この記事のまとめ
- ブラック企業のパターンは一つではない
- 4つの場面と入社後に後悔しやすい項目別でブラック企業の特徴を紹介
- ホワイト企業を見つける要素を知って後悔しない就職先を見つけよう
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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就職先を選ぶとき、ブラック企業は避けておきたいと考える人は多いのではないでしょうか。できれば失敗せずに就職したいものですよね。
ブラック企業と一口に言ってもさまざまな種類があるため、周りが言うようなブラック企業だけがブラック企業とは限りません。後悔しない就職先を選ぶためには、複数のパターンから避けるべきブラック企業の特徴を知っておく必要があります。
この記事では、キャリアアドバイザーの加藤さん、永田さん、古田さんとともにブラック企業の特徴や見抜く方法を詳しく解説します。これから企業選びをするという人はぜひ参考にしてくださいね。
ブラック企業の特徴は4つの場面から見抜くことができる
ブラック企業には就職したくないとは言っても、避けるべき特徴を知らないでいると見抜けず、気付かぬうちにブラック企業に就職してしまい、入社後に後悔してしまうという可能性があります。
ブラック企業を見抜くためには、入社するまでの4つの場面に着目してさまざまな視点から特徴をあぶりだしていく必要があります。
記事ではまず、入社前に確認できるブラック企業の特徴を4つの場面に分類して紹介していきます。特徴をしっかりと網羅して、ブラック企業かどうかを見極められるようにしていきましょう。
次に、入社後に後悔しやすいブラック企業の特徴と、法律を破っていることがわかる特徴について説明します。会社説明会などで不安点や不明点を質問できるように押さえておきましょう。
記事後半ではホワイト企業を見つけるために確認すると良い要素も紹介するので、後悔のない就職先を選ぶためにぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
まずは大前提から! ブラック企業のパターンは複数ある
ブラック企業には代表的な特徴があるように考えられることがほとんどですが、実は絶対的な定義は存在しません。もちろん社員を大事にしないような会社の特徴などはありますが、定義づけされていないので、人によってブラック企業の定義は異なるのです。
定義は人それぞれ異なるとは言いつつも、人々が共通してネガティブに感じるものもあります。そのため、ブラック企業といわれる企業には複数のパターンがあります。
すべてのパターンが自分にとって必ずしもブラック企業とは限らないため、仕事をするうえで絶対に譲れないことを明確にしてから会社探しをすることが大切です。
ブラック企業だと感じるポイントも人によって異なります。
たとえば残業が比較的多い会社があるとします。「残業は少なくしてプライベートの時間も有意義に使いたい」と考える人もいれば、「残業代で給与を少しでも多くしたい」と考える人もいるでしょう。
各人の価値観によって残業が比較的多い会社へ抱く思いは変わることがわかるように、ブラック企業だと感じる場面も異なるのです。
まずはあなたが受けない方がいい職業がわかります
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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4つの場面をチェック! それぞれの特徴でブラック企業かどうかを見極めよう
ブラック企業を避けて就職先を見つけるためには、入社前にチェックできる特徴を知って確認していく必要があります。そのため、就活を進めながら「応募先企業のブラック度はどれくらいか?」を確認していきましょう。
就活で直面する場面に分けて特徴をチェックすることで、ブラック企業かどうかを漏れなく見抜くことができます。ここでは4つの場面でブラック企業によくある特徴を紹介するので、選考に進む前や選考中に見極められる項目を把握して、入社後に後悔のないようにしましょう。
①会社説明会で注意すべき特徴
会社説明会で注意すべき特徴
- 業務内容の説明が曖昧
- 労働・残業時間に関する回答が抽象的
- 休暇制度について具体的な情報が提供されない
会社説明会に参加してから応募するかどうかを決める人は多いのではないでしょうか。ブラック企業かどうかは、会社説明会で見極められる可能性があります。
会社説明会に表れるブラック企業によくある特徴を紹介するので、説明会で説明される内容と照らし合わせたり質疑応答の時間を活用したりして、応募するかどうかの判断材料にしてくださいね。
業務内容の説明が曖昧
会社説明会では、会社についての概要や業務内容、必要なスキル、求められる人物像など、会社にまつわる基本的な情報が説明されます。
こうした基本的な情報が提供されるはずの会社説明会で、業務内容が詳しく説明されなかったり曖昧だったりする場合は、注意が必要です。また質疑応答の時間に、具体的なプロジェクトやタスクについて質問したにもかかわらず明確な回答が得られない場合も注意しましょう。
このような会社は、実際の仕事が過酷である可能性があります。会社説明会は会社をアピールする場でもあるため、業務の大変さを学生が聞くことで応募をやめてしまうと企業は考えるからです。
説明が曖昧であるリスクとしては「労働時間・休日」「給与」「業務内容」などのあらゆる面において、入社してからこんなはずではなかったと感じる可能性が高くなることでしょう。
具体性が乏しく気合いや根性論のみを語るような企業は少し注意が必要かもしれません。
労働・残業時間に関する回答が抽象的
仕事をする時間や残業時間に関して、具体的な数字を用いずに「みんな頑張っている」「業界の常識の範囲内」など抽象的な表現で濁す企業にも注意しておきましょう。
抽象的な表現で労働時間の回答を濁す企業は、労働時間や残業時間が長い可能性があります。労働時間や残業時間は基本的に数字で伝えるものですが、こういった数字は他社と比較しやすかったり大変さを理解しやすかったりします。
そのため、労働時間・残業時間が長いことをはっきりさせずに曖昧な表現をして、学生に自社の業務時間の長さを悟られないようにしているのです。
