本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
カネ美食品についてネット上で調べてみると、「人手不足」「業績悪化」といった気になるワードがヒットします。同社への就職を検討している人にとっては、真偽のわからない情報に惑わされることは不安になるものです。
そこで、この記事では、カネ美食品がやばいと言われている理由について解説します。食品業界での実務経験があるキャリアコンサルタントからも、実態に基づいたアドバイスをしているので、参考にしてみてください。
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1分でわかるカネ美食品
カネ美食品とは
1971年に設立された弁当や寿司、おにぎり、惣菜などの製造・販売を主たる業務とする企業。事業は大きく2つに分かれており、「テナント事業」ではスーパーマーケットや百貨店、駅ビルなどに総合惣菜店舗「kanemi」や洋風惣菜店舗「eashion」等を出店し、製造・販売をおこなう。「外販事業」では、コンビニエンスストアの加盟店向けに弁当や惣菜等の製造・納品をおこなう。
| 会社名 | カネ美食品株式会社(Kanemi Co., Ltd.) |
| 従業員数(単体) | 1,121名(2026年2月期) |
| 本社所在地 | 愛知県名古屋市 |
| おもな事業 | 寿司・揚物・惣菜等の小売店舗の展開、CVS弁当の製造・納品 |
| 売上高 | 866億5,353万3,000円(前年同期比4.2%減)(2026年2月期) |
| 経常利益 | 28億7,821万9,000円(同7.4%減)(同期間) |
| 企業HP | https://www.kanemi-foods.co.jp/ |
| 新卒採用HP | https://www.kanemi-foods.co.jp/recruit/guidelines/newgraduate/#page_contents |
「カネ美食品がやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「カネ美食品がやばい」と言われる4つの理由
カネ美食品がやばいと言われる理由はおもに4つあります。それぞれの理由について、キャリアコンサルタントとともに実態を解説します。具体的なデータや事実を元に、正しい企業の姿を理解していきましょう。
①人手不足で長時間労働となるから
カネ美食品の主力である惣菜事業は、人手を必要とする労働集約型産業であり、他業界よりも人手不足となる傾向にあります。また、退職による人手不足が起きやすいため、人手が足りていないという認識をされている可能性があります。
労働集約型産業
商品を生産したり、サービスを提供したりするなかで、ITシステムや機械と比較して人間の労働力への依存度が高い産業のこと。人の手による作業が欠かせない仕事を表す。
また、詳細な残業時間は公表されていませんが、各工場では365日、24時間の稼働をおこなっています。そのために従業員は長く働かなければいけないというイメージがあって、長時間労働の噂になっていると予測できます。
企業としては、従業員の服装や髪色の指定を緩和させることで採用率や定着率の向上を図ったり、入荷作業をシステム化することで作業の軽減を実現させたりといった取り組みをしています。直面している課題に対して、改善策を実行している企業と言えるでしょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!人手不足で激務になる? カネ美食品の働きやすさを守る現場の裏側
カネ美食品は惣菜や弁当などを製造・販売する労働集約型の事業を展開しているため、今後も人手不足の影響を受ける可能性はあります。
特に食品業界全体では、少子高齢化による労働力人口の減少や採用競争の激化が続いており、人材確保は重要な経営課題の一つと言えるでしょう。
一方で、同社が直ちに労働環境の悪化に直面するとは限りません。近年は身だしなみ基準の見直しや業務のシステム化などを進め、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
こうした施策は、多様な人材の確保や現場負担の軽減につながるものと考えられます。
人手不足への対策が必要! カネ美食品の生産性向上と働き方改革の未来
今後は、AIや自動化技術の活用による省人化がさらに重要になるでしょう。
食品製造は人の手が必要な工程も多いため完全な自動化は容易ではありませんが、生産性向上と労働環境改善を両立できれば、人手不足への対応力を高めることが期待できます。
したがって、カネ美食品の将来を考える際には、「人手不足のリスクがあるか」だけでなく、「その課題に対してどのような対策を講じているか」を見ることが重要です。
現時点では課題を認識し、改善に向けた取り組みを進めている企業として評価できるでしょう。
