面接中に「どんな社会人になりたいか」と聞かれ、困った経験をした人もいるのではないでしょうか。志望動機や学生時代に力を入れたことに比べて、「どんな社会人になりたいか」という質問は抽象度が高く、企業の意図がわからない人もいるはずです。
抽象度が高く回答の幅が広い質問だからこそ、明確なビジョンを示すことであなたの個性が際立ちます。反対に、ポイントを押さえていない回答をしてしまうと、企業はあなたを採用するメリットを感じられず、不合格としてしまう可能性もあるのです。
この記事では企業が「どんな社会人になりたいか」と質問する意図に触れながら、回答に詰まってしまう原因や対策を解説していきます。キャリアコンサルタントの谷所さん、田邉さん、小関さんのアドバイスを参考に、個性が伝わる回答を作り上げていきましょう。
「どんな社会人になりたいか」の回答に悩んだら4つの原因に対処しよう
「どんな社会人になりたいか」という質問は自己PRや志望動機に比べてスケールが大きいですよね。質問に対して、自分の素直な気持ちをどうやって伝えていけば良いのか、そして企業もどういうことが知りたいのかわかりづらく感じる人も多いでしょう。
この質問は自由度が高いからこそ、あなたの入社意欲や企業とのマッチングをアピールする絶好のチャンスになります。そのため、企業が質問する意図を押さえて、あなたらしい回答を準備することで内定をぐっと近づけることができるのです。
この記事でははじめに、質問する企業の意図を取り上げていくので、回答を作るための基礎を確認していきましょう。次に、回答できない原因とそれに合わせた対処法を解説していくので、自分が回答に詰まっていた理由を把握してくださいね。
回答を作るための4ステップとコツについても順を追って説明していくので、あなたの個性が伝わる回答を作ることができます。もし回答に自信がないときは例文を参考にしてみましょう。
「どんな社会人になりたいか」を企業が質問する意図4選
「どんな社会人になりたいか」を企業が質問する意図4選
- 入社意欲の高さを測るため
- 自社とのマッチングを探るため
- 学生のキャリアプランを知るため
- 配属先を決めるため
この質問を受けたときに、「社会人になった経験がないから回答が思い浮かばない」と感じてしまう人もいるはずです。しかし、ここで大切なのは未来予想を正確にすることではなく、キャリアプランの基礎となる部分を企業にアピールすることにあります。
そのため質問が、社会人という言葉を使わずに「どんな人間になりたいか」となることもあるかもしれません。「どんな社会人になりたいか」という質問は、それだけ定義の広い質問なのです。
企業はこれらの質問を通して、自社で長期間にわたって活躍できる人材かを見極めようとしています。以下に挙げる企業が質問する4つの意図をつかみ、回答の土台を作りましょう。
- 「どんな社会人になりたいか」という質問に思ったことを回答するだけではダメなのでしょうか?
意図に合った回答をしないとマイナス評価になる可能性がある
すでに「なりたい社会人像」がある人は、理想像を語ろうと思ったかもしれません。
しかし、企業によって求める人物像が異なり、企業によって実現できることも違います。そのため、企業の意図に合わせて回答をしなければミスマッチと判断される可能性があるのです。
マイナス評価を避けるために、本文にある4つの意図をきちんと理解して回答しましょう。
そもそも社会人とは何かよくわからない人もいるのではないでしょうか。下記の記事を参考に社会人にとって必要な12の心構えを押さえて、「どんな社会人になりたいか」へ回答できるようにしましょう。
社会人としての心構えとは? 学生との違いや面接での伝え方も解説
①入社意欲の高さを測るため
企業は面接で「どんな社会人になりたいか」という質問をきっかけに、学生の入社意欲を測ろうとしています。もし学生の入社意欲が高ければ、目標の社会人像に向けて自社でどのように働いていくかを語れるだろうという考えがあるからです。
学生の入社意欲の高さは、多くの企業が新卒採用で重視するポイントの一つです。入社意欲が高い学生は仕事に精力的に取り組み、困難な状況に遭ったときにも前向きに対処できる見込みが高いと考えられています。
また、入社意欲の高い学生は自主的に企業研究やOB・OG訪問などをおこない、企業や業界の情報を積極的に集めている傾向があります。
これらの情報も将来像を考えるために必須の情報なので、企業はこの質問を通して入社意欲を測り、入社後に活躍するための知識や考え方の土台が備わっている学生かどうかを判断しようとしているのです。
②自社とのマッチングを探るため
新卒採用は一般的にポテンシャル採用と言われています。能力やスキルよりも、学生が仕事をしながら成長し、活躍できる人材に育っていくという前提があるのです。
学生が活躍できる人材に育つためには、企業とのマッチングが欠かせません。働き方や価値観の合わない職場では能力を発揮することが難しく、目標なども持ちづらいためです。
そこで企業は「どんな社会人になりたいか」という質問を通して、学生の社会人像や価値観から自社とのマッチングを測っているのです。
たとえば職人のように個人の技術を高めたい学生が、チームで目標達成を目指す企業に入社したいと考えていたら、マッチングが悪いと気付くはずです。ミスマッチをなくし活躍できる人材を集めるために、企業は「どんな社会人になりたいか」と質問をしています。
③学生のキャリアプランを知るため
企業にとって、学生がどのようなキャリアプランを歩もうとしているかを知ることは非常に大切です。なぜなら、企業は採用した学生が長期間にわたって自社で活躍することを理想としているからです。
厚生労働省が2022年10月に発表した新規学卒就職者の離職状況によると、入社から3年以内の社員のうち31.5%が離職を選んでいます。時間とコストをかけて採用、育成してきた人材が辞めてしまうことは、企業にとって大きな痛手となっているのです。
だからこそ、企業は「どんな社会人になりたいか」という質問を通して、学生がどんな目標に向かって働いていきたいのか、それが自社で長く働くことで叶えることができるのかを知りたいと感じています。
企業は「どんな社会人になりたいか」という質問の回答から、学生が持つキャリアプランが自社で実現できるかどうかを見極めています。実現できるキャリアプランならば自社とマッチングし、入社後も定着する人材と考えるのです。
④配属先を決めるため
企業は部署ごとに新卒採用の人数を決めています。たとえば、銀行の総合職と地域限定職、新聞社の記者職とビジネス職などです。
学生がどの配属先で活躍できるかは、面接を重ねていくことによってだんだんと見えてきます。そのため、企業は学生の適性を見抜くために、「どんな社会人になりたいか」という質問をするのです。
特に選考段階で配属先を公表していない企業では、現場の責任者や管理者が面接官を務める二次面接や最終面接で「どんな社会人になりたいか」と質問することがあります。いずれもあなたがより活躍できる部署を探るために質問しているのです。
仕事は本人の希望よりも適性が重視されます。適性が合っている方が仕事で活躍しやすいからです。
社会人経験のない学生は自分の適性を認識していないことが多いため、企業は「どんな社会人になりたいか」という質問を通して、学生のタイプを知ろうとしています。
「どんな社会人になりたいか」に回答できない4つの原因と対処法
「どんな社会人になりたいか」と質問され、準備なしに即答できる人はあまりいません。そのため自己分析を丁寧におこない、準備を整えておくことが重要です。
しかし、準備をしようとしても回答できない原因がわからず対処法が思い浮かばない人もいるはずです。ここでは回答が思い浮かばない原因を挙げ、原因ごとの対処法も解説していくので、まずは原因を探ることから実践してみましょう。
また回答の準備をすることで、あなたのキャリアプランが整理できたり、自己分析の足りない部分がわかってきたりするメリットもあります。時間がかかるかもしれませんが、回答できない原因を一つずつなくしてくださいね。
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原因①自分の強みがわからないから
将来の社会人像を描くためには、過去の体験や現状から、自分の強みや長所を明らかにしておく必要があります。強みや長所がわかっていれば、それらを活かしながら社会人として成長していくイメージが湧くためです。
強みがわかっていないと、思い描く社会人像が机上の空論になってしまいます。たとえば、リーダーシップが強みの学生が縁の下の力持ちを目指しても、根拠となる体験やエピソードが乏しく、具体的なイメージが湧きづらいのがわかるのではないでしょうか。
このように、どんな社会人になりたいかという回答が思い浮かばないのは、自分の強みがわからず、回答を考える軸が定まっていないことが原因だといえます。
社会人になって活躍するためには、「強みを活かすこと」や「強みを伸ばすこと」が求められます。強みを活かせば弱みを克服できますし、困難を乗り越えることもできるからです。
