本企画について
「噂や評判に、プロの確実な視点を。」をテーマに企業選びや意思決定の支援をする企画です。漠然とした不安には「確度の高い事実」を、意思決定には「キャリアの専門家による視点」を提供することを目指します。
「IT派遣は将来性が不安」「給料・年収が低い」
そのような情報が、テクノプロに関する口コミとしてネット上に現れることがあります。しかし、ネットやSNSには信用の置ける内容からそうでないものまで、さまざまな情報が飛び交っています。単なる噂話に過ぎないのか、本当の内容なのか、情報の見極めが大切です。
この記事では、テクノプロへの就職を検討している人に向けて、できるだけ客観的なデータに基づく同社の実態を紹介します。「やばい」「やめとけ」といわれる理由や、入社の判断の仕方についても、プロの意見を交えながら解説していきます。
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1分でわかるテクノプロ
テクノプロとは
テクノプロ・グループは、日本最大級の技術系人材サービスグループ。IT関係や機械、自動車、バイオ、医薬、建築など幅広い分野に技術者派遣や請負・受託、技術コンサルティングなどのサービスを提供し、顧客企業は2,700社以上に上る。
2006年にジャパン・ユニバーサル・ホールディングス・アルファとして設立され、2012年に商号を「テクノプロ・ホールディングス」に変更したうえで、旧グッドウィル・グループから技術者派遣・請負事業を譲り受ける。2014年に東証1部上場。2025年9月に外資系投資運用会社ブラックストーンによる買収が成立し、同12月に上場廃止となった。
| 会社名 | テクノプロ・ホールディングス株式会社(TechnoPro Holdings,Inc.) |
| 従業員数(連結) | 30,649人(2025年6月末時点) |
| 本社所在地 | 東京都港区 |
| おもな事業 | 自動車や電子機器、半導体、医薬品、化学などの大手企業の研究開発(Research&Development)を担う技術者人材の派遣や業務請負を主体とする「R&Dアウトソーシング事業」、大手ゼネコンをはじめとする建設・土木業界が対象の「施工管理アウトソーシング事業」、人材紹介や技術系教育研修事業をおこなう「その他事業」などを展開。R&Dアウトソーシング事業が売上全体の約8割を占める。 |
| 売上高(連結) | 2,389億6,600万円(前年同期比9%増)(2025年6月期) |
| 経常利益(同) | 238億4,400万円(同8.8%増)(同期間) |
| 企業HP | https://www.technoproholdings.com |
| 新卒採用HP | https://www.technoproholdings.com/recruit |
「テクノプロはやばい」と言われる5つの理由|プロが読み解く
「テクノプロはやばい」と言われる5つの理由
「テクノプロはやばい」と言われる理由を客観的なデータに基づき解説します。キャリアコンサルタントの説明を参考に、企業の実態を正しく把握し、自分との相性をチェックしてみてください。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
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①IT技術者派遣の将来性が不安だから
主力のR&Dアウトソーシング事業では、多くの産業がDXを推進するのに伴い、IT技術者ニーズが高まっています。一方で、生成AI(人工知能)の進化により「エンジニアの仕事をAIが代替する」といった噂が広まり、一部にIT技術者派遣事業の将来性を不安視する人がいます。
日本におけるIT技術者不足は深刻で、一部では「2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する」と言われています。しかし、数字の根拠は、生成AIが急速に進化する前の2019年に経産省が公表した調査(※)に基づくものでした。
最近では、同調査の中位シナリオである約45万人を不足人数とする意見が多く見られますが、数十万人単位の不足に変わりはなく、将来的なIT技術者ニーズはさらに高まると考えられます。
一方で技術者獲得競争が激化するため、いかに有能な技術者を惹きつけ、採用力を強化し、技術者の育成強化を図るかが会社の将来性のカギを握っています。
プロのアドバイザーはこう分析!エンジニアを成長させるための3つの仕組みづくり
テクノプロは、エンジニアの育成と定着に向けた複数の取り組みを進めています。