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②物価高の影響を受けているから
世界的な資源価格の高騰により原材料費が上昇し、また物流費やエネルギーコスト、人手不足による労働コストの増加も起こっています(※1)。特に米価の急上昇は、カネ美食品の主製品である弁当やおにぎりなどに大きく影響を及ぼしています(※2)。
また、物価高の上昇により消費者の生活防衛意識が高まっており、価格を上げることで消費者の購買意欲を下げてしまいかねないという課題にも直面しています。
テナント事業では、スペックの変更や価格改定をおこなったことで、一定の売上総利益水準を確保することに成功しています(※2)。
また、外販事業では、初動の遅れで売上総利益が一時的に圧迫されましたが、納価の見直しや納品量の確保、原材料の共同仕入れなどの改善策を実行しています(※2)。
業界的な逆風を受けるなかでも、企業努力を重ねて、難しい状況を乗り越えようとしていると言えます。
※1 カネ美食品 有価証券報告書 2026年2月期
※2 カネ美食品 有価証券報告書 2025年2月期
アドバイザーのリアル・アドバイス!物価高の状況下でコストを押さえるカネ美食品の取り組み
カネ美食品が今後業績を伸ばしていける見込みがあるかどうかは、物価高そのものより、コスト上昇を価格や商品設計、調達改善でどこまで吸収できるかがより大きな要因になるかと思います。
食品業界では、原材料費や物流費が上がっても、すぐにそのまま価格へ転嫁できるわけでもありません。そのなかで同社は、価格改定だけでなく、スペック変更や共同仕入れ、価格見直しなど複数の手を打っています。
業界に吹く逆風を乗り越える強みを持った会社である
就活生としては、「厳しい業界だから不安」と見るだけでなく、その逆風にどう対応し変化している会社かを見ることがより大切です。
カネ美食品は楽観できる状況ではないものの、惣菜需要という生活に近い強みも持ち合わせており、改善策も具体的に展開されています。
大きく伸びるどうかは別として、環境変化に合わせて、立て直しながら着実に進む力はある企業だと考えられます。
③赤字で工場を閉鎖しているから
カネ美食品は外販事業の収益回復と生産性向上に向けて、生産拠点である各工場の閉鎖に踏み切っています。おもな事例として、2018年に津工場と三田工場(※1)、2019年に秋田工場(※2)、2021年には新潟工場(※3)といった複数の工場を閉めています。
カネ美食品が閉鎖したおもな工場
- 2018年3月 津工場:外販事業の生産性改善のため
- 2018年7月 三田工場:外販事業の生産性改善のため
- 2019年6月 秋田工場:製造の非効率さや配送コストの面から
- 2021年3月 新潟工場:生産効率向上のため
同社では収益性の見込めない工場が確認されており、2019年2月期の決算では、外販事業の一部工場での収益性低下によって、13億6,900万円もの減損損失が記録されています(※2)。そのため、収益性向上を目的に複数の工場の閉鎖を実行しました。
一時的な損失は大きかったものの、生産効率向上を目指した不採算工場の閉鎖や工場再編などの取り組みは、結果的に外販事業の黒字転換につなげることができたと報告されています(※3)。業績回復のためのリスクを取った戦略的判断だと分析できます。
※1 カネ美食品 有価証券報告書 2018年3月期
※2 カネ美食品 有価証券報告書 2019月2月期
※3 カネ美食品 有価証券報告書 2022月2月期
アドバイザーのリアル・アドバイス!今後も工場の閉鎖はある? 就活生が知っておくべき企業の見通し
カネ美食品において、将来的に工場閉鎖がおこなわれる可能性を完全に否定することはできませんが、就活生が過度に不安視する必要はないでしょう。
同社では2018年から2021年にかけて複数の工場閉鎖が実施されましたが、これは経営危機によるものではなく、生産体制の効率化や配送網の見直しを目的とした事業再編の一環でした。
結果として収益改善にもつながっており、経営基盤の強化を目指した施策と考えられます。もちろん、今後も市場環境や需要の変化によって生産拠点の統廃合が行われる可能性はあります。
そのため、勤務地変更や配置転換の可能性は理解しておくべきでしょう。
業界的な安定性はある! 企業の変化への対応力を見極めよう
一方で、食品業界は景気変動の影響を受けにくく、同社も大手コンビニや量販店との安定した取引基盤を持っています。そのため、現時点で工場閉鎖のリスクが特別高い企業と考える必要はありません。
工場閉鎖の有無だけではなく、企業が環境変化にどう対応しているかに注目することが重要です。
カネ美食品は必要に応じて生産体制を見直しながら競争力の維持を図っており、その柔軟な経営姿勢は今後の安定的な事業運営につながると考えられます。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