強みを通じて「理想の社会人像」を考え、社会人として活躍できることをアピールしましょう。
対処法:自己分析で強みを見つける
自分の強みや長所が判然としない場合は、自己分析を徹底しましょう。自己分析ではガクチカや幼少期からの出来事を振り返ることで、楽しさを覚えたり得意に感じたりしたことや人に役立った経験などから強みを発見できます。
もしも自己分析だけで強みを見つけられない場合は、他己分析を取り入れるのもおすすめです。家族や友人、アルバイト先の同僚などに自分の強みや長所を聞いてみることで、思わぬ発見があるかもしれません。
強みや長所を見つけることができたら、今後どのように活かしていきたいかを考えてみてください。強みや長所を活かせる働き方や仕事内容が見つかれば、それが将来像へとなっていきます。
自分の強みに焦点を当てて自己分析したいと考えている人もいるはずです。こちらの記事にある強み一覧などから探ってみましょう。
強み一覧付き|自分の強みが必ず見つかる方法9選とアピール方法
自己分析を深めたいと考えている人はこちらの記事を参考にしてみてください。
自己分析マニュアル完全版
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
マインドマップ
マインドマップで自己分析を極めよう! 活用方法や注意点を徹底解説
自己分析シート
簡単15分! 自己分析シートのフォーマット6選
原因②仕事で実現したいことが定まっていないから
「どんな社会人になりたいか」という質問は、社会人として働き続ける姿を聞いています。つまり、仕事を通して実現したいこととも言い換えることができるので、どのような成果を上げたり、目標を達成していきたいかが決まっていないと回答できないのです。
または、仕事でしかできない経験という部分に焦点が当たっていないことが原因かもしれません。たとえば町づくりにかかわりたいのであれば建設や不動産の業界へ進むことが考えられ、大勢の人へのサービスを提供したいと考えるのであれば飲食店やテーマパークなどで働くことが視野に入るはずです。
仕事でしかできない経験をもとに、どんな目標を達成していきたいかと深く考えられていないと、「どんな社会人になりたいか」に回答できない原因の一つになります。
仕事でどんなことが実現できるか想像しづらい人も多いのではないでしょうか。そんなときはやりたいことから実現できることを探るのもおすすめです。こちらの記事を参考に入社後にやりたいことを見つけてみましょう。
例文10選|入社後にやりたいことの回答で押さえるべきコツは?
対処法:自分の強みと企業でできることを照らし合わせる
仕事で実現したいことを定めるには、自分の強みが活かせる仕事は何かを考えましょう。自己分析と企業分析に基づき、選考を受ける企業で強みが活かせそうな仕事をピックアップしてみてください。
たとえば協調性が強みの場合、チームで協力する形の仕事を探してみましょう。また、信頼感や責任感を強みとしている人は、顧客への丁寧なヒアリングやコミュニケーションなど、対外的な仕事で活かせると考えることもできます。
強みを活かせそうな具体的な仕事内容がわかると、仕事のイメージが湧きます。イメージをもとにどのような目標を達成してみたいか考えてみてくださいね。
自分の強みに合った企業で働くと、強みを発揮して活躍しやすくなります。成果を上げやすく、周囲や上司から良い評価を受けやすくなるのです。結果的に「こんな社会人になりたい」という理想に近づきやすくなりますよ。
原因③社会人像が描けていないから
社会人という概念への理解が浅いと、「どんな社会人になりたいか」へ回答するのが難しくなってしまいます。社会人という概念は幅広く、決まった正解があるわけでもないので、多角的な視点で考えることが必要です。
社会人とは社会で仕事をしている人を指します。学生の場合は家族のほか、アルバイト先などでかかわることがあると思いますが、普段の生活の中でかかわった人数が少なく、なかなかイメージが浮かばないのかもしれません。
「どんな社会人になりたいか」に回答できないのは、そもそも社会人がどういうものかをあまり理解できていないからということがいえます。
対処法:OB・OG訪問で目標にできる社会人像を見つける
社会人像が判然としない場合はまず、多くの社会人に会ってみることが大切です。会う機会を探すのは難しいですが、大学のキャリアセンターやサークルなどのツテを使い、OB・OGを積極的に訪問しましょう。
OB・OG訪問の機会を得たら、社会人としての目標を聞いてみてください。どんな目標や目的のために働いているかを知ると、参考にすることができます。
またOB・OG訪問の中で目標にできる人を探してみましょう。話を聞いて共感や納得を得られた人が目標としやすいです。OB・OG訪問を通して、どういう人と一緒に働いてみたいかや、真似したい働き方がわかってくると、自分の社会人像に活かすことができます。
OB・OG訪問で目標にできる社会人像を見つけるためには質問の内容が重要になります。以下の記事にある質問100選を使いながら、OB・OG訪問を充実したものにしましょう。
OB・OG訪問は質問選びが鍵! おすすめ質問100選を紹介
- 目標となる社会人を見つける方法はOB・OG訪問のほかにありますか?
企業説明会やSNSも活用するのがおすすめ
企業説明会で比較的年齢が近い先輩社員が説明をおこなうことがありますが、活躍している社員である場合が多いので、目標としてみるのも良いでしょう。
そのほか、著名人やSNSなどで、目標となる社会人を見つける方法もあります。
目標となる社会人は身近な人でも良いので、「この人みたいになりたい」と思う人を見つけて、なぜ目標にしたいのか考えてみると目標となる社会人像が見えてきますよ。
原因④長期の目標を考えられていないから
社会人として働く期間は40年ほどあります。あまりに先のことで想像するのは難しいと思ってしまう人もいるでしょう。
しかし社会人としての目標を持てると働き方が大きく変わります。たとえば定年退職までに社長になりたいという目標があったとします。そうすると入社してから経営の勉強をしたり、チームリーダーへの昇格を目指すといった行動が逆算できるのです。
反対に長期の目標がなければ、社会人像が「幸せに生活したい」「お金が稼げれば良い」といったあいまいなものになってしまい、「どんな社会人になりたいか」の具体的な回答も難しくなってしまうことが多くなります。
対処法:中長期のキャリアプランを立てる
目指す社会人像を思い浮かべるためには、中長期のキャリアプランを立ててみましょう。5年、10年ごとに区切って考えてみることがおすすめです。
キャリアプランを立てる場合には、仕事で実現したいことのほか、家族を持つことといったプライベートな事情も想定してみましょう。家族ができることによって社会人としての目標が変わることもあるためです。
キャリアプランが思い浮かばない場合は、企業HPや就活サイトに掲載されている社員のインタビューなどを参考にしたり、OB・OG訪問でキャリアプランを聞くようにしましょう。自分が理想とするキャリアプランが描けると、社会人像の軸が見えてくるはずです。
中長期のキャリアプランを立てることで、やるべきことが明確になりますよね。たとえば、将来的にマネジメントに携わりたいなら、早期にリーダー経験が積める企業を選ぶなどです。
このように、小さなゴール設計ができると、「どんな社会人になりたいか」を考えるきっかけにもなりますよ。
アドバイザーコメント
小関 珠緒
プロフィールを見る「どんな社会人になりたいか」に回答しにくい原因は3つある
「どんな社会人になりたいか」に対する回答は、準備をしていないとなかなか答えにくいものです。回答しにくい大きな原因は3つあり、①社会人経験がない、②自分の強みを知らない、③社会で自分をどう活かせるかわからない、ということが挙げられます。
多くの学生は、社会人として責任と役割を持って働いた経験がほぼありません。そのため、強みがわからず、社会で自分をどう活かせるのかわからないというのは、ある意味仕方のないことです。
3つのポイントを意識しながら理想の社会人像を考えてみよう
ですが、理想の社会人像について若いうちから考えておくことは、今後の長い人生においても重要なことです。
考えるときには、①自己理解を深める、②自分はどんな仕事に向いていて何ができそうか調べる、③理想の未来像を考える、の3点を意識してみてください。
理想の社会人像を考えるには、自己分析ツールを使う、キャリアコンサルタントに相談をする、憧れの人がいれば話を聞きに行くなど、いろいろな方法があります。
私自身、学生時代に就職課の職員に相談し、「新聞記者のようにインタビューをして書く仕事が向いている」とタイプをズバッと見抜かれ驚きました。今となっては、貴重なアドバイスだったと感じます。
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「どんな社会人になりたいか」の回答は4ステップで作れる!
