粘り強く頑張れた過去の経験から、自己PRで諦めない力をアピールしたいと考えている人もいるでしょう。
今後社会人として初めての挑戦や課題に取り組むことを考えると、諦めない力は企業からも入社後の姿を想定しやすい強みともいえます。しかし諦めない力は、伝え方によっては力のレベルがどのくらいあるのかが相手に伝わらず、説得力のない自己PRになってしまう可能性もあるのです。
この記事ではキャリアアドバイザーの平井さん、瀧本さん、降幡さんとともに、諦めない力の自己PRの作り方について徹底解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
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諦めない力を自己PRするときはエピソードの説得力が重要
諦めない力は、学業だけでなく社会人生活でも直面する課題に取り組むうえで重要となる力であるため、企業でも高く評価される力の一つです。しかし、諦めない力の捉え方やエピソードの伝え方次第では、魅力的な強みとしてアピールすることが難しいという側面もあります。
そこでまずは、諦めない力の自己PRでやってしまいがちな3つのミスについて解説していきます。自己PRを作成するうえで気を付けておきたい注意点を事前に把握しておきましょう。
次に、諦めない力の自己PRをより魅力的に伝えるためのポイントを3つ解説します。参考にして諦めない力の自己PRに磨きをかけましょう。
最後は、諦めない力の魅力的な自己PRについて、エピソード別に例文を4つ紹介します。参考にして、ほかの人と差をつける自己PRを作成してみてくださいね。
仕事は楽しいことばかりでなく、困難に直面することもあります。そんなときに精神論ではなく、発想や視点を変えたり、誰かに相談したりして困難を突破できたと具体的に伝えることで説得力を出せるため、しっかりと対策しましょう。
伝え方次第では逆効果? 諦めない力の自己PRでありがちな3つのミス
諦めない力は企業で働くうえで評価される強みとなりますが、面接官にその場で証明できないからこそ、強みとしてアピールすることが難しい強みでもあります。
そのため伝え方を間違えてしまうと、自分がどのくらい諦めずに行動できるのかの詳細を相手に理解してもらえず、印象の薄い自己PRになりかねません。
ここでは諦めない力を自己PRするときに見られる3つの失敗について解説します。自己PRを作り始める前に、注意すべきミスについて把握しておきましょう。
①諦めない力を曖昧に捉えている
諦めない力の意味とは、困難な状況や課題に直面しても投げ出すことなく取り組める力のことです。しかし諦めない力と一口に言っても、取り組む困難や課題、取り組み方によっても変化します。
そのため、自分の諦めない力を曖昧に捉えてしまっていると、自己PRを膨らませられなかったり、面接官にも自分の強みとなる諦めない力のレベルが伝えられなかったりしてしまうのです。
それに加え、自分の強みの捉え方が不十分だという印象を与えてしまえば、「自己分析がしっかりできていないのでは?」と疑われる可能性もあります。
自己PRを書く前に、自分の持つ諦めない力とはどんなことに取り組むことなのか、どのように取り組むことで発揮できる力なのかを明確にしておきましょう。
- ほかにも諦めない力の解釈で気を付けておくことはありますか?
