この記事のまとめ
- 就職四季報は学生に役立つ情報満載
- 就職四季報を活用して企業研究を深めよう
- 就職四季報で見るべきポイント12選を紹介
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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誰しも自分に合った、納得感のある就職先を見つけたいと考えていますよね。企業を知る際に役立つのが「就職四季報」です。企業に対する客観的な情報を一度にまとめて確認できます。
一方で、就職四季報は多くのデータが掲載されているため「就職四季報のどこを見たら良いのだろう」「就職四季報は数字が多くて難しそうだな」と読み方がわからない人もいるでしょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの田邉さん、平井さん、永田さんとともに、就職四季報の活用方法を解説していきます。就職四季報を賢く使いたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
就職四季報を上手に使って就活を有利に進めよう
就職四季報は、数多くの企業の情報をまとめて確認できる学生向けの情報誌です。公式ホームページ(HP)や採用サイトではわからない情報も掲載されているため、上手に使えば就活を有利に進めることができます。
この記事ではまず、就職四季報の概要や種類の解説をします。まずは基本情報を把握していきましょう。そのうえで、就職四季報を利用するメリットや留意点、おすすめの使い方を解説していきます。
さらに、就職四季報の見るべきポイントを具体的に解説します。就職四季報は情報量が膨大なので、ポイントを確認してから企業研究を進め、納得の就職先を見つけましょう。
就職四季報とは
就職四季報とは、東洋経済新報社発行の就活に役立つ情報が記載されている書籍です。
四季報というと会社四季報を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、就職四季報は会社四季報の中から、就活において知りたいデータをピックアップして発行される学生向けの書籍です。
就活をする際に必ず読まなくてはならないものではありませんが、一度に多数の企業の客観的な情報を得られるため、上手に活用すれば就活を効率的に進められます。
まずは、就職四季報について詳しく知るために、就職四季報の記載項目や類似しているものとの違いを解説していきます。
就職四季報の記載項目
就職四季報の記載項目は以下の通りです。
就職四季報の記載項目例
- 特色
- エントリー情報・採用プロセス
- 試験情報(重視科目、選考ポイント、通過率、倍率)
- 男女別採用数
- 採用実績校
- 配属先
- 残業時間
- 記者評価
- 初任給
- 平均年収
- 25歳、30歳、35歳平均賃金
- 有給取得年平均
- 男女別従業員数
- 勤務年数
- 離職率
- 3年後新卒定着率
- 求める人材
就職四季報には、就活対策や企業選びの際に必要となる情報が記載されています。項目別に企業同士を比較してみたり、気になる企業をじっくり見たりと、さまざまな使い方ができます。
正直、就職四季報を使って就活対策をしている学生は多くありません。しかし、就職四季報にはネットやSNSでは得られない就活に役立つ情報が多数掲載されています。他の学生と差をつけるためには、就職四季報を活用することがおすすめですよ。
会社四季報との違い
主な対象 | 発行回数(時期) | 特徴 | |
---|---|---|---|
会社四季報 | 投資家向け | 年4回 (3月・6月・9月・12月) | ・上場企業の情報を網羅 ・各企業の概要や株式に かかわるデータ、 業績予想を詳細に紹介 |
就職四季報 | 学生向け | 年1回(11月下旬) | ・大手企業を中心に、 就職先としての 各会社のデータを紹介 ・エントリー時期や 試験情報などの 就活情報も記載されている |
会社四季報は、日本の全上場企業の、特色や業績、財務内容、株価などのデータが豊富に掲載されていて、投資をする際に重宝する企業データブックです。
一方就職四季報は、主に採用や働き方などが記載されていて、学生に役に立つ情報が詰まっています。会社四季報とは異なり、詳細な企業の状況や業績予測などは就職四季報には載っていません。もっと詳しく企業のデータを知りたい人は、会社四季報も併せて活用しましょう。
就職四季報は会社四季報と違い、採用実績の情報として「採用実績校」や「3年後の離職率」など学生に特化した情報を得ることができます。一方で会社四季報では、株価の動向など投資家に役立つ情報が網羅されているという認識が一般的です。
日経会社情報DIGITALとの違い
会社四季報と同様に、会社情報を詳しく知るための情報誌として知られているのが日経会社情報です。
2017年に季刊誌としては休刊し、現在はデジタルサービス日経会社情報DIGITALに移行しています。
日経会社情報DIGITALは、有料会員登録をすれば、株価情報やニュースのほか、随時更新される業績・財務や役員・株主情報を閲覧できます。
また、気になる企業の新着情報を自動で収集できる機能があり、志望企業をフォローしてニュースを追うことで、企業研究に役立てられます。
一方で、就職四季報のように採用や働き方に関する記載はなく、日経会社情報DIGITALは企業のニュースや業績をタイムリーに知りたい人向けのコンテンツといえます。
日経会社情報DIGITALの特徴
- 企業や業界のニュース・データを一覧できる
- 69業種・約4,600社の会社情報をチェックできる
- 電子版アプリや電子版モバイルでも閲覧できる
- 企業や業界をフォローすればMyニュースに新着情報を自動で収集できる
用途にあわせて選ぼう! 就職四季報の種類
掲載企業数 | 発行時期 | 特徴 | |
---|---|---|---|
総合版 | 大手約5,000社 | 年1回 (11月下旬) | 大手企業を中心に情報を掲載 |
女子版 | 約1,300社 | 年1回 (11月下旬) | 女性の働きやすさに着目して 情報を掲載 |