「どんな社会人になりたいか」の回答を作る4ステップ
- 目指す社会人像を一文でまとめる
- 目指す理由を明確にする
- 理由の根拠となる体験やエピソードを盛り込む
- 会社への貢献の仕方を示す
目指す社会人像を伝えるためには伝え方も重要です。PREP法というやり方で文章を構成すると、社会人像をわかりやすく伝えることができるのです。
PREP法とは、はじめに結論を伝えて理由を補足した後、結論の根拠となった体験やエピソードを伝え、最後にもう一度結論を伝えることで、相手に納得感を持ってもらう方法です。
より具体的に伝えるためには日付や頻度などの数字を盛り込むと具体性が増します。はじめて聞いた人でもわかるような回答を4ステップで作りましょう。
ステップ①目指す社会人像を一文でまとめる
話の導入部分にあたる結論はわかりやすさが重要です。目指す社会人像が2つある場合でも、伝える社会人像は1つに絞りましょう。
仮に社会人像を2つ伝えたとしても、面接官は複数の学生の面接を担うこともあり、あなたの話を覚えられない可能性があるので注意してくださいね。
例文
私は常に向上心を持った社会人になりたいと考えています。
一文はおおよそ30~40字以内だと端的でわかりやすい印象になります。声に出して読み、違和感がないかも確認してみましょう。
個性を出したくなる人もいるかもしれませんが、どんな相手でも内容がわかるようにシンプルで短い文章を心掛けてください。
複数の目指す社会人像を面接で伝えても、面接官の記憶に残らない可能性があります。
面接は、伝えたいことを面接官に理解してもらうことが大切なので、目指す社会人像は1つに絞り、理由や事例を含めて丁寧に説明するようにしましょう。
ステップ②目指す理由を明確にする
結論の次は、目指したい社会人像をより明確にイメージしてもらうために理由を話します。なぜその社会人像を目指そうと考えたのかを取り上げるようにしましょう。
例文
なぜなら、常に向上心を持って物事に向かうことで、大きな目標を達成できると考えるからです。
分量は結論と同じように一文程度で構いません。文字数も結論よりは長くなることが多いですが、100字以内に収めましょう。
理由は、最初に伝えた結論とこの後のエピソードをつなぐ役割があります。そのため、具体的な内容にしすぎず、端的に伝えることを意識しましょう。
ステップ③理由の根拠となる体験やエピソードを盛り込む
体験やエピソードは目指す社会人像をイメージしやすくするために必須の要素です。体験を具体的に話し、その体験からどのようなことを学んだのかを示していきましょう。
例文
私は学生時代にラクロス部に所属をしていました。大学から競技を始めたため、最初は練習についていくだけで精一杯でした。
ただ、やるからにはレギュラーをつかんで活躍したいと思い、技術向上に役立つ動画をYouTubeで集めて毎日見たり、プレーに関する本を20冊以上読み込んで研究を重ねました。
結果的に2年生からレギュラーをつかみ、4年生では念願のリーグ優勝を果たすことができました。向上心を持って取り組むことで目標を達成できると学んだ経験でした。
企業はあなたが体験したことを通して、仕事にどのように活かせるのかという仕事への再現性を見ています。どんな社会人になりたいかが具体的に理解でき、それが実現可能だと想像できるような体験やエピソードを選ぶことも重要です。
もし具体例やエピソードが思い浮かばないときは、自己分析をやり直してみてくださいね。
- 具体例を選ぶことに苦戦しています。どのような点に注目して選べば良いでしょうか?
思いつく具体例を書き出して客観的な視点で選んでみよう
どんな小さなことでも良いので、具体例を数多く書き出してみましょう。学生時代に打ち込んだこと、自分なりに頑張ったことのほか、友人や先生から言われたことでも良いです。
書き出すことで、自分を他人のように客観視できます。不思議ですが、客観視できると冷静になれて、理想の社会人像につながる内容を選びやすいです。
また、自分では具体例が思い浮かばない場合、友人や先生、家族に強みとその理由を聞いてみましょう。自分が意識していなかったエピソードなどを話してくれることがあります。
ステップ④会社への貢献の仕方を示す
企業は選考であなたを採用するメリットをチェックしています。そのため「どんな社会人になりたいか」に回答するとき、双方にメリットがあることを示せれば、選考通過が一歩近づくのです。企業へのメリットを示すために、貢献の仕方にも言及してみましょう。
貢献の仕方を伝えるためには、企業理念や社風、事業内容を理解する必要があります。企業研究を重ねてどのような面で貢献ができそうかを考えてみてくださいね。
例文
私は企業理念で上昇志向を掲げる御社で、常に向上心を持って仕事に取り組み、大きな目標を達成できる社会人へと成長していきたいと考えています。
もしも社会人像だけ伝えた場合、面接官は別の企業でも叶えることができるのではないかと考えてしまいます。「どんな社会人になりたいか」という抽象的な質問ですが、回答ではその企業を選んだ理由に具体的に言及することを忘れないでください。
- 会社への貢献の仕方が思いつきません。どう考えれば良いですか?