諦めが悪いだけだと思われないように結果を伝えよう
「諦めない力」は、その力そのものだけが重要なのではありません。諦めてしまいそうな出来事や困難を乗り越えて、現状打破や目標達成をしたという結果が大切になります。
結果が出ないまま、ただ「諦めない」だけであれば、「諦めが悪い」「頑固」と受け取られかねませんので、アピールする際には注意が必要です。
②エピソードに具体性がない
エピソードの具体性はどの強みをアピールする場合でも必要ですが、諦めない力では特に注意しておきたい点です。
前述の通り、諦めない力とは困難なことや大変なことに直面しても取り組める力のことなので、諦めない力をアピールするには「困難なこと」や「大変なこと」を相手に説明する必要があります。
この際、エピソードに具体性がなく、大変なことの詳細がわからなければ、自分の諦めない力がどの程度あるのかが相手に伝わらず、印象の薄い強みになってしまうのです。
③諦めなかった結果まで伝えていない
極端に言えば、諦めなかった経験だけを伝えても自己PRとしては成立します。しかし、ただ「諦めずに取り組みました」と伝えても、それは自分が強みだと思っていることを一方的にアピールしているだけなので、相手にとって強みが理解しやすい内容とはいえません。
諦めずに取り組んだことがどれだけ大変なことだったとしても、結果や学びまで伝えられなければ、企業にとっては再現性がなく、説得力のない自己PRになってしまうのです。
社会人経験の少ない人は、「頑張ります!」と意欲を伝えるだけに終わることがよくあります。その気持ちは大切ですが、「何をどう頑張るのか」を伝えられないと、企業は評価できません。
そもそも諦めない力とは? 正しい意味と言い換えワードを押さえよう
前述の通り、諦めない力とは取り組んでいることに対し、途中で放棄することなく取り組むことであり、ほかにもさまざまな言葉に言い換えることができます。
ここからは諦めない力の正しい意味を踏まえて、それぞれの言い換えワードについて解説します。自分の持つ諦めない力がどのようなものなのかを改めて考え、諦めない力の伝え方や表現の参考にしてみてくださいね。
忍耐力
忍耐力は、文字通り「耐え忍ぶ力」であり、困難な状況や大変なことにも負けずに向き合える力のことです。
社会人になれば、仕事をするうえで大変なことやつらいことに直面することも多くあるでしょう。そのような状況を乗り越えるためには忍耐力が求められます。
諦めない力を忍耐力として言い換える場合には、困難や大変なことに耐えた結果、どのように状況が好転したのかということや、忍耐力を活かしてどのように行動したのかを明確にすることがポイントです。
ただ耐えただけでなく、その力によって自分なりに行動したり、状況を変えられたりしたことまで伝えることで、今後も自分の意思で発揮できる力としてアピールすることにつながります。
消費者とのかかわりがある接客業、営業、または医療・看護・介護、何度も試行錯誤が必要な商品開発や研究職、決まったルーティンや工程が繰り返される製造業では特に忍耐強さを求められるでしょう。
以下の記事では、自己PRで自分の忍耐力をフルにアピールするための秘訣をキャリアコンサルタントと解説しているため、忍耐力の方が自分の強みに合っていると感じた人はぜひ参考にしてみてください。
例文17選! 「忍耐力」の自己PRで企業に最大限アピールするコツ
粘り強い
粘り強いという言葉には、「根気強く最後までやり通そうとするさま」という意味があります。
何かをやり遂げるうえで、うまくいくこともあればそうではないことも当然あるはずです。そんなときに途中で投げ出すことなく、根気をもって自分に何ができるかを考え試行錯誤できる人は粘り強いといえます。
しかし粘り強さは、伝え方によっては頑固で融通が利かないというイメージを持たれてしまうため注意が必要です。
粘り強さを魅力的に伝えるためには、粘り強く取り組むことの先にある目的を明確にし、その目的のために自分なりに考えて行動できることをアピールしましょう。
ただ何かを突き通すこととして伝えるのではなく、自分なりに試行錯誤できる力として伝えることで、ポジティブな強みとして伝えることができます。
研究開発、プログラミング、エンジニアリング、教育、医療などの分野では、一つの課題に対して長期間集中し、細部に注意を払いながら、目標達成に向けて努力することが求められます。
また、営業やマーケティングでも、信頼関係を築くための取り組みや、目標達成に向けた努力は長期的に必要となるため、粘り強さが特に求められるでしょう。
以下では粘り強いことを自己PRするうえで、差別化できるポイントを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