1つ目は、変化の激しいIT業界に対応するためのリスキリング支援です。AIやクラウドなど新しい技術を学べる研修や教育インフラを整備し、市場環境の変化に対応できる人材の育成を進めている点です。
2つ目は、スキルや成果に応じた評価・処遇の改善です。技術者不足が続くなかでは、優秀なエンジニアを採用するだけでなく、定着してもらうことも企業の重要な課題となっています。
3つ目は、キャリア支援体制の充実です。技術者が将来のキャリアを描きやすい環境を整えることで、長期的な成長につなげようとしている点も挙げられます。
社員を守ることこそテクノプロの経営における重要指標
技術者派遣会社にとって最も重要な経営資源は人材です。そのため、教育や処遇、キャリア支援への投資は福利厚生ではなく、企業競争力を高めるための重要な経営戦略と言えるでしょう。
②上場が廃止されたから
テクノプロ・ホールディングスは2025年12月に上場を廃止しました(※1)。しかし、ガバナンスや業績に問題があったわけではありません。成長戦略として、世界的な投資運用会社であるブラックストーンの買収提案を受け入れた前向きな上場廃止です。
テクノプロは過去10年間で、IT技術者の比率を38%から58%に引き上げました(※2)。携帯電話やカーナビなど製品開発の盛衰に伴う需要変化に先行し、必要とされるエンジニア育成を実現してきたわけです。
しかし、今後予想される、より大きな需要変化に対応していくためには、さらに大胆な対応が求められます。
そこで、強力な先行投資によりエンジニアの成長とキャリアサポートを拡充しつつ、採用強化と人材確保を図る必要もあります。投資会社の資金力を取り込み、なおかつ短期的利益を求める株主の圧力を避けるため上場廃止し、構造改革を断行する考えです(※3)。
※1 同社HP新着情報
※2 同社HP決算説明会資料2025年6月期第3四半期(P1)
※3 同社HPテクノプロ・グループ非公開化に向けた方針について
プロのアドバイザーはこう分析!上場廃止は攻めの戦略! AIを強力な事業基盤にする狙いがある
非公開化の真意は退避ではなく、攻めの再設計にあると見ています。
短期的な株式市場の視線から離れ、中長期の成長に必要な投資と意思決定を機動的に進めるために、テクノプロは、2025年12月の上場廃止後、2026年7月にアンソロピックのClaude Enterpriseの全面導入を決めたのはそのためです。
技術系人材サービスにおいて競争力の源泉は、採用・育成・配置・提案の「質とスピード」にあります。
同社が掲げるライセンス契約の狙いは、AIを単なる業務効率化ツールではなく、営業からデリバリー、採用、経営戦略まで各プロセスに組み込み、現場の生産性と提案力を底上げする経営インフラとすることにあると言えるでしょう。
テクノプロのAI実装は武器になるか? 問われる数字と現場への浸透度
非公開化という舵切りと、最先端AIの実装という二つが噛み合えば、エンジニアの成長支援と事業拡大は加速します。
ただし、現時点では契約締結の発表段階であり、成果は今後の実行に委ねられます。話題性にとどまらず、実務への浸透度と数字での成果提示が問われるフェーズが始まっています。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう
就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
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自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
③年収が高くないから
上場廃止前の最後の有価証券報告書によれば、テクノプロ・ホールディングスの平均年間給与額は638万5,000円(平均年齢45.0歳/平均勤続年数15.3年)で、給料は高いほうです。しかし、これは持ち株会社に所属するわずか186人の社員の平均値です。
そこで、連結決算データから、グループ従業員の給与手当と賞与の総額を合算し、従業員数で割り平均年収額を試算すると、443万3,032円となりました(※1)。
日本の「学術研究・専門技術サービス業」の平均年収が440万3,000円(※2)のため、ほぼ平均的な水準です。同社の給料や年収は、同種の産業で比較した場合、安いわけではなくほぼ平均値だと言えます。
※1 同社HP 有価証券報告書2025年6月期(P109)
※2 厚労省 「令和7年賃金構造基本統計調査」
アドバイザーのリアル・アドバイス!平均443万円のテクノプロから考えるキャリアの考え方
エンジニアに対して「年収1,000万円が目指せる仕事」というイメージがある人も多いのではないでしょうか。そのようなイメージからすると、443万円は低く感じるかもしれません。
