類です。技術の仕事は、鉄鋼商品の開発や基盤技術開発をおこなう研究・開発職と、効率良く安定した操業をおこなうための製造技術職があります。

事務系の仕事は、国内外の受注や納品管理を担う営業職や、石炭や鉄鉱石などの原料を購入する原料購買職、製品のスケジュール作成や在庫管理をおこなう生産管理職などがあります。

日本の鉄鋼メーカーは転換期にある

現在、日本の鉄鋼メーカーは、中国の鉄鋼メーカーの過剰生産や米中貿易摩擦などが原因で、輸出量が落ち込み厳しい状況に置かれています。また国内鉄鋼メーカーの生産能力は高い水準を維持していますが、国内の少子高齢化により内需に期待できないことも要因となっています。

こういった日本の鉄鋼メーカーの状況を打開するためには、内需が減少していく日本国内ではなく、アジア全体の鉄鋼生産体制を築いていくことが必要でしょう。

日本の鉄鋼業界は今後業界再編の可能性も考えられますが、日本の鉄鋼メーカーが得意とする機能性の高い高級鋼材ハイテンなどの製造技術で、海外の鉄鋼メーカーと差をつけていくことが期待できます。

また内需減少の中でも、インフラの老朽化対策や災害復興などの建設や設備関連の需要が見込まれます。長期的な視点で捉えれば、インドなどの成長にともなって高級鋼材などの輸出拡大や現地の生産体制の強化も見込めます。

価格競争だけでなく日本の鉄鋼メーカー独自の技術力を活かして、付加価値の高い製品を生み出すことで今後活路を見出していくことができるでしょう。

それぞれの職種の詳しい仕事内容は、以下の記事の一覧を見れば大まかに理解できるので、併せてチェックしてください。

以下の記事では、業界一覧を紹介しています。鉄鋼業界以外の業界も気になる人は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

将来性があり、これから需要が高くなる仕事はこちらの記事でチェックしてみましょう。将来どのような仕事に就きたいかがまだ決まっていない人は参考にしてくださいね。

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