例文11選|粘り強い性格の自己PRで知らないと損する注意点
最後までやり抜く力
「最後までやり抜く力」も諦めない力の言い換えワードの一つで、諦めない力の中でも「途中で投げ出さないこと」という点にフォーカスした表現です。
最後までやり抜く力をアピールするときは、先の見えない状況やネガティブな意見や予測をどのように捉えたのかを明確にしましょう。
社会人になったら、結果がどうなるかわからないことや、やる前から失敗する可能性を秘めているようなことに取り組まなければいけないこともあります。そのような場合でも、最後までやり抜く力を発揮すれば、途中で投げ出さずに頑張れることをアピールできるでしょう。
また、状況の捉え方に加えて、やり抜いた先にどんな結果が得られたのかまで伝えることができれば、最後までやり抜く力が実を結んだ事実としてアピールでき、より強くやり抜く力を印象付けることにもつながりますよ。
最後までやり抜く力はどんな職種でも求められます。特に、プロジェクトで業務に取り組むシステム開発などでは、障害や想定外の出来事が発生しても完成形のイメージを共有してやり抜く力が必要になるでしょう。
打たれ強い
「打たれ強い」には物理的な打撃に強いこと以外に、「批判や強い反対を受けても精神的に屈しないさま」という意味があり、自己PRでは後者の意味で活用できます。
仕事では、自分の行動や仕事の結果に対して意見やアドバイスをもらう機会が多くあります。当然ながら批判的な意見を言われたり、失敗を責められることもあります。
打たれ強さは困難な状況での精神的な強さを意味する言葉であるため、諦めない力の言い換えとして使用する場合は、困難な状況を受け止めたときの考え方や心の状態を伝えることがポイントです。
批判的な意見や困難に対して、落ち込んでやる気まで無くしてしまうことなく、受け止めるべきことは真摯に捉え、心の状態やモチベーションは維持できることを伝えることで、打たれ強さのなかの精神的な強さを示すことができます。
- 諦めない力にいろいろな言い換えがありすぎて、どれを選べば良いのかわかりません……。
自分の性格や経験をもとに最も共感できる表現を選ぼう
「諦めない力」に関する言い換えや表現は多くありますが、大切なのはその言葉があなた自身の感情や経験とどう響き合うかです。
たとえば、「忍耐力」「持続力」「粘り強さ」などの言葉がありますが、これらはすべて似た意味合いを持ちつつ、微妙に異なるニュアンスを持っています。
自分が直面している状況や、自分の性格、経験に基づいて、最も共感できる表現を選ぶことが重要です。また、面接などで使う際は、その言葉を選んだ理由や具体的な経験を織り交ぜることで、より説得力のある自己表現になりますよ。
どんなときに必要? 仕事で諦めない力が発揮できる場面
自己PRで企業にアピールする力は、仕事上でも活かすことができる力だからアピールするものです。そのため、その力が仕事のどこで発揮できるのかを想定できなければ適切なアピールができず、人事への説得力にも欠けてしまいます。
自分の持つ諦めない力が今後社会人としてどのように活かせるかを理解することができれば、自己PRで自分の強みを伝えるときや締めくくりのひと言の中でも、強みの活かし方を具体的に伝えることができます。
ここからは、働くうえで諦めない力が求められる場面について解説します。実際の仕事の中で、自分自身の持つ諦めない力をアピールするとしたらどんな場面なのか考えてみましょう。
会社の利益や目的に向けて取り組むとき
会社に属する社員は、基本的にその会社が掲げる目的を達成するために働くことが求められます。つまり一つの目的に対し諦めずに取り組める力を示せば、企業もあなたを採用するメリットを感じやすいということです。
当然、会社という大きな組織が掲げる目的や利益は簡単に達成できるものではないため、社員一人ひとりが努力して仕事をおこなうことが求められます。
また、大きな目的を達成するためには数カ月・数年単位の長期的な取り組みが必要となるため、途中でうまくいかなかったり、先行きが見えなくなることもあるでしょう。
過程がどのような状況だとしても、途中で放棄せずゴールに向けて突き進めることは、会社という組織の中で必要不可欠な資質といえます。
- 社会人になって具体的にどんな壁にぶつかるのか分からず不安です……。
過去に自分がどのように壁を乗り越えたかを考え自分にできることをイメージしよう
不安ですよね。当然の気持ちだと思います。でも起きうることを全て洗い出して備えることはできません。そんなときは「過去に自分が困難をどう乗り越えたか」を振り返ってみましょう。
そこからあなたが困難を乗り越えてやり遂げるときに取る行動パターンや、使えるリソースが見つかるはずです。
