本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「事業多角化で仕事と自分の適性がミスマッチ」
「構造改革中の会社の将来性に不安あり」
インターネットやSNSのそのような声に、不安を感じる人もいるのではないでしょうか。一方で、そうした情報がきちんとした根拠に基づいているのか、あくまで噂レベルの話なのか、しっかりと確認する慎重さも必要です。
この記事では、TOPPANホールディングスへの就活を検討している人に向けて、「やばい」「やめとけ」と言われる理由や、会社と自分の適性をどのように見極めれば良いのか、プロの意見を交えながら解説します。
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1分でわかるTOPPANホールディングス
TOPPANホールディングスとは
1900年に凸版印刷合資会社として創業。印刷事業で成長し、1949年に東京証券取引所に上場。商業印刷、出版印刷、製本、包装からプリント配線板、ICカード等まで事業を拡大。1960年代から印刷の高度精細技術を活かしたエレクトロニクス関連事業にも進出。
2020年からは事業ポートフォリオの変革実現に向け新事業創出を強化。2023年に持株会社体制に移行し、商号が凸版印刷からTOPPANホールディングスに変更された。
| 会社名 | TOPPANホールディングス株式会社(TOPPAN Holdings Inc.) |
| 従業員数(連結) | 54,371人(2026年3月期) |
| 本社所在地 | 東京都台東区 |
| おもな事業 | 祖業である印刷事業やビジネス変革支援などをおこなう「情報コミュニケーション事業分野」が売上全体の約50%を占める。 パッケージ・建装材製品等の「生活・産業事業分野」の売上構成比は約40%。プリント配線板の製造技術をベースとする高密度半導体パッケージ基盤などを提供する「エレクトロニクス事業分野」は約10%だが、2028年度には約2倍の19%を目指す。 |
| 売上高(連結) | 1兆8,050億3,300万円(前年同期比5.0%増)(2026年3月期) |
| 経常利益(同) | 757億2,400万円(同15.5%減)(同期間) |
| 企業HP | https://www.holdings.toppan.com/ja/about-us |
| 新卒採用HP | https://www.holdings.toppan.com/ja/recruit |
「TOPPANホールディングスはやばい」と言われる4つの理由|プロが解説
「TOPPANホールディングスはやばい」と言われる4つの理由
「TOPPANホールディングスはやばい」という噂について、客観的なデータを紹介しながら理由を紐解きます。キャリアコンサルタントが解説を加えているので、この会社が自分に「向いているか」「向いていないか」を考える参考にしてください。
①自分の適性と仕事のミスマッチがあるから
TOPPANホールディングスは元々は印刷会社でしたが、以前から事業の多角化を進めており、異動により想定外の事業分野で働くことになった人がいてもおかしくなく、そこが「やばい」と言われる理由だと考えられます。
しかし、今後は心配が減るでしょう。TOPPANグループでは2026年卒からは入社後の業務内容が明確になる「ジョブコース採用」を導入し、大学での専攻や専門的知見を活かし、専門性を起点にキャリアを広げられるようになりました(※1)。
また、TOPPANグループの幅広い事業展開の中から事業分野や職種を選べる「フィールドコース採用」も2027年度卒から導入します(※1)。ちなみに、入社後に自分の適性を見極めるためファーストキャリアを幅広く考えている人は、以前からある「オープンコース採用」が適しています。
※1 採用HP メッセージ
プロのアドバイザーはこう分析!一歩先を行くミスマッチ防止策! TOPPANのコース別採用の真価
「ジョブコース採用」や「フィールドコース採用」は、企業と学生が仕事内容やキャリアの方向性について、入社前に期待をすり合わせやすくなる制度設計です。
専門性を活かしたい人はジョブコース、事業分野を軸にキャリアを築きたい人はフィールドコースというように、自身の志向性に応じて選択できる点は大きなメリットです。
近年は、採用試験初期でのマッチング面談や、社員との座談会などを通して相互理解を深める企業も増えています。
しかし、採用コースそのものを見直し、キャリアの入口から選択肢を明確にする取り組みは、ミスマッチの低減に向けて一歩踏み込んでいると言えるでしょう。
入り口がすべてじゃない! 入社後にも適性とキャリアは変化する
一方で、こうした制度はあくまでも「入社時の入り口」を整理するものです。実際には、仕事を経験するなかで自分でも気づいていなかった強みや適性が見つかったり、興味や価値観が変化したりすることも少なくありません。
採用制度によって初期のミスマッチは減らせますが、入社後の経験や異動を通じてキャリアを広げていくという視点も、大企業では重要な要素でしょう。