OB・OG訪問でリサーチがおすすめ
面接に参加するほとんどの人が、企業サイトや募集要項の情報だけをチェックしています。しかし、その情報だけでは、ほかの学生と同じような「なりたい社会人像」になってしまうのです。
ほかの学生と差を付けるためには、実際に会社で活躍している社会人の話を聞きましょう。たとえば、OB・OG訪問で「御社で活躍している人はどのような共通点がありますか」などとヒアリングしてみてください。
すると、活躍している人の特徴が複数わかるため、その特徴と似たあなたの強みをアピールすれば高評価が得られます。
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「どんな社会人になりたいか」の回答をワンランク上げる3つのコツ
「どんな社会人になりたいか」の回答をワンランク上げる3つのコツ
- 過去・現在・未来の視点で一貫性を持たせる
- 数字を入れて具体性を高める
- 業界に合う理念や将来像に言及する
「どんな社会人になりたいか」という質問は抽象的なため、回答も抽象的になりがちです。そこで3つのコツを押さえることで回答に具体性を持たせ、周りよりもワンランク上の回答にしましょう。
回答の質を高められると、面接官がより具体的にあなたの社会人像を思い浮かべられ、マッチングを感じてくれることにつながるのです。
①過去・現在・未来の視点で一貫性を持たせる
「どんな社会人になりたいか」に回答するためには、過去の出来事から未来の社会人像まで触れる必要があります。すべての時間軸で一貫した考え方があると、納得感のある回答を作ることができるのです。
たとえば、縁の下の力持ちとして活躍した経験をアピールしたにもかかわらず、「社会人になったらリーダーシップを発揮したい」と伝えた場合は説得力がなくなってしまいますよね。目指す将来像に合った体験やエピソードを話すことが求められているのです。
過去から未来にかけて、いずれも一貫した内容で話せているか考えましょう。もし納得感があるか不安な場合は家族や友人、大学のキャリアセンターの職員などに聞いてもらい、フィードバックを受けるようにしてください。
「どんな社会人になりたいか」の回答が、過去の出来事から未来の社会人像まで一貫した考えであれば、説得力のある回答になります。一方で、時間軸で一貫性を持たせていないと、回答内容に矛盾が生じて、信憑性がなくなるでしょう。
企業は学生と企業の方向性が一致しているかを確認するするために将来の夢を聞く場合があります。以下の記事では将来の夢で好印象を残すコツをまとめているので参考にしてみてください。
面接で聞かれる将来の夢で好印象を残すコツ4選|業界別の回答例あり
②数字を入れて具体性を高める
「どんな社会人になりたいか」への回答は、具体性を持って伝えることができると、面接官があなたとのマッチングを測りやすくなります。回答に具体性を持たせるためには、数字を取り入れることが効果的です。
たとえば、体験した日付や当時の学年を盛り込んだり、実施したことの頻度や人数などを示すと具体性が増します。「10回以上」や「おおよそ週に1回」などでも構いません。
もし数字の入れるポイントがわからない場合は、あなたの文章をもとに絵が描けるかを考えてみてください。数字がないと情景を絵で描くことが難しいはずなので、情景を絵にするためにはどんな情報が必要かを考えてみましょう。
③業界に合う理念や将来像に言及する
目指す社会人像の中でも、業界によって特に重要視されている姿や考え方があるはずです。業界研究や企業研究、OB・OG訪問でわかった活躍する人材を思い浮かべてみてください。
たとえば金融業界では、お金を取り扱うという性質上、責任感や信頼というものが重視されます。またサービス業の場合は柔軟性や前向きな性格を持った人材が輝く瞬間が多くなりますね。
目指す社会人像は自由ですが、その企業や業界で活躍するためにはどのような社会人が適しているのかという視点で考えてみましょう。
業界に合った社会人像を描くことで、その業界の企業に就職することが自分に合っているのか判断することができます。
あまりにも自分の理想とかけ離れている人物像が業界で求められているとしたら、入社後にミスマッチが発覚すると考えられます。無理やり業界が求める人物像に当てはめるのではなく、あなたが目指す方向性と一致しているかを確かめましょう。
どんな社会人になりたいかを回答するにあたって、就職を目指す業界の動向をつかむことに苦労している人も多いのではないでしょうか。こちらの記事では業界ごとの動向やトレンドを解説しているので、自分が目指す業界の知識を深めましょう。
就職活動で役立つ業界一覧|仕事内容から動向まで各業界を徹底解説!
どんな社会人になりたいかの回答例文一覧
どんな社会人になりたいかの回答例文一覧
ここまで回答作りのステップなどを解説してきましたが、「どんな社会人になりたいか」の回答がうまく思い浮かばない人もいるのではないでしょうか。
社会人像が思い浮かばない人は、下記の例と似た体験がないかという視点で自己分析を進めてみるのもおすすめです。自分のオリジナルの体験を見つけ、目指す社会人像を固めていってくださいね。
例文①責任感のある人
責任感は仕事において重要な要素の一つです。仕事に責任感を持って臨める人は社内で信頼され、顧客とも良好な取り引きができると考えられるためです。仕事は誰かと協力しながら進めるものがほとんどなので、責任感のある姿は周りに良い影響を及ぼします。
責任感のある人を目指すと伝える場合には、体験やエピソードに周りからの評価も入れましょう。責任感の強さだけを伝えると、頑固さや融通の効かなさに目が向いてしまうこともあるので注意してくださいね。
例文①責任感のある人
私は責任感のある社会人になりたいと考えています。責任感のある人は多くの人から信頼され、愛される存在になると思っているからです。
私が所属するゼミの教授は、私たちに何かをさせる前に「何かあっても私が責任を取るので安心して取り組みなさい」と声をかけてくれます。この言葉のおかげで私たちはのびのび研究に取り組むことができ、失敗もあまりしなくなりました。
そして、何よりも学生たちが教授のことを信頼し、意欲的にゼミに参加しています。なお、教授の信頼は大学中に広まっており、ゼミの倍率は5倍と人気です。
このような体験から、私も責任感のある社会人になりたいと考えました。御社に入社した後は、すべての行動に責任を持ち、社内外から信頼される人物になりたいです。
「責任感のある人」と伝えると、責任感を持って仕事に取り組んでくれる人だと思われるメリットがあります。
この例文は、ゼミの教授の例を出すことで、責任感のある人から受ける良い影響や、そういう人間を目指しているという意思を伝えられていますね。
例文②視野が広い人
社会人として働くうえで、広い視野を持てることは大切になります。仕事は一人で完結することがほとんどなく、周囲と協力することが求められるからです。
広い視野を持っていると、困っている人へのフォローやビジネスの新しい切り口を提案できるといった効果につながります。視野の広い社会人は、常に変化し続ける周囲の状況や社会情勢に対応できると考えられているのです。
視野の広い社会人を目指すことで、常に周りと協力しながら仕事をするイメージを想起させることができます。
例文②視野が広い人
私は広い視野を持てる社会人になりたいと考えています。視野を広く持つことで、これまで見つけられなかった課題を見つけられるようになったり、新しい解決策が見つかったりすると思うからです。
私がアルバイトをしていたレストランに、広い視野を持つ社員の方がいます。その人はレストランの運営を常に俯瞰的に見ており、どんな状況でも課題の発見と解決を繰り返しています。
具体的には、「この曜日はほかの曜日に比べて客数が少ないのはなぜか」や「このメニューが注文されないのはなぜか」など、細かい課題に気が付き、次々と解決していました。私もこの姿に憧れ、広い視野を持てる社会人になりたいと思うようになりました。
御社に入社後は、目の前のことに集中しつつも定期的に俯瞰的な視点を持ち、課題の早期発見と解決に貢献したいと考えています。
「視野が広い人」は、さまざまな視点から物事を捉えることができると推測できます。そのため、広い視野でビジネスの課題に気付くことができ、仕事していける人材だと考えられるでしょう。
例文の「課題に気が付き解決していったこと」について、どのように解決したのかにも言及できると良いですね。
