本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「キヤノンITソリューションズはやばい」
大手キヤノングループの会社ということで人気のある企業ですが、調べてみると「やばい」という話が出てきて心配になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、キヤノンITソリューションズがやばいと言われる理由について紹介していきます。そのうえで、就活のプロであるキャリアコンサルタントから、情報の読み解き方を解説するので、企業の実態を見ていきましょう。
1分でわかるキヤノンITソリューションズ
キヤノンITソリューションズとは
キヤノンマーケティングジャパンの完全子会社。おもに大手・中堅企業向けに、業種や業態ごとの経営課題を解決するためのあらゆるITソリューションを提供。ソフトウェア開発やシステムの運用受託なども手掛ける、エンタープライズ事業の中核を担う企業。
| 会社名 | キヤノンITソリューションズ株式会社( Canon IT Solutions Inc.) |
| 従業員数(連結) | 4,258名(2025年12月31日現在) |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| 主な事業 | ・製造ソリューション事業 ・流通ソリューション事業 ・文教ソリューション事業 ・金融ソリューション事業 ・クロスインダストリーソリューション事業/ITプラットフォーム・データセンター事業 |
| 売上高(連結) | 1,471億7,300万円(前年同期比5.46%増)(2025年12月期) |
| 経常利益(同) | 161億6,900万円(同8.73%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.canon-its.co.jp/ |
| 採用HP | https://www.i-note.jp/canon-its/contents/index.html |
「キヤノンITソリューションズがやばい」と言われる4つの理由|プロが読み解く
「キヤノンITソリューションズがやばい」と言われる4つの理由
キヤノンITソリューションズがやばいと言われる5つの理由を解説します。具体的な数値やデータを用いながら、IT業界に詳しいキャリアコンサルタントの解説を参考にして、噂の実態を読み解いていきましょう。
①給与が上がりづらいから
口コミサイト等では給与がなかなか上がらないという意見が見られます。
まず、キヤノンITソリューションズの平均勤続年数は13.4年(2024年度)(※1)と出ており、情報通信業界の平均11.9年(※2)よりも長いです。
そして、同企業の平均年収は782万(2025年)(※3)となっており、情報通信業界の平均年収の約659万円(※4)のため、比較的高い給与水準です。
平均勤続年数が平均よりやや長く、また平均年収は高いことから、短期に一気に稼ぎたいと思う人にとっては給与があがりにくく感じるものの、長期的な視点で高収入を得たい人には適した仕組みである可能性が考えられます。
※1 キヤノンITソリューションズ 健康経営
※2 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
※3 データとキーワードでみるキヤノンITソリューションズ
※4 厚労省 毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報
プロのアドバイザーはこう分析!業務の変化や責任が重くなるときが給与アップの兆しである
キヤノンITソリューションズのような企業で給与が大きく動きやすいのは、一般に案件をこなした数そのものより、役割や期待が変わるタイミングだと思います。
たとえば、開発メンバーとして実装を担う役割から、要件定義や顧客折衝、設計の主担当を任される段階へ進んだときです。
また、あるいはチームをまとめるリーダー的立場や組織上の管理職、専門性の高い役割などを担うようになったときは、評価や処遇が上りやすくなります。
大器晩成型がマッチしている! 会社の仕組みを理解しよう
一方で、同社は平均勤続年数が比較的長く、平均年収も業界水準を上回っていることから、短期間で急激に上がるというよりは、経験と役割の積み上げに応じて中長期で伸びていく会社と見るほうが自然です。