最初に困難に向き合ったとき、どんな行動を取ったか。活用できるリソース、助言が貰える人脈や、情報収集の仕方はどうするか。今なら生成AIを使いこなすことも、リソースでしょう。
このように自分がどうやって困難を乗り越えてきたかを言語化して再現性を高めておくことで、「自分は壁にぶつかっても何とかできる!」と、自分を信じられるはずです。
会社の方針や制度を改善するとき
今ある制度や方針を新しくしたり、すでに形になっているものを変えようとすることは、多くの時間を要するうえに、反対意見が出たり失敗を重ねたりと、大変な思いをすることもあるでしょう。
しかし、企業は人が集まって成り立つ組織なので、意見のぶつかり合いを重ねながら成長していくものです。そうした中で、組織やその中の慣習をより良く変えていくためには、めげずに挑戦する諦めない力が必要となります。
ここでの諦めない力とは、ただ周囲に反対されることを向こう見ずに挑戦し続けるのではなく、相手を納得させたり状況を変えるため試行錯誤ができることです。
反対意見を受け止めつつも、心が折れることなく取り組むことが必要となるという点でも、諦めない力を存分に活かすことができますよ。
自身の成長を社内でアピールするとき
会社内で自分自身の実力や成長をアピールするときにも、諦めない力は活かすことができます。なぜなら、会社という組織の中で自分を評価してもらうためには、根気強く仕事を続けて成果を出さなければいけないからです。
企業側が学生を採用するメリットと直接的にかかわるわけではありませんが、実務において成果を出して貢献していくためには必要不可欠な要素になり得ます。
たとえば、仕事において自分自身の成長を実感できたとしても、それが周囲に伝わらなければ直接的な評価にはつながりません。
モチベーション高く働ける環境を自分で作っていくという意味でも、自分の成果やスキルをアピールする場面は、仕事の中で諦めない力を発揮できるタイミングといえるでしょう。
就活では諦めないことと同時に、自己アピールの仕方も重要です。自己分析で自分の特徴を理解し、それを企業のニーズと結びつけ、自己PRや面接で効果的にアピールしましょう。
そして企業研究もおこない、自分の強みがその企業でどう活かせるかを具体的に示すことで、印象的なアピールにつながります。
文章を作るのが苦手な人にオススメの自己PR作成方法!
自己PRはESや面接でよく聞かれる質問の一つ。
しかし、「自己PRが全然思いつかない......」「自己PRを考える時間がない......」対策が思うように進んでいない人も多いのではないでしょうか?
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自己PRが思いつかない人や、忙しくて自己PRを考える時間がない人は、まずはツールを使ってみることをおすすめします!
キャリアコンサルタントに聞く! 企業が評価する諦めない力とは
先ほど紹介したように、諦めない力が企業で活かされる場面は多くありますが、実際のところ企業の求める「諦めない力」とはどのようなものなのでしょうか。
23年間の豊富な企業経験をもとに採用や就活支援に携わるキャリアコンサルタントの降幡さんに解説してもらいましょう。
アドバイザーコメント
降幡 美冬
プロフィールを見る先の予測が難しい時代だからこそ諦めずに試行錯誤できる人材が求められる
VUCA時代と言われる現代では、ビジネスの環境は不確実で刻々と変化しています。プロダクト(製品)やサービスの消費サイクル(いわゆる商品寿命)も急速に短期化し、更にはコロナ禍のように企業にとっても予測できない危機的状況も起こり得ます。
そのようなイレギュラーで大きな不安のある状況下でも企業として存続し、発展し続けるためには「諦めない人材」が必要になるのです。困難に直面しながらも何度も立ち上がり、諦めずに試行錯誤を続けられる人物が企業の成長には欠かせません。
人の集合体である企業でより良い人間関係を築くためにも諦めない力を活かそう
また、企業にはさまざまな価値観を持つ人々が働いています。新卒当初は慣れない環境や業務に加え、上司や先輩、同僚という「人」とのかかわりの中でも大きなストレスにさらされることもあるでしょう。
そうした際に、仕事を教える会社側からすれば、一度のダメージで諦め傷つき投げ出してしまう人物では困ります。ミスやトラブルにもへこたれず、どうしたら今よりも少しでも状況が改善するのか、工夫やアイデアをこらして行動できる人物を求めているのです。
VUCA
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字で構成された言葉。社会情勢の変化やAI(人工知能)などのテクノロジーの発展により、将来の予測が難しい状態を指す。