残業を強要することはできないため、「目標達成のために何ができる? 残業も仕方ないよね?」といった誘導をしてくる会社もあります。
就職のためとはいえ、自分のアンテナに引っかかった違和感は見逃さないようにしましょう。
休暇制度について具体的な情報が提供されない
有給休暇の取得率や休暇制度について具体的な情報が提供されない場合は、休暇が取りにくい職場である可能性があります。
ブラック企業は従業員に過剰な労働を要求することが多く、休暇を取るのが難しい状況にある場合があるからです。こういった事実が説明会に参加している学生に伝わらないようにするために、具体的な情報を提供せずに不透明のまま選考へ促そうとしていることがあります。
説明会を通じて休暇制度や有給休暇の取得について説明されない場合は、「どのような休暇制度があるのか」「社員の有休取得率はどれくらいか」などを質問して不安を解消しておきましょう。
こちらの記事では会社説明会で聞いておくべき質問を紹介しています。記事を参考にして質問をし、応募前に不安を解消しておきましょう。
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かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
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②口コミサイトで注意すべき特徴
口コミサイトで注意すべき特徴
- 一貫してネガティブな内容
- 離職率の高さに関するコメントが多い
- ワークライフバランスに不満を抱いたコメントが目立つ
口コミサイトには実際に働いた人の声が反映されています。企業の実態が表れやすくブラック企業の特徴も明確に出てくることがあるため、ブラック企業かどうかを判断するための一つの手段でもあります。
ここでは、口コミサイトを参考にする際にどのような点に着目すると良いのか紹介していきます。気になっている企業の口コミサイトではどのようなコメントが多いのか照らし合わせながらチェックしていきましょう。
口コミサイトを参考にする際は、内容を鵜呑みにしないように注意しましょう。人それぞれ価値観は異なり、投稿した人は自身の価値観で物事を受け取って感じたことなどを書いています。
そのため、物事が起こったときの受け止め方自体が、自分と異なっている人が書いている内容かもしれないということを頭に入れながら参考にしましょう。
一貫してネガティブな内容
ブラック企業で働いてつらい思いをした人は、口コミサイトに経験や具体的な内容についてコメントを残すことがあります。
そういった口コミサイトで、ポジティブな内容がほとんどなく、たくさんの人がネガティブな口コミを残している場合、多くの従業員がその企業に対して不満を抱いていることがわかります。
特にパワハラが原因で退職した、生活費がカツカツだったというようなコメントが目立つ場合は、労働環境や待遇、企業文化などに問題がある可能性が高いので、ブラック企業かもしれません。口コミサイトであまりにも否定的なコメントが多い場合はブラック企業の可能性が高いと認識しておきましょう。
しかし一人の人がたくさんのコメントを書いている場合は、たとえば特定の人に対して因縁を抱いているなど意図的に悪く書いている可能性があるため、ブラック企業には当てはまらないこともあります。
またコメントが書き込まれた年月が古すぎる場合についても、今は状況が改善されている可能性もあるので、これらを念頭においたうえで口コミを参考にしてみてください。
離職率の高さに関するコメントが多い
高い離職率は労働環境の悪さを示す一つの指標でもあります。離職している人が多くいるということは、従業員が不満を抱えている証拠とも言えるからです。
人によって離職する理由はさまざまかもしれませんが、労働時間の長さ、休暇の取りづらさ、給与への不満、上司からのハラスメント、評価の不透明さなどに不満を感じて辞める人が多くいます。
「社員の入れ替えが多い」「毎月新しい人が大量に入ってくる」「社員が定着しない」などといった内容も、離職率の高さを表すものになるので、口コミサイトを見る際はこういった関連したコメントがないかチェックしてみてくださいね。
しかし、さらなるやりがいや熱量を求めて転職をする人が多いという企業もあり、そういった企業はブラック企業であるとは限らないので区別して考えることが大切です。
- 離職率が低いと平均年齢が高くなると思うのですが、そうした企業も危険ではないのですか?
ブラックとは限らないが短期離職につながりやすい環境の可能性がある
一概に危険であるとは言えないのですが、若年層が会社の中に少ないことで新しい考え方ややり方を取り入れることができなくなったり、古い固定観念に固執してしまったりすることで会社自体が衰退していくことがよくあります。
会社側も意図せず労働環境がブラックになってしまう可能性もあり得ますが、それ以前の企業が存続していくための基本的な体力が乏しいということが考えられます。
そのような意味ではフレッシュな人間が入ってもすぐに辞めてしまう風潮が出来上がっている場合があります。
ワークライフバランスに不満を抱いたコメントが目立つ
仕事とプライベートのバランスを示す言葉であるワークライフバランスですが、ワークライフバランスに不満がある場合は従業員が過度の業務量を抱えていることが多く、仕事とプライベートの境界を保つことが難しい状況にいる場合があります。
ワークライフバランスの改善には企業側の配慮やサポートが不可欠となりますが、こういった配慮が欠けている場合はブラック企業といっても良いでしょう。
ワークライフバランスを保てない状況が続くと、過労やストレスがたまり健康被害を及ぼす可能性があります。「体調を崩してしまった」「精神的に疲れてしまった」というようなコメントが目立つ場合も注意してくださいね。
仕事は激務でも満足できるなら楽しく取り組めます。激務ではなくても自分に合っていなければブラックだと感じやすいものです。
ワークライフバランスも大切ですが、その仕事に納得できているかどうかも判断軸に含めると良いでしょう。
こちらのQ&Aでは会社の口コミサイトは信用できるのかについて、キャリアコンサルタントが回答しています。口コミサイトを参考にする際はこちらをチェックしておきましょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