例文③向上心を持った人
社会人として毎日忙しく働いていると、仕事に慣れてしまい目標を持って業務に取り組めなくなってしまう人もいます。しかし向上心を持った人であれば、仕事の意義を自分で考え、目標を見失わずに働くことができるのです。
企業が成長していくためには高い志を持った社員が必要です。面接官としても、向上心を持った学生は自己の成長を通して会社の成長にもつながるのではないかと考えることにつながります。
例文③向上心を持った人
私は向上心を持った社会人になりたいと考えています。向上心こそが成長の源で、向上心がなければ衰退していく一方だと考えているからです。
私は大学で部活動に所属しているのですが、部の中にも向上心のある人とない人がいます。向上心のあるメンバーは日々真面目に練習に打ち込み、自主練習にも取り組んでいます。そして、全国大会でも入賞するメンバーが多くいます。
一方で、向上心があまり見られないメンバーは練習には取り組むものの、練習以外の生活に乱れがあり、思うような結果も出せていないのが私の印象です。
このような経験から、社会人として理想の結果を出すためにも向上心は常に持ち続けなければいけないと考えています。御社に入社後も向上心を持ち続け、営業職として結果を出せるように努めてまいります。
向上心がある社会人が理想像であると伝えることで、現状に満足せずに成長するというポジティブな印象を残せます。
この例文で「向上心あるメンバーと協働することでどうなったのか」が書かれていると、目指す理由と熱意がより伝わりやすくなります。
例文④信頼をされる人
仕事において信頼感はなくてはならないものです。信頼がなければ顧客との取り引きは成立せず、チームで協力することもできません。信頼は仕事をするうえで必須の要素なため、目指す社会人像として取り上げる人も多いでしょう。
信頼を得るためにはさまざまな能力が必要になります。たとえば、相手をよく観察することやコミュニケーションを適切に取ること、課題解決を実行に移すことといった総合的な能力です。
体験やエピソードには、他人からの言葉や評価を盛り込んで、信頼感を得た体験とそこから学んだ経験を伝えていきましょう。
例文④信頼をされる人
私は信頼される社会人になりたいと考えています。信頼がなければ仕事は成り立たないと考えているからです。
私はコンサルティングファームでインターンシップ生として働いた経験があります。そこで私を担当してくださった社員の方は常に仕事が舞い込み、それを私や部下の方々に割り振っていました。
ある日、「なぜそこまで毎日のように新しい仕事が舞い込むのか」と質問したところ、「信頼を得られるように努力しているから」と答えをいただきました。そのときに仕事をいただくには信頼が必要で、信頼があれば依頼されることが増えることに気が付きました。
御社に入社後も「どうしたら信頼を得られるか」を考えながら行動し、周りの人の役に立てるよう貢献したいと考えています。
信頼がなければどんなビジネスも成り立たないというくらい、非常に重要なものです。「信頼をされる人」と伝えると、その点をよく理解していると思われます。
例文は、社員に質問をしたことが、探究心や仕事への意欲を感じさせる良い内容だと思います。
例文⑤縁の下の力持ち
企業には対外的な仕事が多い営業職などの社員がいる一方で、裏方として社員の活躍を支える社員もいます。職種でいうと人事や総務、事務にあたる社員が縁の下の力持ちとなっている場合が多いです。
希望する職種や自分の経験と照らし合わせて、目指す社会人像として縁の下の力持ちを掲げるのもおすすめです。
縁の下の力持ちを社会人像とする場合は、主体的にその役割に取り組んでいることを伝えましょう。ポジションが空いてなかったことや、能力がないためにその役割を務めていたと伝えると後ろ向きに捉えられ、あなたの良さが伝わらない原因となります。
例文⑤縁の下の力持ち
私は縁の下の力持ちと思われるような社会人になりたいと考えています。私は人前で目立つことは苦手ですが、そのような人のサポートをするのが好きだからです。
大学3年生のとき、大学の文化祭の実行委員を務めました。文化祭には毎年芸人さんを呼んでネタを披露してもらうのですが、その芸人さんに関することを私が担当することになりました。
「芸人さんがネタの披露に集中できるにはどうすれば良いか」を考えた際、事前に段取りをすべて把握していただけるようにすることと、連絡の回数を最小限にすることだと思い、これらを意識して取り組みました。
無事ネタが終了し、芸人さんが控え室に戻ってきたとき、「今までたくさんの文化祭に参加してきたけど、あなたとのやりとりが一番やりやすかった」といっていただくことができました。
このような経験から、表舞台に立つ人のサポートをしたいと思うようになりました。御社に入社後は、営業の方々が営業に集中して取り組めるように精一杯サポートしたいと考えています。
「縁の下の力持ち」は、希望する職種がサポートなどに関連していれば、求める人材と合致していてメリットになります。
例文では文化祭での具体的な経験が書かれており、人をサポートすることに長けていることが伝わります。「人前で目立つことは苦手ですが」は、苦手と言わず「人前で目立つことより」と表現しても良いですね。
例文⑥計画性のある人
仕事は必ず締切日が決まっており計画性が大切な場面が多くあります。計画が狂ってしまうと仕事に関与する人たちに迷惑がかかり、結果として取引が中止になったり、売上を上げられない原因となってしまうのです。
仕事は年単位の計画で進むものもあり、長期的な視点でやるべきことを組み立てていく視点はとても重要です。
そのため、目指す社会人像として計画性を伝えるときには、なるべく長期間の計画を伝えると良いでしょう。1週間の旅行の計画やテスト期間中の勉強の計画となると、中身が良くても仕事への再現性が想像しづらくなってしまいますよ。
例文⑥計画性のある人
私は計画性のある社会人になりたいと考えています。何かを成し遂げるときにどれだけ綿密な計画を立てられるかが重要だと思っているからです。
私は大学生活の中でTOEIC850点を目標に勉強していました。最初の2年間は一切計画を立てず、目の前の教材をひたすら進めていくという勉強法だったのですが、大学2年生で受検したTOEICは700点に終わりました。
「このままではいけない」と思い、受検日から逆算して細かく計画を立て、計画通りに行かないときは都度計画を立て直すということを繰り返したところ、大学3年生のTOEICで850点を達成することができました。
このような経験から、計画を立てることの重要さを実感しました。御社に入社後も、どんな行動をする際もまずは計画を立て、目標を達成して貢献したいと考えています。
社会人は限られた時間で成果を出すことが求められるので、計画性はとても重要なスキルです。目指す社会人像として伝えることで高評価が受けられるでしょう。
例文は計画を立てたことが書かれていますが、具体的にどのような計画を立てたのか書かれておらず、本当に計画性があるのかわかりません。計画性をアピールするときには具体的な計画を盛り込みましょう。
例文⑦自主性を持った人
新社会人として働きだすと、最初のころは研修や先輩社員からの指導があります。ただ、仕事に慣れてくると教えてもらう場面は減り、新しい仕事にも自分一人で取り組まなければいけない場面が増えていくのです。
仕事に対して自主的に取り組んでいると、新しい仕事に取り組む際に過去の成功パターンを応用することができたり、教えてもらった業務を効率化するなどの案が思い浮かびます。
反対に主体的に仕事に取り組むことができないと、最低限のことしか達成できず、自分の成長機会を逃してしまうことにつながってしまうのです。
自主性を持った社会人を目指すことで、成長意欲を持って仕事に取り組める人物像であることをアピールしましょう。
例文⑦自主性を持った人
私は自主性を持った社会人になりたいと思っています。自主性を持つことで、自分が成長できるチャンスをつかめると思っているからです。
私は大学1年生からブログの投稿に取り組んできており、最初はすべてを一人でやっていました。その頃は一切成果が上がらず、1カ月に100pvほどしかありませんでした。
しかし、SNSを見ていると「ブロガーも人に会って話を聞き、知識を取り入れることが重要」という投稿を見つけ、そこからセミナーに参加したり、交流会に参加したりするなど、自主的に行動するようになりました。