本文で紹介している通り、テクノプロの収入は平均的です。しかし、中堅・上級レベルのエンジニアは、より高い報酬の職場もあります。そのため、今後にキャリアアップを考えているのであれば、キャリアチェンジを考えるのもおすすめです。
年収だけで判断せずに働き方との適性も含めて考えよう
ただし、テクノプロであっても上級レベルのエンジニアは活躍しています。さらに、より報酬が高く責任感のある仕事を紹介してもらえる可能性もあります。
報酬だけが理由で職場を変えることを考えるのではなく、客先常駐という働き方が合っているかなども大事になります。報酬だけでなく働き方やキャリアについて考えて志望動機を整理すると、面接でも高評価が得られますよ。
④若くして退職する人が多いから
テクノプロのような人材派遣事業者にとって、社員数は収益の源泉であり重要な指標です。その伸率の推移を、2022年6月期から2025年6月期まで見てみると、やや伸び悩んでいます(※1)。
| 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|
| 社員数(前年比) | 24,596人(113.4%) | 27,003人(109.8%) | 28,746人(106.4%) | 30,649人(106.6%) |
伸び悩みには「採用は好調ながらも退職の増加」(※2)が影響しているとされています。正社員技術者退職率は上昇気味で、2025年6月期には9.8%となっています(※3)。同社では退職率7.5%以下を目標に掲げていますが、カギを握るのは若手の退職者数です。
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 採用者数 | 1,528人 | 4,132人 | 4,597人 | 4,897人 | 5,370人 |
| うち技術者 | 1,450人 | 3,830人 | 4,314人 | 4,575人 | 5,028人 |
| 正社員技術者退職率(%) | 8.4% | 7.7% | 7.7% | 9.1% | 9.8% |
同社によれば「退職者の5割弱は20代」(※4)とのことで、新卒のみを対象とする特別昇給など(※5)による若年層の引き留めに取り組んでいるところです。若くして退職する人が多いのは事実ですが、会社としてもこれを課題と見ており、今後も若年層が魅力を感じる施策が打たれる可能性はあります。
※1 同社HP 有価証券報告書2025年6月期(P2)
※2 同社HP 決算説明会資料2025年6月期第3四半期(P10)
※3 同社HP ESGデータブック
※4 同社HP 決算説明会資料2025年6月期第3四半期(P12)
※5 同社HP 決算説明会資料2025年6月期第3四半期(P3)
プロのアドバイザーはこう分析!客先常駐の構造に隠された若手が離職する理由
20代の離職が目立つ企業に共通するのは、採用後の「放置構造」の傾向です。期待と現実のミスマッチ、不透明な評価制度、そして客先常駐特有の孤立感などが挙げられます。
若手が求めているのは、「この会社で自分は市場価値を高められるか」という成長実感(キャリア安全性)です。
大手の技術系人材サービス企業であっても、採用に力を注ぐ一方で定着支援が後手に回れば、若手は見切りを深めやすくなります。教育が現場任せになり、キャリアの道筋が見えない環境では、いくら人を採っても辞めていきます。
入社後1年に表れる企業の覚悟! 離職を防ぐ支援体制の作り方
実務の現場を見てきて痛感するのは、離職の本質は「採用・育成・配置・面談・処遇」を分断させず、一気通貫で機能させられているかという点です。
その企業が若手を育てる覚悟を持っているか、キャリア安全性を担保しているかどうかが、入社後1年間の支援体制に表れます。
あなたが受けないほうがいい職業を知っておこう
就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。
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早いうちに自分に合う職業・合わない職業を知って、就活を成功させましょう。
⑤会社側のマージン率が高いから
人材派遣事業者は、派遣元として派遣料金からマージン分を差し引き、派遣労働者の賃金に充てます。マージン分は派遣労働者の社会保険料や福利厚生費、教育・研修費、営業活動費、派遣元の利益の原資となるため、単純にマージン率が低いのが良く高いのは悪いとは言えません。
それでも給料に影響するマージン率が気になる人もいるでしょう。無期雇用の人材派遣事業をおこなうテクノプログループの、中核企業であるテクノプロの各支店のマージン率を見ると40%台が多く、最高は仙台支店の49.3%で最低は広島支店の37.3%です(※1)。