③求人情報やHPで注意すべき特徴
求人情報やHPで注意すべき特徴
- 「やりがい」や「成長」ばかりが強調されている
- 給与や待遇が不明確
- 求人の掲載頻度が多い
会社の事業内容や募集要項などが記載されている求人情報や企業のホームページ(HP)にも、ブラック企業のよくある特徴が表れることがあります。
就活をするうえで求人情報やHPのチェックは必須なので、募集要項や企業研究を深めるのと同時に、ブラック企業の特徴が含まれていないかチェックしてみましょう。
これらをチェックして応募前にブラック企業かどうかを見極めることで、ブラック企業の選考を省けるため、就活の効率化にもなりますよ。
「やりがい」や「成長」ばかりが強調されている
やりがいや成長などといった言葉は一見ポジティブなものに見えるかもしれませんが、こういった精神論的な言葉ばかりが強調されている場合は注意する必要があります。過剰な労働や責任感を精神論でカバーしようとしている可能性が高いからです。
また、従業員のスキルやキャリアの成長をサポートする体制が整っていないことも考えられます。体制が整っていないことから、入社初期から裁量の大きい仕事をしなければならないという場合もあるため、「成長の機会」「早期昇進」「チャレンジ精神」といった魅力的な言葉や抽象的な表現で補おうとしているのです。
もちろん「やりがい」や「成長」という言葉が求人情報やHPに載っていてもブラック企業ではない場合もあります。過度に強調されている場合はブラック企業の可能性が高いので注意しましょう。
給与や待遇が不明確
給与や待遇が詳細に記載されていない場合は、実際の給与や待遇が悪い可能性があります。企業にとって不利となる条件を隠ぺいして、社員を確保しようとしているのです。
給与が極端に低ければ生活水準を保つことが難しくなり、福利厚生などの待遇が悪い場合は働きやすい環境ではないことが考えられます。
そのため、求人情報やHPに記載される給与や待遇が不透明な場合はブラック企業であることが多いです。
また、職種やポジションに対して給料が異常に高く表記されている場合も注意が必要です。年収が高く表記されていて魅力的に見えるものでも、基本給が低く内訳がわからないといった場合は、実は手取り額が低く、その事実を企業側が隠そうとしている可能性があります。
基本給・手当・昇給の頻度などが明確に示されているのかを募集要項でしっかりと確認するようにしましょう。
求人の掲載頻度が多い
同じ企業が頻繁に求人を掲載している場合は、短期間で従業員が辞めてしまっているという実態があると考えられます。つまり離職率が高く、定着率が低いのです。
こういった背景には、過剰な労働量や低い給与、不適切なマネジメント、労働環境の悪さ、従業員へのサポートの欠如などさまざまな理由があると考えられます。
どんな理由であれ、求人の掲載頻度が多い企業は不満を抱えている従業員が多く、たくさんの人が離職しているということがわかります。常に人員不足であることがわかる企業は、一度応募を考えなおした方が良いかもしれませんね。
求人の掲載頻度が多い会社でブラック企業かどうかを判断する際は、募集されている職種が専門職かどうかという視点に目を向けてみると良いと思います。
専門性が高い仕事の場合は応募が少なく、年中掲載している場合があります。一方で、一般職で専門性が低いにもかかわらず常に求人がかかっている職種は注意が必要かもしれません。
④面接で注意すべき特徴
面接で注意すべき特徴
- 面接官が早口で無表情
- かなり癖が強そうな面接官が出てくる
- 面接が1回しかない
- その場で内定が出る
- オワハラをしてくる
説明会の雰囲気が良くても、いざ面接に進んでみると意外とブラック企業だったということはよくあります。どんな会社も、新入社員を迎えるためにはプラスの面をメインにアピールするからです。
ここでは、面接でよくあるブラック企業の特徴を紹介していきます。これから説明する内容を参考に、面接官の態度やその場の雰囲気、自分への対応に着目して、ブラック企業を見極めていきましょう。
面接官が早口で無表情
面接官が早口だったり無表情で不愛想だったりする場合も、ブラック企業であるかもしれないと考えておく必要があります。
担当した面接官が役職者だったり権力のある社員である場合、従業員とのコミュニケーションがあまり円滑ではないという可能性が考えられます。常に堅い雰囲気でそういった態度で従業員と接しているのであれば、従業員側も過ごしづらいと感じてしまうでしょう。
またブラック企業は離職率が高いことが多いため、頻繁に面接がおこなわれている場合があります。
そういった状況にある場合、面接官は頻繁に新しい採用候補者と面接をするため面接自体が流れ作業となり、早く面接を終わらせようと早口になったり、応募者に関心や配慮がないことから無表情になったりすることがあるでしょう。
かなり癖が強そうな面接官が出てくる
高圧的な態度を取ってきたりこちらの話をさえぎったりするなど、癖が強い面接官と出会うこともあるかもしれません。癖が強い面接官が面接で登場する場合は、企業の文化に偏りがある可能性があります。
面接の間だけでなく業務中も高圧的な態度で従業員と接しているのであれば、上司や従業員のやり取りが一方的で、従業員の意見を尊重しない環境があると考えられるでしょう。パワハラが横行していることも考えられます。
従業員が居心地悪く感じるような癖のある上司が直属になった場合、職場の雰囲気が悪く、円滑にコミュニケーションを取ったり協力しあったりすることは難しくなってしまうでしょう。その結果、離職率が高くなることがあります。
面接で面接官に嫌な態度を取られた場合や、自分とは馬が合わないかもと違和感を覚えた場合は、応募をするべきか再検討してみてください。
- ただ単に自分を担当した面接官の癖が強いだけなのか、会社全体でそういう人が多いのか区別が付きません。
二次面接の面接官に着目して判断してみよう
二次面接になると、面接官が変わったり増えたりすることが多くなります。それでも高圧的だったり癖が強かったりする面接官なら、会社全体がそういった風潮である可能性が高くなります。
面接官を任命しているのは、その会社の経営者や幹部の人たちです。高圧的な態度だったり癖が強かったりする面接官は、会社の看板を背負って面接業務にあたっているという気持ちが欠けているだけかもしれませんが、その人を任命している会社にも責任があります。