その後、成果が一気に伸び始め、最高月10万PVにまでいくようになりました。このような経験から、自主性を発揮することで成長する機会が訪れるということを学びました。
御社に入社後も自主的に学習したり、人に会ったりして、早いスピードで成長して貢献したいと考えています。
自主性を持った人と伝えると、指示待ち人間ではなく、課題解決能力が高い人だという印象が残ります。
例文では、自主的に行動して成果につなげられた自身の経験を話していて、しかも数字も入っているので、説得力があります。
例文⑧柔軟性のある人
仕事は決まったルーティンばかりではなく、社会情勢や顧客の要求に応じて内容が変わります。それらの変化に対応できないと仕事がなくなってしまうため、柔軟性を持った社会人を目指す意義は大きいでしょう。
また企業で働くと人の入れ替わりもあります。働きやすい先輩や同僚ばかりではなく、時には馬が合わない人がいたり、国や性別が違う人がいる場合もあります。変化する仕事に対し、いろいろな人と協力しながら取り組めることは非常に重要です。
柔軟性を持って仕事に取り組めることをアピールすることで、長い社会人生活を豊かにできるという印象にもつながりますよ。
例文⑧柔軟性のある人
私は柔軟性のある社会人になりたいと考えています。これからの時代は変化が激しく、柔軟性がなければ生き残れないと考えているからです。
このようなことを感じたのは大学の課題に取り組んでいるときです。大学1年生の頃から課題には真面目に取り組み、ほとんどのことを一からリサーチして解答していました。正確性は高いものの、時間がかかると感じていました。
しかし、近年はAIが発達し、多くのことを人間の代わりにおこなってくれます。最初は信用しておらず、課題はこれまでと同様に自らの力で取り組んでいたのですが、あるとき、自力で解答した後、試しにAIを使ってみることにしました。すると、自力とほぼ変わらない解答を短時間で作ることができました。
このような出来事から、柔軟性を持ち、変化についていくことの重要性を感じました。御社に入社後も、常に変化をキャッチして、柔軟性を高くして業務に取り組みたいと考えています。
柔軟性をアピールすることは、どんなビジネスでも臨機応変に対応でき、ほかの人の考えも取り入れることができるという印象が残ります。
例文ではAIに関するエピソードが取り上げられていますが、短時間で解答を作れただけでは要領が良い人と受け取られる可能性があるので、削減できた時間で別の課題に取り組めたなど、効率的に時間を使ったことなど伝えると良いですね。
例文⑨思いやりのある人
思いやりは一見、性格に関する話と思われがちですが、働くうえでも非常に重要な要素です。
思いやりを発揮するためには相手を想像する力が必要で、その力は仕事の大原則である顧客の課題を解決するという行為に活きます。課題の調査、丁寧なヒアリング、チームへの気配りや声掛けなど幅広い行動はどんな仕事にかかわるうえでも重宝されるのです。
このように仕事において多方面の能力を伸ばす必要があるので、目指す社会人像として掲げる意義は大きいといえます。
例文⑨思いやりのある人
私は思いやりのある社会人になりたいと考えています。思いやりは「相手の状況を考えること」だと思っています。そして、相手の状況を考えられることで、丁寧な仕事ができるとも考えています。
私は大学2年生のときにITベンチャーでインターンシップ生として働いており、社外の方ともやり取りをしていました。あるとき、数日後に自社に足を運んでくださる社外の方にメールを送る機会があったのですが、その内容に関して、社員の方から「思いやりが足りない」と注意を受けました。
具体的に聞くと「このメールの内容では、オフィスに到着後どうすれば良いかわからない」とのことでした。たしかに、オフィス到着後にどこに行き、どんな行動を取れば良いかわからない内容でした。
この経験から、思いやりがあることで相手の状況を考えながら丁寧な仕事ができることを学びました。御社に入社後も思いやりの気持ちを常に持って、私にかかわるすべての人が気持ちよく仕事ができるように貢献したいです。
企業へ入社すると協働することが必ずあるため、思いやりを持つことは重要なことです。再現性も高く、高評価が得られるでしょう。
ただ、この例文は、思いやりがあることや相手の目線に立つために実践していることがあまり書かれていないのがもったいないです。熱意が伝わるように具体例を入れてアピールするともっと良くなりますよ。
例文⑩子育てと仕事の両立ができる人
子育てと仕事の両立に言及することは、働く環境について企業に聞くことにもつながります。産休・育休後にも、子育てと仕事を両立しながらキャリアを歩みたいと考えている人は、社会人像として掲げてみましょう。
日本全体として女性の活躍が重要とされていたり、男性も含めて産休・育休を適切に取得することが奨励されていたりと、子育てと仕事のバランスは時代によって変化しています。
社内制度を整えている企業も増えているので、あなたらしく働ける環境が整っているかを、目指す社会人を伝えることで確認してみてくださいね。
例文⑩子育てと仕事の両立ができる人
私は子育てと仕事の両立ができる社会人になりたいと考えています。母が私を含めた3人を育てながら仕事をしていたのですが、その姿がとてもいきいきしていたので、私もその姿を目指したいと思いました。
母に「子育てしながらの仕事は大変ではないのか」と質問したことがあります。すると「あなたたちの未来を作っていると思いながら仕事をするとやる気が出る」といっていました。
この言葉には非常に共感しました。そして、我が子の未来のために仕事を頑張ることはとても素敵なことだと思います。
御社に入社後、私も子育てをしながら仕事をするときが来るかもしれません。そのときは、「子どもの将来のため」と思って、より活発的に仕事をしたいと考えています。
子育てと仕事の両立を応援している企業であれば、共感してもらうことができます。
例文では、母親の実例と会話を出したことは説得力を感じさせます。また親子の会話がちゃんとある、つまり、コミュニケーションがきちんと取れる人だと思われます。
例文⑪自信のある人
仕事ではスキルや能力と同じように、自信を持っているかも重要な要素です。自信を持った仕事は顧客や取引先に安心感を与えます。また、働くうえで自信を失わないように自己研鑽を重ねる動機にもなるのです。
一方で自信がないと、顧客が不安を感じたり、商品を購入する際に疑問が生まれてしまいます。一緒に働く人からも頼りづらい印象を持たれてしまう原因にもなるので、自信を持って仕事に取り組めているかは大切です。
ただし、根拠のない自信を持つということではありません。「常に自分に自信がある」、「わからないこともわかっているように振る舞える」などは伝えないようにしましょう。
例文⑪自信のある人
私は常に自信を持っている社会人になりたいと考えています。自信があることで相手に安心感を与えたり、責任を持てるようになったりすると思うからです。
私はサッカー部に所属しているのですが、常に自信を持っている先輩がいます。その先輩はエースとしてみんなから信頼されており、成果を上げています。
あるとき「なぜ自信があるのか」と聞いたことがあります。すると「最初から自信があるわけではない。自分を奮い立たせて自信を持つようにしている。するとみんなが安心してくれるから、安心させた以上はベストを尽くすしかなくなる」と答えてくれました。
この言葉から、自信を持つことは自分が成果を出すうえでもとても重要だということを学びました。それからは私も常に自信を持って行動するようにしています。
御社に入社後も、何事も自信を持って取り組み、周りの人を安心させ、成果を出して貢献したいと考えています。
実際に自信を持っていることだけではなく、たとえば自信が持てるまで行動したことなど、自信がある人になるためのプロセスを伝えれば、成果を上げられるイメージを持たれます。
例文でも、自信が持てる社会人になるために、実践したい取り組みについて触れると良いでしょう。
例文⑫リーダーシップがある人
仕事は一人だけでやることはほとんどありません。複数人で携わるときにリーダーシップのある社員がいるだけで、意見がまとまりやすかったり、役割分担が円滑におこなえるなど良い効果が多くあります。
また仕事でリーダーシップを活かす場面は多くあります。部長や課長などの役職を務めなくても、顧客にプレゼンする資料をまとめる役割になったり、プロジェクトのリーダーになったりなどさまざまです。