諦めない力の自己PRで差をつける3つのポイント
諦めない力の自己PRで差をつける3つのポイント
- 企業で求められる諦めない力と照らし合わせて伝える
- 諦めない力のレベルを明確にする
- 自分にとって大変だったエピソードを選ぶ
諦めない力を自己PRで魅力的に伝えるためには、エピソードをうまく活用して説得力を出すことがとても大切です。
ここからは、諦めない力を説得力を持ってアピールするための3つのポイントを解説します。諦めない力の捉え方や伝え方、エピソードの選びなどの参考にして、ライバルに差をつける自己PRにしていきましょう。
①企業で求められる諦めない力と照らし合わせて伝える
企業で必要とされる力と自分の強みをマッチさせることは、どんな自己PRでも必要ですが、諦めない力のような説明の難しい力をアピールするときは特に、面接官にとってわかりやすいかどうかが重要です。
たとえば、あなたの強みが諦めない力の中でも試行錯誤を繰り返せる粘り強さだとします。企業では、会社全体の目的を達成するために諦めない力が求められますが、中でも長期的な目的のために日々粘り強く業務をおこなうことが求められます。
このように、企業の目標や長期的な課題に取り組むときに必要な力と、あなたの持つ粘り強さを照らし合わせるとマッチ度が高いことがわかりますよね。
あなた自身の「諦めない力」を企業側の視点に立って伝えることで、仕事に役立てられる強みとして説得力を持たせた自己PRにできるのです。
企業の求める強みと自分の強みを照らし合わせる際には、まず企業が自社で重視している点を徹底的に研究し、それに対して自分の経験やスキルがどのように貢献できるかを考えます。
自己分析を深めて自分の強みを明確にし、面接などで効果的に伝えるために具体的なエピソードを準備することまでできれば、より効果的に企業とのマッチ度を見つけられるでしょう。
②諦めない力のレベルを明確にする
「苦手な課題でも途中で投げ出さずに期限までにやり切った」というような、少し諦めずに頑張ったという程度の経験であれば、誰しも一度は経験したこともあるのではないでしょうか。
しかし「自分の強み」としてアピールするのであれば、ただ諦めなかった経験を伝えるだけでは印象の薄い自己PRになってしまうため、諦めない力が人よりも高いことを伝える必要があります。
ここで大切なのは、自分が困難や課題に対してどのように行動したか、その諦めない行動によってどんな結果や学びがあったかを伝えることです。
「自分にとってはとても苦手なことだけど耐えて最後までやり切った」「みんなが成功していく中で、自分だけ失敗を繰り返しても投げ出さなかった」など、あなた自身にどの程度の諦めない力があるのかを明確にまとめてみましょう。
③自分の諦めない力が最も活かされたエピソードを選ぶ
諦めない力の自己PRに説得力を出すためにも、エピソード選びは大切です。
たとえば、少し挑戦したらうまくいった経験と、より大きな課題や困難に直面したときのことであれば、後者の方がより強い諦めない力が必要となります。つまり、エピソード選びでは、より自分の諦めない力が必要となった経験を選ぶことが大切なのです。
また、たとえ目指していた目標や課題が小さなものであったとしても、それに対して手を抜かずに頑張ったり工夫を凝らすことも、諦めない力を必要とした経験としてつなげられます。
経験の大小に関係なく、自分の諦めない力が一番活かされたエピソードを用いてアピールすることで、諦めない力を最大限にアピールすることにつながるのです。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見る3つのポイントに注意して伝え方が難しい強みも魅力的にアピールしよう
アピールすることが難しい強みを自己PRするときは、以下のように組み立ててはどうでしょうか。
①精神論で終わらせない
「頑張りました!」だけでなく、どう頑張ったのか、どのような手段で困難を解決して最後までやり遂げたのか。
例:私は〇〇という困難にぶち当たりました。とにかく最後までやり切ると決意して、先輩の助言などもいただきながら、~のように対策をして、諦めずにやり切ることができました。
②自分の成長と結びつける
諦めずにやり遂げた経験から何を得、それが自分をどう成長させたか。
例:この困難を乗り越えたことは大きな自信になり、挑戦的な目標にも立ち向かえるようになりました。
③ストレス耐性に言及する
困難に諦めず取り組むときに、自分自身をケアしてメンテナンスしたこと。
例:途中で精神的につらくなったりもしましたが、セルフケアで立て直しながら取り組めたことで、精神的にも強くなったと思います。
実際に作成してみよう! 諦めない力を自己PRするときの3ステップ