面接官の態度や自分との相性はしっかり見ておきましょう。
面接が1回しかない
離職率が高いことから頻繁に採用活動をするようなブラック企業では、面接が1回しかおこなわれないことがあります。これは、面接回数を減らして採用の効率化を図っている可能性があるからです。
このような企業は採用プロセスを軽視していて、応募者の適性やスキルを十分に評価せずに採用を決めているため、企業の人事管理がずさんであることが考えられます。
現場でもそれぞれの従業員のスキルを無視している可能性もあるでしょう。従業員の成長や満足度を考慮せず、従業員を単なる労働力として扱っている場合があります。
新卒採用の場合でも、スピード重視採用の企業では面接回数を1回のみ執りおこなうという場合があります。
面接者の裁量のみに委ねられている場合は注意が必要かと考えます。採用面接自体が構造化されたものか否かという部分は注目すべきポイントです。
その場で内定が出る
ブラック企業では急に人手が必要になることが多いため、人手不足となるたびに迅速に採用活動をおこなうことがあります。そういった場合に、不足している人員を補充するために、面接をおこなったその場で内定を出すことがあるのです。
一般的に採用活動は、社内でさまざまな人の意見を通して合否を決断していきますが、内定をその場で出す場合は社内での意見交換がおこなわれないため、応募者のスキルをしっかりと評価せず、人員補充を重視して採用を決断している可能性があります。
またこのような即日で内定を出す企業は、労働条件や待遇など、詳細な説明を省略したり怠ったりすることがあります。応募者に対して不利になる条件を隠すためとも取れる行為なので、即日内定の場合はほかの要素もしっかりと確認して、ブラック企業かどうかを判断することが大切です。
オワハラをしてくる
オワハラとは
「就活終われハラスメント」の略。企業などが新規学校卒業者等の採用において、内定や内々定をおこなうことと引き換えに、学生の意思に反してほかの企業などへの就職活動の終了を強要するようなハラスメント行為のこと
参考元:厚生労働省
ほかの企業の選考辞退を促して自社に入社することの圧力をかける会社も、ブラック企業である可能性が高いです。
こういった企業は、他社の選考を辞退することを条件に内定・内々定を出すことを持ちかけ、人員を確保しようとしています。ここから、企業側の利益や都合を優先しようとしている背景が伺えるでしょう。
このような企業に入社した場合、従業員の意見を大切にしなかったり配慮しなかったりする可能性が高いです。将来的に過度な労働や精神的な負担を強いる傾向にあるため、面接時にオワハラをされた場合は、このまま選考に進むべきか考え直してみてください。
オワハラをしてくる場合は、応募者の都合より会社の都合を優先している時点で、対等な立場で物事を考えてくれる会社ではないことがわかります。
企業と労働者応募者がWin-Winの関係でいられない会社で働きたいかを自問してみましょう。
採用活動をおこなうなかで、エントリーシート(ES)の提出が不要な企業もあります。こちらのQ&AでES提出なしの企業はブラックかどうかについてキャリアコンサルタントが回答しているので、チェックしておきましょう。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見る離職率が高い企業は長期的に働くことが難しい可能性がある
離職率が高いということは、会社や仕事に合わないと感じる人や、長く働きたくない・働けないと考える人が多いということです。人それぞれ辞める理由は違いますが、合わないと感じる多くの理由が存在する可能性があります。
創業年数にもよりますが、働いている人の平均就業年数が5年以下の会社は注意が必要でしょう。
オワハラを促してくる企業にも注意が必要
面接中や内定後にオワハラを促したり、面談中も話してるのにもかかわらず途中で話を遮ったりしてくる企業は、応募者のことを尊重していないと言えます。会社の入り口とも言える採用担当者がそのような態度を取る会社は、従業員を大切にしていないということが多くあります。
そのような会社では、会社の利益や利潤を最優先するなど、働く人にとって気持ち良く働けない環境であることが多いでしょう。最悪の場合は、人間としてではなくモノのように扱われることも考えられるので注意しましょう。
また、面談を受けた際の違和感などは直感的に当たっている場合が多いです。最終的な決断を下す前に一旦立ち止まって親や友人などに相談し、違和感をそのままにしないようにしましょう。
納得して働けない環境もブラック企業!? 入社後に後悔しやすい7つの特徴
納得して働けない環境もブラック企業!? 入社後に後悔しやすい7つの特徴
4つの場面で見極められるブラック企業の特徴を紹介しましたが、人によって嫌だと感じることや仕事をするうえで避けたいと思うことが異なるため、自分が納得できない環境に身を置いた場合にも「ブラック企業だ」とも感じることがあります。
ここからは納得して働けない可能性がある7つの企業特性について紹介するので、自分はどんな環境を嫌だと感じるのかを考えながら、一つずつ確認していきましょう。
企業の外部向けの情報を見てみると「成長」「信念」「感動を与える」など抽象度が高い内容ばかり羅列されている場合があります。
社会貢献意識の強い人には刺さる一方で、入社してみると実は自分が我慢を強いられる場面がたくさんあるといったパターンもよくあります。
①残業時間が常に長い
就活をする際に「残業時間が長くても給料が高ければ問題ない」と考えて残業時間が常に長い会社に入社した場合、やはり入社をやめておけばよかったと後悔する人は多くいます。
もちろん割り切って納得している人もいるかもしれませんが、長時間の残業が常態化している場合、仕事とプライベートの時間のバランスを取ることが難しくなります。ストレスや疲労感を招いたり、健康や家庭への影響を及ぼしたりすることにつながるでしょう。
また長時間の残業が続くことでたまっていく疲れやストレスが原因で、仕事へのモチベーションが低下することも考えられます。業務に対する意欲が減り、仕事への満足度が低くなることで日々の充実度も減少してしまうかもしれません。
ストレス耐性がある、体力に自信があるなど、長時間労働に不満を抱かないという根拠がある人以外は、長時間労働が常態化している会社はブラック企業と感じやすいため避けておいた方が無難です。