優良・ 中堅企業版 | 約4,600社 | 年1回 (11月下旬) | 地方の有力企業や 最新ベンチャー企業の 情報を掲載 |
企業研究・ インターンシップ版 | 約1,180社 | 年1回 (6月頃) | ・本格的な就活時期前の学生を 対象にした入門編 ・企業研究のやり方や インターンの情報を掲載 |
プラスワン | ー | 随時 | ・就職四季報のオンライン版 ・就活に役立つ情報を コラム形式で掲載 |
就職四季報は、用途別に全部で5つの種類があります。特徴がそれぞれ異なるため、自分の状況に合わせて選びましょう。
ここからは、就職四季報の種類を一つずつ解説していきます。異なる点を理解せずに選んでしまうと、求めている情報を得られないこともあるため、注意してください。
①総合版
最も定番の就職四季報は、総合版です。掲載企業から掲載費用を取っていないため、宣伝要素がない中立的な立場でデータを掲載しています。
就職四季報では有給の日数だけでなく、「実際に有給を取得できたか」を示す有給取得(消化)日数や、付与日数に対する割合、離職率など、就活サイトや公式HPでは掲載されにくい実態に沿った情報も掲載されています。
就活を始めたばかりの人で広く企業研究をしたい人や、5種類の中からどれを買うべきか悩んでいる人におすすめの一冊です。
②女子版
結婚や出産など、さまざまなライフイベントを考える中で、どのようなキャリアを描いたら良いのか悩む人もいるでしょう。
女子版は、一般的に女性が抱きやすいとされる悩みに寄り添い、女性の採用実績、育休、キャリアなど企業側に直接聞きづらい情報が掲載されています。
女子版の掲載内容例
- 男女別の新卒3年後離職率
- 産休・育休の期間・給与、取得人数
- 女性の既婚者数・子を持つ女性人数
- 職種転換制度の有無と人数
- くるみん・えるぼし認定状況
- 女性の役職者数
- 就活女子人気企業ランキング
- 女性社員比率ランキング
女子版では、記者評価を後回しにして、求める人材・エントリー情報、採用情報、年収・給与など、従業員数・離職率など、の順番で読んでいくと、選考試験から入社後のイメージが作りやすくなります。
理系の女性におすすめの就職先はこちらの記事で解説しています。就活を効率的に進める方法や知識を活かせる仕事を解説しているので、確認してみてください。
理系女子の就職におすすめの業界30選 |90の大手企業と選考を解説
③優良・中堅企業版
優良・中堅企業版は、総合版に掲載されていない中堅やベンチャー企業の情報が掲載されています。
地方の有力企業や、注目を集めている最新ベンチャー企業などの情報が多数掲載されているため、大手企業だけでなく有望・優良な中堅やベンチャー企業に興味のある人におすすめです。
地方企業やベンチャー企業は、大手企業よりも情報収集が難しいことも多くあります。優良・中堅企業版を利用して企業研究をすることで、インターネットでは調べられなかった企業の詳細な情報を得られます。
優良・中堅企業版の掲載内容例
- 採用情報
- 平均年収・初任給
- 残業時間
- 3年後離職率・男女別定着率
- 有休取得年平均
- 各種制度
- 業績
- エリアで絞れる! 「地域別・基本情報編」
大手企業以外の企業にも興味のある人は、こちらの記事も参考にしてください。メガベンチャーについて解説しています。
人気のメガベンチャー20社紹介! 特徴や選考難易度などを解説
認知度が高くなくても、自分にとって良い企業を探したいという人は、こちらの記事も併せて確認してみてください。さまざまな視点から隠れ優良企業を紹介しています。
隠れ優良企業149社を厳選|探し方から内定獲得のコツまで徹底解説
- どのような企業にするかもまだ決まっていません。どの就職四季報を購入すべきですか?
志望企業が定まっていないときは購入しなくてOK
四季報を活用すると得られる情報が多いため、「どれか買わなければ」と焦ってしまう学生もいますよね。しかし、四季報は情報を得るための手段の一つなので、欲しい情報が明確になってから購入することをおすすめします。
四季報に限らずネットで情報を調べるときにも、「何を収集するのか」という情報収集の目的を決めなければ、時間もお金も浪費してしまいかねません。目的意識を持って就活対策をしましょう。
④企業研究・インターンシップ版
企業研究・インターンシップ版は、就活を控えた大学3年生以下を対象に、企業研究・業界研究の開始に活用できる入門編です。
各企業のインターン情報が掲載されていて、どの企業がどのようなインターンをしているのかを効率的に見ることができます。
企業の選び方や会社分析のやり方、本選考との関係なども掲載されているため、インターン対策だけでなく企業研究をしたい人にもおすすめです。
企業研究・インターンシップ版の掲載内容例
- 企業研究の基本情報
- 業界・職種の選び方
- 会社分析のやり方
- 業界地図や就職四季報の見方
- 大手企業1,120社のインターン情報(概要、時期、人数、地域、対象学年、選考、本選考との関係など)
基本的には、大学3年生以下を読者として想定している本です。本格的に就活を始めて企業研究でつまずいた人は、「企業研究編」からやり直すと参考になるでしょう。回り道のようですが、わからないままに自己流で進めるよりも効率的です。
インターンについてはこちらの記事で網羅的に解説しています。インターンに参加してみようと考えている人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
インターンは就活に不可欠? 8のメリットと選び方を詳細解説
大学2年生でインターンを検討している人は、こちらの記事もおすすめです。2年生から参加するメリットや本選考で活かすコツも解説しています。
大学2年生もインターン参加が常識? 本選考が有利になるコツを解説
⑤プラスワン
プラスワンは、今まで解説してきた4種とは異なり、紙媒体ではなくオンライン版の就職四季報です。
学生向けのコラムが定期的に更新されていて、無料で手軽に情報収集できるメリットがあります。
しかし、企業のデータを見るというよりは、就活に役立つ情報を見られるもののため、他の就職四季報と併せての活用がおすすめです。
- お金をかけずに企業研究をしたいのですが、プラスワンだけでは足りないですか?