したがって、早い段階で一気に年収を伸ばしたい人には物足りなく映る可能性がありますが、安定した基盤のもとで着実に処遇を高めていきたい人には、比較的納得感を持ちやすい仕組みだと考えられます。
まずは、どのような仕組みになっているのかという視点で人事処遇制度などをしっかり見ていくことが大切ですね。
➁案件によって残業が増えるから
キヤノンITソリューションズはSIer企業であるため、客先に出向いて働く機会があることが特徴です。そのため、働く先の環境も多様にあると考えられます。
各事業の労働環境は公表されていませんが、一般的には、金融系の客先常駐では個人情報や資産データ等を多く取り扱うためリモートがしづらかったりすることが挙げられます。
キヤノンITソリューションズの取引業界(※1)
化学業界、鉄鋼業界、機械・メーカー業界、食品業界、流通小売業、商社・物流、不動産関連業、建設工事業、IT・メディア業、金融業など
全体的に見ると、同社の平均残業時間は19.2時間(2025年度)(※2)のため、情報通信業界の平均16.5時間(※3)と比較すると、若干の忙しさを感じます。
ただ、配属先で顧客となる業界や、アサインされる時期によって残業時間に変動があることは、入社前に認識しておきましょう。
※1 キヤノンITソリューションズ ソリューション・サービス
※2 データとキーワードでみるキヤノンITソリューションズ
※3 厚労省「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」
アドバイザーからワンポイントアドバイス配属先や案件によって労働環境はまったく異なる
私の前職であるSIer企業を含むSIer業界全般の傾向から言えば、配属先・アサインされる案件によって働き方に大きな差が出ます。
たとえば、前職の企業では、金融業の顧客の案件にアサインされていた人は機密保持のため、プロジェクトメンバー以外は立入禁止という厳重なセキュリティが敷かれた専用ルームでのフル出社、箱詰め状態で勤務していました。
一方で、私の案件ではリモート勤務が主で、コミュニケーション促進を目的とした週1の出社がある程度でした。顧客の業界や情報管理の厳しさによって変わります。平均残業時間の19.2時間も、案件によってかなりの差があり得ます。
また、毎月このくらいの残業時間というより、納期が迫っている月(3~6か月に一度など)に残業時間が多くなるということも多いです。
企業に実情を確認してイメージをつけておこう
説明会やOB・OG訪問では「担当する業界や案件によって、具体的にどのような働き方の差があるのか」を遠慮せずに確認しておくと、具体的なイメージがつくと思います。
③エンジニアが不足しているから
日本国内では慢性的なエンジニア不足の状況が続いていることから、キヤノンITソリューションズに対しても同じような懸念を抱く人もいるのではないでしょうか。
ただ、同社の従業員数は2019年度以降増え続けており、取り立てて人材不足であるとはいえません(※1)。

また、離職率は2.59%(2025年実績)(※)となっており、情報通信業界の平均が9.80%(※3)であることをふまえると、人材確保はできているととらえることができます。
業界的にエンジニア人材の育成に苦戦しているなかでも、従業員数を拡大できているという事実は、企業を見極める一つの基準として考えられるでしょう。
※1 キヤノンITソリューションズ 有価証券報告書
※2 データとキーワードでみるキヤノンITソリューションズ
※3 厚労省 令和6年雇用動向調査結果の概況
プロのアドバイザーはこう分析!キヤノンITソリューションズは理系人材を惹き付ける魅力がある
キヤノンITソリューションズが、エンジニアを惹きつけ、かつ離職率2.59%という定着率を維持しているのは、キヤノンのブランド力や福利厚生が充実しているからだけではありません。
理系人材にとっての大きな魅力は、この会社が持つ技術力にあります。たとえば、数理最適化技術を用いた複雑なアルゴリズム開発や、キヤノン独自のローコード開発ツール「WebPerformer」など、自社でプラットフォームそのものを創り出せる力があるからです。
理系人材にとっては、自分の腕を試してみたくなる場所なのではないでしょうか。
社会的意義のあるエンジニアになることができる
また、大手企業の基幹システムを開発しているのも魅力に映るでしょう。企業のインフラを支えることは、そのまま社会貢献にもつながるからです。