②休憩時間も仕事をする
業務量が多く休憩する時間すらもったいないと考え、昼休憩などの休憩時間も仕事をする会社もブラック企業のなかにはあります。こういった状態が当たり前になると、従業員は適切な休息を取る機会を失い、ストレスがたまりやすくなったり、疲れが蓄積されたりしていきます。
休憩時間に頭や身体を休めることなく作業することで、仕事に対する集中力や生産性が低下することも考えられるでしょう。業務効率や質にも悪影響を与える可能性があります。
また休憩時間も仕事をすることが当たり前である環境にいると、しっかりと休憩を取っている場合でも、「仕事がたくさんあるのにのんきに休憩している場合ではない」と上司や同僚からのプレッシャーがかかることもあるでしょう。
休憩時間も仕事をして脳や身体を休めることない状態にいることで引き起こされるリスクで多いのは、ミスが増えてクレームにつながったり、疲れがたまりすぎてメンタル不調に陥り、休業・退職をしてしまったりすることが挙げられます。
脳と身体を休めることは、心身ともに健全な状態で働くためにとても大切なことなのです。
③休日出勤が多い
緊急の場合など休日出勤が避けられないような状況もありますが、ブラック企業のなかにはあまりにも休日出勤が多いという会社もあり、プライベートの時間を大幅に削減することになるため不満を抱えてしまう人が多くいるようです。
せっかくの休みが頻繁な休日出勤によってなくなることが続いてしまうと、マイナスな感情が出てきてしまうことは簡単に想像ができるでしょう。家族や友人との時間や自分の時間を確保することが難しくなり、日常生活の充実度を妨げる要因となるからです。
また「どうせ今週も休日出勤だろう」と考えるようになり職場に対する信用が薄れることで、業務へのモチベーション維持が難しくなることもあります。納得のいく働き方ができないと不満がたまってしまうため、休日出勤がたくさん重なることに不満を覚える人が多いのです。
④給料が業務に見合っていない
ブラック企業には、業務内容や業務への責任と比較して支給する給料が不適切なことが多くあります。この場合、従業員の仕事への意欲や満足度が低下することがあります。どんなに頑張っていてもそれに見合った給料が払われなければ、働く意味がないと考える人が多いからです。
また業務内容に見合っていない給料を受け取ることは、会社への不満や不信感を積もらせることにもつながるでしょう。同じ業界と給与水準を比較したときに自分の給与が低いと、適切な評価がなされていないと感じるからです。
適切な給料をもらえないことから経済的な不安や将来への不安から生活のストレスが増えていくこともあるため、入社後に後悔する要因にもなるでしょう。
- やりがい搾取という言葉をよく聞きますが、そうした企業を避けるためにはどうすれば良いですか?
やりがい搾取に陥りやすい企業や仕事を避けるのも一つの方法
入社する前に見極めるというのはなかなか難しい部分になりますが、方法として考えられるのは、インターンシップなどで職場を見学したり、実際に中に入って働いている人からの声を聞いたりするのが有効な手段です。
興味を持つすべての企業に対してそのようなことができるとも限らないのでハードルは高いかもしれませんが、志望度が高い企業を優先的に確認してみると良いと思います。
まずそのような企業を避けるためには、やりがい搾取に陥りやすい業種や仕事を避けるところから考える方が良いでしょう。具体的には「サービス業」や「ノルマが課せられる業務」などはそのような可能性が高いと言えます。
また、企業が利益追求ばかりに目を奪われていると感じた場合は選択肢から除外した方が無難でしょう。
「給料が高い仕事がしたい!」という人は、こちらの記事をチェックしておきましょう。給料の高い仕事と就活のコツを詳しく紹介しています。
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給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
就職先を選ぶにあたって、給与が高い仕事とは何か気になりますよね。この記事では、キャリアコンサルタントの解説を交えつつ、給料が高い仕事TOP100を紹介します。また給料が高いことのリスクも解説するので、自分に合っているかどうかの参考にしてください。
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⑤固定残業時間が異常に長い
固定残業時間とは、実際の残業時間にかかわらず毎月給与の一部として支払われる分の残業時間のことを指します。
ブラック企業のなかには固定残業時間が異常に長いというものもあり、残業時間があまりにも長い場合は、納得して働けなかったり不満を抱いたりする要因となることがあります。なぜなら、労働時間に見合った給料がもらえない、公平ではないと感じることがあるからです。
固定残業時間は企業によって異なり、労働基準法上の上限はありませんが、基本的には45時間以内に留めることが一般的とされています。そのため60時間や80時間以上などのように異常に長い場合は注意しましょう。
しかし、固定残業制度自体が必ずしも悪とは限らないことも理解が必要です。固定残業制度を導入することで企業は人件費を正確に把握できるため、経営をする側は事業の予測や資金計画を立てやすくなるからです。
「固定残業制度があるから」ではなく、「固定残業時間が業務量と見合っているか」といった視点で考えることが重要です。
固定残業制度とは、毎月の残業の有無にかかわらず必ず固定残業分は給与として支払われる制度となります。
固定残業時間分を超えた残業時間の追加分は別途支払われることが法律でも決まっているので、固定残業時間制度=ブラック企業ではないということを理解しておきましょう。
⑥離職率・休職率が高い
離職率や休職率が高い企業では、従業員が労働環境に不満を抱いていることが多い傾向にあります。ブラック企業の特徴でもある過剰な残業や長時間の労働、労働条件の悪さ、給料の低さなどさまざまな理由が要因となり、従業員が退職したり休職したりすることがあるからです。