足りないかどうかは自分がどの程度の情報を集めたいかによる
就職四季報プラスワンだけで足りないかどうかは、自分がどの程度の情報を集めたいと思っているかで異なってくるので、人によって変わってきます。大まかな業界別のランキング情報や就活のちょっとしたノウハウなどは学べるでしょう。
しかし、各企業の詳細な情報は収集しにくいので、やはり紙媒体の就職四季報と併せて活用する方が良いです。
経済的に買えなかったりお金をかけたくないのであれば、気になる企業だけ本屋で立ち読みして参考にするなど、工夫して情報収集していきましょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
就活に大活躍! 就職四季報を利用する3つのメリット
就職四季報を利用するメリット
- 多くの企業の情報をまとめて確認できる
- データをもとに客観的に企業を判断できる
- 公式サイトや就活サイトとは異なる情報を得られる
就職四季報がどのようなものか知っていても、メリットを感じられないとなかなか購入できないという人もいるでしょう。
ここからは、就職四季報を利用するメリットを解説するので、就職四季報が自分にとって必要かどうか判断してみてくださいね。
①多くの企業の情報をまとめて確認できる
企業研究の際に、興味のある企業を一つひとつ調べて比較するためには、膨大な時間と労力が必要です。
就職四季報では、総合版では大手約1,300社、女子版でも厳選された1,300社などと多くの情報が掲載されているため、就職四季報を使って情報収集すると、短時間で多くの企業の気になる情報をまとめて得ることが可能です。
加えて、同じ項目・算出方法で掲載されているため、企業同士を比較しやすい点もメリットといえます。
また、業界別に多くの企業が掲載されているため、興味のある業界を調べているうちに、今まで知らなかった企業を見つけられる可能性もあります。
②信ぴょう性のあるデータをもとに多角的に企業を分析できる
インターネットで企業に関して検索すると、口コミなどを目にすることもありますが、誰がいつ回答したのかわからず、信ぴょう性に欠けるケースが多くあります。
就職四季報は、企業が回答した事実に基づくデータを掲載しているため、信ぴょう性が高い情報を得られることもメリットです。
また総合版では、記者から見た会社評価も載っているため、自分だけで企業研究をするのとは異なる第三者の視点で企業を見ることも可能です。
口コミだけを鵜呑みにしたり、企業のHPだけで企業分析したりと偏った企業研究をすると、入社後に「思っていたのと違った」などのミスマッチが生じてしまう可能性があります。ミスマッチが生じてしまうと、早期離職につながってしまうこともあるため、就職四季報を活用して確実かつ総合的な企業研究をしましょう。
③公式サイトや就活サイトとは異なる情報を得られる
就職四季報は、掲載料をもらわず客観的で中立的な立場で情報を掲載しています。
企業側がアピールしたい情報だけでなく「新卒3年後離職率」や「有休取得状況」、「残業時間」などの実態に沿った内容も掲載されているため、公式HPや採用サイトだけでは見えない会社の全容がわかります。
公式サイトや就活サイトだけで企業研究をすると、収集できるのは企業の良い側面の情報に偏りがちです。就職四季報で一歩踏み込んだ情報を得ることで、企業の弱みも客観的に把握することができるのです。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見る就職四季報には紙媒体だからこそのメリットがある
就職四季報は紙媒体です。紙媒体の特徴を活かしてぱらぱらめくって眺めるだけで、以下のような使い方ができます。
知らない企業の情報が目に入りやすい
ネット媒体では、欲しい情報を検索してピンポイントで読むと思います。紙媒体の就職四季報では目指す企業の情報を探している間に、知らない企業の情報が目に入ります。
この一見意味がないように思えることがメリットなのです。四季報で求める人材像や採用実績大学などがなんとなく目に入り、気になる企業が見つかれば選択肢が広がりますよ。
同業他社の情報を調べやすい
応募にあたって、同業他社の情報を調べることはとても重要です。ライバル会社の研究も企業研究の一部です。四季報では業界ごとに主要会社の情報がまとまっていて、掲載項目も同じです。応募先とライバル社を比較しながら、企業研究を進めましょう。
就職四季報を利用する際の3つの留意点
就職四季報を利用する際の3つの留意点
- 古い版を使わない
- 情報収集する基準を決めてから活用する
- すべての情報を鵜呑みにしない
メリットも多い就職四季報ですが、利用する際に気をつけておくべきこともあります。留意点を理解することで、欲しい情報を効率的に得ることができますよ。
ここからは、就職四季報を利用する際に気をつけることを解説します。注意すべき点を理解して、失敗がないようにしましょう。
①古い版を使わない
就職四季報は最新版を選ぶようにしましょう。企業の事業データや労働環境、就活情報などは、日々変化していくものです。古い就職四季報を活用してしまうと、最新のデータが得られません。
就職四季報は例年11月末頃に発売されています。いつ購入しなくてはいけないというものはありませんが、一番最新のものを選ぶようにしましょう。
- 就職四季報はいつ購入するのが一番おすすめですか?