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➁ワークライフバランスがとれないから
TOPPANグループの中核事業会社であるTOPPANホールディングスの平均月間残業時間は22.05時間(※2)で、全国平均の13.5時間(※3)と比べると多いほうではあります。しかし、問題は残業時間が減少せずむしろ増加傾向であることです(表参照)。
| 年度 | 2015年度 | ・・・ | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均月間残業時間 | 40.00時間 | ・・・ | 20.87時間 | 21.68時間 | 22.08時間 | 22.05時間 |
また、残業時間と同様にワークライフバランスの指標の一つである有給休暇の取得率は65.4%です(※2)。1,000人以上の企業の平均である69.0%(※4)を下回っており、大手企業では90%台も珍しくはないことを考えると、物足りなさを感じる人がいるかもしれません。
2015年度には平均残業時間が40時間、有給休暇取得率が45%でしたが、2019年度には平均残業時間が19時間、有給休暇取得率が約60%まで大きく改善されました(※5)。しかし、そこからの劇的な上昇は見られず、近年は改善のペースが横ばいになっているのが実態です(表参照)。
| 年度 | 2015年度 | ・・・ | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均取得率 | 45.0% | ・・・ | 55.2% | 57.5% | 64.6% | 64.3% | 65.4% |
※ 2 同社HP サステナビリティレポート2025
※ 3 厚生労働省・毎月勤労統計調査令和6年分
※ 4 厚生労働省・令和7年就労条件総合調査
※ 5 厚生労働省・働き方・休み方改善ポータルサイト
プロのアドバイザーはこう分析!2つのビジネスが混在するジレンマ! 労働時間を削れない真相
一度は劇的に改善した労働環境の数値が2020年以降に停滞している背景には、同社が迎えている「ビジネスモデルの大変革期(過過渡期)」特有の痛みが関係しているようです。
現在のTOPPANは、祖業である印刷やパッケージといった「納期絶対・現場主義」のレガシーなビジネスと、新しく注力しているDXや半導体といった「スピードと不確実性」が命の最先端ビジネスの両方が同居している状態です。
つまり、全社一律の号令で一気に労働時間を削ることが非常に難しい二面性を抱えています。
企業の熱量とあなたの価値観をすり合わせよう
さらに、2020年から適用範囲を拡大した裁量労働制も影響しています。
成果を出すための時間配分が一定個人の裁量に委ねられた結果、激しい市場競争や事業の転換についていくために、自発的に打席に立ち続ける(時間をかけてでもやり切る)優秀な社員ほど、業務密度が上がっているのが実態です。
これを「環境の停滞」と冷めた目線で見るのか、「変革期ゆえの熱量」ととらえるかで、この企業への適性は大きく分かれるのではないでしょうか。
➂仕事がハードな割に給与レベルが低いから
TOPPANホールディングスの平均年収は有価証券報告書によると、816万7,997円(2025年3月現在/平均年齢43.0歳/平均勤続年数15.4年)であるため、大企業の平均464万8,000円(1,000人以上/40~44歳/令和7年賃金構造実態調査)と比べても恵まれた水準です。
初任給も年々引き上げられ、2026年の大卒新入社員の初任給は28万7,500円(※6)(※7)で、東証プライム上場の製造業の平均大卒初任給26万7,792円を2万円ほど上回ります(※8)。
それでも口コミサイトなどに「仕事のハードさに比べれば割が合わない」といった不満が漏れてくるのは、同社が2015年度から一部の営業・企画部門で導入し、2020年に適用範囲を拡大した裁量労働制(※8)の影響かもしれません。
同社の裁量労働の勤務時間(1日平均)は、8時間が「みなし労働時間」ですが、一般的に実労働時間は「みなし労働時間」を超えがちです。「みなし労働時間」が8時間でも、7割のケースで実労働時間が8時間を超え、11時間超えも報告されている調査(※9)があります。こうした実態が不満につながっている可能性もないとは言えません。
※ 6 同社HP サステナビリティレポート2025
※ 7 採用HP 募集要項
※ 8 労務行政研究所
※ 9 厚生労働省・働き方・休み方改善ポータルサイト
※ 10 全国労働組合総連合・裁量労働制実態調査報告書
アドバイザーのリアル・アドバイス!裁量労働=自由ではない? 成果を出す仕組みづくりが求められる
私自身、印刷業界で開発職として裁量労働制で働いていた経験があります。裁量労働制は「働く時間を自由に決められる制度」というより、「成果に対して自ら仕事の進め方を設計する制度」という印象があります。
そのため、開発や企画など、自分で優先順位を考えながら進める業務とは相性が良い一方で、担当する案件や責任の大きさによっては、仕事をやり切るために結果的に労働時間が増える場面も少なくありません。
一方で、営業職のように顧客対応が中心となる仕事では、急な問い合わせやトラブル対応など、自分ではコントロールしにくい業務も発生します。