また、長期的なキャリアを築けない、築くのが難しいと従業員が感じた場合も、転職してキャリアアップをするために離職をすることもあります。従業員のスキルや能力を活かす機会を提供しなかったりキャリアの成長をサポートしなかったりすることから、やりがいや成長を求める人材は別の会社で働こうと考えるからです。
離職率・休職率が高いことは社員の入れ替わりが激しい環境とも言えるため、安定した労働環境を求める人も、不満を抱くことがあるでしょう。
離職率が高いといわれることが多いコンサル業界の実態について、こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントが回答しています。コンサル業界に興味がある人はチェックしてみてくださいね。
⑦勤務時間外にミーティングがある
ブラック企業では、定時以降や休日などの勤務時間外にミーティングがあることがあります。このような状況が多く発生することで、従業員は仕事とプライベートの切り分けが曖昧になり、自由な時間が制限されていると感じることがあります。
プライベートの時間にまで仕事が及ぶと、家庭や趣味などに時間を割くことが難しくなってしまい、ワークライフバランスを保つことが困難になるでしょう。
また勤務時間外に予定外のミーティングが開催されると、プライベートの予定を立てることに不便さを感じることもあります。日常生活におけるストレスの増大にもつながるため、勤務時間外にミーティングがある会社に入社した場合は、入社後に不満を抱く原因となるのです。
さらに、プライベートの時間でも仕事をしなければならないという負担が増加し、業務への圧迫感や、仕事に対するモチベーションの低下にもつながる可能性があります。
ブラック企業だという噂がある業界や企業について、こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントが回答しています。IT業界やカード会社への就職を考えている人はチェックしておきましょう。
就活の専門家ならどうする? ブラック企業の見分け方を聞いてみよう
ブラック企業によくある特徴を紹介しましたが、これらは基本的な情報なのでどんな人でも見つけやすいです。しかし、これらの特徴にも当てはまらないブラック企業も潜んでいるかもしれません。
そんな場合、就活の専門家はどのようにブラック企業を見分けるのでしょうか。キャリアコンサルタントの古田さんに解説してもらいましょう。
アドバイザーコメント
古田 文子
プロフィールを見るブラック企業を見極めるためには市場調査が必須
一年中求人が出ている企業は要注意です。常に人が足りないということは、働きにくい職場・仕事が続かない職場である可能性が高いからです。
もちろん業界ならではの事情もあるので一概には言えませんが、一つの目安にはなるでしょう。市場調査をして、ほかの企業よりも求人の掲載頻度が多い企業には注意が必要です。
ブラック企業はその待遇に開き直っていることが多い
出身地や経歴など、面接官の好みだけで合否の判断をする企業に出会ったことがあります。そのほかにも、朝礼や仕事前におこなう体操があったり、清掃の時間は無償だったり、体調不良で休みがちな従業員に対して面談も合意もなく一方的に待遇を変え、自主的に退社を促したりする企業もありました。
これらの企業に共通するのは、パワハラや労働関連法違反が日常的であり、当たり前だとばかりに開き直っていることです。
相談者の中にも、面接以来ずっと希望業務を伝えてきたにもかかわらず、5年経っても就かせてもらえないばかりか、後から入社した人をその業務に就かせるといった扱いを受け、退職に至った人がいました。
マネジメント不足の企業をブラックだと感じる人もいるということです。
確実にブラックな企業の特徴! 法や人権に触れている場合はアウト
確実にブラックな企業の特徴! 法や人権に触れている場合はアウト
ここまで挙げたブラック企業によくある特徴では、人によってはあまりブラックだと感じないものもあるかもしれませんね。しかし、法令違反をしている場合は社員を大切にしていないことから、どの人にとってもブラック企業であると言えます。
ここでは法律や人権に触れていることを示す特徴を紹介します。入社後に苦しい思いをしないように、法令違反をしている会社の特徴をチェックして入社を避けられるようにしてくださいね。
残業時間が過労死ラインを超えている
厚生労働省による時間外労働の上限規制によると、休日労働を含まない時間外労働時間の上限は原則として月45時間・年360時間とされています。休日を合わせた残業時間としては、月100時間未満、2~6ヵ月の平均を80時間以内とする必要があります。
このような上限を上回っている場合は労働基準法に違反しているため、ブラック企業と言えるでしょう。また上限を超えていなくても、ギリギリの残業時間で違反していない会社もブラック企業であることが考えられるため、注意してください。
過度な残業時間や長時間労働は、従業員に大きな健康被害を及ぼすことが予想されます。
過剰な長時間労働は、労働者の心身を脅かすことが考えられます。
長時間の労働に対して本人がまったくストレスに感じていない場合はさほど問題はないのですが、望んでいない場合の長時間労働は労働者に大きな負担を強いることになり、自殺やうつ病のリスクも高まります。
給料や残業代の未払いがある
労働基準法では、企業は労働者に賃金の全額を支払わなければならないと定められています。そのため、給料や残業代の未払いがある企業は法令違反をしているブラック企業だと言えます。
法律を犯しているだけでなく、本来支払われるべき賃金を従業員に支払わないことは、従業員に対して適切な労働環境を提供していないことが考えられます。また、給料などの未払いが続くと従業員は生活費の確保が難しくなり、生活をすることが困難な状況に陥ってしまうでしょう。
さらには経済的なストレスを引き起こし、精神的な健康に悪影響を及ぼしてしまう可能性も考えられます。
実際に未払いがあるかどうかは入社しないとわかりません。
しかし、常に求人が出ている、入社3年以内の離職率が高い、採用のハードルが低い、給与額が高すぎたり低すぎたりする、などの情報は、給料や残業代の未払いの可能性がある企業を見極めるポイントになるでしょう。
給料が最低時給を下回っている
日本の法律では地域ごとに最低賃金が定められていて、これを下回るような給料を支払うことは最低賃金法に違反しています。こういった法令を遵守できていない企業は、従業員の人権を軽視していることが多いでしょう。