実際に諦めない力の自己PRを書くにあたって、「具体的にどういう手順で作成すればいいんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
ここからは諦めない力をよりわかりやすく伝えるために、自己PRの書き方を3ステップで解説します。
自己PRの構成についてさらに詳しく知りたい人は下記の記事を参考にしてみてください。就活のプロであるキャリアコンサルタントとともに例文を交えながら人事に刺さる自己PRの作り方を解説しています。
自己PRは4つのステップで簡単に書ける! テンプレートと例文付き
①諦めない力が強みであるという結論から述べる
諦めない力に限らず、どんな強みを自己PRにする場合でも、まずは結論から述べることが重要です。
ここでは、ただ「私の強みは諦めない力です」と述べるのではなく、「困難な状況でも投げ出さない諦めない力です」のように、自分の持つ諦めない力がどんなものなのかを簡潔に説明して結論付けるようにしましょう。
最初に自分の強みが諦めない力であることを断言してから話を展開することで、面接官にとっても自己PRの大枠がつかみやすく、その後の説明やエピソードが伝わりやすくなります。
諦めない力を自己PRするときの書き出しの例文
私の強みは失敗しても批判されても、気持ちを強く持ってやり抜ける諦めない力です。
自己PRの書き出しに迷っている人やより人事を惹き付ける内容にしたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。多くの学生をサポートしてきたキャリアコンサルタントが、人事を魅了する自己PRの書き出しの秘訣を徹底解説しています。
自己PRは書き出しで命運が決まる!人事を惹き込むコツを大解剖
②諦めない力を証明する具体的なエピソードを述べる
結論を述べたあとは、その裏付け、つまりは諦めない力の証明となるエピソードを述べましょう。
ここでは選ぶエピソードの内容と具体性が重要となります。エピソード選びでは「自分の諦めない力が一番発揮されたエピソードであること」、そしてエピソード内では「諦めなかった結果や学びまで明確にすること」を意識しましょう。
上記の2つのポイントを押さえることで、諦めない力のレベルを具体的かつわかりやすく伝えることができます。
諦めない力を証明する具体的なエピソードを述べる例文
私の粘り強さが活かされた経験は、大学時代のサークルでの仕事です。
現在も所属している管弦楽サークルのイベントの一つである外部イベントは、先輩から声がかかった人のみが参加できるものでした。
1年目は練習の甲斐なく選ばれませんでしたが、そのとき私は落ち込むことなく、選ばれなかった原因を自分なりに考えました。そして練習はもちろん、これまで以上にサークルメンバーとコミュニケーションや交流を重ね、先輩にもアドバイスを率先してもらいに行くなど地道に努力を続けました。
その結果、2年目には日頃の振る舞いや努力が認められ、演奏メンバーに選ばれることができました。
周囲から無理だと言われたり反対されたりするような逆境の中、一度は心が折れかけたものの、諦めずに行動して何かを成し遂げたエピソードは高く評価できます(部活動や受験など)。
その中でも、自分でどのように計画し、取り組んだのかが具体的であればなお良いですね。
③諦めない力が企業でどのように活かせるかを述べる
自己PRの締めくくりでは、自分の持つ諦めない力が企業でどのように活かせるかを述べましょう。
ここでは企業が評価する「諦めない力」と、自分のもつ「諦めない力」を照らし合わせることがポイントです。面接官があなたが自分の強みを発揮している姿をイメージできるように伝えることで、諦めない力の自己PRにとって大切な「説得力」がさらにアップした自己PRになりますよ。
諦めない力が企業でどのように活かせるかを述べる例文
私の志望する企画職は日々の細かな数字と向き合い試作を重ね、大きな目的を達成する仕事だと考えます。私が企画職として働く際にもこの経験で活かした粘り強さで、日々の試作に取り組み大きな成果につなげられるよう試行錯誤していきたいです。
自己PRの締め方についてさらに詳しく知りたいという人は以下の記事もおすすめです。就活生の自己PRを数多く添削してきたキャリアコンサルタントが自己PRの締めくくりを決める3つの要素や伝え方のコツについて解説しています。
自己PRの締め方が決まる3大要素を解説! 強みが届くコツも伝授
行動エピソード別|諦めない力を魅力的に伝える自己PR例文4選
諦めない力を魅力的に伝える自己PR例文4選
- 状況をポジティブに捉えて行動した
- 自分に何ができるか考えて行動した
- 失敗を振り返って次に活かせるように行動した