大学3年生の4月頃までの購入がおすすめ
就職四季報はいつ買えば就活対策に有効活用できるか気になりますよね。もちろん、必要性を感じたタイミングで購入することがおすすめですが、理想的な時期は大学3年生の4月頃です。
インターンの募集を始める企業が多いため、情報収集のタイミングとして適切です。
ただし、就活準備がどれだけ進んでいるのかによっても購入すべきタイミングは異なります。必要な情報がわかっていない状態で就職四季報を読んでも、情報の多さに混乱してしまいます。きちんと準備をしてから購入を検討してくださいね。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
②情報収集する基準を決めてから活用する
情報収集する基準を決めるステップ
- 自己分析をする
- 就活の軸や企業選びの軸を決める
- ある程度業界を絞る
就職四季報総合版には大手企業約1,300社の企業情報が記載されています。すべてに目を通すのは膨大な時間がかかってしまい、現実的ではありません。
また、なんとなく見てしまっては企業の大まかな情報しか得られなくなってしまいます。就職四季報を活用する前に、自己分析や業界研究をして、情報収集する基準を決めましょう。
ここからは、就職四季報から情報収集する際の基準を決める方法を解説します。情報収集する基準が明確になっていると、企業分析や他社との比較もスムーズに進むため、ぜひ参考にしてくださいね。
就活までたっぷりと時間がある場合は、基準を決めずに眺めているのも悪くないと思います。
しかし、就活が迫っている状況や就活真っ只中のときにただ漠然と企業のデータを見ていては、自分にとって本当に必要な情報を見落としてしまうことになりかねません。
基準を決めるステップ①自己分析をする
まずは自己分析をして、自分の価値観を探りましょう。
自己分析とは、自分の過去や考えを整理して、自分の価値観や強み・弱みを分析する作業です。
自己分析をしっかりすることにより、自分が何を重視していて、働くうえで譲れない部分は何なのかが見えてくるため、就職四季報でどこを重点的に見れば良いのかが明確になりやすいです。
自己分析には自分史やマインドマップ、モチベーショングラフなどさまざまな方法がありますが、一つではなくいくつか組み合わせるとより自分の価値観を知ることができます。
自己分析の種類
- 自分史
自分の半生を時系列にまとめて整理したもの - マインドマップ
自然な思考プロセスを描き出し、思考を整理したり新たな発想を得たりするもの - モチベーショングラフ
過去の自分の出来事や経験をもとに、モチベーションの揺れ動きをグラフで表したもの
- 就職四季報を読む前のおすすめの自己分析を教えてください!
自己分析は自分史年表を作るのがおすすめ
時間が取れるなら、「自分史年表」を作ることです。手書きでもできますが、自由に書ける点で、WordやExcelでの作成がおすすめです。
やり方は簡単です。表形式で、第一列に年、第二列に月、第三列に出来事、第四列に関連して思い出したこと、を書き出していくだけです。
書きやすいところから書いてください。書きながらいろいろ思い出してくると思います。思い出したことは、後から行を追加して書けば良いのです。
それらの中に自分が興味のあること、やっていて楽しかったことなど、自己理解のヒントが詰まっていますよ。
以下のフォーマットをダウンロードして、自分史を作ってみましょう。
自己分析のやり方を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
簡単15分! 自己分析シートのフォーマット6選
マインドマップの自己分析の方法はこちらの記事で解説しているので、併せてチェックしてくださいね。
マインドマップで自己分析を極めよう! 活用方法や注意点を徹底解説
基準を決めるステップ②就活の軸や企業選びの軸を決める
自己分析で見えてきた価値観をもとに、就活の軸や企業選びの軸を決めましょう。
軸が明確になっていないと、就職したい業界や業種がなかなか決まらず、就職四季報のどこを見るべきか定まらずに、かなりの時間がかかってしまう可能性もあります。
明確な軸を持ったうえで就職四季報を活用すると、膨大な情報の中から、自分の必要な情報の取捨選択が可能です。その情報に基づいて企業を見ていくことによって、自分に合う企業かどうかを判断しやすくなります。
企業選びの軸や就活の軸の見つけ方を詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
企業選びの軸
意欲が伝わる「企業選びの軸」の回答例50選|見つけ方も解説
就活の軸
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
基準を決めるステップ③ある程度業界を絞る
就職四季報では、企業が業界別に分類されているため、ある程度業界も絞っておくと企業を探しやすくなります。
興味のある業界のページを順番に見ていくと、「自分は知らなかったけれど、自分に合っていそう」というような企業を見つけられるかもしれません。
自己分析をして考えた就活の軸や企業選びの軸をもとに、どのような業界であれば自分の軸とのマッチ度が高いのかを考えてみましょう。
志望企業を選びやすくするためには、各業界の特徴や動向を知っておく必要があります。各業界について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
就職活動で役立つ業界一覧|仕事内容から動向まで各業界を徹底解説!