自分たちの実力が試され、そして基幹システムの開発によって社会から必要とされていると実感できるのは、エンジニア冥利に尽きるでしょう。
文系出身者にもプリンターで馴染みがあり社会的知名度も高いので、働くうえでの安心感があるのも、人材を惹きつける大きな要素になっていると思います。
④身に付くスキルが限定的だから
キヤノンITソリューションズは上流工程から下流工程まで一貫しておこなうIT企業です。しかし、募集職種を見てみると、ポジションによって担当する業務領域が異なることがわかります。
そのため、職種ごとに身につくスキルが決まっており、限定的にしか能力が養われない可能性が考えられます(※1)。
そのため、フルスタックエンジニアのようになりたい人からすると、学べる技術の幅にギャップを感じることがあるのかもしれません。
フルスタックエンジニア
ITの開発において、フロントエンドからバックエンドまで、開発で必要となるすべての工程を1人でおこなうことができるスキルを持ったエンジニア
ただ、同社は社員のスキル向上に向けて受講無料のeラーニングコンテンツや、事業部独自の部門内教育、外部研修等を設けています(※2)。明確に身につけたい技術が決まっている人にとっては十分な成長環境といえるでしょう。
※1 キヤノンITソリューションズ 募集要項
※2 キヤノンITソリューションズ 人材育成
アドバイザーからワンポイントアドバイスまずは特定のスキルを身に付けることから始めよう
キヤノンITソリューションズでフルスタックに近い形で幅広く経験を積める可能性はありますが、最初から理想通りにフロントエンドからバックエンド、インフラまで一気通貫で担えるとは考えないほうが自然です。
同社は職種ごとに担当領域が分かれており、まずは、配属先で求められる役割のなかで専門性を深めていく色合いが強いと見られます。そのため、最短で幅広い技術を横断したい人には、やや物足りなさを感じるかもしれません。
中長期的にエンジニアとしての得意領域を広げていこう
一方で、大手SIerでは基礎を固めながら上流から下流までの流れを理解し、異動や案件変更、自己研鑽を通じて徐々に守備範囲を広げていく成長の仕方が自然だと思います。
したがって、専門的に力をつけていく人しか向いていないというより、まずは一つの強みをつくり、そのうえで中長期的に領域を広げていける人に向いている会社と考えると良いと思います。
まずはどのようなキャリアパスが多いのか、という視点で確認していくことも大切ですね。
キヤノンの基盤のうえで安心して働ける
キヤノンITソリューションズはキヤノンのグループに属していることで、従業員が働きやすい環境が整えられていることがわかりました。
また、大手企業のため、職種選択が幅広く、ある程度長く働いていくことも想定されるため、自分自身の歩みたいキャリアと照らし合わせて考えましょう。
アドバイザーのリアル・アドバイス!IT人材として働くには適性が求められる
キヤノンITソリューションズのような技術志向の強い会社は、派手なタイプよりコツコツと研究に打ち込んできた、粘り強くて論理的思考ができる人を非常に好みます。
技術開発はそう簡単にできるものではありません。試行錯誤しながら諦めずにやり抜く力が必要です。
感情を優先させるタイプ、あるいはなんとなくで動く人は、こうした技術者集団の中で生き残ることは難しいでしょう。
楽して安定はない! 課題に立ち向かう姿勢が求められる
この会社の定着率の高さは、楽な職場環境だからではありません。切磋琢磨して開発に全精力を傾けられることを楽しめているからです。
また、文系出身者であっても、物事を追求する姿勢が必要なのは言うまでもありません。単に安心や安定を求めるよりも、難易度の高い問題解決に意欲的になれる人。そうした人たちが、この会社を支えています。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント / システムエンジニア
Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント
Takuya Takahashi〇人材系スタートアップ企業で採用支援・D&I推進に従事。その後、SIer企業でエンジニア兼研修講師として新人育成に参画。現在はNPOで若者の居場所支援やケアに取り組む
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細