また最低賃金法を守らない企業では、外部からの信頼を得ることが難しくなるため、優秀な人材の確保が難しくなります。そうすることで企業の競争力も弱まり、顧客や取引先からの信頼を得ることも難しくなるでしょう。
将来性がない会社になってしまうため、長期的に働くことができず、離職する従業員が多くいることが実情です。
各都道府県に一つずつ定められた地域別最低賃金は、厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧から確認できるので、自分の地域の最低賃金がわからないという人はチェックしておきましょう。
サービス残業がある・残業代が出ない
残業代が支払われないのにもかかわらず残業をすることを強いる行為も、労働基準法に違反するものです。
前述したとおり、法律では労働者が働いた分の賃金を全額支払うことが義務付けられています。この義務を守らない企業は、従業員の権利を侵害していると言えるでしょう。
また、残業しても給料が発生しない場合、従業員は働くことに対するモチベーションを保てなくなってきます。生活費の足しにもならないのに働いているという状況は、経済的な負担を増大させたり大きなストレスとなったりするため、離職を検討する要因となり得ます。
雇用契約と違う内容がある
雇用契約とは、企業と従業員の双方が合意した労働条件を示す、法的に拘束力のある文書のことを指します。 このような雇用契約と異なる働き方となる場合は、明らかな労働基準法違反となります。
たとえば、契約と異なる内容が勤務時間や給料、福利厚生に関連するものである場合は、従業員は経済的な不利益を被る可能性があります。生活の質や生活水準に直結するものであるため、ストレスの要因となったり不安の種となったりするでしょう。
また雇用契約に反する内容で働かされるということは、従業員には適切な労働環境が提供されていないということも考えられます。こういった点に不満を感じ、従業員は安心して働けなくなってしまうでしょう。
雇用契約と違う内容がある場合の具体的な例として、「職務内容・勤務地が違う」「給与・賞与の金額が違う」などが挙げられます。
小さな企業の場合の事例ですが、面接後に入社して配属されるタイミングで面接で聞いていた仕事内容と違ったということがありました。
こちらのQ&Aでは内定後に労働条件を確認する方法についてキャリアコンサルタントが回答しています。「労働条件の確認をし忘れた」「内定をもらったけど不安になってきた」という人はチェックしておきましょう。
休暇・有給の取得を拒否される
従業員には年次有給休暇の取得をすることが労働基準法で認められていて、これを拒否することは法的に認められていません。拒否した場合は従業員の権利を無視することになります。
また休暇の取得が拒否される場合は、従業員はプライベートの時間を確保できなかったり充実させられなかったりし、ストレスや疲労が蓄積していってしまうことにつながります。これは心身の健康に悪影響を及ぼしかねません。
また、取得できるはずの有給休暇が拒否されることで、従業員は会社に対して信頼感を失うでしょう。信頼感がなく不満がたまる環境にいることに苦しさを覚え、離職を考えるという人も多くいます。
会社には「時季変更権」という、事業の正常な運営を妨げる場合において、繁忙期に有給申請された際に与える日を変更できる権利があります。有給や休暇を与えないと言っているわけではないので誤解しないようにしましょう。
パワハラ・セクハラがある
パワハラやセクハラといったハラスメントは、従業員が働くうえでの人権を脅かし、安全に働ける環境を破壊することにつながります。
またこういった行為は、労働基準法や労働安全衛生法に違反する行為でもあるため、パワハラやセクハラが横行している企業は法的順守の意識が欠如していると考えて良いでしょう。
法令違反でもあるパワハラやセクハラといった行為は、うつ病・パニック障害・PTSDなどの精神的な被害を引き起こすことがあり、精神的健康・身体的健康に深刻な悪影響を及ぼします。
心身の直接的な被害を受けなくても、このような行為がある職場は雰囲気が悪く、安心して働けないという環境だと従業員は感じることになります。コミュニケーションを円滑におこなえない環境はストレスにもなるため、ブラック企業だと言えます。
ホワイト企業を見つけるために数字で確認できる要素の平均値も把握しよう
ホワイト企業を見つけるために数字で確認できる要素の平均値も把握しよう
- 月平均残業時間:10時間前後
- 3年以内の離職率:30%前後
- 有給取得率:60%前後
- 年間休日数:115日前後
ブラック企業の特徴や見分け方を理解できたら、嫌なことをする必要がある会社を見抜くだけでなく、理想の働き方ができるホワイト企業を見つけて、納得した働き方をかなえられるようにしましょう。
会社探しをする際は、数値として表れる特徴に着目することでホワイト企業を見つけやすくなります。ここでは数字で確認できる要素の平均値を紹介するので、ホワイト企業を探す際の参考にしてみてください。
月平均残業時間:14時間前後
厚生労働省の毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報によると、一般労働者の月平均残業時間は13.7時間となっています。残業時間が少ない会社に就職したいという人は、月平均残業時間が10時間前後の会社に目を通してみましょう。
しかし、月平均残業時間が10時間未満である会社は非常に稀です。多くの企業では業務量が一定でなく、プロジェクトの締め切りや繁忙期によって業務量が変動することがあり、残業時間を安定して10時間以内に収めることが難しいからです。
極端に残業時間が少ない会社を見つけるのは大変な労力を要するため、労働時間の削減に力を入れている企業をチェックすることもおすすめです。
近年では働き方改革を積極的に取り入れている企業も増えているため、残業時間が大きく削減されている企業もあります。求人情報に平均残業時間が書いてあることがあるので、「月平均残業時間〇〇時間」や「残業ほぼなし」といったキーワードを探してみましょう。
面接で残業時間を聞くのも問題ないですが、悪い印象を与えてしまわないか不安だという人は応募前の会社説明会やインターンシップなどに参加して質問してみてください。
- 面接で残業時間について質問した場合、面接官はどんな印象を持ちますか?