実際に業界をどのように絞るのかはこちらの記事で解説しています。併せて参考にしましょう。
業界の絞り方で就活失敗? 後悔しない絞り方7選と必須の準備を解説
③すべての情報を鵜呑みにしない
就職四季報は、掲載企業からのアンケートをもとに東洋経済新報社がまとめたデータのため、信頼性は比較的高いといえます。しかし、すべての情報を鵜呑みにしてはいけないということも認識しておきましょう。
たとえば、選考スケジュールに変更があったとしても、その最新のデータが反映されていないこともあります。就職四季報の情報を鵜呑みにせず、公式HPや採用サイトなどでも確認を取りましょう。
また、平均残業時間などの時間も企業が把握しているもののため、注意が必要です。実はサービス残業があるなどは、就職四季報だけではわからないため、OB・OG訪問など実際に働いている人に直接聞くなどして情報を得ましょう。
就職四季報だけを盲信するのではなく、さまざまな情報源から信用できる情報を取捨選択して企業研究をしてください。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る読むことに時間をかけすぎないように注意
個人的に考える、就職四季報を活用するうえでの注意すべきポイントは2つあります。まず1つ目は「読むことにあまり時間をかけすぎない」ということ。
企業や業界の詳細なデータを知ることができるので大いに活用できる点がメリットですが、ほかにも自己分析や面接対策などじっくり取り組みたい課題はたくさんあります。
そのため、就職四季報をガッツリと読み込むというよりは、就活を進めるうえでの一つの道具として利用しましょう。あくまで参考資料として脇に置いておく感覚で活用するのがおすすめの使い方です。
ある程度業界を絞ったうえで活用するのが効果的
そのうえで2つ目のポイントは「あらかじめある程度の業界を絞ったうえで活用する」ということです。
ただなんとなく「就職四季報には情報が載ってるからとりあえず見てみよう」という気持ちで読んでしまうと、本来得る必要のない情報まで閲覧してしまって、かえって軸がブレてしまったり、余計な時間を使ってしまったりしかねません。
就活をスムーズに進めていくためにも、事前にある程度興味がある業界・企業を絞った後に活用するのが良いでしょう。
賢く使おう! 就職四季報のおすすめの4つの使い方
就職四季報のおすすめの4つの使い方
- ぱらぱらと見て自分に合った企業を発見する
- 興味のある企業を比較する
- 企業独自の強みを参考に志望動機を作る
- 業界地図と併せて活用する
就職四季報を見ることで、さまざまな企業の情報を得られます。しかし、情報を知識として持っていても、使い方が理解できていなければ、就活に活かすことはできません。
ここからは、就職四季報のおすすめの使い方を解説します。就職四季報を賢く使って、就活の相棒にしましょう。
選考通過率がグッと上がる!
就活対策で悩んだらプロンプト集がおすすめ!
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①ぱらぱらと見て自分に合った企業を発見する
CMをしているような有名企業や、サービスを利用したことのあるBtoC企業であれば、業界研究をする前から知っていたかもしれません。しかし世の中には、一般的に知られていない、優良企業や実力のある企業がたくさんあります。
就職四季報を活用することで、今まで知らなかった、自分の軸に合った企業や優良企業を見つけられるかもしれません。
一気に熟読せずに、最初はぱらぱらと気になる業界のページを見て、どのような企業があるのか把握しましょう。
直接的な接点がないため働くことがイメージしにくいBtoB企業も、優良企業は多数存在します。BtoB企業について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
BtoB企業とは? BtoCとの違いから企業の探し方まで徹底解説
「自分に合う仕事って何だろう……?」と悩んでしまっている人はこちらの記事も参考にしてみてください。さまざまな観点から良い仕事を紹介しています。
良い仕事とは? 自分に合う働き方や会社が必ず見つかる3ステップ
②興味のある企業を比較する
就職四季報は、多くの企業の情報が同じ項目、同じ算出方法で記載されているため、興味のある企業同士を比較する際にも役立ちます。
働きたい企業が明確に決まっている人も、志望企業だけを見るのではなく、同業他社を比較したり、志望企業の関連企業を比較したりと広い視野を持って企業研究をしましょう。
比較することで、企業の特色や良さが見えることもあり、企業選びや志望動機の作成に活かすことが可能です。
どのように企業同士を比較したら良いのか迷っている人は、企業研究ノートを作成してみましょう。この記事では企業研究のやり方から、企業の比較方法まで解説しています。
作り方例4選|企業研究ノートのまとめ方をイラスト付きで解説!
- まったく違う業界の企業同士を比べても意味がないでしょうか?