面接でリーダーシップを持っている社会人像を目指すと伝えるのは、仕事での再現性が高いと判断されることにつながります。
例文⑫リーダーシップがある人
私はリーダーシップのある社会人になりたいと考えています。仕事は複数人でやることが多く、円滑に進めるためにはリーダーシップが重要だと思っているからです。
私は大学3年生で文化祭の実行委員長を務めました。私の大学では文化祭に力を入れており、文化祭当日から10カ月ほど前に実行委員が結成されます。
最初は指示をすることだけがリーダーシップだと思い、自分は手を動かさずに指示ばかりをしていました。しかし、メンバーから不満が生まれ、仕事がうまく進みませんでした。
そこでリーダーシップに関する本を読んだり、知り合いの経営者の方に話を聞いたりして、本当のリーダーシップ能力を身に付けられるように努力しました。すると、仕事が円滑に進み、メンバーからの不満も減りました。そして、文化祭は無事成功することができました。
御社に入社後も積極的にリーダーシップを発揮してメンバーの能力を活かし、皆が気持ちよく仕事ができる環境を作れるように努めたいと考えています。
新卒採用では、将来の経営を担う人材の採用をおこなっている企業が多いため、リーダーシップを目標に掲げている学生は高評価になります。
この例文では、リーダーシップを高めようと取り組んでいることが伝わり入社の熱意も伝わる内容なので、参考にしてくださいね。
例文⑬前向きな人
仕事に前向きに取り組むことは本人にとって多くのメリットをもたらしてくれます。たとえば仕事のやりがいを見出せたり、効率化などのアイディアが思い浮かぶきっかけになったりします。
また周りにも好影響があり、一緒に働くことを楽しいと感じられたり、コミュニケーションを取りやすくなるのです。
前向きに仕事に取り組めることは、どの企業にとってもプラスになることが考えらえられるので、社会人像として掲げると面接官に良い印象が残る可能性も高いでしょう。
例文⑬前向きな人
私は前向きな考えを持てる社会人になりたいと考えています。常に前向きな考えを持つことで、周りの人へも良い影響を与えられるからです。
私の友人にはどんなときでもポジティブな発言をする人がいます。テストで合格点に達せなかったときは「自分の伸び代を感じられて良かった」と言い、怪我をしたときは「自分を見つめ直す時間ができた」と言っていました。
私を含めた友人たちは、どちらの出来事でも彼のことを心配していたのですが、そのような発言に笑顔をもらったことを覚えています。この経験から、前向きな考え方を持つことで、自分だけでなく周りの人にも良い影響を与えることを学びました。
御社に入社後も失敗することがあると思います。そのようなときでも前向きに考えて、周りの人にも良い影響を与えられるようになりたいです。
前向きな人は、困難があってもへこたれない、トラブルも乗り越えられる人という印象になります。
例文では友人から受けた影響を出していて良いのですが、「入社後も失敗することがある」という言葉より「入社後うまくいかないこともある」と言い換えた方がベターです。
例文⑭協調性のある人
仕事で多くの人とかかわる際に協調性はとても重要です。コミュニケーションを円滑に進め、それぞれの能力を引き出す雰囲気を作ることができるからです。
協調性を目標として掲げる際は、主体的に協力し合う雰囲気が作れるということを取り上げましょう。自己主張をしない、間違っていることを訂正しないなど、消極的な姿勢で場を乱さないということを伝えても仕事で活きるとは判断されないので注意してください。
例文⑭協調性のある人
私は協調性のある社会人になりたいと考えています。協調性があることで、みんなが自分の能力を発揮できると思っているからです。
私は大学2年生のときに友人3人と起業した経験があります。最初は何も考えずにタスクを割り振っていたのですが、作業スピードが遅く、仕事がまったく進まないという状況でした。
しかし、「このままではリリースすることすらできない」と思い、それぞれの得意なことや好きなことを引き出し、それに沿ってタスクを割り振ることにしました。すると、それぞれの作業スピードが上がり、計画より1カ月以上早くサービスをリリースすることができました。
この経験から協調性を持つことでみんなが不満のない状況でやるべきことに取り組めることがわかりました。
御社に入社後もさらに協調性を身に付け、皆が主体的に仕事に取り組める環境づくりに努めたいと思います。
「協調性のある人」は、コミュニケーション能力が高く、異なる考えや価値観を持つ人とも良好な人間関係を築ける人だというイメージを残せます。
例文で協調性を発揮してメンバーが能力を発揮した事例を伝えており、ビジネスでも活かせると捉えてもらうことができます。
例文⑮多様性に富んだ人
SDGsの考え方を大切にする企業も増え、ダイバーシティなどの言葉を耳にする機会も増えてきました。働く人たちが自分らしく働ける環境が重要視されている現在、多様性に富んだ社会人を目標として掲げるのも適していると考えられます。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標のこと。17の項目に分かれ、貧困や教育格差、ジェンダー不平等の是正、経済成長と働きがいの創出などの目標がある
引用:外務省「SDGsとは?」
多様性に富んだ社会人であれば、たとえば国境を超えたビジネスをする際やジェンダーの問題に直面したときにも解決策を出せたり、問題点を見抜く力があります。
また多様な考え方で組織を率いていくことで、全員が能力を発揮しやすい環境を作ることができると想像してもらうこともできます。
例文⑮多様性に富んだ人
私は多様性に富んだ社会人になりたいと考えています。多様性があることで、あらゆる角度から物事を見ることができ、課題の発見と解決に役立つと思っているからです。
私は大学2年生で1年間休学してカナダに留学をしました。当然日本にはない文化があったり、日本では当たり前のことが当たり前でなかったりするなど、文化・価値観の違いに最初は戸惑いました。
しかし、これらの文化・価値観を受け入れられるようになると、自分に足りないものやもっと身に付けたい能力などが見つかり、とても良い経験になったと思っています。
この経験から、さまざまな文化や価値観を受け入れて多様性を持つことで、自分またはチームなどに足りないものがわかるようになると学びました。
御社に入社後は、常にさまざまな文化や価値観を取り入れて多様性を身に付け、御社の拡大に貢献したいと考えています。
特にグローバル化を推進している企業では、さまざまな文化や価値観を受け入れられることが必要条件のため、多様性に富んでいることで高評価が得られます。
この例文では、これから身に付けたい能力などがもっと具体的に書かれていると、採用担当者のイメージも湧きやすくなるでしょう。
例文⑯努力を惜しまない人
学生から社会人になっても、勉強などの自己研鑽はとても大切になります。どのような業界に就職したとしても、日々変化している社会情勢とその影響を受ける顧客の課題に対応をしていく必要があるためです。
成長を続けられる人材だとアピールするために、目指す社会人像として努力を惜しまないことを挙げてみましょう。
学生時代に努力を重ねた経験は、仕事への再現性が高い内容になると予想できます。努力をしようと思ったきっかけ、やり方について細かく言及してみてください。
例文⑯努力を惜しまない人
私は努力を惜しまない社会人になりたいと考えています。成長するには努力が必要不可欠だと思うからです。
私は高校入学と同時にラグビーを始め、現在でも続けています。今では幼少期からラグビーをやる人が増えている中で、スタートが遅れているという状況でした。このような状況でしたが、日本代表になるという目標がありました。
この目標を達成するために、全体練習に加えて、練習前後の1〜2時間で自主練習をすることを継続しました。すると徐々にほかの人との差を埋めることができ、昨年、23歳以下の日本代表に選考されることができました。
この経験から、目標を達成したり、成長したりするには努力が不可欠ということがわかりました。
御社に入社後もこれまでの経験を活かして努力し続け、ほかの人よりも早いスピードで成長し、貢献したいと考えています。
努力を惜しまない人は、成長意欲が高く、入社後も成長していく可能性があるというイメージが残ります。