- 周囲を巻き込んで行動した
諦めない力の自己PRの注意点や差をつけるポイントについて解説してきましたが、実際にそれらを押さえた魅力的な自己PRとはどんなものなのか気になる人もいるでしょう。
最後は諦めない力の魅力的な自己PRの例文を、行動エピソード別で紹介していきます。参考にして自分なりの言葉で魅力的な自己PRを完成させてくださいね。
例文①状況をポジティブに捉えて行動した
状況をポジティブに捉えて行動した例文
私の強みは状況をポジティブに捉え、最後まで諦めない力です。
私は学生時代ダンスサークルで幹部を務めており、私の代のときにサークル内で初のオーディションイベントを企画しました。これまで発表会のような形でしかダンスを披露したことがなかったため、初の試みにサークルの中では方針に批判的な意見も挙がりました。
しかしそのとき私は、初の試みだからこそ成功させることで、オーディション経験がみんなの技術や意識の向上につながるはずだとプラスに捉え、諦めずに幹部の意図やサークルの技術向上について呼びかけ、運営準備も率先しておこないました。
その結果、オーディションイベントは成功を収め、多くのサークル員の意識と技術の向上につながっただけでなく、サークル内の恒例イベントとなりました。
このマイナスな状況や意見もポジティブに捉えてやり抜ける力は、御社での通常業務やクライアントへの新規提案などの際に活かしていきたいです。
学生時代のダンスサークルでの幹部経験を具体的に挙げ、困難な状況をポジティブに捉えた対応、リーダーシップと主導性を示し、オーディションイベントの成功という具体的な成果を得たことが良いアピールとなっています。
さらに、これらの経験が職場での業務や新規提案にどう活かせるかを明確にしており、効果的な自己PRといえるでしょう。
ポジティブさを自己PRでアピールしたい人は、こちらの記事もおすすめです。差別化するコツとNG例に加えて、例文6選を紹介しています。
長所「ポジティブ」の自己PR例文6選! 差別化のコツとNGも解説
例文②自分に何ができるか考えて行動した
自分に何ができるか考えて行動した例文
私の強みは、自分に何ができるかを考えて実行できる粘り強さです。
私は居酒屋でアルバイトをしているのですが、一度お客様にクレジットカードを返し忘れてしまったことがありました。そのお客様がよく話かけてくれる常連の方で気が緩んでいたことと、お店の新しいキャンペーンを伝えなければいけないことに気を取られていたことが原因でした。
いつもしないようなミスをしてしまったことはもちろんですが、何よりお店をひいきにしてくれている常連さんに迷惑をかけてしまったことがショックでした。
私はこの失敗を通して改善のために自分に何ができるかを考え、同じような渡し忘れがないようにレジの中の目立つ場所に確認を促す貼り紙をしたり、従業員で会計フローを見直したことで翌月からの会計ミスを減らすことができました。
このように、失敗したり困難な状況に直面しても、自分にできることをやり抜ける力は御社の企画職で働くうえでも活かせる強みだと考えます。
失敗を糧と捉え、自らの成長に結びつける力が表れた素晴らしいエピソードです。具体的に考えついた再発防止策を盛り込んであるため説得力も増し、入社後にどのような力を発揮してくれるのかイメージが湧きやすい部分も評価できます。
上記の例文のようにアルバイト経験から自己PRを書こうと考えている人は以下の記事もおすすめです。アルバイト経験を自己PRするときのポイントを企業の目線から解説しています。
例文10選|アルバイト経験の自己PR必勝法を企業目線で解説
例文③失敗を振り返って次に活かせるように行動した
失敗を振り返って次に活かせるように行動した例文
私の強みは失敗や挫折を次に活かして最後までやり通せる粘り強さです。
私はバレーボールの元日本代表の竹下選手に憧れて中学からバレーボールをしているのですが、大学で所属したバレーボール部は、それまでの地元の小さい部活とは違って部員数が多く、一軍のメンバーになることが難しい状況でした。
特に私は身長も小柄で、手も小さかったため、後輩にメンバー争いで負けるなど悔しい思いもしてきました。それでもめげることなく失敗を振り返り、小柄さを活かせるプレースタイルを研究したり、自主練や走り込みを続けてきました。
その結果、就活で引退する前の年には一軍のメンバーに選ばれ、20以上の大学が参加する大会でベスト8に入ることができました。
御社に入社した際には、失敗や挫折も自分の糧として諦めずにやり抜く力を活かして、どんなことにも愚直に取り組んでいく所存です。
最後に成果がでているので、説得力がありますね。それも体格という、自分では修正できない困難を工夫と努力で乗り越えた点が、とても良いです。