業界理解が深まったり軸を見つけられるので意味がある
企業ごとの特徴を把握するためには、同業界の企業を比較しなければ魅力がわからないのではないかと疑問に感じますよね。実は異なる業界の企業を比較することも、就活対策として有効な方法の一つです。
まったく違う業界の企業を比較すると、業界の違いを理解することにもつながり、自分が就活で重視したいことを見つけるきっかけになりますよ。
たとえば、人材業界と製造業界の企業理念を比較したときに、ある人材業界は人の支援を掲げ、ある製造業界の企業は産業の発展を掲げているとします。
このデータを見て「人の支援の方が面白そう」と感じたら、志望業界を定めるきっかけになりますよ。
③企業独自の強みを参考に志望動機を作る
書類選考や面接では「なぜこの会社で働きたいのか」をさまざまな角度から質問されます。どこの企業でも使い回せるような内容では、採用担当者の心を動かす志望動機になりません。
就職四季報には、企業の経営戦略や特色といった情報も掲載されています。企業に対する理解を深め、情報を盛り込んだ志望動機を作ることで、オリジナリティを出しましょう。
志望動機には「なぜこの業界か」「なぜこの会社か」「入社して何ができるか」を盛り込みたいですね。
「なぜこの会社か」は業界の特徴を踏まえたうえで、応募先の良いところ、ライバル社との違いを見つけて共感することが必要です。就職四季報はそのための分析に役立ちます。
企業独自の強みを盛り込む志望動機の作り方については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて確認してみてくださいね。
履歴書
例文10選|新卒用履歴書の志望動機の基本と盛り込むべき6要素
ES
例文12選|受かる志望動機をエントリーシートに書く4つのステップ
面接
面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG
④業界地図と併せて活用する
就職四季報と同様に、東洋経済新報社発行の会社四季報 業界地図と併せて活用する方法もおすすめです。
会社四季報 業界地図とは
業界別のあらゆる情報を、「地図」の形で直感的にわかりやすく解説したもの
業界地図で得られる情報
- 企業同士の関係
- 業界シェア上位企業
- 業界別の必要な資格
- 業界の規模
- 業界全体の好不調
- 主要企業の好不調
- 業界のトレンド
- 業界のビジネスモデル・利益構造
業界地図を読むことで、ビジネスの成り立ちや業界別の状況、今後の動向を把握できます。
しかし、個別の企業分析には向いていないため、業界地図で大まかな業界の状況を把握し、気になる企業を就職四季報で詳しく確認するといったように、併せて活用してください。
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見る就職四季報を活用して就活の軸を決めることができる
自分に合った企業を見つけた次のステップとしては、エントリーする企業を決めたり、最終的には内定承諾をしたりする企業を決めなければなりません。エントリーするかどうか、承諾するかどうかの判断軸として「就活の軸」が必要になります。
そして、就職四季報を活用することで、就活の軸を決めるきっかけになりますよ。就職四季報では企業理念や配属先の職種、福利厚生、社風(会社が求める人材)などがわかりますよね。
自分が興味を持った企業に共通する情報を見つけると、就活の軸を定めるきっかけになるのです。
自己分析の効率化や精度を上げるのにも効果的
たとえば、興味を持ったいくつかの企業を振り返って見たときに、求める人材の「チャレンジ精神がある」が共通しているとします。すると、強く意識はしていなかったかもしれませんが、挑戦できる職場で働くことを希望している可能性が考えられますよね。
このように就職四季報を活用することで、自己分析を効率化したり精度を上げたりすることにも役立つので、ぜひ活用してくださいね。
チャレンジ精神を強みに持つ人は自己PRでアピールしてみましょう。この記事でチャレンジ精神の自己PRの作り方、伝え方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
例文22選|チャレンジ精神の自己PRは4つのポイントで敵なし!
理想の企業を探そう! 就職四季報で見るべきポイント12選
いざ就職四季報で興味のある企業を調べてみようと思っても「どこに注目して見たら良いの?」と悩んでしまう人もいるでしょう。
就職四季報は情報量が豊富なため、なんとなく読んでしまっては、「結局頭に入らなかった……」ということもあります。
ここからは、就職四季報で見るべきポイントを解説します。見るべきポイントを把握すると、効率的に企業研究を進められますよ。
①採用プロセス
まず、興味のある企業の採用プロセスを確認しましょう。エントリーやセミナー、エントリーシート(ES)提出、内々定の時期などがおおまかに記載されているため、全体のスケジュール感がつかめます。
事前にスケジュール感を把握したうえで、いつどのように対策を開始して、就活を進めるといった自分自身のスケジュールを考えてみてください。
また、インターン経由の選考の有無も記載されているため、インターンに参加するか検討する材料にしましょう。
採用プロセスは例年と異なる場合もあるため、情報を鵜呑みにせず、実際に受けようと考えている企業に関しては、公式HPなどで再確認するようにしてください。
就活の進め方についてはこちらの記事で解説しています。就職四季報の採用プロセスと併せて活用してみてください。
就活のやり方は? 内定を勝ち取るために必要なすべてを徹底解説!
②試験情報
採用プロセスと合わせて、試験情報も確認しましょう。就職四季報では、試験情報が豊富に掲載されています。
就職四季報に記載されている試験情報
- 企業が重視する科目
- 採用試験の種類
- 筆記試験がある場合、筆記試験の種類
- 面接回数
- ESの内容
- 面接での評価ポイント
- 通過率
- 倍率
企業の重視しているポイントを重点的に対策したり、該当する種類の適性検査の対策をしたりと、企業独自の就活対策ができます。
③採用実績校
自分の大学から採用されているOB・OGがいるかも確認できます。
志望企業に先輩がいることがわかれば、大学のキャリアセンターに問い合わせてOB・OGとつながるきっかけになるかもしれません。
また、どのような大学から採用しているのかがわかると、周りの学力レベルや採用の傾向をつかむ手がかりになる可能性もあります。
しかし、志望企業に自分の大学がなくても諦めることはありません。あくまで、一つの手がかりとして採用実績校を確認してみましょう。
OB・OG訪問の事前準備を知りたい人は以下の記事を参考にしてくださいね。就活に活かすコツやマナーを解説しています。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
OB・OG訪問を有意義な時間にするためには、質問選びが重要です。限られた時間で有益な情報を得るために、以下の記事も併せて確認してみてください。
OB・OG訪問は質問選びが鍵! おすすめ質問100選を紹介
④配属先
配属先を確認すると、入社後のイメージがしやすくなるためおすすめです。
配属先を把握しておくことで、自分が考えていたキャリアと実際の配属先とのミスマッチを防ぐことができます。後悔しないために、あらかじめ配属先の情報を把握したうえで企業選びをしましょう。
また、総合職採用の場合、新入社員の希望通りに配属されるとは限りません。希望が通らないことも念頭にいれ、どのような部署に配属される可能性があるのか把握しておくことをおすすめします。
総合職を詳しく知りたい人は、こちらの記事で解説しているので併せてチェックしてください。一般職との違いがわかります。
総合職と一般職の7つの違いを解説! 将来後悔しない選択の秘訣とは?