例文は、自分がしていたスポーツでの成功談であることに説得力があり、また日本代表という具体的な成果が入っている点が素晴らしいです。
最後に確認! 回答で気を付けたい5つのポイント
「どんな社会人になりたいか」への回答がつくれたら、これから説明する5つのポイントで確認をしていきましょう。
回答のポイントを外してしまうと、マイナスな印象を残してしまうこともあります。企業からすると質問の意図を理解できていないと捉えられたり、採用するメリットが見出せなかったりするためです。
1つでも自分の回答に当てはまるところがあったら必ず直してくださいね。
①仕事と関係ない社会人像は避ける
社会人とは働く人のことをさしますが、意味が広義なため想像する姿は人それぞれです。
そのためあなたが社会人と聞いて思いついたものが仕事とは関係ない場合もあるかもしれません。ただ、今回は採用面接の質問なので、仕事と関係のある社会人像を回答することが大切です。
仕事と関係ない社会人像とは、「優しい人」や「正直な人」など、性格にのみ言及したものが挙げられます。性格の部分を仕事に活かすということが伝えられれば良いですが、「誰にでも優しくありたい」などと伝えると仕事への活き方が曖昧になってしまいます。
面接ではあなたが思い描く社会人像の仕事への再現性や、採用のメリットを見出すために質問がされているので、仕事に関係ない社会人像を伝えて質問の意図からずれないようにしましょう。
仕事と関係ない社会人像3例
- 誰にでも優しい人
- マイペースな人
- 自由な人
どんな社会人になりたいかの回答から、面接官は仕事でどう活かせるかをイメージします。たとえば「明るい人」など仕事に直接関係がない社会人像では、仕事との関連性をイメージできない曖昧な印象になってしまうのです。
社会人としてどのように貢献できるかをイメージして、考えてみましょう。
②企業の業務と関連がないことを伝えない
目指す社会人像は自由ですが、企業の業務と関連性のない像を伝えてしまうと、選考通過にはつながらない可能性が高くなってしまいます。その企業で働いてもあなたの社会人像を叶えることができず、企業にもあなたにもデメリットになってしまうためです。
そのため回答を考える際は、選考を受ける企業で働くことによって目指す社会人像が実現できるのかを検討しましょう。検討するためには業界・企業研究を深めたり、OB・OG訪問をおこなったりして、目指す社会人像に近づけるか考えてみてくださいね。
企業の業務と関連がない回答例
- 国内向けの製品を作る企業の選考
「将来、海外を拠点に仕事をしていきたい」 - 社員10人未満の企業の選考
「数百人をマネジメントする社会人になりたい」 - 研究職として受けている企業の選考
「営業や経理、労務など幅広い仕事ができる人材を目指したい」
③自分の性格に合わない目標にしない
社会人像とは未来のことですが、あなたの過去や現在の体験とあまりにも離れていると実現できるかに疑問が残ります。目指す社会人像が机上の空論だと思われないようにも、現在の自分の性格に合ったものにしましょう。
たとえばじっくりと物事に向き合うことを得意としているにもかかわらず、変化の大きなベンチャー企業で挑戦し続けたいという社会人像を掲げると、面接官には疑問が残ってしまいます。自分自身も無理をして社会人像を追いかけることになり、早期退職につながるかもしれません。
性格に合った社会人像を見つけるためには、他己分析がおすすめです。家族や友人などに自分の性格を聞きながら、社会人像を相談してみましょう。
他己分析をおこなうときには、協力してくれる人によって質問を変えるとより効果的な結果を得ることができます。こちらの記事を参考に質問を選んでいってくださいね。
他己分析の質問例20選|やり方から選考への活かし方まで徹底解説
- 性格に合った社会人像を描くために、どんなことを意識して考えると良いでしょうか?
現状の強みだけではなく弱みを把握して社会人像を描こう
採用担当者は、学生が強みと合っていない理想像を話していても、実現が難しいと感じてしまいます。たとえば、リーダーシップが強みにもかかわらず、「縁の下の力持ちとして活躍したい」という社会人像を描いているパターンです。
このようなミスマッチがないように、強みを把握するだけでなく、弱みも把握して克服するための行動を整理しましょう。そうすることで、あなたの性格に合った社会人像を描くことができますよ。
④基本的なマナーに関する目標は避ける
「どんな社会人になりたいか」という質問は、あなたの目標を聞いています。そのため、社会人の基本的なマナーを挙げてしまうと達成が簡単で、目標が低いと考えられてしまいます。
基本的なマナーとは時間を守れる、あいさつができるといったことになります。社会人として当たり前にできなくてはいけないことは目指す社会人像とはならないので、回答とするのはやめましょう。
もしマナーを目標としていた場合は、その目標を達成することによって周囲からどのような評価が受けられるのかを考えてみると社会人像となるケースがあります。時間を守って信頼をされる、約束を守ることで責任感があると評価されるなど、少し引いた視点で考え目標を定めていきましょう。
基本的なマナーを社会人像とした3例
- 身だしなみが整っている人
- 元気にあいさつができる人
- 正しく敬語を使える人
⑤理念やビジョンを抽象的にしすぎない
目指す社会人像の理念やビジョンはどうしても抽象的なものになってしまいます。しかし、実現する可能性がかなり低いものや、大勢の人を巻き込むような理念やビジョンはやめましょう。
理念やビジョンが抽象的過ぎると、面接官としては何を目指しているのかがつかみづらく、仕事への再現性に疑問が残ります。たとえば「飲食店で働くことで世界平和を目指したい」と伝えても、面接官に伝えるのは困難だと予想できます。
理念やビジョンは自分が努力することで叶えていけるものを選んでくださいね。
「どんな社会人になりたいか」を明確に示す回答で選考通過を目指そう!
「どんな社会人になりたいか」と質問されたら、企業にあなたを採用するメリットを伝え、仕事での再現性を見出してもらうことが大切です。的を外した回答をしてしまうと、不合格の要因になってしまうので注意してくださいね。
回答では明確に目指す社会人像を示し、あなたの考えが伝わるようにしましょう。伝わりやすい構成に沿って回答を作り、コツを活かして質をあげていくことが重要です。
あなたが目指す社会人像が企業とマッチングし、入社意欲の高さが伝われば、かならず選考の通過率は上がります。質の高い回答を準備して面接に臨みましょう。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る「どんな社会人になりたいか」を通して企業とのマッチングが測れる
企業は「どんな社会人になりたいか」の質問を通して、学生の価値観が自社に合っているか、入社意欲が高いかを見ています。また、配属先を決める参考にもすることで、入社後にミスマッチが起こらないようにしているのです。
学生は「どんな社会人になりたいか」を考えることで、働き方や目指す目標が変わってきます。目指す社会人を実現できる企業へ就職することで、高いモチベーションで仕事ができ、多少困難なことがあっても乗り越えていけるメリットがあります。
逆に「どんな社会人になりたいか」を考えずに就職すると、就活の軸がないため簡単に合わない企業だと考えて、定着できない可能性があります。
入社後に活躍できるイメージを描いて回答しよう
面接では目指す社会人としてどういった貢献ができるかまで回答することが重要です。最初に目指す社会人を結論として伝えます。次に理由と事例を述べて、最後にどういった貢献ができるかを明確にしましょう。
回答は仕事と関連しない社会人像や性格と違う社会人像にならないように注意してください。また時間を守れるといった基本的マナーのみの回答や、抽象的な内容は避けた方が良いですね。
「どんな社会人になりたいか」は、応募企業で活躍する自分の姿をイメージして、入社意欲と貢献できることが伝わる回答を準備しましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ヒトノビ代表
Tamao Koseki〇就職時は準備不足で苦労するも大手企業に入社。転職して実用書の編集者を10年経験し、独立。キャリアコンサルタント資格を取得し、現在は強みを引き出して活かす人材育成をおこなう
プロフィール詳細