ただ、細かい指摘になりますが、この例文の場合は「失敗」というより「挫折」を乗り越えたエピソードとして限定して見せた方が良いでしょう。
上記の例文のように、部活動でのエピソードを自己PRにしたいという人は多いのではないでしょうか。以下の記事では部活動の経験から魅力的な自己PRを作るポイントを、例文付きでキャリアコンサルタントが解説しています。
部活の自己PRで高評価を得る必勝法|15例文を役職・部活別で紹介
例文④周囲を巻き込んで行動した
周囲を巻き込んで行動した例文
私の強みは困難な状況でも周囲を巻き込んで行動できる諦めない力です。
私が大学で幹部を務めていたバドミントンサークルは、未経験者でも参加しやすい初級コースと経験者向けの上級コースの2種類の活動日があります。その中でも上級コースは、技術を高めるというよりはただ試合をするだけだったので、経験者でも参加率が低く運営に頭を悩ませていました。
こうした課題を解決するため、サークル員に呼びかけて上級コースの練習メニューを一緒に考えたり、外部から講師を呼んで技術向上の機会を作ったりと多くのメンバーと協力して運営の改善をおこないました。
その結果、ときには半数以下の参加率になってしまっていた上級コースの参加率も7割ほどまで回復させることができ、サークル員も増やすことができました。
御社で社会人となった暁には、顧客の獲得や売上に対する課題に対してもこうして周囲を巻き込んで乗り越えた経験を活かして実績をあげていきたいです。
諦めない力だけでなく、課題発見力や解決力、メンバーと協力しあうコミュニケーション力も伝わる印象的なエピソードですね。ただ頑張った、改善したに留まらず、成果を明確に7割という数字で記載している点もイメージがしやすくなるので高評価です。
諦めない力の自己PRは3つのポイントを押さえて高評価で突破しよう
諦めない力はその力のレベルの伝え方が難しいからこそ、自己PRの仕方次第では内容もわかりづらく、強みといえるほどのアピールができないという特徴があります。
だからこそ諦めない力の自己PRを魅力的にするには、エピソードや伝え方に説得力を持たせることが重要なのです。
エピソードの説得力で差をつけるには、企業の求める諦めない力と照らし合わせ、自分の諦めない力のレベルを明確にしてみましょう。選ぶエピソードの内容も重要です。
諦めない力を自己PRにしようと考えている人は、ぜひこの記事の3つのポイントをマスターして、ほかの誰にも負けない魅力的な自己PRで選考突破を目指してくださいね。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見る自分の持てる諦めない力を「就活」という困難を乗り越えるために活かそう
就活の過程は、時に厳しい挑戦の連続ですが、その中で「諦めない力」を持つことは非常に価値のある資質です。この力は、困難な状況に直面した際に、あなたがどのように対処し、乗り越えてきたかを示すものです。
自己PR文を書く際には、単に「諦めない」という言葉を使うのではなく、具体的な経験やエピソードを通じて、その力がどのように形成され、どのように活かされてきたかを伝えましょう。
たとえば、大学生活での困難なプロジェクト、スポーツや趣味での挑戦、あるいは個人的な障害の克服など、あなたが直面した障害と、それをどのように乗り越えたかを具体的に描写してください。
このプロセスで重要なのは、単に困難を乗り越えたという事実ではなく、その経験から何を学び、どのように成長したかを示すことです。
諦めない力の自己PRは謙虚な姿勢を持つことでバランスの良い内容になる
また、自己PRはあなたの強みを伝える機会となりますが、謙虚さも忘れずに。自分の努力を認めつつも、周囲のサポートや学びを得た点にも触れることで、バランスの取れた印象を与えることができます。
最後に、あなたの「諦めない力」が、将来の職場でどのように役立つかをつなげて考えることも忘れないでください。あなたの経験が、困難な状況に直面した際の問題解決能力や、チームでの協力にどのように貢献できるかを示すことができれば、より説得力のある自己PRとなるでしょう。
就活は一人で乗り越えるものではありません。周囲の支援を受け入れ、自分自身を信じて、一歩一歩前に進んでください。そうすることであなたの「諦めない力」が、確実に未来への道を切り開いていくことでしょう。頑張ってください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Mifuyu Furihata〇23年間の企業勤めを経て、独立後は企業での採用・育成コンサルティングや研修に従事。個人向けの就活支援セミナーやキャリア相談における、個々の「強み」の掘り下げに定評がある
プロフィール詳細