⑤3年後離職率
志望企業が働きやすい企業なのかどうか気になる人も多いでしょう。働きやすさはさまざまな指標によって予測できますが、中でも3年後離職率を確認することをおすすめします。
3年後離職率とは
新卒で入社した人のうち、3年以内に退職した人の割合。平均値は30%前後
新卒入社の人がすぐに辞めてしまうのはさまざまな要因があり、割合が高いからといって働きにくい会社とは言い切れませんが、一定働きやすさの参考になる指標です。
企業によってはキャリアアップによる転職が多い場合もあるため、志望企業の3年後離職率がほかと比べて高い場合は、OB・OG訪問や大学のキャリアセンター、就活口コミサイトなどで、離職率が高い理由を調べておきましょう。
⑥有給消化率
就職四季報では、多くの企業が公開している有給休暇の最大日数ではなく、実際の有休取得(消化)日数や、その付与日数に対する割合が掲載されています。
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査によると、世の中の有給休暇の年間平均取得日数は10.9日、有給休暇取得率は62.1%です。志望企業と平均を比べてみましょう。
ただし、有給消化率は業種によっても異なります。一つの企業だけでなく、同業種と比べて判断してみてください。
⑦残業時間
ワークライフバランスを考えるうえで、残業時間も確認しておきましょう。残業時間は、企業に在籍している社員が毎月どれくらい残業をしているのかを示す平均値です。
dodaの平均残業時間ランキング【最新版】【91職種別】によると、平均残業時間は21.9時間です。なお、こちらはdodaのアンケートの回答15,000件を参考にした値です。検討する際に参考にしてみてください。
ただ、残業時間は企業の回答に基づいて掲載されているため、サービス残業をしている場合、数字に含まれないので注意してください。
自分が希望する企業の平均残業時間はしっかり確認しておいた方が良いですね。インターンやOB・OG訪問の際に話を聞いたうえで、就職四季報のデータと比較すると良いでしょう。
⑧平均年収・初任給
給与面も確認しておくべきポイントです。どんなに好きな仕事に就けても、給与面に不満があると長く働き続けられない可能性があります。自分のモチベーションや生活を維持するために、給与の部分もしっかり確認しておきましょう。
就職四季報には、初任給、ボーナス額、25歳・30歳・35歳の平均年収など給与に関する項目が多数掲載されています。
年齢別の平均年収を知ることで、何歳の時点で到達する年収なのかが把握できます。
ただし、残業代を含むかどうかは企業によって異なることや、業績によってボーナス額が変動する企業が多いことなど、記載されている平均年収に到達しない場合があることも認識しておきましょう。
1社だけでなく複数社比較して、業界の中での立ち位置や、業界の全体図を把握しておきましょう。
給与の高い仕事に就きたいと考えている人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。給料の高い仕事やその就き方、逆に給料が高いことへのリスクを解説しています。
給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
⑨業績
会社の将来性を見極めるうえで、業績の情報も確認しておきましょう。各指標が右肩上がりになっていれば、着実に業績が上がっているといえます。
業績を確認する指標
- 売上高=売上数量×販売単価
→本業の売り上げによって得られた収入 - 営業利益=売上高−売上原価−販売・管理費
→本業によって得られた利益 - 経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用
→本業以外も含めた利益。実際に企業が得られた利益の実態を示す - 純利益=経常利益+特別利益−特別損失−法人税など
→該当の会計期における企業の最終的な利益
売上高が伸びていても赤字が続いている企業の中には、成長のための投資をしている企業もあります。赤字の企業すべてに問題があるというわけではないので、志望企業が赤字の場合は、なぜなのか理由を探ってみましょう。
また、売上高と経常利益の指標を用いて売上高経常利益率(ROS)を算出することも可能です。売上高経常利益率を見ることで、その企業の「稼ぐ力」を判断できます。
売上高経常利益率の計算方法
売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100
売上高経常利益率は収益力を測る指標ですが、業種によって差が生じます。同じ業種内で複数社計算してみて、志望企業が同業他社よりも収益力があるのかを判断しましょう。
- 業績が右肩上がりでない企業は、避けたほうが良いですか?