| 札幌 | 仙台 | 新宿 | 埼玉 | 松本 | 静岡 | 名古屋 | 大阪 | 広島 | 九州 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 38.9% | 49.3% | 44.3% | 42.4% | 40.6% | 43.6% | 40.5% | 39.6% | 37.3% | 38.4% |
派遣労働者に関する派遣料金と派遣労働者賃金のデータから計算したところ、全業務(無期雇用)の平均のマージン率は36.5%、「情報処理・通信技術者」(無期雇用)の平均は39.1%です(※2)。テクノプロのマージン率は、全業務の平均値より高いものの、教育・研修費用が多くかかる同職種のなかでは、やや高い程度と見なせます。
※1 ㈱テクノプロHPコンプライアンス・CSR
※2 厚労省「令和6年労働者派遣事業報告書」(P7・P9)
プロのアドバイザーはこう分析!マージンが高い=搾取は誤解! エンジニアの安定と成長を支えている
テクノプロのマージン率は市場平均を上回る水準ですが、これは同社の事業構造を反映した適正な範囲内であると評価できます。
一般的にマージン率の高さは労働者への還元率の低さと誤解されがちです。しかし、無期雇用派遣を主軸とする同社では、待機期間中の給与保障が必要です。それに加え、独自の教育インフラやリスキリングへの巨額の投資もしています。
さらには、社会保険料の事業者負担といった手厚い必要経費がその内訳を占めています。そのため、単純な利益の搾取ではなく、技術者の雇用安定とスキルアップを支える必要経費として解釈するのが妥当です。
現場への還元に着目! 企業の持続的成長を測る真の評価基準
今後は、この高いマージン率を原資とした教育や待遇改善の施策に注目すべきです。
これらの取り組みが、技術者の成長や処遇の改善、離職率の低下といった形で現場へ還元されているかが重要です。その実効性こそが、同社の持続的な成長性を見極める真の評価基準です。
激変する業界に挑戦できるかでどうかで企業を選ぼう
IT技術者がますます求められる世界になっていくのは間違いありません。しかし、クラウドの台頭やAIの進化により、積み重ねた知識や体験の価値が急落するリスクもあるようです。
想像以上の速度で変化するテクノロジーに対して、ついていくだけの努力をし続ける覚悟と勇気が自分のなかにあるかどうかが問われます。
アドバイザーのリアル・アドバイス!大手企業とかかわれることでキャリアアップの後押しにもなる
派遣先の企業としては、実績がある大手の企業に仕事を依頼したくなるものです。
そのため、テクノプロのような知名度がある企業に就職することで、新卒で入社が難しい大手企業で働けるチャンスもあります。大手の経験があれば、今後のキャリアアップにもつながりやすいという点ではメリットが大きいです。
デメリットの裏にある安心感と後悔しないための企業選び
一方で、大手企業ということもあり、配属される企業は希望通りにならないケースもあります。そのため、希望するキャリアが明確な人には、ミスマッチの可能性がゼロでないことはデメリットです。
ただし、「嫌がる仕事・将来につながらない仕事」などを無理に紹介されることはないと言われています。
未経験からエンジニアを目指すのであれば、どの職場でもキャリアアップにつながるはずです。メリットとデメリットのバランスを考えたうえで、応募・内定承諾を考えましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi






3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
2級キャリアコンサルティング技能士/全国経理教育協会 社会人常識マナー検定2級
Tomohiro Morita〇理系大学院修了後に企業で勤務。その後、キャリア支援・セミナー講師・文章制作などマルチに活躍。就職・転職に関する情報整理や書類作成、意思決定支援をおこなう
プロフィール詳細国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
Yuichi Hirano〇主体的なキャリア形成にて代表取締役を務める。福商実務研修講座にて講師を担当するほか、人材サービス会社などで実践を重ねる。18年間で1万人以上の面談実績あり
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
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