前向きな言葉とともに質問するようにしよう
質問の仕方によって面接官が抱く印象は異なってきます。良い印象を与えたい場合は肯定的な言葉を添えながら、残業時間について質問をするようにしましょう。
たとえば、「毎日、前向きに業務に取り組むためにもオン・オフのメリハリをつけて働きたいと考えています。御社の平均残業時間はどれくらいでしょうか?」というように質問を構成してみてください。
3年以内の離職率:30%前後
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査の概要では、新卒の人の就職後3年以内の離職率が32.3%となっていることが示されています。このことから、日本企業の新卒者のうち、3年以内の平均離職率が30%ほどであることがわかるため、30%以下の会社はどちらかというとホワイト企業である可能性が高いです。
離職率は従業員が会社に対する不満や不信感が積もっていくことで高くなっていくため、反対に離職率が低い会社では、多くの従業員が納得して働ける環境や満足のいく環境が整っていると考えられます。
また、長期的なキャリアを築きやすいということも考えられるでしょう。長い目で見たキャリアを一つの会社で築けるということは、キャリアアップのために転職をする必要がないとも言えます。
従業員のスキルアップやキャリアアップのサポートをしっかりとおこなっている会社は、離職率が低い傾向にあります。
有給取得率:60%前後
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査の概況に記載されている、令和4年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数を見てみると、労働者一人あたりの有休取得率が62.2%であることがわかります。そのため有休取得率が60%以上や70%を超える会社は、ホワイト企業を探す際の一つの指標にもなります。
適切な休息を取ることは心身ともに健康を保つためには必要不可欠なため、有給を取得しやすい環境が整っている企業は、従業員の健康や福祉をしっかりとサポートしていることを示しています。
またワークライフバランスや業務の生産性・効率性を重視する会社は、有給取得率が高くなる傾向にあります。従業員が仕事とプライベートを両立してリフレッシュする時間を確保することでストレスを軽減でき、業務に集中して取り組み生産性を高めることにつながるからです。
- 有給取得率が100%の会社に入社したいです。どのように探せば良いですか?
認定制度を一つの目安にしてみよう
有給休暇は年間5日の消化義務を除いて、希望した場合のみ取得できれば違法ではないため、取得率100%の企業は少ないです。
少しでも取得率が高い企業を探したい場合は、優良企業認定やホワイト企業認定がされているかどうかを目安にしてみましょう。
優良企業認定制度には、「えるぼし認定(厚労省)」「健康経営優良法人認定制度(経産省)」「安全衛生優良企業公表制度(厚労省)」などがあります。
「ホワイト企業認定(ホワイト財団)」もあり、どれも認定されれば各サイトの一覧に企業名が掲載されるので探しやすいです。
年間休日数:115日前後
厚生労働省の資料である令和5年就労条件総合調査によると、労働者一人あたりの年間休日数の平均は115.6日となっています。全体の割合からすると120~129日が32.4%と最も多いため、年間休日数が多いホワイト企業を探す際は120日以上の会社をチェックしてみると良いでしょう。
日本の労働基準法では法定休日は最低104日と定められているため、年間休日数が115日以上の場合は、法定以上の休日を設定されていることになります。これは、従業員の満足度や健康をサポートするための休息を重視している証拠でもあります。
休日が多いことで従業員は十分な休息を取れたりリフレッシュしたりできるため、疲労回復やストレス解消を図れます。これは従業員が働く満足度の向上にもつながるので、納得できる環境で安心して働ける会社であることがわかります。
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就職先を選ぶときは「納得できること」を明確にすることが重要
一般的にブラック企業といわれる会社でも、人気がある場合があります。たとえば知名度があったり、給料が高かったりする会社が挙げられます。
ブラック企業の特徴に当てはまる会社でも就職先として人気なことがあるのは、人によって納得できる条件が異なり、その条件がそろっていれば特に問題ないと考える人もいるからです。
そのためブラック企業といわれる会社でも、人によっては一概にすべてを避ければ良いというわけではありません。「仕事をするうえで自分が納得できる条件とはなにか?」を明確にすることで、仕事選びの幅や選択肢が広がるでしょう。
ブラック企業といわれているのに学生に人気な企業がある理由は、知名度・給与面の高さ・大手企業だからこそ携われる業務の規模・経営の安定性などに惹かれる学生が多くいるからだと考えられます。
大きな案件に携わりたい、人より給与を稼ぎたい、プライベートよりも仕事を頑張りたいなどの条件を持っている学生に人気です。
「仕事をするうえで納得できる条件がわからない」という人は、こちらの記事を参考に就活の軸を定めてみましょう。就活の軸の一覧や納得できる企業選びの方法を詳しく解説しています。
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危険な特徴からブラック企業を見極めて後悔しない就職先を見つけよう!
一口にブラック企業と言っても、ブラック企業にはさまざまな特徴があります。また、ブラック企業と言われる会社でも自分にとってはブラック企業ではない場合もあるので、広い視野を持ってさまざまな視点から見極めることが大切です。
記事で紹介したブラック企業によくある特徴を押さえて、入社を避けた方が良い企業を見極めていきましょう。そのうえで数値で確認できる要素については平均値を参考にして理想の就職先を見つけ、納得できる働き方をかなえてくださいね。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見る企業の粗を探す前に自分自身のことをきちんと理解することを優先しよう
就活をする際、まずはブラック企業を見極める前に、自分のことをしっかりと理解することが大切です。
最近では、ブラック企業という言葉だけが独り歩きしてしまって「自分がその会社で本当に良いのか」という部分を綿密に考えず入社し、早期離職してしまう人も一定数いるように感じます。
ここ数年で労働基準法が法改正され規制が厳しくなったりという影響もあり、労働者側にとって働きやすい環境になってきている一方で、逆に企業側は従業員に対して窮屈な立場を強いられてしまっているのが現状です。
ブラック企業と自分に向いていない仕事を混同しないこと
夜中まで残業しても給与にまったく反映されなかったり、暴言や暴力が平気でおこなわれたりするような会社は断じて許されるものではないので、根絶されるべきです。
しかし、わずかに条件が異なったり、嫌なことがあったりというのは仕事であれば日常茶飯事です。
ブラック企業を選ばないことも大切ですが、とことん自分が納得して考え抜いた結果入社した会社であれば、さほど問題ではなくなるのではないかと考えています。
今回の記事を通して今一度自分の「会社に対する思い」を丁寧に見直してみましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
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