業界の成長率を調べて決めよう
一概には言い切れません。業界の成長率も調べてみましょう。
業界全体が成熟状態にある場合は、企業の成長率も鈍化する傾向にあります。業界全体は成長しているのに、応募先の業績が伸びていなければ、何か課題があるはずです。
業界研究をしっかりおこない、自分が興味を持てるかどうか考えてみてください。
⑩今後力を入れる事業
企業の方向性と自分自身のビジョンの方向性が合っているかを知るためには、就職四季報の今後力を入れる事業も確認しておきましょう。
企業が注力している事業や、長期的な事業展開を確認することで、志望動機づくりに役立てることも可能です。
また、企業が力を入れたい分野が時代の流れに沿っていて成長の見込める分野かを判断することも、後悔のない就職先を見つけるために重要なポイントです。
今後力を入れたい事業を把握するだけでなく、なぜ力を入れたいと考えているのか背景まで考えることがポイントです。背景を把握することで、世の中の変化も把握できますよ。
企業の方向性と自分自身のビジョンの方向性が合っているか確認するためには、まず自分のキャリア形成をしっかり考えましょう。キャリア形成について、こちらの記事で解説しています。
キャリア形成とは? 4ステップでこの時代を生き抜く方法を考えよう
⑪記者評価
企業の実態を知るためには、記者評価も確認しておきましょう。
記者評価では、担当記者による企業紹介や社風、働き方などが掲載されています。
企業側や学生側と異なる立場からの意見を知ることができるため、より多角的な視点を企業研究に取り入れることが可能です。
同業種の企業での記者評価の違いを比べてみると、より理解が深まります。
記者評価で書かれていることは、人によって社風に対して持つ感情が異なることもあるため、鵜呑みにしないようにしてください。記者評価は参考情報として活用し、詳しい社風などを理解するには説明会やOB・OG訪問を活用しましょう。
⑫情報開示度
就職四季報のデータの中には「ND」や「NA」と記載されている箇所もあります。この部分を確認すると、企業の情報開示度がわかります。
ND・NAとは
- ND:データなし(No Data)
- NA:回答なし(No Answer)
一般的には良い情報であれば、情報を開示した方が企業側もメリットがあります。そのため企業が情報を開示していないNAやNDの項目は、企業側が積極的には公表したくない、企業の弱みとなる値の可能性が高くなります。
また、企業がどれだけ情報開示に積極的であるかは開示欄の★の数で確認できます。★が少ないと、情報開示に積極的ではないとわかります。
NDやNAの項目が、重視していたり気になる項目である場合は、ほかのサイトやOB・OG訪問、インターンなどで詳しく確認しておくと安心です。
- 企業研究の際に知っておくべきことで、就職四季報に載っていないものはありますか?
「企業理念」「社長のメッセージ」などは載っていない
いくつかありますが、重要なポイントに限って言えば「企業理念」「社長のメッセージ」などは記載されていません。これらは自分の熱意をアピールするうえで欠かせない情報です。
売上高や経常利益などの数字、有給・給与などの条件面は就職四季報でも見ることができますが、会社の社風やビジョンであったり目標などの部分までは載っていないので、HPやOB・OG訪問、インターンなどを通して情報収集する必要があります。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見る「業界地図」や「業界団体のサイト情報」と合わせて情報収集しよう
同業他社の情報を一度に見られるのが就職四季報の大きなポイントです。「就職四季報」と同じ出版社から出ている「業界地図」を併用して目を通すのは定番ですが、ネット情報と四季報を併用するなら、業界団体のサイトを探して四季報と併せて確認するのが良いでしょう。
業界団体は「食品業界 業界団体」のようなキーワードで検索をすると見つけられます。
四季報の情報から業界・企業理解をさらに深めよう
業界団体のサイトにはその業界の動向や課題が掲載されていることも多いので、そういう情報を頭に入れて就職四季報の各社情報を見ると、いろいろ気づきがあると思います。
同じ業界でも各社ごとに業績が違うのはなぜか。逆に、業界共通で女性管理職率が高いのはなぜか。そういった疑問が出てきたらさらに調べたり、OB・OG訪問で確認したりします。
四季報の情報はとっかかりにすぎません。応募先だけだなく業界全体や、ライバル会社の情報を見ることで、業界理解・企業理解を深めましょう。
就職四季報を賢く使って納得感ある就職先を見つけよう
就職四季報は、企業の客観的な情報をデータで知ることができる、学生向けの情報誌です。企業のHPや採用ページでは知ることができない情報も掲載されています。
就職四季報の賢い使い方を理解して、就職活動に活かしましょう。客観的なデータを読み解いていくことで、納得できる就職先が見つかるはずです。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る入社後の自分を具体的に想像するためにも就職四季報を活用しよう
就職四季報のデータをインプットしたり、自分なりに分析したりすることは企業研究や業界研究に活用できるので、アイデアとして素晴らしいですね。一方で、注意すべき事柄として「あくまで現時点でのデータである」という点も忘れてはいけません。
ここ数年での企業の業績や採用結果などが記載されていますが、「会社の歴史」「この先の成長具合」など時間軸での捉え方も重要です。なぜなら、「内定や入社がゴールではない」からです。
皆さんは、内定を勝ち取るためにとてつもない努力をしながら就活をしていると思います。だからこそ、目の前のことに盲目的になりやすく過去や未来をイメージすることに時間を割くことはなかなか難しいはずです。
就職四季報を活用してデータを見つつ、「人」の部分も見極めよう
でも本当に大事なのは、入社した後にその会社で人生を過ごしていく自分を想像することではないでしょうか。
そういうことを見極めるには、就職四季報のような既存のデータも参考にしつつ、会社の温度感がわかるような「人」の部分に着目しながら対策を進めていくことが非常に重要です。皆さんの活動がうまくいくことを願っています。頑張ってください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
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