「自分のモットーは何だろう」と悩む場合、モットーがないのではなく「モットー」という言葉の解像度が低い可能性があります。つまり、モットーとはどういうことで、何を聞かれているかということがぼんやりしているということです。

モットーとは、自分が生きているうえで行動指針としていること、大事にしている考え方、価値観、譲れないことなどです。人は誰しも何かしらの価値観に従って生きているのでモットーがない人はいませんが、それを言語化できている人は多くありません。

企業がなぜ採用選考でモットーを聞くことがあるのかというと、その人の人柄や人間性を知りたいからです。

人を採用する際、その人の能力・経験・スキルだけではなく、会社の風土とマッチするのか、周囲の人とうまくやっていけるのか、仕事に対してどのように取り組むのか、そういった内面的なことも非常に大切な要素です。

また、自分自身を客観視して言語化できる人は、自分以外のものに対しても分析力や洞察力があるとも考えられます。

自分の思考と徹底的に向き合って価値観を明らかにしよう

モットーを言語化するための方法の一つとして、生きているうえで大事にしているなと思えることをノートに書き出す手法が挙げられます。あまり深く考えずに「あ、これは大事だと思う」と浮かんでくることを10個でも20個でもどんどん書くのです。

たとえば「人には親切にしようと思う」「外にいるより家でのんびりが好き」「他人より自分の方を優先する（逆もあり、自分より他人を優先してしまう）」など。

なかなか思い浮かばないときのコツとして、他人の行動を見てイラッとすること、もやっとすること、ザワっとすることなどを思い浮かべてください。なぜそのような感情が生まれるのかというと、自分が大事にしていることを蔑ろにしているのを見ているからです。

たとえば、コンビニのレジで店員に横柄な態度を取っている人を見て心がもやっとしたとします。それは自分の中に「他人に対しては分け隔てなく接するのが大事だ」という思いがあるからです。このような方法で自分のモットーといえることを言語化してみてください。

モットーは四字熟語にする必要はありません。自分のモットーが四字熟語でぴったり表現できることは稀ですし、短めの文で伝えれば良いかと思います。

応募者の価値観や物事に対する姿勢を理解するために、面接ではモットーを聞く場合があります。

価値観の理解と合わせ、企業文化やチームの雰囲気に適合するかの見極めや仕事におけるモチベーションの源泉を探るために活用されます。

面接で質問された場合には、そのモットーを選んだ背景としての思いや、自分の考えや行動にどのように影響しているかを具体的な例を用いて答えることが望ましいです。

自分を言い表せることわざや四字熟語を探してみよう

モットーとして使えそうなことわざを紹介します。「和をもって尊しとなす」は、「話し合いをすることが大切」という意味で、チームワークやコミュニケーションを大切にしてきた人にとって適しているでしょう。

四字熟語としては、「一期一会」は一生に一度の出会いを大切にするという意味で、接客業や対人関係などの話に適しています。

「臥薪嘗胆」は目標のために努力を重ねるという意味で、悔しい体験をもとに夢や目標に向かって努力する例などと親和性が高いです。

モットーを持つことは、今後の自己理解にもつながります。この機会にぜひ、自分自身にしっくりくるモットーを見つけてくださいね。