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自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
④PPIHの子会社となって方針が変わったから
カネ美食品と株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は業務提携を結んでいましたが、2025年8月20日にカネ美食品が自己株式を取得、PPIHの議決権所有割合が40.3%に増加したことで、カネ美食品はPPIHの連結子会社となりました(※)。
子会社となることで、既存の経営スタイルが変わってしまうのではないかと懸念を抱く人もいるのではないでしょうか。
ただ、PPIHが発表した中期経営計画では、「惣菜カテゴリーの強化」が打ち出されており、カネ美食品が惣菜専門会社として培ってきた強みに対して大きな期待が寄せられていることがわかります。
また、PPIHグループの企業(ユニーやドン・キホーテなど)へのカネ美食品の納品金額が伸びており、2社が合わさることによるシナジー効果が見られます。
そのため、経営方針が大きく変わるというよりは、既存の強みを活かしつつ、新たな成長を目指しているととらえることができます。
アドバイザーのリアル・アドバイス!PPIHによる戦略や事例から読み解くカネ美食品の展望
親会社の方針転換がもたらす体制変更の有無については、グループ全体の成長戦略と具体的な協業事例から実態をとらえる必要があります。
公表された有価証券報告書に基づくと、同社はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の連結子会社となり、売上高の5割以上をグループ向けが占める構造にあります。
日本経済新聞等の報道によれば、PPIHは近年「食品強化型ドン・キホーテ」の本格展開を表明しており、その中核として同社の惣菜製造ノウハウに強い期待を寄せています。
実際に、PPIHと連携した食品強化型の新業態「ロビン・フッド」向けへの惣菜供給が開始されるなど、従来の経営方針の否定ではなく、グループのインフラを活用し
た攻めの事業拡大へと舵が切られている実態が示されています。
不安を持つよりも子会社化をチャンスととらえよう
就活生に必要なことは、子会社化による環境変化への漠然とした不安を持つことではありません。
親会社の強力な店舗網や生鮮調達力をレバレッジに、惣菜専門会社としてどのような「シナジー創出と新業態開発」にかかわれるかというポジティブな構造変化に注目する視点が重要です。
事実の背景まで把握することで正しく企業を読み解こう
カネ美食品に対する「人手不足」「業績悪化」といった話を聞いて、その情報だけで判断をすることは、企業を誤認することにつながります。
業界がどのような状況にあるのか、企業がどのような状態で施策を実行したのかなど、情報の裏側にある部分まで知ったうえで、実態を読み解いていきましょう。
アドバイザーからあなたにエール現場を楽しむことがコツ! リアルな仕事像と必要なマインド
カネ美食品に向いている人は、現場に近い仕事を前向きに考えられる人だと思います。
惣菜や弁当の事業は、景気に左右されにくい一方で、人の手や現場運営に支えられる部分が大きく、地道な改善やチームでの連携やコミュニケーションが欠かせません。
そのため、華やかな仕事を求める人より、日々のオペレーションを着実に回し、消
費者の生活を支える実感にやりがいを持てる人のほうに適性があると思います。
受け身の姿勢はNG? 入社後に後悔しないための適性チェック
また、労働集約型の事業である以上、人手やコストに関する改善課題に終わりはないため、変化に応じて常に現場を良くしていこうとする姿勢や、職場への貢献心があるということもとても大切になると思います。
一方で、最初から整った環境を求める人や、現場の忙しさやコミュニケーションを避けたい人、ルーティンの中で自分から工夫することが苦手な人は、ミスマッチを感じやすいかもしれません。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント/国際コーチング連盟(ICF)ACC
Atsushi Ikarashi〇欧州系日本法人の代表取締役。新卒で日本企業に5年、東南アジア現地法人に12年勤務し、帰国後外資企業に就職。経営者視点でキャリア形成の支援をする。MBA(海外)取得済
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント / システムエンジニア
Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている
プロフィール詳細