仕事によって差を感じるため業務コントロール力を持つことがポイント
そのため、同じ裁量労働制であっても、職種や担当業務によって働き方や負担の感じ方は大きく異なるでしょう。
制度そのものに良し悪しがあるというよりも、業務内容や組織のマネジメントによって働き方は大きく変わります。
裁量労働制は、自律的に働きたい人にとっては能力を発揮しやすい環境になる一方で、仕事とプライベートの境界を意識しながら、自分で業務量をコントロールする力も求められる制度と言えるでしょう。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
そんな時は「適職診断」がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強みや性格、価値観を分析して適職や適さない職業を特定してくれます。
自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④構造改革中で将来性が不透明だから
TOPPANホールディングスは2020年度から、DXやエレクトロニクス、海外事業、それにヘルスケアや環境・エネルギーといった新事業等で稼ぐ事業構造への転換を本格化しています。社名から「印刷」も外し、「社会課題を解決するグローバルカンパニー」の実現を見据えています。
2028年度には、営業利益全体の42%を生活・産業で、39%を情報ソリューションで、19%をエレクトロニクスで稼ぐことを計画し、2031年度にはそれぞれ34%、33%、33%を目指す中期計画を進行中です(※11)。
しかし、すべてが順調に進んでいるわけではなく、エレクトロニクス事業ではディスプレイの業績が低迷し、2025年度は苦戦を強いられました(※12)。同社の将来性は構造改革の成否にかかっていると言えます。
※ 11 同社HP 中期経営計画2028プレゼンテーション資料
※ 12 同社HP 2026年3月期通期決算説明会プレゼンテーション資料
プロのアドバイザーならこうアドバイス!脱印刷! DXと半導体へ舵を切った合理的な決断
TOPPANホールディングスの将来性は、「不透明」と切り捨てるより、変革途上にある企業としてとらえるのが実態に即しています。
同社はすでに印刷依存からの脱却を進め、DX・半導体関連・環境分野へと事業ポートフォリオを転換しています。
成熟産業の企業がこうした生き残りをかけた構造改革に踏み出すことは珍しくなく、方向性そのものは合理的です。
安定だけで選んではいけない! 変革期の企業でキャリアを築く方法
ただし、同社が強みを持つエレクトロニクス(半導体関連)分野の業績変動に見られるように、構造改革の成果が全社的な安定に結実するまでには、まだ時間を要する局面です。
そのため、就職先として検討するなら、企業の安定性だけを指標にするのではなく、自分がどの事業領域で価値を発揮できるかを具体的に見極めることが重要です。変革期の企業にはリスクと同時に、成長の機会も存在します。
大転換期に活躍したい若い力が求められる
TOPPANホールディングスは120年を超える歴史のなかで、事業構造の改革という創業以来の大転換期を迎えています。同社の未来は、これから入社する若い力にかかっていると言えるでしょう。それをやりがいととらえて頑張れる人にとっては、無限の可能性が広がりそうです。
プロのアドバイザーはこう分析!実はベンチャー気質が必要!? 変化を楽しむマインドが求められる
TOPPANのような構造転換期の大企業を選ぶ際、最も大切なのは、大企業の皮をかぶった巨大なベンチャーに飛び込む覚悟です。
「歴史あるプライム上場企業だから一生安泰」という昭和的な安定志向だけで入社すると、社内のドラスティックな変化のスピードに振り回されて後悔する可能性が高いです。
変革期の企業では、「前例が通用しない環境」や「頻繁な組織改編」が当たり前に起こります。
昨日までの主力事業が縮小し、新しいデジタル領域へのリスキリングを求められる、そんなスリリングでカオスな環境を「面白い」と思えるタフさが必要です。
自分の活躍ルートを見極める! 企業のリソースを使い倒そう
そのため、就活生が今確認しておくべきは、新しく導入された「ジョブコース採用」などを活用し、「自分がどの変革フェーズの、どの打席(事業部)に立つのか」を解像度高く見極め、自分なりの意見を持っておくことです。
泥臭く既存事業のDXを推進するのか、次世代の柱であるエレクトロニクスを牽引するのか、企業の看板ではなく、その変化の中身に自分の牙がマッチするかを、OB・OG訪問などを通じて、生の声で確かめてみてください。
大企業のリソースを使いながら、ベンチャーのような変革を経験できるのは、今のTOPPANならではの贅沢な特権です。上記の指向性がマッチする人にとっては、またとないチャンスになるでしょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで500名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり
プロフィール詳細